JP3581055B2 - 高濃度液体中性洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、その組成中に、エタノールを含まない、例えば業務用食器洗い用の高濃度液体中性洗剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より業務用食器洗い用洗剤は、内面をプラスチックフィルムによりコートした一斗缶(容量18リットル)と呼ばれる金属製の容器に充填されており、これらの容器は専ら廃棄処理されていたが、最近廃棄処理の規制強化に伴い、廃棄コストが高騰し、このため金属製の容器から、次第にプラスチック製の容器に切替を余儀なくされている。
【0003】
一方、プラスチック製の容器については、その成形性、軽量感、購入コスト等の有利性から広範囲の業界において使用されているが、近年、プラスチックの自然界における難分解性の問題から、その使用量の軽減化対策が急務となっている。このような背景から、洗剤業界においても、廃棄処理する容器の総量を減らす対策として、形態を残したまま容器を回収し再利用に供することが一部で実施されているが、これは極めて稀なケースである。最近の業界の動きは、使用者の要求として、使い勝手のよいプラスチック容器の小型化、小包装化にある。
【0004】
また、内面をプラスチック製の薄いフィルムでラミネートした紙製の容器を使用する試みもあり、これは使用後通常の都市ゴミとして廃棄処理が可能であることから使用者に歓迎されている。
【0005】
しかしながら、これらの対策は容器廃棄の総量軽減策に一定の成果を挙げつつも充分とは言えないため、これらと相俟って、洗剤濃度の高濃度化に対する取り組みが具体化してきている。
【0006】
本出願人は、洗剤の高濃度化の例として、特定のスルホン酸エタノールアミン塩からなる陰イオン界面活性剤と特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる非イオン界面活性剤と特定の脂肪酸アルカノールアミドからなる非イオン界面活性剤とが特定の濃度で配合され、エタノール等の溶剤が特定の濃度で配合されてなり、水が配合されていない高濃度液体中性洗浄剤組成物を提案している(平成8年3月18日出願:特願平8−61020号)。このものは、洗浄剤に本来的に要求される洗浄性能が良好であるとともに、水を含有しないため、水に起因する腐敗菌の発生を防止できるという利点がある。また、高濃度タイプでありながら、増粘もしくはゲル化せず、貯蔵安定性に優れたものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、高濃度液体中性洗浄剤組成物では、組成物の貯蔵安定性や各成分の可溶化の目的から、エタノールが広く用いられている。しかしながら、エタノールは低引火点を有するため、それを含む高濃度液体中性洗浄剤組成物の、輸送時,保管時,使用時等の取り扱いに、ある程度の専門知識が必要となっている。近年、引火点が40℃以上の高濃度液体中性洗浄剤組成物も提案されてはいるものの、より一層の取り扱いのし易さや安全性の観点から、引火点を有しないものの開発が強く望まれている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、良好な洗浄性能と貯蔵時における経日安定性を示すと同時に、作業時,搬送時,保管時等における安全性を確保することができる高濃度液体中性洗浄剤組成物の提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の高濃度液体中性洗浄剤組成物(以下単に「洗浄剤組成物」という)は、下記の界面活性剤(a),(b),(c)と可溶化剤(d)と水(e)とを必須成分とする洗浄剤組成物であって、非エタノール系組成物であり、かつ上記洗浄剤組成物全体中に占める全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の濃度が、55〜75重量%の範囲に設定されており、それ自体の粘度が25℃で300mPa・s以上となり、上記全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の濃度が15重量%になるようこの洗浄剤組成物を希釈してなる水溶液の粘度が25℃で15mPa・s以下となるよう設定されているという構成をとる。
(a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸 カリウム塩および直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩からなる群 から選ばれた少なくとも一つの陰イオン界面活性剤 40〜60重量%。
(b)下記の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる非イ オン界面活性剤 5〜15重量%。
【化3】
(c)下記の一般式(2)で表される脂肪酸アルカノールアミドからなる非イオン界面活 性剤 2〜10重量%。
