JP4160552B2 - カーボン分散高分子を用いた繊維、不織布、布、衣服または髪に用いる着色用溶液、着色方法、固着用溶液、固着方法、および着色物 - Google Patents

カーボン分散高分子を用いた繊維、不織布、布、衣服または髪に用いる着色用溶液、着色方法、固着用溶液、固着方法、および着色物 Download PDF

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本発明はタンパク質や多糖類、天然繊維、合成繊維、再生繊維、紙繊維等からなる繊維や不織布、布、衣服または髪の着色用溶液、着色方法、固着用溶液、固着方法、および着色物に関するものである。
21世紀になり、製造工程を含め環境問題を考慮した商品が必要とされるようになった。現在、ポリアミド等の繊維を黒色や濃色染色する場合にはクロムが入った染料を用いている。他の繊維の染色においても、多量の合成化学染料や化学薬品を使用し、それら廃液の処理に各染色会社は多く費用をかけている。ヨーロッパではクロムを含む染料の使用を禁止した国もある。これからのことを考えれば環境にやさしく、簡便で熱エネルギーを必要としない染色法が待たれている。一方、天然物によって黒色に染色することも可能であるが、堅牢度が悪く、手作業しかできない、コストが高い等の理由で、特定なユーザーに限られてしまう。さらに顔料や染料の固着を行う場合は、アクリル樹脂やウレタン樹脂が用いられ、ポリビニルアルコール(以下、PVAとする)等のカーボン分散高分子は水溶性が高いとの認識により、糊剤としての用途はあるが、繊維用染料や顔料、ミセル、顔料成分の分散剤や固着剤としての繊維用用途はない。また、髪染剤の市場も考えることができ、市販されている髪染剤について調査したところ、着色成分が合成染料よりなり、アンモニア等の薬剤によってアルカリにして使用する必要もあり、消費者を満足させるものになっていない。
文献を調べるとタンニン類(ポリフェノール)と鉄で繊維を黒くする方法は特開2000−143683にもあるが、それはタンニン鉄染めとして一般に知られている方法であり、十分な堅牢度がこれだけでは得られない。一方、矢部章彦・林雅子共著「染色概説」光生館等の一般的な染色の書物や山崎青樹著「木綿染めの基本」美術出版社のような天然物による染色法について多くの書籍が出版されているが、カーボンを用いた染色や機能付与についての記載はされていない。
特開2000−143683 矢部章彦・林雅子共著「染色概説」光生館 P206〜P207 山崎青樹著「木綿染めの基本」美術出版社 P70〜P71
従来、ポリアミド等の繊維や布などを黒色や濃色染色する場合には、廉価で黒色化効果が高いとの理由でクロムを含む染料を用いている。また、他の繊維の染色においても、黒色染色や濃色染色においては多量の合成化学染料や化学薬品を必要とする。淡色染色においてもそれら染料や薬品の使用量を減らしているが、染色廃液にそれらが残ってしまう。一例として、代表的な酸性媒染染色の方法を提示する。その方法は煩雑で加熱も必要である。
クロム染料を浴比1:30の水に対し、3重量%用いる。硫酸ナトリウム20重量%、酢酸3重量%を混合し、常温より、染色を開始し、除々に30分程で沸騰させ、更に30分間沸騰を継続した後、70度まで温度を下げ、重クロム酸カリ1.5重量%、硫酸2重量%を加え、70度から更に15分で95度に昇温し、約30分間クローミング処理を行う。その後、水洗い、乾燥する。(矢部章彦・林雅子共著「染色概説」光生館P206参照)
一方、天然物によって黒色に染色する方法もある。例えば五倍子とロックウッドを用いた方法、藍草と漆による方法、タンニン鉄そして従来の墨を用いた染めの方法がある。それら方法は、手法が煩雑で、手作業に頼らざるをえない、コストがかかりすぎる、また、洗濯堅牢度や摩擦堅牢度が悪いため特定のユーザーにしか販売できない。そのために工業化できないという問題がある。
以下に具体的に五倍子とロックウッドを用いた方法を説明する。まず、五倍子500gを4Lの水で20分煮て、その煮汁をとる、この作業を8回繰り返し、それら煮出した液を一緒にする。そこへ豆汁下地をした綿布を1kg浸し、20分間煮出した後、一晩おく。0.2重量%木酢酸鉄を含む15Lのぬるま湯に30分間浸し、媒染し、水洗い後、染液に浸け、20分煮て乾燥させる。ロックウッドの幹材400gを入れ20分間、煮出した液にその布を漬け20分間煮出す。それを媒染液に30分間つけ水洗いを行う。その後、ザクロを煮出した染め液にて20分間煮る。また、媒染液に漬ける、というように手間と時間が非常にかかり、その染まった布の堅牢度も良くない。(山崎青樹著「木綿染めの基本」美術出版社P70参照)
