JP3582570B2 - 路面状態判別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両が走行する路面の状態を正確に判別して運転者に知らせる路面状態判別装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
この種の路面状態判別装置としては例えば、特開平6−281539号公報に開示された路面状態検出装置が知られている。この公知の検出装置は、路面反射光の強度特性及びタイヤのスリップ特性を利用して走行路面の状態を検出するものとしている。具体的には、アンチスキッドブレーキシステム作動時や、トラクションコントロールシステム作動時又はステアリングハンドルのすえ切り時等のタイヤスリップ時に、そのタイヤスリップ特性から路面摩擦係数を算出する一方、この路面摩擦係数の算出値に基づいて路面反射光の強度特性から得られる疑似的な路面摩擦係数のデータを随時補正している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した公知の路面状態検出装置は、路面摩擦係数の算出値に基づいて疑似μデータの精度をある程度高めるものであると認められる。従って、実際の走行路面から得られる反射光強度特性とタイヤスリップ特性とが合致している場合には、疑似的な路面μデータの補正も有効であると思われる。
【0004】
しかしながら、走行路面が例えば乾燥路、ウェット路、雪路等の明確な状態に区分できない場合、その路面反射光には種々の路面における反射光強度が混在して見られる。この場合、反射光強度特性とタイヤスリップ特性は合致しておらず、疑似μデータを補正するために適当なタイヤスリップ特性を得ることは困難であるばかりか、このとき上述したようなタイヤスリップが必ずしも発生するとは限らない。このような状況にあっては、公知の路面状態検出装置では正確に路面状態を検出することはできない。
【0005】
この発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、路面反射光から明確な反射強度特性が得られないときでも、その路面状態を正確に判別することができる路面状態判別装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、この発明の路面状態判別装置によって達成され、請求項1の路面状態判別装置は、第1検出手段から反射光の垂直偏光成分及び水平偏光成分の反射強度特性に基づき雪路を含む複数の直特定領域である第1種の路面状態を示す第1種検出信号を出力し、また、第2検出手段から路面からの反射光の振動強度に基づき、第2種の路面状態を示す第2種検出信号を出力する。そして、判定手段にて第1及び第2種検出信号に基づき雪路と他の直特定領域との中間に存在する曖昧領域の路面状態を判定し、その路面状態を特定する判定結果を出力する一方、この判定結果を順次記憶しておき、更に記憶した判定結果のうち雪路とする判定結果によりセットされているスノートリガからの信号に基づき前記曖昧領域の路面状態を判定して雪路とする判定結果を出力するものとしている。
【0007】
請求項1の路面状態判別装置によれば、路面からの反射光の垂直偏光成分及び水平偏光成分の反射強度特性に加え、路面反射光の振動強度を考慮して雪路と他の直特定領域との中間に存在する曖昧領域の路面状態を判定する。この判定結果は順次記憶され、しかも、リセットされていないスノートリガによって路面状態を雪路として更に設定する。このように、曖昧領域の路面や路上に雪が点在するような路面の如く雪路に関して反射強度特性が種々の路面について混在している場合にあっても、その路面状態の判定が容易となる。
【0008】
請求項2の路面状態判別装置は、判定手段は、スノートリガによる雪路とする判定結果をも順次記憶し、第1及び第2種検出信号やスノートリガの信号から判定ができないときは、更に前記記憶した前回の判定結果を参照して路面状態を判定するものとしている。このように、反射強度特性及び振動強度やスノートリガから路面状態の判定が行えないときにも、記憶した前回の判定結果に基づいて路面状態の判定が可能となる。
請求項の路面状態判別装置は、車両の運動状態や運転者の運転操作状態に基づいて路面摩擦係数を推定し、この推定した路面摩擦係数を参照して路面状態を判定するものとしている。この場合、反射強度特性及び振動強度から路面状態の判定が一義的に行えないときは、推定した路面摩擦係数の高低に基づいて路面状態の判定が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、この発明の路面状態判別装置を装備した車両2が示されている。車両2の車室内には、そのインストルメントパネル上に路面状態を表示する表示装置4が配置されており、この表示装置4には電子制御装置(ECU)6から出力される路面状態の検出信号が供給されるようになっている。表示装置4の表示面には、その検出信号に基づいて車両2が走行する路面に関する情報が表示される。なお、ECU6は車両2内の適切な位置に配置されている。
【0010】
ECU6は、路面判定信号を出力するために種々のセンサに電気的に接続されており、これらのセンサの中にはステアリングハンドルのハンドル角を検出するハンドル角センサ8、各車輪の車輪速をそれぞれ検出する4つの車輪速センサ10及び1つの路面センサ12があり、これらセンサからの検出信号がECU6に供給される。また、ECU6にはアクセルペダルの踏み込み量、即ち、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ14、車体に働く前後加速度及び横加速度を検出するための前後Gセンサ及び横Gセンサを内蔵したGセンサユニット15もまた電気的に接続されている。
【0011】
路面センサ12は車両2において、その車体前部の下面に取り付けられている。より詳しくは、図2に示されるように路面センサ12は、車体16の下面で、一方の側の前輪FWの直前方に取り付けられている。
