JP3583816B2 - 電子レンジの安全回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、電子レンジにおけるプリント基板上に構成された安全回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高周波発振器により食品を加熱する電子レンジは、2〜3Hzの超極短波を発振させるためこの電波放射に対する安全性においては、様々な工夫がなされている。たとえば、ドアハンドルに備えられたドアスイッチは、高周波発振器の電源供給ラインに挿入されたラッチスイッチと連動されており、食品の加熱中に誤ってドアが開けられても、ドアの開成に伴ってラッチスイッチが開いて高周波発振器への電源供給が停止され、その発振を瞬時に止める機能が持たされている。
【0003】
また、高周波発振器を駆動させるリレーは、ドアが開けられるとリレー自身の駆動電圧が供給されない回路構成になっており、ラッチスイッチと共に電子レンジの二重の安全装置の役目を担っている。ところで、リレーへの駆動電源供給回路は、通常電子レンジの内部に備えられたプリント基板上に構成されている。しかし、このプリント基板上のパターン、特に電源パターンは、その電子レンジの置かれる環境条件、たとえば高温高湿、水滴、ゴキブリ等の虫の死骸等によって絶縁劣化が生じることがある。この絶縁劣化が生じると、食品の加熱中に誤ってドアが開けられても、リレーはオフせず励磁状態のままとなり、安全装置の役目を果たさない。
【0004】
この問題に関するものに、特開平6─45063号公報に開示されている電子レンジの安全回路がある。
この電子レンジの安全回路を図3および図4により説明する。図3は、プリント基板上のパターン図を含む電子レンジの回路図の一例である。まず、ドアが閉められている場合では、電源パターン18には、商用電源3から供給される電圧が、降圧トランス9で降圧され、電源パターン17、本体回路1内のドアスイッチ5を介してリレーコイル8bに駆動用の電源電圧として印加される。ドア検出回路15は、この電圧によりドアが閉められていると判定し、その信号がマイクロコンピュータ14に送られる。マイクロコンピュータ14はこの信号を受け、食品等を加熱するための利用者の運転指令等によりスイッチングトランジスタ16へ駆動信号を送信する。この信号によりリレーコイル8bが励磁され、本体回路1側のリレー接点8aが閉じられ高周波発振器7より高周波が発振され、食品等が加熱される。
【0005】
食品加熱中にドアが開けられると、ドアスイッチ5が開となり、リレーコイル8bへは駆動用電源電圧が供給されなくなるので、本体回路1側のリレー接点8aは開いて高電圧発生回路6へは電源供給が停止され、高周波発振器7より高周波が発振されなくなる。また、同時にドアスイッチ5が開となれば、それと連動されるラッチスイッチ4が開かれるので、高電圧発生回路6へは電源供給がされなくなり、この作用によっても高周波の発振が停止される。上記の二つの機能が、この電子レンジの二重の安全機能として構成されるものである。
【0006】
しかし、このとき電源パターン17と18とが絶縁劣化を起こし短絡状態となると、ドアの開閉にかかわらず、リレーコイル8bには常に電源電圧が供給される。また、ドア検出回路15にも電源電圧が印加される。よって、ドア検出回路15はドアが閉じられていると判定する。マイクロコンピュータ14はこの信号をうけ利用者の運転指令があると、高周波を発振させる信号を出力する。このような場合に、ラッチスイッチ4が故障して閉じられたままになっていると、ドアが開けられても高周波発振器7からは電波が発振されたままになる。
【0007】
そこで、特開平6─45063号公報に開示の発明では、この回路のパターンにおいて、図4に示すようにプリント基板上のコネクタ13の片側の端子から高周波発振器7を駆動させるリレーコイル8bおよびドア検出回路15にいたる電源パターン18の周囲に、ドア開時と同電位(0V)のパターン19(以下、安全保護パターンという。)を設ける。こうすることにより、プリント基板の電源パターン18と安全保護パターン19において絶縁劣化が発生した場合でも、ドア検出回路15からの信号によりマイクロコンピュータ14は、ドアが開けられていると認識し高周波発振器7の電波の発振が止められることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の電子レンジの安全回路では、ドアが開けられているとき、換言すればドアスイッチ5が開のときは上述の安全性を有する。しかしながら、ドアが閉められているとき、換言すればドアスイッチ5が閉のときには、電源パターン17の電圧はドアスイッチ5を介して電源パターン18および安全保護パターン19へと短絡電流が流れる。これにより、降圧トランス9および整流ダイオード10等は発熱し、場合により素子が損傷する可能性があると推測される。