もう一例として現行の墨染めの黒染色法の具体例を説明する。まず、染めたいものが布であるとすると、その布を反応型第4級アンモニウム化合物等の反応型カチオン化剤、カチオン樹脂のエポキシ変性物等の反応吸着型のカチオン剤、ポリアミン誘導体または特殊カチオン高分子物のような吸着型カチオン剤等のカチオン剤でまず前処理剤を行う。
その後、墨汁の原液に漬け、70度以上の加熱を20分ほど行い、乾燥し、洗い、乾燥の工程で完成となるが、その洗いの段階で付けたはずの墨がかなり、脱落し、その染まった生地は、黒ではなくグレーとなる。それは、墨が布の表面にのっているだけで、その墨が布を構成する繊維と結合しているものではないためである。このグレーに染まった生地は、衣服として着用した場合に汗等で肌、もしくは他の衣料を汚染するし、洗濯をするたびに繊維表面の墨がとれ、洗濯水を汚し、もし他の衣料品等と洗濯を同時に行えば、それら他の衣料品を汚染する原因になってしまう。このように、堅牢度が悪い、黒色が出せない、生地等が硬くなる、高価であるといった問題が残る。
一方、繊維の着色、染色に関して様々な課題がある。まず、顔料、染料または無機物の固着についてである。それには、アクリル樹脂やウレタン樹脂等の樹脂による固着が用いられている。そのため、布等が硬くなり、風合いが悪く、しかも堅牢度が悪いという問題がある。また、着色、染色されたもの、例えば藍染めされた衣服やインディゴ染めによるジーンズ等は洗濯堅牢度が悪く、色落ちし、洗濯を他の衣服と共にできないという課題もある。一方、髪の着色を考えると、市販されている髪染剤では、合成染料が着色成分であり、アンモニア等の薬剤によってアルカリにして使用する必要があり、臭く消費者を満足させるものになっていない。このように様々な課題は未解決の状態にある。
以下、本発明の要旨を説明する。まずカーボン分散高分子を用いてカーボンをミセルに分散させた溶液にて繊維、不織布、布、衣服または髪を黒またはグレーに着色する方法を示す。(1)カーボン分散高分子を用いてカーボンをミセルに分散させた溶液に鉄イオン, または銅イオンを混入してなる着色用溶液で着色をする。(2)着色したいものを鉄イオン, または銅イオンを含む溶液を繊維、不織布、布、衣服または髪に浸透させた後、カーボン分散高分子によってカーボンをミセルに分散させた溶液にて浸透させ着色する方法。(3)その浸透させる順序を逆にした場合で、カーボン分散高分子を用いてカーボンをミセルに分散させた溶液に繊維、不織布、布、衣服または髪を浸透させた後に、鉄イオン、または銅イオンを含む溶液に浸透させる方法で着色を行う。(4)それらの後処理剤としてカーボン分散高分子を用いる方法があり、酸を添加すれば更に強固にできる。これらによって着色と固着効果を向上させることが可能となる。その結果、それら方法に用いた着色剤やそれら方法によって染めた着色物が創出できた。
次に繊維、不織布、布、衣服または髪を顔料、染料、または無機物を用いて着色させる方法について説明をする。まず、顔料、染料、または無機物は水溶性がないため、水溶液中では沈殿してしまう。そこでカーボン分散高分子を用いて分散させる。その分散させた顔料、染料、または無機物を着色したい繊維、不織布、布、衣服または髪によく浸透させる。その後、カーボン分散高分子を固着剤として使用する。その場合、酸を添加すれば更に強固に固着ができる。その結果、良い堅牢度の繊維、不織布、布、衣服または髪を簡便に染めることが可能となる。その結果、顔料、染料、または無機物を用いた新規着色物が創出できた。
本発明は、課題であった様々な繊維における問題を解決し、堅牢度の高い黒色やグレーの着色物、顔料着色物、染料着色物、または無機物着色物を簡便に、廉価に得ることができた。その着色用溶液や着色方法は環境を汚染することなく、熱等のエネルギーも必要としないものであった。また、カーボンを固定した繊維、不織布、布、衣服または髪はアンモニア消臭機能も得ることができた等の効果が得られた。
繊維等へ色を付ける薬剤として、染料と顔料がある。水溶性がある着色成分が染料であり、その染料で色を付けることを染色という。アルカリ性水溶液にしか溶解性がないインディゴ等のバット染料は、本発明の中では顔料として扱う。また、非水溶性着色成分が顔料であり、その顔料で色を付けることを着色という。そして、洗濯等でカーボン、顔料、染料、無機物等の着色成分が繊維等から脱離しないようにすることを固着とよぶ。