路面センサ12は、センサケーシング18に光学的素子を内蔵した光学センサユニットとして構成されており、具体的には、このセンサケーシング18には投光器20及び受光器22が内蔵されている。センサケーシング18内にて、投光器20及び受光器22は車体16の幅方向に適当な間隔を存して配置されており、この車幅方向でみて例えば投光器20は外側に位置し、そして、受光器22がその内側に位置付けられている。
【0012】
投光器20は、路面RS中、前述した前輪FWの直前方に位置する路面領域であって、その幅方向中央に向けて検出光(例えば赤外線)を出射し、一方、受光器22は路面領域にて反射された光、即ち、反射光を受け取るものとなっている。
路面RSに対する検出光の入射角θIN及び反射光の反射角θOUTは、いわゆるブリュースター角よりも十分に狭い範囲の値(例えばθIN=θOUT=12°程度)に設定されている。それ故、車幅方向でみて投光器20及び受光器22間の間隔は狭く、センサケーシング18、つまり、路面センサ12自体の小形化が図られている。
【0013】
この実施例の場合、投光器20は偏光フィルタ24を有し、投光器20から出射される検出光は一方向に偏光されている。例えば、検出光は、路面RSに対し水平方向又は垂直方向の一方に偏光されている。
一方、図3に示されるように受光器22もまた偏光フィルタ26を有しており、この偏光フィルタ26は、受け取った反射光を路面RSに対する水平偏光成分Ph及び垂直偏光成分Pvにそれぞれ分離する。これら水平偏光成分Ph及び垂直偏光成分Pvは、受光処理回路28を介してECU6に供給される。
【0014】
またECU6には、路面センサ12以外のセンサから各種のセンサ信号が入力され、これらセンサ信号は信号処理セクション100にて信号入力処理及びフィルタ処理される。この信号処理セクション100からはフィルタ処理済みの信号、具体的には車輪速Vw、スロットル開度Tp、前後加速度Gx、横加速度Gy及びハンドル角Haがそれぞれ出力され、次の演算処理セクション102に供給される。
【0015】
ECU6内の演算処理セクション102では、上述した各種センサ入力信号に基づいて車両2の運動状態及びドライバの運転操作状態を判断するための諸数値を演算して求める。車両2の運動状態は例えば、車速V、車輪加速度Aw、車輪スリップ比Sr、前後加速度Gx及び実横加速度Gy等から判断できる。また、ドライバの運転操作状態はスロットル開度Tp、駆動制動力Fx及び前輪操舵角Ta等から判断できる。従って、この演算処理セクション102ではこれら諸数値を算出して出力可能となっている。
【0016】
一方、ECU6内にて、反射光の水平及び垂直偏光成分Ph,Pvは先ず、平均化処理セクション30にて処理され、このセクション30は水平及び垂直偏光成分Ph,Pvの移動平均をとり、これらを水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvとして出力する。
ここで、移動平均化処理は車両2の車速Vに基づいて実施され、このため、平均化処理セクション30には演算処理セクション102にて算出した車速Vが供給されるようになっている。なお、車輪速センサ10の代わりに、車速センサにて検出した車速を平均化処理セクション30に直接供給するようにしてもよい。
【0017】
平均化処理セクション30では、車速Vが所定車速V以下にあるときには水平及び垂直偏光成分Ph,Pvの所定時間内の平均をとり、これに対し、車速Vが車速Vを超えたときには所定の走行距離間での平均をとる。
この後、反射光の水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvは、ローパスフィルタ34を通過した後、識別セクション36に供給される。この識別セクション36では、予め準備されている反射強度特性マップから水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvに基づき第1種路面状態が識別される。
【0018】
反射強度特性マップを説明する前に、先ず図4に関して説明する。図4のマップは、種々の代表路面毎に、それらの水平及び垂直偏光成分の強度分布領域、つまり、反射強度特性を示したもので、これら反射強度特性は車両の走行試験を実施して得たものである。
図4は、路面の材質や表面形状等の相違に基づく種々の代表路面において、各代表路面の反射強度特性の分布を示しており、ここで、代表路面としてはアスファルト及びコンクリートの乾燥路、これら路面路が雨等で濡れた状態のウェット路、路面が雪で覆われた雪路、その雪面に汚れが存在する汚れ付雪路、並びに、路面上に描かれた白線などがある。
【0019】
図4の反射強度特性から各種の代表路面に関して以下のことが理解される。
即ち、アスファルト及びコンクリートの乾燥路の場合、その路面に対する検出光の反射は比較的弱く、また一様に散乱することが分かる。それ故、その反射光における水平偏光成分及び垂直偏光成分の強度は比例関係となり、それらの強度分布の領域は線形的に延び、しかも、その幅は比的狭い。ここで、コンクリート乾燥路とアスファルト乾燥路の反射強度はその強度レベルが異なっている。これは、コンクリート乾燥路の場合、その表面が比較的に白く検出光を反射し易いの対し、アスファルト乾燥路の場合にはその表面が比較的黒いために、検出光の吸収率がコンクリート乾燥路の場合に比べて高いことに起因する。なお、アスファルト乾燥路及びコンクリート乾燥路での反射強度特性はその一部が重なり合っている。
【0020】
ウェット路の場合、その路面がアスファルト又はコンクリートに拘わらず、その反射強度特性は同様であり、その水平偏光成分の強度が垂直偏光成分の強度に比べて大となっていることが分かる。これは、ウェット路に投光すると、その路面上に形成された水膜により鏡面反射するため、例えば、反射光の垂直偏光成分が吸収されるが、水面では水平偏光成分が保たれたまま反射する。このため、ウェット路での水平及び垂直偏光成分の反射強度は比例関係にならず、図4から明らかなように水平及び垂直偏光成分の反射強度特性は、コンクリート乾燥路の反射強度特性と一部重なった状態で水平偏光成分を表す横軸に沿い長く延びるものとなる。なお、ウェット路の場合、垂直偏光成分の強度は水膜の深さによっても変化するが、その強度レベルは図4に示すように所定の範囲内に収まるものとなる。
