JP3583185B2 - 水素吸蔵合金利用冷熱発生装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水素吸蔵合金利用冷熱発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置として、例えば特開平5−157398号公報に開示されるものがある。この水素吸蔵合金利用冷熱発生装置は、熱媒を選択的に供給する熱媒体通路が付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器の所定の2個同士を、バルブを介在する水素管によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路を3方切替弁を介して熱源又は冷熱源に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路を冷熱源、他の熱媒体通路又は被冷却部に選択的に接続可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0003】
しかしながら、この従来の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置にあつては、次の技術的課題を有する。
(1)対をなす水素吸蔵合金収容容器の間では、単に水素が流通するのみであり、加熱源によつて加熱される一方の水素吸蔵合金収容容器内の水素吸蔵合金から放出される高温の水素が、そのまま他方の水素吸蔵合金収容容器内に流入することとなる。このため、他方の水素吸蔵合金収容容器内の水素吸蔵合金の温度上昇を生じ、水素の吸蔵効率に劣る。
【0004】
(2)同じ組の低温側又は高温側の水素吸蔵合金収容容器同士の間では、熱交換による顕熱回収を行わないので、第1冷凍工程と第2冷凍工程の切り換えに際し、低温側又は高温側の水素吸蔵合金収容容器の温度変化にエネルギーを浪費する。従つて、効率に劣る。
【0005】
(3)2組の水素吸蔵合金収容容器を配置して順次の温度低下を図るものであるが、各組の温度に応じた適正な低温用熱媒体の使用がなされていない。このため、管路抵抗、ポンプの駆動力等の低減を図りつつ、低温用熱媒体によつて所定の冷熱を取り出すことができない。
【0006】
(4)冷熱を得るための低温用熱媒体を貯溜するタンクを備えない。このため、水素吸蔵合金収容容器から取り出された冷熱が、不均一な温度のままで冷凍庫等に供給されることとなる。その結果、冷凍庫等の被冷却部に対して高度の温度制御を行うことができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、請求項1の発明の構成は、熱媒を選択的に供給する熱媒体通路1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8aが付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の所定の2個同士を、バルブ12,14,16,18を介在する水素管21,22,23,24によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の各熱媒体通路1a,3a,5a,7aを熱源40又は冷熱源41に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8の各熱媒体通路2a,4a,6a,8aに低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各対の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の水素管21,26、22,28、23,30、24,32を一対形成し、各対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間に蓄熱装置120を介在させ、蓄熱装置120を介して一対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間で熱交換を行わせることを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0008】
請求項2の発明の構成は、熱媒を選択的に供給する熱媒体通路1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8aが付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の所定の2個同士を、バルブ12,14,16,18を介在する水素管21,22,23,24によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の各熱媒体通路1a,3a,5a,7aを熱源40又は冷熱源41に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8の各熱媒体通路2a,4a,6a,8aに低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各対の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の水素管21,26、22,28、23,30、24,32をそれぞれ一対形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7から他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8に向けて水素を流す水素管21,22,23,24に、水素を冷却するガス用クーラ11,13,15,17を設け、少なくとも各組で循環使用される低温用熱媒体の昇温を抑制させることを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0009】
請求項3の発明の構成は、熱媒を選択的に供給する熱媒体通路1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8aが付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の所定の2個同士を、バルブ12,14,16,18を介在する水素管21,22,23,24によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の各熱媒体通路1a,3a,5a,7aを熱源40又は冷熱源41に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8の各熱媒体通路2a,4a,6a,8aに低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
第1組の熱媒体通路2a,4aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、該第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aに選択的に供給し、他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに選択的に供給すると共に、第2組の熱媒体通路6a,8aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに選択的に供給し、他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器8,6の熱媒体通路8a,6aに選択的に供給し、かつ、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに供給する第2低温用熱媒体との間で熱交換させる熱交換器70を配置することを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0010】
請求項4の発明の構成は、他方の第2低温用熱媒体を貯溜する第3タンク60を設けることを特徴とする請求項3の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0011】
請求項5の発明の構成は、熱媒を選択的に供給する熱媒体通路1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8aが付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の所定の2個同士を、バルブ12,14,16,18を介在する水素管21,22,23,24によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の各熱媒体通路1a,3a,5a,7aを熱源40又は冷熱源41に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8の各熱媒体通路2a,4a,6a,8aに低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各組の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8の熱媒体通路2a,4a、6a,8a同士を接続する顕熱回収回路85,86を設け、該顕熱回収回路85,86に低温用熱媒体を通すことにより各組の低温側毎に顕熱を回収し、
水素管21,22,23,24に、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7から他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8に向けて流れる水素を冷却するガス用クーラ11,13,15,17を設け、
