JP3581561B2 - ソレノイド - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電されたコイルに発生する磁界によってプランジャを軸方向に往復運動させるソレノイドに関し、特にプランジャの往復運動を高速駆動させるソレノイドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からソレノイドは各種方面で利用されているが、そのような中、高速駆動するものとしては、例えば無杼織機における緯糸係止ピン装置に利用するものなどが挙げられる。その緯糸係止ピン装置は、緯糸を貯留ドラム上に巻き付けて貯留するためのものであり、緯糸が所定時間内に所定の長さだけ解放され緯入れ動作が実行されるように係止ピンが設けられている。そして、所定のタイミングで係止ピンを突出或いは引き込むためにソレノイドが利用されている。
更に緯糸係止ピン装置は、その係止ピンがプランジャによって緯糸を巻付け貯留するドラムの表面に対して進退動作することにより、緯糸がドラムから解放されることを禁止する係止位置と、これを許容する解放位置とをとるよう構成されたものであり、この係止ピンを動作させるための機構としていわゆるシングルソレノイド型とダブルソレノイド型とが利用されている。
【0003】
そのうち、シングルソレノイド型のものとしては、例えば本出願人が先に出願した実公平6―14414号公報に開示されたものを挙げることができる。図4は、当該公報に掲載された緯糸係止ピン装置に使用するシングルソレノイドの断面図である。これを第1従来例とする。
このシングルソレノイド101では、緯糸を巻付け貯留させる場合にはスプリング102の弾拡力によって係止ピン103を係止位置に突出させる(図示する状態)。そして、緯糸をドラムから解放させる場合には、コイル104を通電させてコア105を励磁し、スプリング102の付勢力に抗してプランジャ106を吸引することによって係止ピン103を開放位置にまで引き込む。
しかし、このようなシングルソレノイド101では、後退時にスプリング102の抵抗を受けるために高速駆動が難しく、またそのスプリング102の耐久性などの問題があるため、緯糸係止ピン装置にはダブルソレノイドを採用する傾向にある。
【0004】
そこで、ダブルソレノイド型のものとしては、例えば特開平2−300352号公報に開示されたものを挙げることができる。図5は、当該公報に掲載された緯糸係止ピン装置に使用するダブルソレノイドを示した断面図である。これを第2従来例とする。
このダブルソレノイド110は、ピンシャフト111と第一コイル121及び第二コイル122とを主要部材として構成されたものであり、ボディ123とカバー124とからなる本体に一体に収納されている。ボディ123の底部及びカバー124には同軸上に透孔が穿設され、そこへピンシャフト111が軸方向の移動が可能なように貫設されている。
【0005】
ピンシャフト111は、非磁性体からなる棒部材の中央部に円板状のストッパ112が固定され、更にそのストッパ112の両側に筒状のプランジャ113,114が固着されている。
第一コイル121と第二コイル122は、それぞれ筒状のフレーム131,132に内装され、その中央側端部にはダンパブラケット133,134が、そして両端部には固定鉄心135,136が嵌合されて上下に2個のソレノイドが構成されている。そして、これらはダンパブラケット133,134間に設けられたリング状のスペーサ137を介して位置決めされている。
また、ダンパブラケット123,124の内側には、ストッパ112が衝突した際に衝撃をやわらげるためのダンパ138,139が固着されている。
【0006】
そこで、第一コイル121及び第二コイル122が交互に通電され、励磁された各固定鉄心135,136へプランジャ113,114がそれぞれ吸引される。従って、ピンシャフト111は、第一コイル121が通電されれば図示する係止位置に突出されて、ピンシャフト111の先端がドラムDの挿入孔(不図示)内に進入し、ドラムDの表面に巻き付けられた緯糸が係止され貯留される。一方、第二コイル122が通電されればピンシャフト111は引き込まれ、緯糸は解放される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、緯糸係止ピン装置では、従来からピンシャフトが緯糸係止位置に置かれる場合の衝撃で緯糸の係止不備が生じることを防止するために、衝撃吸収のための手段が施されたソレノイドが提案されているが、いずれも有効なものとはなり得なかった。
即ち、前記第2従来例として示したダブルソレノイド110の場合、ピンシャフト111の引き込み及び突出時の緩衝材としてダンパ138,139が設けられているが、例えば20Hzもの速さで高速駆動するピンシャフト111の衝撃を十分に吸収できるものではなかった。
そのため、ピンシャフト111の引き込み及び突出時において、ストッパ112がダンパ138,139に衝突したときの反動でバウンドしてしまって、ピンシャフト111が移動方向とは反対に跳ね返ってしまい(以下、このようなピンシャフト(プランジャ等を含む)が跳ね返る現象を「ジャンピング」という)、正確な緯糸の係止或いは解放が行われないという問題があった。
【0008】
しかるに、従来の緯糸係止ピン装置では、通常そのジャンピングによる戻りを考慮してプランジャのストロークを大きめに取ったソレノイドが使用されていた。その一方、高速駆動が要求される緯糸係止ピン装置にとっては、プランジャ等の駆動部の軽量化、或いはそのストロークの縮小が高速駆動を実行するためのソレノイドに課せられた課題であった。
そのため、前記第2従来例のダブルソレノイドでは、衝撃力の吸収をいかにすべきかが問題となっていた。