【0021】
雪路の場合、その反射強度のレベルがコンクリート乾燥路の場合に比べて高いことが分かる。これは、雪面が非常に白いため、検出光の反射率が高く、また、その雪面上にて検出光が強力に乱反射するためである。それ故、雪路の場合、その水平及び垂直偏光成分の反射強度特性は、コンクリート乾燥路の反射強度特性の上方を線形的に延び、また、その幅は乾燥路における反射強度特性の幅に比べても大となっている。ここで、雪路の反射強度特性とコンクリート乾燥路の反射強度特性の場合にも、その一部が重なり合っている。
【0022】
汚れ付雪路の場合、その反射光における水平及び垂直偏光成分の反射強度特性は、雪路の反射強度特性に比べコンクリート乾燥路での反射強度特性の側に大きく変位していることが分かる。これは、雪面上の汚れが検出光の一部を吸収するためと考えられる。それ故、図4から明らかなように汚れ付雪路の反射強度特性は、雪路、コンクリート乾燥路及びウェット路の反射強度特性のそれぞれに対して部分的に重なり合っている。
【0023】
更に、一般の路面上には、車線の区分や横断歩道を示すための白線が描かれており、このような白線部分での反射強度特性は、雪路での反射強度特性と実質的に重なり合っている。これは白線の場合にもその表面が雪路と同様に十分に白いためである。
上述した図4の反射強度特性の分布から、識別セクション36のための反射強度マップが得られ、その一例が図5に示されている。図5の反射強度マップは、その横軸及び縦軸が水平偏光強度Fph及び垂直偏光強度Fpvとして表されている。反射光の水平及び垂直偏光強度が共に低い矩形の領域はその路面が「乾燥路」であることを示し、そして、その水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvが共に高い矩形の領域はその路面が「雪路」であることを示している。これに対し、垂直偏光強度Fpvに比べて水平偏光強度Fphが高い三角形の領域はその路面が「ウェット路」であることを示している。
【0024】
上述したように反射光の水平及び垂直偏光強度が「乾燥路」、「雪路」及び「ウェット路」の領域内にあるときにはこれら水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvのみから、その路面の状態を直ちに特定することができる。
しかしながら、「乾燥路」、「雪路」及び「ウェット路」に囲まれた中間領域にあっては、図4からも明らかなように各代表路面での反射強度特性が互いに重なり合うか、又は、互いに近接している。それ故、この実施例では、中間領域中、「雪路」と「乾燥路」との間の部分を曖昧雪路であるとし、この曖昧雪路の領域部分のうち、「ウェット路」側で且つ水平偏光強度Fphのレベルの高い部分を「湿側曖昧雪路」とし、そして、「乾燥路」側で且つ「湿側曖昧雪路」の場合よりも水平偏光強度Fphのレベルが低い部分を「乾側曖昧雪路」に設定している。
【0025】
同様の観点から「乾側曖昧雪路」及び「湿側曖昧雪路」よりも、その垂直偏光強度のレベルが低い中間領域のうち、「乾燥路」及び「曖昧雪路」側で且つその垂直偏光強度Fpvのレベルが高い三角形部分は「曖昧乾燥路」に設定され、そして、「ウェット路」及び「曖昧雪路」側でかつ水平偏光強度Fphのレベルの高い三角形部分は「曖昧ウェット路」に設定される。
【0026】
しかしながら、中間領域中でも、上述の曖昧領域にも含まれない部分に関しては、その水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvの何れのレベルからさえも、その第1種の路面状態の傾向を全く認識できず、それ故、この実施例ではその部分を「不明」として設定している。
ここで、図5の反射強度マップには前述した白線に対応する領域が含まれていないが、その理由は以下の通りである。
【0027】
白線の反射強度特性は、車両2が路面上の白線を横切った直後にのみ現れるものとなるが、路面センサ12の受光器22から出力される水平及び垂直偏光成分Ph,Pvは前述した移動平均化処理(平均化処理セクション30)を受けているため、識別セクション36に供給される水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvが白線の反射強度特性を示すことはなく、このことから図5の反射強度マップ中、白線に対応した領域部分は省略してある。
【0028】
識別セクション36では、図5の反射強度マップから水平及び垂直偏光強度Fph,Fpvが何れの領域にあるか否かを認識し、そして、その認識結果を第1種の路面状態MF(X)として判定セクション38に出力する。ここで、第1種の路面状態MF(X)の“X”は、前述した「乾燥路」、「雪路」、「ウェット路」、「乾側曖昧雪路」、「湿側曖昧雪路」、「曖昧乾燥路」、「曖昧ウェット路」、「不明」の何れかを表す。
【0029】
一方、図3に示されているように受光器22から出力される水平及び垂直偏光成分のうちの少なくとも一方、この実施例では例えば垂直偏光成分Pvが直接又はローパスフィルタ40を経て加減算部42にそれぞれ供給されるようになっており、この加減算部42にて垂直偏光成分Pvの振動の大きさ、即ち、その振動強度Vpvが抽出される。この後、振動強度Vpvは演算セクション44にて、その絶対値がとられ、そして、ローパスフィルタ46を経て識別セクション48に供給される。ここで、ローパスフィルタ46の遮断周波数fcは、ローパスフィルタ40の場合よりも十分に小さく設定されている。
【0030】
