JP3583285B2 - 試料作成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型または走査型の電子顕微鏡等で観察するための薄い試料(電子顕微鏡用試料、すなわち、電顕用試料)を作成したり、または試料の観察用断面を形成したりするための試料作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの微細化、高集積化が進むにつれて、これらを研究開発する上で、特定の領域の断面構造を直接観察することが必要となってきている。ミクロンオーダーの構造については、従来から機械研磨によって断面試料をつくり、光学顕微鏡で形状、界面の反応などが観察されてきた。しかしながら機械研磨による平坦さの限界(数十nm以下が困難)および光学顕微鏡による分解能の限界から電子顕微鏡による断面観察が必要となってきている。
【0003】
透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による断面観察の有用性を生かすには試料作成が重要となる。
従来、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察するための試料の作成方法は、試料となる材料を機械的に研磨加工した後、仕上げに前記研磨面にイオンビームを照射して厚さの薄い試料を得ていた。しかしながら、このような試料の作成方法は、試料となる材料を切断装置によって切断する際前記切断された材料に歪みを生じないようにしたり前記材料の厚さを薄く研磨して試料を作成するなどの特殊な技術を必要とするという問題がある。
また、従来、走査型電子顕微鏡(SEM)で断面観察するための試料の作成方法は、試料となる材料をハンマーなどで割り、観察のための断面を得ていた。しかしながら、このような試料の作成方法では、加工位置の設定がmmオーダーの精度しか得られないという問題があった。
【0004】
前記問題を解消するため従来、下記の技術(J01)が知られている。
(J01)図11〜図14に示す技術
図11は従来の試料作成装置の全体説明図である。図12は従来の試料作成装置の要部拡大説明図である。図13は走査型電子顕微鏡用の試料作成方法の説明図である。図14は透過型電子顕微鏡用の試料作成方法の説明図である。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、左方、右方、上方、下方、または、前側、後側、左側、右側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0005】
図11、図12において、試料作成装置Dは、基台01と、前記基台01の上面に配置されたモニタ02および壁部材により形成されて左右方向(Y軸方向)に移動可能な真空フランジ03により密閉される試料加工室04を有している。図11において、前記試料加工室04内は、図示しない真空ポンプにより真空にされるようになっている。図12において、前記試料加工室04内には、前記真空フランジ03に支持された基板05上に上下方向(Z軸方向)に昇降可能な昇降ステージ06aと、前記昇降ステージ06a上面のZ軸回りに回転可能な回転ステージ06bとを有する試料ステージ06が配置されている。
試料ステージ06の回転ステージ06b上面には試料ホルダHが装着されている。
前記試料ホルダHの上部にはイオンビームで加工する前の板状の試料Sを載置する試料載置面07が設けられている。
前記加工する前の試料Sは、前記試料ホルダHの左右側に形成されて上端部が前記試料S上面側に屈曲した屈曲部08aをそれぞれ有する試料係止部08,08により係止されて、前記各屈曲部08aに螺合して貫通する試料固定用ネジ09により前記試料載置面07上に固定される。
【0006】
前記試料加工室04の上部には、イオン照射装置(図11参照)011が配置されている。前記イオン照射装置011の下端部の出射口(図示せず)には、イオンビームIBを直径約1mmに絞って前記試料Sの加工面Saに入射させるためのアパーチャ012(図13参照)が配置されている。
図12において、前記試料ステージ06の上方には断面円形状の線状ビーム遮断部材013を支持するビーム遮断部材支持装置Bが配置されている。
前記ビーム遮断部材支持装置Bは、前記真空フランジ03に支持されたマイクロメータ014を有している。
【0007】
前記マイクロメータ014は、外端部(右端部、すなわち、−Y側端部)にマイクロメータネジ016aが形成され中央部に断面四角形状の被ガイド部016bが設けられた移動ロッド016と、この移動ロッド016の前記被ガイド部016bを軸方向に移動可能且つ軸回りに回転不能に支持するガイド部材017と、前記マイクロメータネジ016aに螺合するツマミ018とを有している。そして、ツマミ018を回転することにより前記移動ロッド016を左右方向(軸方向)に移動調整できるようになっている。
【0008】
前記移動ロッド016の内端(左端、すなわち、Y側端)には、前記線状ビーム遮断部材013を支持する遮断部材支持アーム019が設けられている。遮断部材支持アーム019は、その左端部(Y側端部)に前後方向(X軸方向)に別れた一対の遮断部材固定部019a,019aが設けられており、それらの下面に前記線状ビーム遮断部材013が固定されている。
【0009】
(走査型電子顕微鏡用の試料作成方法)
図11〜図13において、板状に切断された加工前の試料Sが固定された試料ホルダHを試料ステージ06に装着して、前記試料ステージ06および試料ホルダHを前記試料加工室04内に配置する。
図示しない真空ポンプにより試料加工室04内を真空にした後、前記マイクロメータ014により前記線状ビーム遮断部材013のY軸方向の位置を調整し、前記昇降ステージ06bを上昇させて前記線状ビーム遮断部材013と前記試料Sの加工面S1との間隔を調整する。
【0010】
前記加工面S1上にイオンビームIBを照射すると、前記線状ビーム遮断部材013の陰となる部分であるビーム非照射領域S1aはミリングされず、残る。図12に示すように前記加工面S1が掘り込まれた一個の断面を観察面S1bとする走査型電子顕微鏡観察用の試料が作成される。
前記線状ビーム遮断部材013は、前記マイクロメータ014によってY軸方向にmmオーダー以下の精度で移動可能である。したがって、前記観察面S1bの形成位置はmmオーダー以下の精度で設定可能となる。
【0011】
(透過型電子顕微鏡用の試料作成方法)
透過型電子顕微鏡用の試料を作成する場合には、図14Aに示すように直方体状に加工され試料Sの加工面S1の中央に前記加工面S1の長辺に沿って前記線状ビーム遮断部材013が横断するように配置される。この状態で、前記加工面S1に前記イオンビームIBが照射されると、前記加工面S1の線状ビーム遮断部材013の陰となる部分であるビーム非照射領域S1a(図14B参照)はミリングされない。したがって、図14Bに示すようにミリングされた試料Sの短辺方向に沿った断面が凸型の形状となる。
【0012】
前記回転ステージ06bを上下軸(Z軸)回りわずかに回転させて、前記試料Sを前記線状ビーム遮断部材013に対して相対的にわずかに回転させる。この状態で再びミリングを行うと、図14Cにおいて斜線を施した菱形の部分S2がミリングされずに突出した状態で残る。すなわち、断面菱形の薄い突出部分S2が残る。このときの前記薄い突出部分S2の両端部S2aおよびS2bは、薄膜に形成されており、透過型電子顕微鏡で観察可能である。