第1組の熱媒体通路2a,4aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、該第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第2タンク51に貯溜する一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aに選択的に供給し、第1タンク50に貯溜する他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに選択的に供給すると共に、第2組の熱媒体通路6a,8aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第4タンク61に貯溜する一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに選択的に供給し、第3タンク60に貯溜する他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器8,6の熱媒体通路8a,6aに選択的に供給し、かつ、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに供給する第2低温用熱媒体との間で熱交換させる熱交換器70を配置することを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0012】
請求項6の発明の構成は、各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3、5,7の熱媒体通路1a,3a、5a,7a同士を接続する高温側顕熱回収回路94,95を設け、熱媒を該高温側顕熱回収回路94,95内で循環させることにより各組の高温側毎に顕熱を回収することを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0013】
請求項7の発明の構成は、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8の熱媒体通路2a,4a、6a,8a同士を接続する顕熱回収回路85,86に、成層型蓄熱槽90,91、92,93を設けることを特徴とする請求項5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0014】
請求項8の発明の構成は、各対の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の水素管21,26、22,28、23,30、24,32を一対形成し、一方の水素管26,28,30,32に、高温側に向けて水素を送る容器用ポンプ110を設けることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0015】
請求項9の発明の構成は、各対の水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8の水素管21,26、22,28、23,30、24,32を一対形成し、各対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間に蓄熱装置120を介在させ、蓄熱装置120を介して一対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間で熱交換を行わせることを特徴とする請求項3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置である。
【0016】
【作用】
請求項1の発明によれば、蓄熱装置120を介して一対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間で熱交換を行わせる。しかして、冷凍工程に際し、水素の回収を行う各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8に流入する水素の温度低下が効果的になされると共に、水素の回収を行う各対の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7に流入する水素の温度上昇が効果的になされる。
【0017】
請求項2の発明によれば、冷凍工程において、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7から他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8に向けて水素管21,22,23,24を流れる水素が、それぞれガス用クーラ11,13,15,17によつて冷却される。しかして、各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8において冷凍工程の効率が向上する。
【0018】
請求項3の発明によれば、第1組の熱媒体通路2a,4aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、該第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aに選択的に供給し、他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに選択的に供給する。しかして、同種の第1低温用熱媒体同士の混合による弊害を恐れることなく、水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aに選択的に供給することができる。また、第2組の熱媒体通路6a,8aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに選択的に供給し、他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器8,6の熱媒体通路8a,6aに選択的に供給する。しかして、同種の第2低温用熱媒体同士の混合による弊害を恐れることなく、水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに選択的に供給することができる。
【0019】
そして、異種の第1,2組の低温用熱媒体、具体的には第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに供給する第2低温用熱媒体とを熱交換器70によつて熱交換させる。しかして、第1,2組における管路抵抗、ポンプの駆動力等の低減を図りつつ、異種の低温用熱媒体の混合を防止しながら所定の冷熱の取り出しがなされる。
【0020】
請求項4の発明によれば、第2組の冷熱の取り出しを行う第2低温用熱媒体を第3タンク60に貯溜させるので、第3タンク60に貯溜されて温度が均一化された第2低温用熱媒体によつて冷熱の取り出しを行うことができる。その結果、冷凍庫等からなる被冷却部の冷凍が安定的になされる。
【0021】
請求項5の発明によれば、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8の熱媒体通路2a,4a、6a,8a同士を接続する顕熱回収回路85,86を設け、水素管21,22,23,24に、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7から他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8に向けて流れる水素を冷却するガス用クーラ11,13,15,17を設けたので、顕熱回収回路85,86の作用と上記請求項2の発明の作用が融合して得られる。顕熱回収回路85,86を設ければ、第1組の低温側にある顕熱回収回路85及び第2組の低温側にある顕熱回収回路86を使用して、顕熱回収工程が行われる。すなわち、第1組の低温側では、顕熱回収回路85内に予め充填してある低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の均一化を図る。この作業は、水素吸蔵合金収容容器2内が例えば25℃から7℃に低下し、水素吸蔵合金収容容器4内が例えば−20℃から−2℃に上昇する程度に行えばよい。また、第2組の低温側では、顕熱回収回路86内に予め充填してある低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路6a,8aを通じて水素吸蔵合金収容容器6,8内の温度の均一化を図る。この作業は、水素吸蔵合金収容容器6内が例えば−10℃から−26℃に低下し、水素吸蔵合金収容容器8内が例えば−50℃から−34℃に上昇する程度に行えばよい。同様に水素吸蔵合金収容容器4内を降温させ、水素吸蔵合金収容容器2内を昇温させ、また、水素吸蔵合金収容容器8内を降温させ、水素吸蔵合金収容容器6内を昇温させることができる。かくして、各組の低温側の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8において顕熱が回収され、その後に行う冷凍工程の効率が向上する。
【0022】
加えて、第1組の熱媒体通路2a,4aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第2タンク51に貯溜する一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aに選択的に供給し、第1タンク50に貯溜する他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに選択的に供給すると共に、第2組の熱媒体通路6a,8aに供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第4タンク61に貯溜する一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに選択的に供給し、第3タンク60に貯溜する他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器8,6の熱媒体通路8a,6aに選択的に供給し、かつ、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器4,2の熱媒体通路4a,2aに供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aに供給する第2低温用熱媒体との間で熱交換させる熱交換器70を配置する。
