JP3576823B2 - 炭酸ガス吸収材、その製造方法および炭酸ガス分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラントにおいて燃料ガスまたは排気ガス中から炭酸ガスを分離回収する目的で使用される炭酸ガス吸収材、その製造方法および炭酸ガス分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば排ガス中からの炭酸ガス分離方法としては、酢酸セルロース膜による方法、アルカノールアミン系溶媒による化学吸収プロセスによる方法等が知られている。
【0003】
しかしながら、いずれの方法も使用される膜や溶媒などの材料の耐熱性から導入ガス温度の上限を200℃程度に抑える必要があった。したがって、高温の排気ガスを排出するシステムから炭酸ガスを分離する場合、排気ガスが持つ熱を利用できるにもかかわらず、熱交換等による冷却を必要とし、結果的に炭酸ガス分離のために消費するエネルギーが大きくなるため、幅広い利用が妨げられていた。
【0004】
このようなことから、本出願人はリチウム化ジルコニア、アルカリ金属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物から選ばれる少なくとも1つの化合物を用いた炭酸ガスの分離方法(特開平9−99214号公報)を提案した。この方法は、高温の排気ガス中からの冷却工程を経ずに炭酸ガスの分離行をうことができる。
【0005】
また、前記公開公報にはリチウム化ジルコニア粒子を溶剤およびバインダを添加してスラリーとし、これをドクターブレード法により気孔率が55%程度のフィルとし、脱脂した後、この多孔質フィルムに炭酸リチウムと炭酸カリウムの混合炭酸塩を溶融含浸した炭酸ガス吸収材を用いることが開示されている。
しかしながら、前記公報に開示された炭酸ガス吸収材は初期の炭酸ガス吸収性能が必ずしも十分満足するものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を提供しようとするものである。
本発明の別の目的は、使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を安定的に得ることが可能な炭酸ガス吸収材の製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、エネルギープラント等から排出される炭酸ガスを比較的低温で効率よく吸収することが可能な炭酸ガス吸収材を提供しようとするものである。
本発明のさらに別の目的は、使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を備えた炭酸ガス分離装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる炭酸ガス吸収材は、リチウム化ジルコニアをマトリックスとし、このマトリックスに炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物が分散された一次粒子を含有し、かつ前記共晶化合物の一部が前記一次粒子の表面に露出していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係わる炭酸ガス吸収材の製造方法は、前記構成の炭酸ガス吸収材の製造方法であって、
ジルコニア粉末と炭酸リチウム粉末の混合粉末からなる第1原料成分と、アルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物粉末、炭酸塩粉末およびアルカリ土類金属の酸化物粉末、炭酸塩粉末から選ばれる少なくとも1つの粉末からなる第2原料成分とを混合する工程;および
前記混合粉末を加熱して反応させる工程;
を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係わる別の炭酸ガス吸収材は、一般式LixZrOy[ただし、xは2、yは(x+4)/2を示す]で表わされるリチウム化ジルコニアからなる第1相と、
前記一般式のxが4,6,8で表わされる少なくとも1つのリチウム化ジルコニアからなる第2相と
が共存することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係わる炭酸ガス分離装置は、ガスの入口部および出口部を有する反応塔;および
前記反応塔内に充填された前記構成の炭酸ガス吸収材;
を具備したことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる炭酸ガス吸収材を詳細に説明する。
