JP3581098B2 - 擬木の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、公園や歩道等の道具、柵、手摺等、構造材として使用される擬木の製造方法に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
金属管からなる芯体で補強された中空プラスチック製擬木、あるいは補強されていない中空プラスチック製擬木は、軽量であり、耐久性に優れ、しかも樹木状の外観や色彩を容易に付与することができる。そのため、このような中空プラスチック製擬木は、コンクリート製擬木または木製の杭、柵、柱などに代えて、公園や歩道等の遊具、柵、手摺等、構造材として広く用いられるようになっている。
このようなプラスチック製擬木の一例として、特開平9−51724号公報の擬木が挙げられる。このプラスチック製擬木は、中空であって、少なくとも一端が開放端となっており、開放端の周方向の少なくとも一箇所に軸方向に沿って伸びる溝が形成してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平9-51724号の擬木を複数立てて並べたり、積み重ねて使用する場合、擬木に形成されたそれぞれの溝に、連結金具を挿入させることによって互いに擬木どうしを連結していたが、このようにして連結するには、擬木の溝にそれぞれ連結金具を挿入させて連結しなくてはならないので、連結作業が面倒であった。また、擬木に溝をそれぞれ形成し、かつ、連結金具も形成する必要があるので、部品点数が増えてしまいコストを削減することができず、施工に手間がかかった。
さらに、この擬木は、プラスチック廃材を利用した樹脂を金型に充填して成形されているので、成形後、擬木の表面に充填痕が残ってしまうことがあり、外側から見た際に目立つので、意匠面においてあまり好ましくなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、容易に複数立てて並べたり、積み重ねて使用することができるとともに、施工が容易で、また、充填痕が目立たずに、木質感および手触り感等を極めて天然の木に近づけることができる擬木の製造方法を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1(a)〜(c),図4(a)〜(c),図5 (a) に示すように、金型2に材料を充填して、脱型することによって得られた成形体3からなり、棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4 a の一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4 a の一部に係合可能な凹部5とを備えた擬木1を製造する擬木1の製造方法であって、
成形すべき前記擬木1と同形状の成形部10を備えた前記金型2に、充填部11から前記材料を充填し、脱型することによって成形体3を得た後、
前記充填部11から前記材料を充填することによって、前記成形体3に形成された充填痕12を切断し、切断された前記充填痕12の切断面13に木目模様(例えば、年輪の型15)を施すことを特徴とする。
【0005】
請求項1の発明によれば、棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4aの一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4aの一部に係合可能な凹部5とを備えているので、従来と異なり、連結金具を用いずに、前記凹部5を擬木本体4の外周4aの一部に係合させることによって、容易にかつ安定して複数立てて並べたり、積み重ねて使用することができる。
また、従来と異なり、溝をそれぞれ形成したり、連結金具を形成する必要もないので、施工が容易であるとともに、コストの削減を図ることができる。
さらに、前記金型2に、充填部11から前記材料を充填し、脱型することによって成形体3を得た後、前記成形体3に形成された充填痕12を切断し、切断された前記充填痕12の切断面13に木目模様15を施すので、従来と異なり、充填痕12を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木1とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
前記木目模様13は、例えば、年輪の模様をなした金こて14によって、前記充填痕12に押しつけて形成する。(図5 (a),(b) 参照)
【0006】
前記擬木本体4の断面形状は、例えば、円形状や矩形状、五角形以上の多角形状等いかなる形状でも構わない。
請求項2の発明は、例えば、図1 (a) 〜 (c), 図4 (a) 〜 (c), 図9 (a) , (b) に示すように、金型2に材料を充填して、脱型することによって得られた成形体3からなり、棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4 a の一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4 a の一部に係合可能な凹部5とを備えた擬木1を製造する擬木1の製造方法であって、
