JP3581591B2 - 内視鏡用ドレナージチューブ留置具 - Google Patents
内視鏡用ドレナージチューブ留置具 Download PDFInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、臓器内から排液を行うためのドレナージチューブを内視鏡を介して臓器に穿刺、留置するための内視鏡用ドレナージチューブ留置具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
膵臓や膵管内等に溜まった分泌液等を排出させるために、経内視鏡的にドレナージチューブ（排液管）を体内に留置する手技がある。
【０００３】
以前は、内視鏡の処置具挿通チャンネルを介して、まずガイドワイヤが挿脱自在に挿通された穿刺具で胃壁等から膵臓等を穿刺し、ガイドワイヤの先端を膵管内等に残したままの状態で穿刺具を抜去して、それからガイドワイヤをガイドにしてドレナージチューブの先端側を膵管内等に差し込み、最後にガイドワイヤを抜去して、ドレナージチューブを膵管内等と胃内等にまたがる状態に残すようにしていた。しかし、そのように抜き差し操作を繰り返すのは非常に面倒である。
【０００４】
そこで近年は、先端に穿刺部が形成されたガイドワイヤに長尺のドレナージチューブを被嵌して、ガイドワイヤ先端の穿刺部を膵管等に突き刺し、それをガイドにしてドレナージチューブの先端部分を膵管等に差し込んでからガイドワイヤを抜去する手技が開発されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
そのような手技の場合には、ガイドワイヤが通された状態のドレナージチューブを内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通する操作を行う必要がある（ガイドワイヤだけでは、腰が弱くて処置具挿通チャンネルを通過させることができない）。
【０００６】
しかし、ガイドワイヤはドレナージチューブの先端から突出する長さを有するので、内視鏡の処置具挿通チャンネルに押し込んでいく最中にガイドワイヤ先端の穿刺部がドレナージチューブの先端から飛び出して内視鏡の処置具挿通チャンネルを傷付けて破損してしまう場合がある。
【０００７】
そこで本発明は、ドレナージチューブの先端から突出する長さを有するガイドワイヤが、内視鏡の処置具挿通チャンネルへの挿通操作時にドレナージチューブの先端から突出して処置具挿通チャンネルを傷付けたりすることを防止することができる内視鏡用ドレナージチューブ留置具を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、先端に穿刺部が形成された可撓性のガイドワイヤに軸線方向に進退自在にドレナージチューブが被嵌された内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材と、上記突没状態を表示するための突没状態表示手段とを手元側に設けたことを特徴とする。
【０００９】
なお、上記突没状態表示手段が、上記突没状態調整部材、上記ガイドワイヤの軸部、又は上記ドレナージチューブの手元側端部のいずれかに設けられていてもよい。
【００１０】
また、上記ドレナージチューブを先側に押し出すためのプッシャーチューブが、上記ドレナージチューブの手元側に隣接して上記ガイドワイヤに軸線方向に進退自在に被嵌されており、上記突没状態表示手段が、上記突没状態調整部材、上記ガイドワイヤの軸部、又は上記プッシャーチューブの手元側端部のいずれかに設けられていてもよい。
【００１１】
そして、上記突没状態調整部材が、上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブ、及び上記ガイドワイヤの少なくとも一方に対して着脱自在であってもよく、上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブと上記ガイドワイヤとの軸線方向の相対的進退を固定／解除自在な固定手段が設けられていてもよい。
【００１２】
また、上記突没状態調整部材が、上記ガイドワイヤ及び上記ドレナージチューブの手元側を挿通することができる、透明性のある管体により形成されていてもよい。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、１は、導電性のある例えばステンレス鋼線の単線又は撚り線からなる可撓性のガイドワイヤである。
【００１４】
ガイドワイヤ１の先端部分１ａは、生体組織に穿刺することができるように切り削がれた針先状又は円錐形状に尖って形成されており、ガイドワイヤ１の手元側端部には、指先で保持するのに適した大きさの摘み２が固着されている。
【００１５】
摘み２には、図示されていない高周波電源コードが接続される接続端子３が配置されており、必要に応じてガイドワイヤ１に高周波電流を流し、先端の穿刺部１ａにおいてジュール熱で体腔内壁を穿刺することができる。したがって、穿刺部１ａは必ずしも鋭く尖っていなくてもよい。
【００１６】
ガイドワイヤ１には、軟質のフッ素樹脂チューブ等により内視鏡の処置具挿通チャンネルより長く形成されたドレナージチューブ５が軸線方向に進退自在に被嵌されている。
【００１７】