本発明の炭酸ガス吸収材は、図1に示すようにリチウム化ジルコニアをマトリックス1とし、このマトリックス1に炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物2が分散された一次粒子3を含有する。
【0013】
ここで、一次粒子とは多くの粒子が存在する状態(粉体)の中で、個々の粒子が他の粒子と凝集していないで、単独に存在している状態を意味する。
前記リチウム化ジルコニア(Li2 ZrO3 )は、例えば酸化イットリウムのようなランタノイド元素酸化物および酸化カルシウム、酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属元素酸化物から選ばれる少なくとも1つの元素が固溶されることを許容する。前記リチウム化ジルコニアに対する前記酸化物の固溶量は、1〜10モル%にすることが好ましい。前記酸化物の固溶量を1モル%未満すると、その固溶効果であるリチウム化ジルコニアの結晶構造の安定化を十分に発揮することが困難になる。一方、前記酸化物の固溶量が10モル%を超えると、リチウム化ジルコニア以外のジルコニア化合物が生成される恐れがある。より好ましい前記酸化物の固溶量は、3〜10モル%である。
【0014】
前記共晶化合物としては、例えば炭酸リチウムと炭酸カリウムの共晶化合物、炭酸リチウムと炭酸ナトリウムと酸化マグネシウムとの共晶化合物等を挙げることができる。
【0015】
前記一次粒子中の前記共晶化合物は、その一部が表面に露出することが好ましい。
前記一次粒子中の前記共晶化合物は、前記マトリックスであるリチウム化ジルコニアに対して1〜35モル%分散されることが好ましい。前記共晶化合物の分散量を1モル%未満にすると、使用初期の炭酸ガス吸収性能を十分高めることが困難になる恐れがある。一方、前記共晶化合物の分散量が35モル%を超えると、炭酸ガスの吸収に直接寄与するリチウム化ジルコニア量が相対的に低下して、一次粒子当たりに吸収し得る炭酸ガス量が低下する恐れがある。より好ましい前記共晶化合物の分散量は、5〜33モル%である。
【0016】
前記一次粒子は、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。このような一次粒子中に分散される前記共晶化合物は、平均粒径が前記一次粒子の平均粒径の1/1000〜1/10であることが好ましい。
【0017】
前記一次粒子は、前記共晶化合物の一部が表面に露出していることが好ましい。表面に露出される前記共晶化合物は、前記マトリックスに分散される全ての共晶化合物に対して10〜30体積%占めることが好ましい。
【0018】
本発明に係わる炭酸ガス吸収材においては、前記一次粒子を多数集合された形態または多数の前記一次粒子をバインダと共にスラリー化し、成形、脱脂することにより作られた多孔質体の形態で使用される。ただし、前記集合物や多孔質体にはリチウム化ジルコニア粒子を50体積%以下の量で混在させることを許容する。
【0019】
以上説明した本発明によれば、使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を提供することができる。
すなわち、リチウム化ジルコニア(Li2 ZrO3 )は、下記式(1)によって炭酸ガスを吸収する。
【0020】
前記リチウム化ジルコニアによる炭酸ガスの吸収は、基本的に固気反応である。つまり、炭酸ガスはリチウム化ジルコニア固体の表面に存在することから、炭酸ガスの吸収速度はリチウム化ジルコニア中の炭酸ガスの獲得因子であるリチウムイオンのリチウム化ジルコニア固体表面への拡散速度により律速される。ただし、表面に拡散したリチウムイオンと炭酸ガスとの反応によりリチウム化ジルコニア固体表面に液相の炭酸リチウムが生成されると、その後の反応はこの液相炭酸リチウムを媒介とした炭酸ガスの前記液相の炭酸リチウムへの拡散、リチウムイオンは前記液相の炭酸リチウムへの拡散が起こる。このため、炭酸ガスの吸収反応が促進される。
【0021】
このようにリチウム化ジルコニアのみからなる炭酸ガス吸収材は、反応過程で液相の炭酸リチウムが生成されて炭酸ガスの吸収速度が促進されるものの、その反応は表面から内部に向かって進行するため、炭酸ガス吸収速度は自ずと制限される。
【0022】
これに対し、本発明に係わる炭酸ガス吸収材は前述した図1に示すようにリチウム化ジルコニアのマトリックス1に炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物2が分散された一次粒子3を含有する構成をなしている。
【0023】
このような一次粒子に炭酸ガスを接触させる際、その接触温度を前記一次粒子に分散された共晶化合物の融点以上の温度に設定することにより、前記共晶化合物が液相状態になると共に相互に繋がって表面から内部に向かって枝状の液相共晶化合物が形成される。
