以下、図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。なお、後述する装置構成や処理動作の内容は発明を説明するための一例であり、本発明は、後述する装置構成や処理動作に既知の技術を組み合わせた発明や後述する装置構成や処理動作の一部を既知の技術と置換した発明も包含する。
以下の実施例においては、血液、尿その他の検体を処理する検体処理システムの搬送計画を動的に計画する装置について説明する。なお、この種の検体処理システムを構成する装置には、検体容器の蓋の開栓、遠心分離その他の検体に対する前処理を実行する前処理装置、生化学装置、免疫装置、電解質その他の検体成分を分析する分析装置が含まれる。
(実施例1)
図1に、動的搬送計画装置を有する検体処理システムの全体構成例を示す。動的搬送計画装置131は、メモリ、ハードディスク、CPU等で構成されるコンピュータを基本構成とし、周辺装置として入力装置101と表示装置102が接続される。入力装置101には、例えばマウス、キーボード、タッチパッドその他の入力デバイスが用いられる。表示装置102には、例えばディスプレイ等が用いられる。
実施例1に係る動的搬送計画装置131は、搬送計画規則設定手段111、搬送計画生成手段112、検体処理時刻予測手段113、搬送計画決定手段114を備える。搬送計画規則設定手段111は、表示装置102に搬送計画規則DB(データベース)126の内容を表示し、オペレータが入力装置101を用いて設定した値を搬送計画規則DB126に格納する。搬送計画生成手段112、検体処理時刻予測手段113、搬送計画決定手段114は検体情報DB121、装置情報DB122、検査項目情報DB123、消耗品情報DB124、統計情報DB125、搬送計画規則DB126から必要な情報を読み出して検体の搬送計画を決定する。各手段と各DBの詳細な内容は後述する。これらの手段(処理プログラム)やDBは、メモリやハードディスクに格納され、必要に応じてCPUに読み出されて実行される。
動的搬送計画装置131は、LAN等のネットワーク132により検査装置群141や検査装置群142と接続される。検査装置群142は、複数の検査装置群141を搬送装置で接続した装置システムである。検査装置群141は、複数の検査装置と搬送装置で構成される。第一の実施例では、検査装置群141を1台接続した動的搬送計画装置について説明する。
図1の場合、検査装置群141は、検体の生化学項目を分析する2台の生化学分析装置、免疫項目を分析する1台の免疫分析装置、電解質項目を分析する1台のISE分析装置、検査装置間を接続し検体を搬送する4台の搬送装置で構成される。なお以下では、生化学分析装置を生化装置、免疫分析装置を免疫装置、ISE分析装置をISE装置と記述する。
図2に、検査装置群141を構成する装置同士の接続例を示す。検体は検体投入部200から投入され、搬送装置201によって各々の分析装置に搬送される。分析装置は第一の生化装置221、第二の生化装置222、免疫装置223、ISE装置224からなり、生化装置と免疫装置にはそれぞれランダムアクセスバッファ(以下、「バッファ」という。)を備えた搬送装置211、搬送装置212、搬送装置213が接続される。バッファは検査装置から溢れた検体を一時的に保持できる領域であり、任意の検体を取り出すことができる。検体は分析が必要な分析装置に搬送され、分析装置内に小分け(分注)される。必要な分析装置への搬送が全て完了すると、検体は検体収納部200に格納される。以下では、検査装置群141(図1)を構成する搬送装置0、搬送装置1、搬送装置2、搬送装置3、生化装置1、生化装置2、免疫装置1、ISE装置1がそれぞれ、図2の搬送装置201、搬送装置211、搬送装置212、搬送装置213、生化装置221、生化装置222、免疫装置223、ISE装置224を表すものとする。
図3及び図4に、搬送計画を決定するために使用されるDBのデータ構造例を示す。検体情報DB121のデータ構成例を図3の図表300に示す。検体ID301は検体のバーコード情報であり、搬入報告の受信時に検体の実体と検体情報DB121の情報が結び付けられる。検体種別302は検体の投入位置により一般検体と緊急検体のいずれであるかが識別される。緊急検体とは一般検体よりも優先的に処理するべき検体であり、例えばバッファから検査装置への搬送が優先的に行われる。依頼項目304はオペレータが検体毎に分析が必要な検査項目を設定したものである。ここで設定された依頼項目304を全て分析できるように搬送計画305が決定される。搬送計画305は項目割当306と搬送順序307から成り、項目割当306は依頼項目304とそれを分析する検査装置の組を表し、搬送順序307は依頼項目304を分析するために立ち寄る検査装置の搬送順序を表す。なお、搬送計画305が空欄であればその検体は未投入(搬送計画が未決定)であることを表す。図3では、生化装置、免疫装置、ISE装置を単に生化、免疫、ISEと記述している。以下の図でも同様の表記を採用する。
装置情報DB122のデータ構成例を図3の図表310に示す。検査装置311は検査装置の名称である。単位処理時間312は、検体を検査装置内に分注する際の所要時間である。搬送順序制約313は、検体の搬送計画を決める際に遵守するべき搬送順序である。例えば検体キャリーオーバを防止するためには、異なる検体を同じ分注ノズルで分注する生化装置よりも、検体毎に異なる分注チップを用いる免疫装置へ先に搬送すべきである。従って、免疫装置の搬送順序制約を「1」とし、それ以外の検査装置(生化装置とISE装置)の搬送順序制約を「2」と設定する。これは、搬送順序制約の番号が小さい順に検査装置の搬送順序307が決定され、番号が同一であればどの検査装置を先に搬送しても良いことを表している。
検査項目情報DB123のデータ構成例を図3の図表320に示す。検査項目321は検査項目の名称である。分析時間322は、検体が分析装置に分注されてからその成分の分析が完了するまでに要する時間であり、検査項目毎に固定の値である。
消耗品情報DB124のデータ構成例を図4の図表330に示す。検査装置331は検査装置の名称である。消耗品残量332は、各々の検査装置から消耗品残量の状況を収集したものであり、各検査装置の検査項目毎に分析可能な残回数が示されている。ある検査装置が検体の依頼項目を1回分析すると、対応する項目の消耗品残量が1減少する。なお、図中の「−」は残量がゼロであることを示す。
統計情報DB125のデータ構成例を図4の図表340に示す。搬送元341と搬送先342は、搬送計画305を実行する際に搬送元となる検査装置と搬送先となる検査装置の名称である。搬送元341から搬送先342への搬送時に経由する搬送装置は搬送経路343で定義される。例えば投入部200からISE装置224への搬送経路上には搬送装置201(搬送装置0)と搬送装置211(搬送装置1)があり、各搬送装置における搬送所要時間はそれぞれ3.1秒と3.2秒であることを示している。一般的に、検体毎の搬送所要時間に大きなばらつきが存在することはほとんどないため、実機を用いて各検査装置間の所要時間を測定し、その平均値を計算することで統計情報DB125を作成することができる。