【0009】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、電源パターンの一箇所に抵抗素子を直列に挿入して短絡時の電流を制限することにより、より安全性の高い電子レンジを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1にかかる電子レンジの安全回路は、加熱調理用の高周波発振器に電圧を供給する高周波発生回路と商用電源との間に接続されたリレー接点をオンオフ制御するリレーコイルが、プリント回路基板上にパターン形成された構成を含む電子レンジの安全回路において、商用電源に接続され、交流電源電圧を降圧する降圧トランスと、降圧トランスに接続され、降圧された交流電源電圧を整流するダイオード及び平滑コンデンサと、前記プリント回路基板上に形成され、前記ダイオードに接続され、電位が与えられる第1パターンと、ドアが開かれるとオフし閉じられるとオンするドアスイッチを介して前記第 1 パターンに接続した前記プリント回路基板上に接続した小パターンと、前記ドアが開かれ、前記ドアスイッチがオフしたとき前記プリント回路基板の0V電位を出力し、また前記ドアが閉じられ、前記ドアスイッチがオンしたとき前記ドアスイッチを介して前記第1パターンからの電圧が出力されるドア検出回路と、該ドア検出回路及び前記リレーコイルに接続され、前記プリント回路基板上に形成された第2パターンと、前記第1パターンと前記第2パターンとの間の絶縁劣化をおこし短絡状態となることを保護するために、前記第2パターンを取り囲むように前記プリント回路基板上に形成され、前記プリント回路基板の0V電位に接続された安全保護パターンと、前記第2パターンと前記小パターンとの間に接続し、前記第2パターンと前記安全保護パターンとの間で絶縁劣化をおこしパターン間が短絡状態となり前記ドアが閉じられても、短絡電流が流れて前記降圧トランスや前記ダイオードの発熱や損傷を防止する抵抗素子と、を備えることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
上記請求項1にかかる発明によれば、プリント回路基板上に第1パターン、第2パターン、小パターン及びプリント回路基板の0V電位に接続され、前記第2パターンを取り囲むように安全保護パターンがパターン形成されている。
【0014】
そして、第1パターンと小パターンとの間にドアスイッチが接続され、また小パターンと第2パターンとの間に抵抗素子が接続されている。
【0017】
【実施例】
以下に、この発明の実施例を添付図面によって詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施例にかかるパターン図を含む電子レンジの回路図である。
図1の電子レンジの回路は、本体回路1と制御回路2とに大別される。本体回路1には商用電源3(通常は家庭用コンセントから得る。)が接続され、ラッチスイッチ4を経て高電圧発生回路6に電源が供給される。また、高電圧発生回路6はリレー接点8aにより通電が判別される。高電圧発生回路6に接続された高周波発振器7は、電圧が供給されることにより高周波を発振する。また、ラッチスイッチ4はドア(図示せず)に備えられたドアスイッチ5と連動し、ドアを開けるとこのラッチスイッチ4も開状態となる。
【0018】
制御回路2は、全体が1枚のプリント基板上に形成されている。この制御回路2には、本体回路1より交流電源電圧が供給される。この交流電源電圧は降圧トランス9により降圧され、整流ダイオード10および平滑コンデンサ11により整流された後、レギュレータ12を経てマイクロコンピュータ14に駆動用の直流電圧として供給される。
【0019】
また、ドア検出回路15ならびにリレーコイル8bおよびリレーコイル8bの励磁制御用トランジスタ16を含む回路が設けられ、これらはマイクロコンピュータ14と接続されている。
ところで、ドア検出回路15およびリレーコイル8bの回路へ電源電圧を印加するために、下記のパターンがプリント基板上に形成されている。すなわち、整流ダイオード10および平滑コンデンサ11により整流された電源電圧を取り出す第1パターンとしての電源パターン17と、ドア検出回路15およびリレーコイル8bに駆動電圧を導く第2パターンとしての電源パターン18および電源パターン18を取り囲むように形成され、かつプリント基板の0V電位と接続された安全保護パターン19とがプリント基板上に形成されている。プリント基板の0V電位は、ドアが開かれたときの電位、すなわち、シャーシアースと同電位である。
