JP3583677B2 - 高い信頼度でパケットデータを伝送するための方法および装置 - Google Patents

高い信頼度でパケットデータを伝送するための方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に符号化、復号化、およびノイズの多いチャネルで誤りのない通信を行うための最終的再送の利用技術に関する。特に本発明はパケットの形で伝送するデータ量についての、符号化と復号化の選択と構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
誤り検出符号を通常用いて、ある一つの受信デジタル情報中に誤りが含まれているかどうかを検出する適切な手段がデジタル情報の受信装置に与えられる。この誤り検出符号の一例として、特定サイズの各データに対するCRC(巡回冗長検査) チェックサムの追加がある。誤り訂正符号化は、ノイズの多い伝送チャネル中に誤りが入っている疑いがある場合でも、デジタル情報を正確に受信できる確率を高める目的で使用される。誤り訂正符号化の一例として、送信端での畳み込みエンコーダおよび受信端でのビタビデコーダが使用される。誤り訂正符号化のさらに進んだ例として、送信端でのターボエンコーダおよび受信端での反復ターボデコーダが使用される。誤り検出符号化と誤り訂正符号化の双方が同じ伝送データに対して適用される符号化方式がハイブリッド符号化として一般に知られている。
【0003】
図1は、フレーム100でパケットデータを伝送する周知の例を図示する。デジタル通信システムでは、通常一定継続時間(たとえば10ms) のフレームでデータ伝送が行われる。ビットでのフレーム容量は採用する変調方法に依存するが、この容量は容易に数千ビットのような非常に大きな容量になる。パケットデータの伝送時に、大きなパケット中へ伝送データを配置することは不都合をきたし不十分なものになる場合が多い。上記の大きなパケットの代わりに、より小さなパケットサイズが使用され、いくつかの連続パケットとして単一フレーム内で伝送される。図1にはフレーム100内に4つのパケット101、102、103、104が図示されている。これらのパケットはプロトコルデータユニットすなわちPDUとしても知られている。
【0004】
公知のハイブリッド符号化方式によれば、送信装置は、誤り検出符号を用いて、次いで誤り訂正符号を用いてパケット101、102、103、104の符号化をまず行う。各パケットは別個に符号化される。ハイブリッド符号化方式のこの2つの部分によってパケットに若干の付加ビットが挿入される。誤り検出符号は情報ビットに加えられるチェックサムの計算を通常必要とする。誤り訂正符号がパケットの最後で所望の状態で終了するように、誤り訂正符号によっていくつかのテールビット(tail bit)が挿入される。図1に、符号化を通じて挿入された付加ビットが、各パケットの最後に斜線をつけたブロックとして概略的に図示されている。これらの付加ビットは各パケットの最後にあることを必ずしも必要としない。代表的な送信器は、連続するパケットの符号化されたビットをさらに特定のインタリーブ長にわたってインタリーブする。このインタリーブ長は最も好適にはフレーム長と一致することが望ましい。
【0005】
代表的な受信器は符号化されインタリーブされたフレーム全体をまず受信し、次いでそれをデインターリーブし、各パケットが再び別個にアクセスできるようにする。その後受信器はビタビ復号化、反復復号化または対応する誤り訂正復号化を各パケットに適用し、誤り訂正符号を除去しパケット(まだ誤り検出符号化された形の) の再構成をできるだけ高い信頼度で行う。最終的に受信器はこの誤り検出符号を除去しパケットに誤りが含まれるかどうかのチェックを行う。誤りが検出されたパケットは廃棄される。通信接続によって復路方向にメッセージ処理を行うことが可能な場合には、受信器は、誤りに感染したパケットについてARQすなわち自動再送要求を送信器へ送る。
【0006】
訂正するための再送については多数の様々な実施例が知られている。効率的ではないが簡単な代替例として最初に遭遇した誤りから伝送を再開始する例がある。さらに進んだ代替例として、誤りが検出されたフレームまたはパケットのみについて再送を行う選択的再送がある。さらにずっとすすんだバージョンでは、上記の選択的再送には、フレームのパケット全体の同一コピーは含まれず、検出した誤りの訂正を受信器が行うのに役立ついくつかの追加ビットのみが含まれる。この受信器には、受信した再送の処理を行ういくつかの選択的方法も設けられている。基本的には、再送された情報を利用して元の情報を取り替えるか、いくつかの種類の最大比合成を適用して元のパケットの再構成でこれまで受信したほぼすべての情報を利用するかのいずれかを行うことができる。
【0007】
図1の構成の問題点として、符号化ステップで挿入しなければならない比較的に多量のオーバーヘッド情報がある。非常に自然な基本的規則として、オーバーヘッドの量が直接的復号化の成功の確率に直接比例し、利用可能な通信資源(時間、帯域幅) の利用効率に逆比例するというものがある。例えば拘束長K(すなわちメモリ長K−1)を持つ畳み込み符号は各々独立に符号化した情報単位の最後にK−1個のテールビット(tail bit)を追加する必要があることがより詳細な分析によって示される。検出されなかった誤りの確率の上限は2−bのオーダーであることがCRC符号理論から判明している。ここでbは追加されたCRCビット数である。システム設計者のタスクは、ロバスト性と効率との間で所望のバランスが得られるようにオーバーヘッドの量を選択することである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
フレームでパケットデータを伝送する方法に対して良好な効率並びに誤りに対して許容可能なロバスト性を提供することが本発明の目的である。このような方法を利用する送信器と受信器とを提供することが本発明の更なる目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
ハイブリッド符号化方式を使用することによって本発明の目的は達成される。この符号化方式では、共通の誤り検出符号が第1の個数のパケットに適用され、誤り訂正符号は第2の個数のパケットの各グループに別個に適用され、前記第2の個数の方が前記第1の個数より小さい。
【0010】
本発明に基づく受信方法は、受信される情報が、
あらかじめ決められた数のサブユニットがスーパーユニット(superunit)に対応するように個別のサブユニットに配置され、
特定の誤り検出復号化法に対応する特定の誤り検出符号によって、さらに特定の誤り訂正復号化法に対応する特定の誤り訂正符号によって符号化されることを必要とする。
この受信方法は、
スーパーユニットの誤り訂正復号化を行うステップと、
該誤り訂正復号化中、復号化すべきスーパーユニットの各サブユニットの復号化の信頼度を別個に推定するステップと、
誤り訂正復号化されたスーパーユニットの誤り検出復号化を行うステップと、
誤り検出復号化中、復号化すべきスーパーユニット中に誤りが存在したかどうかを検出するステップと、
復号化したスーパーユニット中に誤りが検出された場合、サブユニットの推定信頼度に基づいて、復号化したスーパーユニットの部分的再送の手配を行うステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明はまた、