搬送計画規則DB126のデータ構成例を図4の図表350に示す。搬送計画規則は日付条件351、時間条件352、搬送計画の評価基準353から成る。日付条件351と時間条件352は、現在の日時に最も適した搬送計画の評価基準353を選択するための条件である。なお、日付条件351は特定の日付だけでなく、月単位、曜日単位によっても与えることができる。時間条件352は開始時刻と終了時刻で与えられる。搬送計画の評価基準353は、搬送計画の良さを表す3つの指標値の優先順位である。3つの指標値とは、検査装置の処理性能TP、検体の処理時間TAT、消耗品残量である。図表350の1行目に示す評価基準は、月曜日の8時から10時の間に適用され、搬送計画の決定時に検査装置の処理性能TPを最も優先し、次に検体の処理時間TATを優先し、最後に消耗品残量を優先する規則を表している。
図5に、搬送計画規則DB126の設定を可能とする搬送計画規則設定手段111の操作画面例を示す。図5に示す搬送計画規則の操作画面には、日付条件361、時間条件362、搬送計画の評価基準363がプルダウンリスト形式で表示され、入力装置101を用いてリストの項目を選択することで搬送計画規則を設定することができる。また、アップボタン371を選択すると現在選択されている行が1行上に繰り上がり、ダウンボタン372を選択すると1行下に繰り下がる。搬送計画規則の内容を変更後、OKボタン381を押下すると変更内容が搬送計画規則DB126に保存され、キャンセルボタン382を押下すると変更内容が破棄される。以上説明したように、オペレータは日付条件361と時間条件362に対応する形で搬送計画の評価基準363を自由に変更できるため、病院や施設毎のワークフローに応じて最適な搬送計画規則を設定することができる。
図6に、搬送計画305に基づいた検体の搬送を説明する制御シーケンスの実行例を示す。検体が検体投入部200へ投入されると、検体容器に付与されたバーコードが読み取られ、その情報が搬入報告401として動的搬送計画装置131に通知される。この報告を受け取ると、動的搬送計画装置131は後述する方法により投入された検体の搬送計画305を決定し、検体情報DB121に格納する。例えば、搬送計画の結果、搬送順序307が「生化装置1→ISE装置1」となった場合、まず検査装置群141に生化装置1への搬送要求402を送信する。すると、投入部200から生化装置1への経路上にある搬送装置201と搬送装置211の機構が動作し、検体が生化装置1へ搬送される。生化装置1では検体を分注する処理が行われ、分注の完了と同時に必要な分析が開始される。生化装置1での分注が完了すると、動的搬送計画装置131は処理完了報告403を受け取り、次にISE装置1への搬送要求404を送信する。生化装置1からISE装置1への経路上にある搬送装置211が動作し、検体がISE装置1へ搬送されて必要な処理が行われる。最後に、処理完了報告405により動的搬送計画装置131は検体の搬送計画305が完了したことを認識し、検体収納部200への搬送要求406を送信する。以上の制御シーケンスにより、検体の搬送計画を実行する処理が完了する。
図7に、動的搬送計画装置131が搬送計画305を決定する際に使用する処理手順を示すフローチャートを示す。まず、動的搬送計画装置131が搬入報告401を受信すると、搬送計画生成手段112を実行することで投入検体に対して実行可能な搬送計画を複数生成する(ステップ501)。次に、ステップ501で生成された各々の搬送計画について検体処理時刻予測手段113を実行することで、検体が処理される検査装置とその時刻を予測する(ステップ502)。最後に、搬送計画決定手段114を実行することで、各々の搬送計画の予測結果から搬送計画の良さを評価するための評価値が計算されるとともに、搬送計画規則DB126から搬送計画の評価基準353を読み出して最良の搬送計画を決定する(ステップ503)。
以下では、ステップ501−503を実現する搬送計画生成手段112、検体処理時刻予測手段113、搬送計画決定手段114で実行される詳細なフローチャートとその動作例について説明する。以下の説明では、図表300に示す検体のうち検体1から検体4までが既に投入されており(搬送計画が決定済みであり)、新たに検体5が投入された際にその搬送計画を決定する状況を想定している。
図8に搬送計画生成手段112で実行される処理手順を示し、図9に処理動作の内容を示す。まず、検体の依頼項目304と消耗品残量332の情報に基づいて依頼項目を処理可能な検査装置を抽出し(ステップ601)、依頼項目の割当が可能な検査装置の組合せに基づいて項目割当候補を生成する(ステップ602)。
図3の場合、検体5の依頼項目304は、ALB,AST,ALT,Na,K,Clである。ここで、依頼された検査に必要な消耗品の残量があるか否かを消耗品残量332に基づいて判定される。この例の場合、消耗品の観点から、ALBは生化装置1、AST,ALTは生化装置1又は生化装置2、Na,K,ClはISE装置1で検査可能であると判定される。なお、ここでの消耗品残量332は、検体1から検体4の依頼項目分を消耗品残量から差し引いた値を用いる。ASTとALTは生化装置1と生化装置2のいずれで分析しても良いが、例えば両項目を生化装置1で分析する組合せは項目割当候補701のA1となる。同様にASTとALTを分析する検査装置の組合せを列挙すると、項目割当候補701のA1からA4を生成できる。すなわち、この例の場合、ASTとALTを分析する検査装置の組合せは4通りである。
次に、項目割当候補701の各々について搬送順序制約313を満たすような搬送順序候補を生成する(ステップ603)。例えば項目割当候補701のA1については、生化装置1とISE装置1に搬送する必要がある。このため、A1の搬送順序候補として、「生化装置1→ISE装置1」と「ISE装置1→生化装置1」を生成できる。同様の処理をA2からA4について行うと、各々の項目割当候補について搬送順序候補711に示すT1からT6の搬送順序候補を生成できる。なお、検体5は免疫項目の依頼がないため、搬送順序制約313による制約は受けていない。
最後に、項目割当候補(A1からA4)と搬送順序候補(T1からT6)の組合せを列挙して搬送計画を生成する(ステップ604)。すなわち、搬送計画候補721に示すようにS1からS16までの合計16個の搬送計画の候補が生成される。以上のステップにより、投入された検体に対して実行可能な搬送計画を複数生成することができる。
図10に、個々の搬送計画について検体の処理時刻を予測する検体処理時刻予測手段113で実行される処理手順をし、図11及び図12に処理動作の内容を示す。図11と図12は、搬送計画候補721(図9)の搬送計画S1について検体処理時刻を予測する際の動作例を示している。また、図11における搬送計画チャート901は、既に搬送計画が確定済みである検体1から検体4までの搬送計画305を時間軸上にプロットしたものである。
まず、各検査装置における検体の処理時間を予測する(ステップ801)。各検査装置における処理時間は、分析する依頼項目数と装置情報DB122の単位処理時間312から予想できる。例えば搬送計画S1の場合、生化装置1で処理する依頼項目数はALB,AST,ALTの3項目であり、その単位処理時間312は1.8秒である。このため、生化装置1における処理時間911は5.4秒となる。ISE装置1における処理時間912も同様に求めることができる。なお、搬送計画910は各検査装置で必要とされる処理時間だけを積算した様子を表している。
