JP3580960B2 - 三次元形状測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元形状測定装置に関し、詳しくは、非球面レンズや半導体LSIチップ等の三次元形状を測定することができ、さらに、高精度な位置決めが要求される各種自動生産機械や精密加工機械等にも適用することができる三次元形状測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの主の三次元形状測定装置としては、例えば、特開平4−299206号公報または特開平7−218247号公報に記載されるものがある。このものは、定盤上に設けられ、水平方向で互いに直交するX−Y方向に移動するX−Yステージと、該X−Yステージ上に設けられ、水平方向と直交するZ方向に移動するZステージと、該Zステージに取付けられたプローブと、からなるブリッジ移動型の移動ステージを備えており、定盤上に設けられた被測定物を測定する際にプローブの出力を一定に保つようにプローブを被測定物に沿って移動させたときの動作軌跡を測定・解析することによって測定面の形状を測定するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような三次元形状測定装置にあっては、X−Y方向に移動する大型のX−Yステージが必要になってしまうため、X−Yステージを高速に移動させる際にこのX−Yステージの重心位置に大きな慣性力が作用してしまい、構造物の撓みや振動が生じ易かった。このため、被測定物の形状を高精度に測定することが困難であるという問題があった。
【0004】
また、X−Yステージの移動量を大きくしようとすると、大きな定盤を設けなければならないため、装置の軽量化と測定精度の確保を優先した場合には測定範囲を広げることができないという問題があった。
【0005】
また、X−Yステージを案内するガイドとして空気軸受を用いているため、移動系全体の振動減衰性が大幅に低下してしまい、プローブを搭載したZステージを支持するX−Yステージの剛性を高めることができず、プローブを高速に走査することができないという問題があった。
【0006】
また、Z方向に配設したZ軸を制御するに際しては、重力の影響を受けるため、制御帯域を上げることができず、サーボゲインを上げることができなかった。このため、サーボ剛性や振動減衰性のために機構そのものの高速運動を行なうことができず、プローブを高速に走査することができないという問題があった。
【0007】
また、プローブの移動量を計測する光学部品を用いる場合に、圧倒的に横向きの状態で組込まれている場合が多く、製品に組込まれているのと同じ状態(クランプ方式も含む)での計測が望まれるが、従来のブリッジ移動型のステージではプローブを移動させるZステージ上に光学部品を設けると横方向に計測し難いと不具合が発生してしまった。
【0008】
そこで本発明は、移動手段を下方からX−Z−Y方向に移動する直交三軸機構から構成することにより、移動テーブル全体を小型化することができるとともに、プローブを重力の作用しないYテーブルに搭載することで高速高性能に被測定物の形状を測定することができる三次元形状測定装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明は、上記課題を解決するために、定盤に取付けられるとともに被測定物の形状測定用のプローブを搭載し、被測定物に対してプローブを三次元方向に移動させる移動手段と、該移動手段の移動量を測定する測定手段と、該測定手段の出力に基づいて移動手段の移動量を解析する解析手段とを備え、前記プローブの出力を一定に保つようにプローブを被測定物に沿って移動させたときの動作軌跡を測定・解析することによって被測定物の形状を測定するようにした三次元形状測定装置において、前記移動手段を、定盤上に設けられ水平方向に延在するXテーブルガイド軸と、該Xテーブルガイド軸に案内されてX方向に移動可能に設けられたXテーブルと、該Xテーブル上に水平方向と上下方向に直交するZ方向に延在するように立設されたZテーブルガイド軸と、該Zテーブルガイド軸に案内されてZ方向に移動可能に設けられたZテーブルと、該Zテーブル上に設けられ、水平方向においてX方向と直交するY方向に配線されたYテーブルガイド軸と、該Yテーブルガイド軸に沿ってY方向に移動可能に設けられるとともに前記プローブが搭載されたYテーブルとを有して下方からX−Z−Y方向に移動する直交三軸機構から構成し、前記Xテーブル上に互いに平行な4つの突出基端部を有する一体構造のZ軸ベースを設け、前記Zテーブルガイド軸を前記Z軸ベースの突出基端部に嵌合させて立設された4本の軸から構成したことを特徴としている。