伝送すべきデジタル情報を個別のサブユニットの中に入れ、あらかじめ決められた数のサブユニットからスーパーユニットを構成するステップと、
特定の誤り検出復号化方法に対応する特定の誤り検出符号で前記スーパーユニットを連続して符号化するステップと、
特定の誤り訂正復号化方法に対応する特定の誤り訂正符号で前記スーパーユニットを連続して符号化するステップと、
送信装置から受信装置へ符号化されたスーパーユニットを伝送するステップと、
前記スーパーユニットの誤り訂正復号化を行うステップと、
該誤り訂正復号化中、復号化するスーパーユニットの各サブユニットの復号化の信頼度を別個に推定するステップと、
該誤り訂正復号化を行ったスーパーユニットの誤り検出復号化を行うステップと、
該誤り検出復号化中、復号化するスーパーユニット中に誤りが存在するかどうかを検出するステップと、
復号化したスーパーユニット中に誤りが検出された場合、前記サブユニットの推定信頼度に基づいて前記復号化したスーパーユニットの部分的再送の手配を行うステップとからなる特徴的ステップを有する伝送方法に対して適用される。
【0012】
本発明は、
あらかじめ規定された数の情報サブユニットをスーパーユニット中へ結合するためのバッファ手段と、
伝送すべき情報の誤り検出を符号化するための誤り検出符号化手段と、
伝送すべき情報の誤り訂正符号化を行うための誤り訂正符号化手段と、
伝送すべき情報の選択された部分に関して再送を行うための再送手段とを有する送信装置に対して更に適用される。
前記送信装置は、
誤り検出符号化手段と誤り訂正符号化手段とが完全に結合したスーパーユニットを符号化するように構成され、
再送手段が、選択されたサブユニットに関する再送を行うように構成され、
前記送信装置が、符号化され結合されたスーパーユニットと選択されたサブユニットに関する再送との多重化を行って、伝送フレーム中へ入れるための多重化手段とを更に有することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、
スーパーユニットを誤り訂正復号化し、スーパーユニット内に含まれる各サブユニットの復号化の信頼度を推定するための誤り訂正復号化手段と、
スーパーユニットの誤り検出復号化を行い、またスーパーユニット中の誤りの有無を検出するための誤り検出復号化手段と、
復号化したスーパーユニット中で検出されたゼロでない数の誤りに応じて、復号化したスーパーユニット内のあらかじめ規定された数のサブユニットを、サブユニットの推定信頼度に基づいて疑わしいと特定するための、および、疑わしいと特定したサブユニットに関する再送要求を行うための再送制御手段とを有することを特徴とする受信装置に適用される。
【0014】
本発明は、誤り訂正符号復号化を行うためのデコーダが、特定の実行された復号化操作の信頼度を示すいわゆる信頼度メトリック(reliability metric)を生成するという事実に依っている。換言すれば、特定の情報が復号化された後、復号化の結果が特定の確率で元の情報を表わすことが誤り訂正符号デコーダによって判明する。いくつかの択一の復号化結果とそれらの結果と関連する信頼度メトリックまでも与えることができるデコーダもある。
【0015】
本発明によれば信頼度メトリックは次のように利用される。比較的多量の情報について単一の誤り検出符号が存在する。誤り訂正符号を用いて同じ情報がさらに符号化される。前記比較的多量の情報の中には、より少ない副次的量の情報が存在する。復号化処理中、各副次的量の情報について別個の信頼度メトリックが生成される。多量の情報中に1つの誤りまたは複数の誤りが含まれることが、誤り検出符号の復号化によって示された場合、それらの誤りが最低の信頼度メトリックを持つ副次的量の情報中に現れたことをデコーダは期得する。それらの誤りが存在しそうな選択された数の副次的量の情報を求めて再送を要求したり、誤ったデータを取り替えるために別の正しい手段を採用する。
【0016】
“疑わしい”副次的量の情報を選択するために、いくつかの選択肢が利用可能である。受信器は、信頼度メトリックの値の降順にすべての副次的量の情報を配列し、誤り検出符号を使用して発生した伝送エラーの数を推定し、リストの底部から等しい数の副次的量の情報に関して再送を要求することができる。別の選択肢として、受信器が信頼度メトリックの分布及び/又は発生した伝送エラーの推定数を利用して(利用可能な場合) 許容可能な信頼度メトリックの閾値を確立し、その閾値以下になるすべての副次的量の情報に関して再送を要求する選択肢がある。これらの択一の方法の種々の組合せもまた利用可能である。
【0017】
単一の副次的量の情報を求めるために、誤り訂正デコーダが、相互に択一の復号化したシーケンスのリストを、推定した復号化の信頼度の降順に提供するタイプのデコーダである場合、本発明ではいくつかの操作上の選択肢が可能となる。1つの自然な選択肢として、各副次的量についての主要な情報を表すものとしてリストの先頭にあるシーケンスと、その副次的量の情報に対する主要な信頼度メトリックとしてそのシーケンスの信頼度メトリックとを選択することができる。多量の情報の誤り検出復号化によってエラーの存在が示された場合、上述のような主要な信頼度メトリックを使用することによって疑わしい副次的量の情報が選択される。少なくとも1つの選択された疑わしい副次的量の情報を求めるために、再送を求める前にまずリストから得られるいくつかの候補シーケンスを試すこともできる。
【0018】
本発明の好適な実施例によれば、比較的多量の情報は1つのフレームまたはパケットの別の適切な集合(assemblage)に対応し、副次的量の情報は1つのパケットに対応する。
【0019】
本発明の特徴を示すものと考えられる新しい特徴は特に添付の請求項に記載されている。しかし、本発明の構成およびその操作方法の双方に関しては、添付図面と関連して読むとき、本発明の追加目的および利点と共に、特定の実施例についての以下の説明から本発明自体を最も良く理解できるであろう。
【0020】
【発明の実施の態様】
図2は本発明に基づいて伝送されるデータの符号化された集合を図示する。一般化するために、“スーパーパケット(superpacket) ”200というコンセプトを導入して整数個(1より大きい) のほぼ独立した部分すなわち“サブパケット”201、202、203及び204からなるデータの集合について説明する。例示のために、各サブパケットはパケットデータ伝送ネットワークで伝送すべきPDUに対応し、スーパーパケットは連続するPDUの集合であり、この集合の結合した持続時間は伝送中の1フレームの持続時間に対応すると仮定することができる。情報単位に関する周知の定義を多くのパケットデータ伝送システムに適用することが可能であるという理由で本発明のこのような実施例は好適なものではあるものの、本発明はPDUとフレームの構成のみに限定されるものではない。2レベル番号方式が最も好適に適用される。1つのレベルで明確にスーパーパケットが示され、もう一方のレベルでそのスーパーパケット内にある単一サブパケットが示される。例えば、番号35/3によって知られるサブパケットは35番目のスーパーパケットの第3番目のサブパケットと見なされる。
【0021】