成形すべき前記擬木1と同形状の成形部22を備えた前記金型18に、充填部19から前記材料を充填し、脱型することによって成形体20を得た後、
前記充填部19から前記材料を充填することによって、前記成形体20に形成された充填痕21に木目模様を施すことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4 a の一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4 a の一部に係合可能な凹部5とを備えているので、従来と異なり、連結金具を用いずに、前記凹部5を擬木本体4の外周4 a の一部に係合させることによって、容易にかつ安定して複数立てて並べたり、積み重ねて使用することができる。
また、従来と異なり、溝をそれぞれ形成したり、連結金具を形成する必要もないので、施工が容易であるとともに、コストの削減を図ることができる。
さらに、前記金型2に、充填部11から前記材料を充填し、脱型する前記金型18に、充填部19から前記材料を充填し、脱型することによって成形体20を得た後、前記成形体20に形成された充填痕21に木目模様を施すので、従来と異なり、充填痕21を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木1とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
また、請求項1に比して、充填痕21を切断する必要がないので、容易に木質感のある擬木1を製造することができる。
前記充填痕21は、請求項1の充填痕12に比べて、その長さが短い。
前記木目模様には、例えば、金こて14を使用して形成する年輪の型15などが挙げられる。(図5 (a),(b) 参照)
【0007】
請求項3の発明は、例えば、図1(a)〜(c)に示すように、請求項1または2記載の擬木1において、前記材料は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明によれば、前記材料は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料であるので、従来と異なり、木質感や手触り感等を天然の木に極めて近づけることができる。
【0009】
前記木質様材料とは、例えば、製材所や各種木工製品の工場や建築現場等で捨てられる廃材、工場等で捨てられる鉋屑や鋸屑、一度使用した建築パネル等から粉砕して得られるセルロース系微粉粒や廃材としての樹脂、顔料を混合しかつ溶融させたものである。
【0010】
前記セルロース系微粉粒とは、粒径状をなすもので、この粒径状とは、木材等の植物を破砕して微粉状にした場合に、各微粉は繊維が毛羽立った状態となっているのに対して、例えばポールミル等で微粉を磨砕処理することにより、毛羽だった繊維を切断したり、微粉側に押しつけた状態としたりして繊維が毛羽立っていない状態としたものである。
また、このセルロース系微粉粒は、その平均粒径が例えば1μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0011】
前記樹脂には、例えば、塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、メタクリル樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド等を用いることができる。
また、樹脂は、基本的に上記のような熱可塑性樹脂が用いられるが、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂のような熱硬化性樹脂を用いるものとしても良い。
【0012】
前記顔料には、例えば、酸化鉄、カドミウムイエロー、カーボンブラック等を用いることができる。
【0013】
請求項4の発明は、例えば、図1(a)〜(c)に示すように、請求項1〜3のいずれかに記載の擬木1において、
前記擬木本体4の内部に長軸方向に延在する空洞6が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、前記擬木本体4の内部に長軸方向に延在する空洞6が形成されているので、内部が空洞でないものに比べて軽量であり、運搬しやすく、また、コストの削減を図ることができる。
【0024】
請求項5の発明は、例えば、図7に示すように、請求項1〜4のいずれかに記載の擬木1の製造方法において、