一方、カーボンとは煤や焦げ、カーボンブラックなどの炭素からなるものをいい、広くはカーボンナノチューブやフラーレンなどの炭素からなるものを含む。カーボン分散高分子とは、PVA、ポリビニルピロリドン、天然高分子のアルギン酸、キトサン等の多糖類または膠、カゼイン等のタンパク質に煤などのカーボンを分散させたものをいう。本発明ではカーボン分散高分子を分散と固着の2つの目的に使用する。カーボン分散高分子によってカーボンをミセルに分散させた溶液の代表的商品は墨汁である。墨汁に主に用いられているカーボン分散高分子はPVA、ポリビニルピロリドンまたは膠である。
また、本発明は髪の着色も含んでいるため、髪について述べる。本発明中の髪とは、人間の髪毛やカツラを含み、カツラは天然髪毛、毛、合成繊維等の素材から成るすべてのものを含むものとする。髪の着色については実施例で説明する。以上のことをふまえ、本発明の実施するための最良の形態を説明する。本発明は以下の溶液を使用する。
<第一液>煤等をカーボン分散高分子を用いてミセルに分散させた溶液または墨汁等を用いたものを墨液という。その墨液に鉄イオン、銅イオン、または鉄イオンと銅イオンの両方を混合した水溶液を作成する。例えば墨液として煤をPVA等で分散させた場合、できるだけ煤やカーボンのミセルが細かく分散していることが好ましい。我々が使用している墨液は平均約200nm〜500nmのミセルサイズであり、そのサイズは1000nm以下が好ましい。そして、その濃度はコストと色濃度や求める機能によって調整する。例えば淡色グレーが必要であれば、濃度を下げて用いれば良く、黒色を必要とする場合は、10重量%程度の濃度で使用することが好ましい。
一方、鉄イオン、銅イオン、または鉄イオンと銅イオンの両方用いた場合0.5〜5重量%程度の濃度を用いる。それは必要とする色と機能によって調整する。そして、環境への影響を考慮すれば、鉄イオンが好ましい。例えば鉄イオンを用いる場合は硫酸鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、クエン酸第一鉄、酢酸鉄(2)などのような二価の鉄イオンでも塩化第二鉄、硝酸第二鉄、クエン酸第二鉄、酢酸鉄(3)などのような三価の鉄イオンでも硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩等の二価三価鉄イオンでも用いることができる。この場合は三価の鉄イオンが好ましい。また、鉄イオンの代わりに硫酸銅や水酸化銅などの銅イオンを用いることや鉄イオンと銅イオンを混合したものを使用することも可能である。他の金属についても可能なものはあるが、環境を考慮すれば鉄がもっとも好ましい。この後、すぐに第二液に浸けても、乾燥後に第二液に浸けても良い。第二液の再利用性を考えれば、第一液に浸した後に脱水をした方が好ましい。
<第二液>ここでは、基本的にカーボン分散高分子として使用されているPVAやポリビニルピロリドン、天然高分子のアルギン酸やキトサン等の多糖類や膠、カゼイン等のタンパク質を0.1〜5重量%程度の希薄な濃度で用いる。濃度が高くなれば、固着能力が増すが、その基材となる繊維等を硬くするため、そのニーズとの兼ね合いでその濃度は決められる。また、カーボン分散高分子としてカーボンを分散させたものと同じ成分の高分子を用いるのが好ましい。しかし、堅牢度を最も良くするものがPVAであるため、固着剤としてのカーボン分散高分子としてはPVAが最も好ましい。
そこで、PVAを用いた具体的な例を述べる。PVAは分子量と鹸化度の違いで様々なものがある。分子量は大きいと繊維等の内部に入ることができず、小さいと繊維等へ固着できない。分子量は400〜20000を使用することができ、好ましくは2000が良い。鹸化度も82〜92mol%であると水溶性が高く、低いと水溶性を失うために鹸化度は78〜82mol%もしくは92〜99.9mol%の範囲のPVAを使用できる。好ましくは98mol%以上の鹸化度のPVAが良い。