図2はサブパケット201、202及び203がサブパケット内に直接含まれる付加ビットを持たないことを示す。最後のサブパケット204には斜線をつけたブロック205として概略的に図示したいくつかの付加ビットが含まれる。本発明は、これらの付加ビットが最後のサブパケット内のその最後に配置されることを必要とするものではない。同じ様に本発明を適用できる1つの実施例として、スーパーパケットが等しいサイズの連続する整数個のサブパケットを有するような実施例があり、これらのサブパケットのいずれにも付加ビットは含まれない。さらに、最後のサブパケットの後のスーパーパケットの最後か、あるいは、サブパケットの境界及び/又はその中央のいずれかに、いくつかの任意に選ばれた配分方式(この方式は送信器と受信器の双方に知られていなければならない) に従って配分されたいくつかの付加ビットが位置する。本発明はスーパーパケットに属するような付加ビットがサブパケットの内部に存在するように配分された実施例さえもカバーするものである。付加ビットの生成と目的は以下にさらに詳細に説明するように従来技術とは異なるものの、そのような実施例は図1の従来技術による構成に図形的には似ているものとなる。
【0022】
本発明によれば、送信装置(符号化された形でデジタル情報を出力することが可能であるようなすべての装置をカバーすると一般的には理解されている) は、あらかじめ決められた数のサブパケットを一緒にまとめることによってスーパーパケットを構成する。これらのサブパケットは好適には、伝送すべき情報からなるさらに大きなあるエンティティ(entity)のデジタル表現から得られる連続パケットである。スーパーパケット全体の長さにわたって特定のCRCチェックサムを計算し、最後のサブパケットの後にあるスーパーパケットの最後にそのCRCチェックサムを入れるなどの任意の公知の方法によってこの送信装置は誤り検出符号化を行う。例えば、畳み込みエンコーダやターボエンコーダなどのような何らかの公知のエンコーダに誤り検出符号化されたスーパーパケットを伝えることによりこの送信装置は誤り訂正符号化をも行う。以上説明した例示的実施例では誤り訂正符号化は符号化したスーパーパケットの最後にテールビットを追加する必要がある場合もある。これらのテールビットは、図2の符号化したスーパーパケット200の最後にある斜線をつけたブロック205の中に含まれる。本発明の最も好適な実施例によれば、スーパーパケットの符号化操作で様々なサブパケット間の境界に注意が払われることはない。
【0023】
受信装置(符号化した形でデジタル情報の入力を行うことが可能であるようなすべての装置であると一般的には理解されている) によって、任意の数の伝送エラーがスーパーパケットの任意の位置で生じた可能性があると識別して符号化したスーパーパケット200を受信する。誤り訂正符号を適用するために送信装置中で使用されるエンコーダに対応する公知のデコーダによって誤り訂正符号を取り除くことにより、受信装置は、受信し復調したスーパーパケットの復号化を開始する。一例としてビタビデコーダについて述べる。他のいくつかの復号化方法を用いて誤り訂正復号化を復調と一体化して行うことが可能である。ビタビ復号化のアイデアは、復号を行う信号が許容されるいくつかの状態を通るいわゆるトレリス・パスを構成して許容可能な状態間の伝送確率が最大になるようにするものである。誤り訂正符号を適用するために用いられる畳み込みエンコーダの公知の構成によって、復号を行う信号の各状態から、次に続く状態への特定数の許容遷移が存在し、それらの許容遷移の各々が遷移確率の正確な値と関連させられるということが決定される。復号を行う信号中で検出された遷移を許容遷移およびその確率と比較することによって、デコーダは、状態遷移の中を通って最も起りそうなルートを見つけるだけでなく、正しく再構成されている特定の出力された情報の復号化部分の確率について表示することもできる。本発明のために、この表示を情報の復号化部分についての“信頼度メトリック”と呼ぶことにする。
【0024】
特定の復号化された情報の信頼度メトリックを確立するための従来知られている方法については、例えば、H. Yamamoto 及びK. Itoh 著「繰り返し要求による畳み込み符号のためのビタビ復号化アルゴリズム」(情報理論に関するIEEEトランザクション、Vol.−IT−26、no. 5 、p.540−547 、1980年9月) の中で論じられている。本論文は参考文献として本明細書に取り入れられている。同時係属中のフィンランド特許出願「信頼性のある統計的シンボルを復号化する方法及び装置」(“Menetelma ja laite dekoodatunsymbolisarjan luotettavuuden maarittamiseksi ”)によって、信頼度メトリック即ちシーケンスの信頼度を示す統計値を生み出す新しくて非常に効率的な方法が紹介されている。前記同時係属中のフィンランド特許出願も同様に本明細書に参考文献として取り入れられている。やはり参考文献として本明細書に取り入れられている論文A. R. Raghavan及びC. W. Baum著「ハイブリッドARQに適用した信頼度出力ビタビ・アルゴリズム」(情報理論に関するIEEEトランザクション、Vol. IT−44、no. 3 、p.1214−1216 、1980年5月) には別のアプローチが提案されている。このアプローチでは、復号化シーケンス中のエラーに対する条件つきの事後確率が計算されている。
【0025】
いわゆるリスト(list)復号化すなわちルックアップ(look−up)復号化アプローチも知られている。このアプローチでは、ビタビ復号化アルゴリズムは対数尤度の感度で最高の信頼度を示す値を持つ単一の出力シーケンスを出力せず、減少する推定信頼度の順序で相互に択一のシーケンスのリストが出力される。このようなアプローチは、たとえば特許公報EP0 606 724 A1及び論文Nill他著「リスト及びソフトシンボル出力ビタビ・アルゴリズム:拡張と比較」(通信に関するIEEEトランザクション、Vol.43、No. 2/3/4、1995年2/3/4月) によって公知である。本発明の文脈の中でリスト復号化の適用については後述することにする。
【0026】
図3は、4つの連続するサブパケット301、302、303及び304並びにCRCチェックサム305からなる部分的に復号化されたスーパーパケット300を図示する。つまり、部分的復号化を行うことによって、スーパーパケットの誤り訂正符号が除去されている。誤り訂正符号が所望の状態で終了するように挿入されたテールビットは誤り訂正復号化中に除去されてスーパーパケットの最後に破線を付けたブロック306である。誤り訂正復号化中、第1のサブパケットについて計算した信頼度メトリックは0〜100のある任意のスケールで80であった。第2のサブパケット302、第3のサブパケット303及び第4のサブパケット304の信頼度メトリックはそれぞれ75、40及び60であった。
【0027】
誤り訂正符号を除去しサブパケットの信頼度メトリックを確立した後、公知の方法で誤り検出復号化を行うことによって受信装置はスーパーパケット中の最終的誤りを検出しようと努める。例えば、CRCチェックサムの計算を行い、スーパーパケットと共に伝送されたCRCチェックサムとこのチェックサムとの比較を行うによって、スーパーフレーム中に誤りが検出される場合がある。さらに進んだいくつかの誤り検出復号化方法によって、スーパーフレーム中で検出された誤り数の推定値を出すことさえ可能である。高度に洗練された誤り検出復号化の適用については後述する。