かかる衝撃力の吸収という点では、第2従来例のものよりも前記第1従来例で示したシングルソレノイド101でより効果的な方法が採用されている。これは、ウエイト107を挟んだ緩衝体108,109が設けられ、プランジャ106の運動エネルギが両緩衝体108,109に吸収されるとともにウエイト107の運動エネルギに変換され、プランジャ106のジャンピングを防止するというものである。
【0009】
しかし、このようなウエイト107を用いた方法を前記ダブルソレノイドに利用した場合、もともとシングルソレノイドに比べて軸方向寸法が大きいダブルソレノイドにあって、さらに緯糸係止ピン装置の構成を大型化させてしまうこととなる。
ソレノイドの大型化は、設置スペースを広くとる必要が生じるばかりでなく、特にプランジャの軸方向寸法を大きくしてソレノイドの高速駆動を妨げるというより大きな問題が生じることとなる。従って、ウエイト107を用いた方法は、プランジャの動作を遅らせて高速化の要求に逆行することとなり、ダブルソレノイドへの利用は妥当なものではなかった。
【0010】
そこで本発明は、このような問題点を解決すべく、ジャンピングを防止した小型化が可能なソレノイドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のソレノイドは、円筒形状のコイルボビンに巻回されたコイルがヨークに画設された一対の第一コイル部材及び第二コイル部材と、前記第一コイル部材及び第二コイル部材の円筒内部に嵌挿された第一固定鉄心及び第二固定鉄心と、前記第一固定鉄心と第二固定鉄心との間を軸方向に移動自在で、その第一コイル部材及び第二コイル部材の内側端面に装着された緩衝材に対して当接するストッパが突設されたプランジャとを有し、前記第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内同軸上にスペーサを介して配設されたものであって、前記第一コイル部材及び第二コイル部材は、本体内を軸方向に対して移動できるよう独立して装填され、その軸方向端面と本体との間に緩衝材が挟み込まれたことを特徴とする。
【0012】
よって、一対の第一コイル部材及び第二コイル部材が交互に通電されると、プランジャが第一固定鉄心及び第二固定鉄心に交互に吸引されて上下に駆動して第一コイル部材及び第二コイル部材に衝突するが、そのとき、プランジャの運動エネルギは、第一コイル部材及び第二コイル部材の運動エネルギへと変換されるとともに緩衝材によって吸収されるので、ジャンピングが効果的に防止され、しかも軸方向にスペースをとるような部材を使用しないので小型化が可能なソレノイドとすることができる。
【0013】
また、本発明のソレノイドは、前記プランジャが、磁性体材料によって形成された中空円筒形状の略中央にストッパが突設されたものであって、その中空円筒内には非磁性体材料によって形成された中空円筒形状のシャフトが貫設されたものであることを特徴とする。
よって、シャフトを軽量化することで、高速駆動させることができる。
【0014】
また、本発明のソレノイドは、前記第一コイル部材及び第二コイル部材と前記本体との間に摺動シートを挿入させたことを特徴とするソレノイド。
よって、第一コイル部材及び第二コイル部材が本体に対して摺動シートを介して摺動するため、両者が擦れることによる摩耗粉の発生を防止することができ、耐久性が向上した。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかるソレノイドの一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、ソレノイドの一実施の形態を示した断面図であり、特に図1は引き込み時、図2は突出時の状態を示した図である。なお、本実施の形態のソレノイドは、前記従来例でも示したように無杼織機における緯糸係止ピン装置に使用するものとして以下に説明する。
ソレノイド1は、巻線の方向が逆向きである第一コイル11と第二コイル21とを主要部として、それぞれボディ2内に第一コイル部材10及び第二コイル部材20が構成されている。
【0016】
第一コイル部材10は、円筒形状のコイルボビン12に巻回された第一コイル11が、その外周を囲むフレーム13とコイルボビン12を上下から挟み込むプレート14,15とを組み付けて形成されたヨークによって画設されて構成されている。
一方、第二コイル部材20は第一コイル部材10と対称的に構成され、円筒形状のコイルボビン22に巻回された第一コイル21が、その外周を囲むフレーム23とコイルボビン22を上下から挟み込むプレート24,25とを組み付けて形成されたヨークによって画設されている。
【0017】
そして、このような第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、その中間に非磁性材からなるスペーサ3を介在させて有底円筒形状のボディ2内に装填され、そのボディ2の開口部が、ネジ止めされたカバー4によって閉じられている。このボディ2とカバー4とで本体が形成されている。
この場合、第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、ボディ2に対して固定されることなく各々が独立して設けられているが、一端面のプレート14がボディ2底面との間に緩衝材としてのクッションゴム16を、他端面のプレート24がカバー4との間に同様に緩衝材としてのクッションゴム26を挟み込んで位置決めされている。
従って、本実施の形態のソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を軸方向(図面上下方向)に移動が可能なよう自由度をもって構成されている。
【0018】