上述したローパスフィルタ40からローパスフィルタ46のまでの回路構成はいわゆるバンドパスフィルタを構成し、垂直偏光成分Pvの振動状態に応じた信号としての振動強度Vpvを出力する。即ち、図6(a)中の破線で示すように垂直偏光成分Pvが大きく振動しているとき、その振動強度Vpvは図6(b)中の破線で示すように高いレベルで出力される。これに対し、図6(a)中の実線で示すように垂直偏光成分Pvの振動が小さいとき、その振動強度Vpvは図6(b)中の実線で示すように低いレベルで出力される。
【0031】
一般的に、アスファルトやコンクリートの乾燥路の場合、その垂直偏光成分Pvの振動は小さく、その振動は反射光の乱反射に起因し、ウェット路、雪路の順で大となる傾向にある。
具体的には、図6(a),(b)の破線及び実線は、泥等が混じった汚れ付雪路及びコンクリート乾燥路の場合での垂直偏光成分Pvの振動及び振動強度Vpvをそれぞれ示している。それ故、図6(b)中、破線及び実線の振動強度Vpvの間に1点鎖線で示す強度閾値を設定し、そして、この強度閾値とその振動強度Vpvとを比較すれば、前述したように反射強度特性が重なり合う汚れ付雪路及びコンクリート乾燥路であっても、その路面が何れであるのかを識別可能となる。
【0032】
このことは、反射強度特性が重なり合う他の路面の組み合わせであっても、これらの組み合わせに応じた強度閾値SHのレベルを適切に設定しておけば、その路面が何れにあるのか識別可能であることを意味している。
それ故、この実施例の場合、前述した識別セクション48には図7に示す振動強度マップが予め備えられている。この振動強度マップは例えば3つの強度閾値L,M,Hを有し、これら強度閾値L,M,Hは互いにレベルが異なり且つそのレベルが車速Vの上昇に応じて増加するものとなっている。即ち、垂直偏光成分の振動強度Vpvは車速Vの上昇に伴って増加するものであり、これに対応して、低、中、高の強度閾値L,M,Hもまた変化させている。
【0033】
このように図7の振動強度マップは強度閾値L,M,Hが車速Vによって変化することから、識別セクション48には前述した演算処理セクション102からの車速Vもまた供給されるようになっている。従って、識別セクション48は、振動強度マップから車速Vと振動強度Vpvとに基づき、その振動強度Vpvを3つの強度閾値L,M,Hと比較し、その比較結果を第2種の路面状態MV(Y)として判定セクション38(図3)に出力する。ここで、第2種の路面状態MV(Y)の“Y”は、振動強度Vpvが低レベルの強度閾値L以上にある「低振以上」、振動強度Vpvが中レベルの強度閾値M以上にある「中振以上」、そして、振動強度Vpvが高レベルの強度閾値H以上にある「高振以上」の何れかを示す。
【0034】
図3に示すように判定セクション38には前述した第1種の路面状態MF(X)及び第2種の路面状態MV(Y)のみならず、車両2の前後加速度(前後Gx)及び横加速度(実横Gy)もまた供給されている。これら前後Gx及び実横Gyは、演算処理セクション102からセンサ値の再出力として供給されているが、例えば前後Gxは、演算処理セクション102にて求めた車速Vを更に時間微分することにより算出したものでもよく、また、実横Gyは同じく車速Vとハンドル角Haとに基づき算出したものであってもよい。
【0035】
図8を参照すると、判定セクション38の機能が具体的な回路構成で示されている。判定セクション38は、AND回路、OR回路及びスイッチSWから構成されており、このスイッチSWから最終的な路面状態Mμ(Z)が前述した表示装置4に出力されるようになっている。表示装置4では、受け取った路面状態Mμ(Z)の種別に応じて、「乾燥路」、「ウェット路」、「雪路」等の具体的な文字情報や、運転者にその路面状態をイメージさせる図柄をその表示面に表示する。また、路面状態Mμ(Z)を音声出力回路(特に図示されていない)に供給して、例えばスピーカからその路面状態がアナウンスされるようにしてもよい。
【0036】
判定セクション38の判定機能を以下に具体的に説明する。
乾燥路
判定セクション38に供給される第1種の路面状態MF(X)が「乾燥路」である場合、「乾燥路」を示すオン信号はAND回路52を介して第1判定信号としてスイッチSWに供給される。AND回路52には「乾燥路」を示す第1種の路面状態MF(X)に加え、AND回路60から車両2姿勢信号が入力されるようになっており、この姿勢信号がオンであるとき第1判定信号がオンとなる。AND回路60への入力信号は前述した前後Gx及び実横Gyの絶対値がそれぞれ制限値α、β以内にあるとき共にオンとなる。より詳しくは、車両2の加速又は減速に伴う車体の上下変位が所定の範囲内にあり、且つ、車両2の旋回に伴う車体のロール角が所定の範囲内にあるときのみ、AND回路60の入力信号が共にオンとなり、この結果、AND回路52にオン信号が供給されると、このAND回路52から第1判定信号がスイッチSWに出力される。
【0037】
第1判定信号はスイッチSWを図8に示すように上位位置に切換えるので、この結果、スイッチSWから出力される路面判定信号としての路面状態Mμ(Z)は「乾燥路」に設定され、表示装置4の表示面には「乾燥路」が表示される。
ウェット路
第1種の路面状態MF(X)が「ウェット路」である場合、「ウェット路」を示すオン信号はOR回路54から第2判定信号としてスイッチSWに供給され、この第2判定信号はスイッチSWを中位位置に切り換える。この場合、スイッチSWから出力される路面状態Mμ(Z)は「ウェット路」に設定され、表示装置4の表示面には「ウェット路」が表示される。
【0038】
雪路
第1種の路面状態MF(X)が「雪路」である場合、「雪路」を示すオン信号はOR回路56及びAND回路58を介し、第3判定信号としてスイッチSWに供給可能となっている。ここで、第3判定信号はAND回路58での論理判定が真となることを条件としてスイッチSWに供給され、スイッチSWを低位位置に切り換える。この場合、スイッチSWから出力される路面状態Mμ(Z)は「雪路」に設定され、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0039】
