JP3579517B2 - 検体搬送システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,血液,尿等の検体を分注処理した後,分散して設置されている各種分析装置に搬送して自動的に検査する検体搬送システムに係り,特に,高度に省力化・合理化が行えると共に,正確で確実な検査を行うことができ,また,分注及び検査処理の高速化を図り,更には,処理分散して搬送制御の柔軟性及びシステム構築の柔軟性を高めた検体搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の検体搬送システムとしては,例えば,特開昭63−52061号公報で開示された検体検査自動化ラインシステムがある。この検体検査自動化ラインシステムでは,自動仕分機により,載置された検体収納ラックを幹線搬送路に投入し,投入された検体収納ラックの番号・行先を読取装置で読み取って記憶部に記憶する。また制御装置では,各種分析装置からの状態信号と記憶部の読取データに基づいて,自動仕分機上で待機している検体収納ラックの内から適切なラックを選定し,幹線搬送路に投入させる。投入された検体収納ラックは支線搬送路を介して検査すべき各種分析装置まで自動的に到達し,検査が自動的に行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の検体搬送システムにおいては,搬送制御は,本質的にシーケンシャルな定型的処理に基づくものであり,検体の種類が多様化し,検査すべき検査項目も多様化している今日,処理を定型的にしか組み込めない従来の検体搬送システムでは,その都度,サブ的な定型処理を追加したり変更したりする必要があり,システムの仕様変更や追加に柔軟に対処できず,また対処できたとしてもシステムが複雑になるという問題があった。
【0004】
また,生化学,血清(免疫),凝固,尿生化学等を混在させて一括して分析を行う多項目分析処理を可能とした検体搬送システムでは,1個の検体について幾種類もの検査項目が必要となり,また検体と試薬を反応させて分析を行う検査項目も少なくなく,検体を幾つかの子検体に分注して複数種の検査項目に対処している。
【0005】
しかしながら,従来の検体搬送システムにあっては,自動化された検体搬送システムとは別に分注装置が設置された,いわゆるオフライン分注が主流であり,自動化の概念の導入は,例えば,特開平3−191866号に開示されている「分注システム」のように分注処理の自動化に留まっていたり,特開平2−259575号に開示されている「自動分析装置」のように,輸血検査における交差適合試験のような特定の分野に限定されたシステムであり,混在一括分析型の多項目分析処理を行う検体搬送システムにおいて,高速なオンライン分注を可能としたものは未だに提案されていない。
【0006】
更に,上述のように,医療技術の進歩に伴って検体の種類が多様化し,検査すべき検査項目も多様化し,それに付随して各種分析装置の新型機種のリリースのサイクルも短くなってきている。従って,検体搬送システムもこのような技術的進歩に逐次追随していく必要があるが,従来のような本質的にシーケンシャルな定型的処理に基づく検体搬送システムでは,その都度制御シーケンスを追加・変更する必要があり,また,各種分析装置の仕様によっては,既存の検体搬送システムと整合できず,新型の各種分析装置の使用を断念せざるを得ないか,或いは新たに検体搬送システムを構築し直さなければならないという問題を招いていた。
【0007】
本発明は,上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって,血液,尿等の多種多様な検体を分散して設置されている各種分析装置に搬送して,自動的に多項目分析する検体搬送システムにおいて,高速なオンライン分注を可能とし,高度に省力化・合理化を図り得る検体搬送システムを提供することを目的としている。
【0008】
また本発明の他の目的は,多様な検体の種類や,多様な検査項目に対しても柔軟に対応でき,正確で確実な検査を行うことができる検体搬送システムを提供することである。
【0009】
更に本発明の他の目的は,分散処理システムの概念を導入して,新たな各種分析装置の追加・変更等に対しても,接続ユニットの付加,並びに,データベース等のシステム仕様を具現している部分の追加・変更等で対処でき,システム構築における柔軟性を高めた検体搬送システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明の請求項1に係る検体搬送システムは,読み取り可能な検体識別コードの付された検体と,所定数の前記検体をひとまとめにして含み,読み取り可能なラック識別コードの付されたラックと,前記ラックを所定方向に搬送する第1搬送ラインと,前記検体識別コード及び前記ラック識別コードを読み取る第1コード読み取り手段を備え,前記第1搬送ラインに投入すべき前記ラックを複数個保持するスタートストッカーと,読み取り可能な検体識別コードが付され,前記検体を少量に分注して持つ子検体と,所定数の前記子検体をひとまとめにして含み,読み取り可能なラック識別コードの付された子検体用ラックと,前記子検体用ラックを所定方向に搬送する第2搬送ラインと,前記ラック識別コードを読み取る第2コード読み取り手段を備え,前記第2搬送ラインに投入すべき前記子検体用ラックを複数個保持する子検体用スタートストッカーと,前記ラックまたは前記子検体用ラックを所定方向に搬送する少なくとも1本以上の第3搬送ラインと,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ラインに接続され,前記検体識別コードに対応して与えられる検査項目の内,所定項目について分析を行う各種分析装置と,前記第1搬送ラインと接続する第1移動ラインと,前記第2搬送ラインと接続する第2移動ラインと,前記第1移動ライン上の前記ラックに含まれる所定の検体を,前記第2移動ライン上の前記子検体用ラックの子検体に分注するよう制御する分注制御手段と,前記第1移動ラインまたは前記第1搬送ラインから搬出されるラック,或いは前記第2移動ラインから搬出される子検体用ラックを,何れか1本の第3搬送ラインに搬入するライン選択手段と,を備える分注機と,当該検体搬送システムに供給される前記検体及び前記子検体及びまたは前記ラック及び子検体用ラックの検査項目等の依頼データ及び分析結果データを統括し,前記ラック及び子検体用ラックの搬送制御を行う統括制御手段と,を具備し,前記第1コード読み取り手段は,前記スタートストッカーに保持されているラックの内,所定数のラック(以下,第1選択投入対象ラック群という)について,前記検体識別コード及び前記ラック識別コードを順次読み取って前記統括制御手段に報知し,前記第2コード読み取り手段は,前記子検体用スタートストッカーに保持されている子検体用ラックの内,所定数の子検体用ラック(以下,第2選択投入対象ラック群という)について,前記ラック識別コードを順次読み取って前記統括制御手段に報知し,前記統括制御手段は,前記第1選択投入対象ラック群の依頼データ並びに前記各種分析装置の負荷情報に基づいて,前記第1選択投入対象ラック群から前記第1搬送ラインに投入するラックを選択し,前記第1選択投入対象ラック群の投入状況に応じて,前記第2選択投入対象ラック群から前記第2搬送ラインに投入するラックを選択するものである。
【0011】
また,請求項2に係る検体搬送システムは,請求項1記載の検体搬送システムにおいて,前記検体搬送システムは,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ラインと前記各種分析装置とを接続する接続手段であって,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックを選択的に取り込み,接続する各種分析装置に供給する接続ユニットを具備し,前記接続ユニットは,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックの選択的取込み,並びに接続する各種分析装置へのラックまたは子検体用ラックの供給を制御する接続制御手段を具備し,前記接続制御手段は,接続する各種分析装置と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続され,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続され,前記各種分析装置は,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続されるものである。
【0012】
また,請求項3に係る検体搬送システムは,請求項1または2記載の検体搬送システムにおいて,前記分注制御手段は,分注機本体と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続され,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続され,前記分注機本体は,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続されるものである。
【0013】
また,請求項4に係る検体搬送システムは,請求項1,2または3記載の検体搬送システムにおいて,前記統括制御手段は,前記ラック識別コードをキーとし,少なくとも該ラックまたは子検体用ラックが含む検体の検体識別コード及び該検体のラック内位置情報を保持するラック情報データベースと,前記検体識別コードをキーとし,少なくとも該検体または子検体について行うべき検査項目の情報を保持する検体情報データベースと,を具備するものである。
【0014】
また,請求項5に係る検体搬送システムは,請求項1,2,3,または4記載の検体搬送システムにおいて,前記分注機は,前記第1搬送ラインから供給されるラックのラック識別コードを読み取る第3コード読み取り手段を具備し,前記第1移動ラインは,所定数までラックを保持するバッファ部を具備し,前記第3コード読み取り手段は,前記ラックのラック識別コードを読み取る際に,当該第3コード読み取り手段の移動によって,前記第1搬送ライン上のラックを一旦停止させ,前記分注制御手段は,前記ラックの読み取ったラック識別コードに基づき前記第1移動ラインに該ラックを供給すべきか否かを判断し,供給すべき場合には該ラックを前記バッファ部の最後部に取り込み,供給すべきでない場合には前記第3コード読み取り手段の元の位置への移動によって,該ラックを前記第1搬送ライン上に戻すものである。
【0015】
また,請求項6に係る検体搬送システムは,請求項1,2,3,4,または5記載の検体搬送システムにおいて,前記第1移動ラインは,所定数までラックを保持するバッファ部と,前記バッファ部から供給されるラックを,前記分注機本体の分注動作に同期して移動させる第1フィーダ部と,前記分注機本体による分注の終了したラックを前記第1搬送ライン上に戻す第2フィーダ部と,を具備し,前記分注制御手段は,前記分注機本体の分注対象のラック内の各検体について,該ラックのラック識別コード及び該検体の検体識別コードに基づいて分注が必要か否かを判断し,分注不要の検体については所定の分注位置に停止しないように前記ラックの移動制御を行うものである。