ところで、ボディ2内に装填された第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、ソレノイド1の駆動中には軸方向の移動を繰り返す。その場合、第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とに擦れによる摩耗粉が発生する。そこで、両者の直接の摺動をなくすために、摺動シート41を第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2との間に挿入する。ここで、図3は、ソレノイド1の分解斜視図である。
長方形状の摺動シート41は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20を包むように巻かれ、図1に示すように第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2との間に隙間なく挿入される。従って、第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、摺動シート41を摺動する構成となる。
摺動シート41は、低摩擦で、耐摩耗に優れた素材のものを選択し、例えば特殊充填材入りのフッ素樹脂シート(NTN株式会社製の「ルーロンJ」)を用いる。
【0019】
ソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の外側端部からコイルボビン12,22内に固定鉄心17,27が嵌合されている。固定鉄心17,27は円筒形状をなし、その内周部には円筒形状のブッシュ18,28が各々固着されて、両ブッシュ18,28内を同時に摺動するようシャフト5が嵌挿されている。シャフト5は、非磁性材で形成されたパイプであって、その下端には、ソレノイド1が緯糸係止ピン装置として機能するよう係止ピン6が取り付けられている。
また、シャフト5の略中央には円筒形状のプランジャ7が固定され、そのシャフト5と一体のものとなっている。プランジャ7の略中央には軸心の直交方向に張り出したストッパ7aが形成され、そのストッパ7aに対して第一コイル部材10及び第二コイル部材20のプレート15,25に緩衝材としてのクッションゴム19,29が固着されている。
【0020】
このようなソレノイド1は、第一コイル部材10を構成するフレーム13及びプレート14,15、第二コイル部材20を構成するフレーム23及びプレート24,25、そして固定鉄心17,27及びプランジャ7は磁性体材料で形成されている。そして、励磁された第一コイル11によってフレーム13、プレート14,15、固定鉄心17及びプランジャ7を通る磁気回路が形成される第一ソレノイドと、励磁された第二コイル21によってフレーム23、プレート24,25、固定鉄心27及びプランジャ7を通る磁気回路が形成される第二ソレノイドとのダブルソレノイドが構成されている。
固定鉄心17,27は、プランジャ7との磁束の通りを良くするために図示するような断面円錐状の円形突起が形成されている。
【0021】
ボディ2の底面には中心部に貫通孔2aが穿設され、そこから係止ピン6が突設されている。本実施の形態のソレノイド1は、無杼織機緯糸係止ピン装置に使用することを想定したものであるが、例えばその貫通孔2aから風綿などがボディ2内に侵入しないように、係止ピン6の回りに異物侵入阻止部材としてリング形状のフェルト31が嵌装されている。
また、ソレノイド1には、第一コイル11へ通電するためのリード線32と、第二コイル21へ通電するためのリード線33とが、カバー4に嵌合されたリード線ブッシュ34を通してボディ2内に拡設された配線室2bに導かれ、それぞれ不図示のコイル端子に接続されている。
【0022】
次に、このような構成からなるソレノイド1の作用について説明する。
例えば、このソレノイド1を緯糸係止ピン装置に使用するならば、図1に示す状態で緯糸がドラムから解放されている。この場合、リード線33を介して第二コイル21が通電され、発生する磁界によってフレーム23、プレート24,25、固定鉄心27及びプランジャ7を通る磁気回路が形成され、励磁された固定鉄心27にプランジャ7が吸引されている。よって、プランジャ7と一体のシャフト5が上昇し、その先端の係止ピン6が透孔2a内に引き込まれた状態となっている。
【0023】
そして、第二コイル21への通電を断つ一方、リード線32を介して第一コイルが通電されれば、第二コイル部材20側は非励磁状態となり、逆に第一コイル部材10側が励磁状態となる。そのため、固定鉄心27に吸引され上昇していたプランジャ7が解放され、第一コイル部材10側に発生する磁界によってフレーム13、プレート14,15、固定鉄心17及びプランジャ7を通る磁気回路が形成されて励磁された固定鉄心17にプランジャ7が吸引される。よって、図2に示すようにプランジャ7と一体のシャフト5が下降し、その先端の係止ピン6が透孔2aから突出される。このとき、突出された係止ピン6によって緯糸がドラム上に巻き付けられ貯留されることとなる。
次いで、第一コイル11への通電を断って第二コイル21が通電されれば、プランジャ7は再び図1に示す位置へ上昇する。このように第一コイル11と第二コイル21とで通電・非通電が交互に繰り返えされ、それによって係止ピン6の突出及び引き込み動作が行われる。
【0024】
ところで、このような係止ピン6の突出及び引き込み動作を行う際、上下の固定鉄心17,27に吸引されるプランジャ7が勢い良く動作し、そのプランジャ7に突設されたストッパ7aが移動方向のクッションゴム19,29に衝突して停止する。
そのときの衝撃吸収作用を第一コイル部材10側で示すならば、プランジャ7による衝撃、即ちプランジャ7の運動エネルギは、直接衝突するクッションゴム19の変形によって一部吸収されるとともに第一コイル部材10へ伝達され、軸方向に移動自在な第一コイル部材10の運動エネルギに変換される。即ち、第一コイル部材10は、プランジャ7の衝突によって摺動シート41を摺動する。