AND回路58にはOR回路56からのオン信号に加え、AND回路60から車両2の車体姿勢を示す姿勢信号が供給され、この姿勢信号がオンであるとき、「雪路」を示すオン信号を第3判定信号としてスイッチSWに出力する。なお、AND回路60から供給される姿勢信号がオンとなる状況は上述した「乾燥路」の場合と同じであるが、例えば「雪路」の場合にはAND回路60への入力信号を制限する制限値α,βを適宜に変更してもよい。
【0040】
なお、スイッチSWに出力される信号が第1又は第3判定信号である場合に車体姿勢を考慮しているのは、車体姿勢の変化が大きい状況にあっては、路面にてセンサ光の焦点が定まらず、このため路面反射光が正規な反射強度特性の分布を示さなくなるためである。従って、「乾燥路」及び「雪路」の判定は、前後Gx及び実横Gyが制限値以下のときにだけ行うこととしている。
【0041】
以上のように、判定セクション38では第1種の路面状態MF(X)が「乾燥路」、「ウェット路」及び「雪路」である場合は、第2種の路面状態Mv(Y)を考慮することなく第1種の路面状態MF(X)のみに基づき路面状態Mμ(Z)を「乾燥路」、「ウェット路」又は「雪路」として直ちに設定することができる。
【0042】
しかしながら、第1種の路面状態MF(X)が「曖昧ウェット路」、「乾側曖昧雪路」、「曖昧乾燥路」及び「湿側曖昧雪路」である場合、第1及び第2種の路面状態MF(X),Mv(Y)に基づいて路面状態Mμ(Z)を設定するものとしている。
以下には、第1及び第2種の路面状態MF(X),Mv(Y)に基づく路面状態Mμ(Z)の設定について説明する。
【0043】
曖昧ウェット路
第1種の路面状態MF(X)が「曖昧ウェット路」である場合、「曖昧ウェット路」を示すオン信号はAND回路62に入力され、また、このAND回路62には、第2種の路面状態Mv(Y)が「低振以上」であるときにオンとなる信号が入力されている。AND回路62の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「曖昧ウェット路」であり、且つ、その反射光の垂直偏光成分Pvの振動強度Vpvが低レベルの強度閾値L以上にある。このことは、垂直偏光成分Pvの振動が乾燥路での振動以上であって、その路面がウェット路であることを意味している。この場合、AND回路62から出力されるオン信号はOR回路54にて第2判定信号となる。この結果、スイッチSWは第2判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「ウェット路」が表示される。
【0044】
これに対し、AND回路62での論理判定が偽となる場合には、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理し、この場合、前回の判定にて確定された路面状態Mμ(Z)が維持される。
乾側曖昧雪路
第1種の路面状態MF(X)が「乾側曖昧雪路」である場合、「乾側曖昧雪路」を示すオン信号はAND回路64に入力される(OR回路66への入力については後述)。また、AND回路64には、第2種の路面状態Mv(Y)が「低振以上」であるときにオンとなる信号が入力されている。AND回路64の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「乾側曖昧雪路」であり、且つ、その反射光の垂直偏光成分Pvの振動強度Vpvが低レベルの強度閾値L以上にある。このことは、垂直偏光成分Pvの振動が乾燥路での振動以上であって、その路面が汚れ付雪路であることを意味している。この場合、AND回路64から出力されるオン信号はOR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となり、この結果、スイッチSWは第3判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0045】
これに対し、AND回路64での論理判定が偽となる場合には、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理し、この場合にも前回の判定にて確定された路面状態Mμ(Z)が維持される。
曖昧乾燥路
第1種の路面状態MF(X)が「曖昧乾燥路」である場合、「曖昧乾燥路」を示すオン信号はAND回路68に入力される(AND回路70への入力については後述)。またAND回路68には、第2種の路面状態Mv(Y)が「高振以上」であるときにオンとなる信号が入力されている。AND回路68の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「曖昧乾燥路」であり、且つ、その反射光の垂直偏光成分Pvの振動強度Vpvが高レベル強度閾値H以上にある。このことは、垂直偏光成分Pvの振動が乾燥路での振動よりもずっと大きく、その路面が雪路であることを意味している。この場合、AND回路68から出力されるオン信号はOR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となり、この結果、スイッチSWは第3判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0046】
これに対し、AND回路68での論理判定が偽となる場合、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理し、前回の判定にて確定された路面状態Mμ(Z)を維持する。
湿側曖昧雪路