【0024】
その結果、一次粒子の表面に存在する炭酸ガスは前記枝状の液相共晶化合物を通して内部まで拡散する。一方、マトリックスであるリチウム化ジルコニア中の炭酸ガスの獲得因子であるリチウムイオンは内部まで延出された前記枝状の液相共晶化合物に向かって容易に拡散される。つまり、一次粒子のリチウム化ジルコニア中のリチウムイオンが炭酸ガスに到達するまでの距離が実質的に短くなると共に内部に存在するリチウム化ジルコニア中のリチウムイオンが炭酸ガスに到達する機会が増大する。故に、リチウム化ジルコニアをマトリックスとする一次粒子は表面のみならず内部においても炭酸ガスとリチウム化ジルコニアとが前記式(1)に従って速やかに反応するため、炭酸ガスの吸収速度を高めることができる。
【0025】
したがって、本発明によれば炭酸ガスを接触させる際、表面から内部に向かって枝状の液相共晶化合物に形成することによって、前記液相共晶化合物がリチウム化ジルコニア中のリチウムイオンを炭酸ガスに到達させるための橋渡しの役目を果たす。その結果、使用初期から高い炭酸ガスの吸収性能を有する炭酸ガス吸収材を得ることができる。
【0026】
また、一次粒子に分散される共晶化合物の融点はリチウム化ジルコニアが炭酸ガスと反応して前記式(1)に示す炭酸リチウムを生成する温度に比べて低いため、炭酸ガス吸収温度を下げることが可能になる。
【0027】
次に、前述した炭酸ガス吸収材の製造方法を説明する。
(第1工程)
まず、(a)ジルコニア粉末と炭酸リチウム粉末の混合粉末からなる第1原料成分と、(b)アルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物粉末、炭酸塩粉末、アルカリ土類金属の酸化物粉末、炭酸塩粉末から選ばれる少なくとも1種の粉末からなる第2原料成分とを混合する。
【0028】
前記第1原料成分(a)であるジルコニアと炭酸リチウムは、リチウム化ジルコニアを生成するための原料である。ここで用いられるジルコニアは、化学式;ZrO2 で表わされるの他に、例えば酸化イットリウムのようなランタノイド元素の酸化物、MgO,CaOのようなアルカリ土類金属元素の酸化物を固溶したジルコニアを挙げることができる。このような酸化物の固溶量は、ジルコニアに対して1〜10モル%にすることが好ましい。前記酸化物の固溶量を1モル%未満すると、生成されたリチウム化ジルコニアの結晶構造を十分に安定化することが困難になる。一方、前記酸化物の固溶量が10モル%を超えると、リチウム化ジルコニア以外のジルコニア化合物が生成される恐れがある。より好ましい前記酸化物の固溶量は、3〜10モル%である。
【0029】
前記炭酸リチウムとジルコニアとの混合比(Li2 CO3 :ZrO2 )は、モル比で1.01:1〜1.15:1のように炭酸リチウムを過剰に混合することが好ましい。
【0030】
前記第2原料成分(b)であるアルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物としては、例えばNa2 O、K2 Oを挙げることかでき、その炭酸塩としては例えばNa2 CO3 ,K2 CO3 等を挙げることができる。アルカリ土類金属の酸化物としては、例えばMgO,CaO等を挙げることができ、その炭酸塩としては例えばMgCO3 ,CaCO3 等を挙げることができる。これらの第2原料成分の中で特にNa2 CO3 ,K2 CO3 が好ましい。
【0031】
前記第1原料成分と前記第2原料成分との混合比(第1原料成分:第2原料成分)は、モル比で1:0.01〜1:0.4にすることが好ましい。第2原料成分の混合比が0.4を超えると、合成された吸収材の耐久性が低下する恐れがある。
【0032】
前記第1、第2の原料成分に用いる各粉末は、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。
前記第1、第2の原料成分の混合方法としては、例えば水またはアルコールなどの溶媒を用いて湿式で混合することが好ましい。この混合に際し、所望の形状を持つ吸収材を得るためにポリビニルアルコールのような有機バインダを添加してもよい。
【0033】
前記第1、第2の原料成分の混合方法としては、前記方法の他に硝酸などの酸に溶解した状態で混合したり、前記各成分を有機化合物の形態で混合したりしてもよい。
【0034】
(第2工程)
前記第1、第2の原料成分からなる混合粉末を400℃以上の温度で熱処理することにより例えば前述したFIG. 1に示す構造を有する炭酸ガス吸収材を製造する。
【0035】