そして、その第一コイル部材10の運動エネルギがボディ2底面との間のクッションゴム16の変形によって吸収される。更には、第一コイル部材10は複数の部材から構成されているため、伝達された運動エネルギは各部材に分散されそこでも一部吸収されることとなる。
このような衝撃吸収作用は第二コイル部材20の場合でも同様である。
【0025】
従って、本実施の形態のソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を軸方向に移動が可能なよう自由度をもって構成したので、プランジャ7の運動エネルギが第一コイル部材10及び第二コイル部材20の運動エネルギへと変換され、衝撃によるプランジャ7のジャンピングが極めて高いレベルで抑制された。
その要因を更に分析すれば、前述したようにプランジャ7の運動エネルギを第一コイル部材10及び第二コイル部材20の運動エネルギへ変換したことで、プランジャと第一コイル部材10及び第二コイル部材20とが受ける反発力の位相がずれ、不具合を生じさせるほどのジャンピングが発生しなくなったこと、また、衝撃吸収能力が高まり、その反発力が極めて小さく抑えられるたことによる。
【0026】
更に、本実施の形態のソレノイド1は、複数の部材からなる第一コイル部材10及び第二コイル部材20の上下端にクッションゴム16,26を介在させてボディ2及びカバー4の箱体内に装填したので、そのクッションゴム16,26の弾性によって各部材寸法のバラツキが補正された。よって、部品寸法について極めて高い精度を追求する必要がなくなり、その点でコストの削減に寄与している。
また、ジャンピング防止専用の部材としてはクッションゴム16,26を設けたにすぎないので、ジャンピング防止に高い効果を奏し、しかもその構造をコンパクトにすることができた。よって、ダブルソレノイド型の高速性の効果と相まって、高速駆動が可能となった。
【0027】
また、シャフト5を中空にして軽量化したため、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の励磁による駆動の応答性が良くなった。
ところで、ジャンピング防止のために第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を摺動するよう構成したが、その第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とが直接擦れないように摺動シート41を用いたため、摩耗粉の発生を抑えることができた。また、直接の擦れを防止したことでソレノイド自体の耐久性を上げることができ、更に第一コイル部材10及び第二コイル部材20の摺動により摩耗するのは摺動シート41であるため、メンテナンスも摺動シート41の交換で済む。
【0028】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の上下端に緩衝材としてクッションゴム16,26を使用したが、この他スプリングや弾性を持つワッシャなどを使用するようにしてもよい。
また、摺動シート41は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とが直接擦れないようにするものであれば、その形状は問わず、また低摩擦で、耐摩耗に優れたものであれば、特定の素材に限定されない。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、円筒形状のコイルボビンに巻回されたコイルがヨークに画設された一対の第一コイル部材及び第二コイル部材と、第一コイル部材及び第二コイル部材の円筒内部に嵌挿された第一固定鉄心及び第二固定鉄心と、第一固定鉄心と第二固定鉄心との間を軸方向に移動自在で、その第一コイル部材及び第二コイル部材の内側端面に装着された緩衝材に対して当接するストッパが突設されたプランジャとを有し、第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内同軸上にスペーサを介して配設されたものであって、第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内を軸方向に対して移動できるよう独立して装填され、その軸方向端面と本体との間に緩衝材が挟み込まれた構成としたので、ジャンピングを防止した小型化が可能なソレノイドを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した引き込み時の断面図である。
【図2】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した突出時の断面図である。
【図3】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した分解斜視図である。
【図4】第1従来例の緯糸係止ピン装置を示した断面図である。
【図5】第2従来例の緯糸係止ピン装置を示した断面図である。
【符号の説明】
1 ソレノイド
2 ボディ
3 スペーサ
5 シャフト
6 係止ピン
7 プランジャ
10 第一コイル部材
11 第一コイル
12,22 コイルボビン
13,23 フレーム
14,15,24,25 プレート
17,27 固定鉄心
20 第二コイル部材
21 第二コイル
16,19,26,29 クッションゴム
41 摺動シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、通電されたコイルに発生する磁界によってプランジャを軸方向に往復運動させるソレノイドに関し、特にプランジャの往復運動を高速駆動させるソレノイドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からソレノイドは各種方面で利用されているが、そのような中、高速駆動するものとしては、例えば無杼織機における緯糸係止ピン装置に利用するものなどが挙げられる。その緯糸係止ピン装置は、緯糸を貯留ドラム上に巻き付けて貯留するためのものであり、緯糸が所定時間内に所定の長さだけ解放され緯入れ動作が実行されるように係止ピンが設けられている。そして、所定のタイミングで係止ピンを突出或いは引き込むためにソレノイドが利用されている。