このような試料作成方法によれば前記試料Sの作成には試料Sを切断装置で切断しないので、前記試料Sに力が加わらず前記試料Sには歪みが生じない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
(前記従来技術(J01)の問題点)
前記従来技術(J01)では、前記試料Sをミリングする際、前記イオンビームIBによって前記ビーム遮断部材013もミリングされ加工後は細る。しかし、前記試料Sおよびビーム遮断部材013のエッチングレート(イオンビームによりミリングされて細る速度)の比が定かでないため、一回の加工毎に使用したビーム遮断部材013を取り替える必要がある。このため試料作成作業に手間がかかるという問題がある。
【0014】
また、前記ビーム遮断部材013と加工面S1aとの間隔が大きすぎるとイオンビームIBの回り込みにより試料のエッジがだれたり、透過型電子顕微鏡用の試料の作成の際前記間隔が狭すぎると、前記ビーム遮断部材013と前記加工面S1aとが接触し前記試料Sを壊す可能性がある。このため、前記ビーム遮断部材013と加工面S1aとの間隔は1〜10μmの範囲内に設定されている。
しかし、試料S毎の厚さが異なる場合前記試料Sの下端部の位置が固定されていると、試料S毎に前記各試料Sの上面である加工面S1aの上下(Z軸)方向の位置が異なることになり、前記加工面S1aと前記加工面S1aの上方のビーム遮断部材013との間隔が前記試料S毎に異なることになる。このため、試料Sの交換毎に前記試料Sの加工面S1aとビーム遮断部材013との間隔を調整しなければならず、試料作成作業に手間がかかるという問題もある。
【0015】
本発明は、前述の事情に鑑み、下記の記載内容を課題とする。
(O01)試料の加工位置において、試料の加工の際ビーム遮断部材のビームの照射を受けた部分と前記ビーム遮断部材のビームの照射を受けていない部分との取り替えを容易に行えるようにすること。
(O02)試料の厚さが変わっても前記試料の加工面の上下方向の位置を一定に保持すること。
【0016】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の説明において本発明の構成要素の後に付記したカッコ内の符号は、本発明の構成要素に対応する後述の実施例の構成要素の符号である。なお、本発明を後述の実施例の構成要素の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0017】
(第1発明)
前記課題を解決するために、本出願の第1発明の試料作成装置は、下記の要件を備えたことを特徴とする、
(A01)試料ホルダ(H)に保持された試料(S)の加工面(S1)が真空に保持された試料加工室(A1)内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダ(H)を保持する試料ステージ(ST)、
(A02)前記試料加工面(S1)の上方に配置されて、前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)を入射させるイオン照射装置(6)、
(A03)前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を横断し且つ前記試料加工面(S1)に接近して配置され、前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する線状のビーム遮断部材(51)、
(A04)ベース(52)に回転可能に支持されて、前記イオンビーム(IB)が通過する複数のビーム通過部(72a)を外周部に有し、前記複数のビーム通過部(72a)を前記ビーム遮断部材(51)が横断する状態で前記ビーム遮断部材(51)を支持するとともに、回転時に前記複数の各ビーム通過部(72a)が順次前記イオンビーム(IB)を横断する位置に移動する遮断部材支持部材(72)、
(A05)前記ベース(52)上に回転可能に支持された前記遮断部材支持部材(72)を所定の回転位置に保持する回転位置保持手段。
【0018】
(第1発明の作用)
前述の特徴を備えた第1発明の試料作成装置では、試料ステージ(ST)は、試料ホルダ(H)に保持された試料(S)の加工面(S1)が真空に保持された試料加工室(A1)内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダ(H)を保持する。前記試料加工面(S1)の上方に配置されたイオン照射装置(6)は前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)を入射させる。
前記イオンビーム(IB)が通過する複数のビーム通過部(72a)を外周部に有する遮断部材支持部材(72)は、前記ビーム通過部(72a)にビーム遮断部材(51)が横断する状態で前記ビーム遮断部材(51)を支持する。
前記線状のビーム遮断部材(51)は前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する。前記試料加工面(S1)の線状のビーム非照射領域以外のイオンビーム(IB)の照射を受けた部分は、ミリングされて、所望の深さになると前記イオンビーム(IB)の照射を停止する。
【0019】
ベース(52)に回転可能に支持された前記遮断部材支持部材(72)は、回転時に前記複数の各ビーム通過部(72a)が順次前記イオンビーム(IB)を横断する位置に移動する。前記イオンビーム(IB)を横断する位置にはミリングに使用されていない新しい前記ビーム遮断部材(51)が移動する。回転位置保持手段は、前記ベース(52)上に回転可能に支持された前記遮断部材支持部材(72)を所定の回転位置に保持する。
したがって、第1発明では、前記遮断部材支持部材(72)を回転させるだけで前記ミリングによってイオンビーム(IB)の照射を受けず細くなっていないビーム遮断部材(51)を容易に供給することが可能となり、試料作成作業の効率が上昇する。
【0020】
前記遮断部材支持部材(72)の回転は、一個の試料(S)を加工する毎に行うことが可能である。前記ビーム遮断部材(51)の材質や加工時間によって前記ビーム遮断部材(51)の細る度合いが小さい場合には、前記遮断部材支持部材(72)の回転は、試料(S)を複数個加工する毎に行うことが可能である。また、前記遮断部材支持部材(72)の回転は、前記試料加工室(A1)内から試料(S)を取り出して交換する際に手動で回転させることが可能であり、また、前記試料加工室(A1)内に配置された状態で手動またはモータ等の駆動装置により回転させるように構成することも可能である。
なお、前記試料(S)をわずかに回転させて、前記加工面(S1)とビーム遮断部材(51)との相対的な位置を変えて前記加工を行えば透過型電子顕微鏡に使用する試料(S)が作成できる。このような透過型電子顕微鏡に使用する試料(S)の作成方法は従来公知(特開平9−210883号公報参照)である。
【0021】
(第2発明)
前記課題を解決するために、本出願の第2発明の試料作成装置は、下記の要件を備えたことを特徴とする、
(B01)試料ホルダ(H)に保持された試料(S)の加工面(S1)が真空に保持された試料加工室(A1)内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダ(H)を保持する試料ステージ(ST)、
(B02)前記試料加工面(S1)の上方に配置されて、前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)を入射させるイオン照射装置(6)、