【0023】
しかして、請求項3,4と同様の作用が得られる他、第1組の熱媒体通路2a,4aに適正温度の第1低温用熱媒体を選択的に供給することが可能であると共に、第2組の熱媒体通路6a,8aに適正温度の第2低温用熱媒体を選択的に供給することが可能である。加えて、熱交換器70によつて、所定の第1低温用熱媒体と第2低温用熱媒体との間で熱交換させるので、適正温度を与えた第1低温用熱媒体と第2低温用熱媒体との混合を防止して、管路抵抗、ポンプの駆動力等の低減を図りつつ、2種の低温用熱媒体によつて所定温度の冷熱を効果的に取り出すことができる。その結果、各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8において、冷凍工程の効率が著しく向上する。
【0024】
請求項6の発明によれば、各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3、5,7の熱媒体通路1a,3a、5a,7a同士を接続する高温側顕熱回収回路94,95を設け、各組の高温側毎に顕熱を回収するので、冷凍工程の効率を向上させることが可能である。
【0025】
請求項7の発明によれば、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8の熱媒体通路2a,4a、6a,8a同士を接続する顕熱回収回路85,86に、成層型蓄熱槽90,91、92,93を設けるので、冷凍工程への切替えに先立ち、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4、6,8内の温度をより適正な温度に予め昇降変更することが可能になる。
【0026】
請求項8の発明によれば、各対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の一方に、高温側に向けて水素を送る容器用ポンプ110を設ける。このため、冷熱の取り出しを行う各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8において、水素放出が効果的になされ、冷凍工程の効率が向上する。
【0027】
請求項9の発明によれば、蓄熱装置120を介して一対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32の間で熱交換を行わせる。しかして、冷凍工程に際し、水素の回収を行う各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8に流入する水素の温度低下が効果的になされると共に、水素の回収を行う各対の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7に流入する水素の温度上昇が効果的になされる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明の1実施例に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置を示す。水素吸蔵合金利用冷熱発生装置は、図1に示すように蒸気、冷却水等の熱媒(冷媒を含む。以下同じ)の循環部X、水素の吸放出部Y及び熱媒である低温用熱媒体の循環部Zを備える。ここで、低温用熱媒体は、塩化カルシウム水溶液、フロリナート等である。水素の吸放出部Yは、第1対〜第4対をなす水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8を有する。各対をなす水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8同士は、それぞれの対が水素ガス用クーラ11,13,15,17及びバルブ12,14,16,18を介在する水素管21,22,23,24によつて連通されると共に、バルブ25,27,29,31を介在する水素管26,28,30,32によつても連通されている。水素ガス用クーラ11,13,15,17は、対をなす一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7に発生する高温の水素ガスを冷却して、他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8に導入する機能を有する。
【0029】
各水素吸蔵合金収容容器1,2,3,4,5,6,7,8には、それぞれ熱交換用の熱媒体通路1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8aが付属されている。各対の一方の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の熱媒体通路1a,3a,5a,7aは、後記する熱源40又は冷熱源41に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8の熱媒体通路2a,4a,6a,8aは、後記する低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、第1,2対が第1組を構成し、該第3,4対が第2組を構成している。この高温側にある水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7内には、水素平衡圧力が最低の水素吸蔵合金、具体的にはTi0.3Zr0.7Cr1.7Fe0.4Mr0.4Cu0.2 を収容し、低温側の内、第1組にある水素吸蔵合金収容容器2,4内には、水素平衡圧力が中間の水素吸蔵合金、具体的にはTi0.65Zr0.35Cr1.2Fe0.3Mr0.4Ni0.1 Cu0.1 を収容し、低温側の内、第2組にある水素吸蔵合金収容容器6,8内には、水素平衡圧力が最高の水素吸蔵合金、具体的にはTi0.7Zr0.3Cr1.0Fe0.3Mr0.4Ni0.3 Cu0.1 を収容している。
【0030】
また、第1組の低温側にある水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4a同士及び第2組の低温側にある水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8a同士は、それぞれ顕熱回収回路85,86によつて接続させる。中温系となる第1組の低温側にある熱媒体通路2a,4aを接続させる顕熱回収回路85は、熱媒体通路2aの下流側のバルブ32及び熱媒体通路2a,4aの各上流側のバルブ33,34並びにポンプ35を介在している。低温系となる第2組の低温側にある熱媒体通路6a,8aを接続させる顕熱回収回路86は、熱媒体通路6aの下流側のバルブ36及び熱媒体通路6a,8aの各上流側のバルブ37,38並びにポンプ39を介在している。
【0031】
熱媒の循環部Xは、ガスボイラー等からなり、高温(150℃)の加熱蒸気を高温熱媒として出す熱源40と、クーリングタワー等からなり、ほぼ常温(32℃)の水をほぼ常温熱媒として出す冷熱源41とを備え、それぞれバルブ42a〜42e,43a〜43e,44a〜44e,45a〜45eの切換え操作により、高温側の所定の水素吸蔵合金収容容器1,3,5,7の熱媒体通路1a,3a,5a,7aに高温熱媒又はほぼ常温熱媒を選択的に供給することができる。熱源40からの熱媒は、バルブ42a,43a,44a,45a及び42d,43d,44d,45dの開閉操作により、熱媒体通路1a,3a,5a,7aを適宜に通過した後、ドレイン回路19aから外部にドレインされ、また、冷熱源41からの熱媒は、バルブ45b,44b,43b,42b及び45c,44c,43c,42cの開閉操作により、循環使用される。なお、冷熱源41からの熱媒は、バルブ45e,44e,43e,42eの開閉操作により、ベント回路19bから外部に放出させることもできる。
【0032】
低温用熱媒体の循環部Zは、第1冷熱(−17℃)状態の第1低温用熱媒体を貯める第1タンク50と、第1低温用熱媒体を貯溜する第2タンク51とを備え、混合を生ずる第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させてある。第1タンク50の第1低温用熱媒体は、バルブ52a,52b又は53a,53bの開閉操作を行うと共にポンプ57の駆動により、第1組の低温側にある各水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aのいずれか一方に切換え供給され、循環使用される。第1タンク50は、循環する第1低温用熱媒体を貯溜かつ混合させ、均一温度(−17℃程度)の第1低温用熱媒体を得る機能を有する。第2タンク51の第1低温用熱媒体は、バルブ55a,56a又は55b,56bの開閉操作を行うと共にポンプ54の駆動により、各水素吸蔵合金収容容器2,4の熱媒体通路2a,4aの他方に切換え供給され、循環使用される。59は、低温用熱媒体用温度調節器であり、第2タンク51から流出して他方の熱媒体通路2a,4aに供給される第1低温用熱媒体の温度を常温(25℃よりも若干低温)に調節する機能を有する。
【0033】