【0016】
更に,請求項7に係る検体搬送システムは,請求項1,2,3,4,5,または6記載の検体搬送システムにおいて,前記検体搬送システムは,前記第1搬送ライン上のラックに含まれる検体の蓋を,該検体の検体識別コードに基づき容器種別を判断して,自動的に開栓する開栓機を具備するものである。
【0017】
【作用】
本発明の請求項1に係る検体搬送システムでは,読み取り可能な検体識別コードの付された検体または子検体を搬送するために,読み取り可能なラック識別コードの付されたラックまたは子検体用ラックに該検体または子検体を所定数分ひとまとめに載置して行うラック方式を採用している。また,統括制御手段は,当該検体搬送システムに供給される検体及び子検体或いはラックまたは子検体用ラックの検査項目等の依頼データ及び分析結果データを統括すると共に,ラックまたは子検体用ラックの搬送制御を行うようにしている。
【0018】
またスタートストッカーにおいて,第1コード読み取り手段は,スタートストッカーに保持されているラックの内,第1選択投入対象ラック群について,検体識別コード及びラック識別コードを順次読み取って統括制御手段に報知し,統括制御手段は,選択投入対象ラック群の依頼データ及び各種分析装置の負荷情報に基づいて,選択投入対象ラック群からラックを選択して,順次,第1搬送ラインに投入するようにしている。
【0019】
更に子検体用スタートストッカーにおいて,第2コード読み取り手段は,子検体用スタートストッカーに保持されている子検体用ラックの内,第2選択投入対象ラック群について,検体識別コード及びラック識別コードを順次読み取って統括制御手段に報知し,統括制御手段は,第1選択投入対象ラック群の投入状況に応じて,第2選択投入対象ラック群から子検体用ラックを選択して,順次,第2搬送ラインに投入するようにしている。
【0020】
従って,偏った依頼情報を持つ検体または子検体或いはラックまたは子検体用ラックが一時期に集中した場合でも,依頼データ及び各種分析装置の負荷情報に基づいて第1搬送ラインに投入すべきラックを選択し,第1搬送ラインのラックの投入状況に応じて第2搬送ラインに投入すべき子検体用ラックを選択するので,第1搬送ライン,第2搬送ライン及び第3搬送ライン上で渋滞を引き起こすことなく,結果として,検体処理の高速化を図ることができる。
【0021】
また分注機においては,分注制御手段により,分注機本体が,第1移動ライン上に選択的に取り込まれたラックに含まれる所定の検体を,第2移動ライン上の子検体用ラックの子検体に分注するように制御し,ライン選択手段により,第1搬送ラインから搬出されるラック,第1移動ラインから搬出される分注処理後のラック,或いは第2移動ラインから搬出される分注処理された子検体用ラックを,第3搬送ラインの内の何れか1本に搬入するようにしている。
【0022】
以上のように,スタートストッカーまたは子検体用スタートストッカーにおける第1搬送ラインまたは第2搬送ラインへのラックまたは子検体用ラックの選択投入,分注機における分注処理及び第3搬送ラインへのライン選択,更には,各種分析装置における所定の分析処理のそれぞれが,局所的に処理され,換言すれば機能分散的に処理されて,柔軟性の高い検体搬送システムを実現することができる。また,血液,尿等の多種多様な検体を,分散して設置されている各種分析装置に搬送して自動的に多項目分析できると共に,高速なオンライン分注を可能とし,高度に省力化・合理化を図り得る検体搬送システムを実現することができる。
【0023】
尚,分注機のライン選択手段の搬出先を1本の第3搬送ラインとして構成しても良い。例えば,ライン選択手段の搬送先を検査項目に従って大別し,分類した項目に対応した第3搬送ライン及びそれに接続される各種分析装置を構成すれば搬送制御がより単純化されるという利点もあるが,第3搬送ラインを1本として種々の各種分析装置を接続した構成しても,局所的な分散制御で分析処理及び搬送制御を行うこととすれば,制御が複雑になることもなく,より小規模のシステム構成で多種多様な検査項目に対処し得る検体搬送システムを実現できる。
【0024】
また,請求項2に係る検体搬送システムでは,第1搬送ラインまたは第3搬送ラインと各種分析装置との接続手段として接続ユニットを具備し,該接続ユニットは,第1搬送ラインまたは第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックを選択的に取り込み,接続する各種分析装置に供給するようにしている。また,接続ユニットには,第1搬送ラインまたは第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックの選択的取込み,並びに接続する各種分析装置へのラックまたは子検体用ラックの供給を制御する接続制御手段を具備しており,該接続制御手段は,接続する各種分析装置と相互に信号の授受を行う例えばRS232C等の信号伝達手段を介して接続され,また,統括制御手段と相互にデータの授受を行う例えばイーサネット等のデータ通信手段を介して接続され,更に,各種分析装置は,統括制御手段と相互にデータの授受を行う例えばイーサネット等のデータ通信手段を介して接続されている。
【0025】
このような構成,並びに,検体識別コードに対応して与えられる検査項目の内,所定項目について分析を行う各種分析装置を,当該検体搬送システムの各所に設置することにより,分析処理についての分散処理システムを実現し,また同時に,各種分析装置に接続される接続ユニットによって,各種分析装置へのラックまたは子検体用ラックの選択的な供給制御若しくはその地点における搬送制御を行うことにより,搬送制御についての分散処理システムをも実現している。
【0026】
このように,検体搬送システム全体の大まかなラックまたは子検体用ラックの搬送制御を統括制御手段によって行い,一方,各種分析装置が第1搬送ラインまたは第3搬送ラインに接続される地点では,より細かいラックまたは子検体用ラックの搬送制御を接続制御手段によって行うこととしているので,統括制御手段にかかる処理の負担が軽減され,例えば,新たに各種分析装置を追加したり,或いは,各種分析装置を変更する等の場合には,該各種分析装置に接続ユニットを付加または変更して第1搬送ラインまたは第3搬送ラインと接続すればよく,また,統括制御手段においては,データベース等のシステム仕様を具現している部分の追加または変更等で対処でき,システム構築における柔軟性を高めた検体搬送システムを実現することが可能となる。
【0027】
また,細かいラックまたは子検体用ラックの搬送制御を接続ユニットの接続制御手段によって局所的に行うので,緊急処理等の不定期な特別処理に対しても総括制御手段に負担をかけることなく,接続制御手段により個別に,柔軟に,また的確に処理でき,検体搬送システム全体として矛盾を生じることもないので,結果として,高速な処理を実現でき,また,人手を煩わせることなく高度に省力化・合理化を図ることができる。
【0028】
また,請求項3に係る検体搬送システムでは,分注制御手段は,分注機本体と相互に信号の授受を行う例えばRS232C等の信号伝達手段を介して接続され,また,統括制御手段と相互にデータの授受を行う例えばイーサネット等のデータ通信手段を介して接続され,更に,分注機本体は,統括制御手段と相互にデータの授受を行う例えばイーサネット等のデータ通信手段を介して接続されている。
【0029】
このような構成により,個々の検体に固有の検査項目等に応じて行う分注処理についても機能的分散処理を行うこととなり,また同時に,分注処理に関わる搬送制御についても分散処理システムを実現することとなる。
【0030】
また,請求項4に係る検体搬送システムでは,統括制御手段に,ラック識別コードをキーとし,少なくとも該ラックまたは子検体用ラックが含む検体の検体識別コード及び該検体または子検体のラック内位置情報を保持するラック情報データベースと,検体識別コードをキーとし,少なくとも該検体または子検体について行うべき検査項目の情報を保持する検体情報データベースとを備えた構成としている。
【0031】
これらラック情報データベース及び検体情報データベースにより,当該検体搬送システムが保有するラックまたは子検体用ラック及び検体または子検体に関する情報について,一元的な管理が可能となり,分析結果情報データベース等の当該検体搬送システムの他のデータベースとのネットワーク等による連携によって,システムの拡張性が保証される。
【0032】
また,不定期な期間の処理に対しても,例えば緊急処理に対処するためには,ラック情報データベースが表形式であれば,新たに項目を追加して,また接続制御ユニットの接続制御手段が行う制御シーケンスに新たな判断処理を追加する等によって対処でき,搬送制御の柔軟性を高めた検体搬送システムを実現できる。
【0033】
また,請求項5に係る検体搬送システムでは,第3コード読み取り手段は,第1搬送ラインから供給されるラックのラック識別コードを読み取る際に,当該第3コード読み取り手段の移動によって,第1搬送ライン上のラックを一旦停止させ,分注制御手段は,ラックの読み取ったラック識別コードに基づき,例えばラック識別情報データベースを参照して,第1移動ラインに該ラックを供給すべきか否かを判断し,供給すべき場合には該ラックをバッファ部の最後部に取り込み,供給すべきでない場合には第3コード読み取り手段の元の位置への移動によって,該ラックを第1搬送ライン上に戻すようにしている。
【0034】
これにより,分注処理の不要なラックについて,分注機に取り込むことなく第1搬送ライン上をそのまま素通りさせて,分注不要ラックのバイパス機能を実現でき,無駄な迂回によって該ラックの処理時間を長引かせることなく,検体搬送システム全体の処理効率を向上させることができる。
【0035】
また,請求項6に係る検体搬送システムでは,第1移動ラインにおいて,バッファ部から供給されるラックを,第1フィーダ部上に移動した後,分注機本体の分注動作に同期して移動させるが,この時,分注制御手段は,第1フィーダ部上にあるラックのラック識別コード及び該ラックに含まれる検体の検体識別コードに基づき,例えばラック情報データベース及び検体情報データベースを参照して,分注機本体の分注対象であるラック内の各検体について,分注が必要か否かを判断し,分注不要の検体については所定の分注位置に停止しないように前記ラックの移動制御を行うこととしている。
【0036】
また,分注機本体により分注処理の終了したラックについては,第2フィーダ部によって第1搬送ラインに戻すようにしている。これにより,分注処理の不要な検体について処理を飛ばす,いわゆる分注不要検体のジャンプ機能を実現でき,分注機における分注処理を高速化できる。
【0037】