(B03)前記試料加工面(S1)の上方から入射するイオンビーム(IB)を横断し且つ前記試料加工面(S1)に接近して配置され、前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する線状のビーム遮断部材(51)、
(B04)前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を横断して移動する前記線状のビーム遮断部材(51)を送り出す送出用部材(56)および前記送り出された線状のビーム遮断部材(51)を巻き取る巻取用部材(57)であって、ベース(52)に回転可能に支持された前記送出用部材(56)および前記巻取用部材(57)。
(B05)前記ベース(52)上に回転可能に支持された前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)を所定の回転位置に保持する回転位置保持手段。
【0022】
(第2発明の作用)
また、本出願の第2発明の試料作成装置では、試料ステージ(ST)は、試料ホルダ(H)に保持された試料(S)の加工面(S1)が真空に保持された試料加工室(A1)内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダ(H)を保持する。前記試料加工面(S1)の上方に配置されたイオン照射装置(6)は前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)を入射させる。
線状のビーム遮断部材(51)は、前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を横断し、前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する。前記試料加工面(S1)の線状のビーム非照射領域以外のイオンビーム(IB)の照射を受けた部分は、ミリングされる。
【0023】
ベース(52)に回転可能に支持される送出用部材(56)および巻取用部材(57)を同時に回転させて、前記線状のビーム遮断部材(51)を前記巻取用部材(57)に巻き取るとともに前記線状のビーム遮断部材(51)を送り出す。前記イオンビーム(IB)を横断する位置にはミリングに使用されていない新しい前記ビーム遮断部材(51)が移動する。回転位置保持手段は、前記ベース(52)上に回転可能に支持された前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)を所定の回転位置に保持する。
したがって、第2発明では、前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)を回転させるだけで前記ミリングによってイオンビーム(IB)の照射を受けず細くなっていないビーム遮断部材(51)を容易に供給することが可能となり、試料作成作業の効率が上昇する。
【0024】
前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)の回転は、連動させることが可能であり、この場合には前記送出用部材(56)を回転させて、前記巻取部材(57)を回転させて、前記イオンビーム(IB)を横断する位置に前記ミリングに使用されていない新しい前記ビーム遮断部材(51)を移動させることも可能である。
また、前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)の回転は、一個の試料(S)を加工する毎に行うことが可能である。前記ビーム遮断部材(51)の材質や加工時間によって前記ビーム遮断部材(51)の細る度合いが小さい場合には、前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)の回転は、試料(S)を複数個加工する毎に行うことが可能である。
さらに、前記送出用部材(56)および巻取用部材(57)は、前記試料加工室(A1)内から試料(S)を取り出して交換する際に手動で回転させることが可能であり、また、前記試料加工室(A1)内に配置された状態で手動またはモータ等の駆動装置により回転させるように構成することも可能である。
なお、前記試料(S)をわずかに回転させて、前記加工面(S1)とビーム遮断部材(51)との相対的な位置を変えて前記加工を行えば透過型電子顕微鏡に使用する試料(S)が作成できる。このような透過型電子顕微鏡に使用する試料(S)の作成方法は従来公知(特開平9−210883号公報参照)である。
【0025】
前記第1発明または第2発明の試料作成装置は、下記の要件(C01),(C02)を備えることが可能である。
(C01)真空に保持された試料加工室(A1)内に配置された試料ステージ(ST)の上面に設けられたホルダ装着部材(34)に装着される被装着部(41)と、前記被装着部(41)に支持される試料支持部材(43)とを有する前記試料ホルダ(H)、
(C02)上面に試料(S)を載置する試料載置面(43b)が設けられた試料支持部材(43)と、前記試料支持部材(43)を上方へ付勢する弾性部材(42)と、前記試料(S)の上面である試料加工面(S1)の上限位置を規制する試料位置規制部材(44)とを有する前記試料保持部(43〜47)。
【0026】
前記要件(C01),(C02)を備えた本発明の試料作成装置では、前記試料ホルダ(H)の被装着部(41)は、真空に保持された試料加工室(A1)内に配置された試料ステージ(ST)の上面に設けられたホルダ装着部材(34)に装着されて、保持される。前記被装着部(41)は試料保持部(43〜47)を支持する。
前記試料保持部(43〜47)の弾性部材(42)が前記試料支持部材(43)を上方へ付勢するので、試料支持部材(43)の試料載置面(43b)に載置された試料(S)は上昇する。試料位置規制部材(44)は、前記試料(S)の上面である試料加工面(S1)の上限位置を規制する。このため、前記試料(S)の厚さに関係なく前記試料加工面(S1)の上限位置が保持される。
【0027】
したがって、たとえば前記試料ホルダ(H)に厚さが異なる複数の試料(S)を装着して前記第1発明の試料作成装置(D)または前記第2発明の試料作成装置(D)で加工する場合には、最初に前記試料ホルダ(H)に装着される試料(S)の加工面(S1)と前記ビーム遮断部材(51)との間隔は保持され、2番目の試料(S)の加工面(S1)と前記ビーム遮断部材(51)との間隔を調整する必要がない。
前記要件(C01),(C02)を備えた本発明の試料作成装置では、試料ホルダの被装着部(41)は、真空に保持された試料加工室(A1)内に配置された試料ステージ(ST)の上面に設けられたホルダ装着部材(34)に装着されて、保持される。前記被装着部(41)は試料保持部(43〜47)を支持する。
前記試料保持部(43〜47)の弾性部材(42)が前記試料支持部材(43)を上方へ付勢するので、試料支持部材(43)の試料載置面(43b)に載置された試料(S)は上昇する。試料位置規制部材(44)は、前記試料(S)の上面である試料加工面(S1)の上限位置を規制する。このため、前記試料(S)の厚さに関係なく前記試料加工面(S1)の上限位置が保持される。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第2発明の実施の形態1)
本出願の第2発明の実施の形態1の試料作成装置は、前記第2発明において下記の要件を備えたことを特徴とする、
(B06)前記ビーム遮断部材(51)の前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を横断する部分の両側を保持する横断部分保持部(52c+64)、
(B07)前記横断部分保持部(52c+64)を上下動可能に支持する保持部支持手段(t)、
