JP3577346B2 - 椅子の床下収納機構 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多目的ホールの観覧席などに使用される床下収納式の椅子の収納構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
多目的ホールなどではスペースの有効利用の観点から観覧席の椅子を床下に収納する椅子収納機構を備えたものがある。観覧席を必要としない時には椅子を床下に収納し、その上を通常の床面として使用するためである。
【0003】
このような、椅子の収納機構として例えば実開昭63−45643号では、座面を背もたれに向けて折り畳んだ椅子を前方へと傾倒させ、床下に構成されたボックスフレームに収納する構造が提案されている。ボックスフレームの上面の前後の端部には分割された床蓋がそれぞれヒンジ結合し、椅子収納時にはこれらの床蓋がボックスフレームを覆うことで床面を形成する。また、椅子使用時には両方の床蓋を起立位置に回動し、椅子を使用状態にセットした後、前方の床蓋のみをボックスフレーム上に倒伏させる。
【0004】
また、特開平1−131758号には座面を背もたれに向けて折り畳んだ椅子を、そのまま昇降させる収納機構が提案されている。この収納機構の場合には椅子が垂直に昇降するため、ボックスフレームの開口面積が小さくなる。したがって、前後に分割した床蓋のうち後方の床蓋のみを開閉式とし、前方の床蓋はボックスフレームに固定したままで良い。
【0005】
【発明の課題】
これらのいずれの収納機構においても、椅子使用時には後方の床蓋を椅子の背もたれの後方に起立させておく必要があった。しかし、起立した床蓋は着座時の足元のスペースを狭め、前後の椅子の列間を歩行する際に邪魔になるという問題があった。また、いずれの収納機構においても椅子の収納構造や起立した床蓋との干渉防止のために、背もたれの後傾角度を大きく設定することができないという問題があった。。
【0006】
さらに、実開昭63−45643号の収納機構は椅子を前方へ略直角に倒した状態で収納するので、ヒンジから背もたれの頂部に至る椅子の高さが椅子の前後の配置間隔を越えることができないという寸法上の制約があった。
【0007】
本発明は、従来の椅子収納機構のこうした問題点を解決すべくなされたもので、床下収納式の椅子において通常の固定式の椅子と変わりない使い勝手や座り心地を実現することを目的とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明は、床下に設けたボックスフレームと、ボックスフレームの上面に形成された椅子昇降用の開口部と、椅子格納状態でこの開口部を覆う開閉式の床蓋と、椅子をボックスフレーム上の使用位置とボックスフレームの内側の格納位置との間で変位させる手段とを備えた椅子の床下収納機構において、ボックスフレームの上端の後部から前方へ向かって下向きに湾曲した第1ガイド11と、上端をやや前傾させてボックスフレームの前部に上下方向に配設された第2ガイド12と、床蓋4の後部の両側面に取り付けられて第1ガイド11に沿って転動する第1ローラ13と、床蓋4の前部から斜め下向きに前方へ突出したアーム15の先端に取り付けられて第2ガイド12に沿って転動する第2ローラ14と、を備えている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、椅子の変位手段を、椅子を使用位置と格納位置との間で案内する上端を斜め後方へ傾倒したガイドと、このガイドに沿って椅子を移動する手段とで構成している。
【0010】
請求数3の発明は、請求項1の発明において、床蓋と同一の平面形状と面積を有する床部材を椅子の下端に一体に設けている。
【0011】
【作用】
請求項1の発明は、床蓋をガイドの案内によりボックスフレーム内に格納するようにしたので、椅子使用時には床蓋が床下に格納され、床上に突出しない。
【0012】
請求項2の発明は、椅子を案内するガイドの上端を斜め後方へ傾倒させたので、背もたれを後傾させた椅子でもボックスフレームと干渉せずに開口部を通過できる。
【0013】
請求項3の発明は、床蓋と同一の形状と面積を有する床部材を椅子の下端に設けたので、椅子使用時には、この床部材が床蓋と同一位置で床の一部を構成し、椅子の下の開口部を閉鎖する。
【0014】
【実施例】
図1〜図9に本発明の実施例を示す。
【0015】
図1において、1は椅子2を収納するボックスフレームであり、その上面に固定床部3と開閉式の床蓋4を備える。
【0016】
椅子2は図2と3に示すように横方向に複数人分を一体に結合したもので、折り畳み可能な座面2Aと固定された背もたれ2Bとを備え、要所に設けた脚部5を介して床蓋4と同一の平面形状と面積を備えた床部材6と一体に結合する。
【0017】
床部材6を椅子2とともに昇降させる手段として、ボックスフレーム1の内側にスクリューロッド8が設けられ、スクリューロッド8に螺合するトラベルナット7が床部材6を支持する。
【0018】
スクリューロッド8はボッスクフレーム1の内部に上端を後傾した状態で上下方向に配設され、ボックスフレーム1の底部に設けた電動機9により減速機16を介して回転駆動され、トラベルナット7を介して床部材6を椅子2とともに昇降させる。
【0019】
一方、この昇降を案内するために、ガイド10がボッスクフレーム1の両側面の内側に2本ずつスクリューロッド8と平行に配置され、床部材6の両側面にはこれらのガイド10に案内されるベアリングブロックが取り付けられる。
【0020】