塗料を染みこませた凹凸のあるシート材(例えば、スポンジ17)上に、前記成形体3を回転させることによって、前記成形体3の表面に塗料を塗布することを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明によれば、塗料を染みこませた凹凸のあるシート材17上に、前記成形体3を回転させることによって、前記成形体3の表面に塗料を塗布するので、塗布作業が容易となる。また、成形体3の表面に不均一に塗料を塗布することができるので、より木質感のある擬木1とすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1〜第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の第1〜第3の実施の形態を示す擬木の斜視図、図1(b)は、擬木の横断面図、図1(c)は、擬木の縦断面図、図2(a)は、複数の擬木を立てて並べた構造を示す斜視図、図2(b)および図3(a)は、複数の擬木を積み重ねた構造を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)の縦断面図、図4(a)は、本発明の第1および第2の実施の形態を示す金型の横断面図、図4(b)は、金型の縦断面図、図4(c)は、成形体の縦断面図、図5(a)は、本発明の第1の実施の形態を示す充填痕に木目模様が施された成形体の正面図、図5(b)は、本発明の第1および第3の実施の形態を示す金こての斜視図、図6は、本発明の第1〜第3の実施の形態を示す成形体を研磨する工程を示す斜視図、図7は、成形体に塗料を塗布する工程を示す斜視図である。
【0027】
本発明の第1の実施の形態の擬木1は、例えば、公園の遊具やベンチ、手摺、柵等に使用することができるものであって、金型2にセルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料を充填して、脱型することによって得られた成形体3からなるものである。(図4(a)〜(c)参照)
【0028】
この擬木1は、図1(a)〜(c)に示すように、断面視略円形をなす棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4aの一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4aの一部に係合可能な凹部5とを備えている。
前記擬木本体4の内部には、長軸方向に延在する空洞6が形成されており、擬木本体4の両端は、閉塞端となっている。そして、この擬木本体4の外周面および両端面には、木目模様が施されている。
【0029】
ここで、前記擬木1は、以下のようにして使用することができる。すなわち、図2(a)に示すように、複数の擬木1を、各擬木1の長手方向が平行となるように立てて並べる場合や、図2(b)に示すように、複数の擬木1を、各擬木1の長手方向が平行となるように積み重ねる場合に、一方の擬木1の凹部5を他方の擬木1の外周4aの一部に係合させることによって、擬木1,1どうしを設置している。
【0030】
また、図3(a),(b)に示すように、複数の擬木1を積み重ねる場合は、擬木本体4の外周面に、擬木本体4の短軸方向に連通する穴7aが長軸方向に2つ形成されている擬木1aや、擬木本体4の短軸方向に延在し、外周面には連通していない穴7bが長軸方向に2つ形成された擬木1bを使用すると良い。
すなわち、断面視略円形状をなす連結用部材8の下部を地面9に埋設しておき、擬木1aの凹部5が下側を向くようにして、連結用部材8に擬木1aの穴7aを貫通させる。そして、この擬木1aの外周面の一部に、他方の擬木1aの凹部5を係合させるようにして、前記連結用部材8に他方の擬木1aの穴7aを貫通させる。このようにして順次、擬木1aを積み重ねて、最後に外周面に穴7bが連通していない擬木1bを設置する。
【0031】
なお、前記擬木1の擬木本体4の肉厚は、特に限定されないが、例えば、20mmくらいが好ましい。この肉厚があまりにも薄いと、擬木1としての質量感がなくなり、強度上も好ましくないからである。
【0032】
次に、前記擬木1を製造する擬木1の製造方法について説明する。
前記擬木1は、図4(a),(b)に示すような金型2を使用して成形する。すなわち、この金型2は、成形すべき擬木1と同形状の成形部10を備えており、左型2aと右型2bとがそれぞれの成形部10を対向させたうえで、ボルト(図示しない)によって締め付けて固定されているものである。
成形部10の内周面には、凹凸の木目模様が形成されており、この金型2の右型2bには、成形部10に通じる充填部11が設けられている。
そして、このような金型2に、充填部11からセルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料を充填し、この木質様材料が完全に硬化する前に、ボルトを取り外し、脱型することによって、図4(c)に示すような成形体3を得る。
【0033】
この成形体3には、充填部11から材料を充填することによって、形成された充填痕12がある。この充填痕12は、成形体3の外周面から突出して設けられており、この充填痕12を約2mmとなるように切断用工具を使用して成形体3から切断する。そして、切断された充填痕12の切断面13に、図5(b)に示す年輪の模様が形成された金こて14を使用して、図5(a)に示すように年輪の型15を付ける。
【0034】