前記熱処理により前記混合物がリチウム化ジルコニア系炭酸ガス吸収材に変化する。つまり、この熱処理工程は、炭酸ガス吸収材の吸収特性を発現させるために不可欠である。熱処理温度の下限値である400℃は、吸収材の最終焼成と脱バインタを加味した温度である。ただし、熱処理温度は前記混合物の成分によって異なる。例えば、第1原料成分としてLi2 CO3 、ZrO2 、第2原料成分としてMgO、K2 CO3 を用いた場合には、900℃前後で熱処理を行うことが好ましい。また、第1原料成分としてLi2 CO3 、ZrO2 、第2原料成分としてMgO、K2 CO3 を用い、これらの原料成分にポリビニルアルコールのような有機バインダをさらに添加した場合には、400℃での脱バインダ処理後に900℃前後で熱処理を行うことが好ましい。
【0036】
前記熱処理の雰囲気は、大気で行ってもよいが、製造後の炭酸ガス吸収材が酸化物の形態を保持する場合には大気雰囲気より酸素の分圧を低くしてもよい。
以上説明した本発明によれば、(a)ジルコニア粉末と炭酸リチウム粉末の混合粉末からなる第1原料成分と、(b)アルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物粉末、炭酸塩粉末、アルカリ土類金属の酸化物粉末、炭酸塩粉末から選ばれる少なくとも1種の粉末からなる第2原料成分とを混合し、この混合粉末を400℃以上の温度で熱処理する。このような工程において、前記第1原料成分中のジルコニア粉末と炭酸リチウム粉末とが反応してリチウム化ジルコニアを生成する。同時に、リチウム化ジルコニアに分散された残余の炭酸リチウムと前記第2成分とが反応して炭酸リチウムと少なくともアルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物粉末、炭酸塩粉末、アルカリ土類金属の酸化物粉末、炭酸塩粉末から選ばれる少なくとも1つの化合物とを含む共晶化合物が生成される。
【0037】
その結果、リチウム化ジルコニアをマトリックスとし、これに炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物が分散された一次粒子、例えば前述した図1に示す構造の一次粒子からなる炭酸ガス吸収材を製造することができる。このような一次粒子は、前述したように使用初期から高い炭酸ガス吸収性能をを有する炭酸ガス吸収材を製造することができる。
【0038】
次に、本発明に係わる炭酸ガス分離装置を図2を参照して説明する。
図2に示すように筒状をなす反応塔11は、ガス供給管12およびガス排出管13を有する。前記ガス供給管12は、炭酸ガス含有ガス供給管14と再生ガス供給管15とに分岐されている。ガス切り替え弁16は、前記供給管12の分岐部に設けられている。温度を可変し得る筒状のヒータ17は、前記反応塔11の外側にその反応塔11を囲むように配置されている。
【0039】
炭酸ガス吸収材18は、前記反応塔11内に充填されている。このガス吸収材は、リチウム化ジルコニアをマトリックスとし、このマトリックスに炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物が分散された一次粒子19の集合物からなる。
【0040】
前記炭酸ガス含有ガスとしては、例えば炭酸ガス単独、または炭酸ガスを空気で希釈したガス等を用いることができる。特に、炭酸ガス吸収材での炭酸ガスの吸収効率を高めるために空気で希釈された炭酸ガス濃度が10体積%以上のガスを用いることが好ましい。
【0041】
前記再生ガスとしては、例えば空気、窒素、炭酸ガスを含む混合ガス等を用いることができる。特に、炭酸ガス吸収後の吸収材の再生速度(炭酸ガスの放出速度)を高めるために空気で希釈された炭酸ガス濃度が90体積%以下のガスを用いることが好ましい。
【0042】
前記炭酸ガス吸収材は、前述した一次粒子の集合物の形態の他に、多数の前記一次粒子をバインダと共にスラリー化し、成形、脱脂することにより作られた多孔質体の形態で使用される。ただし、前記集合物や多孔質体にはリチウム化ジルコニア粒子を50体積%以下の量で混在させることを許容する。
【0043】
このような構成の炭酸ガス分離装置による炭酸ガスの吸収(炭酸ガスの分離)と、炭酸ガスの放出(炭酸ガス吸収材の再生)を説明する。
1)炭酸ガスの分離操作
まず、ガス切り替え弁16により反応塔11に導入するガスを炭酸ガス含有ガス供給管14側に切り替える。前述した一次粒子の共晶化合物の融点より高い温度に設定された炭酸ガス含有ガスを前記炭酸ガス含有ガス供給管14および供給管12を通して前記反応塔11内に供給して前記ガスを炭酸ガス吸収材18に十分接触させる。このような炭酸ガス含有ガスと炭酸ガス吸収材との接触により、炭酸ガスが前記吸収材に吸収され、炭酸ガス分離後のガスは反応塔11の排気管13を通して排出される。
【0044】