更に緯糸係止ピン装置は、その係止ピンがプランジャによって緯糸を巻付け貯留するドラムの表面に対して進退動作することにより、緯糸がドラムから解放されることを禁止する係止位置と、これを許容する解放位置とをとるよう構成されたものであり、この係止ピンを動作させるための機構としていわゆるシングルソレノイド型とダブルソレノイド型とが利用されている。
【0003】
そのうち、シングルソレノイド型のものとしては、例えば本出願人が先に出願した実公平6―14414号公報に開示されたものを挙げることができる。図4は、当該公報に掲載された緯糸係止ピン装置に使用するシングルソレノイドの断面図である。これを第1従来例とする。
このシングルソレノイド101では、緯糸を巻付け貯留させる場合にはスプリング102の弾拡力によって係止ピン103を係止位置に突出させる(図示する状態)。そして、緯糸をドラムから解放させる場合には、コイル104を通電させてコア105を励磁し、スプリング102の付勢力に抗してプランジャ106を吸引することによって係止ピン103を開放位置にまで引き込む。
しかし、このようなシングルソレノイド101では、後退時にスプリング102の抵抗を受けるために高速駆動が難しく、またそのスプリング102の耐久性などの問題があるため、緯糸係止ピン装置にはダブルソレノイドを採用する傾向にある。
【0004】
そこで、ダブルソレノイド型のものとしては、例えば特開平2−300352号公報に開示されたものを挙げることができる。図5は、当該公報に掲載された緯糸係止ピン装置に使用するダブルソレノイドを示した断面図である。これを第2従来例とする。
このダブルソレノイド110は、ピンシャフト111と第一コイル121及び第二コイル122とを主要部材として構成されたものであり、ボディ123とカバー124とからなる本体に一体に収納されている。ボディ123の底部及びカバー124には同軸上に透孔が穿設され、そこへピンシャフト111が軸方向の移動が可能なように貫設されている。
【0005】
ピンシャフト111は、非磁性体からなる棒部材の中央部に円板状のストッパ112が固定され、更にそのストッパ112の両側に筒状のプランジャ113,114が固着されている。
第一コイル121と第二コイル122は、それぞれ筒状のフレーム131,132に内装され、その中央側端部にはダンパブラケット133,134が、そして両端部には固定鉄心135,136が嵌合されて上下に2個のソレノイドが構成されている。そして、これらはダンパブラケット133,134間に設けられたリング状のスペーサ137を介して位置決めされている。
また、ダンパブラケット123,124の内側には、ストッパ112が衝突した際に衝撃をやわらげるためのダンパ138,139が固着されている。
【0006】
そこで、第一コイル121及び第二コイル122が交互に通電され、励磁された各固定鉄心135,136へプランジャ113,114がそれぞれ吸引される。従って、ピンシャフト111は、第一コイル121が通電されれば図示する係止位置に突出されて、ピンシャフト111の先端がドラムDの挿入孔(不図示)内に進入し、ドラムDの表面に巻き付けられた緯糸が係止され貯留される。一方、第二コイル122が通電されればピンシャフト111は引き込まれ、緯糸は解放される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、緯糸係止ピン装置では、従来からピンシャフトが緯糸係止位置に置かれる場合の衝撃で緯糸の係止不備が生じることを防止するために、衝撃吸収のための手段が施されたソレノイドが提案されているが、いずれも有効なものとはなり得なかった。
即ち、前記第2従来例として示したダブルソレノイド110の場合、ピンシャフト111の引き込み及び突出時の緩衝材としてダンパ138,139が設けられているが、例えば20Hzもの速さで高速駆動するピンシャフト111の衝撃を十分に吸収できるものではなかった。
そのため、ピンシャフト111の引き込み及び突出時において、ストッパ112がダンパ138,139に衝突したときの反動でバウンドしてしまって、ピンシャフト111が移動方向とは反対に跳ね返ってしまい(以下、このようなピンシャフト(プランジャ等を含む)が跳ね返る現象を「ジャンピング」という)、正確な緯糸の係止或いは解放が行われないという問題があった。
【0008】
しかるに、従来の緯糸係止ピン装置では、通常そのジャンピングによる戻りを考慮してプランジャのストロークを大きめに取ったソレノイドが使用されていた。その一方、高速駆動が要求される緯糸係止ピン装置にとっては、プランジャ等の駆動部の軽量化、或いはそのストロークの縮小が高速駆動を実行するためのソレノイドに課せられた課題であった。
そのため、前記第2従来例のダブルソレノイドでは、衝撃力の吸収をいかにすべきかが問題となっていた。
かかる衝撃力の吸収という点では、第2従来例のものよりも前記第1従来例で示したシングルソレノイド101でより効果的な方法が採用されている。これは、ウエイト107を挟んだ緩衝体108,109が設けられ、プランジャ106の運動エネルギが両緩衝体108,109に吸収されるとともにウエイト107の運動エネルギに変換され、プランジャ106のジャンピングを防止するというものである。
【0009】
しかし、このようなウエイト107を用いた方法を前記ダブルソレノイドに利用した場合、もともとシングルソレノイドに比べて軸方向寸法が大きいダブルソレノイドにあって、さらに緯糸係止ピン装置の構成を大型化させてしまうこととなる。