更に,請求項7に係る検体搬送システムでは,開栓機により,第1搬送ライン上のラックに含まれる検体の蓋を,該検体の検体識別コードに基づき容器種別を判断して,自動的に開栓するようにしている。例えば,検体識別コードのコード形式に容器の種別情報を含む構成としておけば,該検体識別コードを認識するだけで検体容器の高さや径の情報を得て,該情報に応じて開栓機構の高さ等を自動調節でき,全自動の開栓機を実現することができる。
【0038】
【実施例】
以下,本発明の検体搬送システムの一実施例について,図面を参照して詳細に説明する。図1は,本発明の一実施例に係る検体搬送システムの全体構成図である。
【0039】
〔実施例の全体構成〕
本実施例の検体搬送システムは,検体識別バーコード(読み取り可能な検体識別コード)の付された親検体101bまたは子検体101aを搬送するために,ラック識別バーコード(読み取り可能なラック識別コード)の付された親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aに,例えば親検体または子検体10本をひとまとめに載置するラック方式を採用している。
【0040】
図1において,本実施例の検体搬送システムは,親搬送ライン103b(請求項にいう第1搬送ライン),子搬送ライン103a(第2搬送ライン),搬送ライン103(第3搬送ライン),親検体用スタートストッカー104b(スタートストッカー),子検体用スタートストッカー104a,コンソール105(入力手段),各種分析装置111,接続ユニット112,ターンテーブル114,ターミナルストッカー116a及び116b,開栓機150,分注機151,並びに,ホスト計算機121(統括制御手段)を備えて構成されている。
【0041】
子検体用スタートストッカー104a及び親検体用スタートストッカー104bは,それぞれFIFO形式のストッカーを複数個具備して構成され,各ストッカーへの子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの投入は,当該検体搬送システムが取り扱う検査項目に応じて行われるのが望ましい。尚,検査項目とストッカーの対応が1対1対応とならない場合には,検査項目のより上位の概念で予めグループ化し,該グループ対応で投入するようにしても良い。また,検査項目毎,或いはグループ毎に仕分ける方法としては,人手による方法,また,特に親検体用スタートストッカー104bの場合には,前段に設置される自動仕分機(図示せず)による方法がある。
【0042】
ターンテーブル114は,親搬送ライン103b,子搬送ライン103aまたは搬送ライン103上の分岐点または方向転換点に設置され,ホスト計算機121の制御指示に基づき,当該ターンテーブル114上に載置されたラックを回転させて,搬送方向を転換するものである。尚,載置される子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの識別は,当該ターンテーブル114の投入口直前の親搬送ライン103b,子搬送ライン103aまたは搬送ライン103上に設置されているバーコードリーダによって,該子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bのラック識別コードを読み取ることにより行われる。
【0043】
ターミナルストッカー116aは,子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102b内の全ての検体について行われるべき全検査項目の分析が終了したラックを,順次蓄積していくストッカーである。また,ターミナルストッカー116bは,分注機151による分注処理で,親検体用ラック102b内の全ての検体について分析不要となったラックを,順次蓄積していくストッカーである。
【0044】
コンソール105は,当該検体搬送システムの入力手段であって,親検体用スタートストッカー104bに親検体用ラック102bを投入する際に,緊急度(優先レベル)等の付属情報を入力する場合などに使用されるものである。またコンソール105は,当該検体搬送システムの各構成要素(各種分析装置や分注機等)毎に,データや制御コマンド等の入力手段として構成しても良い。
【0045】
ホスト計算機121は,当該検体搬送システムに供給される子検体101aまたは親検体101b及び子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの検査項目等の依頼データ及び分析結果データを統括すると共に,子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの当該検体搬送システムにおける搬送制御を行うものである。例えば,DECpcXL PCI(UNIXオペレーティングシステム)をCPU122とし,ハードディスク及び光ディスク等を具備する構成で実現される。尚,ホスト計算機121は,後述するラック情報データベース124及び検体情報データベース123等の各種データベースの管理,並びにデータ通信手段161を通信媒体として構成されるLANの通信制御,等の機能も果たす。
【0046】
各種分析装置111は,検体識別コードに対応して与えられる検査項目の内,所定項目について分析を行うものであり,例えば,血清,血漿または尿等についてグルコース,電解質または生化学項目等の分析を行うものである。各種分析装置111は,装置単独で,或いは後述する接続ユニット112を介して,搬送ライン103等に接続される。尚,各種分析装置111は,ホスト計算機121と相互にデータの授受を行うべく,例えばイーサネット等のLAN(データ通信手段161)を介して接続されている。
【0047】
接続ユニット112は,それぞれ搬送ライン103等と各種分析装置111とを接続する接続手段であって,搬送ライン103等上の子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bを選択的に取り込み,各種分析装置111の処理状況に応じて,子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bを各種分析装置111に供給するものである。
【0048】
また接続ユニット112は,搬送ライン103等上の子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの選択的取込み,並びに接続する各種分析装置111への子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの供給を制御する接続制御手段113を具備している。
【0049】
この接続制御手段113は,接続する各種分析装置111と相互に信号の授受を行うべく,例えばRS232C等の信号伝達手段162を介して接続され,また,ホスト計算機121と相互にデータの授受を行うべく,例えばイーサネット等のLAN(データ通信手段161)を介して接続されている。従って,接続制御手段113は,後述する子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bのバッファ機能や移動機能を実現する制御機構の他に,上記LANとのインタフェース及びRS232Cインタフェース等も備えるものである。
【0050】
また開栓機151は,親搬送ライン103b上の親検体用ラック102bに含まれる親検体101bの蓋を,該親検体101bの検体識別コードに基づき容器種別を判断して,自動的に開栓する。
【0051】
更に分注機151は,分注制御手段(図示しないが分注機本体151内に含まれる)により,分注機本体151が,第1移動ライン152〜154上に選択的に取り込まれた親検体用ラック102bに含まれている親検体101bの内,所定の検査項目を行うこととなっている親検体101bを,第2移動ライン106a上の子検体用ラック102aの子検体101aに分注するように制御する。
【0052】
また,分注制御手段の制御の下にラックチェンジャー155(ライン選択手段)により,第1搬送ライン152〜154から搬出される親検体用ラック102b,第1移動ライン152〜154から搬出される分注処理後の親検体用ラック102b,或いは第2移動ライン106aから搬出される分注処理された子検体用ラック102aを,搬送ライン103またはターミナルストッカー116bに向けて搬出する。
【0053】
尚,分注機151のライン選択手段の搬出先を搬送ライン103のみとして構成しても良い。つまり,ターミナルストッカー116bを無くし,分析が終了した,或いは,分析不要となった子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bを全てターミナルストッカー116aに蓄積させる構成である。
【0054】
また例えば,ラインチェンジャー155の搬送先を検査項目に従って大別し,分類した項目に対応した搬送ライン103及びそれに接続される各種分析装置111を構成すれば搬送制御がより単純化されるという効果が得られるが,本実施例の検体搬送システムのように,搬送ライン103を1本として種々の各種分析装置111等を接続した構成しても,局所的な分散制御で分析処理及び搬送制御を行うこととすれば,制御が複雑になることもなく,より小規模のシステム構成で多種多様な検査項目に対処し得る検体搬送システムを実現できる。
【0055】
本実施例の検体搬送システムでは,以上のような構成により,分析処理についての分散処理システムを実現し,また同時に,各種分析装置111に接続される接続ユニット112によって,各種分析装置111への子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bの選択的な供給制御,若しくはその地点における搬送制御を行うことにより,搬送制御についての分散処理システムをも実現している。
【0056】
〔実施例の各構成要素の具体例〕
次に,本実施例の検体搬送システムにおける各構成要素の具体例について,図を参照しながら詳細に説明する。
【0057】
先ず,親検体101bまたは子検体101aは,図2(a)に示す如く,血清,血漿または尿等の入った試験管201であって,試験管201には,ラベル属性203とバーコード204とが記載されている検体ラベル202が貼付されている。バーコード204は検体識別コードであって,その内容は,例えば,日付(2桁),受付番号(4桁),容器種別(2桁)及び容器シーケンス(1桁)で構成される9桁のコードである。また,ラベル属性203としては,ID,氏名,受付番号,検体種別,緊急マーク,特記事項等が記載される。
【0058】
また親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aは,例えば図2(b)に示すような東亜医用電子製のSYSMEXラック210を使用する。試験管201を10本まで搭載可能な構成であり,当該ラックの搬送方向に対して垂直となる側面には,ラックラベル211が貼付されている。
【0059】
次に,ホスト計算機121が具備するラック情報データベース124及び検体情報データベース123について,図3を参照して説明する。検体情報データベース123は,図3(a)に示す如く,検体識別コードをキーとし,少なくとも該検体の種別,行うべき検査項目,優先レベルの情報を保持する。検体識別コードは,検体ラベル202に記載されているバーコード204に該当するものである。また優先レベルは,コンソール105等の入力手段により設定されるものである。