次に、図6に示すように、上記のようにしてできた成形体3の表面に、サンディングペーパー16やサンディング板、あるいは砥石等で研磨することにより、成形体3の表面にさらに木目模様を施す。このようにさらに研磨することによって、成形体3の内部の木粉があらわになり、より木質感のある擬木1とすることができる。また、表面がより凹凸になるので、滑り止め効果も向上させることができる。
【0035】
次に、図7に示すように、研磨した成形体3の表面に、塗料を塗布する。すなわち、塗料が染みこんだ凹凸のあるシート材、例えば、スポンジ17を用意し、このスポンジ17上に成形体3を回転させることによって、成形体3の表面に塗料を塗布する。
この塗布作業は、1回でも良いし、例えば、複数回でも良い。この場合、異なる色の塗料を染みこませたスポンジ17を複数用意して、数回に分けて成形体3を回転させて成形体3の表面に塗料を塗布する。すると、より立体感のある外観意匠とすることができる。
また、擬木本体4に穴7a,7bが形成された擬木1a,1bは、塗布作業が終了した後に穴7a,7bを形成する。
【0036】
本発明の第1の実施の形態の擬木1によれば、棒状の擬木本体4と、この擬木本体4の外周4aの一部に擬木本体4の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体4の外周4aの一部に係合可能な凹部5とを備えているので、従来と異なり、連結金具を用いずに、凹部5を擬木本体4の外周4aの一部に係合させることによって、容易にかつ安定して複数立てて並べたり、積み重ねて使用することができる。
また、従来と異なり、溝をそれぞれ形成したり、連結金具を形成する必要もないので、施工が容易であるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0037】
前記材料は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料であるので、従来と異なり、木質感や手触り感等を天然の木に極めて近づけることができる。
また、前記擬木本体4の内部に長軸方向に延在する空洞6が形成されているので、内部が空洞でないものに比べて軽量であり、運搬しやすく、また、コストの削減を図ることができる。
【0038】
本発明の第1の実施の形態の擬木1の製造方法によれば、金型2に、充填部11から材料を充填し、脱型することによって成形体3を得た後、成形体3に形成された充填痕12を切断し、切断された充填痕12の切断面13に木目模様15を施すので、従来と異なり、充填痕12を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木1とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
【0039】
また、塗料を染みこませた凹凸のあるシート材17上に、成形体3を回転させることによって、成形体3の表面に塗料を塗布するので、塗布作業が容易となる。また、成形体3の表面に不均一に塗料を塗布することができるので、より木質感のある擬木1とすることができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
なお、本発明の第2の実施の形態における擬木1は、第1の実施の形態の擬木1と同様の構成のため、同様の符号を付してその説明を省略し、擬木1の製造方法について、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態を示す充填痕が切断された成形体の縦断面図である。
【0041】
本発明の第2の実施の形態の擬木1は、本発明の第1の実施の形態と同様の金型2を使用して成形する。
すなわち、図4(a),(b)に示す金型2の充填部11からセルロール系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料を充填し、脱型することによって図4(c)に示す成形体3を得る。
その後、充填部11から木質様材料を充填することによって、成形体3に形成された充填痕12を、金槌等によって叩くことで、折って切断する。このように折って切断することによって、図8に示すように、充填痕12の端面が枝を折ったあとのような形状となる。
【0042】
次に、この成形体3の表面に、図6に示すように、サンディングペーパー16やサンディング板、あるいは砥石等で研磨することにより、成形体3の表面にさらに木目模様を施す。
そして、図7に示すように、研磨した成形体3の表面に、塗料を塗布する。すなわち、塗料が染みこんだスポンジ17を用意し、このスポンジ17上に成形体3を回転させることによって、成形体3の表面に塗料を塗布する。
【0043】
本発明の第2の実施の形態の擬木1の製造方法によれば、金型2に、充填部11から材料を充填し、脱型することによって成形体3を得た後、成形体3に形成された充填痕12を折って切断するので、折って切断された充填痕12の端面が枝を折ったあとの形状となり、より天然の木に近づけることができる。
また、本発明の第1の実施の形態の擬木1の製造方法に比して、切断したあとの切断面13に木目模様を施す必要がないので、容易に木質感のある擬木1を製造することができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