第1種の路面状態MF(X)が「湿側曖昧雪路」である場合、「湿側曖昧雪路」を示すオン信号はAND回路72に入力され、このAND回路72には、第2種の路面状態Mv(Y)が「高振以上」であるときにオンとなる信号が入力されている。AND回路72の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「湿側曖昧雪路」であり、且つ、その反射光の垂直偏光成分Pvの振動強度Vpvが高レベルの強度閾値H以上にある。このことは、垂直偏光成分Pvの振動がウェット路での振動以上であって、その路面が雪路であることを意味している。この場合、AND回路72から出力されるオン信号はOR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となり、この結果、スイッチSWは第3判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0047】
AND回路72での論理判定が偽となる場合、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理し、前回の判定にて確定された路面状態Mμ(Z)を維持する。
上述したように図5の反射強度マップに基づき第1種の路面状態MF(X)が「曖昧ウェット路」、「乾側曖昧雪路」、「曖昧乾燥路」又は「湿側曖昧雪路」として検出された状況にあっては、図7の振動強度マップに基づき、垂直偏光成分Pvにおける振動強度Vpvのレベルを考慮することで、その路面が実際に雪路であるか否かを正確に判別し、表示装置4の表示面に「雪路」を表示することができる。
【0048】
以上のように判定セクション38にて設定された路面状態の判定結果Mμ(Z)は、ECU6から路面状態の判別結果として出力され、上述したように表示装置4に供給される。一方、路面状態の判定結果Mμ(Z)は、ECU6内にてトリガ設定セクション80にも供給されている。
このトリガ設定セクション80の具体的な回路構成は図9に示されている。図9に示されるように、トリガ設定セクション80はトリガ出力回路82を有しており、トリガ設定セクション80に入力された路面状態Mμ(Z)が「雪路」である場合、OR回路84から出力されるトリガ出力回路82に対するセット信号Sがオンとなり、スノートリガTgの出力が開始されるようになっている。
【0049】
図3に示されるように、このスノートリガTgは判定セクション38に供給されており、それ故、図8に示す判定セクション38の回路において、スノートリガTgはAND回路74に対するオン信号として入力されている。判定セクション38では、上述した第1及び第2種の路面状態MF(X),Mv(Y)からだけでなく、このスノートリガTgを更に参照して路面状態Mμ(Z)の設定を行うことができる。
【0050】
以下に、スノートリガTgを参照して行われる路面状態の判定について説明する。
乾側曖昧雪路
上述したように、第1種の路面状態MF(X)に基づく「乾側曖昧雪路」を示すオン信号は一方でOR回路66にも入力されており、このオン信号はOR回路66を介してAND回路74に入力されている。AND回路74の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「乾側曖昧雪路」であり、且つ、スノートリガTgが出力されている。このことは、前回の判定では路面状態Mμ(Z)が「雪路」として確定されており、その路面が雪路であることを意味している。この場合、AND回路74から出力されるオン信号はOR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となり、この結果、スイッチSWは第3判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0051】
これに対し、前回の判定にて「雪路」としての路面状態Mμ(Z)が確定されておらず、スノートリガTgが出力されていない状況にあっては、AND回路74での論理判定が偽となり、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理する。この場合、前回の判定にて確定された「雪路」以外の路面状態Mμ(Z)が維持される。
【0052】
曖昧乾燥路
第1種の路面状態MF(X)に基づく「曖昧乾燥路」を示すオン信号はAND回路70にも入力されており、また、このAND回路70には第2種の路面状態Mv(Y)が「中振以上」であるときにオンとなる信号が入力されている。AND回路70の論理判定が真となることを条件として出力されるオン信号は、OR回路66を介してAND回路74に入力されている。従って、AND回路70から出力されるオン信号は、更にAND回路74の論理判定が真となることを条件として、AND回路74、OR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となる。
【0053】
これらのうちAND回路70の論理判定が真となる状況とは、第1種の路面状態が「曖昧乾燥路」であり、且つ、その反射光の垂直偏光成分Pvの振動強度Vpvが中レベル強度閾値M以上にある。このことは、その路面は殆ど乾燥路に近い状態であるが、垂直偏光成分Pvの振動が乾燥路での振動以上であって、路面が部分的に雪に覆われていることを意味している。この状況で、更に前回の判定にて「雪路」の路面状態が確定(スノートリガTgが出力)されている場合、AND回路72の論理判定が真となり、AND回路70から出力されるオン信号はAND回路72、OR回路56及びAND回路58を介して第3判定信号となり、この結果、スイッチSWは第3判定信号の供給を受け、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0054】
これに対し、AND回路70の論理判定が偽となる場合、又は前回の判定にて「雪路」の路面状態が確定されておらずAND回路70の論理判定が偽となる場合、第1種の路面状態MF(X)を「不明」として処理し、前回の判定にて確定された「雪路」以外の路面状態Mμ(Z)を維持する。
上述したように、先ず、第1種の路面状態MF(X)が「曖昧ウェット路」、「乾側曖昧雪路」、「曖昧乾燥路」又は「湿側曖昧雪路」となる状況にあっては、ドライバ自身によっても路面状態の識別が不能な場合があるが、上述した振動強度Vpvを考慮することにより、ドライバに正確な路面状態を認識させることができ、ドライバの安全運転に大きく貢献する。
