JP3580439B2 - 感光性平版印刷版用現像液および現像補充液 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は感光性平版印刷版用の現像液および現像補充液に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
従来より、広く使用されている感光性平版印刷版は支持体としてのアルミニウム板上にo−キノンジアジド化合物等の感光層を設けたものである。o−キノンジアジド化合物は紫外線露光によりカルボン酸に変化することが知られており、従って、これをアルカリ水溶液で現像すると当該感光層の露光部のみが除去されて支持体表面が露出する。アルミニウム支持体の表面は親水性なので現像で支持体の表面が露出された部分(非画像部)は水を保持して油性インキを反発する。一方、現像によって感光層の除去されなかった領域(画像部)は、親油性なので水を反発し、インキを受け付ける。かかる感光性平版印刷版の現像液として使用されるアルカリ水溶液は、種々のものが知られているが、最も好ましいのは珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩水溶液である。その理由は珪酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と両者の液中濃度を変えることによってある程度現像性の調節が可能とされるためである。
【0003】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、感光性平版印刷版用の自動現像機が広く用いられているが、かかる自動現像機を用いて、感光性平版印刷版を現像する場合に、現像液としてSiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5であって、SiO2の含有量が1〜4重量%(以下、「重量%」を「%」と略称する)のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、さらに感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的または断続的にSiO2/Na2Oのモル比が0.5〜1.5の珪酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間タンク中の現像液を交換する事なく、多量のポジ型感光性平版印刷版を処理することができる旨、特開昭54−62004号公報に開示されている。
また、特公昭57−7427号公報は、現像液および補充液のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有していることからなる現像方法を開示している。
しかし、上記の珪酸塩を主成分とする現像液において、SiO2濃度を高めると現像安定性は高まるが、SiO2が析出し易くなり自動現像機のノズルの目詰まりや、固着物による装置の汚れなどの問題を生じてしまうことが知られており、一方、アルカリ強度を高めると高い処理能力を得ることができるが、現像安定性に欠けることも知られている。このように珪酸塩の組成を変えるだけでは、処理能力と現像安定性は両立しない。
そこで、アルカリ強度の高い状態でも現像安定性を得るために特開平2−2572号公報には、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液からなる現像液に炭酸塩を添加する方法が記載されているが、現像安定性は十分でない。
【0004】
さらに珪酸塩系の現像液に、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を添加する方法(特開昭50−51324号公報)、水溶性カチオニックポリマーを添加する方法(特開昭55−95946号公報)、また水溶性の両性高分子電解質を添加する方法(特開昭56−142528号公報)等が知られている。しかしこれらも現像安定性は十分でなく、しかもこれらの現像液はいずれも自動現像機を用いて現像すると液の撹拌により発泡が多くなり、自動現像機が汚れるという欠点を有していた。
一方、これらのケイ酸塩は上述のポジ型感光性平版印刷版だけでなく、特公昭56−14970号公報記載のo−キノンジアジド感光層を用いた反転型ネガ型感光性平版印刷版や、アルカリ可溶性ジアゾニウム塩を感光層に用いたネガ型感光性平版印刷版の現像液およびジメチルマレイミド基を側鎖に含む樹脂を光架橋剤とする感光層を用いたネガ型感光性平版印刷版の現像液としても使用できるが、特に近年、省スペースや省資源および省力化の目的でネガ型とポジ型の感光性平版印刷版を一台の自動現像機で共通処理することが行われている。しかし、ポジ型感光性平版印刷版のために高い処理能力を得ようとしてアルカリ強度を高めると、ネガ型感光性平版印刷版の現像性が著しく低下し共通処理ができなくなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、長期間にわたり現像安定性、現像処理能力に優れ、発泡の少ない、自動現像機を使用するのに適した感光性平版印刷版用の現像液および現像補充液を提供することである。
本発明の別の目的は、ネガ型およびポジ型の感光性平版印刷版を共通処理するのに適した現像液および現像補充液を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、感光性平版印刷版(以後「PS版」と称す)用の現像液および/または現像補充液(以下「補充液」とも言う)を、SiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属を示す)が0.5〜2.0の珪酸塩を0.01〜10重量%含有する水溶液であって、さらに酸解離定数1×10−13〜1×10−11でかつ糖類、オキシム類、フェノール類およびフッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01モル/リットル以上含有する水溶液である現像液および/または現像補充液とすることによって、現像安定性が向上することを見い出し本発明を成すに至ったものである。
【0007】
また、1×10−13〜1×10−11の酸解離定数を有する化合物として、糖類およびフェノール類から選ばれる少なくとも1種を添加することにより、現像安定性がより向上し、好ましい。
更にまた、1×10−13〜1×10−11の酸解離定数を有する化合物として、フェノール性水酸基以外の解離基を1種以上有するフェノール類を添加することにより、現像安定性が更に向上し、より好ましい。
特に、1×10−13〜1×10−11の酸解離定数を有するフェノール類として、スルホサリチル酸またはサリチル酸のうちから選ばれる少なくとも1種を添加することにより、現像安定性が著しく向上し、特に好ましい。
【0008】