なお、本発明の第3の実施の形態における擬木1も、第1の実施の形態の擬木1と同様の構成のため、同様の符号を付してその説明を省略し、擬木1の製造方法について、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
図9(a)は、本発明の第3の実施の形態を示す金型の縦断面図、図9(b)は、成形体の縦断面図である。
【0045】
本発明の第3の実施の形態の擬木1は、本発明の第1の実施の形態の金型2と異なる金型18を使用して成形する。
図9(a)に示すように、この金型18は、成形すべき擬木1と同形状の成形部22を備えており、この成形部22の内周面には凹凸の木目模様が形成されている。また、木質様材料を充填する充填部19は、図4(a),(b)に示す金型2の充填部11よりもその長さが短くなっている。
つまり、前記金型2より本実施の形態の金型18の厚さを薄くすることによって、充填部19の長さが短くなっている。
【0046】
そして、前記金型18の充填部19からセルロール系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料を充填し、脱型することによって成形体20を得る。(図9(b)参照)その後、充填部19から木質様材料を充填することによって、成形体20に形成された充填痕21に、前記金こて14(図5(b)参照)を使用して年輪の型を付ける。前記充填痕21の長さは、第1および第2の実施の形態の充填痕12の長さよりも短くなっている。
【0047】
次に、この成形体20の表面に、上記と同様に、サンディングペーパー16(図6参照)やサンディング板、あるいは砥石等で研磨することにより、成形体20の表面にさらに木目模様を施す。
そして、研磨した成形体20の表面に、塗料を塗布する。すなわち、塗料が染みこんだスポンジ17(図7参照)を用意し、このスポンジ17上に成形体20を回転させることによって、成形体20の表面に塗料を塗布する。
【0048】
本発明の第3の実施の形態の擬木1の製造方法によれば、金型18に、充填部19から材料を充填し、脱型することによって成形体20を得た後、成形体20に形成された充填痕21に木目模様を施すので、従来と異なり、充填痕21を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木1とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
また、本発明の第1および第2の実施の形態の擬木1の製造方法に比して、充填痕21を切断する必要がないので、容易に木質感のある擬木1を製造することができる。
【0049】
なお、本発明の第3の実施の形態では、充填痕21を短く形成する方法として、金型18の厚さを薄くすることによって充填部19も短くしていたが、この他に例えば、本発明の第1および第2の実施の形態の金型2を使用して形成しても良い。
この場合、充填部11から材料を充填した後に、充填部11に栓を挿入して充填部11に充填された材料を押圧しておく。そして、材料が硬化したら、この栓を充填部11から取り外し、脱型する。すると、充填痕21の短い成形体20を得ることができる。
【0050】
また、本発明の第1、第3の実施の形態において、充填痕12,21に木目模様を施す方法として、金こて14を使用して年輪の型15を付けるとしたが、例えば、充填痕12,21にサンディングペーパー等を使用して引っかき傷を形成しても良い。
【0051】
前記擬木1は、擬木本体4の両端が閉塞端であるとしたが、例えば、一端が閉塞端である擬木としても良い。このような擬木は、立てて並べる場合に、閉塞端である端面を上面に向けて使用すれば良い。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、棒状の擬木本体と、この擬木本体の外周の一部に擬木本体の長軸方向に延在するようにして形成れ、かつ、他の擬木本体の外周の一部に係合可能な凹部とを備えているので、従来と異なり、連結金具を用いずに、前記凹部を擬木本体の外周の一部に係合させることによって、容易にかつ安定して複数立てて並べたり、積み重ねて使用することができる。
また、従来と異なり、溝をそれぞれ形成したり、連結金具を形成する必要もないので、施工が容易であるとともに、コストの削減を図ることができる。
さらに、前記金型に、充填部から前記材料を充填し、脱型することによって成形体を得た後、前記成形体に形成された充填痕を切断し、切断された前記充填痕の切断面に木目模様を施すので、従来と異なり、充填痕を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、前記金型に、充填部から前記材料を充填し、脱型することによって成形体を得た後、前記成形体に形成された充填痕に木目模様を施すので、従来と異なり、充填痕を目立たなくさせることができるとともに、節のある擬木とすることができ、よって意匠面を向上させることができる。
また、請求項1に比して、充填痕を切断する必要がないので、容易に木質感のある擬木を製造することができる。
【0053】