次に、各検査装置間における検体の搬送所要時間を予測する(ステップ802)。搬送所要時間は統計情報DB125の搬送経路343の値を利用可能である。例えば搬送計画S1の搬送順序は「投入部→生化装置1→ISE装置1→回収部」である。ここで、検体投入部から生化装置1までに経由する搬送装置は搬送装置0と搬送装置1であることから、統計情報DB125より搬送装置0の搬送所要時間921は3.1秒、搬送装置1の搬送所要時間922は3.2秒と予測できる。同様にして、生化装置1からISE装置1への搬送時間923、ISE装置1から回収部への搬送時間924、925が予測できる。
最後に、検体の搬送計画を既存の搬送計画に追加する(ステップ803)。ただし、各々の検査装置で処理する検体数は常に1個としなければならないため、処理する時間帯の重複を修正する必要がある。
図12に、検体5の搬送計画920を検体1から検体4の既存の搬送計画チャート901に追加する場合の動作内容を示す。検体5の搬送計画920を検体1から検体4について生成済みの搬送計画チャートに単純に追加すると、図中太線で囲んで示すように、搬送計画チャート931のように生化装置1において検体1の処理時間帯932と検体5の処理時間帯934が重複する。
従って、検体5の処理時間帯934の先端が時刻933(処理時間帯932の終了時刻)と一致するように修正する。修正結果を搬送計画チャート941に示す。搬送計画チャート941では、図中太線で囲んで示すように、ISE装置1において検体2の処理時間帯942と検体5の処理時間帯944が重複する。このため、検体5の処理時間帯944の先端が検体2の時刻943(処理時間帯942の終了時刻)と一致するように修正する。
すると、既存の処理時間945が検体5の処理時間帯944と重複してしまう。ただし、検体5の処理時間帯944が先に開始されるので、今度は、検体3の処理時間帯945を修正対象とする。これにより、最終的な搬送計画チャート951が得られる。以上のステップにより、搬送計画の候補を採用した場合における各検体の処理時刻を予測することができる。
以上のように各検体の処理時刻の予測が完了すると、予測結果から搬送計画の良さを評価するための指標値の計算が可能になる。この実施例に係る搬送計画決定手段114は、指標値として検査装置の処理性能TPの予測値、検体の処理時間TATの予測値、消耗品残量の予測値を搬送計画の決定時に使用する。以下では、これら予測値の計算方法について説明する。
まず、図13に基づいて、検査装置の処理性能TPの予測値を計算する方法について説明する。図13に示す搬送計画チャート951には、各検体の検査装置上での処理時刻が時間軸上に配列して示されている。この搬送計画チャート951からは、各検査装置がどの時間帯に動作しているかが分かる。すなわち、検査装置の動作時間帯が分かる。動作時間帯が分かれば、検査装置の動作率(検査装置の処理性能TPの予測値)を計算することができる。
例えば生化装置1の動作時間チャート1101に着目すると、検体1の処理時刻はTs1からTe1、検体5の処理時刻はTs2からTe2、検体3の処理時刻はTs3からTe3、検体4の処理時刻はTs4からTe4であることが分かる。従って、生化装置1の処理性能TPの予測値は、以下の計算式で算出することができる。
検査装置の処理性能TPの予測値
=(検査装置の最大処理性能TP)×Σ(Ts(i+1)−Te(i))/(Te4−Ts1) …(式1)
ここで、検査装置の最大処理性能TPは、検査装置毎に予め定められた最大パフォーマンス時の処理性能TPである。例えば生化装置1は単位処理時間312が1.8秒であるため、最大処理性能TPは1時間当たり2000項目と計算できる。以上のように、検体処理時刻の予測結果を用いて、各検査装置の処理性能TPの予測値を計算することができる。
次に、図14に基づいて、検体の処理時間TATの予測値を計算する方法について説明する。図14は、搬送計画チャート951から検体5の検査項目毎の処理時間を時間軸上にマッピングして示す図である。図14より、検体の処理時間TATの予測値は、以下の計算式で算出することができる。
検体の処理時間TATの予測値=Te-Ts …(式2)
ここで、Tsは検体の処理開始時刻、Teは検体の処理完了時刻である。Tsは検体バーコードを読み込んだ時刻であり、図14の時刻1220が該当する。Teは検体の全ての依頼項目の分析が完了する時刻とみなせるため、検査項目毎の分析時間322に基づいて算出する必要がある。例えば生化装置1で処理する検体5の依頼項目はALB,AST,ALTである。これらは、依頼された検査項目の分析は、検体が1.8秒毎に分注されることで開始される。また、検査項目情報DB123の分析時間322により、依頼項目の分析時間はALB/ASTが10分、ALTが8分であることが分かる。従って、ALBの分析所要時間は分析時間チャート1201、ASTの分析所要時間は分析時間チャート1202、ALTの分析所要時間は分析時間チャート1203となる。
一方、ISE装置1で処理する依頼項目はNa,K,Clである。電解質項目は一般的に複数の電極を用いた同時分析が可能であるため、Na,K,Clの分析が同時に開始される。さらに、分析時間322はいずれも1分であることから、Na,K,Clの分析所要時間は分析時間チャート1211、1212、1213で与えられる。以上より、分析完了時刻が最も遅いASTの終端時刻1221が検体5の処理完了時刻Teとなる。このように、検体処理時刻の予測結果を用いて、各検体のTATの予測値を計算することができる。
続いて、図15を用い、消耗品残量の予測値の計算方法を説明する。消耗品残量は、現在の消耗品残量332から搬送計画実行時に消費される消耗品消費量を差し引いた値として算出される。従って、以下の計算式で算出できる。
消耗品残量の予測値=現在の消耗品残量−消耗品消費量 …(式3)
消耗品消費量は、各々の検査装置に割り当てられた依頼項目の合計値を求めれば良い。例えば検体1から検体4までの項目割当は確定済みの搬送計画305(図3)に格納されており、搬送計画S1における検体5の項目割当は項目割当候補701(図9)のA1である。これらの情報から、生化装置1におけるALBの消耗品は検体1、検体4、検体5がそれぞれ消費する予定であると分かる。すなわち、ALBの消耗品消費量は「3」である。同様の計算を各々の検査装置の検査項目毎に行うと消耗品消費量1311が得られ、これを現在の消耗品残量332から減算することにより消耗品残量の予測値1312を算出することができる。
以上のように、検査装置の処理性能TPの予測値、検体の処理時間TATの予測値、消耗品残量の予測値が全ての搬送計画の候補について計算されると、複数の搬送計画の中から最良の搬送計画を決定する処理が実行される。
図16に、搬送計画決定手段114において実行される処理動作の一例を示す。なお図16は、現在日時を搬送計画規則DB126に格納された日付条件351と時間条件352に照合した結果、優先度の一位が検査装置の処理性能TP、優先度の二位が検体の処理時間TAT、優先度の三位が消耗品残量で与えられる評価基準が選択された場合に実行される処理動作例を示している。
まず、評価基準における優先順位の一位である検査装置の処理性能TPについて評価値が算出され、評価値が最も高い搬送計画の候補を抽出する(ステップ1401)。ここで、検査装置の処理性能TPの評価値には、例えば前述した手法により算出された各検査装置の処理性能TPの予測値の合計値を用いることができる。
検査装置の処理性能TPの評価値=Σ(検査装置の処理性能TPの予測値) …(式4)