【0060】
またラック情報データベース124は,図3(b)に示す如く,ラック識別コードをキーとし,少なくとも該子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bが含む子検体102aまたは親検体101bのラック内位置情報を,位置1から位置10に対応した検体識別コードとして保持する。ラック識別コードは,ラックラベル211に記載されているバーコードに該当するものである。尚,優先レベルについて,ここでは検体情報データベース123内に検体識別コード毎に付加される項目として構成したが,ラック情報データベース124内でラック識別コード毎に付加する構成,或いは両方のデータベース123及び124で保持する構成としても良い。
【0061】
このような検体情報データベース123及びラック情報データベース124の構成により,本実施例の検体搬送システムが取り扱う子検体101aまたは親検体101b及び子検体用ラック102aまたは親検体用ラック102bに関する情報について,一元的な管理が可能となる。また,分析結果を保持する分析結果情報データベース等の,当該検体搬送システムにおいて構成される他のデータベースとのネットワーク等による連携,或いは,リレーショナルなデータベースシステムを構築することにより,システムの拡張性も保証されることとなる。
【0062】
また,不定期な期間の処理,例えば,緊急処理に対しては,本実施例のように検体情報データベース123及びラック情報データベース124を表形式とした場合には,項目「優先レベル」を付加した構成とすることにより対処可能である。尚,優先レベルを考慮したラックの搬送制御及び分配制御については,後述する。
【0063】
次に,スタートストッカー104について図4を参照して説明する。図4は,本実施例で使用する親検体用スタートストッカー104bの構成図である。尚,子検体用スタートストッカー104aについても親検体用スタートストッカー104bと同等或いは類似の構成であるので,説明を省略する。
【0064】
図4において,本実施例の親検体用スタートストッカー104bは,緊急投入口104b−1,FIFO形式のストッカー104b−2及び104b−3,緊急投入口104b−1並びに各ストッカー104b−2及び104b−3の最前列のラックのラック識別コードを130b−1〜130b−3の位置に移動して読み取るバーコードリーダー130b(請求項にいう第1コード読み取り手段),親搬送ライン103bの投入口に設置されたバーコードリーダー131b,並びに,バーコードリーダー130b及び131bで読み取りエラーの発生したラックをストックする待避ストッカー104b−4を備えて構成されている。
【0065】
本実施例のスタートストッカー104bでは,緊急投入口104b−1並びに各ストッカー104b−2及び104b−3への親検体用ラック102bの投入は,人手によって行われることを前提としているが,各ストッカー104b−2及び104b−3の切り分けは,当該検体搬送システムが取り扱う検査項目或いは検体の種類に応じて行われるのが望ましい。
【0066】
例えば,電解質分析についてはストッカー104b−2,グルコース分析についてはストッカー104b−3に,或いは,血液の検体についてはストッカー104b−2,尿の検体の分析についてはストッカー104b−3に,といった具合である。尚,検体搬送システムが取り扱う検査項目等とストッカーの対応が1対1対応とならない場合には,検査項目のより上位の概念で予めグループ化し,該グループ対応で投入するようにしても良い。
【0067】
親搬送ライン103bに投入する親検体用ラック102bの選択方法については,各種分析装置111等及び接続ユニット112等の構造に関わるので,接続ユニット112等のバッファ部141のバッファ数の設定及び再設定方法と併せて説明する。
【0068】
次に,開栓機151の動作について図5を参照して説明する。図5は本実施例における親検体を搭載した親検体用ラック102bの断面図である。
【0069】
開栓機151は,親搬送ライン103b上の親検体用ラック102bに含まれる親検体101bについて,検体識別コードに基づき容器501−1〜501−10の種別を判断して,該親検体101bの蓋502を自動的に開栓する。検体情報データベース124の説明で述べたように,検体識別コードのコード形式には容器の種別情報を含んでおり,該検体識別コードを認識するだけで検体容器501−1〜501−10の高さや径の情報を得ることができ,該情報に応じて開栓機構の高さ等を自動的に調節することにより,開栓動作を全自動で行うことができる。
【0070】
次に,分注機について図6を参照して説明する。図6は本実施例で使用する分注機の構成図である。
【0071】
図6において,本実施例の分注機は,分注機本体151,親搬送ライン103bと接続する第1移動ライン152〜154,子搬送ライン103aと接続する第2移動ライン106a,第1移動ライン152〜154上の親検体用ラック102bに含まれている分注が必要な親検体101bを,第2移動ライン106a上の子検体用ラック102aの子検体101aに分注するよう制御する分注制御手段,並びに,第1移動ライン152〜154または親搬送ライン103bから搬出される親検体用ラック102b,或いは第2移動ライン106aから搬出される子検体用ラック102aを搬送ライン103またはターミナルストッカー116bに搬出するラインチェンジャー155を備えて構成されている。
【0072】
更に,親搬送ラインから第1移動ライン152〜154への取り込み口には,親検体用ラック102bのラック識別コードを読み取るバーコードリーダー133b(第3コード読み取り手段)を具備し,また,子搬送ライン103aと第2移動ライン106aとを接続する場所には,子検体用ラック102aのラック識別コードを読み取るバーコードリーダー133aを具備している。
【0073】
また第1移動ラインは,所定数まで親検体用ラック102bを保持するFIFO形式のバッファ部152,該バッファ部152から供給される親検体用ラック102bを分注機本体151の分注動作に同期して移動させる第1フィーダ部153,並びに,分注機本体151による分注の終了した親検体用ラック102bを親搬送ライン103b上に戻す第2フィーダ部154を備えて構成されている。
【0074】
次に,第1移動ライン152〜154において,分注制御手段によって行われる,親検体用ラック102bのバッファ部152への取り込み及び蓄積,第1フィーダ部153への供給及び第1フィーダ部153における移動,第2フィーダ部154における移動等の制御について説明する。
【0075】
先ず,バーコードリーダー133bが位置133b’に移動することによって親搬送ライン103b上の親検体用ラック102bを一旦停止させ,該親検体用ラック102bのラック識別コードを読み取る。分注制御手段が行う親検体用ラック102bの取込み判断は,先ず,該親検体用ラック102bのラック識別コードをキーとしてラック情報データベース124及び検体情報データベース123にアクセスし,親検体用ラック102b中に分注機151によって分注すべき検体が含まれているか否かを判断することによって行われる。
【0076】
つまり,分注すべき検体が含まれている時に,バッファ部152に親検体用ラック102bが取り込まれることになる。また,そうでないときには,バーコードリーダー133bを位置133b’から元の位置に移動することにより,親検体用ラック102bはそのまま親搬送ライン103b上を移動することとなる。
【0077】
これにより,分注を要しない親検体用ラック102bについては,親搬送ライン103b上をそのまま素通りさせて,「分注不要ラックのバイパス機能」を実現でき,無駄な迂回によって該親検体用ラック102bの処理時間を長引かせることなく,また,分注機151に不要な負荷を課することなく搬送制御することができ,検体搬送システム全体の処理効率を向上させることができる。
【0078】
次に,こうしてバッファ部152に順次ラックが蓄積されていくと同時に,バッファ部152では,取り込まれた順に,即ちFIFO順に,第1フィーダ部153に対して親検体用ラック102bを押し出すことによって,親検体用ラック102bを供給する。
【0079】
第1フィーダ部153では,親検体用ラック102bを分注機本体151の分注動作に同期して順次移動させる。この時,分注制御手段は,第1フィーダ部153上にある親検体用ラック102bのラック識別コードに基づき,ラック情報データベース124及び検体情報データベース123を参照して,分注機本体151の分注対象の親検体用ラック102b内の各親検体101bについて分注が必要か否かを判断し,分注不要の検体については所定の分注位置に停止しないように親検体用ラック102bの移動制御を行う。これにより,分注不要な検体について飛ばす,「分注不要検体のジャンプ機能」を実現でき,当該分注機151におけるオンライン分注の処理を高速化できる。
【0080】
またバッファ部152は,第1フィーダ部153上に親検体用ラック1個分のスペースが生じると,すぐに第1フィーダ部153に対して親検体用ラック102bを押し出し,また,親検体用ラック102b内の検体の相互間隔と,親検体用ラックの終端に位置する検体とそれに続く親検体用ラックの先端に位置する検体の相互間隔が等しくなるよう親検体用ラック102bを形成しているので,親検体用ラックが数珠繋ぎ式に第1フィーダ部153に供給される限り,間断無く分注機151は処理を行うことができ,処理効率を向上させることができる。
【0081】
更に,分注機本体151による分注の終了した親検体用ラック102bは,第2フィーダ部154によって,親搬送ライン103b上に押し戻され,ラインチェンジャー155内の移動治具611へと移動する。つまり,移動治具611の移動によって,分注処理後の親検体用ラック102bは,分析処理が必要な場合には搬送ライン103に,分析処理が不要な場合にはターミナルストッカー116bへと搬出される。
【0082】
一方では,バッファ部152に親検体用ラック102bが取り込まれると,ホスト計算機121は,該親検体用ラック102bのラック識別コードに基づき,ラック情報データベース124及び検体情報データベース123を参照して,含まれている各親検体101bについて,必要な検査項目から適正分注量を自動的に計算し,必要な子検体101aを含む子検体用ラック102aを子検体用スタートストッカー104aから,順次,子搬送ライン102aに搬出する。尚,分注量は検査項目によって定まり,例えば,25〜1000[ul]の広い範囲の分注量をカバーできることとしている。
【0083】
