JP3575793B2 - 冷染反応染料を用いた染色方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維や皮製品を染色する場合の冷染反応染料を用いた染色方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維や皮製品を染色する染料としては、従来より冷染反応染料が広く知られている。この冷染反応染料に関しては「反応性染料のすべて(昭和48年6月15日発行 発行人:平塚清文 編集及び発行所:株式会社日本染色新聞社)」という本に詳しく述べられている。
【0003】
冷染反応染料としては、種々のものが製造・販売されているが、特に、三井BASF染料株式会社から販売されているプロシオンM(登録商標)と呼ばれている冷染反応染料を用いて染色する方法がある。
【0004】
図13及び図14はセルロース繊維用反応染料の発表年次、染料名、製造会社、反応基を中心とした構造式を記載した図を示し、図13の次に図14に示した染料が続いている。図13及び図14において、構造式中の「D」は染料母体を示している。本発明でも使用するプロシオンM( Procion M )は1956年に既にかなり以前から発表されており、この冷染反応染料はイギリスのICI社(インペリアル・ケミカル・インダストリース社)である。なお、この図13及び図14は上記の「反応性染料のすべて」という本から転載したものである。
このように冷染反応染料は各メーカーから多数販売されており、各メーカーの染料を用いてそれぞれ染色する。
【0005】
プロシオンMの冷染反応染料の化学式(反応基を中心とした構造式)は図13の上部のプロシオンMの欄に示す通りである。
この冷染高反応染料であるプロシオンMは、セルロース繊維と置換反応するものであり、図15に示すように置換反応する。図15の下部で示すように、S=可溶性基、D=染料母体、T=反応基母体、Cl=塩素:離脱基である。
【0006】
図16は、レマゾール染料とプロシオン染料の例をあげて、染料母体、可溶性基、反応基を示すものである。
図16に示すレマゾール染料は、付加反応するタイプの反応性染料であり、図示している式のように付加反応する。これに対してプロシオン染料は、置換反応するタイプの反応性染料である。なお、図16に示しているプロシオンはHタイプのものである。
【0007】
上記プロシオンMを用いた染色方法として、一般的に以下の2つの方法がある。一つは重曹と冷染反応染料を合わせて染色する一曹方法と呼ばれているものであり、他方は、重曹浴と染料浴に分ける二曹方法と呼ばれている染色方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷染反応染料を用いた従来の染色方法では、染料の色相により固着率が40%〜60%しか固着できないという問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みて提供したものであって、簡単な方法で、しかも被染色物への固着率をほぼ100%とした冷染反応染料を用いた染色方法を提供することを目的としているものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の請求項1記載の冷染反応染料を用いた染色方法では、水1リットルに対してソーダ灰を5g〜12gの範囲としたアルカリ溶液3を被染色物1に浸透させる工程と、この浸透させる工程後に被染色物1を自然乾燥にて乾燥させる乾燥工程と、水に天然の海藻で生成したアルギン酸ソーダを混合して生成した水溶液9に、以下の特定の反応基を中心とした構造式を持った冷染反応染料を混合して染色用染料11を生成する生成工程と、この生成工程にて生成した染色用染料11を、前記乾燥工程における乾燥後の被染色物1にスプレーガン13にて霧状に吹き付けて染色する染色工程と、この染色工程にて染色した被染色物1を自然乾燥にて乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程における被染色物1の乾燥後に該被染色物1を洗滌する洗滌工程とからなり、前記各工程は室温(常温)で行なうようにしていることを特徴としている。
【化2】
Figure 0003575793
【0011】
かかる方法により、天然素材の染色における固着率をほぼ100%とすることができ、一層堅牢度のある美しい染め物に仕上げることができる。しかも非常に簡単に誰でもが染色ができ、また、室温で染色できる。
【0012】
請求項2記載の冷染反応染料を用いた染色方法では、被染色物1が綿、人絹(含レーヨン)、麻、皮の場合には、水1リットルに対してソーダ灰を10gとしていることを特徴としている。