抽出された搬送計画が1個の場合には、この段階で抽出された搬送計画を採用する(ステップ1403)。これに対し、抽出された搬送計画の候補が複数であった場合、評価基準における優先順位が二番目に高い検体の処理時間TATについて評価値が算出され、評価値が最も高い搬送計画の候補を抽出する(ステップ1404)。検体の処理時間TATの評価値には、例えば各検体について算出される処理時間TATの予測値の平均値を用いることができる。
検体の処理時間TATの評価値=Σ(各検体の処理時間TATの予測値)/検体数…(式5)
抽出された搬送計画が1個の場合には、この段階で抽出された搬送計画を採用する(ステップ1405)。これに対し、抽出された搬送計画の候補が複数であった場合、評価基準における優先順位が三番目に高い消耗品残量について評価値が算出され、評価値が最も高い搬送計画の候補を抽出する(ステップ1407)。消耗品残量の評価値には、例えば各消耗品残量の予測値の最小値を用いることができる。
消耗品残量の評価値=MIN(消耗品残量の予測値) …(式6)
なお前述の通り、図16は、評価基準353における優先順位が、検査装置の処理性能TP、検体の処理時間TAT、消耗品残量の順に設定されている場合のフローチャートに対応する。従って、優先順位が異なる評価基準が適用される場合には、ステップ1401、ステップ1404、ステップ1407の順番を入れ替えたフローチャートが使用される。
また、前述の説明では、評価値として検査装置の処理性能TPの合計値、検体の処理時間TATの平均値、消耗品残量の最小値を用いる場合について説明したが、検査装置の処理性能TPの平均値や検体の処理時間TATの最悪値(検体の処理時間TATが最も長い検体の処理時間)、消耗品残量の分散値等を使用することも可能である。以上説明したステップにより、現在時刻に適応する評価基準の優先順位に従って複数の搬送計画の候補の中から最も適切な搬送計画を決定することができる。
以下では図17〜図19を用い、動的搬送計画装置131による搬送計画の計画効果を確認するシミュレーション結果を説明する。なお、図17〜図19に示すシミュレーションは、検査装置群141が、最大2000テスト/時の2台の生化装置、最大170テスト/時の1台の免疫装置、最大600テスト/時の1台のISE装置で構成される場合を想定する。
図17は、評価基準が検査装置の処理性能TPを最優先とする場合におけるシミュレーション結果を示す。依頼項目の依頼率は、生化項目が8.0項目/検体、免疫項目が0.1項目/検体、ISE項目が3.0項目/検体とした。従来技術である負荷分散に基づいて搬送計画を決定した場合の検索装置の処理性能TPをグラフ1601と表1602、検体の処理時間TATをグラフ1603と表1604に示す。一方、検査装置の処理性能TPを最優先に搬送計画を決定した場合における検査装置の処理性能TPをグラフ1611と表1612、検体の処理時間TATをグラフ1613と表1614に示す。
グラフ1601に示すように、負荷分散では時間の経過とともに2台の生化装置の処理性能TPが均等になるように推移する。これに対し、検査装置の処理性能TPを優先する搬送計画の場合には、グラフ1611のように検査装置の処理性能TPは均等にならない。しかし、検査装置全体の処理性能TP(処理性能TPの平均値の合計値)は表1612に示すように「3983.7」と負荷分散に従って搬送計画を決定する場合の値「2515.0」よりも高い値を達成できている。
一方、検体の処理時間TATに関しては、処理時間TATの平均値(平均TAT)に関してはどちらの場合でもほとんど変化が見られないものの、処理時間TATの最悪値(最悪TAT)に関しては、検査装置の処理性能TPを優先する搬送計画においてやや悪化した。従って、検査装置の処理性能TPを優先する評価基準を適用して搬送計画を決定すると、検査装置の処理性能TPが改善される効果を確認することができる。
図18は、評価基準が検体の処理時間TATを最優先とする場合におけるシミュレーション結果を示す。依頼項目の依頼率は、生化項目が8.5項目/検体、免疫項目が0.5項目/検体、ISE項目が0.0項目/検体とした。従来技術である負荷分散に基づいて搬送計画を決定した場合の検査装置の処理性能TPをグラフ1701と表1702、検体の処理時間TATをグラフ1703と表1704に示す。一方、検体の処理時間TATを最優先に搬送計画を決定した場合の検査装置の処理性能TPをグラフ1711と表1712、検体の処理時間TATをグラフ1713と表1714に示す。
グラフ1701とグラフ1711を比較すると、従来技術の負荷分散では2台の生化装置がともに最大TP(2000テスト/時)に近い処理性能TPを達成できているが、検体の処理時間TATを最優先に搬送計画を決定した場合には、時間の経過に伴って生化装置2の処理性能TPがやや低下していることが分かる。一方、表1704と表1714を比較すると、検体の処理時間TATを最優先とする搬送計画における平均TATと最悪TATは、負荷分散に基づいて搬送計画を決定する場合に比して8分程度の短縮を達成できている。従って、検体の処理時間TATを最優先として搬送計画を決定することにより、平均TATと最悪TATが改善される効果を確認することができる。
図19は、評価基準が消耗品残量を最優先とする場合におけるシミュレーション結果を示す。依頼項目の依頼率は、消耗品の消費量の多い生化項目が評価に適していると考え、生化項目の依頼率を6.0項目/検体とし、免疫項目とISE項目をそれぞれ0.0項目/検体とした。従来技術である負荷分散に基づいて搬送計画を決定した場合の検査装置の処理性能TPをグラフ1801と表1802、検体の処理時間TATをグラフ1803と表1804に示す。一方、消耗品残量を最優先に搬送計画を決定した場合の検査装置の処理性能TPをグラフ1811と表1812、検体の処理時間TATをグラフ1813と表1814に示す。
グラフ1801と1811を比較して分かるように、検査装置の処理性能TPは、いずれもほぼ同一の結果となった。一方、検体の処理時間TATに関しては、表1804と表1814の比較から分かるように、消耗品残量を最優先に搬送計画を決定した場合の方が従来技術の場合よりも、8分程度の最悪TATの改善が認められた。この理由は、負荷分散では消耗品が無くなった時点で、検体を最初に搬送した生化装置から別の生化装置に搬送する無駄な搬送処理が増加したのに対し、消耗品残量優先の搬送計画では消耗品が無くなることがないため、無駄な搬送を抑制できたためと推測される。すなわち、消耗品残量を最優先に搬送計画を決定し、搬送制御を行うと、消耗品ができるだけ無くならないように項目を割り当てることができる。これにより、無駄な搬送が抑制され、検体の処理時間TATが改善される効果を確認できた。
以上のように、第一の実施例では、搬送計画規則設定手段114で設定された日付条件や時間条件に応じて搬送計画の評価基準を変更しつつ、評価基準を満足する搬送計画を動的に生成することができる。これにより、日付や時間(本明細書では、いずれか一方又は両方を含む意味で日時条件ともいう。)に応じて変動する病院内の運用実態やワークフローに応じて、最適な搬送計画を動的に生成することができる。このことは、オペレータの使い勝手が従来装置よりも改善されることを意味する。すなわち、現場で求められる優先順位を動的に反映した搬送計画を生成することができる。従って優先順位に応じ、検査装置の処理性能TP、検体の処理時間TAT、消耗品残量のばらつきを改善することができる。