なお、炭酸ガス含有ガスを反応塔11に供給する際、必要に応じてヒータ17により前記反応塔11内の吸収材18を前述した一次粒子の共晶化合物の融点より高い温度に予め加熱してもよい。
【0045】
前記炭酸ガス含有ガスの前記反応塔11内での滞留時間は、前記吸収材18の組成、形態および前記反応塔への充填量等により適宜決定される。
2)炭酸ガス吸収材の再生
まず、ガス切り替え弁16により反応塔11に導入するガスを再生ガス供給管15側に切り替える。所定の温度に設定された再生ガスを前記再生ガス供給管15および供給管12を通して前記反応塔11内に供給して前記再生ガスを炭酸ガスを吸収した吸収材に十分接触させる。このような再生ガスの供給により前述した式(1)の逆反応により吸収剤から炭酸ガスが放出されて再生され、かつ炭酸ガスを含む炭酸ガスは反応塔11の排気管13を通して回収される。
【0046】
なお、再生ガスを反応塔11に供給する際、必要に応じてヒータ17により前記反応塔11内の炭酸ガスを吸収した吸収材をその再生ガス温度に予め加熱してもよい。
【0047】
前記再生ガスの前記反応塔11内での滞留時間は、前記吸収材の炭酸ガス吸収状態、形態および前記反応塔への充填量等により適宜決定される。
以上説明した本発明によれば、高温度の炭酸ガス含有ガスから炭酸ガスを分離することが可能になる。
【0048】
また、ガス供給管を炭酸ガス含有ガス供給管および再生ガス供給管に分岐させ、その分岐部にガス切り替え弁を設けた構成にすれば、1つの反応塔で炭酸ガスの分離と炭酸ガスを吸収した吸収材の再生を行なうことが可能になる。
【0049】
さらに、図2に示す炭酸ガス含有ガス供給管および再生ガス供給管を有する反応塔を複数基配列すれば、1の反応塔で炭酸ガスの吸収(分離)操作を行なっている間に既に炭酸ガスを吸収した吸収材が充填された別の反応塔の再生操作を行なうことが可能になる。その結果、炭酸ガスの分離を連続的に行なうことが可能になる。
【0050】
次に、本発明に係わる別の炭酸ガス吸収材を詳細に説明する。
この炭酸ガス吸収材は、一般式 Lix ZrOy 、[ただし、xは2、yは(x+4)/2を示す]で表わされるリチウム化ジルコニアからなる第1相と、前記一般式のxが4,6,8で表わされる少なくとも1つのリチウム化ジルコニアからなる第2相とが共存する構造を有する。
【0051】
前記吸収材は、粉末状態で、その平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。
前記2相は、吸収材全体に対して30重量%以上含有することが好ましい。前記第2相の含有量を30重量%未満にすると、炭酸ガスの吸収量を十分に高めることが困難になる。より好ましい前記第2相の含有量は、30〜60重量%である。
【0052】
前記炭酸ガス吸収材の形態としては、前記第1相、第2相を混合したペレット状、シート状のものを挙げることができる。また、前記第1相、第2相を混合する他に、リチウム化ジルコニアを合成する過程で前記一般式のx=2以外の組成が第2相として析出した一次粒子の形態であってもよい。
【0053】
前記合成過程でx=2以外の組成物を第2相として析出させるには、マグネシウム、イットリウム等の元素がジルコニウム元素と一部置換されたジルコニア粉末を含む出発原料を用いることによりなされる。
【0054】
以上説明した本発明によれば、広い温度域にわたって炭酸ガス吸収特性を有する炭酸ガス吸収材を提供できる。
すなわち、前記一般式のx=2で表わされるリチウム化ジルコニアは、化学式がLi2 ZrO3 であり、下記式(2)のように炭酸ガスを吸収し、下記式(3)に示すように炭酸ガスを放出する。
【0055】
同様にx=4で表わされるリチウム化ジルコニアは、化学式がLi4 ZrO4 であり、下記式(4)のように炭酸ガスを吸収し、下記式(5)に示すように炭酸ガスを放出する。
【0056】
同様にx=6で表わされるリチウム化ジルコニアは、化学式がLi6 ZrO5 であり、下記式(6)のように炭酸ガスを吸収し、下記式(7)に示すように炭酸ガスを放出する。
【0057】
同様にx=8で表わされるリチウム化ジルコニアは、化学式がLi8 ZrO6 であり、下記式(8)のように炭酸ガスを吸収し、下記式(9)に示すように炭酸ガスを放出する。
【0058】
前記各式から明らかなように前記一般式 Lix ZrOy で表わされるリチウム化ジルコニアにおいて、リチウム化ジルコニアの1モル当たりの炭酸ガスの吸収・放出量はx=2のリチウム化ジルコニアの場合で1モル、x=4で2モル、x=6で3モル、x=8で4モルであり、xが4以上の組成のリチウム化ジルコニアほど、炭酸ガスの吸収・放出量が増大する。
【0059】