ソレノイドの大型化は、設置スペースを広くとる必要が生じるばかりでなく、特にプランジャの軸方向寸法を大きくしてソレノイドの高速駆動を妨げるというより大きな問題が生じることとなる。従って、ウエイト107を用いた方法は、プランジャの動作を遅らせて高速化の要求に逆行することとなり、ダブルソレノイドへの利用は妥当なものではなかった。
【0010】
そこで本発明は、このような問題点を解決すべく、ジャンピングを防止した小型化が可能なソレノイドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のソレノイドは、円筒形状のコイルボビンに巻回されたコイルがヨークに画設された一対の第一コイル部材及び第二コイル部材と、前記第一コイル部材及び第二コイル部材の円筒内部に嵌挿された第一固定鉄心及び第二固定鉄心と、前記第一固定鉄心と第二固定鉄心との間を軸方向に移動自在で、その第一コイル部材及び第二コイル部材の内側端面に装着された緩衝材に対して当接するストッパが突設されたプランジャとを有し、前記第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内同軸上にスペーサを介して配設されたものであって、前記第一コイル部材及び第二コイル部材は、本体内を軸方向に対して移動できるよう独立して装填され、その軸方向端面と本体との間に緩衝材が挟み込まれたことを特徴とする。
【0012】
よって、一対の第一コイル部材及び第二コイル部材が交互に通電されると、プランジャが第一固定鉄心及び第二固定鉄心に交互に吸引されて上下に駆動して第一コイル部材及び第二コイル部材に衝突するが、そのとき、プランジャの運動エネルギは、第一コイル部材及び第二コイル部材の運動エネルギへと変換されるとともに緩衝材によって吸収されるので、ジャンピングが効果的に防止され、しかも軸方向にスペースをとるような部材を使用しないので小型化が可能なソレノイドとすることができる。
【0013】
また、本発明のソレノイドは、前記プランジャが、磁性体材料によって形成された中空円筒形状の略中央にストッパが突設されたものであって、その中空円筒内には非磁性体材料によって形成された中空円筒形状のシャフトが貫設されたものであることを特徴とする。
よって、シャフトを軽量化することで、高速駆動させることができる。
【0014】
また、本発明のソレノイドは、前記第一コイル部材及び第二コイル部材と前記本体との間に摺動シートを挿入させたことを特徴とするソレノイド。
よって、第一コイル部材及び第二コイル部材が本体に対して摺動シートを介して摺動するため、両者が擦れることによる摩耗粉の発生を防止することができ、耐久性が向上した。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかるソレノイドの一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、ソレノイドの一実施の形態を示した断面図であり、特に図1は引き込み時、図2は突出時の状態を示した図である。なお、本実施の形態のソレノイドは、前記従来例でも示したように無杼織機における緯糸係止ピン装置に使用するものとして以下に説明する。
ソレノイド1は、巻線の方向が逆向きである第一コイル11と第二コイル21とを主要部として、それぞれボディ2内に第一コイル部材10及び第二コイル部材20が構成されている。
【0016】
第一コイル部材10は、円筒形状のコイルボビン12に巻回された第一コイル11が、その外周を囲むフレーム13とコイルボビン12を上下から挟み込むプレート14,15とを組み付けて形成されたヨークによって画設されて構成されている。
一方、第二コイル部材20は第一コイル部材10と対称的に構成され、円筒形状のコイルボビン22に巻回された第一コイル21が、その外周を囲むフレーム23とコイルボビン22を上下から挟み込むプレート24,25とを組み付けて形成されたヨークによって画設されている。
【0017】
そして、このような第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、その中間に非磁性材からなるスペーサ3を介在させて有底円筒形状のボディ2内に装填され、そのボディ2の開口部が、ネジ止めされたカバー4によって閉じられている。このボディ2とカバー4とで本体が形成されている。
この場合、第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、ボディ2に対して固定されることなく各々が独立して設けられているが、一端面のプレート14がボディ2底面との間に緩衝材としてのクッションゴム16を、他端面のプレート24がカバー4との間に同様に緩衝材としてのクッションゴム26を挟み込んで位置決めされている。
従って、本実施の形態のソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を軸方向(図面上下方向)に移動が可能なよう自由度をもって構成されている。
【0018】
ところで、ボディ2内に装填された第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、ソレノイド1の駆動中には軸方向の移動を繰り返す。その場合、第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とに擦れによる摩耗粉が発生する。そこで、両者の直接の摺動をなくすために、摺動シート41を第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2との間に挿入する。ここで、図3は、ソレノイド1の分解斜視図である。