更に、低温用熱媒体の循環部Zは、第2冷熱(−45℃)状態の第2低温用熱媒体を貯める第3タンク60と、第2低温用熱媒体を貯溜する第4タンク61とを備え、混合を生ずる第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させてある。第3タンク60の第2低温用熱媒体は、バルブ63a,64a又は63b,64bの開閉操作を行うと共にポンプ67の駆動により、第2組の低温側にある各水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aのいずれか一方に切換え供給され、循環使用される。第3タンク60は、第2低温用熱媒体を貯溜かつ混合させ、均一温度(−45℃)の第2低温用熱媒体を得る機能を有する。また、第4タンク61の第2低温用熱媒体は、バルブ65a,66a又は65b,66bの開閉操作を行うと共にポンプ64の駆動により、各水素吸蔵合金収容容器6,8の熱媒体通路6a,8aの他方に切換え供給され、循環使用される。
【0034】
熱交換器70は、第1低温用熱媒体と第2低温用熱媒体との間で熱交換を行わせる。熱交換器70は、第2組の低温側にある熱媒体通路6a及び8aの上流側であつて、第4タンク61に付属するポンプ64とバルブ65a,65bとの間に介装され、第1組の低温側にある熱媒体通路2a又は4aのいずれか一方を通つて第1冷熱(−17℃)状態となつた第1低温用熱媒体がポンプ58によつて送り込まれ、熱媒体通路6a又は8aのいずれか一方に供給される前の第2低温用熱媒体を第1冷熱(−17℃)に近い程度にまで冷却する。ここで、第1低温用熱媒体と第2低温用熱媒体とは、異種の低温用熱媒体によつて構成し、効率化を図る。すなわち、低温用熱媒体の粘性を調節して管路抵抗を削減し、ポンプ54,57,58、64,67,73の負荷を低減させつつ熱移動を効果的に行わせる。実際には、低温用熱媒体として例えば塩化カルシウム水溶液を使用する場合は、水溶液の濃度を変えて異種の低温用熱媒体とすればよい。
【0035】
この第3タンク60に貯めた第2冷熱(−45℃)状態の第2低温用熱媒体は、冷凍庫等からなる被冷却部72の冷凍用に供される。すなわち、ポンプ73によつて送られる第2低温用熱媒体は、被冷却部72内のフィンコイルユニット型等の熱交換器74を通り、被冷却部72内の冷凍に供される。80は、ヒータを内蔵したタンクであり、ポンプ81の駆動によつてヒータによつて適当に昇温させた第2低温用熱媒体を被冷却部72内の熱交換器74に供給し、昇温させることによつて熱交換器74に付着した霜を除去する。
【0036】
次に、上記実施例の作用について説明する。
先ず、第1サイクルとしての第1冷凍工程について図2,図6を参照して説明する。
バルブ42a,44a,42d,44dを開いて第1,3対の一方(高温側)の水素吸蔵合金収容容器1,5の熱媒体通路1a,5aに高温熱媒を通して水素吸蔵合金収容容器1,5内の水素吸蔵合金を共に加熱(150℃)すると共に、バルブ43c,45c,43b,45bを開いて第2,4対の一方(高温側)の水素吸蔵合金収容容器3,7の熱媒体通路3a,7aにほぼ常温熱媒(32℃)を通して水素吸蔵合金収容容器3,7内の水素吸蔵合金を共に冷却(35℃)する。
【0037】
次に、第1,3対の各水素管21,23のバルブ12,16を次第に開けば、水素吸蔵合金収容容器1,5内で加熱されて放出された水素ガスが、ガス用クーラ11,15を通つて冷却されながら水素吸蔵合金収容容器2,6内に入り、水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵される。ガス用クーラ11,15は、水素管21,23を通る水素を冷却し、水素吸蔵合金収容容器1,5内での加熱状態のままで水素吸蔵合金収容容器2,6内に入ることを防止し、水素吸蔵合金収容容器2,6の内部ひいては熱媒体通路2a,6aを流れる第1,第2低温用熱媒体の昇温を抑制する。これにより、水素吸蔵合金収容容器2,6での水素吸蔵が安定的かつ良好になされるようになると共に、顕熱回収工程を経た後に個別に混合を生ずる第1,第2低温用熱媒体の昇温が抑制される。かくして、予め冷却されていた水素吸蔵合金収容容器2,6内が所定の温度上昇をする。
【0038】
これにより、予め水素吸蔵状態にある水素吸蔵合金収容容器1,5内が、図6にAで示すように高温(150℃)かつ高圧になると共に、予め水素が放出された状態にある第2,4対の一方の水素吸蔵合金収容容器3,7内が、図6にBで示すように冷熱源41のほぼ常温熱媒(32℃)よりも若干高温のほぼ常温(35℃)かつ低圧になる。また、予め水素が放出された状態にある第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器2内が、図6にCで示すようにほぼ常温(25℃)かつAよりも低圧になる。予め水素が放出された状態にある第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器6内の水素吸蔵合金は、比較的低温(−10℃)でAよりも若干低圧(E)状態になる。
【0039】
一方、第2,4対の各水素管28,32のバルブ27,31を次第に開けば、水素吸蔵合金収容容器3,7内が35℃に冷却されているので、予め水素が吸蔵された状態にある水素吸蔵合金収容容器4,8内で水素ガスが放出されて水素吸蔵合金収容容器3,7内に入り、水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵される。かくして、水素吸蔵合金収容容器4,8内が温度低下する。これにより、水素吸蔵合金収容容器4内は、比較的低圧状態ではあるが、比較的低温(−20℃)でBよりも若干高圧(D)状態になる。また、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8内の水素吸蔵合金は低温(−50℃)でBよりも高圧(F)状態になる。
【0040】
このようにして水素吸蔵合金収容容器2内がほぼ常温(25℃)になり、水素吸蔵合金収容容器6内が所定の冷却温度(−10℃)になり、水素吸蔵合金収容容器4内が比較的低温(−20℃)になり、水素吸蔵合金収容容器8内が低温(−50℃)になつたなら、バルブ55a,56a、65a,66a、53a,53b、63b,64bを開き、かつ、ポンプ54,64,57,58,67をそれぞれ駆動する。これにより、水素吸蔵合金収容容器2,6での水素回収が継続的に行われ、水素吸蔵合金収容容器4,8での冷熱の取り出しが継続的に行われるようになる。
【0041】
バルブ55a,56aを開き、かつ、ポンプ54を駆動すれば、水素吸蔵合金収容容器1内の水素吸蔵合金が加熱されて放出された水素ガスが、ガス用クーラ11を通つて冷却されながら水素吸蔵合金収容容器2内に入り、水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵される(A−C)。その際、第2タンク51の第1低温用熱媒体が低温用熱媒体用温度調節器59を通つて若干冷却されて、第1対の他方(低温側)の水素吸蔵合金収容容器2の熱媒体通路2aに通されて、水素吸蔵合金収容容器2内の水素吸蔵合金がほぼ常温(25℃)に維持される。
このようにして、水素吸蔵合金収容容器2内に生じた熱が第1低温用熱媒体によつて吸熱されながら、水素吸蔵合金収容容器2内の水素吸蔵合金に水素が吸蔵回収される。
【0042】
バルブ53a,53bを開き、かつ、ポンプ57を駆動すれば、第2対の一方の水素吸蔵合金収容容器3内の水素吸蔵合金が冷却されながら水素の吸蔵を行い、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4内の水素吸蔵合金が水素放出によつて温度低下して比較的低温(−20℃)にあるので、水素吸蔵合金収容容器4の熱媒体通路4aに通された第1低温用熱媒体が第1冷熱(−17℃)状態となつて第1タンク50に貯溜される。このようにして水素吸蔵合金収容容器4内から放出された水素は、バルブ27を開いた水素管28を通つて第2対の一方の水素吸蔵合金収容容器3内の水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵回収される(D−B)。この発生熱は冷熱源41で放熱される。
【0043】
また、バルブ65a,66aを開き、かつ、ポンプ64を駆動すれば、第3対の一方の水素吸蔵合金収容容器5内の水素吸蔵合金が加熱されて放出された水素ガスが、ガス用クーラ15を通つて冷却されながら水素吸蔵合金収容容器6内に入り、水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵される(A−E)。その際、第4タンク61の第2低温用熱媒体が熱交換器70を経て第3対の他方(低温側)の水素吸蔵合金収容容器6の熱媒体通路6aに通され、水素吸蔵合金収容容器6内に生じた熱が第2低温用熱媒体によつて吸熱されながら、水素吸蔵合金収容容器6内の水素吸蔵合金に水素が吸蔵回収される。第4タンク61の第2低温用熱媒体が熱交換器70を通ることにより、第4タンク61側の第2低温用熱媒体が、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器4の熱媒体通路4aを通つて第1冷熱(−17℃)状態となつた第1低温用熱媒体と熱交換されて冷却されるので、水素吸蔵合金収容容器6内の温度上昇が抑制され、−10℃に維持される。
【0044】
更に、バルブ63b,64bを開き、かつ、ポンプ67を駆動すれば、第4対の一方の水素吸蔵合金収容容器7内の水素吸蔵合金が冷却されながら水素の吸蔵を行い、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器8内の水素吸蔵合金が水素放出によつて温度低下する傾向にあるので、水素吸蔵合金収容容器8の熱媒体通路8aに通された第2低温用熱媒体が第2冷熱(−45℃)状態となつて第2タンク60に貯溜される。このようにして水素吸蔵合金収容容器8内から放出された水素は、バルブ31を開いた水素管32を通つて第4対の一方の水素吸蔵合金収容容器7内の水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵回収される(F−B)。この発生熱は冷熱源41で放熱される。