逆に言うと、ドレナージチューブ５の全長にわたってガイドワイヤ１が軸線方向に進退自在に挿通されており、手元側においてドレナージチューブ５とガイドワイヤ１とを相対的に軸線方向に進退させれば、ドレナージチューブ５の先端からガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａを突没させることができる。
【００１８】
ガイドワイヤ１の基端に固着されている摘み２には、ガイドワイヤ１の手元側寄りの部分を囲む突没状態調整用連結チューブ１０の基端側部分が係脱可能に連結固定されており、突没状態調整用連結チューブ１０とガイドワイヤ１とは軸線方向に一体的に進退する。１１は、その連結を行っているいわゆるルアーロックタイプの連結口金である。
【００１９】
突没状態調整用連結チューブ１０の先端部分には、ドレナージチューブ５の外周面に密接するＯリング１２が装着された突没状態調整口金１３が取り付けられており、突没状態調整口金１３中の螺合部品１３１，１３２を締め込み状態にすると、Ｏリング１２が強く潰されてドレナージチューブ５がガイドワイヤ１に対して押圧固定され、その螺合を緩めればドレナージチューブ５とガイドワイヤ１との固定が解除される。
【００２０】
突没状態調整用連結チューブ１０の長さは、ほぼガイドワイヤ１とドレナージチューブ５の長さの差程度であり、ガイドワイヤ１の穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端付近に位置する状態のときには、ドレナージチューブ５の基端が突没状態調整用連結チューブ１０の先端付近にある。
【００２１】
厳密にいうと、この実施の形態においては、ガイドワイヤ１の穿刺部１ａがちょうどドレナージチューブ５の先端に位置する状態のときには、ドレナージチューブ５の基端が突没状態調整口金１３と突没状態調整用連結チューブ１０との境界部１５に位置するように設定されている。
【００２２】
突没状態調整用連結チューブ１０は、透明性があって伸縮性の乏しいフッ素樹脂チューブ等によって形成されており、その先端部分には、軸線方向に所定の間隔をあけてリング状の複数の指標２０が設けられている。
【００２３】
このように構成された実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、図１に示されるように、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態においては、その突出長さと同じ長さだけドレナージチューブ５の基端が突没状態調整用連結チューブ１０内に突出している。
【００２４】
そして、突没状態調整用連結チューブ１０は透明性があるので、ドレナージチューブ５の基端の位置が突没状態調整用連結チューブ１０を通して外部から目視され、ドレナージチューブ５の基端が指標２０のどの位置にあるかによって、ドレナージチューブ５の先端からのガイドワイヤ１の突出長を判断することができる。
【００２５】
また、図２に示されるように、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態においては、その引き込み長さと同じ長さだけドレナージチューブ５の基端が突没状態調整口金１３内に引っ込んでいて、ドレナージチューブ５の基端が外部から見えないので、それによってガイドワイヤ１の先端がドレナージチューブ５内に引っ込んでいることを判断することができる。
【００２６】
図３は、上記の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の使用状態を略示しており、突没状態調整口金１３を、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態に固定セットして、ドレナージチューブ５を内視鏡５０の処置具挿通チャンネル５１内に押し込んでいく。
【００２７】
Ａに示されるように、ドレナージチューブ５の先端が処置具挿通チャンネル５１内にある間はその状態を維持し、Ｂに示されるように、ドレナージチューブ５の先端が処置具挿通チャンネル５１の先端から突出したら、突没状態調整口金１３におけるガイドワイヤ１とドレナージチューブ５との固定状態を解除する。
【００２８】
そして、接続端子３に接続された高周波電源コード６０を経由してガイドワイヤ１に高周波電流を流し、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａを体腔内壁に押し付けて穿刺をする。その際に、穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端からどの程度突出したかを、指標２０により確認することができる。
【００２９】
そして、穿刺部１ａが目的部位まで達したら、ガイドワイヤ１をガイドにしてドレナージチューブ５の先端を目的部位まで押し込み、最後にドレナージチューブ５を動かさないように注意しながら、内視鏡５０及びガイドワイヤ１を順に手元側に抜去してドレナージチューブ５の留置処置が完了する。
【００３０】
図４及び図５は、本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、図４はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態を示し、図５はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態を示している。