子搬送ライン103a上の子検体用ラック102aは,バーコードリーダー133aでラック識別コードが読み取られた後に第2移動ライン106aに搬入されるが,子検体用ラック102aの第2移動ライン106aへの搬入及び第2移動ライン106a上での移動制御は,第1フィーダ部153上の親検体用ラック102bの移動制御に同期して行われ,分注対象の親検体101bについて適正分注量となるように行われる。つまり,分注量に応じて第2移動ライン106a上の子検体用ラック102aの移動速度を変化させるので,子検体用ラック102a内の子検体101aに順番に分注することができ,空きの子検体を生じることがない。
【0084】
更に,分注機本体151による分注の終了した子検体用ラック102aは,第2移動ライン106aによってラインチェンジャー155内の移動治具611へ押し出される。ラインチェンジャー155では,移動治具611の移動によって,分注処理後の子検体用ラック102aは搬送ライン103へと搬出される。
【0085】
このように,分注機151において,分注の必要な親検体用ラック102bを選択的に取り込んで,個々の親検体101bに固有の検査項目等に応じて分注処理を行い,更にラインチェンジャー155では,それぞれの親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aが含む親検体101bまたは子検体101aの検査項目等に応じて,搬送ライン103またはターミナルストッカー116bへのライン選択を行うので,高速なオンライン分注が可能となる。
【0086】
また,図6に示す具体例の構成図では,分注機は,人手により子検体101aまたは子検体用ラック102aを載置し得るオフライン用分注子検体テーブル601(請求項にいうオフライン用投入部)を具備している。つまり,該オフライン用分注子検体テーブル601に人手によって子検体101aまたは子検体用ラック102aを載置し,システムの搬送制御に伴うオンライン分注処理とは独立または並行して,オフライン分析用の分注処理を可能としている。
【0087】
オンライン分注処理と独立してオフライン分析用の分注処理を行う場合には,切換スイッチ等によって,第2移動ライン106a上の子検体用ラック102aについて分析を行う第1分注モードとは独立して,オフライン用分注子検体テーブル601上の子検体101aまたは子検体用ラック102aに対して分注を行う第2分注モードに各種分析装置の動作を遷移させ,システムの搬送制御によるオンライン分注処理とは独立した分注を行うこととなる。
【0088】
また,検体間のクロスコンタミを無くすために,ディスポチップ設置エリア602を設けて,使用済みの分注プローブを廃棄して,異なる検体間では分注プローブをディスポーザブルに扱うこととしている。尚,図6中,603は分注ヘッドが移動可能な領域を示している。
【0089】
更に,オンライン分注またはオフライン分注の処理において,検体量が不足している場合や,フィブリン検出(ハードウェアの障害)等のエラーが検出された場合には,例えばコンソール105に,その旨を表示するようにしている。
【0090】
次に,ターミナルストッカーについて図7を参照して説明する。図7は,本実施例で使用するターミナルストッカー116aの構成図であり,ターミナルストッカー116bについても同様である。
【0091】
図7において,ターミナルストッカー116aは,バーコードリーダー734,並びに,ストッカー116a−1及び116a−2を備えて構成されている。ストッカー116a−1及び116a−2には,親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102a内の全ての親検体101bまたは子検体101aについて,当該検体搬送システムによって行われるべき全検査項目の分析が終了したラックを,順次蓄積していく。
【0092】
バーコードリーダー734は,位置734’に移動することによって搬送されてくる親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aを停止させるストッパーの機能も有しており,該位置534’において,親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aのラック識別コードを読み取り,ホスト計算機121の制御の下,所定の分類法に基づいてストッカー116a−1及び116a−2に仕分けする。尚,所定の分類法には,検査項目や検体の種類等に基づく分類がある。
【0093】
次に,接続ユニットについて図8を参照して説明する。図8は,第1具体例に係る接続ユニット111の構成図であり,バーコードリーダー132,バッファ部141,第1フィーダ部142,第2フィーダ部143及び接続制御手段113を備えて構成されている。
【0094】
第1具体例の接続ユニット112の特徴的な処はバッファ部141の形状である。即ち,先に取り込まれたラックの検体並び方向の側面と,次に取り込まれるラックの検体並び方向の側面が接するように,ラックを保持する構成であり,移動制御が最も簡単とされるFIFO形式のバッファである。
【0095】
接続制御手段113は,親搬送ライン103bまたは搬送ライン103上の親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの選択的取込み,バッファ部141の最大バッファ数の設定及び変更,並びに,接続する各種分析装置111への親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの供給等を制御する。また接続制御手段113は,接続する各種分析装置111と相互に信号の授受を行うため,RS232Cの信号伝達手段162を介して接続され,また,ホスト計算機121と相互にデータの授受を行うため,イーサネットのLAN(データ通信手段161)を介して接続されている。従って,接続制御手段113は,LANとのインタフェース及びRS232Cインタフェース等も備える。
【0096】
以上の構成を前提として,先に,親検体用スタートストッカー104bにおける親搬送ライン103bに投入する親検体用ラック102bの選択方法について,図4を参照して説明する。先ず,緊急投入口104b−1に設置された親検体用ラック102bについては,バーコードリーダー130bによって該ラックのラック識別コードが読み取られ,ホスト計算機121に報知される。ホスト計算機121では,該ラックの依頼データ,該依頼データについて処理可能な各種分析装置111等のバッファ数或いは処理可能なラック数,検体数または分析回数の最大値,並びに,バッファ部141が現時点で保持している子検体用ラックまたは親検体用ラックのラック識別コード等々に基づき,搬送先の各種分析装置を決定して,親搬送ライン103bに該親検体用ラックを投入する。
【0097】
また,ストッカー104b−2及び104b−3に設置された親検体用ラックについては,バーコードリーダー130bを130b−2,130b−3の位置に移動して,ストッカー104b−2及び104b−3の最前列にある親検体用ラックについてラック識別コードが読み取られ,ホスト計算機121に報知される。ホスト計算機121では,該ラック群の依頼データ,該依頼データについて処理可能な各種分析装置111等のバッファ数或いは処理可能なラック数,検体数または分析回数の最大値,並びに,バッファ部141が現時点で保持している子検体用ラックまたは親検体用ラックのラック識別コードに基づいて,該ラック群から親搬送ライン103bに投入すべき親検体用ラックを選択すると共に,搬送先の各種分析装置を決定している。
【0098】
このように,投入すべき親検体用ラック102bの選択及び該ラックの搬送先である各種分析装置の決定は,ホスト計算機121により,当該検体搬送システムの運用・稼働状況等によって行われる。これにより,検体搬送システムが備える各種分析装置の負荷状況及びシステム全体の負荷状況に応じた運用が可能となり,ボトルネックを回避して,検体搬送システム全体の検査処理の高速化を図ることができる。
【0099】
また,各種分析装置111等の負荷状況の判断は,例えば次のような方法が採られる。つまり,図8において,該各種分析装置111の接続制御手段113に,接続ユニット112内のバッファ部141が現時点で保持している子検体用ラックまたは親検体用ラックのラック識別コードをホスト計算機121に報知させ,ホスト計算機121が各種分析装置111の分析所要時間を予測する方法である。
【0100】
尚,分析所要時間を予測する方法としては,バッファ部141が保持するラック群について,ラック識別コードに基づきラック情報データベース124を参照し,該ラックに含まれる検体について検体情報データベース123を参照することにより,各種分析装置111が処理すべき検査項目毎の検体数または分析回数を算出し,検査項目毎に予め設定されている単位処理時間を掛け合わせ,これらの総和をとって得られる時間を分析所要時間とする方法がある。
【0101】
このように,ホスト計算機121が,各種分析装置111等における検査項目毎の分析すべき検体数を算出して,ある親検体用ラック102bを親搬送ライン103b上に投入した場合に,各種分析装置111における該親検体用ラックまたは分注生成される子検体用ラックの検査終了時間を予測でき,例えば,該親検体用ラックまたは子検体用ラックが所有する検体の種類,検査項目,或いは,該親検体用ラックに課せられている緊急度等に応じて,選択投入対象である親検体用ラック群から何れの親検体用ラックを投入すべきかを適格に判断することができるので,検査処理の高速化を図ることが可能となる。
【0102】
一方,子検体用スタートストッカー104aにおける子搬送ライン103aに投入する子検体用ラック102aの選択方法は,親検体用スタートストッカー104bにおける親検体用ラック102bの親搬送ライン103bへの投入状況に応じて行われる。例えば,先の分注機151の説明でも示したように,ホスト計算機121が,分注機のバッファ部152に親検体用ラック102bが取り込まれる際に,該親検体用ラック102bのラック識別コードに基づいて,ラック情報データベース124及び検体情報データベース123を参照して,該親検体用ラック102bに含まれている各親検体101bについて,必要な検査項目から適正分注量を計算し,必要な子検体101aを含む子検体用ラック102aを子検体用スタートストッカー104aから,順次,子搬送ライン102aに搬出する,という方法である。
【0103】
次に,接続ユニット112におけるバッファ部141のバッファ数の設定または再設定の方法について説明する。図8において,バッファ部141の最大バッファ数の設定は,ホスト計算機121により,当該検体搬送システムの運用・稼働状況等によって設定されるものである。またホスト計算機121は,各種分析装置の処理能力及び親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの投入状況等に応じて最大バッファ数を再設定する。これにより,親搬送ライン103bまたは搬送ライン103上に親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aが滞ることなく,スムーズな搬送制御が可能となる。また,この最大バッファ数を,ホスト計算機121内で設定されるパラメータとして取り扱い,コンソール105によってユーザが設定できるようにしても良い。