【0028】
誤り検出復号化が検出した誤りの表示のみを行ったかあるいは誤りの数までも表示したかどうかにかかわらず、この段階で受信装置は、検出された誤りがどのサブパケットに存在するかを決定するいくつかのあらかじめ決められた規則を適用する。図3の例示的信頼度メトリックが与えられたとき2つの最も起りそうな選択肢が存在する。すなわち、第3のサブパケット303が断然最低の信頼度メトリックを持っていることに起因して、すべての検出された誤りが第3のサブパケット303内に存在するか、あるいは、第3と第4のサブパケットが2つの最低の信頼度メトリックを持っていることに起因して最初の数の誤りが第3のサブパケット303内にあり、残りの誤りが第4のサブパケット304内にあるかのいずれかの選択肢が生じることになる。推論規則の選択については以下に後述する。本発明のために、受信装置が“疑わしい”サブパケットを特定するいくつかの確定的手段(deterministic mean)を有するということを知るだけで十分である。
【0029】
本発明は、疑わしいデータパケットの特定に対して反応する、受信装置が持っている可能性を限定するものではない。通常、できるだけ広い範囲まですべての伝送エラーを除去することがパケットデータ伝送の目的である。この目的のために、受信装置は疑わしいパケットに関して再送の要求を行うことが必要となる。この再送は、伝送の再開から最も好適な選択的再送の適用までの範囲に及ぶ現在または将来の再送の規則および最大比合成法に従うことができる。1つの好適な再送の構成は本発明を適用する電気通信システムのフレーム構成の利用に関連する。以下このような構成についてさらに詳細に説明する。当然のことであるが受信装置が誤りに感染したものとして疑わしいサブパケットのみにマークをつけることもまた1つの選択肢である。それ以後、潜在的誤りにもかかわらずデータを利用し、サブパケットを無効であると宣言するか、あるいは補間法または他の何らかの手段によって誤りを訂正するか隠そうとするかのいずれかを行うことは、伝送データを利用するアプリケーションの役割となる。
【0030】
図4は、1つのスーパーパケットの符号化、伝送および復号化を示す流れ図の形で表した本発明による方法並びにその方法と関連する潜在的な再送を試みる内容の概要である。本発明は単一のスーパーパケットの容量よりはるかに大きい1つの情報の伝送に通常適用されることに注意のこと。換言すれば、図4で図示されるステップは通常の通信接続中多数回繰り返される。特定スーパーパケットに関して再送中、次のスーパーパケットの最初の伝送が既に起こっているので、この繰り返しは時間的に一部オーバーラップする。
【0031】
ステップ401で、送信装置は整数個のサブパケットを一緒にまとめることによりスーパーパケットを構成する。ステップ402と403は、それぞれスーパーパケットの誤り検出符号化と誤り訂正符号化とに対応する。ステップ404で、送信装置から受信装置へ符号化されたスーパーパケットが伝送される。ステップ404は、変調、アップコンバージョン(upconversion)、ダウンコンバージョン(downconversion)および復調ステップのようなすべてをカバーするものと理解される。これらのステップは無線通信または有線通信に代表的なものであるが本発明の範囲にとって本質的なものではない。ステップ405で、受信装置は誤り訂正符号を除去し、様々なサブパケットに対応する信頼度メトリックを記録する。リスト復号化法を使用する場合、ステップ405には、各サブパケットについての、関連する信頼度メトリックを有する相互に択一のシーケンスのリスト生成が含まれる。これによって各リストからのトップ・シーケンスおよびそれに関連する信頼度メトリックが次に考慮される。ステップ406で、受信装置は誤り検出復号化を行い検出された誤りの回数までもおそらく記録することになろう。もっと単純な実施例では検出された誤りが存在したかどうかを記録するだけで十分である。ステップ407は疑わしいサブパケットの特定に対応する。
【0032】
まず、検出された誤りの個数についての表示が利用できない、すなわち誤り検出復号化は誤り検出の有無を示すものにすぎないと仮定する。ステップ407で疑わしいサブパケットの特定を行うためのいくつかの好適な択一の規則は以下のような規則である。
【0033】
1) 平均値または中央値をベースとする規則:受信装置が信頼度メトリックの平均値または中央値を計算しこれをMで表わす。信頼度メトリックがMのJ%以下のすべてのサブパケットは疑わしい。この場合Jは例えば80または100あるいは実験やシミュレーションを通じて得られる適切な他のあらかじめ規定された値である。パーセンテージの定義の選択肢として、M値の計算後、受信装置は、Mとは著しく異なる信頼度メトリックを持つ1個または数個のサブパケットが存在するかどうかを調べることができる。著しく低い信頼度メトリックを持つサブパケットは疑わしいと宣言される場合があり、一方それ以外のサブパケットは“汚染されていない(clean) ”と見なされる。すなわち著しく高い信頼度メトリックを持つサブパケットは疑いの余地がないと宣言することができ、一方すべてのその他のサブパケットは再送にかけられる。
【0034】
2) 大きさの順をベースとする規則:受信装置がサブパケットをそれ等の信頼度メトリック値の昇順または降順に配列する。誤り検出復号化が誤りの存在を示している場合、リストの低い方の端からの一定数のサブパケットは常に疑わしいと見なされる。前記定数は、スーパーパケット中のサブパケットの総数と同数またはその1/2としてもよい。
【0035】
3) 異なる再送ラウンド(round)に対して疑わしいと宣言された様々な数のサブパケット。
第1の再送ラウンドに対して最低の信頼度メトリックを持つサブパケットだけが疑わしい。
第2の再送ラウンドを必要とする場合、最低の信頼度メトリックを持つ2つのサブパケットが疑わしい。
必要な場合、P番目の再送ラウンドになるまで同じようなやり方が続いて、すべてのサブパケットが疑わしい。但し、Pはスーパーパケット中のサブパケットの総数である。
【0036】
次に、検出された誤りの推定数に関する情報が利用可能である場合、その利用について考察してみよう。検出された誤りの数をN、スーパーパケット中のサブパケットの数を再びPと表わす。ステップ407で疑わしいサブパケットの特定を行うためのいくつかの好適な訂正規則は以下のようになる。
【0037】
1) 平均値または中央値をベースとする規則:受信装置が信頼度メトリックの平均値または中央値を計算しこれをMで表わす。
N≦P/2の場合、その信頼度メトリックがMの80%以下であるようなすべてのサブパケットが疑わしい。
P/2<N≦2Pの場合、その信頼度メトリックがM以下であるようなすべてのサブパケットが疑わしい。
N>2PまたはMがあらかじめ決められた閾値未満である場合、すべてのサブパケットが全く疑わしい。
上記不等式中の限界値およびパーセンテージは様々に選ぶことができる。適切な限界値はシミュレーション及び/又は実験を通じて最も好適に得られる。
【0038】
2) 大きさの順をベースとする規則:受信装置がサブパケットをそれ等の信頼度メトリック値の昇順または降順に配列する。
