JP3578132B2 - 携帯端末装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話機、PHS(登録商標)等の携帯端末装置に係り、特に、ユーザのみ発信者を知ることができる独特の着信音を発生する携帯端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯端末装置の着信音は単なるブザー音であったが、近年、ユーザの好みのメロディを着信音に使用することが広く行われている。しかし、この着信メロディは発信者に拘わらず同一メロディであり、着信メロディから発信者を識別することはできなかった。
他方、名前を発する声を録音し、この声を着信メロディの代わりに使用して発信者の名前を発生することも考えられる。しかしながら、このような音声によって発信者を知らせる方法は、データ量が非常に大きくなり、また、声そのままであるので誰にでも聞き取れるが、それが逆に第三者に聞かれて困ることもあり、自分だけが発信者を知ることができる着信音が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、データ量が大きくならず、周囲の人は発信者を知ることができず、しかも、ユーザのみは発信者を知ることができる携帯端末装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、外部からの無線による着信を受け、着信を知らせる着信音を発生する携帯端末装置において、着信内容に応じた音声の各語の母音を示す母音データの列が記憶された記憶手段と、着信があった時、その着信内容に対応する母音データ列を前記記憶手段から読み出す読出手段と、前記読出手段によって読み出された母音データ列をアナログ母音信号に変換する変換手段と、前記変換手段の出力を前記着信音として発音するスピーカとを具備することを特徴とする携帯端末装置である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯端末装置において、前記母音データ列の各母音データに各々、音高を指示する音高データが付加され、前記変換手段は前記母音データ列の各母音データを前記音高データに基づく音高のアナログ母音信号に変換し出力することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の携帯端末装置において、通話用マイクロフォンによって入力された音声を母音データ列に変換し、前記記憶手段に記憶させる母音データ列生成手段を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の携帯端末装置において、入力キーから入力された文字データ列を母音データ列に変換し、前記記憶手段に記憶させる母音データ列生成手段を有することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の一実施の形態について説明する。図1は同実施の形態による携帯端末装置の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は各部を制御するシステムCPU(中央処理装置)、2はシステムROM(リードオンリメモリ)である。このシステムROM2には、システムCPU1のプログラムが記憶されていると共に、母音データベースDB1が記憶されている。図2は母音データベースDB1の構成を示す図であり、この図に示すように、母音データベースDB1には、母音「あ」〜「お」および「ん」の各々に対応して、波形的特徴を示すデータおよびプログラム#が記憶されている。
【0007】
3はデータ記憶用のシステムRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、不揮発性のメモリによって構成されている。4はテンキー、ファンクションキーからなる入力キー、5は液晶表示器、6は通信部である。この通信部6は、アンテナ7を介して受信された変調音声信号を復調して音声CODEC8へ出力し、また、音声CODEC8から供給される符号化された音声信号を変調し、アンテナ7から送信する。また、アンテナ7を介して受信した発信元の電話番号、メールアドレス、その他のデータをバスラインBUを介してシステムCPU1へ出力する。
【0008】
音声CODEC8は、通信部6から出力される圧縮された音声データを伸長し、アナログ信号に変換してイヤスピーカ9へ出力し、また、マイクロフォン10からの音声信号をディジタル音声データに変換し、さらに圧縮符号化して通信部6へ出力する。また、この音声CODEC8は、システムCPU1から母音着信音生成指示(詳細は後述する)を受けた時は上記のディジタル音声データをバスラインBUを介してシステムCPU1へ出力する。