一方、炭酸ガスの吸収・放出の温度は例えばx=2の組成のリチウム化ジルコニアの場合、前記式(2)では550℃以下の温度、前記式(3)では650℃以上の温度で特に起きやすい。そして、x=4,6,8の組成のリチウム化ジルコニアにおける炭酸ガスの吸収・放出の温度はさらに高温になる。
【0060】
したがって、前記一般式 Lix ZrOy [ただし、xは2、yは(x+4)/2を示す]で表わされるリチウム化ジルコニアからなる第1相と、前記一般式のxが4,6,8で表わされる少なくとも1つのリチウム化ジルコニアからなる第2相とを共存させることによって、x=2の組成のリチウム化ジルコニアによる低温での炭酸ガスの吸収・放出特性と、x=4,6,8の中から選ばれる組成のリチウム化ジルコニアによる高温側での高い炭酸ガスの吸収・放出量とを兼ね備え、広い温度域にわたって高効率の炭酸ガス吸収材を実現できる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を説明する。
(実施例1)
まず、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmの9モル%MgO固溶ZrO2 粉末をモル比で1.03:1となるように秤量して第1原料成分を調製した。つづいて、この第1原料成分と純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸カリウム(K2 CO3 )粉末からなる第2原料成分とをモル比で10:1になるようにエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、900℃で10時間熱処理して平均粒径10μmの炭酸ガス吸収材を製造した。
【0062】
得られた炭酸ガス吸収材は、酸化マグネシウムが固溶されたリチウム化ジルコニア(Li2 ZrO3 )をマトリックスとし、これに炭酸リチウムと炭酸カリウムの共晶物(Li2 CO3 ;24モル%,K2 CO3 ;76モル%)が均一に分散され、かつ表面に前記共晶物の一部が露出した一次粒子の形態をなすものであった。また、前記共晶物の分散量は、リチウム化ジルコニアに対して12モル%で、かつその平均粒径は0.8μmであった。
【0063】
(実施例2)
まず、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmの8モル%Y2 O3 固溶ZrO2 粉末をモル比で1.06:1となるように秤量して第1原料成分を調製した。つづいて、この第1原料成分と純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸カリウム(K2 CO3 )粉末からなる第2原料成分とをモル比で20:1になるようにエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、1000℃で10時間熱処理して平均粒径10μmの炭酸ガス吸収材を合成した。
【0064】
得られた炭酸ガス吸収材は、イットリアが固溶されたリチウム化ジルコニア(Li2 ZrO3 )をマトリックスとし、これに炭酸リチウムと炭酸カリウムの共晶物(Li2 CO3 ;38モル%,K2 CO3 ;62モル%)が均一に分散され、かつ表面に前記共晶物の一部が露出した一次粒子の形態をなすものであった。また、前記共晶物の分散量は、リチウム化ジルコニアに対して10モル%で、かつその平均粒径は0.7μmであった。
【0065】
(実施例3)
まず、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmのジルコニア(ZrO2 )粉末をモル比で1.1:1となるように秤量して第1原料成分を調製した。
【0066】
また、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.2μmのMgO粉末とをモル比で1:1となるように秤量して第2原料成分を調製した。
【0067】
次いで、前記第1原料成分と前記第2原料成分とをモル比で10:1になるようにエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、950℃で10時間熱処理して平均粒径10μmの炭酸ガス吸収材を製造した。
【0068】
得られた炭酸ガス吸収材は、リチウム化ジルコニア(Li2 ZrO3 )をマトリックスとし、これに炭酸リチウムと炭酸カリウムとマグネシアの共晶物(Li2 CO3 ;33モル%,K2 CO3 ;33モル%、MgO;34モル%)が均一に分散され、かつ表面に前記共晶物の一部が露出した一次粒子の形態をなすものであった。また、前記共晶物の分散量は、リチウム化ジルコニアに対して8モル%で、かつその平均粒径は0.6μmであった。
【0069】
(比較例1)