(B08)前記横断部分保持部(52c+64)の前記試料ホルダ(H)に対する上下方向の間隔を調節する間隔調節部材(67)。
【0029】
(第2発明の実施の形態1の作用)
前述の構成を備えた本出願の第2発明の実施の形態1の試料作成装置では、横断部分保持部(52c+64)は、前記ビーム遮断部材(51)の前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を横断する部分の両側を保持する。保持部支持手段(t)は、前記横断部分保持部(52c+64)を上下動可能に支持する。間隔調節部材(67)は、前記横断部分保持部(52c+64)の前記試料ホルダ(H)に対する上下方向の間隔を調節する。
したがって、前記横断部分保持部(52c+64)に両側が保持されているビーム遮断部材(51)の前記イオンビーム(IB)を横断する部分と前記試料ホルダ(H)に保持されている前記試料加工面(S1)との間隔は調節される。
【0030】
また前記(C01),(CO2)を備えた第1発明又は第2発明において下記の要件を備えることが可能である、
(C03)前記試料加工面(S1)の上方に配置されたイオン照射装置(6)から照射されて前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)が通過するビーム通過部(47a)を有する前記試料位置規制部材(44)。
前述の構成要件(CO3)を備えた作成装置では、前記試料位置規制部材(44)は、前記試料加工面(S1)の上方に配置されたイオン照射装置(6)から照射されて前記試料加工面(S1)に入射するイオンビーム(IB)を通過させるビーム通過部(47a)を有する。したがって、最初にイオン照射装置(6)のビーム出射位置と前記試料ステージ(ST)上面との間隔を調整しておけば、前記第3発明の試料ホルダ(H)に前記厚さが異なる試料(S)を装着しても前記試料(S)の上面である試料加工面(S1)の上限位置が保持されているので、前記イオン照射装置(6)のビーム出射位置と前記試料加工面(S1)の位置との間隔が保持される。
【0031】
前記(C01),(CO2)を備えた第1発明又は第2発明において下記の要件(C04)を備えることが可能である、
(C04)前記試料加工面(S1)に接近して配置されて前記イオンビーム(IB)を横断し且つ前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する線状のビーム遮断部材(51)が配置された前記ビーム通過部(47a)。
前述の構成要件(C04)を備えた試料作成装置では、前記ビーム通過部(47a)に配置される線状のビーム遮断部材(51)は、前記試料加工面(S1)に接近して配置され、前記イオンビーム(IB)を横断し且つ前記イオンビーム(IB)の一部を遮断して前記試料加工面(S1)にイオンビーム(IB)が照射されない線状のビーム非照射領域を形成する。前記イオンビーム(IB)によって前記第3発明の試料ホルダ(H)に装着された試料(S)の加工面(S1)の前記線状のビーム非照射領域以外の部分がミリングされる。前記試料(S)の加工面(S1)と前記ビーム遮断部材(51)との間隔が保持されているので、厚さが異なる複数の試料(S)をミリングする際、試料(S)を交換する度に前記試料(S)の加工面(S1)と前記ビーム遮断部材(51)との間隔を調整する必要がない。
【0032】
【実施例】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の試料作成装置の全体説明図で、図1Aは前記試料作成装置を上方から見た図、図1Bは前記試料作成装置の正面図で、前記図1Aの矢印IBから見た図である。図2は前記図1Bの矢印II方向から見た図である。図3は本発明の実施例1の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置、試料ホルダおよび試料ステージの拡大説明図で、図3Aはビーム遮断部材支持装置を除いて前記試料ホルダおよび試料ステージを上方から見た図、図3Bは前記図3Aの試料ホルダおよび試料ステージのIIIB−IIIB線断面図である。図4は本発明の実施例1の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置の側面図である。図5は本発明の試料作成装置の実施例1で使用する試料ホルダの斜視図である。図6は本発明の実施例1の試料ホルダが試料ステージに装着された状態の拡大説明図で、図6Aは前記図3Bと同一方向から見た拡大断面図、図6Bは前記図6AのVIB−VIB線断面図である。図7は前記図6Aの矢印VII方向から見た図である。図8はビーム遮断部材支持装置と試料ホルダとの関係を示す拡大説明図で、図8Aは前記ビーム遮断部材支持装置および試料ホルダを上方から見た図、図8Bは前記図8Aの矢印VIIIB方向から見た部分断面図である。図9はビーム遮断部材支持装置の要部拡大説明図で、図9Aは前記ビーム遮断部材支持装置の平面図、図9Bは前記図9AのIXB−IXB線断面図、図9Cは前記図9Aの矢印IXC方向から見た部分断面図である。
【0034】
図1、図2において、本発明の実施例1の試料作成装置Dは、基台1と、前記基台1上に配置されたモニタ2および円筒状の壁部材3によって形成された試料加工室A1とを有している。
前記試料加工室A1の右端部(−Y方向の端部)には、左右方向(Y軸方向)に移動可能な真空フランジ4が装着されている。前記真空フランジ4は前記試料加工室A1内を密閉するための部材であり、前記密閉された試料加工室A1内は図示しない真空ポンプにより真空になるようになっている。
図1、図2に示すように前記試料加工室A1の上側(Z側)の壁部分には、イオンビーム(IB)照射装置6が装着されており、前記イオン照射装置6から約45°後側(−X側)方向の壁部分にはTVカメラ7が装着されている。
【0035】
図2において、前記真空フランジ4の右端面(−Y方向の端面)には、試料ステージ操作用ノブ8a,8b,8cおよび遮断部材支持ベース操作用ノブ8dが配置されており、前記真空フランジ4の左側(Y側)には図示しないモータによりY軸回りに傾斜するように構成されたステージ支持部材9(図1B参照)が連結されている。
図3において、前記ステージ支持部材9の右端側には、遮断部材支持ベース支持部9aが設けられており、前記ベ−ス支持部9aの内端面9a1からは、左方(Y方向)に突出するステージ支持部9bが設けられている。
前記ステージ支持部9bは、側壁9b1および底壁9b2を有しており、前後両側の側壁9b1には、段部9b3が形成されている。前記底壁9b2の中央にはビーム通過孔9b4(図3B参照)が形成されている。
【0036】
図3において、前記試料ステージ操作用ノブ8a,8b,8cおよび遮断部材支持ベース操作用ノブ8dは、前記ステージ支持部材9内側に支持された棒状のX軸方向移動用部材11、Y軸方向移動用部材12、回転用部材13および遮断部材支持ベース回動用部材14と接続している。前記試料ステージ操作用ノブ8a,8b,8cを操作すると前記X軸方向移動用部材11、Y軸方向移動用部材12および回転用部材13の先端側がそれぞれ左右方向(Y軸方向)に移動するように構成されている。前記X軸方向移動用部材11、Y軸方向移動用部材12および回転用部材13の先端部にはボール11a,12a,13aがそれぞれ装着されている。
また、前記遮断部材支持ベース回動用部材14を操作すると前記遮断部材支持ベース回動用部材14の先端側のウォームギヤ14aが左右方向の軸(Y軸)回りに回転するようになっている。