本発明の現像液および補充液に用いられる珪酸アルカリ金属塩としては珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムがあり、それらを単独または組み合わせて用いることができる。好ましくは、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムである。珪酸アルカリ金属塩のSiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属を示す)は0.5〜2.0であり、補充液の場合はモル比0.5〜1.5であることが特に好ましい。上記のモル比が大きくなると現像性(特にネガ型PS版の現像性)が低下する傾向にあり、モル比2.0を超えると好ましくない。補充液の場合はモル比1.5を超えないことが好ましい。また、モル比が小さくなるにつれてアルカリ強度が高まり、PS版の支持体として汎用されているアルミニウム板などの金属が侵される。モル比0.5未満では特にその傾向が著しい。
現像液中の珪酸アルカリ金属塩の濃度は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%である。10%を超えると沈澱や結晶が生成しやすくなり、好ましくない。また、0.01%未満では現像力が著しく低くなる。
以上の現像液、補充液いずれの場合においても、そのpH値としては11.5〜13.5が好ましく、より好ましくは現像液でpH12.0〜13.2、補充液でpH12.5〜13.5である。pH値が11.5未満の場合、現像性は著しく悪化してしまうのに対し、pHが13.5を超えるとPS版のアルミニウム支持体や自動現像機部品などに対する腐食性が著しくなってしまうため好ましくない。
【0009】
本発明の現像液および補充液には珪酸アルカリ金属塩以外のアルカリ剤を併用することができる。その例として、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、などの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は二種以上を組み合わせて併用できる。
【0010】
本発明に用いられる現像安定化剤は、特に1×10−13〜1×10−11の酸解離定数を持つ化合物であり、これを0.01モル/リットル以上、特に0.03〜1モル/リットル添加することにより現像処理されるPS版の感度を安定に得ることができる。なおここでいう酸解離定数は第1のもの第2のもの第3のもの等いずれかが1×10−13〜1×10−11にある化合物であることを意味する。添加量が0.01モル/リットル未満では現像安定化効果は不十分となり、1モル/リットルを超えると、感光層の溶解性を悪化させる場合があるため好ましくない。
本発明の現像安定化剤として好ましく用いられるものは、糖類(特に下記一般式(I)または(II)で表されるもの)、オキシム類(特に下記一般式(III) で表されるもの)、フェノール類(特に下記一般式(IV)で表されるもの)またはフッ素化アルコール類(特に下記一般式(V)で表されるもの)である。
一般式(I)または(II)で表される糖類とは次に示すものである。
【0011】
【化1】
【0012】
X1、X2、X3は、各々、水素原子、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、アシロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基又はホスホリルオキシ基を表す。
R1、R2は、各々、水素原子、アルキル基(例えばメチル基)、置換アルキル基(例えばヒドロキシメチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、メトキシメチル、ベンジルオキシメチルなど)または、カルボキシル基を表す。
Yは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはアルキル基を表す。
さらにX1、X2、X3、R1、R2、ならびにYで表現される置換基が水酸基もしくは水酸基含有基の場合、いずれか二つの水酸基間のエーテル結合形成により、または更にアセトンやベンズアルデヒドなどのカルボニル化合物を加えてアセタール化により、5員または6員環を形成しても良い。
一般式(I)または(II)のYが、更に他の(I)または(II)のX1、X2、X3、R1、R2ならびにYで表現される水酸基と(n−1)個のグルコキシド結合を形成することにより、完成されるn個の(I)または(II)のユニットからなる小糖類を形成しても良い。ここでnは2から6までの整数を表す。
【0013】
X1、X2、X3として好ましいのは水素原子または水酸基で、更に好ましくは水酸基である。
R1、R2として好ましいものは、水素原子、ヒドロキシメチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基またはカルボキシル基で、更に好ましくは水素原子、ヒドロキシメチル基または1,2−ジヒドロキシエチル基である。
Yとして好ましいものは水素原子である。
【0014】
一般式(I)または(II)で表される糖類の具体例としては次の化合物を挙げることが出来る。
【0015】
【化2】
【0016】
*を付した化合物は、一般式(II)に属するものである。
これらの化合物は、大部分市販されており容易に入手可能である。市販されていないものは、(1)「大有機化学第3巻、脂肪族化合物II」小竹無二雄監修、朝倉書店、1957年発行または、(2)「The Carbonhydrates, Chemistry and Biochemistry」 2nd Ed IA(1972)、および IIA(1970)、W.PibgmanおよびD.Horton監修、Academic Pressを参照すれば容易に合成できる。
一般式(III)で表されるオキシム類は次のものである。
【0017】
【化3】
【0018】
R3、R4は水素原子、アルキル基(置換基を有してもよい)、アリール基(置換基を有してもよい)、アシル基または複素環を表す。R3とR4が互いに結合して5または6員の環(特にシクロアルキル環)を形成してもよい。
【0019】
アルキル基としては、炭素数1〜18のもので直鎖、分岐およびシクロアルキル基を含む。置換基としては例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、シアノ基、または、アシロキシ基などがあげられる。
アリール基としては例えばフェニル基、ナフチル基であり、置換基としては例えばアルキル基の置換基としてあげたものがあげられる。
複素環としては例えばチアゾール、オキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラヒドロフラン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、またはベンズイミダゾールなどがあげられる。
一般式(III)で示される、化合物の具体例としては次のものがある。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
これらの化合物は市販品として、または「Organic Functional Group Preparations 第3巻」Page 365 Ed. by S.R.Sandler and W.Karo, Academic Press(1972)に記載されている方法で合成することにより容易に入手できる。