【化4】
(d)ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つから なる可溶化剤 10〜15重量%。
(e)水 7〜35重量%。
【0010】
すなわち、本発明者らは、良好な洗浄性能と貯蔵時における経日安定性を示すと同時に、作業時,搬送時,保管時等における安全性を確保することができる洗浄剤組成物を得るべく、鋭意研究を重ねた。その過程で、本出願人が提案している洗浄剤組成物(エタノール含有物)につき、引火点を有さなくなるように実験研究を重ねた結果、エタノールを数%でも含有する系では、水を40重量%以上含有させなければならないことを突き止めた。しかし、水を多量に添加すると高濃度タイプの洗浄剤とならないため、洗浄剤の包装容器の小型化等を実現できないことが判明した。そこで、種々実験研究を重ねた結果、洗浄剤組成物を非エタノール系組成物(可溶化剤として用いられるエタノールを含まない組成物)に構成し、特定の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる陰イオン界面活性剤(a成分)と特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる非イオン界面活性剤(b成分)と特定の脂肪酸アルカノールアミドからなる非イオン界面活性剤(c成分)と、可溶化剤(d成分)と水(e成分)とを特定の割合で配合し、これらが配合されてなる洗浄剤組成物の粘度を特定の範囲に設定すれば、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
特に、上記全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の洗浄剤組成物全体中に占める割合が特定の範囲に設定されているため、貯蔵時の経日安定性や洗浄性能等の観点から特に好ましいものとなる。また、上記洗浄剤組成物を希釈してなる水溶液の粘度が15mPa・s以下になるよう設定されており、非常にさらっとした液体となるため、水と略同様に取り扱うことができ、例えばポンプ輸送する場合の輸送圧力を低く設定することができるという利点を有する。
【0012】
また、上記(b)成分である非イオン界面活性剤と上記(c)成分である非イオン界面活性剤との重量基準含有比が特定の範囲に設定されていることが、外観、貯蔵時の経日安定性、洗浄性能、手荒れ防止効果等、なかでも洗浄性能、手荒れ防止の観点から好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物は、特定の界面活性剤(a成分),(b成分),(c成分)と、特定の可溶化剤(d成分)と、水(e成分)とを用いて得られるものである。
【0015】
本発明に用いられる界面活性剤は、特定の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる陰イオン界面活性剤(a成分)と、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる非イオン界面活性剤(b成分)と、特定の脂肪酸アルカノールアミドからなる非イオン界面活性剤(c成分)とを併用してなるものである。上記(a)成分は、洗浄性,コストの面から非常に有用なものであるが、単独で用いると手荒れを起こしやすいため、(b)成分および(c)成分を併用して手荒れ防止を図っている。
【0016】
上記(a)成分は、高濃縮タイプの洗浄剤組成物には必須であり所望の洗浄性能を確保するために配合されるもので、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸カリウム塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩が単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ジエタノールアミン塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩が用いられる。なかでも、洗浄性能や貯蔵時の貯蔵安定性の観点から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ジエタノールアミン塩を単独で用いることが好ましい。なお、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のこれらの塩は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリとの反応により得られる。
【0017】
そして、上記陰イオン界面活性剤(a成分)は、洗浄剤組成物全体中の40〜60重量%(以下「%」と略す)の濃度になるように配合される。すなわち、60%を超えると洗浄剤組成物を希釈してなる洗浄液の洗浄性能には影響がないものの、外観、貯蔵時の経日安定性に支障をきたすからである。逆に、40%未満では、b成分、c成分等との配合バランスの崩れから組成物の分離・白濁等を生じるからである。なお、上記配合割合のなかでも、45〜55%の範囲に設定することが好適である。