図3Bにおいて、前ベ−ス支持部9aの上側部分で前側(X側)には前記遮断部材支持ベース回動用部材14の先端側のウォームギヤ14aが配置される。また、前記ベ−ス支持部9aの内端面9a1からは前記X軸方向移動用部材11、Y軸方向移動用部材12および回転用部材13の先端部が貫通して突出している。前記底壁9b2の上面で前記イオン照射装置6の下方(−Z方向)には、試料ステージSTが配置されている。
【0037】
図3Bにおいて、前記試料ステージSTは、前記底壁9b2上に支持された前後一対のY軸方向ガイド部材16,16によりY軸方向にスライド可能なY軸テーブル17と、前記Y軸テーブル17の上面に支持された左右一対のX軸方向ガイド部材18,18によりX軸方向にスライド可能なX軸テーブル19とを有している。
前記X軸方向ガイド部材18,18は、前記Y軸テーブル17上面に固定されたガイドレール18aと、前記X軸テーブル19下面に固定され且つ前記ガイドレール18a上でスライド可能な被ガイドレール18bとにより構成されている。前記Y軸方向ガイド部材16も前記X軸方向ガイド部材18と同様に構成されている。
【0038】
前記Y軸テーブル17の中央にはビーム通過孔17aが形成されており、図3Aに示すように前記Y軸テーブル17の前後両側面には、一端が前記ステージ支持部9bの段部9b3に係止されたY軸引っ張りばね21,21が係止されており、前記Y軸引っ張りばね21,21は前記Y軸テーブル17を右方(−Y方向)へ付勢している。
前記Y軸テーブル17の右側面(−Y側面)には、上方(Z方向)に伸びる移動部材被当接部材22が固定されており、前記移動部材被当接部材22の右側面には前記X軸方向移動用部材11のボール11aが当接する。
したがって、前記X軸方向移動用部材11が左右方向(Y軸方向)に移動すると前記Y軸方向ガイド部材16にガイドされて前記Y軸テーブル17も左右方向(Y軸方向)に移動するようになっている。
【0039】
図3において、前記X軸方向ガイド部材18,18を介してY軸テーブルの上面に配置されたX軸テーブル19の中央には、装着部材貫通孔19aが形成されている。
図3Aに示すように前記X軸テーブル19の前後両側面には、一端が前記Y軸テーブル17の上面に係止されたX軸引っ張りばね23,23の他端が係止されており、前記X軸引っ張りばね23,23は前記X軸テーブル19を後方(−X方向)へ付勢している。
図3Bにおいて、前記X軸テーブル19の前側の上面にはL字部材24が固定されており、前記L字部材24の前端の立ち上がった部分には、X軸駆動用シフタ26のボール26aが当接している。
【0040】
前記X軸駆動用シフタ26は、前記ステージ支持部9bの前側の側壁9b1上に上下軸(Z軸)回りに回動可能に支持されており、前記支持されている位置の後側(−X方側)部分には移動部材被当接部26bが設けられている。前記移動部材被当接部26bの右側面には前記Y軸方向移動用部材12のボール12aが当接する。
したがって、前記X軸方向移動用部材12が左右方向(Y軸方向)に移動すると、前記X軸駆動用シフタ26が回動して前記ボール26aが前後方向に移動し、前記L字部材24も移動する。前記L字部材24の移動により前記X軸テーブル19も前記X軸方向ガイド部材18,18にガイドされて前後方向(X軸方向)に移動するようになっている。
【0041】
図3Bにおいて、前記試料ステージSTのX軸テーブル19の装着部材貫通孔19aの上側の部分にはベアリング27が嵌合しており、前記ベアリング27の内側には、回転部材28が嵌合している。前記回転部材28の中央には、ねじ孔28aが形成されている。
図3において、前記回転部材28のねじ孔28aには、ホルダ支持部材29の円筒部29aの外周に形成された雄ねじが螺合しており、前記雄ねじの前記ねじ孔28aに対する回転位置を調節することにより回転部材28に対するホルダ支持部材29の高さを調節することが可能である。前記ホルダ支持部材29の円筒部29aの中央には装着部材貫通孔29bが形成されている。
前記ホルダ支持部材29上端部のフランジ部分には上面側から下面側に回転止め用ねじ33,33が貫通して螺合しており、前記各回転止め用ねじ33の先端は前記回転部材28のフランジ部の上面に当接するようになっている。
前記回転止め用ねじ33の先端部を前記回転部材28のフランジ部の上面に当接させることにより、前記ホルダ支持部材29と前記ホルダ支持部材29が一体的に回転するようになっている。
【0042】
前記円筒部29a上端部のフランジ部分の外側面には前記X軸テーブル19の上面に一端が係止された戻し用引っ張りばね31,31が係止されており、前記戻し用引っ張りばね31,31は前記ホルダ支持部材29をZ軸中心に時計回りに付勢している。
また、前記ホルダ支持部材29のフランジ部分の外側面には、移動部材被当接部材32が固定されており、前記移動部材被当接部材32の右側面には前記回転用部材13のボール13aが当接し、前記回転用部材13が左右方向に移動すると前記ホルダ支持部材29および回転部材28がZ軸回りに回転するようになっている。
【0043】
図3において、ホルダ支持部材29が有する装着部材貫通孔29bには円筒状のホルダ装着部材34が上下方向に移動可能に貫通している。
前記ホルダ装着部材34は、その上端部に、断面形状で上辺が下辺より短い逆台形のホルダ係止部34aを有し、また、前記ホルダ装着部材34の内側に形成されたビーム通過孔34bを有している。前記ホルダ装着部材34の下端部には、ばね受け座36が嵌合している。
前記ホルダ装着部材34の下部の外周には、圧縮ばね37が配置されており、前記圧縮ばね37の上端部は前記ホルダ支持部材29の円筒部29a下端に当接して、前記ホルダ装着部材34を下方(−Z方向)に付勢している。
なお、前記符号16〜37で示された要素から前記試料ステージSTが構成されている。
【0044】
図5〜図8において、前記試料ステージSTのホルダ支持部材29上面には試料ホルダHが装着されている。
前記試料ホルダHは、ばね収容凹部41a(図6B参照)を上面に有する円筒状の被装着部材(被装着部)41と、前記ばね収容凹部41aに収容される圧縮ばね42(弾性部材)と、前記圧縮ばね42の上端に配置されて、前記圧縮ばね42により上方へ付勢されている円板状の試料支持部材43とを有している。
【0045】
図6において、前記被装着部材41の下部には逆台形溝41bが形成されており、前記被装着部材41の中央にはビーム通過孔41cが形成されている。前記ばね収容部41aの外周には、上方に突出する被嵌合部41dが形成されており、前記被嵌合部41cの外周には接合面41eが形成されている。前記台形溝41bは前記試料ステージSTのホルダ装着部材34上端部に設けられたホルダ係止部34aに嵌合して、前記試料ホルダHを前記試料ステージSTのホルダ支持部材29上に固定するようになっている。
【0046】
図6において、前記試料支持部材43の中央にはビーム通過孔43aが形成されており、前記試料支持部材43の上面には試料載置面43bが設けられている。前記試料載置面43b上にはイオンビームIBで加工する前の板状の試料Sが載置される。前記加工前の試料Sの上面には加工面S1を有する。
前記試料ホルダHの被装着部材41の上部には、試料位置規制部材44が連結されており、前記試料位置規制部材44の内側には前記圧縮ばね42および試料支持部材43が収容されている。
【0047】
前記試料位置規制部材44は、その下部に、円筒状の連結部46と、前記連結部46の上端に形成されて、前記連結部46の外径より小さな径の略円筒状の試料位置規制部47とを有している。前記連結部46の下端面にリング状の被接合面46aを有し、前記リング状の被接合面46aは前記被装着部材41の接合面41eと接合する。