次に一般式(IV)のフェノール類について説明する。
【0023】
【化6】
【0024】
ここでR5、R6、R7、R8は同じかまたは異なっていて水素原子、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基(置換基を有していてもよい)、アルコキシ基(置換基を有していてもよい)を表す。置換基としては、一般式(III)のR3およびR4のアルキル基またはアリール基の置換基と同様のものがあげられる。
一般式(IV)で示される化合物の具体例としては次のものがある。
【0025】
【化7】
【0026】
これらの化合物の多くは市販されており、他の化合物も公知で容易に合成できる。
次に一般式(V)のフッ素化アルコールについて説明する。
【0027】
【化8】
【0028】
式中、Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し;nは1または2を表し;Jはnが1の場合には水素原子、フッ素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアラルキル基を表し、nが2の場合には置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシクロアルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換のアラルキレン基を表わす。
【0029】
一般式(V)で表される化合物のうち好ましいものにおいては、Rは水素原子またはフッ素置換アルキルを表し、nは1または2を表し、Jはnが1の場合には水素原子、フッ素原子置換のアルキル基を表し、nが2の場合にはフッ素置換アルキレン基を表す。これら好ましい化合物のうち、炭素原子数が水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基などの親水性基1個あたり6個以下であるものが処理液に対して充分な溶解度を有する点で好ましい。
一般式(V)で表される化合物の具体例を次に示す。
【0030】
【化9】
【0031】
これらの化合物の多くは市販されており、他の化合物も公知で容易に合成できる。
【0032】
一般式(I)〜(V)の化合物の中でも、好ましいものは一般式(I)または(II)の糖類、一般式(IV)のフェノール類であり、さらに好ましくは一般式(IV)のフェノール類のうちフェノール性水酸基以外の解離基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基等)を1種以上有するフェノール類であり、最も優れた効果を有するものは一般式(IV)のフェノール類のカルボン酸基、スルホン酸基両者を有するスルホサリチル酸、及びカルボン酸基を有するサリチル酸である。
本発明においてアルカリ現像液および/または補充液に以上の現像安定化剤を添加する場合、酸性物質は種々のアルカリ化合物と予め反応させた塩の形で添加してもよい。
【0033】
以上のようにして得られる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
【0034】
界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤;脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤;アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤;カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
【0035】
更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などの力チオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有ウレタンなどの非イオン型のものが挙げられる。
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。現像液および補充液中に0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%の範囲で添加される。
【0036】
本発明の現像液および補充液には場合により有機溶剤を添加することができる。有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10%以下のものが適しており、好ましくは5%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げるとができる。有機溶剤の含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
【0037】
本発明の現像液および補充液には、更に必要に応じて、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。
【0038】
このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液にに対して0.01〜5%、より好ましくは0.01〜0.5%の範囲である。添加量が0.01%未満では所期の目的が十分に達成されず、添加量が5%を超えると色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。
【0039】
本発明の現像液および補充液の残余の成分は水であるが、更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有させることができる。例えば、特開昭58−75152号公報記載のNaCl,KCl,KBrなどの中性塩、特開昭58−121336号公報記載の〔Co(NH3)6〕Cl3 などの錯体、特開昭55−25100号公報記載の周期律表第IIa族、第III a族またはIII b族の元素のイオン化可能な化合物、米国特許第4,374,920号公報記載のテトラメチルデシンジオール、特開昭60−213943号公報記載の非イオン性界面活性剤、特開昭55−95946号公報記載のp−ジメチルアミノメチルポリスチレンのメチルクロライド4級化合物などのカチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ソーダの共重合体などの両性高分子電解質、特開昭57−192952号公報記載のアルカリ可溶性メルカプト化合物またはチオエーテル化合物、特開昭58−59444号公報記載の塩化リチウムなどの無機リチウム化合物、特公昭50−34442号公報記載の安息香酸リチウムなどの有機リチウム化合物、特開昭59−75255号公報記載のSi,Tiなどを含む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報記載の有機ほう素化合物、ヨーロッパ特許101010号公報記載のテトラアルキルアンモニウムオキサイドなどの4級アンモニウム塩、特開昭63−226657号公報記載のデヒドロ酢酸ナトリウムなどの殺菌剤などが挙げられる。