床蓋4は図1に示す閉鎖位置と図4に示す格納位置との間で移動する。このために、床蓋4を案内するガイド11と12とがボックスフレーム12の両側面にそれぞれ配設される。
【0021】
ガイド11はボックスフレーム1の上端の後部から前方へ向かって下向きに湾曲し、ガイド12は上端をやや前傾させてボックスフレーム1の前部に上下方向に配設される。ガイド11に沿って転動するローラ13が床蓋4の後部の両側面に取り付けられる。また、床蓋4の前部には斜め下向きに前方へ突出するアーム15が固着し、アーム15の先端にガイド12に沿って転動するローラ14が取り付けられる。
【0022】
ボックスフレーム1内には床蓋4の移動手段として、スクリューロッド17がボックスフレーム1の前面に沿って上下方向に配設され、スクリューロッド17に螺合するトラベルナット18がアーム15の先端を支持する。
【0023】
スクリューロッド17はボックスフレーム1の底部に設けた電動機19により減速機20を介して回転駆動され、トラベルナット18を介してアーム15をガイド12に沿って上下方向に移動する。これに伴い、アーム15と一体の床蓋4は後端をガイド11に沿って変位させながら、図1に示す閉鎖位置と図4に示す格納位置との間で変位する。なお、トラベルナット18はアーム15とは結合せず、水平方向に相対変位可能にアーム15を支持する。
【0024】
次に作用を説明する。
【0025】
図1〜3は椅子2の格納状態を示す。この状態ではボックスフレーム1の開口部は床蓋4に閉鎖され、床蓋4と固定床部3が床面を構成している。
【0026】
椅子2を使用位置にセットするには、この状態からまず電動機19を運転し、トラベルナット18を降下させる。これによりトラベルナット18に支持されたアーム15の先端がガイド12に沿って下降し、ローラ13をガイド11に案内された床蓋4が図5に示すように先端を下向きに回動しながら前方へと移動する。ガイド12が傾いているため床蓋4の先端は移動開始直後には略真下に向かって、固定床部3の端部と干渉することなく移動する。
【0027】
なお、ガイド12を垂直に配設した場合でも、図6に示すようにガイド12の上部を斜めに屈折させるか、あるいは、図7に示すように固定床部3の端部に斜めの切欠21を形成しておくことで、閉鎖位置近傍での床蓋4と固定床部3との干渉防止を図ることができる。
【0028】
トラベルナット18がスクリューロッド17の下部まで降下することで、床蓋4は図4に示すように固定床部3の下側の格納位置に格納される。
【0029】
次に電動機9を運転し、スクリューロッド8を回転駆動する。これにより、トラベルナット7が床部材6と床部材6上に一体に構成された椅子2を支持して上昇する。
【0030】
床部材6が固定床部3と同一平面をなす高さまで上昇したら、電動機9の運転を停止する。これにより、椅子2は床部材6と固定床部3が構成する床面上に脚部5を介して支持される。スクリューロッド8とガイド10とが上端を後傾していのるので、椅子2は上方のみならず、後方へも移動し、使用位置においては背もたれ2Bの上端はボックスフレーム1の開口部よりさらに後方へ後傾した位置で支持される。
【0031】
床部材6は床蓋4と同一の平面形状と面積とを有するため、ボックスフレーム1の開口部は床部材6によって完全に閉鎖される。したがって、ボックスフレーム1には隙間ができず、隙間からボックスフレーム1の内側にものが落ちるなどの不都合が発生する恐れはない。また、床蓋4はボックスフレーム1内に格納され、床面上に全く突出しないので邪魔にならない。
【0032】
ボックスフレーム1を図8に示すように階段式に配置した場合には、床部材6と後方のボックスフレーム1の固定床部3との間に段差22が生じるが、この段差22は後傾した背もたれ2Bの下に位置するため、椅子2に沿って横方向に移動する人間の足がこの隙間に挟まりにくい環境が得られる。また、このように後傾した背もたれ2Bにより、通常の固定式の椅子と変わらない好ましい座り心地が得られる。なお、背もたれ2Bの高さはあらかじめボックスフレーム1の高さを背もたれ2Bの高さに合わせて設計することで、任意に設定可能である。
【0033】
図2に示す使用位置から格納位置への椅子2の移動は次のように行われる。
【0034】
まず、椅子2の座面2Aを畳み、電動機9の運転によりトラベルナット7を下降させる。椅子2はボックスフレーム1の開口部を上昇時とは逆向きに通過して図1に示す格納位置へと降下する。
【0035】
椅子2が所定の格納位置に来たら電動機9を停止し、電動機19の運転により、トラベルナット18を介して床蓋4を閉鎖位置へと上昇させる。床蓋4はガイド11と12に案内され、開動時とは逆向きに移動して閉鎖位置に到達する。
【0036】
このようにして、電動機9と19の運転により、椅子2の設置と格納とを容易に行うことができる。
【0037】
床面を階段状とせずに、図9に示すように平坦に構成した場合でも、同様に椅子2を快適に使用できることは言うまでもない。
【0038】
なお、上記実施例では、ガイド10をボッスクフレーム1の両側面に2本ずつ設けているが、これは1本ずつでも良い。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、椅子使用時には床蓋をガイドと移動手段によりボックスフレーム内に移動して格納するようにしたので、椅子使用時に床面上に床蓋が突出して足元のスペースを狭めたり、歩行の邪魔になるの不具合を防止できる。
【0040】