【0018】
また、本発明に用いられる非イオン界面活性剤(b成分)は、これを配合して得られる高濃縮液体およびこれを水に一定希釈して使用する際の、洗浄力を極端に低下させることなく溶液粘度が低域範囲となるよう調整し、取り扱い易くするとともに、手荒れ防止を図るために配合されるもので、下記の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルが用いられる。なかでも、エチレンオキサイドの平均付加モル数が6〜16のものを用いることが好ましい。
【0019】
【化5】
R−O(CH2 CH2 O)n −H …(1)
〔式(1)中、Rは平均炭素数8〜16の直鎖状または分岐状のアルキル基、n=2〜18〕
【0020】
そして、上記非イオン界面活性剤(b成分)は、洗浄剤組成物全体中の5〜15%の濃度になるように配合される。すなわち、15%を超えると、外観、配合バランスによる洗浄性能、貯蔵時の経日安定性を一定レベルに確保することが困難となり、逆に5%未満では目的とする洗浄効果や手荒れ防止効果が充分に得られないからである。なお、上記配合割合のなかでも、5〜13.5%の範囲に設定することが好適である。
【0021】
また、本発明に用いられる非イオン界面活性剤(c成分)は、油脂汚れに対する洗浄力,乳化力を向上させるために配合されるものであるが、粘度調整をする上でも非常に有用である。また、前述したとおり、上記(b)成分である非イオン界面活性剤と併用することにより、特定の陰イオン界面活性剤(a成分)を単独で用いた場合の手荒れ発生を防止できる。そして、泡切れおよびきめの細かい泡制御を行う上でも有効である。この非イオン界面活性剤(c成分)としては、下記の一般式(2)で表される脂肪酸アルカノールアミドが用いられる。
【0022】
【化6】
R−CON(CH2 CH2 OH)2 …(2)
〔式(2)中、Rは平均炭素数8〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基〕
【0023】
上記一般式(2)で表される脂肪酸アルカノールアミドの具体例として、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1モル型)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、イソステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:2モル型)等があげられる。なかでも、洗浄性能、手荒れ防止効果の観点から、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1モル型)が好適である。
【0024】
そして、上記非イオン界面活性剤(c成分)は、洗浄剤組成物全体中の2〜10%の濃度になるように配合される。すなわち、10%を超えると外観、貯蔵時の経日安定性、他の界面活性剤(a成分、b成分)とのバランスが悪くなって洗浄性能が低下して実用性に乏しくなり、逆に2%未満では手荒れ防止効果が充分に得られなかったり、泡切れが悪くなるからである。なお、上記配合割合のなかでも、2〜7%の範囲に設定することが好適である。
【0025】
さらに、上記非イオン界面活性剤(b成分)と非イオン界面活性剤(c成分)との重量基準含有比は、外観、貯蔵時の経日安定性、洗浄性能、手荒れ防止効果等、なかでも洗浄性能、手荒れ防止の観点から、b/c=1/2〜5/2の範囲に設定されていることが好ましい。
【0026】
上記(a)〜(c)成分の界面活性剤とともに用いられる可溶化剤(d成分)は、界面活性剤等の可溶化を図り粘度を調整しやすくするもので、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールが単独または組み合わせて用いられる。
【0027】
そして、上記可溶化剤(d成分)は、洗浄剤組成物全体中の10〜15%の濃度になるように配合される。すなわち、15%を超えると高濃度タイプの洗剤としての効果が充分に得られず、逆に10%未満では界面活性剤等の可溶化が不充分となるからである。
【0028】
また、本発明の洗浄剤組成物には、上記(a)〜(c)成分の界面活性剤と可溶化剤(d成分)とともに、水(e成分)が配合される。ただし、高濃度タイプの洗剤の開発が主目的であるため、その濃度は、洗浄剤組成物全体中の7〜35%の範囲に設定される。すなわち、7%未満であると洗浄剤組成物が取り扱いにくくなり、逆に35%を超えると高濃度タイプの洗剤としての効果が充分に得られないからである。なお、ここでいう水とは、外部から加えた水と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸と水酸化ナトリウム等のアルカリとの中和反応からの水との総和をいう。また、外部から加える水としては、純水,蒸留水,軟水,水道水等が用いられる。