本発明の現像液および補充液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。また、特開平5−142786号公報記載のように固形化して用いるとさらに運搬上有利に用いることもできる。
【0040】
本発明の現像液および補充液が好適に用いられるPS版としてはo−キノンジアジド化合物を感光剤として含有するポジ型(場合により反転してネガ型としても用いられる)感光層を有するPS版や各種光硬化型感光層を有するネガ型のPS版が挙げられる。特に本発明の現像液および補充液は、ポジ型とネガ型のPS版を共通処理する場合において、ネガ型PS版で十分な現像速度が得られる点で特に適している。
【0041】
以下に本発明の現像液及び補充液が好ましく適用できるPS版について詳しく述べる。
(支持体)
本発明の現像液及び補充液が適用されるPS版の支持体は、寸度的に安定な板状物である。かかる支持体としては、アルミニウム板などの金属板において本発明の効果が著しく発揮される。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。用いられるアルミニウム板の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
まず、アルミニウム板の表面は、所望により脱脂処理された後、粗面化処理される。その方法としては、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などと称せられる公知の方法を用いることが出来る。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することが出来る。
【0042】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法に於いては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液中で浸漬処理されるかまたは電解処理される。
他に、特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868号、第4,153,461号および第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0043】
アルミニウム板は、感光層を塗設する前に必要に応じて有機下塗層もしくは中間層が設けられる。この有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
前記下塗層塗布溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当である。
なお支持体と感光層との密着性を高めるための中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。
【0044】
(バックコート層)
本発明の現像液および補充液はアルカリ強度が比較的高いので、裏面からの酸化アルミニウムの溶出を抑えるためにバックコート層を有するPS版が好ましく用いられる。このようなバックコート層としては、例えば特開平5−45885号、特開平5−210235号および特開平6−35174号に詳しく記載されているものを用いることができる。
【0045】
(感光層)
このようにして得られた親水性表面を有するアルミニウム板上に、公知の感光性組成物よりなる感光層を設けて、感光性平版印刷版を得る。感光性組成物としては、o−キノンジアジド化合物を主成分とするポジ型、ジアゾニウム塩、アルカリ可溶性ジアゾニウム塩、不飽和二重結合含有モノマーを主成分とする光重合性化合物および桂皮酸やジメチルマレイミド基を含む光架橋性化合物などを感光物とするネガ型のものが用いられる。
【0046】
(ポジ型感光層)
このうちポジ型の感光性組成物として用いられるo−ナフトキノンジアジド化合物としては、特公昭43−28403号公報に記載されている1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸とピロガロール・アセトン樹脂とのエステルが好ましい。その他の好適なオルトキノンジアジド化合物としては例えば、米国特許第3,046,120号および同第3,188,210号明細書に記載されている1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸とフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルがあり、特開平2−96163号公報、特開平2−96165号公報および特開平2−96761号公報に記載されている1,2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸とフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルがある。その他の有用なo−ナフトキノンジアジド化合物としては、数多くの特許等で公知のものが挙げられる。例えば、特開昭47−5303号、同48−63802号、同48−63803号、同48−96575号、同49−38701号、同48−13854号、特公昭37−18015号、同41−11222号、同45−9610号、同49−17481号公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
さらに特に好ましい、o−ナフトキノンジアジド化合物は、分子量1,000以下のポリヒドロキシ化合物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸との反応により得られる化合物である。このような化合物の具体例は、特開昭51−139402号、同58−150948号、同58−203434号、同59−165053号、同60−121445号、同60−134235号、同60−163043号、同61−118744号、同62−10645号、同62−10646号、同62−153950号、同62−178562号、同64−76047号、米国特許第3,102,809号、同第3,126,281号、同第3,130,047号、同第3,148,983号、同第3,184,310号、同第3,188,210号、同第4,639,406号などの各公報または明細書に記載されているものを挙げることができる。
感光性組成物中に占めるこれらのポジ型に作用する感光性化合物(上記のような組み合わせを含む)の量は10〜50%が適当であり、より好ましくは15〜40%である。
【0047】
o−キノンジアジド化合物は単独でも感光層を構成することができるが、アルカリ水に可溶な樹脂を結合剤(バインダー)として併用することが好ましい。この様なアルカリ水に可溶な樹脂としては、ノボラック型の樹脂があり、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、o−、m−およびp−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾル(o−、m−、p−、m/p−およびo/m−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