なお、第一の実施例では、検査装置群141が2台の生化装置、1台の免疫装置、1台のISE装置、4台の搬送装置の場合について説明したが、検査装置群141を構成する分析装置や搬送装置の種類、台数、組合せは任意であり、その他の構成を採用する場合でも前述と同様の処理手順で動的搬送計画を生成することができる。
(実施例2)
前述の第一の実施例では、バッファから検体を取り出す優先順位が第一位のものを緊急検体とし、第二位のものを一般検体としたが、同種の検体について優先度を動的に調整することもできる。第二の実施例では、検体の優先度を動的に調整する方法を説明する。
図20に、第二の実施例に係る動的搬送計画装置を有する検体処理システムの全体構成例を示す。図20には、図1との対応部分に同一符号を付して示す。図20に新規の手段は、検体優先度調整手段115である。また、図21に、第二の実施例で使用する検体情報DB121のデータ構造例を示し、図22に、第二の実施例における動的搬送計画装置131のフローチャートを示す。
まず、フローチャートについて説明する。ステップ501からステップ503は、第一の実施例と同様に、搬送計画503を決定するステップである。この実施例の場合、ステップ503の後、決定した搬送計画において検体の処理時間TATの予測値が検体毎に設定された目標期限を超過するような検体が存在するかどうかが検体優先度調整手段115により判定され(ステップ2101)、存在する場合には検体優先度調整手段115により全ての検体について処理時間TATの予測値が目標期限内に収まるように優先度を調整する(ステップ2102)。
目標期限は、図21に示すように検体情報DB121の項目2011として検体毎に設定でき、その値は検体の分析結果を参照する医師が必要とする時刻に設定するのが理想である。従って、患者毎の診察予定時刻が予め分かっていれば、その時刻を設定すれば良い。
診察予定時刻が予め分からない場合には、病院毎に定められたルーチンワークのスケジュールから逆算して設定することもできる。例えば患者の採血が8時頃、医師の診察が10時頃に一斉に始まるような病院では、目標期限2011が採血時刻2012から2時間後となるように自動的に設定することができる。
また、採血時刻2012がシステム上取得できない場合には、検査室で検体を受け付けた時刻である受付時刻2013から採血時刻2012を予測しても良い。例えば採血場所から受付場所まで検体を運ぶ作業時間が平均10分とすると、採血時刻2012は受付時刻2013より10分前と予測することができる。受付時刻2013も取得できない場合には、検体IDの読取り時刻とすることも可能である。
図23に検体優先度調整手段115の処理手順を示し、図24及び図25に処理動作例を示す。処理動作例では、図21に示すように、検体1から検体6の搬送計画が決定済みであり、検体の優先度2001は全て「1」である状況を例示する。すなわち、検体間の優先度が同じ場合を想定する。なお、数値が大きいほど優先度が高いものとする。以下では説明を簡略化するために、検体6の採血時刻2012が他の検体よりも早く、目標期限2011までの残り時間が少ない状況とする。なお、図24は検体の優先度を調整する前の動作を示し、図25は検体の優先度を調整した後の動作を示している。
この実施例の場合、検体処理時刻予測手段113が、検体の優先度2001に基づいて検体の処理時間TATの予測値を算出する(ステップ2201)。検体の処理時間TATの予測値を算出する際の動作例を図24に示す。搬送計画チャート2311に示すように、検体1から検体5の搬送計画に検体6を追加する場合、生化装置2における検体2の処理時間帯2312と検体6の処理時間帯2314が重複する。このため、第一の実施例の場合と同様に、検体6の処理時間帯2314の先端を時刻2313(検体2の処理時間帯2312の終了時刻)に合わせる。この場合、搬送計画チャート2321が得られる。
今度は、ISE装置1について、検体5の処理時間帯2324と検体6の処理時間帯2325が重複する。ここで、検体5と検体6の優先度2001は同一のため、投入時刻が早い検体5が先に処理される。従って、検体6の処理時間帯2325の先端を時刻2326(検体5の処理時間帯2324の終了時刻)に合わせる。すると今度は、ISE装置1について、検体6の処理時間帯2325と検体3の処理時間帯2327が重複する。
この場合も、検体6と検体3の優先度2001が同じあるため、投入時刻が早い検体3が先に処理される。従って、最終的に搬送計画チャート2331が得られる。このとき、検体6の処理時間TATの予測値は、ISE装置1での処理完了時刻から分析時間322を考慮して約1分後(10時27分頃)と予測できるが、これは検体6の目標期限2011(図21)である10時25分を超過している。従って、検体の処理時間TATの予測値が目標期限2011を超過する検体を抽出するステップ2202(図23)において、検体6が抽出される。
次に、検体優先度調整手段115は、抽出された検体の個数が0個か否かを判定し(ステップ2203)、0個であれば調整の必要がないのでそのまま処理を終了する。今回の場合、検体6が抽出されているので、抽出された検体6の優先度が上限値を超えるか否かをチェックする(ステップ2204)。上限値は、検体の種別毎に予め定められた優先度の最大値であり、優先度がこれを超えてはならない。上限値を設けることで、異種の検体同士での処理順序の入れ替わりを回避できる。例えば優先度の値の範囲を一般検体が1から10、緊急検体が11から20のように定めておく。これにより、一般検体が緊急検体を追い越すことがないように検体の優先度を調整できるようになる。
ステップ2204で検体6の優先度が上限値を越えていた場合、検体優先度調整手段115は、処理を終了する。ここでは、検体6の優先度が上限値を越えていないものとする。この場合、検体優先度調整手段115は、抽出した検体6の優先度を変更する(ステップ2205)。変更の方法には検体の優先度の状況に応じていくつか考えられる。優先度のばらつきが少ない状況では、単純に抽出した検体の優先度を1上げることで多数の検体の優先度を超えることが可能である。逆に、優先度のばらつきが大きい状況では、未抽出の検体の優先度の分布を考慮して、少なくとも1つ以上の検体の優先度を超えるように、優先度を変更しても良い。さらに、目標期限の超過率が高い検体ほど優先度が大きくなるように変更することも可能である。状況に応じてこれらの方法を使い分けることにより、検体の処理時間TATが目標期限内に収まる優先度を効率良く探索することが可能となる。
優先度が変更されると、検体優先度調整手段115は、変更後の優先度の値を用いて検体の処理時間TATの予測値を再び計算する(ステップ2201)。本動作例では、ステップ2205による検体優先度の変更の結果、検体6の優先度が「2」となったものとする。まず、搬送計画チャート2311(図24)の生化装置2に関しては、検体6よりも先に検体2の処理が始まっており、検体6はバッファ内で検体2を追い越すことができない。従って、優先度の調整前と同様に搬送計画チャート2321が得られる。
この結果、ISE装置1に対する検体5の処理時間帯2324と検体6の処理時間帯2325が重複する。ただし、今度の場合には、検体6の優先度が検体5の優先度よりも高くなる。このため、検体6はバッファ内で検体5を追い越すことが可能になる。従って、今度は、ISE装置1に対する検体5の処理時間帯2324の先端を、時刻2326(検体6の処理時間帯2325の終了時刻)に合わせる。