N≦P/2の場合、最低の信頼度メトリックを持つサブパケットのみが疑わしい。
P/2<N≦2Pの場合、サブパケットリストの最低1/2(信頼度メトリックから見て) が疑わしい。
N>2Pの場合、すべてのサブパケットは全く疑わしい。
繰り返すが、上記限界値はシミュレーション及び/又は実験を通じて決定することができる。
【0039】
上記規則の様々な組合せが可能である。また本発明の範囲から逸脱せずに他の規則を適用することもできる。ある種の限定が行われるケースで、誤り検出符号の復号化が誤りの存在を示す度毎にすべてのサブパケットを疑わしいと宣言する場合があるが、そのような場合本発明を通じて得られる利点は非常に大きく失われる。
【0040】
言うまでもなく、ステップ406で、受信装置が、受信し復号化したスーパーパケット中にまったく誤りを検出しない場合がある。その場合ステップ407は迂回され、破線の矢印によって示されるように復号化処理の最後へ進む。
【0041】
ステップ408で受信装置は再送要求を生成し送信する。次いでステップ409で送信装置は前記要求された再送を生成し、受信装置へそれを送信する。これらのステップを実行するためのいくつかの選択肢がある。ここで2つの非常に異なる選択肢について説明を行うことにする。この2つの選択肢をI型再送およびII型再送と呼ぶ。
【0042】
I型では、再送は、要求された再送についての各サブパケットの正確なコピーを有する。次いで、受信装置は、各々の前回受信したサブパケットを新規のサブパケットと取り替えるか、ダイバーシティー合成(たとえば最大比合成) を用いて最初に受信したサブパケットとその後受信した1つのコピーまたは複数のコピーの双方の情報内容を利用するかのいずれかの選択肢がある。後者の選択肢は、元の情報の再構成を成功させるという点からはより効果的であるが、より大きな割り当てメモリと処理電力とが必要となる。
【0043】
II型では、再送は、受信装置が元の情報の再構成を成功させるために役立つ追加パリティビットまたは何らかの他の情報を有する。このアプローチは、いわゆレート互換(rate compatible)パンクチャド畳み込み符号(RCPCC)が使用される場合に特に適している。すなわち、完全な畳み込み符号化が行われた(マザーコード) 元の情報からいくつかのビットをパンクチャ(puncture)すなわち省くことによって元の伝送が構成され、要求された再送にはパンクチャされたビットからなる選択されたサブセットが含まれることを意味する。再送で伝送された追加情報量が少ない場合にこれらのII型の再送は非常に具合よく行われるので、本発明はII型の再送と共に非常に好適に適用される。
【0044】
ステップ410は、再送を通じて受信されて復号化処理に入る追加情報を取り込む受信装置に対応する。I型の再送を使用するか、II型(または何らかの他のタイプの) の再送を使用するかによってステップ410は様々な形、すなわち、前の情報のすべての部分を取り替えたり、前の情報を用いてダイバーシティー合成を行ったり、追加パリティビットを復号化処理の中へ取り込んだりする形をとることになる。いずれの場合にも、受信装置はステップ411でもう一度スーパーパケットを復号し、ステップ412で残りの誤りを検出しようとする。誤りがまだ検出される場合、新しい再送ラウンドが始まる。この新規の再送ラウンド並びに潜在的な更なる再送ラウンドは疑わしいサブパケットを特定する新しいラウンドを各々有することができる。或いは前に特定した疑わしいサブパケットを利用することができる。再送ラウンドはブロック413によって概略的に表される。あるステップで誤りが検出されなかった場合、検出された誤りの数は特定のあらかじめ決められた許容レベル以下になる(検出された誤りの数が利用可能な場合) か、あるいは現在のスーパーパケットの復号化を行うためのタイムアウトに達し、この処理は、誤りのない復号化されたスーパーパケットを出力するかあるいは誤りを宣言するかのいずれかによってステップ414で終わる。この選択肢の後者はタイムアウトの場合に適用される。
【0045】
第3世代のデジタルセルラー通信システムの文脈で提案されている広帯域符号分割多重接続(WCDMA)環境に本発明を適用する特定の例を次に示す。以下の仮定を設けることにする。すなわち、チップ・レートは4. 096メガチップ/秒(Mchip/s)であり、変調はQPSK(4相位相変調) 、短い拡散符号の長さは32ビット即ち128キロシンボル/秒(ksymbols/s) である。この場合10msのフレームは1280QPSKシンボル、すなわち2560ビットからなる。さらに各フレームは16スロットからなるので、1スロット当たり80QPSKシンボルとなる。パイロット、電力制御、転送フォーマット指示のような制御情報およびパケットヘッダ情報はシンボル容量の約10〜15%を占める。割り当て可能なリソースの基本単位はスロットである。
【0046】
I型再送の適用をまず仮定する。スーパーパケットはフレームの中にぴったり収まり16スロットからなるとする。サブパケットは2つのスロットをカバーし、1スーパーパケット当たり8つのサブパケットが与えられるとする。元のスーパーパケットと再送サブパケットとはフレーム構成の中へ連続的に入れられる。このやり方は常に伝送対象のフレームを完全に満たそうとするものである。このことは2つの連続フレームを用いてスーパーパケットの元の伝送を実行できることを意味し、未使用のままに残されたフレームの複数部分は再送で満たされる。前述したサブパケットの2レベルの番号方式によって、受信装置がスーパーパケットを正しく再構成することが可能になる。各スーパーパケットは32CRCビットを有し、これで検出されない誤りの確率の上限が2. 3×10−10 として与えられ、また検出された誤りの正確な数(ゼロより大きい場合) についての情報がないと仮定する。各スーパーパケットの最後には一定数のテールビットが必要である。比較として、図1の原理による従来型の構成ではテールビットの8倍が必要であり、1パケット当たり16CRCビットと仮定すると、CRCビットの4倍で、検出されなかった誤りの確率の上限は8×1. 5×10−5すなわち1. 2×10−4と計算することができる。
【0047】
II型再送及び同じ16スロット、8サブパケットのスーパーパケットを仮定すると、追加パリティ情報を運ぶことになる再送ブロックは例えば2スロットをとることができる。追加パリティビット数が累積して追加される8ブロックでの再送を行うこともできよう。その結果、およそ0. 8889、0. 8、0. 7273、0. 6667、0. 6154、0. 5714、0. 5333及び0. 5という効率の良い符号レートが得られる。I型構成の場合のように、実際の物理層フレーム構成を元のスーパーパケットと再送ブロックで連続的に満たして、スーパーパケットの元の伝送を2つの連続フレームで行うことができるようになる。
【0048】
図4のステップ406と407で疑わしいサブパケットを特定するためにどの規則を使用するかにかかわらず、ステップ405でリスト復号化を使用した場合、リストチェックのラウンドがステップ407と408の間に入って来る可能性がある。これに関連する好適な手段について図5を参照しながら簡単に説明する。
【0049】