【0045】
水素吸蔵合金収容容器8の熱媒体通路8aを通つて−45℃に冷却された第2低温用熱媒体は、ポンプ73の駆動により、被冷却部72の熱交換器74に供給される。しかして、熱媒体通路8aに入る第2低温用熱媒体は、第3タンク60に貯溜されて均一温度に保たれた状態で送り込まれるので、熱媒体通路8aを出て直接又は第3タンク60に貯溜された後に熱交換器74に供給された際、均一温度を良好に維持している。更に、ポンプ67の停止時にあつても、ポンプ73の駆動によつて第3タンク60に貯溜された第2低温用熱媒体が熱交換器74に供給されるので、被冷却部72の冷凍作業を中断させる必要がなくなる。
【0046】
第2サイクルとしての顕熱回収工程について図3を参照して説明する。
第1組の低温側にある顕熱回収回路85及び第2組の低温側にある顕熱回収回路86を使用して、顕熱回収工程が行われる。すなわち、第1組の低温側では、バルブ32,33,34を開くと共にポンプ35を駆動し、顕熱回収回路85内に予め充填してある第1低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の均一化を図る。この作業は、図3に示すように水素吸蔵合金収容容器2内が25℃から7℃に低下し、水素吸蔵合金収容容器4内が−20℃から−2℃に上昇する程度に行えばよい。また、第2組の低温側では、バルブ36,37,38を開くと共にポンプ39を駆動し、顕熱回収回路86内に予め充填してある第2低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路6a,8aを通じて水素吸蔵合金収容容器6,8内の温度の均一化を図る。この作業は、図3に示すように水素吸蔵合金収容容器6内が−10℃から−26℃に低下し、水素吸蔵合金収容容器8内が−50℃から−34℃に上昇する程度に行えばよい。
【0047】
一方、バルブ42b,42c,43a,43d,44b,44c,45a及び45dを開き、水素吸蔵合金収容容器1,5の熱媒体通路1a,5aを冷熱源41に接続させて内部の水素吸蔵合金を35℃程度に降温させると共に、水素吸蔵合金収容容器3,7の熱媒体通路3a,7aを熱源40に接続させて内部の水素吸蔵合金を150℃程度に昇温させる。これにより、加熱を受ける水素吸蔵合金収容容器3,7内が図6のAになり、冷却を受ける水素吸蔵合金収容容器1,5内がBになる。しかして、顕熱回収工程を行うことにより、各水素吸蔵合金収容容器1,2,3,4,5,6,7,8が、それぞれ次の冷凍工程により適した温度に変更される。顕熱回収工程の終了後は、ポンプ35,39を停止し、バルブ32,33,34,36,37,38を閉じる。
【0048】
第3サイクルとしての冷凍工程について図4を参照して説明する。
第3サイクルの冷凍工程では、第1対〜第4対をなす水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8において、第1サイクルの冷凍工程と逆向きに水素を流通させる。すなわち、前記顕熱回収工程と同様に水素吸蔵合金収容容器3及び7内の水素吸蔵合金を150℃に加熱すると共に、水素吸蔵合金収容容器1及び5内の水素吸蔵合金を32℃に冷却する。そして、図4に示すように水素管26のバルブ25を開くことにより、水素吸蔵合金収容容器2内がDに、水素管22のバルブ14を開くことにより、水素吸蔵合金収容容器4内がCに、水素管30のバルブ29を開くことにより、水素吸蔵合金収容容器6内がFに、水素管24のバルブ18を開くことにより、水素吸蔵合金収容容器8内がEになる。
【0049】
この状態からバルブ55b,56b,65b,66bを開けば、水素吸蔵合金収容容器3及び7の加熱によつて放出される水素ガスが水素吸蔵合金収容容器4及び8に流入し、水素吸蔵合金収容容器4及び8において水素の回収がなされる。水素吸蔵合金収容容器4では、水素吸蔵に伴つて発熱作用を生ずるが、第2タンク51の第1低温用熱媒体が低温用熱媒体用温度調節器59を通つて熱媒体通路4aに供給されているので、約25℃に維持される。同時に、水素吸蔵合金収容容器8の水素吸蔵合金は、熱交換器70によつて冷却された第2低温用熱媒体の熱媒体通路8aへの供給により、約−10℃に維持される。
【0050】
一方、水素吸蔵合金収容容器1及び5内の水素吸蔵合金が32℃に冷却され、水素吸蔵合金収容容器2内が−20℃に冷却され、水素吸蔵合金収容容器6内が−50℃に冷却された状態で、バルブ52a、52b、63a、64aを開けば、水素吸蔵合金収容容器2及び6において水素の放出がなされる。水素吸蔵合金収容容器2内の水素吸蔵合金から水素ガスが放出され、水素吸蔵合金収容容器1内の水素吸蔵合金に吸蔵回収される。これにより、水素吸蔵合金収容容器2の熱媒体通路2aを流れる第2低温用熱媒体が−20℃程度に冷却維持される。また、水素吸蔵合金収容容器6内の水素吸蔵合金から水素ガスが放出され、水素吸蔵合金収容容器5内の水素吸蔵合金に吸蔵回収される。これにより、第1サイクルとしての冷凍工程と同様に、水素吸蔵合金収容容器6の熱媒体通路6aを流れる第2低温用熱媒体が−50℃程度に冷却維持される。熱媒体通路6aを通つて約−50℃に冷却された第2低温用熱媒体は、約−45℃で被冷却部72の熱交換器74に供給される。
【0051】
第4サイクルとして行う再度の顕熱回収工程について図5を参照して説明する。
バルブ42a,42d,44a及び44dを開いて水素吸蔵合金収容容器1及び5内の水素吸蔵合金を150℃に加熱すると共に、バルブ43b,43c,45b及び45cを開いて、水素吸蔵合金収容容器3及び7内の水素吸蔵合金を32℃に冷却する。一方、バルブ32,33,34を開くと共に、ポンプ35を駆動し、第1組の低温側の水素吸蔵合金収容容器2及び4において第1低温用熱媒体を循環させ、図5に示すように水素吸蔵合金収容容器4を7℃に降温させ、水素吸蔵合金収容容器2を−2℃に昇温させる。また、バルブ36,37,38を開くと共に、ポンプ39を駆動し、第2組の低温側の水素吸蔵合金収容容器6及び8において第2低温用熱媒体を循環させ、水素吸蔵合金収容容器6を−34℃に昇温させ、水素吸蔵合金収容容器8を−26℃に降温させる。しかして、顕熱回収工程を行うことにより、各水素吸蔵合金収容容器1,2,3,4,5,6,7,8内の水素吸蔵合金が、それぞれ次の冷凍工程により適した温度に変更される。顕熱回収工程の終了後は、ポンプ35,39を停止し、バルブ32,33,34,36,37,38を閉じる。
【0052】
このようにして、上記1〜4サイクルを繰り返し実行することにより、第3タンク60内、ひいては被冷却部72内が冷凍温度(−45℃)に良好に維持される。
【0053】
被冷却部72の熱交換器74に霜が付着した場合には、デフロスト工程を行う。すなわち、ヒータ内装のタンク80内の第2低温用熱媒体を適当に昇温させ、この第2低温用熱媒体をポンプ81の駆動によつて被冷却部72内の熱交換器74に供給し、昇温させることによつて熱交換器74に付着した霜を除去する。
【0054】
図7には他の構造例を示す。先ず、各顕熱回収回路85,86にそれぞれ1個の成層型蓄熱槽90,92を設けると共に、各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3、5,7の熱媒体通路1a,3a、5a,7a同士を接続する高温側顕熱回収回路94,95をそれぞれ設ける場合について説明する。各顕熱回収回路85,86の成層型蓄熱槽90,92は、各熱媒体通路2a,6aの下流側であつてバルブ32,34、36,38の間に配置してある。
【0055】
成層型蓄熱槽90,92は、それぞれ内部が熱伝達率の小さな部材からなる多数の仕切りによつて区画されて自然対流が抑制される構造を有し、各顕熱回収回路85,86は各成層型蓄熱槽90,92の上部及び下部にそれぞれ接続されている。従つて、各成層型蓄熱槽90,92に蓄積された第1,2低温用熱媒体の温度分布が自然対流によつて均一になることが防止され、温度変化を生じながら送り込まれた第1,2低温用熱媒体がそのままの温度分布で蓄積される。
【0056】
いま、高温の水素吸蔵合金収容容器2,6の熱媒体通路2a,6aを通つた第1,2低温用熱媒体が各成層型蓄熱槽90,92に蓄積される場合には、図8に示すように最初に熱媒体通路2a,6aから送り出される第1,2低温用熱媒体は高温Tr1 にあり、時間の経過に伴つて水素吸蔵合金収容容器2,6内が次第に降温し、各成層型蓄熱槽90,92に下部から送り込まれる第1,2低温用熱媒体も次第に降温する。かくして、最初に各成層型蓄熱槽90,92の下部から送り込まれ、上方に押し上げられた第1,2低温用熱媒体ほど温度が高く、後から流入してきた第1,2低温用熱媒体の温度(Tr3 )が低いこととなり、高さに応じて図8に実線Aで示す温度勾配が生ずる。
【0057】
逆に、低温の水素吸蔵合金収容容器2,6の熱媒体通路2a,6aを通つた第1,2低温用熱媒体が各成層型蓄熱槽90,92に蓄積される場合には、図9に示すように最初に熱媒体通路2a,6aから送り出される第1,2低温用熱媒体は低温Tr4 にあり、時間の経過に伴つて水素吸蔵合金収容容器2,6内が次第に昇温し、各成層型蓄熱槽90,92に下部から送り込まれる第1,2低温用熱媒体も次第に昇温する。かくして、最初に各成層型蓄熱槽90,92の下部から送り込まれ、上方に押し上げられた第1,2低温用熱媒体ほど温度が低く、後から流入してきた第1,2低温用熱媒体の温度(Tr2 )が高いこととなり、高さに応じて図9に実線Bで示す温度勾配が生ずる。なお、温度Tr1 〜Tr4 は、それぞれ熱媒体通路2a,6aに応じた温度である。
【0058】