【0020】
また、電源パターン17は、整流ダイオード10のカソード側から外部信号との授受を司るコネクタ13の一方端子へと形成され、このプリント基板の外に設けられ本体回路1側に備えられたドアスイッチ5の一方端子に接続される。また、ドアスイッチ5の他方端子は、前述のコネクタ13の他方端子に接続されている。この端子を含むこの端子の近傍のプリント基板上には接続用の小パターン21が形成されている。この小パターン21と前述の電源パターン18の間には、抵抗素子20が接続されている。安全保護パターン19は、実装された抵抗素子20本体の下側をプリント基板上で通過し電源パターン18を取り囲むように設けられる。
【0021】
従来の技術の項で示した図4のパターン図を含む回路では、パターン同士が近接しているために電源パターン18と安全保護パターン19との間のみならず、電源パターン17と安全保護パターン19との間に絶縁劣化の可能性も十分に考えられる。
これに対し、この実施例では、電源パターン17と安全保護パターン19との間が絶縁劣化をおこさないように十分離された位置に各パターンが配置されている。
【0022】
次にこの回路図の動作について説明する。
まず、ドアが閉じられている場合には、制御回路2の整流ダイオード10および平滑コンデンサ11により整流された直流電圧は、電源パターン17で取出され、コネクタ13の一方の端子を介し本体回路1のドアスイッチ5を経由して、コネクタ13の他方端子、小パターン21、抵抗素子20および電源パターン18を通り、制御回路2のドア検出回路15およびリレーコイル8bに印加される。
【0023】
ドア検出回路15は、ドアスイッチ5の開閉により電源パターン18から供給される電圧の有無によって、ドアが開閉されたことを判定する。たとえば、ドアスイッチ5が閉のときは、電源パターン17からドアスイッチ5および抵抗素子20を経て電源パターン18に電圧が印加され、その結果、ドア検出回路15には電源が供給される。よって、ドア検出回路15はドアが閉じていると判定する。他方、ドアスイッチ5が開のときは、電源パターン17から電源パターン18へ与えられる電圧は、ドアスイッチ5によりしゃ断されるからドア検出回路15には電源が供給されない。よって、ドア検出回路15はドアが開かれていると判定する。
【0024】
マイクロコンピュータ14は、このドア検出回路15からの検出信号によりドアの開閉状態を確認し、閉状態のときに利用者の運転指令等によりスイッチングトランジスタ16へリレーコイル8bを駆動させる信号を送信する。この信号によってスイッチングトランジスタ16はオンし、リレーコイル8bは電源パターン18からの駆動電圧が印加されている場合に励磁される。リレーコイル8bが励磁されると、リレー接点8aがオンし高電圧発生回路6に商用電源3が印加されるので、高周波発振器7から高周波が発振される。
【0025】
また、ドアが開けられている場合には、ドアスイッチ5が開となり電源パターン18へは電源電圧が供給されずリレーコイル8bは励磁されない。このため、リレー接点8aがオフとなり、高周波発振器7からの高周波の発振は停止される。
同時に、ラッチスイッチ4はドアスイッチ5と連動されているため、このラッチスイッチ4も開状態となり、高周波発生回路6へ電源供給がなされなくなって、このラッチスイッチ4によっても高周波発振器7からの高周波の発振が停止され、これらは二重の安全機能を有している。
【0026】
上記が通常のこの回路構成における基本的動作である。ところが、電源パターン18と安全保護パターン19との間の絶縁劣化が発生したとする。このとき、安全保護パターン19は、プリント基板の0V電位、つまりドア検出回路15の0V電位に接続されている。よって、絶縁劣化が発生すると、電源パターン18の電位は0となる。このため、リレーコイル8bには電源供給がされなくなってリレー接点8aはオフとなり、高周波発振器7からの高周波の発振は停止される。
【0027】
さらに、電源パターン18と安全保護パターン19が何らかの原因で絶縁劣化をおこしパターン間が短絡状態となったとしても、電源パターン18と小パターン21との間に接続された抵抗素子20により、電源パターン17がアース電位に接続されないようになっている。このため、たとえドアが閉じられ、ドアスイッチ5が閉であっても、電源パターン17に接続された降圧トランス9や整流ダイオード10等が直接、接地されることはない。よって、接地により短絡電流が流れて、これら降圧トランス9や整流ダイオード10が発熱、損傷等することはない。
【0028】
