JP3577670B2 - 建設機械のバケット - Google Patents

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貴宏 岩本
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械に装備され、例えば土砂の掘削、積込みなどに用いられるバケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
建設機械に装備されるバケットの典型例について、図4及び図5を参照して説明する。全体を番号30で示すバケットは、略U字形状に曲げられた底板32と、この底板32の幅方向両側部に溶接された一対の側板34a、34bと、底板32の曲げ方向の一端部に溶接された補強部材36と、底板32の外面の側に位置し底板曲げ方向に延びて、建設機械に連結される実質的に同一の一対の連結板38、38とを備えている。底板32の曲げ方向の他端部には複数個の掘削刃40が取付けられている。
【0003】
連結板30の、底板曲げ方向の他端部側の端部である後端部38aは、徐々に高さを低くして延び、底板32に溶接されている。連結板38はピン孔を2個備え、建設機械の例えば作業腕にピンによって装着される(この装着の具体例については後の発明の実施の形態において述べる)。
【0004】
上述のごとく構成されたバケット30において、例えば底板32の他端部に取付けられた掘削刃40に土砂の掘削などにより大きな荷重が加わると、連結板38の後端部38aには高い応力が発生しやすい。
そこでこの応力を減らす対策として、
(1)後端部38aを長く延ばすことにより応力を分散させる。
(2)後端部38aと底板32との板の両側及び先端の溶接を入念に行い、また溶接ビードの表面、溶接止端などを応力が集中しないようにグラインダにより滑らかに仕上げる。
(3)さらに、比較的板厚の薄い底板32と後端部38aとの間に座板(図示していない)を追加したり、底板32の外面の掘削刃40の側に取付けられている底面補強板42を連結板38の部分まで延長してこれを後端部38aの座板とする、などが施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって従来の建設機械のバケットには、次のとおりの解決すべき問題がある。
【0006】
(1)コストの増加:
バケットに上述のような対策を実施すると、連結板38の延長、座板の追加、座板補強板の延長、溶接部の増加、仕上作業の増加など、材料、作業工程などが増えるため、製造コストが増加する。
【0007】
(2)連結板と底板との溶接部の破損:
また、バケットの主要部分を構成する底板32は、バケット重量への影響が大きいために重量が大きくならないように、板厚は他の部材に比べて薄いので、連結板38と底板32との溶接部が破損しやすい。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、バケットの建設機械に連結される連結板の部分に、強度的に有効な板組構造を提供するとともに、バケットの製造コストを増加させないようにし、また連結板と底板との溶接部の破損問題を除くことができるようにした、建設機械のバケットを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記技術的課題を解決するバケットとして、略U字形状に曲げられた底板と、この底板の曲げ方向に直交する幅方向の両側部に溶接された一対の側板と、底板の曲げ方向の一端部に端部を重ね溶接された補強部材と、底板曲げ方向に延びて底板の外面側に位置し補強部材に溶接された、建設機械に連結される一個以上の連結板とを備え、該連結板は、底板曲げ方向の他端部側の端が、補強部材と底板との該重ね部分に位置付けられ、かつこの端は該補強部材に溶接されていない、ことを特徴とする建設機械のバケットが提供される。
【0010】
そして、連結板の端を、底板の部分にまで延ばさないで、補強部材の底板と重ねられた部分で止め、かつこの端と補強部材とは溶接しないで、連結板の端部に高い応力が発生しないようにして、強度的に有効で構造の簡単な板組構造を提供し、従来の連結板と底板との溶接部の破損問題を除き、コストも増加しないようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された建設機械のバケットについて、建設機械の典型例である油圧ショベルにおける好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0012】
図1を参照して先ず油圧ショベルについて説明する。全体を番号2で示す油圧ショベルは、下部走行体4と、下部走行体4上に水平方向に旋回自在に取付けられた上部旋回体6と、上部旋回体6に上下方向に揺動自在に取付けられた作業腕8とを備えている。そしてバケット10が作業腕8の先端に取付けられている。上部旋回体6には運転室12が備えられている。
【0013】
作業腕8は、上部旋回体6に揺動自在に取付けられたブーム8a、及びブーム8aの先端に揺動自在に取付けられたアーム8bを備え、バケット10はアーム8bの先端に回動軸線Xを中心に揺動自在に取付けられている。上部旋回体6とブーム8aの間にはブーム作動シリンダ8cが、ブーム8aとアーム8bの間にはアーム作動シリンダ8dが、アーム8bとバケット10の間にはバケット作動シリンダ8eがそれぞれ備えられている。