【0009】
図3は音声CODEC8の一部構成を示す図であり、マイクロフォン10からの音声信号は、A/D(アナログ/ディジタル)変換器8aによってディジタル音声データに変換され、切替器8bへ印加される。切替器8bは、常時はA/D変換器8aの出力を圧縮符号化する符号化回路8cへ出力する。一方、システムCPU1から母音着信音生成指示を受けた時は、A/D変換器8aの出力をシステムCPU1へ出力する。システムCPU1はそのディジタル音声データを受け、後述する母音抽出→MIDI化処理を行う。
【0010】
12は楽曲再生部であり、システムCPU1から供給される着信音発生指令を受けて着信音信号を形成し、スピーカ13へ出力する。図4はこの楽曲再生部12の構成を示すブロック図である。この図において、15はインターフェイス、16はシーケンサである。このシーケンサ16は、システムCPU1から供給される着信音のMIDIデータを一旦記憶した後、発音パラメータに変換し、WT音源17へ出力する。音色RAM18は、システムCPU1から供給される楽音波形データが書き込まれるメモリである。音色ROM19は、「あ」〜「お」および「ん」の音声をサンプリングした波形データが記憶されているROMである。
【0011】
WT音源17は波形読み出し方式の音源であり、シーケンサ16からの指示に従って音色RAM18または音色ROM19を選択し、シーケンサ16から出力される発音パラメータに基づく速度で波形データを読み出し、D/A(ディジタル/アナログ)変換器20へ出力する。D/A変換器20はWT音源17から出力される波形データをアナログ信号に変換し、スピーカ13へ出力する。
【0012】
次に、上述した携帯端末装置の動作を説明する。この携帯端末装置は、着信音が従来の携帯端末装置と異なり、着信音以外は従来の携帯端末装置と同様である。そこで、以下、着信音の発生機構について詳述する。
この携帯端末装置は、メールが着信した時、着信音として、「メールだよ」という音声の各語を母音に変換した「ええうあお」という音声を高低を付けて発音する。また、例えば、友人の「青木」さんから電話が着信した時は「青木さんから電話だよ」という音声の各語を母音に変換した「あおいあんああえんああお」という音声を高低を付けて発音する。その機構の詳細は次の通りである。
【0013】
まず、携帯端末装置の使用に先立ち、ユーザは着信音のための音声入力を行う。すなわち、ユーザが入力キー4によって汎用音声入力を指示するキー操作を行うと、システムCPU1がそれを検知し、音声CODEC8へ母音着信音生成指示を出力する。音声CODEC8はその指示を受け、切替器8b(図3)をバスラインBU側に切り替える。次に、ユーザがマイクロフォン10に向かって「メールだよ」と発音すると、発音された音声がA/D変換器8a(図3)によってディジタル音声データに変換され、バスラインBU(図1)を介してシステムCPU1へ供給される。システムCPU1はその音声データをシステムRAM3へ一時記憶させる。
【0014】
次に、システムCPU1は、システムRAM3に記憶させた「メ」の音声データとシステムROM2内の母音データベースDB1(図2)の各母音の特徴を示すデータとを比較することによって「メ」の母音「え」を検出し、そのプログラム#「PC#4」をシステムRAM3の予め設定されているエリアに書き込む。以下、同様にして、「メールだよ」の各語について母音を検出し、そのプログラム#をシステムRAM3に順次書き込む。これにより、次のプログラム#がシステムRAM3に書き込まれる。
PC#4 PC#4 PC#3 PC#1 PC#5
【0015】
次に、システムCPU1は、「メールだよ」を発音させる時のNote(音程)をプログラム#に組み合わせてMIDIデータ(MIDI規格のデータ)を作成する。図5に作成されたMIDIデータの構成を示す。ここで、上記のNoteは、例えば実際にしゃべる時の音程でもよく、あるいは、好みの曲の音程を利用してもよい。また、MIDIデータに含まれる発音タイミングを示す時間データを変化させることで、発音される音声にリズム感をつけることができる。次に、システムCPU1は、作成したMIDIデータをシステムRAM3内の汎用サンプルテーブル(図6参照)に書き込む。
【0016】
次に、ユーザがマイクロフォン10に向かって「電話だよ」と発音すると、上記と同様にして、システムRAM3の汎用サンプルテーブルに「電話だよ」のMIDIデータが書き込まれ、「さんから」と発音すると、システムRAM3の汎用サンプルテーブルに「さんから」のMIDIデータが書き込まれる。