また、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂も用いることができる。
その他の好適なバインダーとしては、特開平6−35184号公報に記載されているような種々のモノマーを構成単位とする通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げることができる。
上記共重合体にはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸類を含有することが好ましく、その共重合体の好ましい酸価は0〜10meq/g、より好ましくは0.2〜5.0meq/gである。
上記共重合体の好ましい分子量は1万〜10万である。
また、上記共重合体には必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂およびエポキシ樹脂を添加してもよい。
このようなアルカリ可溶性の高分子化合物は1種類あるいは2種類以上組み合わせることができ、全感光性組成物の80%以下の添加量で用いられる。
更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用することは画像の感脂性を向上させる上で好ましい。
【0048】
さらにポジ型感光性組成物中には、感度を高めるために環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することが好ましい。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されているものなどが使用できる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシ−トリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されいてる各種酸類などがある。
上記の環状酸無水物類、フェノール類および有機酸類の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%である。
【0049】
また、上記感光性組成物中には、現像条件に対する処理の安定性(いわゆる現像ラチチュード)を広げるため、特開昭62−251740号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%である。
上記ポジ型感光性組成物中には、露光後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号および同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料も含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的には、特開平6−35184号公報に記載されているものを用いることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
【0050】
(ネガ型感光層)
次に本発明の現像液及び補充液が好ましく適用されるネガ型のPS版の感光性組成物としては、感光性ジアゾ化合物を含む感光層、光重合性感光層、光架橋性感光層などを有するものが挙げられるが、このうち感光性ジアゾ化合物を含む光硬化性感光性複写材料および光架橋性感光層を有する感光性複写材料について説明する。
感光性ジアゾ化合物としては、芳香族ジアゾニウム塩と反応性カルボニル基含有有機縮合剤、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類またはアセタール類とを酸性媒体中で縮合したジアゾ樹脂が好適に用いられる。その最も代表的なものにp−ジアゾフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物がある。これらのジアゾ樹脂の合成法は、例えば、米国特許第2,679,498号、同第3,050,502号、同第3,311,605号および同第3,277,074号の明細書に記載されている。
更に、特公昭49−48,001号公報、特開平4−18559号、同4−l90361号および同4−172354号、特開平3−2846号、同3−5754号、同3−240061号、同3−253857号、同4−172354号、同4−211253号、同4−219759号、同4−274429号、同5−5984号公報に記載されている感光性ジアゾ化合物なども用いられる。
これらのジアゾニウム塩の好適な対アニオンとして、特公昭47−1167号、米国特許第3,300,309号公報、特開昭54−98613号、同56−121031号公報、特開昭58−209733号、同62−175731号、同63−262643号公報などに挙げられているものを用いた、ジアゾニウム塩を使用することができる。
感光性ジアゾ化合物は感光層中に5〜50%、好ましくは8〜20%の範囲で含有させられる。
【0051】
上記感光性ジアゾ化合物は、アルカリ水に可溶性もしくは膨潤性の親油性高分子化合物を結合剤(バインダー)として併用することが好ましい。この様な親油性高分子化合物としては、先に述べたポジ型感光性組成物で用いたのと同様のモノマーをその構成単位とする通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げるとができるが、更に以下に示したモノマーを構成単位として共重合した高分子化合物も使用できる。
マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−プロピオニルアクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)アクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アクリロイルメタクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミドなどの不飽和イミド、N−〔2−(アクリロイルオキシ)−エチル〕−2,3−ジメチルマレイミド、N−〔2−(メタクリロイルオキシ)−エチル〕−2,3−ジメチルマレイミド、ビニルシンナメートなどの側鎖に架橋性基を有する不飽和モノマー。
更に、上記モノマーと共重合し得るモノマーを共重合させてもよい。また、上記モノマーの共重合によって得られる共重合体を例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどによって修飾したものも含まれるがこれらに限られるものではない。
上記共重合体には、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸を含有することが好ましく、その共重合体の好ましい酸価は0〜10meq/g、より好ましくは0.2〜5.0meq/gである。
上記共重合体の好ましい分子量は1万〜10万である。
また、上記共重合体には必要に応じて、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂およびエポキシ樹脂を添加してもよい。また、ノボラック型の樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアルカリ可溶性樹脂も用いることができる。