【００３１】
この実施の形態においては、指標２０がガイドワイヤ１に設けられている点だけが第１の実施の形態と相違し、透明性のある部材からなる突没状態調整用連結チューブ１０を通してドレナージチューブ５の基端部と指標２０との位置関係を目視することができる。
【００３２】
なお、突没状態調整用連結チューブ１０を透過して目視することができるドレナージチューブ５の基端部の位置を、突没状態調整用連結チューブ１０の側面に油性ペン等で処置直前に書き込んで使用してもよい。処置直前に基端部の位置を書き込むことにより、ドレナージチューブ５及びガイドワイヤ１の個々の伸縮による誤差をなくすことができる。
【００３３】
図６及び図７は、本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、図６はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態を示し、図７はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態を示している。
【００３４】
この実施の形態においては、指標２０がドレナージチューブ５の基端部近傍の外周面に設けられている点だけが第１の実施の形態と相違し、突没状態調整口金１３の先側端面１６に対する指標２０の位置関係から、ドレナージチューブ５の先端に対するガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａの突没状態と突出長を目視することができる。
【００３５】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、短いドレナージチューブ５を先側に押し出すためのプッシャーチューブを、ドレナージチューブ５の手元側に隣接してガイドワイヤ１に軸線方向に進退自在に被嵌してもよい。
【００３６】
即ち、上述の各実施の形態の長いドレナージチューブ５を、短い先側のドレナージチューブ５とその手元側のプッシャーチューブとに分割形成して、指標２０を、突没状態調整用連結チューブ１０、ガイドワイヤ１の軸部、又はプッシャーチューブの手元側端部に設けてもよい。
【００３７】
【発明の効果】
本発明によれば、ドレナージチューブ先端に対するガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材と、突没状態を表示するための突没状態表示手段とを手元側に設けたことにより、ドレナージチューブ先端に対するガイドワイヤ先端の突没状態を確実に確認及び調整することができるので、内視鏡の処置具挿通チャンネルへの挿通操作時にガイドワイヤがドレナージチューブの先端から突出して処置具挿通チャンネルを傷付けるような事故を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図２】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【図３】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の使用状態の略示図である。
【図４】本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図５】本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【図６】本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図７】本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【符号の説明】
１ ガイドワイヤ
１ａ 穿刺部
５ ドレナージチューブ
１０ 突没状態調整用連結チューブ
１１ 連結口金
１２ Ｏリング
１３ 突没状態調整口金
１５ 境界部
１６ 先側端面
２０ 指標
【発明の属する技術分野】
この発明は、臓器内から排液を行うためのドレナージチューブを内視鏡を介して臓器に穿刺、留置するための内視鏡用ドレナージチューブ留置具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
膵臓や膵管内等に溜まった分泌液等を排出させるために、経内視鏡的にドレナージチューブ（排液管）を体内に留置する手技がある。
【０００３】
以前は、内視鏡の処置具挿通チャンネルを介して、まずガイドワイヤが挿脱自在に挿通された穿刺具で胃壁等から膵臓等を穿刺し、ガイドワイヤの先端を膵管内等に残したままの状態で穿刺具を抜去して、それからガイドワイヤをガイドにしてドレナージチューブの先端側を膵管内等に差し込み、最後にガイドワイヤを抜去して、ドレナージチューブを膵管内等と胃内等にまたがる状態に残すようにしていた。しかし、そのように抜き差し操作を繰り返すのは非常に面倒である。
【０００４】
そこで近年は、先端に穿刺部が形成されたガイドワイヤに長尺のドレナージチューブを被嵌して、ガイドワイヤ先端の穿刺部を膵管等に突き刺し、それをガイドにしてドレナージチューブの先端部分を膵管等に差し込んでからガイドワイヤを抜去する手技が開発されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
