JP2703360B2 - 金属水素化物を利用した熱駆動型冷熱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本発明は金属水素化物を利用した熱駆動型冷熱装置に
関するものである。

（ロ） 従来の技術 金属水素化物を加熱すると高圧、冷却すると低圧にな
る特性を利用し、絞り膨張等により極低温を発生するシ
ステムが提案されており、例えば特公昭47−37090号公
報に開示されている。

（ハ） 発明が解決しようとする課題 しかしながら、この従来方式では、効率が極めて悪
く、特に、加熱に費やすエネルギーのほとんどは冷却器
により外部に放熱されるために冷凍機としての効率は悪
い。

本発明は、このような不都合を解決するために、金属
水素化物より加熱により発生する水素ガスの熱量及び反
応熱を回収し、給湯や暖房に有効に利用する熱駆動型冷
熱装置を提供することを目的とする。

（ニ） 課題を解決するための手段 本発明による熱駆動型冷熱装置は、平衡水素圧力が等
しい金属水素化物を収納した対をなす金属水素化物収納
容器と、該収納容器に切換手段により交互に接続される
加熱部と蓄熱槽を備えた熱回収部と、前記各収納容器に
逆止弁を介して水素導管により接続される冷凍機と、前
記水素導管を流れる高温高圧の水素ガスを冷却するガス
−水熱交換器とより構成し前記熱回収部には前記熱交換
器を経由して冷却水を流通せしめて温水を取出すように
したものである。

（ホ） 作用 上記の構成により、加熱部からの加熱で冷凍機で極低
温を発生させ又加熱した水素ガス及び金属水素化物の熱
容量や反応熱は給湯や暖房に利用される。

（ヘ） 実施例 以下本発明の実施例を第１図に基づき説明する。

（１）及び（２）は平衡水素圧力が等しいLaNi₅系の
金属水素化物を収納した対をなす金属水素化物収納容
器、該収納容器には３方弁（3a）（3b）（3c）（3d）及
び管体（4a）（4b）により構成される切換手段（５）を
介して蓄熱槽（図示せず）を備えた熱回収部（６）と加
熱部（７）とが交互に接続される。前記加熱部（７）
は、例えばボイラー等であり、熱媒体（例えば、オイル
等）を加熱し、前記３方弁（3a）（3b）（3c）（3d）の
切換えにより金属水素化物収納容器（１）又は（２）に
熱媒体を熱交換的に送り込む。

前記収納容器（１）及び（２）には夫々逆止弁（8a）
（8b）及び（8c）（8d）が接続されている。前記逆止弁
（8a）（8c）には水素導管（９）が、又前記逆止弁（8
b）（8d）には水素導管（10）が接続されており、前記
両水素導管（９）（10）には膨張型の冷凍機（11）が接
続されている。

（12）は前記水素導管（９）を冷却するガス−水熱交
換器で該熱交換器を流れる冷却水は導管（13）により熱
回収部（６）に導びかれて温水として給湯負荷または暖
房負荷（図示せず）に供給される。

前記加熱部（７）及び切換手段（５）の３方弁（3a）
（3b）（3c）（3d）は冷凍機（11）の入口部と出口部の
圧力等で制御部（14）より一元的に制御される。

次に動作について説明する。

本発明による熱駆動型熱装置に使用されるLaNi₅系金
属水素化物の温度と圧力の特性図を第２図に示す。

まず最初に加熱部（７）をボイラーにより加熱し、25
0℃に加熱された熱媒オイルを収納容器（２）に熱交換
的に送り込む。前記収納容器（２）内の金属水素化物は
200℃に加熱され、第２図に示すように水素は高圧（10a
tm）となる。これにより逆止弁（8c）は開き、水素ガス
は水素導管（９）を通り、ガス−水熱交換器（12）を通
る。前記熱交換器（12）には冷却水（32℃）が送り込ま
れており、これと熱交換し、200℃の水素ガスは32℃と
なる。冷却により高圧、常温となった水素ガスは、冷凍
機（11）で断熱膨張され、−150℃以下の極低温を発生
する。

膨張し冷凍に費やされた後水素ガスは、水素導管（1
0）及び逆止弁（8b）を通り収納容器（１）の金属水素
化物に発熱的に吸蔵され100℃以上となる。蓄熱槽を備
えた熱回収部（６）は、収納容器（１）と熱交換的に接
続され吸蔵により発生した熱は発熱体に蓄熱される。

前記ガス−水熱交換器（12）を流通した冷却水は導管
（13）により熱回収部（６）に導かれ、ここで前記収納
容器（１）で水素ガスの吸蔵により発熱した熱を吸収し
て70℃の温水となり、給湯又は暖房に供される。

前記収納容器（２）は水素の放出により吸熱的に冷却
されるが、加熱部（７）の加熱により補なわれる。ある
程度水素が収納容器（１）に吸蔵された後３方弁（3a）
（3b）（3c）（3d）及び管体（4a）（4b）により構成さ
れる切換手段（５）の切換により、収納容器（１）を加
熱部（７）に、収納容器（２）を熱回収部（６）と熱交
換的に接続し、前述と同様なサイクルを繰り返すことに
より連続的に出熱する。

（ト） 発明の効果 本発明の実施に伴う効果は次の通りである。

（１） 加熱により極低温を発生し、更に反応熱も給湯
や暖房等に利用できる。

（２） 水素ガスの熱容量も回収し利用できる。

（３） 切換時の金属水素化物の熱容量も回収し利用で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す熱駆動型冷熱装置のシス
テム構成図、第２図は本発明装置に使用される金属水素
化物のサイクル線図を示す特性図である。 （１）（２）……金属水素化物収納容器、（５）……切
換手段、（６）……熱回収部、（７）……加熱部、
（９）（10）……水素導管、（11）……冷凍機、（12）
……ガス−水熱交換器、（14）……制御部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平衡水素圧力が等しい金属水素化物を収納
   した対をなす金属水素化物収納容器と、該収納容器に切
   換手段により交互に接続される加熱部と蓄熱槽を備えた
   熱回収部と、前記各収納容器に逆止弁を介して水素導管
   により接続される冷凍機と、前記水素導管を流れる高温
   高圧の水素ガスを冷却するガス−水熱交換器とより構成
   し、前記熱回収部には前記熱交換器を経由して冷却水を
   流通せしめて温水として取出すようにしたことを特徴と
   する金属水素化物を利用した熱駆動型冷熱装置。