【0010】
その場合、高性能な追従位置決め機構が必要とされるYテーブルに粗微動機構の構成を設けなくて良いため、移動手段を小型化することができるとともに、定盤上の制御軸をX軸のみにすることができ、装置のコストを低減することができる。また、プローブを重力の作用しないYテーブルに搭載することで高速高性能に被測定物の形状を測定することができる。
【0011】
また、Zテーブルガイド軸の剛性を向上させるとともに平行度を高めるようにして、装置の固有振動数を高めることができ、プローブを高速、かつ高精度に走査することができる。
【0012】
また、本発明は、上記課題を解決するために、前記Zテーブルはダイレクトドライブモータによって駆動されるボールネジによってZ方向に昇降自在に案内され、前記定盤は、X方向に亘って延在する溝部を有し、該溝部には、ダイレクトドライブモータおよび該ダイレクトドライブモータをZテーブルの下方に設置する支持部材が収納されることを特徴としている。
【0013】
その場合、ダイレクトドライブモータの中空部内をボールネジが昇降するため、Zテーブルの移動機構の小型化を図ることができ、移動手段の省スペース化を図ることができる。また、ダイレクトドライブモータを使用することにより送り分解能を小さく、かつ駆動力を確保し易くすることができる。これに加えて、モータの駆動力の伝達中に発生するバックラッシュを減速機を用いた場合に比べてかなり小さくすることができる。この結果、昇降動作における微小精密送りを可能にすることができ、高速高精度な測定を行なうことができる。
また、移動手段の高さを低くすることができるようにして、装置のより一層の小型化を図ることができる。このため、装置の固有振動数を高めてプローブを高速に走査することができるとともに、装置の剛性を下げることなく装置重量の軽量化を図ることができる。
また、本発明は、上記課題を解決するために、前記測定手段が、定盤上に固定されたX、Y、Z3方向の測定基準としての3つの平面ミラーと、Yテーブル上に固定されX、Y、Zの三軸方向にレーザ光を照射する3つのレーザ光源、該レーザ光源からの光を平面ミラーに反射する3つの反射ミラーと、平面ミラーから反射ミラーを介して入射したレーザ光の干渉縞を検出する3つのレーザ干渉器とから構成され、前記Y方向にレーザ光が通過する平面ミラーと反射ミラーの間に光を通過させる通過手段を介装し、該通過手段は、Yテーブルに取付けられた第1中空部材と、Zテーブルに取付けられ、第1中空部材の外周部または内周部に摺動自在に設けられた第2中空部材からなり、YテーブルがY方向に移動するのに伴って第1中空部材および第2中空部材を伸縮させるようにしたことを特徴としている。
【0014】
その場合、プローブの測定点を原点としてテーブルの移動量を被測定物の形状に沿ったものとして高精度に測定することができ、各テーブルの組付け精度の不足やテーブルの移動によって生じる運動精度の不足等が生じた場合にも被測定物の形状を正確に測定することができる。
また、簡単な構成でY方向の反射ミラーとY方向の平面ミラーの間の測定経路に生じる空気の揺らぎを少なくすることができ、測定上最も重要なY方向の測定精度を高めて高精度な測定を行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3は本発明に係る三次元形状測定の一実施形態を示す図である。なお、図1は三次元形状測定装置の上面図、図2は三次元形状測定装置の正面図、図3は図2のAーA矢視断面図である。
【0016】
まず、構成を説明する。図1〜3において、1は三次元形状測定装置の定盤であり、この定盤1は空気ばね式の防振台2によって支持されている。この防振台2上には全体ベース3が取付けられており、この全体ベース3にはXテーブルガイド軸(以下、X軸という)4a、4bが水平方向に平行に延在している。このX軸4a、4bはXテーブル5をX方向に移動可能に案内するようになっており、このXテーブル5は無端状に連接された円筒コロからなる転がり軸受(図示略)を介してX軸4a、4bに連結されている。
【0017】