【0014】
バケット10について図2及び図3を参照して説明する。バケット10は、略U字形状に曲げられた底板14と、この底板14の曲げ方向に直交する幅方向の両側部に溶接された一対の側板16a、16bと、底板14の曲げ方向の一端部18に端部を重ね溶接された補強部材20と、底板曲げ方向に延びて底板14の外面側に位置し補強部材20に溶接された、図1に示す油圧ショベル2の作業腕8bに連結される実質的に同一の一対の連結板22、22とを備えている。底板14の曲げ方向の他端部19側の端には、複数個の掘削刃24が取付けられている。また底板14の他端部19側の外面には、複数個の底面補強板26が溶接されている。
【0015】
補強部材20は、矩形の平板の長手方向の一端部が底板14の一端部18の外面に溶接された板部材20aと、板材を山形状の断面に曲げ成形した板部材20aの上にその長手長さと同じ長さを有して溶接された山形部材20bとを備えている。補強部材20の長手方向の両端部はそれぞれ左右の側板16a、16bに当接され溶接されている。
【0016】
連結板22は、補強部材20の板部材20a及び山形部材20bの上に立設され、一対がバケット10の幅方向に所定の間隔を置いて溶接されている。なお、連結板22の、底板曲げ方向の他端部19側の端部22aは、補強部材20と底板14との重ね部分28に位置付けられ、かつこの端22aは補強部材20(板部材20a)に溶接されていない。連結板22には、一対のピン孔Z1及びZ2が備えられている。
【0017】
上述のごとく構成されたバケット10は、図1に示すごとく、ピン孔Z1がアーム8bの先端の回動軸線Xに位置付けられてピンにより連結され、ピン孔Z2はバケットシリンダ8eに連結するリンクにピンにより連結される。そして、運転室12でバケット作動シリンダ8eを伸縮作動操作することにより、バケット10はアーム8bの先端の回動軸線Xを中心に回動される。
【0018】
上述したとおりの建設機械のバケット10の作用についてを説明する。
【0019】
(1)コストの増加防止:
バケット10においては、連結板22を底板14の他端部19側に向けて延長する必要がなくなるので、材料費、溶接工程を削減できる。また、連結板22は補強部材20に溶接されるので座板を溶接する必要がなく、材料費、溶接費用を低減できる。さらに、底板14の外面の底面補強板26を連結板22の部分まで延長して連結板22の端部22aの座板にする必要もなく、材料費、溶接費を低減できる。したがって、製造コストの増加を防止することができる。
【0020】
(2)連結板と底板との溶接部の破損防止:
またバケット10においては、連結板22を比較的板厚の薄い底板14に直接溶接接合しないので、底板14の破損を防止できる。
【0021】
(3)バケットの強度増加:
さらに、連結板22の端部22aは溶接されないので、高応力の発生が防止される。そして補強部材20は、バケット10の主要部材である底板14よりもバケット10への重量増の影響が少ないので、板厚を厚くすることが可能であり、バケット10の連結板22の部分の強度を容易に増加させることができる。
【0022】
(4)油圧ショベルに好適:
バケット10のような、底板14の曲げ方向の一端に連結板22が備えら他端に掘削刃24が備えられるバケット構造は、バケットシリンダ8eの力あるいは掘削刃24にかかる荷重が連結板22に大きく作用する油圧ショベルのバケットに好適である。
【0023】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0024】
例えば、本発明の実施の形態においては、連結板22は一対備えられているが、装着される建設機械の種類、形態に応じて、1個、あるいは3個以上であってもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明に従って構成された建設機械のバケットによれば、バケットの建設機械に連結される連結板の部分に、強度的に有効な板組構造を提供するとともに、バケットの製造コストを増加させないようにし、また連結板と底板との溶接部の破損問題を除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されたバケットを備えた典型的な建設機械である油圧ショベルの側面図。
【図2】図1に示すバケットを底板の外面側から見た斜視図。
【図3】図2のA部の拡大断面図。
【図4】従来のバケットを図2と同じ状態で示した斜視図。
【図5】図4のB部の拡大断面図。
【符号の説明】
2:油圧ショベル(建設機械)
10:バケット
14:底板
16a:側板
16b:側板
20:補強部材
22:連結板
28:重ね部分
30:バケット
38:連結板

Claims (2)

  1. 略U字形状に曲げられた底板と、この底板の曲げ方向に直交する幅方向の両側部に溶接された一対の側板と、底板の曲げ方向の一端部に端部を重ね溶接された補強部材と、底板曲げ方向に延びて底板の外面側に位置し補強部材に溶接された、建設機械に連結される一個以上の連結板とを備え、
    該連結板は、底板曲げ方向の他端部側の端が、補強部材と底板との該重ね部分に位置付けられ、かつこの端が該補強部材に溶接されていない、ことを特徴とする建設機械のバケット。
  2. 該建設機械が油圧ショベルである、請求項1記載の建設機械のバケット。
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