そのような手技の場合には、ガイドワイヤが通された状態のドレナージチューブを内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通する操作を行う必要がある（ガイドワイヤだけでは、腰が弱くて処置具挿通チャンネルを通過させることができない）。
【０００６】
しかし、ガイドワイヤはドレナージチューブの先端から突出する長さを有するので、内視鏡の処置具挿通チャンネルに押し込んでいく最中にガイドワイヤ先端の穿刺部がドレナージチューブの先端から飛び出して内視鏡の処置具挿通チャンネルを傷付けて破損してしまう場合がある。
【０００７】
そこで本発明は、ドレナージチューブの先端から突出する長さを有するガイドワイヤが、内視鏡の処置具挿通チャンネルへの挿通操作時にドレナージチューブの先端から突出して処置具挿通チャンネルを傷付けたりすることを防止することができる内視鏡用ドレナージチューブ留置具を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、先端に穿刺部が形成された可撓性のガイドワイヤに軸線方向に進退自在にドレナージチューブが被嵌された内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材と、上記突没状態を表示するための突没状態表示手段とを手元側に設けたことを特徴とする。
【０００９】
なお、上記突没状態表示手段が、上記突没状態調整部材、上記ガイドワイヤの軸部、又は上記ドレナージチューブの手元側端部のいずれかに設けられていてもよい。
【００１０】
また、上記ドレナージチューブを先側に押し出すためのプッシャーチューブが、上記ドレナージチューブの手元側に隣接して上記ガイドワイヤに軸線方向に進退自在に被嵌されており、上記突没状態表示手段が、上記突没状態調整部材、上記ガイドワイヤの軸部、又は上記プッシャーチューブの手元側端部のいずれかに設けられていてもよい。
【００１１】
そして、上記突没状態調整部材が、上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブ、及び上記ガイドワイヤの少なくとも一方に対して着脱自在であってもよく、上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブと上記ガイドワイヤとの軸線方向の相対的進退を固定／解除自在な固定手段が設けられていてもよい。
【００１２】
また、上記突没状態調整部材が、上記ガイドワイヤ及び上記ドレナージチューブの手元側を挿通することができる、透明性のある管体により形成されていてもよい。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、１は、導電性のある例えばステンレス鋼線の単線又は撚り線からなる可撓性のガイドワイヤである。
【００１４】
ガイドワイヤ１の先端部分１ａは、生体組織に穿刺することができるように切り削がれた針先状又は円錐形状に尖って形成されており、ガイドワイヤ１の手元側端部には、指先で保持するのに適した大きさの摘み２が固着されている。
【００１５】
摘み２には、図示されていない高周波電源コードが接続される接続端子３が配置されており、必要に応じてガイドワイヤ１に高周波電流を流し、先端の穿刺部１ａにおいてジュール熱で体腔内壁を穿刺することができる。したがって、穿刺部１ａは必ずしも鋭く尖っていなくてもよい。
【００１６】
ガイドワイヤ１には、軟質のフッ素樹脂チューブ等により内視鏡の処置具挿通チャンネルより長く形成されたドレナージチューブ５が軸線方向に進退自在に被嵌されている。
【００１７】
逆に言うと、ドレナージチューブ５の全長にわたってガイドワイヤ１が軸線方向に進退自在に挿通されており、手元側においてドレナージチューブ５とガイドワイヤ１とを相対的に軸線方向に進退させれば、ドレナージチューブ５の先端からガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａを突没させることができる。
【００１８】
ガイドワイヤ１の基端に固着されている摘み２には、ガイドワイヤ１の手元側寄りの部分を囲む突没状態調整用連結チューブ１０の基端側部分が係脱可能に連結固定されており、突没状態調整用連結チューブ１０とガイドワイヤ１とは軸線方向に一体的に進退する。１１は、その連結を行っているいわゆるルアーロックタイプの連結口金である。
【００１９】
突没状態調整用連結チューブ１０の先端部分には、ドレナージチューブ５の外周面に密接するＯリング１２が装着された突没状態調整口金１３が取り付けられており、突没状態調整口金１３中の螺合部品１３１，１３２を締め込み状態にすると、Ｏリング１２が強く潰されてドレナージチューブ５がガイドワイヤ１に対して押圧固定され、その螺合を緩めればドレナージチューブ５とガイドワイヤ１との固定が解除される。
【００２０】
突没状態調整用連結チューブ１０の長さは、ほぼガイドワイヤ１とドレナージチューブ５の長さの差程度であり、ガイドワイヤ１の穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端付近に位置する状態のときには、ドレナージチューブ５の基端が突没状態調整用連結チューブ１０の先端付近にある。