また、Xテーブル5はステッピングモータ6によって駆動されるボールネジ7に噛合される図示しない溝が形成されており、ボールネジ7の正・逆回転に伴ってX方向に往復移動するようになっている。
【0018】
また、Xテーブル5上には一体構造のZ軸ベース8が設けられており、このZ軸ベース8はXテーブル5上に固定され互いに平行な4つの突出基端部8a〜8dを有し、この突出基端部8a〜8dには4本のZテーブルガイド軸(以下、Z軸という)9a〜9dが嵌合されて立設されている。なお、突出基端部8a〜8dは機械加工精度より5μm程度の平行度に加工されている。
【0019】
また、Z軸9a、9cには側板10aが摺動自在に嵌合されているとともにZ軸9b、9dには側板10bが摺動自在に嵌合されており、この側板10a、10bはZテーブル11によって連結されている。したがって、Zテーブル11は側板10a、10bがZ軸9a〜9dにガイドされてZ方向に摺動することによりZ方向に移動するようになっている。また、Zテーブル11によって連結される側板10a、10bは無端状に連接された円筒コロからなる図示しない転がり軸受を介してZ軸9a〜9dに支持されている。
【0020】
また、定盤1にはX方向に亘って延在する溝部1が形成されており、この溝部1には支持部材12が収納されている。この支持部材12は筒状に形成されるとともにXテーブル5の下側に固定されており、内部でダイレクトドライブモータ13を支持している。
【0021】
このモータ13はアウタロータ(外側回転)型のものから構成されており、固定部分が支持部材12に支持されている。また、このモータ13は回転部分にZ軸フランジ14が設けられており、このZ軸フランジ14にボールネジ15が噛合している。このボールネジ15は一端部が自由端を構成するとともに、他端部がZテーブル11に固定されたナット16に噛合しており、モータ13の回転によってZ軸フランジ14が回転すると、ボールネジ15が上下方向に移動することにより、Zテーブル11をZ方向に移動するようになっている。
【0022】
また、Zテーブル11にはX方向と水平面内で直交するY軸方向に延在するYテーブルガイド軸(以下、単にY軸という)17a、17bが設けられており、このY軸17a、17bには空気軸受を介してYテーブル18がY方向に摺動自在に設けられている。また、このYテーブル18はサーボモータ19によって駆動される図示しないボールネジに噛合される溝が形成されており、ボールネジの正・逆回転に伴ってY方向に往復移動するようになっている。このため、本実施形態では、各テーブル5、11、18がX−Z−Y方向に移動する直交三軸機構から構成される。
【0023】
一方、Yテーブル18上には形状測定用のプローブ20が搭載されており、このプローブ20は被測定物であるワーク21に光を照射するようになっている。ワーク21は定盤1上に設けられたワーク取付け台22に載置、固定されるようになっている。
【0024】
また、定盤1上にはX、Y、Z3方向の測定基準としての3つの平面ミラーとして、X平面ミラー23、Y平面ミラー24およびZ平面ミラー25が取付けられている。なお、Z平面ミラー25は定盤1の柱部材40に固定されている。
【0025】
また、Yテーブル18上にはX、Y、Zの三軸方向にレーザ光を照射する3つの図示しないXレーザ光源、Yレーザ光源、Zレーザ光源が取付けられており、このレーザ光源からの光はYテーブル18に固定された3つのX反射ミラー26、Y反射ミラー27およびZ反射ミラー28によってそれぞれX平面ミラー23、Y平面ミラー24およびZ平面ミラー25に反射されるようになっている。
【0026】
また、Yテーブル18上にはX平面ミラー23、Y平面ミラー24およびZ平面ミラー25からX反射ミラー26、Y反射ミラー27およびZ反射ミラー28を介して反射されるレーザ光が入射する3つのXレーザ干渉器29、Yレーザ干渉器30およびZレーザ干渉器31が設けられており、これら各干渉器29〜31は入射したレーザ光の干渉縞を検出するようになっている。この検出結果は図示しないコントローラに出力されるようになっており、このコントローラはこの検出結果に基づいて各テーブル5、11、18の移動量を解析するようになっている。また、コントローラ、プローブ20、各モータ6、13、19、各レーザ干渉器29〜31、レーザ光源等の電気または光系統の配線や空気軸受の空気系統の配線等は全体ベース3上に設けられたX軸ケーブルベア32によって一括して処理されるようになっている。なお、図1においてZ反射ミラー28は図示しない支持部材によって柱部材40に取付けられている。