【0055】
更に、第1種の路面状態MF(X)が「乾側曖昧雪路」又は「曖昧乾燥路」であって、とりわけ振動強度Vpvを考慮しても路面状態の識別が困難な状況にあっては、前回の判定にて確定された判定結果(スノートリガTg)を参照することで、路上に雪が点在するような路面について「雪路」の判定を容易に行うことができる。このように前回の判定結果を参照することで「雪路」を判定できる状況とは、例えば実際の走行路面が実質的な雪路の状態であり、車両がこのような雪路を走行中、その路上の雪が部分的に汚れていたり、また、路上の雪が部分的に取り除かれて乾燥した路面が露出している場合等が考えられる。
【0056】
しかしながら、車両が実質的な乾燥路面を走行していて、その後、始めて雪が点在するような状態の路面を走行する場合、また、乾燥路面の走行中に降雪があり、その降雪初期にて路面が未だ明確な雪路の状態にない場合、前回の判定にて「雪路」の路面状態Mμ(Z)が未だ確定されていない。このような状況にあっては、上述した検出手段により第1及び第2種の路面状態を検出する一方、推定手段にて路面摩擦係数を推定しておくことで推定した路面摩擦係数を参照し、路面摩擦係数が例えば「低μ」として推定されている場合、路面状態を「雪路」として判定することができると考えられる。以下には、このような路面摩擦係数の推定手段及び路面摩擦係数を参照して路面状態の判定を行うための実施例について説明する。
【0057】
図3のECU6内にて、演算処理セクション102から出力された諸数値は、μ推定セクション104に供給可能となっている。このμ推定セクション104は、車両2の運動状態及びドライバの運転操作状態に基づいて路面μを推定するためのμ推定マップを有しており、推定した路面μ(W)をトリガ設定セクション80に供給する。ここで、推定路面μ(W)の“W”は、「高μ」又は「低μ」を表す。またμ推定セクション104は複数のμ推定マップ(特に図示されていない)を有しており、以下にμ推定マップの種別に応じたμ推定セクション104の機能を説明する。
【0058】
スロットル開度−車輪スリップ比マップ
例えば車両発進時におけるスロットル開度の最大値と車輪スリップ比の最大値との関係は、タイヤの摩擦特性との関係から路面μに固有の傾向を示すことが知られている。スロットル開度−車輪スリップ比マップは、発進時におけるスロットル開度Tpの最大値と、車輪スリップ比Srの最大値との関係から「高μ」及び「低μ」の領域を設定したものであり、例えばスロットル開度の最大値が比較的大きい値であるにも拘わらず、車輪スリップ比の最大値があまり大きくない領域は「高μ領域」に設定され、逆にスロットル開度の最大値が比較的小さいにも拘わらず車輪スリップ比の最大値が大きくなる領域は「低μ領域」に設定されている。
【0059】
スロットル開度−車輪加速度マップ
上述したタイヤの摩擦特性との関係から、車両発進時のスロットル開度と車輪加速度との関係もまた路面μに固有の傾向を示すことが知られている。スロットル開度−車輪加速度マップには、発進時におけるスロットル開度Tpの最大値と車輪加速度Awの最大値との関係から「高μ領域」及び「低μ領域」が設定されている。例えば、スロットル開度の最大値が比較的大きいにも拘わらず車輪加速度の最大値があまり大きくない領域は「高μ領域」に設定され、逆にスロットル開度の最大値が比較的小さいにも拘わらず車輪加速度の最大値が大きくなる領域は「低μ領域」に設定されている。
【0060】
スリップ比−駆動制動力マップ
例えば駆動又は制動時における車輪スリップ比と駆動制動力との関係は、タイヤの摩擦特性との関係から路面μに固有の傾向を示すことが知られている。スリップ比−駆動制動力マップには、駆動時の車輪スリップ比Srと駆動力Fxとの関係、そして、制動時の車輪スリップ比Srと制動力Fxとの関係から「高μ領域」及び「低μ領域」が設定されている。例えば、駆動制動力が比較的小さいにも拘わらず車輪スリップ比が大きくなる領域は「低μ領域」に設定され、逆に駆動制動力が比較的大きくても車輪スリップ比があまり大きくない領域は「高μ領域」に設定されている。
【0061】
横G偏差マップ
例えば車両操舵時、ハンドル角及び車速に基づいて算出される計算横加速度の出力に対して、実際に車体に働く実横加速度の出力の時間的な追従性は、タイヤの摩擦特性との関係から路面μに固有の傾向を示すことが知られている。具体的には、高μ路での操舵時よりも低μ路での操舵時の方が、計算横加速度の出力に対して実横加速度の出力が比較的大きな位相遅れをもって追従する傾向にある。更に、これら計算横加速度出力及び実横加速度出力の時間微分値を同一時刻で比較すれば、高μ路よりも低μ路での操舵時の方が、両方の微分値の間の偏差が定量的に大きい値を示す。横G偏差マップは、このような計算横Gycの時間微分値と、検出した実横Gyの時間微分値との間の偏差の実効値に基づいて「高μ領域」及び「低μ領域」を設定しており、このような偏差の実効値が比較的大きい領域は「低μ領域」に設定され、逆に偏差の実効値が比較的小さい領域は「高μ領域」に設定されている。
【0062】
μ推定セクション104では、入力されたスリップ比Sr、車輪加速度Aw、スロットル開度Tp、駆動制動力Fx及び横G偏差(詳しくは計算横Gycの微分値と実横Gyの微分値との間の偏差の実効値)に基づいて、上述した各μ推定マップから路面μを「高μ」又は「低μ」として推定する。具体的には、車両の発進時、駆動制動時又は操舵時、それぞれに対応するマップを選択し、そして、これら諸数値から特定されるマップ上の点が「高μ」又は「低μ」の何れかの領域にあれば、路面μを「高μ」又は「低μ」として推定し、そして、その推定μ(W)をトリガ設定セクション80に供給する。
【0063】
トリガ設定セクション80では、図9に示されるように入力された推定μ(W)が「低μ」である場合、OR回路84を介してトリガ出力回路82に対するセット信号Sがオンとなる。従って、上述した路面状態Mμ(Z)が「雪路」である場合に加えて、μ推定セクション104にて路面μが「低μ」として推定される場合、スノートリガTgが出力されることになる。