【００２１】
厳密にいうと、この実施の形態においては、ガイドワイヤ１の穿刺部１ａがちょうどドレナージチューブ５の先端に位置する状態のときには、ドレナージチューブ５の基端が突没状態調整口金１３と突没状態調整用連結チューブ１０との境界部１５に位置するように設定されている。
【００２２】
突没状態調整用連結チューブ１０は、透明性があって伸縮性の乏しいフッ素樹脂チューブ等によって形成されており、その先端部分には、軸線方向に所定の間隔をあけてリング状の複数の指標２０が設けられている。
【００２３】
このように構成された実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、図１に示されるように、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態においては、その突出長さと同じ長さだけドレナージチューブ５の基端が突没状態調整用連結チューブ１０内に突出している。
【００２４】
そして、突没状態調整用連結チューブ１０は透明性があるので、ドレナージチューブ５の基端の位置が突没状態調整用連結チューブ１０を通して外部から目視され、ドレナージチューブ５の基端が指標２０のどの位置にあるかによって、ドレナージチューブ５の先端からのガイドワイヤ１の突出長を判断することができる。
【００２５】
また、図２に示されるように、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態においては、その引き込み長さと同じ長さだけドレナージチューブ５の基端が突没状態調整口金１３内に引っ込んでいて、ドレナージチューブ５の基端が外部から見えないので、それによってガイドワイヤ１の先端がドレナージチューブ５内に引っ込んでいることを判断することができる。
【００２６】
図３は、上記の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の使用状態を略示しており、突没状態調整口金１３を、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態に固定セットして、ドレナージチューブ５を内視鏡５０の処置具挿通チャンネル５１内に押し込んでいく。
【００２７】
Ａに示されるように、ドレナージチューブ５の先端が処置具挿通チャンネル５１内にある間はその状態を維持し、Ｂに示されるように、ドレナージチューブ５の先端が処置具挿通チャンネル５１の先端から突出したら、突没状態調整口金１３におけるガイドワイヤ１とドレナージチューブ５との固定状態を解除する。
【００２８】
そして、接続端子３に接続された高周波電源コード６０を経由してガイドワイヤ１に高周波電流を流し、ガイドワイヤ１の先端の穿刺部１ａを体腔内壁に押し付けて穿刺をする。その際に、穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端からどの程度突出したかを、指標２０により確認することができる。
【００２９】
そして、穿刺部１ａが目的部位まで達したら、ガイドワイヤ１をガイドにしてドレナージチューブ５の先端を目的部位まで押し込み、最後にドレナージチューブ５を動かさないように注意しながら、内視鏡５０及びガイドワイヤ１を順に手元側に抜去してドレナージチューブ５の留置処置が完了する。
【００３０】
図４及び図５は、本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、図４はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態を示し、図５はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態を示している。
【００３１】
この実施の形態においては、指標２０がガイドワイヤ１に設けられている点だけが第１の実施の形態と相違し、透明性のある部材からなる突没状態調整用連結チューブ１０を通してドレナージチューブ５の基端部と指標２０との位置関係を目視することができる。
【００３２】
なお、突没状態調整用連結チューブ１０を透過して目視することができるドレナージチューブ５の基端部の位置を、突没状態調整用連結チューブ１０の側面に油性ペン等で処置直前に書き込んで使用してもよい。処置直前に基端部の位置を書き込むことにより、ドレナージチューブ５及びガイドワイヤ１の個々の伸縮による誤差をなくすことができる。
【００３３】
図６及び図７は、本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、図６はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５の先端から突出した状態を示し、図７はガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａがドレナージチューブ５内に引き込まれた状態を示している。
【００３４】
この実施の形態においては、指標２０がドレナージチューブ５の基端部近傍の外周面に設けられている点だけが第１の実施の形態と相違し、突没状態調整口金１３の先側端面１６に対する指標２０の位置関係から、ドレナージチューブ５の先端に対するガイドワイヤ１の先端穿刺部１ａの突没状態と突出長を目視することができる。