また、この抵抗素子20は、自身が破壊されない程度の電力許容値をもち、かつドア開閉時の検出電位が正常に検出でき、リレーコイル8bを駆動できる範囲の抵抗値であれば自由に選択してよい。
また、図2に、この発明の他の実施例のパターン図を含む回路図を示す。
図2の回路図は、前述の図1の回路図からさらに改良を加えたもので、回路構成および回路動作は後述する以外、図1の回路図と同様のため省略する。
【0029】
図2は、図1の回路図において、電源パターン18の途中からリレーコイル8bへのパターンの間、および電源パターン18の途中からドア安全回路15へのパターンの間に、それぞれ第1のダイオード22と第2のダイオード23を挿入する。安全保護パターン19は、抵抗素子20の片側端子から第1のダイオード22と第2のダイオード23のそれぞれのアノード側にいたる電源パターン18を取り囲むように設けられる。
【0030】
なお、挿入されたダイオードは、電源パターン18に供給される電圧、電流に対し、自己が損傷されない程度の定格値をもつものであれば、自由に選択してよい。
これらのダイオードにより挿入された箇所以降の電源パターン、すなわち第1のダイオード22のカソード側からリレーコイル8bの片側端子までのパターン、および第2のダイオード23のカソード側からドア検出回路15内の抵抗の片側端子までのパターンには、隣接するパターンが存在しないため、絶縁劣化の可能性のある電源パターン18のパターン範囲をせばめられることとなる。このことにより、絶縁劣化に注意しなければばらない領域を少なくすることができる。
【0031】
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように請求項1の電子レンジの安全回路によれば、プリント基板上のリレーの駆動電圧電位である電源パターンの周囲に安全保護パターンを備え、電源パターンの一部に抵抗素子を挿入させ短絡時の電流を制限することにより、電源パターンと安全保護パターンが絶縁劣化により短絡状態になっても、ドアの開閉にかかわらず、制御回路や回路素子に短絡電流が流れず、回路や素子が発熱、損傷しない、安全性の高い電子レンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるパターン図を含む電子レンジの安全回路である。
【図2】この発明の他の実施例にかかるパターン図を含む電子レンジの安全回路である。
【図3】従来の電子レンジのパターン図を含む安全回路である。
【図4】従来の改良された電子レンジのパターン図を含む安全回路である。
【符号の説明】
1 本体回路
2 制御回路
4 ラッチスイッチ
5 ドアスイッチ
7 高周波発振器
8a リレー接点
8b リレーコイル
15 ドア検出回路
18 電源パターン
19 安全保護パターン
20 抵抗素子
21 小パターン
22 第1のダイオード
23 第2のダイオード

Claims (1)

  1. 加熱調理用の高周波発振器に電圧を供給する高周波発生回路と商用電源との間に接続されたリレー接点をオンオフ制御するリレーコイルが、プリント回路基板上にパターン形成された構成を含む電子レンジの安全回路において、
    商用電源に接続され、交流電源電圧を降圧する降圧トランスと、
    降圧トランスに接続され、降圧された交流電源電圧を整流するダイオード及び平滑コンデンサと、
    前記プリント回路基板上に形成され、前記ダイオードに接続され、電位が与えられる第1パターンと、
    ドアが開かれるとオフし閉じられるとオンするドアスイッチを介して前記第 1 パターンに接続した前記プリント回路基板上に接続した小パターンと、
    前記ドアが開かれ、前記ドアスイッチがオフしたとき前記プリント回路基板の0V電位を出力し、また前記ドアが閉じられ、前記ドアスイッチがオンしたとき前記ドアスイッチを介して前記第1パターンからの電圧が出力されるドア検出回路と、
    該ドア検出回路及び前記リレーコイルに接続され、前記プリント回路基板上に形成された第2パターンと、
    前記第1パターンと前記第2パターンとの間の絶縁劣化をおこし短絡状態となることを保護するために、前記第2パターンを取り囲むように前記プリント回路基板上に形成され、前記プリント回路基板の0V電位に接続された安全保護パターンと、
    前記第2パターンと前記小パターンとの間に接続し、前記第2パターンと前記安全保護パターンとの間で絶縁劣化をおこしパターン間が短絡状態となり前記ドアが閉じられても、短絡電流が流れて前記降圧トランスや前記ダイオードの発熱や損傷を防止する抵抗素子と、を備えることを特徴とする電子レンジの安全回路。
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