図5のステップ450は、疑わしいサブパケットを表す少なくとも1つの復号化シーケンスを、リスト復号化方法によって生成された相互に択一の復号化シーケンスのリストから採った代替シーケンスと取り替えようとする受信装置に対応するステップである。ステップ451は次の新しい誤り検出復号化ラウンドに対応する。いくつかの次の取り替えが試みられることになっている場合、ステップ451からステップ450へ戻る1つのループが存在する場合もある。疑わしいと特定されたいくつかのサブパケットが存在する場合、ステップ450で取り替えを行うための多数の代替的方策を利用することができる。それらの方策の第1は疑わしいと特定したサブパケットがたった1つである場合に採られる方策と同じものである。すなわち、正確に1つの疑わしいサブパケット(最低の第1の信頼度メトリックを持つサブパケット) から開始し、該サブパケットを表す復号化シーケンスを対応するリストの中から直後に続く候補シーケンスと取り替え、次いで再度スーパーパケットの誤り検出復号化を試みてこの取り替えによって誤りが訂正されたかどうかを調べる。訂正されていなかった場合、同じリストから次の候補シーケンスを1回に1つ採って処理を継続する。リストから得たシーケンスのいずれも誤り検出復号化において良好な結果を示さない場合にのみ再送を適用する。第2の可能な方策は、まず最低の信頼度メトリックを持ったサブパケットについて取り替えを行い、それが役に立たなかった場合には、その取り替えを取り消し、第2の最低の信頼度メトリックを持ったサブパケットについて取り替えを試みる。疑わしいと特定したサブパケットの数が1より大きく、リストに多くの候補シーケンスが含まれる場合、取り替え可能な順列の数はたやすく非常に大きなものになる。
【0050】
リスト復号化は、再送を得るときの平均レートと比較して受信装置の処理速度が高速の場合時間の節約になることが多い。したがって、ステップ450と451、およびそれらのステップ間の最終ループを、図4のステップ407と408の間に配置することが好適となる場合もある。しかし、この取り替え処理が誤りのないシーケンスを出力できない場合が生じ、依然として再送を必要とする場合もある。そのような場合取り替えに費やした時間は無駄になってしまう。これに対する1つの可能な解決策として、誤りが検出された場合再送を常に要求し、受信装置が再送の到着を待っている間、取り替えを試みるという解決法がある。換言すれば、ステップ450と451はステップ408と409(そしておそらく413) と同時に起こるというものである。例えば処理容量の大きな貯えを持つ最上級製品に対する拡張としてこのような解決策は好適である。すべての製品に適用されるシステム仕様では即座の再送要求が必要であるが、選択されたリスト復号化と取り替え方策により再送を補うことによって、最上級製品では追加の受信速度と信頼度とを与えることができる。
【0051】
図6は本発明の好適な実施例による送信装置500の略図である。FIFO(先入れ先出し) 型パケット・バッファ501が使用され、伝送対象のサブパケットが一時的に記憶される。スーパーパケット構成バッファ502が設けられ、パケット・バッファ501から読込まれたあらかじめ決められた数のサブパケットで満たされ、その結果生じるスーパーパケットは、誤り検出エンコーダ503と誤り訂正エンコーダ504とを通じて伝送されるように構成される。再送バッファ505が設けられ、各サブパケットに関する潜在的再送に必要な情報のコピーが一時的に記憶される。フレーム・マルチプレクサ506は元の伝送と必要とされる再送とを、最適の方法で物理層フレーム構成のフレームに構成する。すなわち各フレームを満たしながら同時に許容伝送遅延に関する規則に違反しないようにする。再送制御器507は、要求された再送の記録を行い、再送バッファ505とフレーム・マルチプレクサの動作を適宜制御する。送信器ユニット508が実際の伝送処理を行い、受信器ユニット509が再送要求を受信し、その再送要求を再送制御器507へ伝える。
【0052】
本発明によれば、スーパーパケットは誤り検出符号化と誤り訂正符号化に先立って構成され、送信装置のエンコーダ503と504はサブパケット間の境界に対して注意を払わないように構成される。しかし、再送構成はサブパケットに基づいて作動するように構成される。すなわち、サブパケット・レベルで再送要求が認識され、フレーム・マルチプレクサ506と送信器ユニット508とを通じて、送信装置の伝送に対して必要なサブパケット・レベルの再送情報が導入される。
【0053】
図7は、本発明の好適な実施例による受信装置600の略図である。送信装置からの伝送を物理的に受信し、それらの伝送を復号化に適した形に変換するように受信器ユニット601が構成される。内蔵型組合せ論理回路(別個には図示されていない) を持つバッファメモリ602を用いて復号化されていないスーパーパケットが一時的に記憶され、再送された追加情報の潜在的挿入が準備され、元のスーパーパケットと再送された追加情報との実際の再組み合わせ処理が行われる。バッファメモリの出力部は誤り訂正デコーダ603と接続し、この誤り訂正デコーダ603は誤り訂正復号化を行い信頼度メトリックをメトリック・メモリ604の中へ記憶するように構成される。誤り検出デコーダ605は、誤り検出符号を復号し、誤りの検出(または検出された誤りの数までも) を再送制御ユニット606へ知らせるように更に構成される。誤り検出デコーダ605はまた誤りのないスーパーパケットをスーパーパケット分解ブロック607中へ出力するための出力部を有する。このスーパーパケット分解ブロック607は元のデータパケットを再組立するように構成される。再送制御ユニット606は、ブロック605と604とから得る情報に基づいて必要な場合に再送要求を生成し、送信器ユニット608を通じて再送要求を送信するように構成される。再送制御ユニット606はまた、使用されなくなった(復号化され、誤り無しと宣言されたものや期限切れのために使用しないと宣言された) スーパーパケットをバッファメモリ602から削除する制御を行う。
【0054】
リスト復号化方法を適用する受信装置において、誤り訂正デコーダ603は、相互に択一の復号化シーケンスとそれらのシーケンスと関連する信頼度メトリックのリストを一時的に記憶するためのメモリブロックを有するかあるいはこのメモリブロックを自由に利用できなければならない。同様に、再送要求の送信前か、再送要求と同時かのいずれかの時点で選択した取り替えの方策に従って取り替えを行うように再送制御ユニット606を構成しなければならない。
【0055】
以上上記の説明で検討した本発明の特定の実施例は単に例示的なものにすぎず、添付の請求項の範囲での本発明の応用の可能性を限定するものではない。本発明に対する潜在的追加例として、疑わしいサブパケットを特定するための単なる信頼度メトリックの計算以外に他の測定値の同時利用がある。そのような追加を示す一例として、一般的な信号対雑音比、搬送波対電波干渉比または同様の広く知られている無線接続の品質評価の利用がある。例えば、信号対雑音比が与えられた閾値を超えた場合、CRCの不一致は常に単一の伝送エラーとして解釈され、その結果唯1つのサブパケットを疑わしいと特定することになると受信装置は決定することができる。次いで、あらかじめ規定された関数またはルックアップ・テーブルに従って、信号対騒音比の低い方の値により、CRCの不一致はより高く推定された数の誤りを示したものと解釈され、それによって対応してより大きな数のサブパケットが疑わしいと特定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】符号化されたパケットが1つのフレームになっている公知の構成を示す図である。