【0029】
なお、本発明の洗浄剤組成物には、上記(a)〜(e)成分の他に、任意成分として、香料,染料,防腐剤等を配合することができる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物は、上記3種類の界面活性剤〔(a)〜(c)成分〕を必須成分として含有するものであり、この3種類の界面活性剤の全界面活性剤成分は、洗浄剤組成物全体中の55〜75%濃度になるように配合されている必要がある。すなわち、75%を超えると急激な粘度上昇やゲル化、ひいては洗浄剤組成物の分離・分層を招くからであり、逆に55%未満では容器コンパクト化等の洗浄剤濃縮化に伴う効果が乏しくなるからである。
【0031】
上記各成分を用いて得られる本発明の洗浄剤組成物の粘度は、25℃で300mPa・s以上に設定される。すなわち、300mPa・s未満であると低粘度ゆえ希釈時等に過剰量の使用を招来しやすいからである。なお、貯蔵安定性や使用時の希釈の均一化の観点から、300〜1000mPa・sの範囲に設定されていることが好ましい。なお、粘度は、JIS Z 8803「単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」に準じて測定される。
【0032】
このような本発明の洗浄剤組成物は、エタノールを含有していないため、引火点を有さないものとなり、保管時等に、万が一火災が発生したとしても、さらに火災を拡大させたりするおそれがない。さらに、界面活性剤として特定の陰イオン界面活性剤(a成分)と特定の非イオン界面活性剤(b成分)と特定の非イオン界面活性剤(c成分)とが特定の割合で配合されているため、良好な洗浄性能を確保し、手荒れ防止効果が得られる。また、界面活性剤〔(a)〜(c)成分〕と可溶化剤(d成分)と水(e成分)とが特定の割合で配合されているため、高濃度タイプでありながらゲル化等が生じず、貯蔵安定性に優れている。さらに、洗浄剤組成物自体の粘度が25℃で300mPa・s以上であり、比較的粘性を有しているため、過剰使用を防止でき、しかも増粘剤の使用を抑制できるという利点がある。
【0033】
また、本発明の洗浄剤組成物は、全界面活性剤成分(a+b+c)の濃度として15%希釈して得られる水溶液の25℃における粘度が15mPa・s以下になるよう設定されており、希釈液が低粘度であるため、使用時にべたつき感がなく、爽快な使用感と優れた泡切れを呈する。低粘度タイプの洗浄剤は、従来は洗浄剤の過剰使用につながり好ましくないとされてきたが、近年、安全指向,環境保全意識への高まり等を背景に、さらっとした洗浄剤が好まれるようになっていることから、このような新しいニーズに応えるものとして有利な特性といえる。しかも、殆ど水に近いさらっとした液体となるため、手押しのディスペンサーポンプにこれを充填して使用する際に、液が動きやすく押し出し動作を行いやすいという利点を有する。また、一つの洗剤供給源から複数の使用場所(例えば厨房内の個々の流し台)に洗剤をポンプ輸送する際に、輸送圧力が低くてすむという利点を有する。
【0034】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0035】
【実施例1〜3,比較例1〜7】
後記の表1および表2に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた実施例および比較例の洗浄剤組成物について、粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を下記の方法に従って測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0036】
〔粘度〕
得られた洗浄剤組成物(原液)の20℃、25℃における粘度の測定および界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕が15%となるよう水で希釈した洗浄剤組成物(希釈液)の25℃における粘度の測定は、B型粘度計 形式BL〔トキメック社製(旧東京計器社製)〕を用い、JIS Z 8803「単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」に準じて行った。
【0037】
〔外観〕
調製された洗浄剤組成物を室温(25℃)にて24時間静置し、その後の洗浄剤組成物の状態を、肉眼観察し、下記の判定基準で評価した。
(判定基準)
◎:透明感が鮮明で、分離,分層,沈澱,ゲル化,固化もなく実用レベルが高く、なんら問題のない状態である。
△:均一液体状態であるが、透明感に乏しく、濁り等を生じ、実用レベルにはやや乏しい状態である。
×:分離,分層,沈澱,ゲル化,濁り,固化を生じ、実用レベルにほど遠く使用にたえない状態である。
なお、上記の外観の判断基準で「×」となったものについては、洗浄性能、粘度、引火点の測定は実施しないことにした。
【0038】