【0027】
また、Y平面ミラー24とY反射ミラー27の間には、レーザ光を通過させる通過手段が介装されている。この通過手段はYテーブル18に取付けられた細径の第1中空部材33と、Zテーブル11に取付けられ第1中空部材33の外周部に摺動自在に設けられた太径の第2中空部材34から構成されており、Yテーブル18がY方向に移動するのに伴って第1中空部材33および第2中空部材34が伸縮するようになっている。このとき、レーザ光は第1中空部材33によって覆われることにより、第1、2中空部材33、34の内部を通過するようになっている。
【0028】
なお、本実施形態では、Xテーブル5、Zテーブル11、Yテーブル18、X軸4a、4b、Z軸9a〜9d、Y軸17a、17b、各モータ6、13、19が移動手段を構成し、X平面ミラー23、Y平面ミラー24、Z平面ミラー25、Xレーザ光源、Yレーザ光源、Zレーザ光源、X反射ミラー26、Y反射ミラー27、Z反射ミラー28、Xレーザ干渉器29、Yレーザ干渉器30およびZレーザ干渉器31が測定手段を構成し、コントローラが解析手段を構成している。
【0029】
次に、ワーク21の形状を測定する方法について説明する。
まず、ワーク21をワーク取付け台22に載置、固定した後、各テーブル5、11、18の退避位置からダイレクトドライブモータ13およびサーボモータ19を駆動してZテーブル11およびYテーブル18を移動させることにより、ワーク21に対してプローブ20を測定可能な測定開始点まで移動させ、測定を開始する。
【0030】
この測定に際しては、ステッピングモータ6によってXテーブル5を主走査方向であるX方向に走査させながら、プローブ20を搭載したYテーブル18の移動量を測定し、プローブ20とワーク21の間の距離を一定に保つように、すなわち、プローブ20の出力が常に一定になるようにサーボモータ19でYテーブル18を移動させることにより、プローブ20をワーク21に沿って移動させる。
【0031】
このとき、Yテーブル18の移動量δ1およびプローブ20が測定したプローブ20とワーク21の間の正確な距離δ2を合計した値によってワーク21の形状の計測を行なう。なお、このYテーブル18の移動量は、Xレーザ光源、Yレーザ光源、Zレーザ光源からX反射ミラー26、Y反射ミラー27、Z反射ミラー28によってそれぞれX平面ミラー23、Y平面ミラー24およびZ平面ミラー25に反射されたレーザ光をX平面ミラー23、Y平面ミラー24、Z平面ミラー25からX反射ミラー26、Y反射ミラー27、Z反射ミラー28を介してXレーザ干渉器29、Yレーザ干渉器30、Zレーザ干渉器31に入力させたときに各干渉器29〜31がレーザ光の干渉縞を検出し、この検出結果をコントローラによって解析することにより行なわれる。
【0032】
このように本実施形態では、プローブ20を移動させる機構を下方からX−Z−Y方向に移動するXテーブル5、Yテーブル11およびZテーブル18からなる直交三軸機構から構成したため、高性能な追従位置決め機構が必要とされるYテーブル18に粗微動機構の構成を設けなくて良いため、移動手段を小型化することができるとともに、定盤1上の制御軸をX軸4a、4bのみにすることができ、三次元形状測定装置のコストを低減することができる。また、プローブ20を重力の作用しないYテーブル18に搭載することで高速高性能にワーク21の形状を測定することができる。
【0033】
特に、直交三軸機構とすることでサブミクロン(測定分解能0.01μm、微小送り分解能0.05μm程度)での測定を行なうことができ、Xテーブル5の移動量もX方向で300mm、Zテーブル11およびYテーブル18の移動量もZ方向およびY方向で100mm程度の広い範囲に設定することができる。この結果、微細な形状から中形の形状のものまで測定対象とすることができ、測定対象部品の精度を三次元で総合的に評価することができる。
【0034】