このようなアルカリ可溶性の高分子化合物は1種類あるいは2種類以上組み合わせることができ、全感光性組成物の固形分中に通常40〜95%の範囲で含有させられる。
【0052】
次に光架橋性感光層に用いる光架橋性ポリマーとしては、マレイミド基やシンナミル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、シンナミリデンアセチル基やカルコン基等を側鎖又は主鎖に有するポリマーが挙げられる。
マレイミド基を側鎖に有するポリマーとして、特開昭52−988号(対応米国特許4,079,041号)や、独国特許2,626,769号明細書、ヨーロッパ特許21,019号明細書、ヨーロッパ特許3,552号明細書やディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemie )115(1983)の162〜182ページに記載されているマレイミド基を側鎖に有するポリマーや、特開昭49−128991号、同49−128992号、同49−128993号、同50−5376号、同50−5377号、同50−5379号、同50−5378号、同50−5380号、同53−5298号、同53−5299号、同53−5300号、同50−50197号、同51−47940号、同52−13907号、同50−45076号、同52−121700号、同50−10884号、同50−45087号、独国特許第2,349,948号、同第2,616,276号各公報に記載されているマレイミド基を側鎖に有するポリマー等を挙げることが出来る。これらのポリマーの平均分子量は1000以上、好ましくは3〜4万である。また、これらのポリマーは1分子当り平均2個以上のマレイミド基を側鎖に有する。
【0053】
これらのマレイミド基を側鎖に有するポリマーを、アルカリ水に可溶性又は膨潤性とするためには、酸基をポリマー中に含めればよい。
酸基の具体例としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸及びこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、及びアルカリ水に対し解難するpKa が6〜12の酸基で、具体的には、−SO2NHCO−、−CONHCO−、−SO2NHCOO−、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。これらの酸基を有するモノマーと、マレイミド基を有するモノマーとを、例えば10/90〜50/50、好ましくは、20/80〜40/60(モル比)の割合で共重合させることによって上記ポリマーが容易に得られる。酸基を有するマレイミドポリマーの酸価は30〜300の範囲が好ましく、更に好ましくは、50〜200である。なお、上記共重合しうる酸基を有するモノマーとして好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するビニルモノマー、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物等が例示される。
これらの酸基を有するポリマーの中でも、ディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemie )128(1984)の71〜91ページに記載されているような共重合体が有用である。
また米国特許第3030208号に記載されている感光性ポリエステルなどもある。
これらのポリマーをアルカリ水可溶化した物としては、特開昭60−191244号、特開昭62−175729号、特開昭62−175730号、特開昭63−25443号、特開昭63−218944号、特開昭63−218945号に記載されているものを用いることが出来る。
なお、本発明で用いる光架橋性ポリマーとしては、分子量1000以上、好ましくは1万〜50万、特に好ましくは2万〜30万のものを用いるのが望ましい。
上記光架橋性ポリマーの感光層全組成物に対する添加量は10〜99%、好ましくは、50〜99%である。
【0054】
光架橋性ポリマーよりなる感光層には、支持体との接着性を向上させるために感光性ジアゾ樹脂を含有させておくことが好ましい。このような感光性ジアゾ樹脂としては、前述のジアゾ樹脂が使用できる。
このジアゾ樹脂を感光層中に含有させる場合の含有量は、0.1〜30%、好ましくは1〜10%である。
なお、上記ジアゾ樹脂の他に、特公昭47−1167号、特開昭50−118802号、特公昭52−7364号及び特開昭59−222834号などに記載されているようなジアゾ樹脂を、前述のジアゾ樹脂に対して50%以下の量で併用してもよい。
本発明で使用するネガ型感光層には、特開平6−35184号公報に記載されているような、増感剤、感脂化剤、可塑剤、焼出し剤および画像着色剤などを使用することが好ましい。また、現像性を高めるために環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類および高級アルコールを添加することができる。
本発明における感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体のアルミニウム板上に塗布される。ここで使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤が単独あるいは混合して用いられる。
上記感光性組成物は、2〜50%の固形分濃度で溶解、分散され、支持体上に塗布・乾燥される。
支持体上に塗設される感光性組成物の層(感光層)の塗布量は用途により異なるが、一般的には、乾燥後の重量にして0.3〜4.0g/m2が好ましい。
上記感光性組成物中には、塗布面質を向上するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光性組成物の0.001〜1.0%であり、更に好ましくは0.005〜0.5%である。
【0055】
(マット層)
上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、且つ焼きボケを防ぐため、マット層が設けられる。具体的には、特開昭50−125805号、特公昭57−6582号、同61−28986号、特公昭62−62337号の各公報に記載されているような方法などが挙げられるが、水溶性、アルカリ水現像液可溶性のマット層を有するPS版がより好ましい。
【0056】
(現像処理)
かくして得られたPS版は透明原画を通してカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどを光源とする活性光線により露光された後、現像処理される。
本発明の現像液および補充液は自動現像機を用いる現像処理方法において使用するのが特に有利であり、現像液の活性度の低下を補充液で保証する方法が好ましい。補充方式としては公知の技術が用いられる。例えば、特開昭55−115039号公報記載のPS版の処理および経時による現像性の劣化を連続または間欠的に補充する方法、特開昭58−95349号公報記載の現像ゾーンの途中で感光層の溶出度をセンサーで検出し、溶出度の低下に応じて補充液を補充する方法、特開平1−21451号、同1−180548号記載の測定した現像液のインピーダンス値をコンピューター処理し、検出された現像液の劣化に応じて補充する方法などが好適に用いられる。