【0104】
また,バッファ部141の最大バッファ数の再設定は,接続ユニット112の処理状況に応じて,接続制御手段113が単独で行うようにすることも可能である。例えば,緊急処理や後述のマニュアル投入に対応して,任意に最大バッファ数を再設定することが可能であれば,不定期な特別の処理に柔軟に対応できると共に,当該検体搬送システムの他の部分に対して及ぼす影響を低減でき,検体搬送システムの全体的な処理能力を低下させることなく,不定期な特別の処理を行うことができる。
【0105】
尚,接続制御手段113単独による最大バッファ数の再設定は,ホスト計算機121の制御下で行うべきである。つまり,ホスト計算機121が許可する場合にのみ,接続制御手段113による再設定が行えるよう許容/禁止フラグ等を具備するのが望ましい。
【0106】
また,接続制御手段113が行う最大バッファ数の再設定の方法としては,バッファ部141が保持するラック群について,接続する各種分析装置111の分析所要時間を予測し,該分析所要時間に基づきバッファ数を設定する方法もある。
【0107】
尚,分析所要時間を予測する方法としては,バッファ部141が保持するラック群について,ラック識別コードに基づきラック情報データベース124を参照し,該ラックに含まれる親検体または子検体について検体情報データベース123を参照することにより,各種分析装置111が処理すべき検査項目毎の検体数または分析回数を算出し,検査項目毎に予め設定されている単位処理時間を掛け合わせ,これらの総和をとって得られる時間を分析所要時間とする方法がある。
【0108】
このような分析所要時間の予測に基づいて,例えば,各種分析装置111が過負荷状態にあると判断した場合には,接続制御手段113により,接続ユニット112のバッファ数141をより少ない数に再設定すれば,後に続く親検体用ラックまたは子検体用ラックは,同一の検査項目を分析する他の各種分析装置に回されて,各種分析装置111に親検体用ラックまたは子検体用ラックが滞ってボトルネックとなることを回避できる。
【0109】
また別の最大バッファ数の再設定の方法として,接続制御手段113がバッファ部141に保持されているラック群のラック識別コードをホスト計算機121にデータ通信手段161を介して報知し,ホスト計算機121により再設定することとしても良い。即ち,ホスト計算機121は,報知されたラック識別コードに基づいて各種分析装置111における分析所要時間を予測し,該分析所要時間に基づき接続ユニット112の最大バッファ数を再設定する。
【0110】
このように,各種分析装置毎に,接続制御手段113がバッファ部141に保持されるラック群のラック識別コードをホスト計算機121に報知すれば,ホスト計算機121は,各種分析装置の分析所要時間を予測して,各種分析装置毎に負荷状態を的確に把握することが可能となり,例えばある各種分析装置が過負荷状態にあると判断した場合には,該接続ユニットのバッファ数をより少ない数に再設定することにより,該各種分析装置が当該検体搬送システムの搬送経路におけるボトルネックとなることを回避できる。
【0111】
また,この予測した分析所要時間を,ラックの分配処理においても考慮することとすれば,検体搬送システム全体の検査処理の高速化を図ることが可能となる。尚,本実施例の検体搬送システムの基調は,分散処理システムにあることから,親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの搬送制御については,可能な限り接続ユニット112等の接続制御手段113に分担させ,システム全体の統括的な制御のみをホスト計算機121が司るように構成するのが望ましい。
【0112】
次に,接続ユニット112において,接続制御手段113によって,親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの移動,蓄積及び供給等の制御がどのようにして行われるかについて説明する。尚,以下では,親検体101bまたは子検体101aを検体101といい,親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aをラック102といい,親搬送ライン103bまたは搬送ライン103を搬送ライン103というものとする。
【0113】
先ず,バーコードリーダー132が位置132’に移動することによって搬送ライン103上のラック102を一旦停止させ,該ラック102のラック識別コードを読み取る。当該接続ユニット112が接続する各種分析装置111が,他の各種分析装置とグループ(群)を形成している場合には,該ラック102をバッファ部141に取り込むか否かの判断は,後述するホスト計算機121の分配処理に委ねられ,グループを形成していない場合には,接続制御手段113が該ラック102をバッファ部141に取り込むか否かを判断する。
【0114】
接続制御手段113が行うラック102の取込み判断は,先ず,該ラック102のラック識別コードをキーとしてラック情報データベース124及び検体情報データベース123にアクセスし,ラック102中に各種分析装置111によって検査すべき検体が含まれているか否かを判断し,次に,バッファ部141がホスト計算機121または接続制御手段113により設定または再設定された最大バッファ数に達しているか否かを判断することによって行われる。
【0115】
つまり,検査すべき検体が含まれ且つ最大バッファ数に達していないときに,バッファ部141にラック102が取り込まれることになる。また,そうでないときには,バーコードリーダーを位置132’から元の位置132に移動することにより,ラック102はそのまま搬送ライン103上を移動することとなる。
【0116】
これにより,各種分析装置111について検査を要しないラックについては,搬送ライン103上をそのまま素通りさせて,「測定不要ラックのバイパス機能」を実現でき,無駄な迂回によって該ラックの処理時間を長引かせることなく,また,各種分析装置に不要な負荷を課することなく搬送制御することができ,更に,同一検査項目についての複数台接続による負荷配分並行運転が可能となると同時に,相互にバックアップ運転が可能となり,検体搬送システム全体の処理効率を向上させることができる。
【0117】
また,接続制御手段113が行う供給すべきか否かの判断を,各種分析装置111が検査すべき検体の有無によって行うのでなく,装置に固有のラック内検体数によって行うようにしても良い。つまり,接続制御手段113は,各種分析装置111が行う分析項目について分析することとなっている該ラック内の検体数を算出し,該各種分析装置111に固有の所定数以上であれば供給せず,また所定数未満であれば供給することとして,他の各種分析装置に委ねるようにするものである。これにより,例えば各種分析装置113の処理能力に応じた前記固有数を設定することとすれば,検体搬送システム全体として適切な負荷分配が可能となり,処理効率を向上させることができる。
【0118】
次に,こうしてバッファ部141に順次ラックが蓄積されていくと同時に,バッファ部141では,取り込まれた順に,即ちFIFO順に,第1フィーダ部142に対してラック102を押し出すことによって,ラック102を供給する。
【0119】
第1フィーダ部142では,ラック102を各種分析装置111の分析動作に同期して順次移動させる。この時,接続制御手段111は,第1フィーダ部142上にあるラック102のラック識別コードに基づき,ラック情報データベース124及び検体情報データベース123を参照して,各種分析装置111の分析対象のラック102内の各検体について分析が必要か否かを判断し,分析不要の検体については所定の分析位置に停止しないようにラック102の移動制御を行う。これにより,測定不要な検体について飛ばす,「測定不要検体のジャンプ機能」を実現でき,当該各種分析装置における分析処理を高速化できる。
【0120】
またバッファ部141は,第1フィーダ部142上にラック1個分のスペースが生じると,すぐに第1フィーダ部142に対してラック102を押し出し,また,ラック102内の検体の相互間隔と,ラックの終端に位置する検体とそれに続くラックの先端に位置する検体の相互間隔が等しくなるようラック102を形成しているので,ラックが数珠繋ぎ式に第1フィーダ部142に供給される限り,間断無く各種分析装置111は処理を行うことができ,処理効率を向上させることができる。
【0121】
更に,各種分析装置111による分析の終了したラック102は,第2フィーダ部143によって,搬送ライン103上に押し戻され,次の各種分析装置またはターミナルストッカー116へと移動する。
【0122】
また,図8に示す具体例の構成図では,接続ユニット112において,バッファ部141と第2フィーダ部143とを隔てる壁部に,マニュアル投入部を設け,該マニュアル投入部の範囲も各種分析装置111のサンプリングポイントとし得る構造となっている。つまり,該マニュアル投入部に人手によってラックまたは検体を載置し,システムの搬送制御による検体測定とは独立または並行して,マニュアルによる割り込み測定を可能としている。
【0123】
搬送ライン検体測定と独立してマニュアル割り込み測定を行う場合には,切換スイッチ等によって,第1フィーダ部142上のラックについて分析を行う第1モードとは独立して,マニュアル投入部上のラックについて分析を行う第2モードに各種分析装置の動作を遷移させ,システムの搬送制御による検体測定とは独立した分析を行うこととなる。
【0124】
このように,通常動作を行う第1モードとは独立して,ラックまたは検体単位でマニュアル投入し得る第2モードを具備することにより,上述のような不測の事態に的確に対処することが可能となる。また,STAT(マニュアル操作による緊急割込測定),再検処理(検体搬送システム内で測定が終了した検体についての再度の測定),コントロール測定(患者検体ではなく,分析装置の精度管理のために行われる概値検体測定),オフライン測定(システム管理外のコンピュータに登録されていない検体の測定)等においても有効であり,より柔軟な検体搬送システムの実現が可能となる。
【0125】
尚,各種分析装置が第2モードの間は,統括制御手段は,該各種分析装置を稼働休止状態にあるとみなして,同等の検査項目について分析し得る他の各種分析装置に該分析を委ね,接続制御手段により,ラックのバッファ部への取り込みを禁止して,ラックをバイパスさせるように制御して,第1モードに復帰後,該各種分析装置を元の状態から再開させるようにすることも可能である。
【0126】
また図9は,第2具体例に係る接続ユニット112の構成図であり,バーコードリーダー132b,ターンテーブル915,バッファ部141b,第1フィーダ部142b,第2フィーダ部143b及び接続制御手段113bを備えて構成されている。
【0127】
第2具体例の接続ユニット112bの特徴的な処はバッファ部141bの形状である。即ち,先に取り込まれたラックの検体並び方向に垂直の側面と,次に取り込まれたラックの検体並び方向に垂直の側面が接するように,ラックを保持する構成であり,移動制御が最も簡単とされるFIFO形式のバッファである。