前記略円筒状の試料位置規制部47の前後両側の部分は、切除された形状をしており、前記試料位置規制部47の左右両側の部分の上端には、その中央が切除されたビーム通過部47aを有する試料係止部47b,47bが設けられている。
【0048】
図6Aにおいて、前記試料位置規制部47の各試料係止部47bの上面には調整ねじ当接面47cが設けられており、下面には基準面47dが設けられている。前記各調整ねじ当接面47cと基準面47dとの間隔(上下方向の距離)は所定値L1に設定されており、前記試料係止部47b,47bによって、上方へ付勢されている前記試料支持部材43上の試料Sは上方への移動が規制されている。
また、前記試料規制部材44と前記被装着部材41とを連結させた状態で、前記基準面47dと前記被装着部材41の下面すなわち、前記ホルダ支持部材29との間隔はL2に定められている。
なお、前記符号43〜47で示された要素から試料保持部(43〜47)が構成され、前記符号41〜47で示された要素から前記試料ホルダHが構成される。
【0049】
図3B、図4、図8、図9において、前記試料ホルダHに支持されている試料Sの上方には、ビーム遮断部材51を支持するビーム遮断部材支持装置Uが配置されている。
前記ビーム遮断部材支持装置Uは、軸t(保持部支持手段、図4参照)によって前記遮断部材支持ベース支持部9aにX軸回りに回動可能に支持された被支持部52a,52aが基端部に形成された遮断部材支持ベース(べース)52を有している。
図9において、前記遮断部材支持ベース52は、その先端部(すなわち左端部)に、前後に別れた遮断部材係合部52b,52bと、前記遮断部材係合部52b,52b上面に設けられて前記ビーム遮断部材51がスライドする遮断部材スライド面52c,52cと、遮断部材支持ベース52の中央部分後側(−Y側)に形成された巻取部材装着用凹部52d(図9B参照)と、前記巻取部材装着用凹部52dの前側(Y側)に形成されたギヤ装着用凹部52eと、前記ギヤ装着用凹部52eの前側に形成された送出部材貫通孔52fとを有している。
【0050】
前記遮断部材支持ベース52の遮断部材係合部52b,52bの両側面には、前記ステージ支持部9bの前後側の側壁9b1に一端が係止された傾斜用引っ張りばね(図3B参照)53,53が係止されており、前記遮断部材支持ベース52を下方(−Z方向)に付勢している。
前記前記遮断部材支持ベース52の前側の被支持部52aにはギヤ54が固定されている。図3B、図4に示すように前記ギヤ54は前記遮断部材支持ベース回動用部材14のウォームギヤ14aが噛み合う。したがって、前記ウォームギヤ14aが回転すると前記ギヤ54がX軸回りに回転して、前記遮断部材支持ベース52の先端側の遮断部材係合部52b,52bを上昇させ、前記試料ステージST上に試料ホルダHの脱着などの作業の際に前記ビーム遮断部材支持装置Uが邪魔にならないようになっている。
【0051】
図8、図9において、前記遮断部材支持ベース52の送出部材貫通孔52fには送出用部材56が貫通して回転可能に支持されており、前記巻取部材装着用凹部52dには巻取部材57が回転可能に支持される。
図9Bにおいて、前記送出用部材56は、前記送出部材貫通孔52fに下端部が貫通するギヤ56aと、前記ギヤ56aの上端に配置されて、前記イオンビームIBの照射を受けていない新しい前記ビーム遮断部材51が巻き付けられている遮断部材送出用リング56bと、前記ギヤ56aおよび遮断部材送出用リング56bとを貫通して螺合し、前記両部材56a,56bを前記遮断部材支持ベース52に回転可能に連結させる連結ねじ56cと、前記連結ねじ56cと螺合するねじ抜止部材56dとを有している。
【0052】
また、図9Bにおいて、前記巻取用部材57は、前記巻取部材装着用凹部52d上に配置されたギヤ57aと、前記ギヤ57aと前記巻取部材装着用凹部52dの底部とを連結させる連結ねじ57bと、前記ギヤ57aの上端に配置されて、前記イオンビームIBの照射を受けた前記ビーム遮断部材51を巻き取る遮断部材巻取用リング57cと、前記遮断部材巻取用リングの上端に配置された操作用フランジ部材57dとを有している。前記操作用フランジ部材57d、遮断部材巻取用リング57cおよびギヤ57aはねじ57e,57eによって連結されており、前記ねじ57e,57eは、前記各部材57d、57c、57aを貫通するピン57f,57fとともに手動で前記操作用フランジ部材57dを回転させると前記遮断部材巻取用リング57cおよびギヤ57aを回転させるようになっている。
【0053】
前記ギヤ57aの下側の部分には、前記遮断部材支持ベース52の前側部に螺合する回り止めねじ(回転位置保持手段)58の先端部が当接する。
前記巻取用部材57のギヤ57aおよび送出用部材56のギヤ56aは、ギヤ止め部材59によって前記べース52のギヤ装着用凹部52eに回転可能に装着されたギヤ61と噛み合っており、前記ギヤ61を介して前記巻取用部材57のギヤ57aの回転が前記送出用部材56のギヤ56aへ伝達されるようになっている。
【0054】
図8、図9において、前記送出用部材56および巻取用部材57の左方(Y方向)には、調整ねじ支持部材62の両端の固定部62a,62aが前記遮断部材スライド面52c,52c上に固定されている。
図8において、前記調整ねじ支持部材62は、前記固定部62a,62aと両端部が一体的に形成された板状の調整ねじ支持部62bと、前記固定部62a,62aの側面に設けられたピン固定面62c,62cと、前記調整ねじ支持部62bの中央に形成された調整ねじ貫通孔62dとを有している。
図8A、図9A、図9Cにおいて、前記ピン固定面62c,62cには遮断部材ガイドピン63,63が固定されている。前記遮断部材スライド面52c,52c上には、上部に行くに従って直径が拡大する円錐面(テーパ面)を有するリング部材64,64が回転可能に支持されており、前記リング部材64,64と前記前記遮断部材ガイドピン63,63との間には、ピン66,66が前記遮断部材スライド面52c,52c上に固定されている。
【0055】
前記送出用部材56から送り出される前記ビーム遮断部材51は、 前記遮断部材ガイドピン63によって前記ベ−ス52の遮断部材スライド面52cへガイドされ、前記ピン66を経て前記リング部材64のテーパ面によって押圧されて前記遮断部材スライド面52cに接触するように構成されており、前記試料加工時には前記ビーム遮断部材51は前記試料ホルダHのビーム通過部47aを前後方向(X軸方向)に横断して配置される。
したがって、前記ビーム通過部47aを前後方向に横断したビーム遮断部材51の両側は前記遮断部材スライド面52cおよび前記リング部材64のテーパ面により所定位置に保持されている。したがって、前記遮断部材スライド面52cおよびテーパ面を有するリング部材64は前記ビーム遮断部材51の前記ビーム通過部47aを前後方向に横断する所定位置に保持している。すなわち、前記遮断部材スライド面52cおよびテーパ面を有するリング部材64により前記ビーム通過部47aを前後方向に横断したビーム遮断部材51の両側部分をそれぞれ所定位置に保持する前後一対の横断部分保持部材(52c+64)が構成されている。
【0056】
前記ビーム遮断部材51は前記ビーム通過部47aにおいて前記試料Sの加工面S1に入射するイオン照射装置6のイオンビームIBを横断し、再び前記遮断部材スライド面52cおよびリング部材64、ピン66、遮断部材ガイドピン63を経て前記巻取部材57に巻き取られるようになっている。