これにより、固着率を100%にでき、綿、人絹(含レーヨン)、麻、皮を一層綺麗に染め上げることができる。
【0013】
請求項3記載の冷染反応染料を用いた染色方法では、被染色物1が絹の場合には、水1リットルに対してソーダ灰を5g〜7gとしていることを特徴としている。
これにより、固着率を100%にでき、絹を一層綺麗に染め上げることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。被染色物を染色するための条件としては、従来と同様にプロシオンMと呼ばれている特定の冷染反応染料を用いる(反応基を中心とした構造式は、従来の項で示した通りである。)。そして、各種の色相の冷染反応染料を用いて、染めようとする色相の染料を生成する。また、冷染反応染料を染めることができる被染色物としては、天然素材であり、具体的には、絹、麻、綿、皮である。また、人絹(含レーヨン)も染色することができる。さらに、皮の種類としては、オーストリッチ、ヘビ、ヤンピー、ブタ皮、バックスキンなどである。
【0015】
次に、染色方法について説明する。本発明の染色の工程は、ソーダ灰のアルカリ溶液による被染色物への浸透→被染色物の乾燥→染色→乾燥→洗滌→乾燥であり、基本的には室温(常温)で各工程を行なうことができるものである。
染色方法の第1の工程を示す図1において、1は上記のいずれかの被染色物であり、この被染色物1を容器2内に貯溜しているアルカリ溶液3に浸してアルカリ溶液3を被染色物1に浸透させる。このアルカリ溶液3は、水1リットルに対してソーダ灰(炭酸ナトリウム)を5g〜12gの範囲としている。ここで、被染色物1が、綿、人絹(含レーヨン)、麻、皮の場合では、水1リットルに対してソーダ灰を10gが好適例である。また、被染色物1が絹の場合は、水1リットルに対してソーダ灰を5g〜7gとするのが好適例である。
【0016】
なお、被染色物1が絹の場合は、絹そのものの持っているアルカリ分は素材によって異なるので、pHソーダ灰を水1リットルに対して10gより減らす必要がある。また、ソーダ灰を5g〜12gの数値は、生地(被染色物1)上のpHが10.5の時が最も染料の吸収率が高いことから決めたものであり、また、このアルカリ溶液3を、水1リットルに対してソーダ灰を4g以下、あるいは13g以上とした場合には、被染色物1への染料の固着が悪くなるからである。
【0017】
図1に示す工程において、被染色物1全体をアルカリ溶液3に浸けた後に直ぐに引き上げても良く、また、1〜2分の間、アルカリ溶液3に被染色物1を浸けた後に取り出すようにしても良い。この第1の工程では、アルカリ溶液3を特に加熱や冷却をする必要はなく、室温(常温)で良く、室内に置かれている状態のアルカリ溶液3としている。
【0018】
次に第2の工程を説明する。アルカリ溶液3から取り出した被染色物1を乾燥させる工程である。この被染色物1の乾燥工程では、電気、ガス、灯油などを熱源とした乾燥機(図示せず)により被染色物1を乾燥させるようにしても良いが(二酸化炭素COの出る熱源を避けることは固着上理想である。)、本発明では、被染色物1を自然乾燥させるようにしている。
すなわち、図2に示すように、物干し竿などの張ったバー4から吊り具5を介して被染色物1を吊って自然乾燥させる。なお、この吊り具5は、洗濯バサミや両側にクリップを備えているズボン吊り等である。もちろん、被染色物1をピーンと張った状態にして乾燥させるようにしても良い。ここで、水1リットルに対してソーダ灰5g〜12gの範囲としたアルカリ溶液3に被染色物1を浸透させて乾燥させるようにしたのが今まで存在していなかった本発明の特徴である。
【0019】
次に第3の工程としては、図3に示すように、アルギン酸ソーダ60gをメタノール約200ccで分散させて溶液7を生成する。このメタノールで分散させるのはアルギン酸ソーダが固まるのを防止するためである。なお、アルギン酸ソーダは天然の海藻で生成している。
次に、図4に示すように、この溶液7に水15リットルを一気に入れて強くかき混ぜてアルギン酸ソーダ入り水溶液9を生成する。ここで、15リットルという大量の水を用いるのは、アルギン酸ソーダを水にうまく溶かすためであり、大量の水溶液を一度に作っておくのである。そして、このアルギン酸ソーダ入り水溶液9を後述するように小分けして用いるようにしている。
【0020】
次に第4の工程として図5に示すように、第3の工程で生成したアルギン酸ソーダ入り水溶液9を染色に必要な量、例えば1リットルを容器12に入れ、粉末状の冷染反応染料(プロシオンM)を染色しようとする目的の色に合わせて計って入れる。これを染色用染料(染浴)11とする。この1リットルの染色用染料11は、縦150cm×横180cmの暖簾を約3枚無地染めができる量である。