【0128】
先に説明した第1具体例の接続ユニット112と第2具体例の接続ユニット112bの使い分けは,当該検体搬送システムが具備すべき各種分析装置の構造やシステムレイアウトによる制約等に従って行われ,両者を組み合わせることにより,より柔軟なシステム設計が可能となる。
【0129】
第2具体例の接続ユニット112bにおける,バッファ部141bの最大バッファ数の設定及び再設定の方法,測定不要ラックのバイパス機能,測定不要検体のジャンプ機能,ラック単位のエマージェンシイモード等は,第1具体例の接続ユニット112と同様である。
【0130】
第2具体例の接続ユニット112bでは,先ずバーコードリーダー132bの位置132b’への移動によってラック102のラック識別コードを読み取り,次にターンテーブル915を介してラック102の取込みまたは搬送ライン103上の移動が行われる。第1具体例の接続ユニット112と同様の取込み判断により,取り込む場合にはターンテーブル915を90[度]回転させて接続ユニット112bのバッファ部141bの方向に移動方向を転換する。また,取り込まない場合には,ターンテーブル915をそのままとして搬送ライン103上を移動させる。
【0131】
尚,第2具体例の接続ユニット112bにおいても,バッファ部141bと第1フィーダ部142bとを隔てる壁部に厚みを持たせて,第1具体例と同様に,マニュアル投入部を設け,通常動作を行う第1モードとは独立して,ラックまたは検体単位でマニュアル投入し得る第2モードを具備することも可能である。
【0132】
また,本実施例の更なる変形例として,分注機におけるバッファ部152の構成を,第2具体例に係る接続ユニット(図9参照)のバッファ部141bに準じた構造で形成してもよい。
【0133】
つまり,図6で示したバッファ部152は,先に取り込まれた親検体用ラック102bの親検体101bの並び方向の側面と,次に取り込まれた親検体用ラック102bの親検体101bの並び方向の側面が接するように,親検体用ラック102bを保持する構造であったが,変形例のバッファ部は,先に取り込まれた親検体用ラック102bの親検体101bの並び方向に垂直の側面と,次に取り込まれた親検体用ラック102bの親検体101bの並び方向に垂直の側面が接するように,親検体用ラック102bを保持する構造である。
【0134】
〔実施例の検体搬送システムによる効果〕
以上,本実施例の検体搬送システムについて,構成要素等の特徴的説明に付随してそれぞれの効果を述べたが,検体搬送システム全体としても以下のような効果を奏する。つまり,検体搬送システム全体の大まかな親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの搬送制御をホスト計算機121によって行い,一方,各種分析装置111等が親搬送ライン103bまたは搬送ライン103に接続される地点では,より細かい親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの搬送制御を接続制御手段113等によって行うこととしているので,ホスト計算機121にかかる処理の負担が軽減され,例えば,新たに各種分析装置を追加したり,或いは,各種分析装置を変更する等の場合には,該各種分析装置に接続ユニットを付加または変更して搬送ライン103等と接続すればよく,また,ホスト計算機121においては,データベース等のシステム仕様を具現している部分の追加または変更等で対処でき,システム構築における柔軟性を高めた検体搬送システムを実現することが可能となる。
【0135】
また,細かい親検体用ラック102bまたは子検体用ラック102aの搬送制御を接続ユニット112等の接続制御手段113等によって局所的に行うので,緊急処理等の不定期な特別処理に対してもホスト計算機121に負担をかけることなく,接続制御手段113等により個別に,柔軟に,また的確に処理でき,検体搬送システム全体として矛盾を生じることもないので,結果として,高速な処理を実現でき,また,人手を煩わせることなく高度に省力化・合理化を図ることができる。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明の請求項1に係る検体搬送システムによれば,ラック方式を採用し,統括制御手段は,当該検体搬送システムに供給される検体及び子検体或いはラックまたは子検体用ラックの検査項目等の依頼データ及び分析結果データを統括すると共に,ラックまたは子検体用ラックの搬送制御を行い,またスタートストッカーにおいて,第1コード読み取り手段は,スタートストッカーに保持されているラックの内,第1選択投入対象ラック群について,検体識別コード及びラック識別コードを順次読み取って統括制御手段に報知し,統括制御手段は,選択投入対象ラック群の依頼データ及び各種分析装置の負荷情報に基づいて,選択投入対象ラック群からラックを選択して,順次,第1搬送ラインに投入し,更に子検体用スタートストッカーにおいて,第2コード読み取り手段は,子検体用スタートストッカーに保持されている子検体用ラックの内,第2選択投入対象ラック群について,検体識別コード及びラック識別コードを順次読み取って統括制御手段に報知し,統括制御手段は,第1選択投入対象ラック群の投入状況に応じて,第2選択投入対象ラック群から子検体用ラックを選択して,順次,第2搬送ラインに投入することとしたので,偏った依頼情報を持つ検体または子検体或いはラックまたは子検体用ラックが一時期に集中した場合でも,依頼データ及び各種分析装置の負荷情報に基づいて第1搬送ラインに投入すべきラックを選択し,第1搬送ラインのラックの投入状況に応じて第2搬送ラインに投入すべき子検体用ラックを選択するので,第1搬送ライン,第2搬送ライン及び第3搬送ライン上で渋滞を引き起こすことなく,結果として,検体処理の高速化を図り得る検体搬送システムを提供することができる。
【0137】
また分注機において,分注制御手段により,分注機本体が,第1移動ライン上に選択的に取り込まれたラックに含まれる所定の検体を,第2移動ライン上の子検体用ラックの子検体に分注するように制御し,ライン選択手段により,第1搬送ラインから搬出されるラック,第1移動ラインから搬出される分注処理後のラック,或いは第2移動ラインから搬出される分注処理された子検体用ラックを,第3搬送ラインの内の何れか1本に搬入することとし,スタートストッカーまたは子検体用スタートストッカーにおける第1搬送ラインまたは第2搬送ラインへのラックまたは子検体用ラックの選択投入,分注機における分注処理及び第3搬送ラインへのライン選択,更には,各種分析装置における所定の分析処理のそれぞれが,局所的,機能分散的に処理されて,柔軟性の高い検体搬送システムを実現でき,また,血液,尿等の多種多様な検体を,分散して設置されている各種分析装置に搬送して自動的に多項目分析できると共に,高速なオンライン分注を可能とし,高度に省力化・合理化を図り得る検体搬送システムを提供することができる。
【0138】
また,請求項2に係る検体搬送システムによれば,第1搬送ラインまたは第3搬送ラインと各種分析装置との接続手段として接続ユニットを具備して,第1搬送ラインまたは第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックを選択的に取り込み,接続する各種分析装置に供給し,また,接続ユニットには,第1搬送ラインまたは第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックの選択的取込み,並びに接続する各種分析装置へのラックまたは子検体用ラックの供給を制御する接続制御手段を具備して,該接続制御手段を,接続する各種分析装置と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続し,また,統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続し,更に,各種分析装置を,統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続する構成として,分析処理についての分散処理システム並びに搬送制御についての分散処理システムをも実現し,検体搬送システム全体の大まかなラックまたは子検体用ラックの搬送制御を統括制御手段によって行い,一方,各種分析装置が第1搬送ラインまたは第3搬送ラインに接続される地点では,より細かいラックまたは子検体用ラックの搬送制御を接続制御手段によって行うこととしているので,統括制御手段にかかる処理の負担が軽減され,例えば,新たに各種分析装置を追加したり,或いは,各種分析装置を変更する等の場合には,該各種分析装置に接続ユニットを付加または変更して第1搬送ラインまたは第3搬送ラインと接続すればよく,また,統括制御手段においては,データベース等のシステム仕様を具現している部分の追加または変更等で対処でき,システム構築における柔軟性を高めた検体搬送システムを提供することができる。
【0139】
また,細かいラックまたは子検体用ラックの搬送制御を接続ユニットの接続制御手段によって局所的に行うので,緊急処理等の不定期な特別処理に対しても総括制御手段に負担をかけることなく,接続制御手段により個別に,柔軟に,また的確に処理でき,検体搬送システム全体として矛盾を生じることもないので,結果として,高速な処理を実現でき,また,人手を煩わせることなく高度に省力化・合理化を図ることができる。
【0140】
また,請求項3に係る検体搬送システムによれば,分注制御手段を,分注機本体と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続し,また,統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続し,更に,分注機本体を,統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続する構成としたので,個々の検体に固有の検査項目等に応じて行う分注処理について機能的分散処理を行うと同時に,分注処理に関わる搬送制御についても分散処理システムを実現した検体搬送システムを提供することができる。
【0141】
また,請求項4に係る検体搬送システムによれば,統括制御手段にラック情報データベース及び検体情報データベースとを備えた構成としたので,当該検体搬送システムが保有するラックまたは子検体用ラック及び検体または子検体に関する情報について,一元的な管理が可能となり,分析結果情報データベース等の当該検体搬送システムの他のデータベースとのネットワーク等による連携によって,システムの拡張性を保証し,搬送制御の柔軟性を高めた検体搬送システムを提供することができる。
【0142】