次に、ユーザが入力キー4によって個人名音声入力を指示するキー操作を行うと、上記と同様に音声CODEC8の切替器8bがバスラインBU側に切り替えられる。次に、ユーザがマイクロフォン10に向かって例えば「青木」と発音すると、上記と同様の過程によって「青木」がMIDIデータに変換され、システムRAM3の電話帳(図6参照)に書き込まれる。次に、ユーザが「井上」、・・・「和田」と順次発音すると、それらの個人名が逐次MIDIデータに変換され、電話帳に書き込まれる。
【0017】
次に、図1の携帯端末装置の着信時の動作を図7に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、通信部6は、着信を受けると、着信があったこと、電話/メールの別を示すデータおよび発信元の電話番号またはメールアドレスをシステムCPU1へ出力する。システムCPU1はそれらのデータを一旦システムRAM3に記憶させる。次に、電話着信かメール着信かを判断し(ステップS1)、電話着信であった場合は着信メロディ再生スタート処理(ステップS2)を行う。次に、発信元の電話番号がシステムRAM3内の電話帳に登録されているか否かを判断する(ステップS3)。そして、登録されている場合は、登録されている名前に対応したMIDIデータを楽曲再生部12へ転送する(ステップS4)。
【0018】
楽曲再生部12へ送られたMIDIデータは、インターフェイス15を介してシーケンサ16へ送られ、一時記憶される。シーケンサ16はそのMIDIデータのNoteデータを発音パラメータに変換し、プログラム#と共に順次WT音源17へ出力する。WT音源17は、プログラム#に基づいて音色ROM19内の波形データを選択し、発音パラメータに対応する速度でその波形データを読み出し、D/A変換器20へ出力する。D/A変換器20はWT音源17の出力をアナログ信号に変換し、スピーカ13へ出力する。これにより、発信元の氏名の母音音声にNoteデータに基づくメロディが付与され発音される。例えば、発信元の氏名が「青木」であったとすると、「あおい」という音声がメロディ付きでスピーカ13から発音される。
【0019】
次に、システムCPU1は、システムRAM3の汎用サンプルテーブル(図6)から、「さんから」に対応したMIDIデータを読み出し、楽曲再生部12へ転送する(ステップS5)。転送されたMIDIデータは、楽曲再生部12において、上記と同様にして母音音声に変換され、スピーカ13へ出力される。これにより、「あんああ」という音声がスピーカ13から発生する。
次に、システムCPU1は、システムRAM3の汎用サンプルテーブル(図6)から、「電話だよ」に対応したMIDIデータを読み出し、楽曲再生部12へ転送する(ステップS6)。これにより、「電話だよ」の各語の母音である「えんああお」」という音声がスピーカ13から発生する。
【0020】
次に、システムCPU1は、入力キー4のオフフックボタンが操作されたか否かを判断する(ステップS7)。そして、その判断結果が「NO」であった場合は、ステップS4〜S6を繰り返す。一方、判断結果が「YES」であった場合は、着信メロディ再生終了処理を行い(ステップS8)、次いで通話処理を行う(ステップS9)。そして、入力キー4のオンフックボタンが押されると(ステップS10)、処理を終了する。
【0021】
このように、上記携帯端末装置は、例えば、青木さんから電話があった場合に、「青木さんから電話だよ」という言葉の各語を母音に変換した「あおいあんああえんああお」という音声をスピーカ13から着信メロディとして発生する。
また、図7のステップS3の判断が「NO」であった場合、すなわち、電話帳に登録されていない人から受信電話があった場合は、ステップS4、S5をジャンプしてステップS6へ進む。これにより、「電話だよ」の母音発音のみが行われる。
【0022】
次に、メールが着信した場合は、ステップS1の判断結果が「NO」となり、ステップS12へ進む。ステップS12では、メール着信か否かが判断される。そして、メールであった場合は、液晶表示器5にメール着信表示が行われる(ステップS13)。次に、システムCPU1は、着信アドレスが電話帳に登録されているか否かを判断する(ステップS14)。そして、その判断結果が「YES」の場合は、登録されている名前に対応したMIDIデータを電話帳から読み出し、楽曲再生部12へ転送する。これにより、メール発信元の名前の母音がスピーカ13から発生する。
【0023】