【0064】
このように、路面μが「低μ」として推定されており、スノートリガTgが出力されていると、上述したように乾燥路から雪混じりの路面へ路面状態が変化した場合であっても、第1種の路面状態MF(X)が「乾側曖昧雪路」である場合又は第1種の路面状態MF(X)が「曖昧乾燥路」であり且つ第2種の路面状態Mv(Y)が「中振以上」である場合は、路面状態Mμ(Z)は「雪路」に設定され、表示装置4の表示面には「雪路」が表示される。
【0065】
従って、上述した路面μを推定する実施例によれば、それまで乾燥路を走行していたドライバが路面状態が雪路に変化していることに気がつかず、例えば路面上の雪を見落としているような状況にあっても、正確に雪路を判別することでドライバの安全運転に大きく貢献することができる。
なお、上述した2つの実施例において、判定結果としての路面状態Mμ(Z)が「ウェット路」である場合又は推定μ(W)が「高μ」の場合、そして、駆動制動力Fxの絶対値が制限値γ以上である場合は、図9に示されるようにOR回路86から出力されるリセット信号Rがオンとなる。これら何れの場合も、トリガ出力回路82はスノートリガTgの出力を終了する。なお、図3にはトリガ設定セクション80への駆動制動力Fxの入力ルートは特に図示されていない。
【0066】
この発明は上述した各実施例に制約されることなく変形が可能である。実施例では、反射光における水平偏光成分及び垂直偏光成分の少なくとも一方の振動強度を抽出するようにしているが、路面センサ12とは別の路面センサを使用し、この路面センサにて前述した路面領域からの反射光を受取り、この反射光の振動強度を抽出するようにしてもよい。即ち、この発明の実施にあたっては、その水平偏光成分及び垂直偏光成分を分離する反射光(第1反射光)と、振動強度を抽出する反射光(第2反射光)とが異なるものであってもよい。
【0067】
また、μ推定セクション104の出力推定μ(W)は、トリガ設定セクション80に供給することなく直接判定セクション38に供給してもよい。この場合、「低μ」を表す推定μ(Z)の入力は、図8中OR回路66に直接入力すればよい。
また、推定した路面μや、判定した路面状態の結果を例えば車両のアンチスキッドブレーキシステムやトラクションコントロールシステム等のスリップ制御に利用して、これらスリップ制御の作動をより高精度にすることも可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の路面状態判別装置によれば、各種路面状態の反射強度特性が混在する路面であっても、実際の路面状態を正確に判別することができる。
請求項2の路面状態判別装置によれば、反射強度特性及び振動強度やスノートリガから路面状態の判定が行えないときにも、路面状態を判別することができる。
また、請求項の路面状態判別装置によれば、車両の走行に伴う路面状態の大きな変化にも対応して正確に路面状態を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の路面状態判別装置を構成するシステムの概略図である。
【図2】前輪に対する路面センサの配置を示した図である。
【図3】図1のシステム中、そのECU内の構成を示したブロック図である。
【図4】各種の代表路面における反射特性の分布を示したグラフである。
【図5】図4のグラフに基づいて作成された反射強度マップを示すグラフである。
【図6】反射光における垂直偏光成分の振動強度を抽出するフィルタ処理を説明するための図である。
【図7】振動強度マップを示したグラフである。
【図8】図3中、判定セクションの詳細を示した回路構成図である。
【図9】図3中、トリガ設定セクションの詳細を示した回路構成図である。
【符号の説明】
4 表示装置
6 ECU
8 ハンドル角センサ
10 車輪速センサ
12 路面センサ
15 Gセンサユニット
20 投光器
22 受光器

Claims (3)

  1. 路面からの第1反射光を垂直偏光成分及び水平偏光成分に分離して、両方の偏光成分の反射強度特性に基づき雪路を含む複数の直特定領域である第1種の路面状態を検出し、第1種検出信号を出力する第1検出手段と、
    前記路面からの第2反射光の振動強度を抽出して、この抽出した振動強度に基づき第2種の路面状態を検出し、第2種検出信号を出力する第2検出手段と、
    前記第1及び第2検出手段からの前記第1及び第2種検出信号に基づき前記雪路と他の直特定領域との中間に存在する曖昧領域の路面状態を判定して判定結果を出力する一方、この判定結果を順次記憶し、前記第1及び第2種検出信号のみから前記判定ができないときは、更に前記記憶した判定結果のうち雪路とする判定結果によりセットされているスノートリガの信号に基づき前記曖昧領域の路面状態を判定して雪路とする判定結果を出力する判定手段とを具備したことを特徴とする路面状態判別装置。
  2. 前記判定手段は、前記スノートリガによる雪路とする判定結果をも順次記憶し、前記第1及び第2種検出信号やスノートリガの信号から前記判定ができないときは、更に前記記憶した前回の判定結果を参照して路面状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の路面状態判別装置。
  3. 車両の運動状態を検出する手段と、運転者による運転操作状態を検出する手段と、これら検出した運動状態及び運転操作状態に基づいて路面摩擦係数を推定する手段とを更に備えており、前記判定手段は前記記憶した前回の判定結果に代えて前記推定した路面摩擦係数を参照して路面状態を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の路面状態判別装置。
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