今度は、ISE装置1に対する検体5の処理時間帯2342と検体3の処理時間帯2327が重複する。ただし、検体5と検体3の優先度は同一である。従って、検体3が先に処理される。以上の処理の結果、図25に示す搬送計画チャート2351が得られる。この搬送計画チャート2351上において、検体6の処理時間TATの予測値を計算すると、生化装置2における処理完了時刻から分析時間322を考慮して約10分後の10時21分頃と予測できる。この予測値は、検体6の目標期限2011である10時25分内に収まっている。
従って、ステップ2203で肯定結果が得られることになり、検体優先度調整手段115による優先度の調整処理が終了する。
以上説明したように、検体優先度調整手段115を用いることで、検体の処理時間TATの予測値が目標期限2011に収まるように検体の優先度を調整することができる。結果的に、搬送計画決定手段114で決定された搬送計画では、検体の処理時間TATの予測値が目標期限2011を超える検体が含まれる場合でも、全ての検体について処理時間TATの予測値が目標期限2011を満たすように搬送計画を修正することができる。
図26に、検体優先度調整手段115による調整効果を確認するシミュレーション結果を示す。なお、図20に示したように、検査装置群141の構成は第一の実施例と同様である。依頼項目の依頼率は、生化項目が7.9項目/検体、免疫項目が0.4項目/検体、ISE項目が2.4項目/検体とした。ただし、検体毎の依頼項目数の差が大きく、最大で13項目、最小で2項目とした。また、検体の種別はすべて一般検体とした。
検体の優先度を固定値として搬送計画を生成した場合における検査装置の処理性能TPをグラフ2401と表2402、検体の処理時間TATをグラフ2403と表2404に示す。一方、検体の優先度を調整して搬送計画を生成した場合における検査装置の処理性能TPをグラフ2411と表2412、検体の処理時間TATをグラフ2413と表2414に示す。
グラフ2401とグラフ2411を比較して分かるように、検査装置の処理性能TPに関しては、ほとんど差異が見られなかった。一方、検体の処理時間TATに関しては、優先度を固定すると、グラフ2403に示すように、複数の検査装置に立ち寄る検体(依頼項目数が多い検体)において最悪TATが長期化していることが分かる。これに対し、優先度を調整した場合には、グラフ2413に示すように、最悪TATの長期化を抑制できることが確認できた。最悪TATが改善した理由は、複数の検査装置に立ち寄る検体の優先度が高くなったことで、バッファ内において他の検体を追い越すことが可能になり、優先的に処理されたためである。従って、検体優先度調整手段115を動的搬送計画装置131に搭載することより、最悪TATを抑制することができる。
以上説明したように、検体優先度調整手段115を用いることにより、検体毎に設定された目標期限内に分析が完了するように検体の優先度を動的に変更することが可能となる。これにより、検体の処理時間TATが目標期限内に収まるようになり、最悪TATの長期化を抑制できる。
なお、本実施例では検体優先度調整手段115の実行タイミングを搬送計画決定手段114が終了した直後としたが、搬送計画決定手段114における処理動作の途中で検体優先度調整手段115を実行させる手法を採用することも定期的に実行させる手法を採用することも可能である。これらの場合にもステップ2101、ステップ2102と同様の手順で対応することができる。
(実施例3)
前述した第一及び第二の実施例では、日時条件に基づいて搬送計画の評価基準を切り替えながら新たに投入された検体の搬送計画を決定する処理手順を示したが、評価基準を切り替えたタイミングで投入済み検体の搬送計画を修正することもできる。
図27に、第三の実施例に係る動的搬送計画装置を有する検体処理システムの全体構成例を示す。図27には、図1との対応部分に同一符号を付して示す。図27に新規の手段は、搬送計画修正手段116である。また、図28に、第三の実施例における動的搬送計画装置131のフローチャートを示す。
以下では、図28に基づいて、搬送計画修正手段116の処理動作を説明する。搬送計画修正手段116は、搬送計画規則DB126から現在の日時条件に合致する評価基準353を読み出し、前回の搬送計画決定時に用いた評価基準と比較する(ステップ2501)。例えば直前回に使用された評価基準の優先順位が検査装置の処理性能TP、検体の処理時間TAT、消耗品残量の順番であったのに対し、現在時刻における評価基準の優先順位が検体の処理時間TAT、検査装置の処理性能TP、消耗品残量の順番であったとすると、両者の比較(ステップ2502)により評価基準が切り替わるタイミングであることが分かる。
ステップ2502で肯定結果が得られた場合、以下に説明する搬送計画の修正処理が実行される。なお、ステップ2502で否定結果が得られた場合、搬送計画修正手段116の動作は終了する。
ここで、搬送計画修正手段116が修正可能な搬送計画は、現時点で未着手のものに限られる。未着手の搬送計画とは、搬送計画305のうち搬送順序307の検査装置の中でまだ搬送していない検査装置とその検査装置への項目割当306である。例えば図29に例示する搬送計画チャート2600を実行中、時刻2601において評価基準の切り替えがあったとすると、検体1についてはISE装置1に対する搬送計画がすでに着手済みであり、ISE装置1に対する搬送計画の修正は不可能である。逆に、検体1についての生化装置2に対する搬送計画は未着手である。このため、この生化装置2に対する搬送計画の修正は可能であると考える。
このように、搬送計画修正手段116は、搬送計画が決定済みの全ての検体について未着手の搬送計画を抽出する(ステップ2503)。この結果、搬送計画チャート2600(図29)の中から太枠で囲んだ搬送計画が抽出される。これらの搬送計画を対象に、搬送計画生成手段112、検体処理時刻予測手段113、搬送計画決定手段114を実行する(ステップ501からステップ503)。以上のステップにより、未着手の搬送計画を対象として新たな搬送計画候補を生成し、各候補を切り替え後の評価基準を用いて評価することが可能となり、搬送計画をより適正なものに修正することができる。
なお、搬送計画修正手段116は、複数の検体の搬送計画候補721の組合せを考慮することも可能である。例えば修正対象の検体を検体1から検体5とし、検体1に対する搬送計画候補721をS[1,1],S[1,2],…,S[1,i],…,S[1,N1](N1は搬送計画生成手段112で生成された検体1の搬送計画候補721の個数)で表すと、検体1から検体5の搬送計画候補は各検体の搬送計画の組S[1,i],S[2,j],S[3,k],S[4,l],S[5,m](1≦i≦N1,1≦j≦N2,1≦k≦N3,1≦l≦N4,1≦m≦N5)と定義できる。このように、複数の検体の搬送計画の組を考慮して搬送計画を決定することで、評価基準をより満足する搬送計画へ修正することが可能である。
図30及び図31に、搬送計画の修正例を示す。図30は、評価基準が、検査装置の処理性能TPを最優先とする場合における検体1から検体5の搬送計画チャートの例である。図31は、時刻2601において未着手の搬送計画を、検体の処理時間TATを最優先とする評価基準に基づいて修正した場合の搬送計画チャートの例である。