なお、上記アルギン酸ソーダ入り水溶液9を用いるのは、後の工程で述べる冷染反応染料の被染色物1への染色に対して、冷染反応染料が滲むのを防止するためである。
【0021】
次に第6の工程として図6に示すように、スプレーガン13の容器14内に第5の工程で生成した染色用染料11を入れて、スプレーガン13のレバー15を引く。このレバー15を引くと図外のコンプレッサーから略3気圧のエアーが供給されてノズル16の先端から染色用染料11が霧状となって被染色物1の表面を染めつける。このスプレーガン13を用いて被染色物1の任意の箇所に染色用染料11を吹き付けて引き染めを行なう。
なお、この場合の染色用染料11の温度は室温以下であり、染料は必ず水で溶かす必要があり、また、水は常温以下にする方が良い。また、染料の加水分解があるので、水温は20℃以下が望ましい。
【0022】
図7はスプレーガン13で被染色物1を染色する場合の被染色物1の張り方を示しており、被染色物1の両側を固定具20により固定し、さらに固定具20を両側からヒモ21で左右に引っ張る。これにより、被染色物1はピーンと張られてスプレーガン13で染料を吹き付けた場合に、染色用染料11は裏面まで染色でき、被染色物1の表面及び裏面を綺麗に染色することができる。
【0023】
図8は被染色物1を張る場合の他の方法であり、図8(a)に示すように、被染色物1の裏面側の対角の位置に細い伸子針22の両端を突き刺して被染色物1全体を引っ張り伸ばし、図8(b)に示す被染色物1の表面にスプレーガン13で上記と同様に染色用染料11を吹き付けて染色するものである。
図9はさらに他の方法を示し、ベニヤ板23の上に不織布(または新聞紙)24を載せて、さらにこの不織布24の上に被染色物1を載せ、被染色物1の四隅に押しピンなどのピン25により被染色物1を固定する。そして、上記と同様にスプレーガン13にて被染色物1に染色用染料11を吹き付けて染色する。この場合も、染料は被染色物1の裏面まで浸透し、被染色物1の表面及び裏面を綺麗に染色することができる。
【0024】
このように、被染色物1を染色するのにスプレーガン13を用いることで、早くて且つ簡単に綺麗に染めることができ、特に、色と色との間のぼかしを行なう場合には素早くぼかしの染色を行なうことができる。なお、上記ではスプレーガン13による引き染めの場合について説明したが、スプレーガン13を用いずに刷毛や筆を用いて手書き染めによる染色を行なうようにしても良い。また、手動式のスプレーガンを用いるようにしても良い。
【0025】
次の第7の工程は染色用染料11を吹き付けた被染色物1を乾燥させる工程であり、ドライヤーで乾燥させるようにしても良いが、図10に示すように本発明では自然乾燥させている。すなわち、図2の場合と同様に染色した被染色物1を物干し竿などのバー4から、洗濯ばさみや両側にクリップがついたズボン吊りなどの吊り具5により吊り下げて自然乾燥させる。夏の天気の日は外で洗濯物と同様に干すと良い(温度は20℃以上が理想)。なお、ドライヤーか温風乾燥機で乾燥させる場合には、40℃程度の熱で素早く乾燥させるようにする。これは色の滲みを防止するために、染料後直ちに乾燥をする。すなわち、40℃以上の熱風で染色後の被染色物1を乾燥させると、染色時間は短縮できると同時に、反応が活発に進み、100%に近い染色を得ることができる。
ここで、被染色物1の水分が10%から染色用染料11の固着が始まり、0%の水分で固着率が約100%となる。どのような色の染色用染料11を用いても上記の染色方法で染色用染料11の被染色物1がほぼ100%とすることができた。
【0026】
次の第8の工程は、約100%の固着率とした被染色物1のソーピング(洗滌)を行なう。図11に示すように、水道水などの水に若干の中性洗剤を入れた洗滌液(冷染反応染料の染料物用のソーピング剤)30内に被染色物1を約30分以上浸けておき、その後適当に被染色物1をゆすいで洗滌液30から被染色物1を取り出す。この工程は、被染色物1に付着している余剰の染色用染料11を洗い落とすためである。この工程において、洗滌を行なって余剰染料を落とすことで、一層堅牢度の有る美しい染め物に仕上げることができる。
なお、洗滌液30の温度は室温でも良いが、40℃くらいのぬるま湯にして洗滌液30で被染色物1をソーピングするようにしても良い。また、箔や金糸、銀糸が入った生地の場合は、湯洗い脱水は生地を傷めるため洗滌は省略した方が良い。
【0027】
ここで、反応性染料染色物の後処理剤であるが、染色物を還元して洗滌後にセルロースに残存するアミノ基を完全に消滅させる場合には、センカノールと呼ばれている後処理剤を用いても良い。すなわち、水1リットルに対してセンカノールを2〜3gを入れたセンカノールCW溶液40〜60℃で2〜3分洗滌し、後水洗いをするようにしても良い。