しかして、この第1組の低温側にある顕熱回収回路85によれば、第2サイクルとしての顕熱回収工程に際し、バルブ32,33,34を開くと共にポンプ35を駆動し、顕熱回収回路85内に予め充填してある第1低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の昇降変更を図る。これにより、成層型蓄熱槽90では、熱媒体通路2aを通つた最高温度25℃の高温の第1低温用熱媒体が下部から入つて次第に蓄熱され、充満されていた第1低温用熱媒体が上端部から押し出される。成層型蓄熱槽90から押し出された第1低温用熱媒体は、熱媒体通路4aを通つて水素吸蔵合金収容容器4内の昇温に供される。図8に斜線で示す部分が成層型蓄熱槽90内に回収された熱量になる。このようにして、顕熱回収を効果的に行うことができる。
【0059】
また、第4サイクルとしての顕熱回収工程に際しては、バルブ32,33,34を開くと共にポンプ35を駆動し、顕熱回収回路85内に予め充填してある第1低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の昇降変更を図る。これにより、−20℃の低温の水素吸蔵合金収容容器2内の第1低温用熱媒体が成層型蓄熱槽90の下部から入り次第に蓄熱され、充満されていた第1低温用熱媒体が上端部から押し出される。成層型蓄熱槽90から押し出された第1低温用熱媒体は、熱媒体通路4aを通じて水素吸蔵合金収容容器4内の降温に利用される。図9に斜線で示す部分が回収された熱量になる。このようにして、顕熱回収を効果的に行うことができる。
【0060】
同様に、第2組の低温側にある顕熱回収回路86においても、成層型蓄熱槽92に熱量を回収しながら、−50℃の第2低温用熱媒体と−10℃の第2低温用熱媒体との間で温度の昇降変更を行うことができる。
【0061】
また、図7に示すように各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器1,3、5,7の熱媒体通路1a,3a、5a,7a同士を接続する高温側顕熱回収回路94,95をそれぞれ設ければ、第2,4サイクルとして行う顕熱回収工程において、成層型蓄熱槽90,92を具えない各顕熱回収回路85,86と同様に、温度の均一化を図ることができる。すなわち、第1組の高温側では、バルブ121,122,123を開くと共にポンプ97を駆動し、顕熱回収回路94内に予め充填されている熱媒を循環させ、熱媒体通路1a,3aを通じて水素吸蔵合金収容容器1,3内の温度の均一化を図ることができる。同様に、第2組の高温側では、バルブ98,99,100を開くと共にポンプ101を駆動し、顕熱回収回路95内に予め充填されている熱媒を循環させ、熱媒体通路5a,7aを通じて水素吸蔵合金収容容器5,7内の温度の均一化を図ることができる。高温側顕熱回収回路94,95を設ける場合には、熱源40及び冷熱源41からの熱媒は、同質化させることが望ましい。
【0062】
また、図7に示すように蓄熱槽90,92に加えて、蓄熱槽91,93を設けることもできる。蓄熱槽91,93は、前記蓄熱槽90,92と同様の構造を有し、図8,図9に示す特性を有している。この場合、各顕熱回収回路85,86の成層型蓄熱槽91,93は、各熱媒体通路4a,8aの下流側であつてバルブ33a,33、37a,37の間に配置してある。新たに設けたバルブ33a,37aは、第1冷凍工程及び第2冷凍工程に際して、各水素吸蔵合金収容容器4,8に供給される第1,2低温用熱媒体と成層型蓄熱槽91,93内の第1,2低温用熱媒体との混合を防止する機能がある。
【0063】
顕熱回収回路85に成層型蓄熱槽91を設ければ、第2サイクルとしての顕熱回収工程に際し、バルブ32,33,33a,34を開くと共にポンプ35を駆動し、顕熱回収回路85内に予め充填してある第1低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の昇降変更を図る。これにより、成層型蓄熱槽90の作用に加え、成層型蓄熱槽91では、熱媒体通路4aを通つた最低温度−20℃の低温の第1低温用熱媒体が下部から入り次第に蓄熱され、充満されていた第1低温用熱媒体が上端部から押し出される。成層型蓄熱槽91から押し出された第1低温用熱媒体は、熱媒体通路2aを通じて水素吸蔵合金収容容器2内の降温に利用される。
【0064】
また、第4サイクルとしての顕熱回収工程に際しては、バルブ32,33,33a,34を開くと共にポンプ35を駆動し、顕熱回収回路85内に予め充填してある第1低温用熱媒体を循環させ、熱媒体通路2a,4aを通じて水素吸蔵合金収容容器2,4内の温度の昇降変更を図る。これにより、成層型蓄熱槽90の作用に加え、成層型蓄熱槽91では、熱媒体通路4aを通つた最高温度25℃の高温の第1低温用熱媒体が下部から入つて次第に蓄熱され、充満されていた第1低温用熱媒体が上端部から押し出される。成層型蓄熱槽91から押し出された第1低温用熱媒体は、熱媒体通路2aを通つて水素吸蔵合金収容容器2内の昇温に供される。
【0065】
同様に、第2組の低温側にある顕熱回収回路86においても、成層型蓄熱槽92,93を機能させながら、−50℃の第2低温用熱媒体と−10℃の第2低温用熱媒体との間で温度の昇降変更を行うことができる。しかして、各成層型蓄熱槽90,91,92,93は、水素吸蔵合金収容容器2,4,6,8内の温度の昇降変更を効率的に得るのに必要な量の第1,2低温用熱媒体が貯溜される容積を与えることが望まれる。
【0066】
図10には、第1対の水素吸蔵合金収容容器1,2を接続する一対の水素管21,26の一方、具体的には水素が高温側に向けて流通する水素管26に、高温側に向けて水素を送る容器用ポンプ110を設けた構造例を示す。この構造例によれば、図4に示す第3サイクルとしての冷凍工程において、水素吸蔵合金収容容器1が32℃の熱媒で冷却された状態でバルブ25を開くと共にバルブ52a、52bを開けば、水素吸蔵合金収容容器2内の水素吸蔵合金から水素が放出され、水素吸蔵合金収容容器1内の水素吸蔵合金に水素が吸蔵回収される。その際、容器用ポンプ110を駆動すれば、水素吸蔵合金収容容器2内の水素が水素吸蔵合金収容容器1内に強制的に送り込まれる。このため、水素吸蔵合金収容容器2内が減圧されて水素放出が促され、また、水素吸蔵合金収容容器1内で水素吸蔵が促される。その結果、熱媒体通路2aの冷却状態が早期かつ良好に得られることとなる。
【0067】
他の対をなす水素吸蔵合金収容容器3,4、5,6、7,8の水素が高温側に向けて流通する各水素管28,30,32に、同様に高温側に向けて水素を送る容器用ポンプ110を設けることにより、各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器4、6、8において水素放出が促され、熱媒体通路4a、6a、8aの冷却状態が早期かつ良好に得られることとなる。
【0068】
更に、図11に示すように第1対の水素吸蔵合金収容容器1,2を接続する一対の水素管21,26の間に蓄熱装置120を介在させ、蓄熱装置120を介して一対の水素管21,26の間で熱交換を行わせることができる。この構造例によれば、第1サイクルとしての第1冷凍工程において、150℃に加熱される高温側の水素吸蔵合金収容容器1から放出される水素が、蓄熱装置120に予め蓄えられている低温の熱媒によつて冷却され、低温側の水素吸蔵合金収容容器2に流入する。その結果、低温側の水素吸蔵合金収容容器2内の昇温が抑制され、水素吸蔵合金収容容器2での水素吸蔵が安定的かつ良好になされるようになると共に、顕熱回収工程を経た後に混合を生ずる第1低温用熱媒体の昇温が抑制される。その際、蓄熱装置120の熱媒が昇温されて高温になる。
【0069】
また、第3サイクルとしての第2冷凍工程において、−20℃に冷却される低温側の水素吸蔵合金収容容器2から放出される水素が、蓄熱装置120に予め蓄えられている高温の熱媒によつて加熱され、高温側の水素吸蔵合金収容容器2に流入する。その結果、高温側の水素吸蔵合金収容容器1内の降温が抑制され、水素吸蔵合金収容容器1での水素吸蔵が安定的かつ良好になされるようになる。その際、蓄熱装置120の熱媒が冷却されて低温になる。
【0070】
他の対をなす水素吸蔵合金収容容器3,4、5,6、7,8を接続する一対の水素管22,28、23,30、24,32の間にも同様に蓄熱装置120を介在させ、蓄熱装置120を介して一対の水素管22,28、23,30、24,32の間で熱交換を行わせることもできる。これにより、他の対をなす水素吸蔵合金収容容器3,4、5,6、7,8の間で、水素吸蔵が安定的かつ良好になされるようになる。なお、蓄熱装置120を設ける場合には、各ガス用クーラ11,13,15,17を省略することができる。従つて、一対の水素管21,26、22,28、23,30、24,32を、いずれか一方の水素管21,22,23,24又は26,28,30,32のみによつて構成することも可能である。
【0071】
図12には、低温用熱媒体の循環部Z’の他の構造例を示す。この低温用熱媒体の循環部Z’では、熱交換器70を省略してあり、熱交換器70の省略に伴つて熱交換器70に付属するポンプ64及び第4タンク61も省略してある。従つて、第1低温用熱媒体及び第2低温用熱媒体は、同種の低温用熱媒体によつて構成される。しかして、ポンプ58を駆動すれば、第1組の低温側にある熱媒体通路2a又は4aのいずれか一方を通つて第1冷熱(−17℃)状態となつた低温用熱媒体は、熱交換器70において熱交換されることなく、バルブ65a,66a又は65b,66bの開閉操作によつてそのまま熱媒体通路6a又は8aのいずれか一方に供給される。
【0072】
この低温用熱媒体の循環部Z’によれば、第1サイクルとしての第1冷凍工程において、第3対の一方の水素吸蔵合金収容容器5内の水素吸蔵合金が加熱されて放出された水素ガスが、ガス用クーラ15を通つて冷却されながら水素吸蔵合金収容容器6内に入り、水素吸蔵合金に発熱を生じながら吸蔵される。その際、バルブ65a,66aを開き、かつ、ポンプ58を駆動すれば、第1タンク50の低温用熱媒体が第3対の他方(低温側)の水素吸蔵合金収容容器6の熱媒体通路6aに直接通され、水素吸蔵合金収容容器6内に生じた熱が低温用熱媒体によつて吸熱されながら、水素吸蔵合金収容容器6内の水素吸蔵合金に水素が吸蔵回収される。なお、水素吸蔵合金収容容器8の熱媒体通路8aを通つて−40〜−45℃程度に冷却された低温用熱媒体が、ポンプ73の駆動によつて被冷却部72の熱交換器74に供給されることは上記実施例と実質的に同様である。