純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmのジルコニア(ZrO2 )粉末をモル比で1.03:1となるように秤量した第1原料成分のみをエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、900℃で10時間熱処理して平均粒径10μmのリチウム化ジルコニアからなる炭酸ガス吸収材を製造した。
【0070】
(比較例2)
比較例1と同様な方法により合成した平均粒径10μmのリチウム化ジルコニアに炭酸リチウムと炭酸カリウムの溶融共晶物(Li2 CO3 ;50モル%,K2 CO3 ;50モル%)をリチウム化ジルコニアと共晶物のモル比が10:1になるように含浸して炭酸ガス吸収材を製造した。
【0071】
(比較例3)
比較例1と同様な方法により合成した平均粒径5μmのリチウム化ジルコニアと平均粒径1μmの炭酸カリウム(K2 CO3 )とをリチウム化ジルコニアと炭酸カリウムのモル比が10:1になるように混合して二次粒子の形態を持つ炭酸ガス吸収材を製造した。
【0072】
得られた実施例1〜3および比較例1〜3の炭酸ガス吸収材について、空気80体積%、炭酸ガス20体積%のガスを200mL/minの条件で流通させながら、室温から650℃まで5℃/minで昇温させ、炭酸ガスの吸収・放出を行なった。この昇温過程での吸収材の最大重量(炭酸ガス吸収時)を熱重量分析により求めた。この吸収材の重量増加率を下記式に従って算出した。
【0073】
重量増加率(%)=[(Wmax −W0 )/W0 ]×100
ここで、Wmax は吸収材の最大重量値、
W0 は昇温前の吸収材の重量値、
である。
【0074】
また、前記昇温後に室温まで10℃/min で冷却する操作を1サイクルとし、5サイクル目、10サイクル目の実施例1〜3および比較例1〜3の炭酸ガス吸収材の重量増加率を前記式に従って算出した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
前記表1から明らかなように実施例1〜3の炭酸ガス吸収材は、比較例1〜3の炭酸ガス吸収材に比べて高い炭酸ガス吸収率を有し、特に初期の炭酸ガス吸収率が高いことがわかる。
【0077】
(実施例4)
純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmのジルコニア(ZrO2 )粉末をモル比で1:1となるように秤量し、この混合物をエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、850℃で10時間熱処理して平均粒径1μmのLi2 ZrO3 (Lix ZrOy 、x=2)の組成のリチウム化ジルコニア粉末を合成した。
【0078】
また、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmのジルコニア(ZrO2 )粉末をモル比で2:1となるように秤量し、この混合物をエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、950℃で10時間熱処理して平均粒径1μmのLi4 ZrO4 (Lix ZrOy 、x=4)の組成のリチウム化ジルコニア粉末を合成した。
【0079】
次いで、前記Li2 ZrO3 60重量%とLi4 ZrO4 40重量%を乳鉢で十分に混合した後、この混合粉末を金型に入れ、圧縮して厚さ約1mmの成形体(吸収材)を作製した。
【0080】
(実施例5)
実施例4で合成したLi2 ZrO3 (Lix ZrOy 、x=2)70重量%とLi8 ZrO6 (Lix ZrOy 、x=8)30重量%を乳鉢で十分に混合した後、この混合粉末を金型に入れ、圧縮して厚さ約1mmの成形体(吸収材)を作製した。
【0081】
(実施例6)
まず、純度99.9%、平均粒径0.5μmの炭酸リチウム(Li2 CO3 )粉末と純度99.9%、平均粒径0.5μmの9モル%MgO固溶ZrO2 粉末をモル比で1:1となるように秤量し、この混合物をエタノールとともに乳鉢に入れて湿式混合した。この後、混合物を乾燥し、大気中、900℃で10時間熱処理して粉末合成した。
【0082】
得られた粉末をXRD分析を行った。その結果、Li2 ZrO3 相とLi4 ZrO4 相との2相が観測された。また、XRDの回折ピーク強度から計算したそれら相の成分割合は、Li2 ZrO3 相が約55重量%、とLi4 ZrO4 相が約45重量%であった。この粉末を金型に入れ、圧縮して厚さ約1mmの成形体(吸収材)を作製した。
【0083】
(比較例4)
実施例4で合成したLi2 ZrO3 の組成のリチウム化ジルコニア粉末のみを成形して約1mmの成形体(吸収材)を作製した。
【0084】