【0028】
被染色物1を洗滌した後は、図12に示すように被染色物1を乾燥させることで、染色が終了する。真夏の高温時でも耐候堅牢度の心配なく外気温を利用して乾燥させることができる。ここで、単に乾燥させるだけでは、被染色物1はシワになっているので、アイロンをかけてシワを伸ばして被染色物1の商品性を上げるようにすると良い。
【0029】
図17は、染料母体と反応基がセルロースを反応した状態を示す図である。また、上記各工程では基本的には、室温で行なうことができるが、必要に応じて加熱を加えるようにしても良い。
【0030】
プロシオンMを用いた特定の冷染反応染料による上述の染色方法により、どのような色でも被染色物1と染料の生地にのる量の対比が1:1以下にすることができた。ここで、上記「反応性染料のすべて」の本によれば、冷染高反応染料を使用した場合、被染色物1と染浴の対比が1:1以下の場合、100%固着出来ると理論上すでに認められている。
特に、染色方法の全工程において室温(常温)で行なえるので、どこでも、誰でもが容易に染色を行なうことができる。
染色可能な素材としては、絹、麻、綿、皮(オーストリッチ、ヘビ、ヤンピー、ブタ皮、バックスキン)などの天然素材のすべてであり、また、人絹(含レーヨン)も染めることが可能であり、しかも約100%固着することができる。
【0031】
また、織物で箔や金糸、銀糸の入った生地は今まで綺麗に染色できなかったが、本発明の特定の冷染反応染料を用いた染色方法により、常温で約100%の固着率で染色することができるものである。
また、染め上がりの色相として、1回の染色で、直接染料(着物用)や植物染料の3倍の濃度(最高の濃い色)の染料を固着することができる。例えば、10色の冷染反応染料を混ぜ合わせることで、和服では深く重い色合いで高級品としての色を出せることができる。
【0032】
さらに、染料を被染色物1に約100%固着することができることで、堅牢度を一段と高くすることができた。そのため、湿潤堅牢度、耐光堅牢度、耐候堅牢度、洗濯堅牢度、ホットプレシング、摩擦堅牢度のすべてに対して優れた製品を提供することができるものである。
【0033】
また、各染色工程において、アルカリ溶液3を生成するのに無害のソーダ灰を用いていること、アルギン酸ソーダ入り水溶液9のアルギン酸は海藻で生成していること、使用している特定の冷染反応染料は無害であることから、残ったアルカリ溶液3や、余剰の冷染反応染料が入った洗滌液30をそのまま排水しても水質を汚染することがない。そのため、本発明の染色方法は、環境にやさしい染色方法である。
また、こうした理由により、染色後の溶液等の処理装置が不要であり、染色工場はもちろん一般家庭で行なう場合でも危険性を伴うことはない。また、従来の染色方法は、排水する場合の処理装置が必要であったが、本発明の染色方法では使用後の溶液の処理装置が不要であるので、全体としての装置コストを非常に安価にできる。
【0034】
ところで、図18は従来よりすでに存在している染料とソーダ灰とにおける染色温度の関係を示しており、従来からの染色における温度は室温ではなく、室温以上の温度で染色を行なう必要があった。なお、この図18も上記の「反応性染料のすべて」という本から転載したものである。
【0035】
なお、本発明者でもある出願人は、染色家であって染料メーカーではないので、プロシオンM(登録商標)と呼ばれている冷染反応染料の構造式は、上記の本からしか入手できなかった。また、各種の色の冷染反応染料においても同様であり、これらの構造式は企業秘密であり、出願人を含めた第三者がメーカーに問い合わせても開示してくれるものではない。
しかし、プロシオンMと呼ばれている冷染反応染料は、上述したように1956年から現在まで継続して製造・販売されているので、本発明は実施可能である。特に、染色家と呼ばれている人々は、各メーカーから製造・販売されている染料を選択して染色を行なうのであって、染料の化学式や構造式を分析して染色を行なうのではない。よって、本発明の記載の内容で確実に実施することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、被染色物の水分が10%から冷染反応染料の固着が始まり、0%の水分で固着率が約100%となる。どのような色の冷染反応染料を用いても上記の染色方法で冷染反応染料の被染色物がほぼ100%とすることができる。また、染料を被染色物に約100%固着することができることで、堅牢度を一段と高くすることができた。そのため、湿潤堅牢度、耐光堅牢度、耐候堅牢度、洗濯堅牢度、ホットプレシング、摩擦堅牢度のすべてに対して優れた製品を提供することができるものである。
【0037】