▲1▼洗浄力Aの試験法
JIS K 3362(リーナッツ法)に準じて行い、指標洗剤の汚れ落ちの程度と試料溶液の汚れ落ちの程度を比較し、下記の評価区分によって評価した。そして、その平均値を表に記載した。なお、使用濃度は、各実施例および比較例品については0.04%、指標洗剤については0.15%に設定した。
(評価区分)
−2:明らかに濃い場合(明らかに劣る場合)
−1:やや濃い場合(やや劣る場合)
0:ほとんど差がない
+1:やや薄い場合(やや勝る場合)
+2:明らかに薄い場合(明らかに勝る場合)
▲2▼洗浄力Bの試験法
JIS K 3362(リーナッツ法)で用いる3倍量の汚れ浴を用いて作製したモデル汚れガラス片にて、その汚こうの除去率を測定し、下記の判定基準で評価した。なお、使用濃度は、各実施例および比較例品については0.04%に設定した。また、指標洗剤(濃度:0.15%)の場合は、下記の判定基準では△であった。
(判定基準)
◎:除去率が80%以上(著しく優れる)
○:除去率が60%以上80%未満(優れる)
△:除去率が40%以上60%未満(標準)
×:除去率が20%以上40%未満(劣る)
××:除去率が20%未満(著しく劣る)
【0039】
〔引火点〕
JIS K 2265に規定するタグ密閉式、クリーブランド開放式に準じて引火点を測定した。
【0040】
〔経日安定性試験〕
温度条件0〜5℃(10時間×1サイクル)の繰り返しで一定期間静置し、洗剤液試料の透明度およびその温度履歴による回復度(反復性)を肉眼観察して、下記の判定基準で評価した。
(判定基準)
◎:極めてよい透明性、反復性が長期にわたって得られる。
○:よい透明性、反復性が一定期間得られる。
△:よい透明性、反復性が一定期間得られない。
×:よい透明性、反復性が得られない。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
上記表1および表2の結果から、実施例1品〜3品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。これに対し、比較例1品〜7品は、引火点を有するか、洗浄性能,経日安定性に劣るかのいずれかの欠点がみられることがわかる。
【0044】
【実施例1,3,4〜14】
陰イオン界面活性剤(a成分)の組成の変化を主要観点とし、下記の表3〜表6に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた実施例の洗浄剤組成物について、上記と同様にして粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
上記表3〜表6の結果から、実施例1品,3品,4品〜14品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。
【0050】
【実施例1,3,4,15〜18、比較例8,9】
界面活性剤の濃度の変化を主要観点とし、下記の表7〜表9に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた実施例および比較例の洗浄剤組成物について、上記と同様にして粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
上記表7〜表9の結果から、実施例1品、3品、4品、15品〜18品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。
【0055】
【実施例3,19〜28】
非イオン系界面活性剤(b成分)を種々代えてエチレンオキサイドの平均付加モル数を変化させることを主要観点とし、下記の表11〜表13に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。なお、使用した非イオン系界面活性剤(b成分)の種類は下記の表10に示すとおりである。そして、得られた実施例の洗浄剤組成物について、上記と同様にして粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を測定・評価し、その結果を下記の表11〜表13に併せて示した。
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
【表13】
【0060】
上記表11〜表13の結果から、実施例3品、19品〜28品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。
【0061】
【実施例3,16,29〜31】
非イオン界面活性剤(b成分)と非イオン界面活性剤(c成分)の配合比率を変化させることを主要観点とし、下記の表14に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた実施例の洗浄剤組成物について、上記と同様にして粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0062】
【表14】
【0063】