図3に示すように得られた実施例4〜6、比較例4の吸収材21を右上部にガス入口部22、左下部にガス出口部23を有する容器24内の底部に設置し、前記ガス入口部22から前記容器24内に温度550℃のCO2 20%および空気80%からなる混合ガスを224リットル流し、前記吸収材に1時間接触させで炭酸ガスを吸収した。次いで、前記ガス入口部22から前記容器24内に温度700℃の標準ガスとしてのCO2 50%および空気50%からなる混合ガスを224リットル流して前記吸収材に吸収された炭酸ガスの放出を行った。このような標準ガスを流している間に、前記容器24のガス出口部23から排出されたCO2 ガスの濃度を測定した。その結果を下記表2に示す。
なお、下記表2にはγ−アルミナからなる厚さ1mmの吸収材(比較例5)を用いて同様な炭酸ガスの吸収・放出実験を行った結果を示す。
【0085】
【表2】
前記表2から明らかなように実施例4〜6の吸収材は、比較例4,5の吸収材に比べて大量の炭酸ガスを吸収できることがわかる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有し、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラントにおける排気ガス中から炭酸ガスを分離回収に有効に利用することができる炭酸ガス吸収材を提供することができる。
【0087】
また、本発明によれば使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を安定的に得ることが可能な炭酸ガス吸収材の製造方法を提供できる。
さらに、本発明によれば使用初期から高い炭酸ガス吸収能力を有する炭酸ガス吸収材を備えた炭酸ガス分離装置を提供することができる。
【0088】
さらに、本発明によれば炭酸ガスを広い温度域にわたって効率よく吸収することが可能で、炭化水素を主成分とする燃料を利用するエネルギープラントにおける排気ガス中から炭酸ガスを分離回収に有効に利用することができる炭酸ガス吸収材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる炭酸ガス吸収材を模式的に示す図。
【図2】本発明に係わる炭酸ガス分離装置を示す概略断面図。
【図3】実施例4〜6、比較例4,5の吸収材の炭酸ガス吸収量を測定する試験装置を示す概略図。
【符号の説明】
1…マトリックス、
2…共晶化合物、
3…一次粒子、
11…反応塔、
12…ガス供給管、
13…ガス排出管、
16…ガス切り替え弁、
18…炭酸ガス吸収材。
Claims (7)
- リチウム化ジルコニアをマトリックスとし、このマトリックスに炭酸リチウムとアルカリ金属(リチウムを除く)およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1つの元素とを含む共晶化合物が分散された一次粒子を含有し、かつ前記共晶化合物の一部が前記一次粒子の表面に露出していることを特徴とする炭酸ガス吸収材。
- 前記リチウム化ジルコニアは、ランタノイド元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物から選ばれる少なくとも1つの元素が固溶されていることを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス吸収材。
- 請求項1記載の炭酸ガス吸収材の製造方法であって、
ジルコニア粉末と炭酸リチウム粉末の混合粉末からなる第1原料成分と、アルカリ金属(リチウムを除く)の酸化物粉末、炭酸塩粉末およびアルカリ土類金属の酸化物粉末、炭酸塩粉末から選ばれる少なくとも1つの粉末からなる第2原料成分とを混合する工程;および
前記混合粉末を加熱して反応させる工程;
を具備したことを特徴とする炭酸ガス吸収材の製造方法。 - 前記炭酸リチウム粉末と前記ジルコニア粉末とは、モル比で1.01:1〜1.15:1の割合で配合されることを特徴とする請求項3記載の炭酸ガス吸収材の製造方法。
- 一般式LixZrOy[ただし、xは2、yは(x+4)/2を示す]で表わされるリチウム化ジルコニアからなる第1相と、
前記一般式のxが4,6,8で表わされる少なくとも1つのリチウム化ジルコニアからなる第2相と
が共存することを特徴とする炭酸ガス吸収材。 - ガスの入口部および出口部を有する反応塔;および
前記反応塔内に充填された請求項1記載の炭酸ガス吸収材;
を具備したことを特徴とする炭酸ガス分離装置。 - 前記反応塔の入口部には、炭酸ガス含有ガスの供給管および再生ガスの供給管が切り替え可能に連結されていることを特徴とする請求項6記載の炭酸ガス分離装置。
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