前記ビーム通過部47aの前後両側の各横断部分保持部材(52c+64)は上下が同じ高さとなるように構成されている。したがって、前記前後一対の横断部分保持部材(52c+64)により保持されたビーム遮断部材51は水平に保持される。
【0057】
本実施例1において、前記ビーム遮断部材51は断面円形状で、W(タングステン)のワイヤにニッケル−リン無電解メッキを施したものを使用している。
前記線状ビーム遮断部材51に非結晶質のニッケル−リン無電解メッキを施すのは、結晶質の材料を使用するとイオンミリング時に結晶粒の選択ミリングが行われて前記線状ビーム遮断部材51のイオンビームで照射される面が凹凸になり、試料表面にその形状が転写されるのを防ぐためである。
また、前記ビーム遮断部材51は、断面円形状の代わりに断面長方形状などの形状の部材を採用することが可能である。
【0058】
図8Bにおいて、前記リング部材64,64と前記送出用部材56、巻取用部材57との間に固定されている調整ねじ支持部材62の調整ねじ貫通孔62dには、高さ調整用ねじ(間隔調節部材)67が貫通して螺合しており、前記高さ調整用ねじ67の先端部のボール67aが前記試料ホルダHの上部の調整ねじ当接面47cに当接するようになっている。前記ボール67aの先端と前記遮断部材スライド面52c,52cとの距離L3(図6参照)を所定の大きさに設定しておけば、前記試料ホルダHの上部の調整ねじ当接面47cと前記試料Sの加工面S1との距離L1(図6参照)は一定なので、この実施例1の試料ホルダHを使用すれば、前記前後一対の横断部分保持部材(52c+64)の間に張架された前記ビーム遮断部材51の部分と前記試料Sの試料加工面S1との間隔(L1−L3)(図6参照)が前記試料Sの厚さに関係なく所定値(L1−L3)に保持できるようになっている。
なお、前記符号51〜67で示された符号から前記ビーム遮断部材支持装置Uが構成される。
【0059】
(実施例1の作用)
図3、図5において、シリコンウエハーなどから10mm×10mm×1mmの大きさの板状の加工前の試料Sを切り出す。前記試料ホルダHの試料支持部材43を指または治具によって下方(−Z方向)へ押圧して、前記試料支持部材43の試料載置面43b上に前記試料Sを載置する。指または治具を前記試料支持部材43から離すと、前記試料支持部材43は前記圧縮ばね42によって上方(Z方向)へ押圧されて、前記試料載置面43上に載置された試料Sの上面である加工面S1が前記試料ホルダHの試料位置規制部47の基準面47dに押圧される。
【0060】
図1、図2において、前記試料Sを装着した試料ホルダHを前記試料ステージSTのホルダ支持部材29上に装着し、前記ホルダ支持部材29の回転を抑えた状態で前記回転部材28を手動で回転させて前記ホルダ支持部材29を上下方向(Z軸方向)に移動させて、前記ホルダ支持部材29上の試料Sの加工面S1が前記試料ステージSTのY軸回りの回転中心に一致するように高さ調整を行う。前記試料ステージSTのホルダ支持部材29を所望の高さにした状態で前記ホルダ支持部材29のフランジ部分に螺合する回転止め用ねじ33,33の先端部を前記回転部材28のフランジ部分の上面に当接させて、前記回転部材28およびホルダ支持部材29が一体的に回転するように固定する。
【0061】
前記ビーム遮断部材支持装置Uの高さ調整用ねじ67の先端のボール67aと前記遮断部材支持ベース52の遮断部材スライド面52c,52cとの距離L3が1〜1.01mmとなるように設定する。
この実施例1の試料ホルダHの上面である調整ねじ当接面47cと試料Sの加工面S1との距離L1は加工上ほぼ一定にしてある。したがって、前記調整ねじ当接面47cに前記高さ調整用ねじ67を当接させることにより、試料Sの厚さが異なっても前記加工面S1と前記ビーム遮断部材51との間隔が所定値(L1−L3)に保持される。
【0062】
前記試料ホルダHを試料加工室A1内に配置して試料加工室A1を真空フランジ4により閉じる。
前記試料ステージSTをY軸回りに±60°連続傾斜させながらイオン照射を行う。このとき、加工面S1の前記ビーム遮断部材51によって陰となる部分(ビーム非照射領域)以外の部分がミリングされる。
前記加工終了後、前記試料ステージSTのY軸回りに80°に傾斜させて、前記加工面S1に入射する前記イオンビームIBの角度を小さくして断面表面のクリニーングを行う。
前記クリーニング作業終了後、走査型電子顕微鏡用の観察試料が完成する。
【0063】
この実施例1においては、次の試料Sを加工する場合、試料加工室A1外で試料Sの交換をするとともに前記ビーム遮断部材支持装置Uの巻取用部材57を手動で回転させて、ビーム遮断部材51の前記イオンビームIBの照射を受けた部分を巻き取り、前記試料Sの加工面S1上の位置に前記送出用部材56に巻き付いていたビーム遮断部材51の前記イオンビームIBの照射を受けていない新しい部分を供給する。前記遮断部材支持ベース52の後側部分に螺合する回り止めねじ58をねじ込み、前記巻取用部材57が回転しないように固定して、前記ビーム遮断部材51の新しい部分の前記位置を保持し、再び試料作成作業を行う。したがって、前記送出用部材56および巻取用部材57を回転させるだけで前記ミリングによってイオンビームIBの照射を受けず細くなっていないビーム遮断部材51を容易に供給することが可能となり、試料作成作業の手間が省ける。
【0064】
(実施例2)
図10は本発明の実施例2の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置の要部拡大説明図で、図10Aは前記ビーム遮断部材支持装置の平面図、図10Bは前記図10Aの矢印XB方向から見た図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0065】
図10において、この実施例2では、ビーム遮断部材支持装置Uのべース52上には、連結ねじ71によって略円板状の遮断部材支持部材72が、回転可能に支持されている。
前記遮断部材支持部材72は、外周部が上下方向に切徐された形状の7個のビーム通過部72aと、前記ビーム通過部72aの幅より大きな幅に形成されたばね収容部72bと、外側部に形成されて、前記ビーム通過部72aを横断するビーム遮断部材51が巻き付けられている遮断部材収容凹部72cとを有している。前記遮断部材支持部材72の上面には、前記遮断部材支持部材72を回転させるための操作用ノブ72dが設けられている。また、前記実施例1の調整ねじ支持部材62、遮断部材ガイドピン63、リング部材64、ピン66、高さ調整用ねじ67は省略されている。
【0066】
前記遮断部材収容凹部72cの下側の部分は上側の部分より径が小さく形成されており、前記ビーム遮断部材51のすべての部分が遮断部材収容凹部72cの下側の部分に巻き付けられて上方へ移動しにくくなっている。
前記遮断部材収容凹部72cに巻き付けられているビーム遮断部材51の両端は、前記遮断部材支持部材72のばね収容部72bに収容される引っ張りばね73によって係止され、遮断部材収容凹部72cに固定されている。
なお、前記引っ張りばね73の代わりに前記遮断部材収容凹部72cに固定されたピンでビーム遮断部材51の両端を係止して固定することも可能である。その場合、ビーム遮断部材51がイオンビームIBにより熱膨張を起こすためビーム遮断部材51のたるみを取る部材(たとえば前記ビーム遮断部材51の一部を常時所定方向に押圧したり、引っ張って常に張力を作用させたりして前記ビーム遮断部材51のたるみを取る部材)が必要となる。
【0067】
(実施例2の作用)