長方形状の摺動シート41は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20を包むように巻かれ、図1に示すように第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2との間に隙間なく挿入される。従って、第一コイル部材10及び第二コイル部材20は、摺動シート41を摺動する構成となる。
摺動シート41は、低摩擦で、耐摩耗に優れた素材のものを選択し、例えば特殊充填材入りのフッ素樹脂シート(NTN株式会社製の「ルーロンJ」)を用いる。
【0019】
ソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の外側端部からコイルボビン12,22内に固定鉄心17,27が嵌合されている。固定鉄心17,27は円筒形状をなし、その内周部には円筒形状のブッシュ18,28が各々固着されて、両ブッシュ18,28内を同時に摺動するようシャフト5が嵌挿されている。シャフト5は、非磁性材で形成されたパイプであって、その下端には、ソレノイド1が緯糸係止ピン装置として機能するよう係止ピン6が取り付けられている。
また、シャフト5の略中央には円筒形状のプランジャ7が固定され、そのシャフト5と一体のものとなっている。プランジャ7の略中央には軸心の直交方向に張り出したストッパ7aが形成され、そのストッパ7aに対して第一コイル部材10及び第二コイル部材20のプレート15,25に緩衝材としてのクッションゴム19,29が固着されている。
【0020】
このようなソレノイド1は、第一コイル部材10を構成するフレーム13及びプレート14,15、第二コイル部材20を構成するフレーム23及びプレート24,25、そして固定鉄心17,27及びプランジャ7は磁性体材料で形成されている。そして、励磁された第一コイル11によってフレーム13、プレート14,15、固定鉄心17及びプランジャ7を通る磁気回路が形成される第一ソレノイドと、励磁された第二コイル21によってフレーム23、プレート24,25、固定鉄心27及びプランジャ7を通る磁気回路が形成される第二ソレノイドとのダブルソレノイドが構成されている。
固定鉄心17,27は、プランジャ7との磁束の通りを良くするために図示するような断面円錐状の円形突起が形成されている。
【0021】
ボディ2の底面には中心部に貫通孔2aが穿設され、そこから係止ピン6が突設されている。本実施の形態のソレノイド1は、無杼織機緯糸係止ピン装置に使用することを想定したものであるが、例えばその貫通孔2aから風綿などがボディ2内に侵入しないように、係止ピン6の回りに異物侵入阻止部材としてリング形状のフェルト31が嵌装されている。
また、ソレノイド1には、第一コイル11へ通電するためのリード線32と、第二コイル21へ通電するためのリード線33とが、カバー4に嵌合されたリード線ブッシュ34を通してボディ2内に拡設された配線室2bに導かれ、それぞれ不図示のコイル端子に接続されている。
【0022】
次に、このような構成からなるソレノイド1の作用について説明する。
例えば、このソレノイド1を緯糸係止ピン装置に使用するならば、図1に示す状態で緯糸がドラムから解放されている。この場合、リード線33を介して第二コイル21が通電され、発生する磁界によってフレーム23、プレート24,25、固定鉄心27及びプランジャ7を通る磁気回路が形成され、励磁された固定鉄心27にプランジャ7が吸引されている。よって、プランジャ7と一体のシャフト5が上昇し、その先端の係止ピン6が透孔2a内に引き込まれた状態となっている。
【0023】
そして、第二コイル21への通電を断つ一方、リード線32を介して第一コイルが通電されれば、第二コイル部材20側は非励磁状態となり、逆に第一コイル部材10側が励磁状態となる。そのため、固定鉄心27に吸引され上昇していたプランジャ7が解放され、第一コイル部材10側に発生する磁界によってフレーム13、プレート14,15、固定鉄心17及びプランジャ7を通る磁気回路が形成されて励磁された固定鉄心17にプランジャ7が吸引される。よって、図2に示すようにプランジャ7と一体のシャフト5が下降し、その先端の係止ピン6が透孔2aから突出される。このとき、突出された係止ピン6によって緯糸がドラム上に巻き付けられ貯留されることとなる。
次いで、第一コイル11への通電を断って第二コイル21が通電されれば、プランジャ7は再び図1に示す位置へ上昇する。このように第一コイル11と第二コイル21とで通電・非通電が交互に繰り返えされ、それによって係止ピン6の突出及び引き込み動作が行われる。
【0024】
ところで、このような係止ピン6の突出及び引き込み動作を行う際、上下の固定鉄心17,27に吸引されるプランジャ7が勢い良く動作し、そのプランジャ7に突設されたストッパ7aが移動方向のクッションゴム19,29に衝突して停止する。
そのときの衝撃吸収作用を第一コイル部材10側で示すならば、プランジャ7による衝撃、即ちプランジャ7の運動エネルギは、直接衝突するクッションゴム19の変形によって一部吸収されるとともに第一コイル部材10へ伝達され、軸方向に移動自在な第一コイル部材10の運動エネルギに変換される。即ち、第一コイル部材10は、プランジャ7の衝突によって摺動シート41を摺動する。
そして、その第一コイル部材10の運動エネルギがボディ2底面との間のクッションゴム16の変形によって吸収される。更には、第一コイル部材10は複数の部材から構成されているため、伝達された運動エネルギは各部材に分散されそこでも一部吸収されることとなる。
このような衝撃吸収作用は第二コイル部材20の場合でも同様である。
【0025】
従って、本実施の形態のソレノイド1は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を軸方向に移動が可能なよう自由度をもって構成したので、プランジャ7の運動エネルギが第一コイル部材10及び第二コイル部材20の運動エネルギへと変換され、衝撃によるプランジャ7のジャンピングが極めて高いレベルで抑制された。