次に、システムCPU1は、汎用サンプルテーブルから「さんから」に対応するMIDIデータを読み出し、楽曲再生部12へ転送する(ステップS16)。これにより、「さんから」の各語の母音がスピーカ13から発生する。次に、システムCPU1は、汎用サンプルテーブルから「メールだよ」に対応するMIDIデータを読み出し、楽曲再生部12へ転送する(ステップS17)。これにより、「メールだよ」の各語の母音がスピーカ13から発生する。
また、ステップS14の判断結果が「NO」の場合は、ステップS15、S16をジャンプしてステップS17へ進む。これにより、「メールだよ」の母音発音のみが行われる。
【0024】
なお、上述した実施形態においては、ユーザがマイクロフォン10に向かって発音し、その発音された語がMIDIデータに変換されるようになっているが、これに代えて、システムROM2内に予めテキストデータを母音に変換する母音データベースDB2(図示略)を記憶させておき、図8に示すように、入力キー4からテキストデータを入力し、入力したテキストデータをシステムCPU1が母音データベースDB2を用いて母音に変換し、さらに、その母音をMIDIデータに変換し、システムRAM3へ登録(リアルタイム再生の場合は楽曲再生部12へ出力)するようにしてもよい。
【0025】
また、音楽や別の効果音と同期させて上述した母音着信メロディを再生するようにしてもよい。
また、WT音源17は、PCM方式でもADPCM方式でもよく、さらに、「あ」〜「お」、「ん」の音声が合成できるのであれば、WT音源以外の他の音源、例えばFM音源でもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による着信音は、母音によって言葉の雰囲気を伝えるに止めており、第三者は何を言っているか分からず、一方、ユーザは何を言っているのか、何の着信かを知ることができる。言葉がはっきりしないことで、聞いていて何か新しく面白く、しかも、周りに迷惑がかからない利点がある。また、データ量が特別大きくならないで、何の着信かを知らせることができる利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によつ携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態におけるシステムROM2内の母音データベースDB1を示す図である。
【図3】図1における音声CODEC8の一部構成を示すブロック図である。
【図4】図1における楽曲再生部12の構成を示すブロック図である。
【図5】図4のシーケンサ16へ供給されるMIDIデータを示す図である。
【図6】図1のシステムRAM3内に作成される汎用サンプルテーブルおよび電話帳の構成を示す図である。
【図7】図1に示す携帯端末装置の着信時の動作を示す図である。
【図8】図5に示すMIDIデータの他の生成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…システムCPU、2…システムROM、3…システムRAM、4…入力キー、6…通信部、8…音声CODEC、9…イヤスピーカ、10…マイクロフォン、12…楽曲再生部、13…スピーカ16…シーケンサ、17…WT音源、19…音色ROM、20…D/A変換器。
Claims (4)
- 外部からの無線による着信を受け、着信を知らせる着信音を発生する携帯端末装置において、
着信内容に応じた音声の各語の母音を示す母音データの列が記憶された記憶手段と、
着信があった時、その着信内容に対応する母音データ列を前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された母音データ列をアナログ母音信号に変換する変換手段と、
前記変換手段の出力を前記着信音として発音するスピーカと、
を具備することを特徴とする携帯端末装置。 - 前記母音データ列の各母音データに各々、音高を指示する音高データが付加され、前記変換手段は前記母音データ列の各母音データを前記音高データに基づく音高のアナログ母音信号に変換し出力することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
- 通話用マイクロフォンによって入力された音声を母音データ列に変換し、前記記憶手段に記憶させる母音データ列生成手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯端末装置。
- 入力キーから入力された文字データ列を母音データ列に変換し、前記記憶手段に記憶させる母音データ列生成手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯端末装置。
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