このようにして現像処理されたPS版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。またさらに、これらの処理を種々組み合わせて用いることもできる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、PS版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みのPS版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによってPS版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて各補充液を補充しながら処理することができる。
また、本発明の現像液は実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式にも適用できる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0057】
【実施例】
以下実施例をもって本発明を詳細に説明する。
実施例
厚さ0.30mmのJIS A 1050アルミニウム板の表面をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.6μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度2A/dm2において厚さが2.7g/m2相当になるように陽極酸化し、基板を作製した。
続いて、上記の基板の表面に下記感光液I・感光液IIを塗布し、乾燥後の塗布重量が2.5g/m2となるように感光層を設けた。
【0058】
感光液II
感光液Iのクレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂を、フェノールノボラック樹脂に変更した感光液
【0059】
このようにして作製した感光層の表面に下記の様にしてマット層形成用樹脂液を吹き付けてマット層を設けたPS版を得た。
マット層形成用樹脂液としてメチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸(仕込重量比65:20:15)共重合体の一部をナトリウム塩とした12%水溶液を準備し、回転霧化静電塗布機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液量は40ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗布後2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、ついで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。
このようにして得られたPS版に、原稿フィルムを通して1mの距離から3kWのメタルハライドランプを用いて、60秒間露光した。
【0060】
本発明の効果を確認するための方法としては、現像液は、浸漬型現像槽を有する市販の自動現像機PS−900NP(富士写真フイルム(株)製)の現像槽に22リットル仕込んだ。テストはこの現像液でPS版を面積にして88m2(4m2/リットル相当)処理したときの、ステップタブレット(1段の光学濃度差が0.15で15段のもの)を焼き付けた画像の現像によって残ったステップ段数のベタ部(画像残存部)の段数を読み取り、処理開始時の段数との差(低下段数)を比較した。
一方補充液については、同じくPS−900NPに現像液を仕込んだ後、補充を行いながら、PS版を1日150版ずつ2ケ月間処理し、完全に補充液に入れ替わっている状態で、その時を処理開始として、現像液の場合と同様の低下段数比較テストを行なった。
【0061】
次に下記の現像液A〜G及び現像補充液H〜Nを準備した。
なお現像液は、現像安定化剤を添加する前のpHはA、C、D、Eは13.0であり、B、F、Gは12.5である。補充液のテストにおいて、補充に用いる液のpHは13.4に合わせてあり、PS版を1日150版ずつ2ケ月間処理し、完全に現像液から補充液に入れ替わっている状態で、H、J、K、LはpHl3.0であり、I、M、Nは12.5であった。
【0062】
現像液A
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 1.2%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−8のD−ガラクトース(酸解離定数4.47×10−13)を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.0に戻した現像液。
(使用PS版;感光液I)
現像液B
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 0.05%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−18のサッカロース(酸解離定数2.0×10−13)を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを12.5に戻した現像液。
(使用PS版;感光液II)
【0063】
現像液C
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 1.2%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−1のサリチル酸(酸解離定数3.31×10−13)を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.0に戻した現像液。
(使用PS版;感光液I)
現像液D
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 1.2%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例V−8のフッ素化アルコール(酸解離定数1.82×10−13)を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.0に戻した現像液。
(使用PS版;感光液I)
現像液E
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 1.2%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−11のスルホサリチル酸(酸解離定数1.12×10−12)を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.0に戻した現像液。
(使用PS版;感光液I)
【0064】
現像液F