【0073】
このように、この構造例に係る低温用熱媒体の循環部Z’によれば、低温用熱媒体を第1,2組で共用することになるので、第1,2組それぞれでの低温用熱媒体の最適化を図ることは難しくなるが、熱交換器70、ポンプ64及び第4タンク61の省略により、熱交換器70による熱交換ロス及びポンプ64からの発熱が生じず、これらによる熱損失が生じなくなるので、水素吸蔵合金利用冷熱発生装置の全体としての熱損失を最小限に抑えることができる。
【0074】
なお、この構造例に係る低温用熱媒体の循環部Z’によつても第2,第4サイクルとしての顕熱回収工程は同様になされ得る。また、第3サイクルとしての冷凍工程は、第1対〜第4対をなす水素吸蔵合金収容容器1,2、3,4、5,6、7,8において、第1サイクルの冷凍工程と逆向きに水素を流通させて行われ、第1サイクルとしての冷凍工程と実質的に同様の作用となる。
【0075】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置によれば、次の効果を奏することができる。
請求項1の発明によれば、蓄熱装置を介して一対の水素管の間で熱交換を行わせるので、各対の水素吸蔵合金収容容器内の温度変動の抑制が効果的になされる。その結果、各対の水素吸蔵合金収容容器を安定的に作動させて、高度の冷熱を発生させることができる。
【0076】
請求項2の発明によれば、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器から他方の水素吸蔵合金収容容器に向けて流れる水素がそれぞれガス用クーラによつて冷却されるので、他方の水素吸蔵合金収容容器での水素吸蔵が安定的かつ良好になされるようになると共に、混合を生ずる低温用熱媒体の昇温が抑制され、各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器において冷凍工程の効率が向上する。その結果、高度の冷熱を発生させることができる。
【0077】
請求項3の発明によれば、第1,2組の低温用熱媒体を異種の低温用熱媒体とし、これらを熱交換器によつて熱交換させるので、第1,2組における管路抵抗、ポンプの駆動力等の低減を図りつつ、混合を防止した異種の低温用熱媒体によつて所定温度の冷熱の取り出しが効果的になされる。
【0078】
請求項4の発明によれば、第2組の冷熱の取り出しを行う第2低温用熱媒体を第3タンクに貯溜させるので、第3タンクに貯溜されて温度が均一化された第2低温用熱媒体によつて冷熱の使用をすることができる。その結果、冷凍庫等からなる被冷却部の冷凍が安定的になされる。
【0079】
請求項5の発明によれば、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路同士を接続する顕熱回収回路を設け、各組の低温側の水素吸蔵合金収容容器において顕熱が回収されるので、省エネルギーを図りつつ、早期に次の冷凍工程に移行することが可能になる。その結果、次の冷凍工程の効率を向上させて、高度の冷熱を発生させることができる。また、水素管に、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器から他方の水素吸蔵合金収容容器に向けて流れる水素を冷却するガス用クーラを設け、異種の低温用熱媒体を熱交換させる熱交換器を配置し、第2組の冷熱の取り出しを行う第2低温用熱媒体を第3タンクに貯溜させたので、上記請求項2〜4の発明の効果が融合して得られる。
【0080】
加えて、第1低温用熱媒体を2個の第1,2タンクに貯溜させ、第2低温用熱媒体を2個の第3,4タンクに貯溜させたので、他方の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路に適正温度の低温用熱媒体を選択的に供給することが可能であり、熱交換器によつて所定の第1,2低温用熱媒体を熱交換させることとも相まつて、各対の低温側の水素吸蔵合金収容容器において、冷凍工程の効率が著しく向上する。
【0081】
請求項6の発明によれば、各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路同士を接続する高温側顕熱回収回路を設け、各組の高温側毎に顕熱を回収するので、省エネルギーを図りつつ、その後の冷凍工程の効率を向上させることが可能である。その結果、高度の冷熱を発生させることができる。
【0082】
請求項7の発明によれば、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器の熱媒体通路同士を接続する顕熱回収回路に、成層型蓄熱槽を設けるので、冷凍工程への切替えに先立ち、各組の他方の水素吸蔵合金収容容器内の温度をより適正な温度に予め昇降変更することが可能になる。その結果、高度の冷熱を発生させることができる。
【0083】
請求項8の発明によれば、各対の水素管の一方に、高温側に向けて水素を送る容器用ポンプを設けるので、冷熱の取り出しを行う各対の水素吸蔵合金収容容器において、水素放出が効果的になされる。その結果、高度の冷熱を発生させることができる。
【0084】
請求項9の発明によれば、蓄熱装置を介して一対の水素管の間で熱交換を行わせるので、各対の水素吸蔵合金収容容器内の温度変動の抑制が効果的になされる。その結果、各対の水素吸蔵合金収容容器を安定的に作動させて、高度の冷熱を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置を示すブロック図。
【図2】同じく作用説明図。
【図3】同じく作用説明図。
【図4】同じく作用説明図。
【図5】同じく作用説明図。
【図6】同じく水素吸蔵合金の水素圧力−温度平衡特性を示す線図。
【図7】他の構造例に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置の要部を示すブロック図。
【図8】成層型蓄熱槽の熱媒温度−蓄熱槽高さ特性を示す線図。
【図9】成層型蓄熱槽の熱媒温度−蓄熱槽高さ特性を示す線図。
【図10】他の構造例に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置の要部を示すブロック図。
【図11】他の構造例に係る水素吸蔵合金利用冷熱発生装置の要部を示すブロック図。
【図12】他の構造例に係る低温用熱媒体の循環部を備える水素吸蔵合金利用冷熱発生装置を示すブロック図。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,8:水素吸蔵合金収容容器、1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a:熱媒体通路、11,13,15,17:ガス用クーラ、12,14,16,18:バルブ、21,22,23,24,26,28,30,32:水素管、40:熱源、41:冷熱源、50:第1タンク、51:第2タンク、60:第3タンク、61:第4タンク、70:熱交換器、72:被冷却部、74:熱交換器、85,86:顕熱回収回路、90,91,92,93:成層型蓄熱槽、94,95:高温側顕熱回収回路、110:容器用ポンプ、120:蓄熱装置。
Claims (9)
- 熱媒を選択的に供給する熱媒体通路(1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a)が付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の所定の2個同士を、バルブ(12,14,16,18)を介在する水素管(21,22,23,24)によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)の各熱媒体通路(1a,3a,5a,7a)を熱源(40)又は冷熱源(41)に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4,6,8)の各熱媒体通路(2a,4a,6a,8a)に低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各対の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)を一対形成し、各対の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)の間に蓄熱装置(120)を介在させ、蓄熱装置(120)を介して一対の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)の間で熱交換を行わせることを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。 - 熱媒を選択的に供給する熱媒体通路(1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a)が付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の所定の2個同士を、バルブ(12,14,16,18)を介在する水素管(21,22,23,24)によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)の各熱媒体通路(1a,3a,5a,7a)を熱源(40)又は冷熱源(41)に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4,6,8)の各熱媒体通路(2a,4a,6a,8a)に低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各対の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)をそれぞれ一対形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)から他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4、6,8)に向けて水素を流す水素管(21,22,23,24)に、水素を冷却するガス用クーラ(11,13,15,17)を設け、少なくとも各組で循環使用される低温用熱媒体の昇温を抑制させることを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。 - 熱媒を選択的に供給する熱媒体通路(1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a)が付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の所定の2個同士を、バルブ(12,14,16,18)を介在する水素管(21,22,23,24)によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)の各熱媒体通路(1a,3a,5a,7a)を熱源(40)又は冷熱源(41)に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4,6,8)の各熱媒体通路(2a,4a,6a,8a)に低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
第1組の熱媒体通路(2a,4a)に供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、該第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(2,4)の熱媒体通路(2a,4a)に選択的に供給し、他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(4,2)の熱媒体通路(4a,2a)に選択的に供給すると共に、第2組の熱媒体通路(6a,8a)に供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(6,8)の熱媒体通路(6a,8a)に選択的に供給し、他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(8,6)の熱媒体通路(8a,6a)に選択的に供給し、かつ、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(4,2)の熱媒体通路(4a,2a)に供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(6,8)の熱媒体通路(6a,8a)に供給する第2低温用熱媒体との間で熱交換させる熱交換器(70)を配置することを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。 - 他方の第2低温用熱媒体を貯溜する第3タンク(60)を設けることを特徴とする請求項3の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。
- 熱媒を選択的に供給する熱媒体通路(1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8a)が付属され、水素吸蔵合金を収容する偶数個の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の所定の2個同士を、バルブ(12,14,16,18)を介在する水素管(21,22,23,24)によつて連通させて第1〜4対を形成し、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)の各熱媒体通路(1a,3a,5a,7a)を熱源(40)又は冷熱源(41)に選択的に接続可能として高温側とし、各対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4,6,8)の各熱媒体通路(2a,4a,6a,8a)に低温用熱媒体を供給可能として低温側とし、該第1,2対を第1組、該第3,4対を第2組とすると共に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素を回収して蓄え、第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で取り出した冷熱を冷却に使用して第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素を回収して蓄える第1冷凍工程と、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に第2対の他方の水素吸蔵合金収容容器(4)で水素を回収して蓄え、第3対の他方の水素吸蔵合金収容容器(6)で水素放出による冷熱の取り出しを行つている間に、第1対の他方の水素吸蔵合金収容容器(2)で取り出した冷熱を冷却に使用して第4対の他方の水素吸蔵合金収容容器(8)で水素を回収して蓄える第2冷凍工程とを交互に繰り返すことにより、連続して冷熱を取り出す水素吸蔵合金利用冷熱発生装置であつて、
各組の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4、6,8)の熱媒体通路(2a,4a、6a,8a)同士を接続する顕熱回収回路(85,86)を設け、該顕熱回4回路(85,86)に低温用熱媒体を通すことにより各組の低温側毎に顕熱を回収し、
水素管(21,22,23,24)に、各対の一方の水素吸蔵合金収容容器(1,3,5,7)から他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4、6,8)に向けて流れる水素を冷却するガス用クーラ(11,13,15,17)を設け、
第1組の熱媒体通路(2a,4a)に供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とし、該第1低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第2タンク(51)に貯溜する一方の第1低温用熱媒体を、第1組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(2,4)の熱媒体通路(2a,4a)に選択的に供給し、第1タンク(50)に貯溜する他方の第1低温用熱媒体を、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(4,2)の熱媒体通路(4a,2a)に選択的に供給すると共に、第2組の熱媒体通路(6a,8a)に供給される低温用熱媒体を第1低温用熱媒体とは異種の第2低温用熱媒体とし、該第2低温用熱媒体を2箇所に貯溜させ、第4タンク(61)に貯溜する一方の第2低温用熱媒体を、第2組の水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(6,8)の熱媒体通路(6a,8a)に選択的に供給し、第3タンク(60)に貯溜する他方の第2低温用熱媒体を、第2組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(8,6)の熱媒体通路(8a,6a)に選択的に供給し、かつ、第1組の冷熱の取り出しを行う水素吸蔵合金収容容器(4,2)の熱媒体通路(4a,2a)に供給する第1低温用熱媒体と水素の回収を行う水素吸蔵合金収容容器(6,8)の熱媒体通路(6a,8a)に供給する第2低温用熱媒体との間で熱交換させる熱交換器(70)を配置することを特徴とする水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。 - 各組の高温側の水素吸蔵合金収容容器(1,3、5,7)の熱媒体通路(1a,3a、5a,7a)同士を接続する高温側顕熱回収回路(94,95)を設け、熱媒を該高温側顕熱回収回路(94,95)内で循環させることにより各組の高温側毎に顕熱を回収することを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。
- 各組の他方の水素吸蔵合金収容容器(2,4、6,8)の熱媒体通路(2a,4a、6a,8a)同士を接続する顕熱回収回路(85,86)に、成層型蓄熱槽(90,91、92,93)を設けることを特徴とする請求項5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。
- 各対の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)を一対形成し、一方の水素管(26,28,30,32)に、高温側に向けて水素を送る容器用ポンプ(110)を設けることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。
- 各対の水素吸蔵合金収容容器(1,2、3,4、5,6、7,8)の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)を一対形成し、各対の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)の間に蓄熱装置(120)を介在させ、蓄熱装置(120)を介して一対の水素管(21,26、22,28、23,30、24,32)の間で熱交換を行わせることを特徴とする請求項3,4又は5の水素吸蔵合金利用冷熱発生装置。
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