請求項2の発明は、椅子を案内するガイドの上端を後傾させたので、背もたれを後傾させた椅子をボックスフレームの開口部と干渉せずに通過させることが可能となり、椅子の座り心地が改善されるとともに、階段式の床面構成においては椅子の背後の段差を背もたれが覆うことで、椅子に沿って横方向に歩行する人間が段差に足を取られる不具合が起きにくい環境が得られる。
【0041】
請求項3の発明は、床蓋と同一平面形状と面積の床部材を椅子の下端に一体に構成したので、椅子の使用時には床部材がボックスフレームの開口部を隙間なく閉鎖し、隙間からボックスフレーム内にものが落ちる不具合を防止できる。
【0042】
したがって、本発明によれば床下収納式の椅子を用いて通常の固定式の椅子と変わらない好ましい使用環境を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す椅子を格納した状態の収納機構の縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】椅子を使用可能状態に支持した収納機構の縦断面図である。
【図5】床蓋の移動経路を説明する収納機構上部の縦断面図である。
【図6】床蓋を案内するガイドについて別の構成を示す収納機構要部の縦断面図である。
【図7】固定床部の形状に関する別の構成を示す固定床部と床蓋の要部縦断面図である。
【図8】階段状の床面に適用した収納機構の概略縦断面図である。
【図9】平坦な床面に適用した収納機構の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 ボックスフレーム
2 椅子
4 床蓋
6 床部材
7,18 トラベルナット
8,17 スクリューロッド
9.19 電動機
10,11,12 ガイド
Claims (3)
- 床下に設けたボックスフレームと、ボックスフレームの上面に形成された椅子昇降用の開口部と、椅子格納状態でこの開口部を覆う開閉式の床蓋と、椅子をボックスフレーム上の使用位置とボックスフレームの内側の格納位置との間で変位させる手段とを備えた椅子の床下収納機構において、ボックスフレームの上端の後部から前方へ向かって下向きに湾曲した第1ガイドと、上端をやや前傾させてボックスフレームの前部に上下方向に配設された第2ガイドと、床蓋の後部の両側面に取り付けられて第1ガイドに沿って転動する第1ローラと、床蓋の前部から斜め下向きに前方へ突出したアームの先端に取り付けられて第2ガイドに沿って転動する第2ローラと、を備えたことを特徴とする椅子の床下収納機構。
- 椅子の変位手段が、椅子を使用位置と格納位置との間で案内する上端を斜め後方へ傾倒したガイドと、このガイドに沿って椅子を移動させる手段である請求項1に記載の椅子の床下収納機構。
- 前記床蓋と同一の平面形状と面積を有する床部材を椅子の下端に一体に設けた請求項1に記載の椅子の床下収納機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21128694A JP3577346B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 椅子の床下収納機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21128694A JP3577346B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 椅子の床下収納機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0870950A JPH0870950A (ja) | 1996-03-19 |
JP3577346B2 true JP3577346B2 (ja) | 2004-10-13 |
Family
ID=16603425
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21128694A Expired - Fee Related JP3577346B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 椅子の床下収納機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3577346B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018082803A1 (de) * | 2016-11-04 | 2018-05-11 | Waagner-Biro Bavaria Stage Systems Gmbh | Sitzsystem sowie mit einem derartigen sitzsystem ausgerüsteter saal |
-
1994
- 1994-09-05 JP JP21128694A patent/JP3577346B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018082803A1 (de) * | 2016-11-04 | 2018-05-11 | Waagner-Biro Bavaria Stage Systems Gmbh | Sitzsystem sowie mit einem derartigen sitzsystem ausgerüsteter saal |
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JPH0870950A (ja) | 1996-03-19 |
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