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.7、SiO2 1.4%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−8のD−ガラクトースを0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを12.5に戻した現像液。
(使用PS版;感光液II)
現像液G
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.7、SiO2 1.4%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−11のスルホサリチル酸を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを12.5に戻した現像液。
(使用PS版;感光液II)
【0065】
現像補充液H
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−8のD−ガラクトースを0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH13.0を維持)
(使用PS版;感光液I)
現像補充液I
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 0.08%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−18のサッカロースを0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.0に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH12.5を維持)
(使用PS版;感光液I)
【0066】
現像補充液J
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−1のサリチル酸を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH13.0を維持)
(使用PS版;感光液I)
現像補充液K
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例V−8のフッ素化アルコールを0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH13.0を維持)
(使用PS版;感光液I)
【0067】
現像補充液L
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−11のスルホサリチル酸を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH13.0を維持)
(使用PS版;感光液I)
【0068】
現像補充液M
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例I−8のD−ガラクトースを0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH12.5を維持)
(使用PS版;感光液II)
現像補充液N
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウム水溶液に、化合物例IV−11のスルホサリチル酸を0.2モル/リットル加え、KOHを追加してpHを13.4に戻した補充液。(現像性テスト時にはpH12.5を維持)
(使用PS版;感光液II)
以上のテスト結果を、表1にまとめた。
【0069】
比較例
実施例で用いた現像液・補充液で現像安定化剤を添加しないものを用いて、実施例と同じテストを行なった。
比較現像液(イ)
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.2、SiO2 1.2%のケイ酸カリウ ム水溶液。pHl3.0(使用PS版;感光液I)
比較現像液(ロ)
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比1.7、SiO2 1.4%のケイ酸カリウ ム水溶液。pH12.5(使用PS版;感光液II)
比較現像補充液
〔SiO2〕/〔K2O〕モル比0.9、SiO2 1.6%のケイ酸カリウ ム水溶液。
以上のテスト結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から明らかなように、現像液A、B、C、D、E及び現像補充液H、I、J、K、Lは比較現像液イ・比較補充液に対して、あるいは、現像液F、G及び現像補充液M、Nは比較現像液ロ・比較補充液に対して、いずれの場合においても、比較現像液・補充液に対してPS版の処理に伴うステップタブレットの段数低下は、大幅に抑えられており、なかでもスルホサリチル酸はその効果が大きかった。また、いずれにおいても、自動現像液中での液の撹拌による発泡はみられないか、極めて少なかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の現像液及び現像補充液は、現像安定性、保存安定性、現像処理能力にすぐれ、発泡性が低く、ポジ型及びネガ型PS版を共通に処理することができる。
Claims (8)
- SiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属を示す)が0.5〜2.0の珪酸塩を0.01〜10%含有する水溶液であって、さらに酸解離定数1×10-13〜1×10-11でかつ糖類(但し、多糖を除く)、オキシム類およびフッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01モル/リットル以上含有する水溶液であることを特徴とする感光性平版印刷版用現像液。
- SiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属を示す)が0.5〜2.0の珪酸塩を0.01〜10%含有する水溶液であって、さらに酸解離定数1×10-13〜1×10-11でかつ糖類(但し、多糖を除く)、オキシム類およびフッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01モル/リットル以上含有する水溶液であることを特徴とする感光性平版印刷版用現像補充液。
- 当該糖類が一般式(I)または(II)で表される糖類であることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版用現像液。
- 当該フッ素化アルコール類が一般式(V)で表されるフッ素化アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の感光性平版印刷版用現像液。
- 当該糖類が一般式(I)または(II)で表される糖類であることを特徴とする請求項2に記載の感光性平版印刷版用現像補充液。
- 当該フッ素化アルコール類が一般式(V)で表されるフッ素化アルコールであることを特徴とする請求項2に記載の感光性平版印刷版用現像補充液。
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