上記表14の結果から、実施例3品、16品、29品〜31品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。
【0064】
【実施例3,16,32〜43、比較例10〜14】
下記の表15〜表20に示す組成(重量基準)の洗浄剤組成物を調製した。そして、得られた実施例および比較例の洗浄剤組成物について、上記と同様にして粘度(mPa・s)、外観、洗浄性能、引火点(℃)、経日安定性(貯蔵安定性)を測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0065】
【表15】
【0066】
【表16】
【0067】
【表17】
【0068】
【表18】
【0069】
【表19】
【0070】
【表20】
【0071】
上記表15〜表20の結果から、実施例3品,16品,32品〜43品は、外観、洗浄性能および経日安定性が良好であり、また引火点を有さないことがわかる。これに対し、比較例10品〜12品は、エタノールを含んでいるため、引火点を有していることがわかる。また比較例13品,14品は、可溶化剤であるプロピレングリコールとポリエチレングリコールの合計の濃度が10%未満であるため、界面活性剤等の可溶化が不充分となり、外観、経日安定性が劣っていることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明の洗浄剤組成物は、非エタノール系組成物に構成されているため、引火点を有さず、作業時,保管時等に、万が一火災が発生したとしても、さらに火災を拡大させたりするおそれがない。また、界面活性剤として特定の陰イオン界面活性剤(a成分)と特定の非イオン界面活性剤(b成分)と特定の非イオン界面活性剤(c成分)とが特定の割合で配合されているため、良好な洗浄性能を示すとともに、手荒れ防止効果が得られ、またそれらに加えて可溶化剤(d成分)と水(e成分)とが特定の割合で配合されているため、貯蔵時における経日安定性についても良好な結果が得られる。さらに、洗浄剤組成物自体の粘度が25℃で300mPa・s以上であり、比較的粘性を有しているため、過剰使用を防止できるという利点がある。また、上記全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の洗浄剤組成物全体中に占める割合が特定の範囲に設定されているため、貯蔵時の経日安定性や洗浄性能等の観点から特に好ましいものとなる。
【0073】
そして、上記洗浄剤組成物を希釈してなる水溶液の粘度が特定の範囲に設定されているため、使用性の点で一層優れている。すなわち、所定の希釈の粘度が15mPa・s以下で、非常にさらっとした液体となるため、水と略同様に取り扱うことができ、例えばポンプ輸送する場合の輸送圧力を低く設定することができるという利点がある。
【0074】
また、上記洗浄剤組成物のなかでも、上記(b)成分である非イオン界面活性剤と上記(c)成分である非イオン界面活性剤との重量基準含有比が特定の範囲に設定されていることが、外観、貯蔵時の経日安定性、洗浄性能、手荒れ防止効果等、なかでも洗浄性能、手荒れ防止の効果に一層優れている。
Claims (2)
- 下記の界面活性剤(a),(b),(c)と可溶化剤(d)と水(e)とを必須成分とする高濃度液体中性洗浄剤組成物であって、非エタノール系組成物であり、かつ上記高濃度液体中性洗浄剤組成物全体中に占める全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の濃度が、55〜75重量%の範囲に設定されており、それ自体の粘度(JIS Z 8803「単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」による、以下同じ)が25℃で300mPa・s以上となり、上記全界面活性剤成分〔(a)+(b)+(c)〕の濃度が15重量%になるようこの高濃度液体中性洗浄剤組成物を希釈してなる水溶液の粘度が25℃で15mPa・s以下となるよう設定されていることを特徴とする高濃度液体中性洗浄剤組成物。
(a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸 カリウム塩および直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩からなる群 から選ばれた少なくとも一つの陰イオン界面活性剤 40〜60重量%。
(b)下記の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる非イ オン界面活性剤 5〜15重量%。
(e)水 7〜35重量%。 - 上記(b)成分である非イオン界面活性剤と上記(c)成分である非イオン界面活性剤との重量基準含有比が、b/c=1/2〜5/2の範囲に設定されている請求項1記載の高濃度液体中性洗浄剤組成物。
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