前記ビーム遮断部材51のイオンビームIBを受けない新しい部分を前記試料Sの加工面S1上に移動させる場合には、前記試料加工室A1外で前記遮断部材支持部材72の操作用ノブ72dを操作し前記遮断部材支持部材72を回転させて、前記遮断部材支持部材72のビーム通過部72aを横断している新しいビーム遮断部材51を前記加工面S1上に移動させる。この実施例2において、前記遮断部材支持部材72は、連結ねじ71および前記遮断部材支持ベース52との摩擦力によって前記新しいビーム遮断部材51を前記加工面S1上に移動させた位置で停止する。
したがって、この実施例2では、前記遮断部材支持部材72を回転させるだけで前記ミリングによってイオンビームIBの照射を受けず細くなっていないビーム遮断部材51を容易に供給することが可能となり、試料作成作業の手間が省ける。
また、この実施例2では前記ミリングで新しいビーム遮断部材51をすべて使い終わった際には、前記遮断部材支持部材72を交換するだけなので、前記実施例1のように巻取用部材57および送出用部材56の両方を脱着して交換する場合と比べて手間がかからない。
【0068】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、試料ホルダHの被装着部材41および試料保持部(43〜47)とは一体的に形成することも可能である。
(H02)前記実施例1において、前記巻取用部材57の回転を止める回り止め部材58を省略することも可能である。この場合、前記巻取用部材57および送出用部材56を遮断部材支持ベース52との摩擦抵抗により所定の位置に保持することが可能である。
(H03)前記実施例2では、遮断部材支持部材72のビーム通過部72aが7個形成された場合を例示したが、前記ビーム通過部72aは7個以外の数に形成することが可能である。
(H04)前記実施例1のギヤ61は省略することも可能である。
(H05)前記各実施例の試料作成装置Dは透過型電子顕微鏡に使用する試料も作成可能である。
【0069】
【発明の効果】
前述の本発明の試料作成装置および試料ホルダは、下記の効果を奏することができる。
(E01)試料の加工位置において、試料の加工の際ビーム遮断部材のビームの照射を受けた部分と前記ビーム遮断部材のビームの照射を受けていない部分との取り替えを容易に行うことができる。
(E02)試料の厚さが変わっても前記試料の加工面の上下方向の位置を一定に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例1の試料作成装置の全体説明図で、図1Aは前記試料作成装置を上方から見た図、図1Bは前記試料作成装置の正面図で、前記図1Aの矢印IBから見た図である。
【図2】図2は前記図1Bの矢印II方向から見た図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置、試料ホルダおよび試料ステージの拡大説明図で、図3Aはビーム遮断部材支持装置を除いて前記試料ホルダおよび試料ステージを上方から見た図、図3Bは前記図3Aの試料ホルダおよび試料ステージのIIB−IIB線断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例1の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置の側面図である。
【図5】図5は本発明の試料作成装置の実施例1で使用する試料ホルダの斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例1の試料ホルダが試料ステージに装着された状態の拡大説明図で、図6Aは前記図3Bと同一方向から見た拡大断面図、図6Bは前記図6AのVIB−VIB線断面図である。
【図7】図7は前記図6Aの矢印VII方向から見た図である。
【図8】図8はビーム遮断部材支持装置と試料ホルダとの関係を示す拡大説明図で、図8Aは前記ビーム遮断部材支持装置および試料ホルダを上方から見た図、図8Bは前記図8Aの矢印VIIIB方向から見た部分断面図である。
【図9】図9はビーム遮断部材支持装置の要部拡大説明図で、図9Aは前記ビーム遮断部材支持装置の平面図、図9Bは前記図9AのIXB−IXB線断面図、図9Cは前記図9Aの矢印IXC方向から見た部分断面図である。
【図10】図10は本発明の実施例2の試料作成装置に備えられたビーム遮断部材支持装置の要部拡大説明図で、図10Aは前記ビーム遮断部材支持装置の平面図、図10Bは前記図10Aの矢印XB方向から見た図である。
【図11】図11は従来の試料作成装置の全体説明図である。
【図12】図12は従来の試料作成装置の要部拡大説明図である。
【図13】図13は走査型電子顕微鏡用の試料作成方法の説明図である。
【図14】図14は透過型電子顕微鏡用の試料作成方法の説明図である。
【符号の説明】
A1…試料加工室、D…試料作成装置、H…試料ホルダ、IB…イオンビーム、S…試料、S1…加工面、ST…試料ステージ、t…保持部支持手段、
6…イオン照射装置、34…ホルダ装着部材、41…被装着部、42…弾性部材、43b…試料載置面、43…試料支持部材、44…試料位置規制部材、51…ビーム遮断部材、52…ベース、56…送出用部材、57…巻取用部材、58…回転位置保持手段、67…間隔調節部材、72…遮断部材支持部材、72a,47a…ビーム通過部、
(43〜47)…試料保持部、
(52c+64)…横断部分保持部。
Claims (2)
- 下記の要件を備えたことを特徴とする試料作成装置、
(A01)試料ホルダに保持された試料の加工面が真空に保持された試料加工室内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダを保持する試料ステージ、
(A02)前記試料加工面の上方に配置されて、前記試料加工面にイオンビームを入射させるイオン照射装置、
(A03)前記試料加工面に入射するイオンビームを横断し且つ前記試料加工面に接近して配置され、前記イオンビームの一部を遮断して前記試料加工面にイオンビームが照射されない線状のビーム非照射領域を形成する線状のビーム遮断部材、
(A04)ベースに回転可能に支持されて、前記イオンビームが通過する複数のビーム通過部を外周部に有し、前記複数のビーム通過部を前記ビーム遮断部材が横断する状態で前記ビーム遮断部材を支持するとともに、回転時に前記複数の各ビーム通過部が順次前記イオンビームを横断する位置に移動する遮断部材支持部材、
(A05)前記ベース上に回転可能に支持された前記遮断部材支持部材を所定の回転位置に保持する回転位置保持手段。 - 下記の要件を備えたことを特徴とする試料作成装置、
(B01)試料ホルダに保持された試料の加工面が真空に保持された試料加工室内の試料作成位置に配置されるように前記試料ホルダを保持する試料ステージ、
(B02)前記試料加工面の上方に配置されて、前記試料加工面にイオンビームを入射させるイオン照射装置、
(B03)前記試料加工面の上方から入射するイオンビームを横断し且つ前記試料加工面に接近して配置され、前記イオンビームの一部を遮断して前記試料加工面にイオンビームが照射されない線状のビーム非照射領域を形成する線状のビーム遮断部材、
(B04)前記試料加工面に入射するイオンビームを横断して移動する前記線状のビーム遮断部材を送り出す送出用部材および前記送り出された線状のビーム遮断部材を巻き取る巻取用部材であって、ベースに回転可能に支持された前記送出用部材および前記巻取用部材、
(B05)前記ベース上に回転可能に支持された前記送出用部材および巻取用部材を所定の回転位置に保持する回転位置保持手段。
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