また、測定手段を、定盤上に固定されたX平面ミラー23、Y平面ミラー24、Z平面ミラー25と、Yテーブル18上に設けらたXレーザ光源、Yレーザ光源、Zレーザ光源、X反射ミラー26と、Y平面ミラー27、Z反射ミラー28、Xレーザ干渉器29、Yレーザ干渉器30およびZレーザ干渉器31から構成したため、プローブ20の測定点を原点として各テーブル5、11、18の移動量をワーク21の形状に沿ったものとして高精度に測定することができ、各テーブル5、11、18の組付け精度の不足やテーブル5、11、18の移動によって生じる運動精度の不足等が生じた場合にもワーク21の形状を正確に測定することができる。
【0035】
また、Xテーブル5を無端状に連接された円筒コロからなる転がり軸受を介してX軸4a、4bに支持するとともに、Xテーブル5をステッピングモータ6によって回転されるボールネジ7によってX方向に移動させるようにしたため、Xテーブル5の案内剛性と振動減衰性を大幅に向上させることができるとともに、Xテーブル5の移動量を増大させることができる。
【0036】
また、Zテーブル11を無端状に連接された円筒コロからなる転がり軸受を介してZ軸9a〜9dに支持したため、Zテーブル11の案内剛性と振動減衰性を大幅に向上させることができるとともに、Zテーブル11の移動量を増大させることができる。
【0037】
また、Xテーブル5上に平行な4つの突出基端部8a〜8dを有する一体構造のZ軸ベース8を設け、Z軸9a〜9dをZ軸ベース8の突出基端部8a〜8dに嵌合させて立設された4本の軸から構成したため、Z軸9a〜9dの剛性を向上させるとともに平行度を高めるようにして、装置の固有振動数を高めることができ、プローブ20を高速、かつ高精度に走査することができる。
【0038】
また、Zテーブル11をダイレクトドライブモータ13によって駆動されるボールネジ15によってZ方向に昇降自在に案内したため、ダイレクトドライブモータ13の中空部内をボールネジ15を昇降させ、Zテーブル11の移動機構の小型化を図ることができ、移動手段の省スペース化を図ることができる。また、ダイレクトドライブモータ13を使用することにより送り分解能を小さく、かつ駆動力を確保し易くすることができる。これに加えて、モータ13からの駆動力の伝達中に発生するバックラッシュを、減速機を用いた場合に比べてかなり小さくすることができる。この結果、昇降動作における微小精密送りを可能にすることができ、高速高精度測定を行なうことができる。
【0039】
また、Yテーブル18を空気軸受けによってY軸17a、17bに案内するとともに、サーボモータ19によって駆動されるボールネジによってY方向に案内したため、Yテーブル18を高速移動させるようにして高速測定を行なうことができる。この結果、測定時間を大幅に短縮することができ、測定された高精度部品の性能の評価やその価値を保証することができる。
【0040】
また、定盤1にX方向に亘って延在する溝部1を形成し、溝部1にダイレクトドライブモータ13およびこのモータ13をZテーブル11の下方に設置する支持部材12を収納したため、移動手段の高さを低くすることができ、装置のより一層の小型化を図ることができる。このため、装置の固有振動数を高めてプローブ20を高速に走査することができるとともに、装置の剛性を下げることなく装置重量の軽量化を図ることができる。
【0041】
さらに、Y平面ミラー24とY反射ミラー27の間に光を通過させる細径の第1中空部材33および大径の第2中空部材34を介装し、第1中空部材33をYテーブル18に取付けるとともに第2中空部材34をZテーブル11に取付け、第1中空部材33を第2中空部材34の内周部に収納してYテーブル18がY方向に移動するのに伴って第1中空部材33および第2中空部 34を伸縮させるようにしたため、簡単な構成でY平面ミラー24とY反射ミラー27の間の測定経路に生じる空気の揺らぎを少なくすることができ、測定上最も重要なY軸17a、17bの測定精度を高めて高精度な測定を行なうことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、第1中空部材33を細径にするとともに第2中空部材34を大径にして第1中空部材33を第2中空部材34の内周部に収納しているが、これに限らず、第1中空部材33を大径にするとともに第2中空部材34を細径にして第2中空部材34を第1中空部材33の内周部に収納しても良い。
【0043】
【発明の効果】
発明によれば、高性能な追従位置決め機構が必要とされるYテーブルに粗微動機構の構成を設けなくて良いため、移動手段を小型化することができるとともに、定盤上の制御軸をX軸のみにすることができ、装置のコストを低減することができる。また、プローブを重力の作用しないYテーブルに搭載することで高速高性能に被測定物の形状を測定することができる。