その要因を更に分析すれば、前述したようにプランジャ7の運動エネルギを第一コイル部材10及び第二コイル部材20の運動エネルギへ変換したことで、プランジャと第一コイル部材10及び第二コイル部材20とが受ける反発力の位相がずれ、不具合を生じさせるほどのジャンピングが発生しなくなったこと、また、衝撃吸収能力が高まり、その反発力が極めて小さく抑えられるたことによる。
【0026】
更に、本実施の形態のソレノイド1は、複数の部材からなる第一コイル部材10及び第二コイル部材20の上下端にクッションゴム16,26を介在させてボディ2及びカバー4の箱体内に装填したので、そのクッションゴム16,26の弾性によって各部材寸法のバラツキが補正された。よって、部品寸法について極めて高い精度を追求する必要がなくなり、その点でコストの削減に寄与している。
また、ジャンピング防止専用の部材としてはクッションゴム16,26を設けたにすぎないので、ジャンピング防止に高い効果を奏し、しかもその構造をコンパクトにすることができた。よって、ダブルソレノイド型の高速性の効果と相まって、高速駆動が可能となった。
【0027】
また、シャフト5を中空にして軽量化したため、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の励磁による駆動の応答性が良くなった。
ところで、ジャンピング防止のために第一コイル部材10及び第二コイル部材20がボディ2内を摺動するよう構成したが、その第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とが直接擦れないように摺動シート41を用いたため、摩耗粉の発生を抑えることができた。また、直接の擦れを防止したことでソレノイド自体の耐久性を上げることができ、更に第一コイル部材10及び第二コイル部材20の摺動により摩耗するのは摺動シート41であるため、メンテナンスも摺動シート41の交換で済む。
【0028】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、第一コイル部材10及び第二コイル部材20の上下端に緩衝材としてクッションゴム16,26を使用したが、この他スプリングや弾性を持つワッシャなどを使用するようにしてもよい。
また、摺動シート41は、第一コイル部材10及び第二コイル部材20とボディ2とが直接擦れないようにするものであれば、その形状は問わず、また低摩擦で、耐摩耗に優れたものであれば、特定の素材に限定されない。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、円筒形状のコイルボビンに巻回されたコイルがヨークに画設された一対の第一コイル部材及び第二コイル部材と、第一コイル部材及び第二コイル部材の円筒内部に嵌挿された第一固定鉄心及び第二固定鉄心と、第一固定鉄心と第二固定鉄心との間を軸方向に移動自在で、その第一コイル部材及び第二コイル部材の内側端面に装着された緩衝材に対して当接するストッパが突設されたプランジャとを有し、第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内同軸上にスペーサを介して配設されたものであって、第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内を軸方向に対して移動できるよう独立して装填され、その軸方向端面と本体との間に緩衝材が挟み込まれた構成としたので、ジャンピングを防止した小型化が可能なソレノイドを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した引き込み時の断面図である。
【図2】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した突出時の断面図である。
【図3】本発明にかかるソレノイドの一実施の形態を示した分解斜視図である。
【図4】第1従来例の緯糸係止ピン装置を示した断面図である。
【図5】第2従来例の緯糸係止ピン装置を示した断面図である。
【符号の説明】
1 ソレノイド
2 ボディ
3 スペーサ
5 シャフト
6 係止ピン
7 プランジャ
10 第一コイル部材
11 第一コイル
12,22 コイルボビン
13,23 フレーム
14,15,24,25 プレート
17,27 固定鉄心
20 第二コイル部材
21 第二コイル
16,19,26,29 クッションゴム
41 摺動シート
Claims (3)
- 円筒形状のコイルボビンに巻回されたコイルがヨークに画設された一対の第一コイル部材及び第二コイル部材と、
前記第一コイル部材及び第二コイル部材の円筒内部に嵌挿された第一固定鉄心及び第二固定鉄心と、
前記第一固定鉄心と第二固定鉄心との間を軸方向に移動自在で、その第一コイル部材及び第二コイル部材の内側端面に装着された緩衝材に対して当接するストッパが突設されたプランジャとを有し、
前記第一コイル部材及び第二コイル部材が、本体内同軸上にスペーサを介して配設されたソレノイドにおいて、
前記第一コイル部材及び第二コイル部材は、本体内を軸方向に対して移動できるよう独立して装填され、その軸方向端面と本体との間に緩衝材が挟み込まれたことを特徴とするソレノイド。 - 請求項1に記載のソレノイドにおいて、
前記プランジャは、磁性体材料によって形成された中空円筒形状の略中央にストッパが突設されたものであって、その中空円筒内には非磁性体材料によって形成された中空円筒形状のシャフトが貫設されたものであることを特徴とするソレノイド。 - 請求項1又は請求項2に記載のソレノイドにおいて、
前記第一コイル部材及び第二コイル部材と前記本体との間に摺動シートを挿入させたことを特徴とするソレノイド。
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