【００３５】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、短いドレナージチューブ５を先側に押し出すためのプッシャーチューブを、ドレナージチューブ５の手元側に隣接してガイドワイヤ１に軸線方向に進退自在に被嵌してもよい。
【００３６】
即ち、上述の各実施の形態の長いドレナージチューブ５を、短い先側のドレナージチューブ５とその手元側のプッシャーチューブとに分割形成して、指標２０を、突没状態調整用連結チューブ１０、ガイドワイヤ１の軸部、又はプッシャーチューブの手元側端部に設けてもよい。
【００３７】
【発明の効果】
本発明によれば、ドレナージチューブ先端に対するガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材と、突没状態を表示するための突没状態表示手段とを手元側に設けたことにより、ドレナージチューブ先端に対するガイドワイヤ先端の突没状態を確実に確認及び調整することができるので、内視鏡の処置具挿通チャンネルへの挿通操作時にガイドワイヤがドレナージチューブの先端から突出して処置具挿通チャンネルを傷付けるような事故を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図２】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【図３】本発明の第１の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の使用状態の略示図である。
【図４】本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図５】本発明の第２の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【図６】本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブの先端から突出した状態の正面断面図である。
【図７】本発明の第３の実施の形態の内視鏡用ドレナージチューブ留置具のガイドワイヤの先端がドレナージチューブ内に引き込まれた状態の正面断面図である。
【符号の説明】
１ ガイドワイヤ
１ａ 穿刺部
５ ドレナージチューブ
１０ 突没状態調整用連結チューブ
１１ 連結口金
１２ Ｏリング
１３ 突没状態調整口金
１５ 境界部
１６ 先側端面
２０ 指標
Claims (4)
- 先端に穿刺部が形成された可撓性のガイドワイヤに軸線方向に進退自在にドレナージチューブが被嵌された内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、
上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材を設けると共に、上記ガイドワイヤの基端付近を囲む状態に上記ガイドワイヤの基端に連結された透明性のある連結チューブ内に上記ドレナージチューブの基端を位置させて、上記ガイドワイヤの上記連結チューブ内に位置する部分又は上記連結チューブに指標を設け、その指標に対する上記ドレナージチューブの基端の位置によって上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突出長が表示されるようにしたことを特徴とする内視鏡用ドレナージチューブ留置具。 - 先端に穿刺部が形成された可撓性のガイドワイヤの先端付近に軸線方向に進退自在にドレナージチューブが被嵌されると共に、上記ドレナージチューブを先側に押し出すためのプッシャーチューブが上記ドレナージチューブの手元側に隣接して上記ガイドワイヤに軸線方向に進退自在に被嵌された内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、
上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突没状態を調整するための突没状態調整部材を設けると共に、上記ガイドワイヤの基端付近を囲む状態に上記ガイドワイヤの基端に連結された透明性のある連結チューブ内に上記プッシャーチューブの基端を位置させて、上記ガイドワイヤの上記連結チューブ内に位置する部分又は上記連結チューブに指標を設け、その指標に対する上記プッシャーチューブの基端の位置によって上記ドレナージチューブ先端に対する上記ガイドワイヤ先端の突出長が表示されるようにしたことを特徴とする内視鏡用ドレナージチューブ留置具。 - 上記突没状態調整部材が、上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブ、及び上記ガイドワイヤの少なくとも一方に対して着脱自在である請求項１又は２記載の内視鏡用ドレナージチューブ留置具。
- 上記ドレナージチューブ又はプッシャーチューブと上記ガイドワイヤとの軸線方向の相対的進退を固定／解除自在な固定手段が設けられている請求項１、２又は３記載の内視鏡用ドレナージチューブ留置具。
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