請求項3の発明によれば、請求項1または2と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記材料は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料であるので、従来と異なり、木質感や手触り感等を天然の木に極めて近づけることができる。
【0054】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記擬木本体の内部に長軸方向に延在する空洞が形成されているので、内部が空洞でないものに比べて軽量であり、運搬しやすく、また、コストの削減を図ることができる。
【0058】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかと同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、塗料を染みこませた凹凸のあるシート材上に、前記成形体を回転させることによって、前記成形体の表面に塗料を塗布するので、塗布作業が容易となる。また、成形体の表面に不均一に塗料を塗布することができるので、より木質感のある擬木とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1〜第3の実施の形態を示すためのもので、(a)は擬木の斜視図、(b)は擬木の横断面図、(c)は擬木の縦断面図である。
【図2】同、(a)は複数の擬木を立てて並べた構造を示す斜視図、(b)は複数の擬木を積み重ねた構造を示す斜視図である。
【図3】同、(a)は複数の擬木を積み重ねた構造を示す斜視図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図4】本発明の第1および第2の実施の形態を示すためのもので、(a)は金型の横断面図、(b)は金型の縦断面図、(c)は成形体の縦断面図である。
【図5】(a)は本発明の第1の形態を示すためのもので、充填痕に木目模様が施された成形体の正面図、(b)は本発明の第1および第3の実施の形態を示すためのもので、金こての斜視図である。
【図6】本発明の第1〜第3の実施の形態を示すためのもので、成形体を研磨する工程を示す斜視図である。
【図7】同、成形体に塗料を塗布する工程を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示すためのもので、充填痕が切断された成形体の縦断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示すためのもので、(a)は金型の縦断面図、(b)は成形体の縦断面図である。
【符号の説明】
1 擬木
2,18 金型
3,20 成形体
4 擬木本体
4a 外周
5 凹部
6 空洞
10,22 成形部
11,19 充填部
12,21 充填痕
13 切断面
15 木目模様
17 シート材
Claims (5)
- 金型に材料を充填して、脱型することによって得られた成形体からなり、棒状の擬木本体と、この擬木本体の外周の一部に擬木本体の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体の外周の一部に係合可能な凹部とを備えた擬木を製造する擬木の製造方法であって、
成形すべき前記擬木と同形状の成形部を備えた前記金型に、充填部から前記材料を充填し、脱型することによって成形体を得た後、
前記充填部から前記材料を充填することによって、前記成形体に形成された充填痕を形成し、切断された前記充填痕の切断面に木目模様を施すことを特徴とする擬木の製造方法。 - 金型に材料を充填して、脱型することによって得られた成形体からなり、棒状の擬木本体と、この擬木本体の外周の一部に擬木本体の長軸方向に延在するようにして形成され、かつ、他の擬木本体の外周の一部に係合可能な - 凹部とを備えた擬木を製造する擬木の製造方法であって、
成形すべき前記擬木と同形状の成形部を備えた前記金型に、充填部から前記材料を充填し、脱型することによって成形体を得た後、
前記充填部から前記材料を充填することによって、前記成形体に形成された充填痕に木目模様を施すことを特徴とする擬木の製造方法。 - 請求項1または2記載の擬木の製造方法において、
前記材料は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様材料であることを特徴とする擬木の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の擬木の製造方法において、
前記擬木本体の内部に長軸方向に延在する空洞が形成されていることを特徴とする擬木の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の擬木の製造方法において、
塗料を染みこませた凹凸のあるシート材上に、前記成形体を回転させることによって、前記成形体の表面に塗料を塗布することを特徴とする擬木の製造方法。
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