これらの例では、説明を簡略化するために、生化装置、免疫装置、ISE装置における検体の分析時間がそれぞれ10分、18分、1分である状況を想定している。この状況下では、搬送計画チャート2700における検体1から検体5の処理時間TATはそれぞれ時刻2701から時刻2705となる。検査装置の処理性能TPは、検査計画チャート2710に示すように、生化装置1と免疫装置1では動作率が100%であり、生化装置2とISE装置2は空き時間が発生して100%とはならないが90%以上の動作率であることが分かる。
一方、図31の搬送計画チャート2720では、検体2から検体4の搬送計画に関して、「ISE装置1→生化装置2」であった搬送順序が「生化装置2→ISE装置1」へと修正されている。この結果、検体1から検体5の検体の処理時間TATはそれぞれ時刻2721から時刻2725となり、検体2から検体5の処理時間TATが搬送計画チャート2700よりも改善されていることが分かる。ただし、検査装置の処理性能TPに関しては、検査装置チャート2730に示すように、生化装置1、生化装置2、免疫装置1の動作率が100%となっているが、逆にISE装置1の動作率は70%程度であり、検査装置チャート2710と比べて大きく低下している。これは、検査装置の処理性能TPよりも検体の処理時間TATが高い搬送計画を優先的に採用したためである。
以上のように、未着手の搬送計画を修正することにより、切り替え後の評価基準をより満足する搬送計画に修正できたことが分かる。なお、図30と図31では、搬送順序を修正する事例について説明したが、搬送順序だけでなく項目割当を修正することも搬送計画生成手段112と同様の処理手順により実現することができる。
以上のように、第三の実施例によれば、搬送計画の評価基準が切り替わったタイミングで未着手の搬送計画を修正することにより、可能な限り多くの検体の搬送計画を新しい評価基準に適応させることが可能になる。これにより、評価基準を満足する搬送計画がより迅速に得られる効果が期待できる。
(実施例4)
前述した第一から第三の実施例では、分析装置と搬送装置から構成される検査装置群141だけを動的搬送計画装置131に接続する場合について説明したが、かかる検査装置群141だけでなく、検体の遠心分離を行う遠心分離装置、検体容器の蓋を開ける開栓装置、検体を別容器に小分けする分注装置といった検体の前処理装置等で構成される1つ又は複数の検査装置群を動的搬送計画装置131に接続することもできる。すなわち、複数の検査装置群141で構成される検査装置群142を動的搬送計画装置131に接続することもできる。
以下では、第四の実施例として検査装置群142を接続した動的搬送計画装置131について説明する。図32に検査装置群142の構成例を示し、図33に第四の実施例に係る動的搬送計画装置を有する検体処理システムの全体構成例を示す。
第四の実施例に係る検査装置群142は、1台の遠心分離装置、1台の開栓装置、1台の分注装置、5台の搬送装置で構成される前処理装置群と、3台の生化装置、1台の免疫装置、1台のISE装置、4台の搬送装置で構成される検査装置群と、2台の生化装置、1台の免疫装置、1台のISE装置、4台の搬送装置で構成される検査装置群とで構成される。
図32に示すように、検体は検体投入部3001から投入され、搬送装置3000を通して遠心分離装置3002、開栓装置3003、分注装置3004の順に搬送される。遠心分離装置3002は、複数の検体を一度に遠心分離する装置である。開栓装置3003は、検体単位で検体容器の蓋を開ける装置である。分注装置3004は、検体を空の検体容器に小分けする装置である。小分けしてできた検体は子検体と呼ばれ、元の検体は親検体と呼ばれる。親検体と子検体は、分析装置へ搬送する必要がなければ収納部3005に収納される。分析装置へ搬送する必要があれば、搬送装置3011、3012、3013、3014、3015を通して分析装置へ搬送される。
なお、搬送装置3011、3012、3013、3014、3015は、それぞれ図33に示す検査装置群142の搬送装置0、搬送装置1、搬送装置2、搬送装置3、搬送装置4、搬送装置5を表す。これらの搬送装置はバッファを持たないため検体の処理順序を入れ替えることができない。
分析装置は、前述の通り、2つの検査装置群によって二重化されている。検査装置群3021は、生化装置1、生化装置2、ISE装置1、免疫装置1、搬送装置10、搬送装置11、搬送装置12、搬送装置13で構成される。検査装置群3022は、生化装置3、生化装置4、ISE装置2、免疫装置2、搬送装置20、搬送装置21、搬送装置22、搬送装置23で構成される。
第一の実施例で示したように、搬送装置10、搬送装置11、搬送装置12、搬送装置13、搬送装置21、搬送装置22、搬送装置23はバッファを有し、検体の処理順序を入れ替えることができる。必要な分析が完了した検体は、検査装置群3021又は3022の収納部に格納される。
図34の図表3100に、この実施例で使用される検体情報DB121のデータ構成例を示す。第一の実施例との相違点は、前処理項目3101と搬送計画305における子検体3102である。前処理項目3101は必要とされる前処理を示す項目欄であり、オペレータにより検体毎に設定される。検体はここで設定された前処理装置に搬送される。例えば検体1の前処理項目3101は「遠心、開栓、分注」である。従って、検体1は、検体の分析前に遠心分離装置3002、開栓装置3003、分注装置3004に搬送する計画が生成される。
子検体3102は、分注装置3004において別の検体容器に小分けして生成された子検体である。この欄が空欄であれば親検体自身の搬送計画を表す。例えば検体1で子検体3102の欄が「−」となっている行は検体1自身の搬送計画であり、その搬送順序は「遠心→開栓→分注」であることを表している。一方、子検体3102の欄が「子検体1-1」となっている行は、分注装置において検体1から子検体1-1が生成され、その搬送順序は「生化1→生化2」であることを表している。
図34の図表3110に装置情報DB122のデータ構成例を示す。第一の実施例との相違点は、前処理装置に関する内容が追加されたことである。前処理装置は一般的に装置の搬送順序を入れ替えることができない。例えば検体容器の蓋を開けた後は遠心分離できないし、蓋を開ける前は分注できないといった理由による。このため、搬送順序制約313は遠心分離装置、開栓装置、分注装置の順となり、その後に分析装置が続くように定義される。
図34の図表3120に検査項目情報DB123のデータ構成例を示す。第一の実施例との相違点は、子検体制約3121が追加されたことである。子検体制約3121は、搬送計画305の子検体3102を決定する際に遵守されるべき制約条件であり、同一制約の検査項目は同一の子検体で分析するように計画される。例えば検査項目TPとALBの子検体制約は「子1」であるため、これらの項目が依頼された検体からは子検体が1個生成され、その子検体でTPとALBが分析されることを表している。また、TSH,C3,C4の子検体制約は「親」であるため、これらの項目が依頼された検体は、親検体を用いてTSH,C3,C4が分析されることを表している。
図35の図表3130に消耗品情報DB124のデータ構成例を示し、図表3140に統計情報DB125のデータ構成例を示す。これらのDBには、第一の実施例に比べて前処理装置や二重化した分析装置の情報を増やせば良い。このため、詳細な説明は省略する。また、搬送計画規則DB126のデータ構成は、第一の実施例と同様の構成、同様の内容で良い。