【0044】
また、Zテーブルガイド軸の剛性を向上させるとともに平行度を高めるようにして、装置の固有振動数を高めることができ、プローブを高速、かつ高精度に走査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る三次元形状測定装置の一実施形態を示すその上面図である。
【図2】一実施形態の三次元形状測定装置の正面図である。
【図3】図2のAーA矢視断面図である。
【符号の説明】
1 定盤
溝部
4a、4b Xテーブルガイド軸(移動手段)
5 Xテーブル(移動手段)
6 ステッピングモータ(移動手段)
7 ボールネジ
8 Z軸ベース
8a〜8d 突出基端部
9a〜9d Zテーブルガイド軸(移動手段)
11 Zテーブル(移動手段)
12 支持部材
13 ダイレクトドライブモータ(移動手段)
15 ボールネジ
17a、17b Yテーブルガイド軸(移動手段)
18 Yテーブル(移動手段)
19 サーボモータ(移動手段)
20 プローブ
21 ワーク(被測定物)
23 X平面ミラー(測定手段)
24 Y平面ミラー(測定手段)
25 Z平面ミラー(測定手段)
26 X反射ミラー(測定手段)
27 Y反射ミラー(測定手段)
28 Z反射ミラー(測定手段)
29 Xレーザ干渉器(測定手段)
30 Yレーザ干渉器(測定手段)
31 Zレーザ干渉器(測定手段)
33 第1中空部材(通過手段)
34 第2中空部材(通過手段)

Claims (3)

  1. 定盤に取付けられるとともに被測定物の形状測定用のプローブを搭載し、被測定物に対してプローブを三次元方向に移動させる移動手段と、
    該移動手段の移動量を測定する測定手段と、
    該測定手段の出力に基づいて移動手段の移動量を解析する解析手段とを備え、
    前記プローブの出力を一定に保つようにプローブを被測定物に沿って移動させたときの動作軌跡を測定・解析することによって被測定物の形状を測定するようにした三次元形状測定装置において、
    前記移動手段を、定盤上に設けられ水平方向に延在するXテーブルガイド軸と、該Xテーブルガイド軸に案内されてX方向に移動可能に設けられたXテーブルと、
    該Xテーブル上に水平方向と上下方向に直交するZ方向に延在するように立設されたZテーブルガイド軸と、該Zテーブルガイド軸に案内されてZ方向に移動可能に設けられたZテーブルと、該Zテーブル上に設けられ、水平方向においてX方向と直交するY方向に配線されたYテーブルガイド軸と、該Yテーブルガイド軸に沿ってY方向に移動可能に設けられるとともに前記プローブが搭載されたYテーブルとを有して下方からX−Z−Y方向に移動する直交三軸機構から構成し、
    前記Xテーブル上に互いに平行な4つの突出基端部を有する一体構造のZ軸ベースを設け、前記Zテーブルガイド軸を前記Z軸ベースの突出基端部に嵌合させて立設された4本の軸から構成したことを特徴とする三次元形状測定装置。
  2. 前記Zテーブルはダイレクトドライブモータによって駆動されるボールネジによってZ方向に昇降自在に案内され、
    前記定盤は、X方向に亘って延在する溝部を有し、該溝部には、ダイレクトドライブモータおよび該ダイレクトドライブモータをZテーブルの下方に設置する支持部材が収納されることを特徴とする請求項1記載の三次元形状測定装置。
  3. 前記測定手段が、定盤上に固定されたX、Y、Z3方向の測定基準としての3つの平面ミラーと、Yテーブル上に固定されX、Y、Zの三軸方向にレーザ光を照射する3つのレーザ光源、該レーザ光源からの光を平面ミラーに反射する3つの反射ミラーと、平面ミラーから反射ミラーを介して入射したレーザ光の干渉縞を検出する3つのレーザ干渉器とから構成され、
    前記Y方向にレーザ光が通過する平面ミラーと反射ミラーの間に光を通過させる通過手段を介装し、該通過手段は、Yテーブルに取付けられた第1中空部材と、Zテーブルに取付けられ、第1中空部材の外周部または内周部に摺動自在に設けられた第2中空部材からなり、YテーブルがY方向に移動するのに伴って第1中空部材および第2中空部材を伸縮させるようにしたことを特徴とする請求項記載の三次元形状測定装置。
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