【図2】本発明による符号化されたパケットの構成を示す図である。
【図3】本発明による復号化段階の詳細を示す図である。
【図4】本発明による方法の概要を示す図である。
【図5】図4への潜在的追加を示す図である。
【図6】本発明による送信器を示す図である。
【図7】本発明による受信器を示す図である。
【符号の説明】
200,300…スーパーパケット
201〜204,301〜304…サブパケット
205…ブロック(付加ビット)
305…CRCチェックサム
306…ブロック(テールビット)
402…誤り検出符号化
403…誤り訂正符号化
405…誤り訂正復号化
406…誤り検出復号化
407…疑わしいサブパケット特定
408…再送要求
409…再送
450…リストを使用して復号化シーケンス取り替え
451…誤り検出復号化

Claims (22)

  1. 送信装置からデジタル情報を高い信頼度で受信するための方法であって、前記受信すべき情報が、
    あらかじめ決められた数のサブユニットがスーパーユニット(200、300) に対応するように、個別のサブユニット(201、202、203、204、301、302、303、304) に配置され、
    特定の誤り検出復号化方法に対応する特定の誤り検出符号を用いて符号化(402) され、さらに、特定の誤り訂正復号化方法に対応する特定の誤り訂正符号を用いて符号化(403) されるようになっている方法において、
    スーパーユニットの誤り訂正復号化(405) を行うステップと、
    前記誤り訂正復号化(405) 中、復号化すべきスーパーユニットの各サブユニットの復号化の信頼度を別個に推定するステップと、
    誤り訂正復号化を行ったスーパーユニットの誤り検出復号化(406) を行うステップと、
    前記誤り検出復号化中、復号化すべきスーパーユニット中の誤りの有無を検出するステップと、
    前記復号化したスーパーユニット中に誤りが検出された場合、前記サブユニットの推定信頼度に基づいて復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクション(407、408、409、450、451) を行うステップを有することを特徴とする方法。
  2. 前記復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクションを行うステップが、再送の選択的要求に対応し、相互に択一のサブステップa)とb)を有し、サブステップa)とb)が、
    a)前記復号化したスーパーユニットで検出された誤りの数に対する応答があらかじめ規定された限界値以下である時、再送が要求されないサブステップと、
    b)前記復号化したスーパーユニットで検出された誤りの数に対する応答が前記あらかじめ規定された限界値より大きい時、
    少なくとも1つのサブユニットが、その推定された復号化の信頼度と前記復号化したスーパーユニットで検出された誤りの数とに基づいて疑わしいと特定され(407) 、
    疑わしいと特定されたサブユニットに関して再送が要求される(408) サブステップであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記あらかじめ規定された限界値がゼロであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 疑わしいサブユニットを特定するために中央値または平均値をベースとする規則が適用されて、
    各推定された復号化の信頼度が数値で表された信頼度メトリックとして表され、
    前記信頼度メトリックの中央値または平均値が計算され、
    前記中央値または平均値の第1のあらかじめ規定されたパーセンテージ以下の信頼度メトリックを持つサブユニットが疑わしいと特定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記あらかじめ規定された限界値がゼロより大きく、前記疑わしいサブユニットを特定するために中央値または平均値をベースとする規則が適用されて、
    各々推定された復号化の信頼度が数値で表された信頼度メトリックとして表され、
    信頼度メトリックの中央値または平均値が計算され、
    復号化したスーパーユニット中で検出された誤りの数とスーパーユニット中のサブユニット数との比率が誤り率として表され、
    さらに相互に択一のサブステップとして、
    c)第1の誤り閾値以下の誤り率に応じて、第1のメトリック閾値以下の信頼度メトリックを持つサブユニットが疑わしいと特定され、
    d)前記第1の誤り閾値より大きく第2の誤り閾値以下である誤り率に応じて、前記第1のメトリック閾値より大きい第2のメトリック閾値以下である信頼度メトリックを持つサブユニットが疑わしいと特定され、
    e)前記第2の誤り閾値より大きい誤り率に応じて、該スーパーユニットのすべてのサブユニットが疑わしいと特定されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 疑わしいサブユニットを特定するために大きさの順をベースとする規則が適用されて、
    各推定された復号化の信頼度が、数値で表された信頼度メトリックとして表され、
    サブユニットが信頼度メトリックの値の降順に配列され、
    信頼度メトリックの最低値を持つあらかじめ規定された一定数のサブユニットが疑わしいと特定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 前記あらかじめ規定された限界値がゼロより大きく、大きさの順をベースとする規則が疑わしいサブユニットを特定するために適用されて、
    各々の推定された復号化の信頼度が数値で表された信頼度メトリックとして表され、
    復号化したスーパーユニット中に検出された誤りの数とスーパーユニットのサブユニット数との比率が誤り率として表され、
    さらに相互に択一のサブステップとして、
    f)第1の誤り閾値以下の誤り率に応じて、最低の信頼度メトリックを持つサブユニットが疑わしいと特定され、
    g)前記第1の誤り閾値より大きく第2の誤り閾値以下である誤り率に応じて、最低の信頼度メトリックを持つサブユニットの1/2が疑わしいと特定され、
    h)前記第2の誤り閾値より大きい誤り率に応じて、スーパーユニットのすべてのサブユニットが疑わしいと特定されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  8. 疑わしいと特定されたスーパーユニットのサブユニットの数が現在のスーパーユニットに関して既に要求されている再送の数に依存することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  9. 疑わしいと特定されるスーパーユニットのサブユニットの数が送信装置と受信装置間の接続品質を記述する別個に測定された計測値に依存することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10. 前記復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクションを行うステップが、再送すべき少なくとも1つのサブユニットのコピーを設けるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 疑わしいと以前特定されたサブユニットの要求された再送コピーを受信するステップと、