また、各染色工程において、アルカリ溶液を生成するのに無害のソーダ灰を用いていること、アルギン酸ソーダ入り水溶液のアルギン酸は海藻で生成していること、使用している特定の冷染反応染料は無害であることから、残ったアルカリ溶液や、余剰の冷染反応染料が入った洗滌液をそのまま排水しても水質を汚染することがない。そのため、本発明の染色方法は、今までにはない環境にやさしい染色方法である。
また、こうした理由により、染色後の溶液等の処理装置が不要であり、染色工場はもちろん一般家庭で行なう場合でも危険性を伴うことはない。また、従来の染色方法は、排水する場合の処理装置が必要であったが、本発明の染色方法では使用後の溶液の処理装置が不要であるので、全体としての装置コストを非常に安価にできる。
特に、染色方法の全工程において室温(常温)で行なえるので、どこでも、誰でもが容易に染色を行なうことができる。
染色可能な素材としては、絹、麻、綿、皮(オーストリッチ、ヘビ、ヤンピー、ブタ皮、バックスキン)などの天然素材のすべてであり、また、人絹(含レーヨン)も染めることが可能であり、しかも約100%固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の被染色物をアルカリ溶液に浸ける場合の図である。
【図2】本発明の実施の形態の被染色物を乾燥させる場合の図である。
【図3】本発明の実施の形態のアルギン酸ソーダをメタノールで分散させて溶液を生成する場合の図である。
【図4】本発明の実施の形態のアルギン酸ソーダ入り水溶液を生成する場合の図である。
【図5】本発明の実施の形態のアルギン酸ソーダ入り水溶液を小分けして冷染反応染料を混合して染色用染料を生成する場合の図である。
【図6】本発明の実施の形態のスプレーガンの斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の被染色物を張る場合の図である。
【図8】本発明の実施の形態の被染色物を張る場合の他の方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態の被染色物を張る場合の更に他の方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態の被染色物を乾燥させる場合の図である。
【図11】本発明の実施の形態の被染色物を洗滌している状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の被染色物を乾燥させている状態を示す図である。
【図13】反応染料の発表年次等を示す図である。
【図14】反応染料の発表年次等を示す図である。
【図15】冷染高反応染料であるプロシオンMの置換反応する説明の図である。
【図16】レマゾール染料とプロシオンとの染料母体、可溶性基、反応基を示す図である。
【図17】染料母体と反応基がセルロースと反応した状態を示す図である。
【図18】染色温度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 被染色物
3 アルカリ溶液
9 アルギン酸ソーダ入り水溶液
11 染色用染料
13 スプレーガン

Claims (3)

  1. 水1リットルに対してソーダ灰を5g〜12gの範囲としたアルカリ溶液(3)を被染色物(1)に浸透させる工程と、この浸透させる工程後に被染色物(1)を自然乾燥にて乾燥させる乾燥工程と、水に天然の海藻で生成したアルギン酸ソーダを混合して生成した水溶液(9)に、以下の特定の反応基を中心とした構造式を持った冷染反応染料を混合して染色用染料(11)を生成する生成工程と、この生成工程にて生成した染色用染料(11)を、前記乾燥工程における乾燥後の被染色物(1)にスプレーガン(13)にて霧状に吹き付けて染色する染色工程と、この染色工程にて染色した被染色物(1)を自然乾燥にて乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程における被染色物(1)の乾燥後に該被染色物(1)を洗滌する洗滌工程とからなり、前記各工程は室温(常温)で行なうようにしていることを特徴とする冷染反応染料を用いた染色方法。
    Figure 0003575793
  2. 被染色物(1)が綿、人絹(含レーヨン)、麻、皮の場合には、水1リットルに対してソーダ灰を10gとしていることを特徴とする請求項1記載の冷染反応染料を用いた染色方法。
  3. 被染色物(1)が絹の場合には、水1リットルに対してソーダ灰を5g〜7gとしていることを特徴とする請求項1に記載の冷染反応染料を用いた染色方法。
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