また,請求項5に係る検体搬送システムによれば,第3コード読み取り手段は,第1搬送ラインから供給されるラックのラック識別コードを読み取る際に,当該第3コード読み取り手段の移動によって,第1搬送ライン上のラックを一旦停止させ,分注制御手段は,ラックの読み取ったラック識別コードに基づき,例えばラック識別情報データベースを参照して,第1移動ラインに該ラックを供給すべきか否かを判断し,供給すべき場合には該ラックをバッファ部の最後部に取り込み,供給すべきでない場合には第3コード読み取り手段の元の位置への移動によって,該ラックを第1搬送ライン上に戻すこととし,分注処理の不要なラックについて,分注機に取り込むことなく第1搬送ライン上をそのまま素通りさせて,分注不要ラックのバイパス機能を実現でき,無駄な迂回によって該ラックの処理時間を長引かせることなく,システム全体の処理効率を向上させ得る検体搬送システムを提供することができる。
【0143】
また,請求項6に係る検体搬送システムによれば,第1移動ラインにおいて,バッファ部から供給されるラックを第1フィーダ部上に移動した後分注機本体の分注動作に同期して移動させる際に,分注制御手段は,第1フィーダ部上にあるラックのラック識別コード及び該ラックに含まれる検体の検体識別コードに基づき,分注機本体の分注対象であるラック内の各検体について,分注が必要か否かを判断し,分注不要の検体については所定の分注位置に停止しないようにラックの移動制御を行うこととしたので,分注処理の不要な検体について処理を飛ばす,いわゆる分注不要検体のジャンプ機能を実現でき,分注機における分注処理を高速化し得る検体搬送システムを提供することができる。
【0144】
更に,請求項7に係る検体搬送システムによれば,開栓機により,第1搬送ライン上のラックに含まれる検体の蓋を,該検体の検体識別コードに基づき容器種別を判断して,自動的に開栓することとしたので全自動の開栓機を備える検体搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る検体搬送システムの全体構成図である。
【図2】図2(a)は検体の外観図であり,図2(b)はラックの斜視図である。
【図3】図3(a)は検体情報データベースの構成説明図であり,図3(b)はラック情報データベースの構成説明図である。
【図4】実施例で使用するスタートストッカーの構成図である。
【図5】実施例で使用する検体を搭載したラックの側面図である。
【図6】実施例で使用する分注機の構成図である。
【図7】実施例で使用するターミナルストッカーの構成図である。
【図8】第1具体例に係る接続ユニットの構成図である。
【図9】第2具体例に係る接続ユニットの構成図である。
【符号の説明】
101 検体
101a 子検体
101b 親検体
102 ラック
102a 子検体用ラック
102b 親検体用ラック
103 搬送ライン
103a 子搬送ライン
103b 親搬送ライン
104a 子検体用スタートストッカー
104b 親検体用スタートストッカー
105 コンソール(入力手段)
111 各種分析装置
112,112b 接続ユニット
113,113b 接続制御手段
114,915 ターンテーブル
116a,116b ターミナルストッカー
121 ホスト計算機(統括制御手段)
122 CPU
123 検体情報データベース
124 ラック情報データベース
130a〜133b バーコードリーダー(コード読み取り手段)
141,141b バッファ部
142,142b 第1フィーダ部
143,143b 第2フィーダ部
150 開栓機
151 分注機本体
152〜154 第1移動ライン
106a 第2移動ライン
152 バッファ部
153 第1フィーダ部
154 第2フィーダ部
155 ラインチェンジャー(ライン選択手段)
161 データ通信手段
162,162b 信号伝達手段
201 試験管
202 検体ラベル
203 ラベル属性
204 バーコード
210 SYSMEXラック
211 ラックラベル
104b−1〜104b−4 ストッカー
501−1〜501−10 検体
502 蓋
601 オフライン用分注子検体テーブル
602 ディスポチップ設定エリア
603 分注ヘッド移動エリア
611 ラック移動載置具
734 バーコードリーダー

Claims (7)

  1. 読み取り可能な検体識別コードの付された検体と,
    所定数の前記検体をひとまとめにして含み,読み取り可能なラック識別コードの付されたラックと,
    前記ラックを所定方向に搬送する第1搬送ラインと,
    前記検体識別コード及び前記ラック識別コードを読み取る第1コード読み取り手段を備え,前記第1搬送ラインに投入すべき前記ラックを複数個保持するスタートストッカーと,
    読み取り可能な検体識別コードが付され,前記検体を少量に分注して持つ子検体と,
    所定数の前記子検体をひとまとめにして含み,読み取り可能なラック識別コードの付された子検体用ラックと,
    前記子検体用ラックを所定方向に搬送する第2搬送ラインと,
    前記ラック識別コードを読み取る第2コード読み取り手段を備え,前記第2搬送ラインに投入すべき前記子検体用ラックを複数個保持する子検体用スタートストッカーと,
    前記ラックまたは前記子検体用ラックを所定方向に搬送する少なくとも1本以上の第3搬送ラインと,
    前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ラインに接続され,前記検体識別コードに対応して与えられる検査項目の内,所定項目について分析を行う各種分析装置と,
    前記第1搬送ラインと接続する第1移動ラインと,前記第2搬送ラインと接続する第2移動ラインと,前記第1移動ライン上の前記ラックに含まれる所定の検体を,前記第2移動ライン上の前記子検体用ラックの子検体に分注するよう制御する分注制御手段と,前記第1移動ラインまたは前記第1搬送ラインから搬出されるラック,或いは前記第2移動ラインから搬出される子検体用ラックを,何れか1本の第3搬送ラインに搬入するライン選択手段と,を備える分注機と,
    当該検体搬送システムに供給される前記検体及び前記子検体及びまたは前記ラック及び子検体用ラックの検査項目等の依頼データ及び分析結果データを統括し,前記ラック及び子検体用ラックの搬送制御を行う統括制御手段と,を有し,
    前記第1コード読み取り手段は,前記スタートストッカーに保持されているラックの内,所定数のラック(以下,第1選択投入対象ラック群という)について,前記検体識別コード及び前記ラック識別コードを順次読み取って前記統括制御手段に報知し,
    前記第2コード読み取り手段は,前記子検体用スタートストッカーに保持されている子検体用ラックの内,所定数の子検体用ラック(以下,第2選択投入対象ラック群という)について,前記ラック識別コードを順次読み取って前記統括制御手段に報知し,
    前記統括制御手段は,前記第1選択投入対象ラック群の依頼データ並びに前記各種分析装置の負荷情報に基づいて,前記第1選択投入対象ラック群から前記第1搬送ラインに投入するラックを選択し,前記第1選択投入対象ラック群の投入状況に応じて,前記第2選択投入対象ラック群から前記第2搬送ラインに投入するラックを選択することを特徴とする検体搬送システム。
  2. 前記検体搬送システムは,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ラインと前記各種分析装置とを接続する接続手段であって,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックを選択的に取り込み,接続する各種分析装置に供給する接続ユニットを有し,
    前記接続ユニットは,前記第1搬送ラインまたは前記第3搬送ライン上のラックまたは子検体用ラックの選択的取込み,並びに接続する各種分析装置へのラックまたは子検体用ラックの供給を制御する接続制御手段を有し,
    前記接続制御手段は,接続する各種分析装置と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続され,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続され,
    前記各種分析装置は,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続されることを特徴とする請求項1記載の検体搬送システム。
  3. 前記分注制御手段は,分注機本体と相互に信号の授受を行う信号伝達手段を介して接続され,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続され,
    前記分注機本体は,前記統括制御手段と相互にデータの授受を行うデータ通信手段を介して接続されることを特徴とする請求項1または2記載の検体搬送システム。
  4. 前記統括制御手段は,
    前記ラック識別コードをキーとし,少なくとも該ラックまたは子検体用ラックが含む検体の検体識別コード及び該検体のラック内位置情報を保持するラック情報データベースと,前記検体識別コードをキーとし,少なくとも該検体または子検体について行うべき検査項目の情報を保持する検体情報データベースと,を有することを特徴とする請求項1,2または3記載の検体搬送システム。
  5. 前記分注機は,前記第1搬送ラインから供給されるラックのラック識別コードを読み取る第3コード読み取り手段を有し,
    前記第1移動ラインは,所定数までラックを保持するバッファ部を有し,
    前記第3コード読み取り手段は,前記ラックのラック識別コードを読み取る際に,当該第3コード読み取り手段の移動によって,前記第1搬送ライン上のラックを一旦停止させ,
    前記分注制御手段は,前記ラックの読み取ったラック識別コードに基づき前記第1移動ラインに該ラックを供給すべきか否かを判断し,供給すべき場合には該ラックを前記バッファ部の最後部に取り込み,供給すべきでない場合には前記第3コード読み取り手段の元の位置への移動によって,該ラックを前記第1搬送ライン上に戻すことを特徴とする請求項1,2,3,または4記載の検体搬送システム。
  6. 前記第1移動ラインは,
    所定数までラックを保持するバッファ部と,前記バッファ部から供給されるラックを,前記分注機本体の分注動作に同期して移動させる第1フィーダ部と,前記分注機本体による分注の終了したラックを前記第1搬送ライン上に戻す第2フィーダ部と,を有し,
    前記分注制御手段は,前記分注機本体の分注対象のラック内の各検体について,該ラックのラック識別コード及び該検体の検体識別コードに基づいて分注が必要か否かを判断し,分注不要の検体については所定の分注位置に停止しないように前記ラックの移動制御を行うことを特徴とする請求項1,2,3,4,または5記載の検体搬送システム。
  7. 前記検体搬送システムは,
    前記第1搬送ライン上のラックに含まれる検体の蓋を,該検体の検体識別コードに基づき容器種別を判断して,自動的に開栓する開栓機を有することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,または6記載の検体搬送システム。
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