    前記以前疑わしいと特定されたサブユニットを前記再送コピーと取り替えるステップとを更に有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記疑わしいと以前特定されたサブユニットの前記要求された再送コピーを受信するステップと、
    前記疑わしいと以前特定されたサブユニットと前記再送コピーとのダイバーシティー合成を行うステップとを更に有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 前記復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクションを行うステップが、追加パリティビットの伝送を行うステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 前記追加パリティビットが、最初に受信したスーパーユニットからパンクチャされたビットのサブセットに対応することを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. スーパーユニットの誤り訂正復号化(405) を行い、各サブユニットの復号化の信頼度を別個に推定するステップが、各サブユニットについて、推定された復号化の信頼度を降順に相互に択一の復号化ビット・シーケンスのリストを与えるサブステップを有し、前記復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクションを行うステップが少なくとも1つの選択された復号化されたビット・シーケンスを、対応するリストからの別の復号化されたビット・シーケンスと取り替えるステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 送信装置と受信装置との間でデジタル情報を高い信頼度で伝送するための方法であって、
    個別のサブユニット(201、202、203、204、301、302、303、304) の中へデジタル伝送すべき情報を配置し、あらかじめ決められた数のサブユニットからスーパーユニット(200、300) を構成するステップ(401) と、
    特定の誤り検出復号化方法に対応する特定の誤り検出符号(503) を用いて、前記スーパーユニットを連続して符号化するステップ(402) と、
    特定の誤り訂正復号化方法に対応する特定の誤り訂正符号(504) を用いて、前記スーパーユニットを連続して符号化するステップ(403) と、
    送信装置から受信装置へ符号化されたスーパーユニットを伝送するステップ(404) と、
    前記スーパーユニットの誤り訂正復号化を行うステップ(405、603) と、
    前記誤り訂正復号化(405) 中、復号化すべきスーパーユニットの各サブユニットの復号化の信頼度を別個に推定するステップ(604) と、
    前記誤り訂正復号化したスーパーユニットの誤り検出復号化を行うステップ(406、605) と、
    前記誤り検出復号化中前記復号化すべきスーパーユニット中の誤りの有無を検出するステップと、
    前記復号化したスーパーユニット中に誤りが検出された場合、前記サブユニットの推定信頼度に基づいて復号化したスーパーユニットに対して部分的訂正アクションを行うステップ(407、408、409、450、451、606、507、505) とを有することを特徴とする方法。
  17. 伝送フレームでデジタル情報を高い信頼度で伝送するための送信装置(500) であって、
    あらかじめ規定された数の情報サブユニットをスーパーユニット中へ結合するためのバッファ手段(501、502) と、
    伝送すべき情報の誤り検出符号化するための誤り検出符号化手段(503) と、
    伝送すべき情報の誤り訂正符号化を行うための誤り訂正符号化手段(504) と、
    伝送すべき情報の選択された部分に関して再送を行うための再送手段(505、507) とを有する送信装置において、
    完全に結合したスーパーユニットを符号化するように誤り検出符号化手段と誤り訂正符号化手段とが構成され、
    選択されたサブユニットに関する再送を行うように再送手段が構成され、
    符号化され結合されたスーパーユニットと選択されたサブユニットに関する再送を伝送フレームに多重化するための多重化手段(506) を更に有することを特徴とする送信装置。
  18. 前記再送手段が、符号化され結合されたスーパーユニットの一部分を有する形で各サブユニットのコピーを一時的に記憶する(505) ように構成され、そのサブユニットに関する再送として前記記憶されたコピーの複製(レプリカ)を与えることを特徴とする請求項17に記載の送信装置。
  19. 前記誤り訂正符号化手段(503) が、伝送すべき情報の誤り訂正符号化中、特定のビットをパンクチャする1つのパンクチャされた符号を適用するように構成され、前記再送手段が、パンクチャされたビットのコピーを一時的に記憶し(505) 、そのサブユニットに関する再送として、特定のサブユニットのパンクチャされたビットのあらかじめ規定されたサブセットの複製を与えるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の送信装置。
  20. あらかじめ規定された数のサブユニット(201、202、203、204、301、302、303、304) からなるスーパーユニット(200、300) の形で符号化されたデジタル情報を高い信頼度で受信するための受信装置(600) であって、
    スーパーユニットの誤り訂正復号化を行い、前記スーパーユニットに含まれる各サブユニットの復号化の信頼度を推定する(604)ための誤り訂正復号化手段(603) と、
    前記スーパーユニットの誤り検出復号化を行い、前記スーパーユニット中の誤りの有無を検出するための誤り検出復号化手段(605) と、
    復号化したスーパーユニット中で検出されたゼロでない数の誤りに応じて、前記サブユニットの推定信頼度に基づいて、復号化したスーパーユニット内のあらかじめ規定された数のサブユニットを疑わしいと特定するための、及び、疑わしいと特定されたサブユニットに関して再送要求を生成するための再送制御手段(606) とを有することを特徴とする受信装置。
  21. 以前に受信したサブユニット内に含まれる情報と、同じサブユニットの再送コピーのダイバーシティー合成を行うためのダイバーシティー合成手段を有することを特徴とする請求項20に記載の受信装置。
  22. 以前に受信したサブユニット内に含まれる情報と該サブユニットに追加するパリティビットの受信したサブセットを結合するためのパリティビット結合手段を有することを特徴とする請求項20に記載の受信装置。
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