図36に、この実施例で使用する搬送計画生成手段112のフローチャートを示す。第一の実施例との相違点は、検体の依頼項目304と子検体制約3121に基づいて子検体候補を生成するステップ3201と、子検体候補と項目割当候補の組合せに基づいて搬送順序候補を生成するステップ3202、子検体候補と項目割当候補と搬送順序候補に基づいて複数の搬送計画を生成するステップ3203である。
図37を用い、各ステップの詳細な動作例を説明する。本動作例は、図表3100(図34)に示した検体1から検体4の搬送計画が既に決定しており、検体5が新たに投入された状況を想定している。検体5の依頼項目はALB,AST,ALT,Na,K,Clであり、子検体制約3121より、ALBは子1で分析し、AST,ALT,Na,K,Clはそれぞれ子1と子2のどちらで分析しても良いことが分かる。従って、生成可能な子検体の組合せを列挙すると、子検体候補3301が得られる。
次に、ステップ601とステップ602を用いて依頼項目の項目割当候補3302を生成する。以上のステップで得られた子検体候補3301と項目割当候補3302の組合せを列挙し、搬送順序候補3303を生成する。例えば子検体候補C1と項目割当候補A1の組では、全ての依頼項目を子1で分析すること、検査装置への割当てはALB,AST,ALTが生化装置1であり、Na,K,ClがISE装置1であることを表している。従って、C1,A1の組における子1の搬送順序候補として2個の候補、すなわち「生化装置1→ISE装置1」と「ISE装置1→生化装置1」が生成される。このように、検体候補3301と項目割当候補3302の組に対して搬送順序候補3303を順次生成していくことで、最終的に搬送計画候補3304を生成することができる。
得られた搬送計画候補から最良の搬送計画を決定する方法は、第一の実施例における検体処理時刻予測手段113と搬送計画決定手段114を用いることで実現できる。ただし、遠心分離装置は一般的に複数の検体を同時に処理できるため、同時処理可能な検体数分だけ同時刻に処理が始まり、かつ、同時刻に処理が終了するように検体処理時刻を予測する必要がある。
図38に、遠心分離装置を含む検体処理時刻の予測例を示す。図38に示すように、遠心分離の開始時刻は検体1から検体5の中で最も遠心分離装置への到達時刻が遅い検体、すなわち検体5の時刻3402に合わせる。遠心分離の完了時刻3403は、遠心分離装置の開始時刻3402から単位処理時間312だけ経過した時刻とする。
以上のように、遠心分離装置で同時処理可能な検体数分だけ処理時刻の重複を許可することにより、複数の検体を同時処理可能な検査装置を含む場合においても検体の処理時刻を予測することができる。
以上説明したように、第四の実施例では、前処理装置を含む検査装置群142が接続された動的搬送計画装置131において、子検体制約を満たす子検体候補を考慮した搬送計画候補を生成することにより、オペレータが設定した評価基準をより満足するような搬送計画が期待できる。
また、複数の検体を同時処理可能な検査装置において検体の処理時刻の重複を許可することにより、検体の処理時刻の予測がより正確となる効果が期待できる。なお、前処理装置として遠心分離装置、開栓装置、分注装置を接続する例を示したが、その他の前処理装置(閉栓装置や分類装置など)を接続する場合、同種の前処理装置を複数接続する場合、搬送装置の構成を変更する場合においても同様の処理手順で搬送計画を決定することが可能である。
(実施例5)
前述した第四の実施例では、前処理装置に接続した搬送装置がバッファを持たず、検体の処理順序の入れ替えができなかった。しかし、遠心分離装置から検体を取り出す際の順序を制御することで検体の処理順序を入れ替えることも可能である。以下では、第五の実施例として遠心分離装置から検体を取り出す際の順序を決定する検体取出し順序決定手段を備えた動的搬送計画装置について説明する。
図39に、検体取出順序決定手段117を備えた動的搬送計画装置131を有する検体処理システムの全体構成例を示す。図39には、図1との対応部分に同一符号を付して示す。また、図40に、検体取出順序決定手段117において実行される処理手順を示す。
まず、検体取出順序決定手段117は、現在の搬送計画に対して、任意の2つの検体の取出し順序を入れ替えた搬送計画を生成する(ステップ3501)。次に、搬送計画決定手段114を用いて、現在の搬送計画と取出し順序を入れ替えた搬送計画のそれぞれについて評価値を計算する(ステップ3502)。評価値は、第一の実施例で説明した検査装置の処理性能TPの評価値、検体の処理時間TATの評価値、消耗品残量の評価値のうち、搬送計画規則の評価基準353に定められた優先順位が最も高いものとする。
計算の結果、現在の搬送計画の評価値が最も高ければ(ステップ3503)、取出し順序の入れ替え効果はないとみなし、フローを終了する。逆に、取出し順序を入れ替えた搬送計画の評価値が高ければ、その搬送計画を現在の搬送計画としてステップ3501に戻り、さらに検体の入れ替えを試行する。以上のステップにより、評価値がより高くなる検体の取出し順序を探索することができる。
ここで、取出し順序を入れ替える2つの検体を選択する方法には、幾つかの方法が考えられる。1つの方法は、現在の搬送計画の中で最も評価値を低下させる原因となっている検体を探索し、その検体と他の検体を入れ替える方法が考えられる。
例えば図38において検体の処理時間TATを最優先の評価基準とした場合、検体の処理時間TATが最も悪化しているのは検体4である。そこで、検体4と他の検体、すなわち検体1、検体2、検体3、検体5とを入れ替えることで、合計4つの取出し順序(検体4→検体2→検体3→検体1→検体5)、(検体1→検体4→検体3→検体2→検体5)、(検体1→検体2→検体4→検体3→検体5)、(検体1→検体2→検体3→検体5→検体4)を生成できる。
この他、例えば計算時間をより短くするために2つの検体をランダムに選択しても良い。また例えば、評価値をより高めるために評価値を低下させている原因である検体群とそれ以外の検体群からそれぞれ1つの検体を選択した組合せを列挙しても良い。
図41に、この実施例の効果を示す。図41の搬送計画チャート3601は、図38の搬送計画チャート3401で遠心分離が完了した後、検体1から検体5の取出し順序が、検体4→検体3→検体1→検体5→検体2に修正された場合を想定したものである。各検体の検査装置への搬送順序は図38と同一である。
図38と図41を比較すると、図38では検体4の遠心分離装置からの取出し順序が4番目であり、免疫装置に搬送されて検体の処理時間TATが長期化しているのに対し、図41では検体4を遠心分離装置から最初に取出すことで検体の処理時間TATが短縮されていることが分かる。
以上説明したように、第五の実施例では、遠心分離装置が接続された動的搬送計画装置において、遠心分離装置で処理が完了した検体の取出し順序を制御することにより、評価基準をより満足する搬送計画に修正することができる。これにより、検査装置の処理性能TPや検体の処理時間TAT、消耗品残量のばらつきがさらに改善される効果を期待できる。
なお、本実施例では検体の取出し順序を制御する検査装置として遠心分離装置を例示したが、複数の検体を同時処理する他の検査装置であっても同様の手順で搬送計画を修正することができる。
(他の実施例)
前述した実施例では、評価基準の優先順位を、検査装置の処理性能と、検体の処理時間と、検査装置内の消耗品の残量の3つの評価項目の間で設定する場合について説明したが、これら3つの項目のうち2つ以上の評価項目間の優先順位の関係を規定する場合にも、4つ以上の評価項目の間に優先順位を設定する場合にも適用できる。