また、酸性条件で乾燥させることによってPVAの一部に架橋が起こる反応を利用する。そのために、酸性である第一液に浸した後、完全に乾燥させる前に第二液に浸した後、乾燥させる方法が好ましい。この場合の酸は、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、蟻酸等どのような酸でも可能であるが、少量を薄めて使用し、繊維等をいためないような0.1〜3重量%程度の薄い濃度で使用する。このPVAを1重量%の濃度になるよう水に溶解させる。1時間ほど室温で攪拌すると、完全に溶ける(必要に応じ加熱をする)。その後、1重量%の酢酸を添加し、先ほどの第一液に付けた布を浸し、脱水し、乾燥させれば完成する。乾燥は天日乾燥でも、乾燥機等の機械を用いる方法でもよいが、架橋反応を完全にさせたい時には乾燥機を用いて加熱乾燥が良い。
一方、このPVA等のカーボン分散高分子を溶解させた第二液は顔料、染料、または無機物の分散剤や固着剤として利用も可能である。PVAを用いると顔料、染料、または無機物と固着していない余分な成分は水や湯で繊維から洗い流すことができる。この技術を用いれば、水に分散しない顔料や染料を分散させ、かつ、固着させることができる。その結果、様々な色の顔料や染料の固着も可能となる。その場合は、まず、それら顔料、染料、または無機物をできるだけ微粒子にすることが好ましい。一方、繊維等との親和性が低い染料を用いて染色された生地でできた衣服等の場合はその衣服を第二液に浸漬した後、乾燥させることによって洗濯堅牢度を向上させることもできる。例えば藍染めされた衣服やインディゴ染めされたデニム等の色落ちを防ぐことができる。
その第二液に浸した布等を乾燥した後、洗剤を入れ洗う。もしくは必要に応じて、希酸や希アルカリ等で染色や発色成分と固着していない余分な高分子を剥離することで、その基材の繊維等が有す柔軟性を保持させる。他の方法として第一液に浸した後、第二液に浸す部分と浸さない部分をつくることで色の濃淡による模様のようなものを付けることもできる。
以下に本発明の具体的な実施例について説明する。まず、以下の着色用溶液を作成した。
第一液の1の製法:PVA分散した煤の水溶液20ml、塩化鉄(3)2g、水200ml
第一液の2の製法:PVA分散した煤の水溶液20ml、硫酸鉄(2)2g、水200ml
第一液の3の製法:墨汁20ml、塩化鉄(3)2g、水200ml
第二液の製法 :PVA重合度2000、鹸化度99mol% 1g、水100ml
綿布、麻、シルク、ウール、綿フェルト、レーヨン、紙からなる7種類の布とナイロン、テトロン、アクリルの3種類の合繊繊維布を各10gずつ量り、第一液の1に浸し脱水、第二液に浸し脱水を行い、天日乾燥後、洗剤を入れて洗い、乾燥させた。その結果、合成繊維の3種類とウールはグレー色で他の素材は黒色になった。第一液の1の代わりに第一液の3を用いた場合においても色等変わりがなかった。
綿布、麻、シルク、ウール、綿フェルト、レーヨン、紙からなる7種類の繊維とナイロン、テトロン、アクリルの3種類の合繊繊維を各10gずつ量り、第一液の2に浸し脱水、第二液に浸し脱水を行い、天日乾燥後、洗剤を入れて洗い、乾燥させて黒色染色を完了した。ウール・テトロンはグレー色それ以外の素材は黒色になったが、実施例1の方法の方が、全体的に黒の濃度が高かった。
綿布、麻、シルク、ウール、綿フェルト、レーヨン、紙からなる7種類の繊維とナイロン、テトロン、アクリルの3種類の合繊繊維を各10gずつ上記、第一液の1に浸し脱水、乾燥後、洗剤を入れて洗い、乾燥させた。実施例1の方法と同様な染着状態になったが、黒さは実施例1の方が強かった。第一液の1の代わりに第一液の2を用いた場合においても色等変わりがなかった。
第一液の塩化鉄の代わりに硫酸銅を用いて、他は実施例1と同様に行った。実施例1の方法の方が、全体的に黒の濃度が高かった。
第一液の塩化鉄の代わりに硫酸銅を用いて、他は実施例2と同様に行った。実施例1の方法の方が、全体的に黒の濃度が高かった。
第一液の塩化鉄の代わりに硫酸銅を用いて、他は実施例3と同様に行った。実施例1の方法が、全体的に黒の濃度が高かった。

以上
重合度2000鹸化度99mol%、PVA2gと重合度20000鹸化度88mol%のPVA3gを200ml水に溶解させた後、墨汁20mlを加え、塩化鉄(3)を2g加え、良く攪拌し墨粘性溶液を作成した。この墨粘性溶液をTシャツに付け、乾燥後洗剤で洗った。その結果、Tシャツを黒く染めることができた。
アルギン酸2gを200ml水に溶解させた後、PVAで分散させた煤の水溶液20mlを加え、塩化鉄(3)を2g加え、良く攪拌し6gの塩化カルシウムを加え、アルギン酸をゲル化した。本品を手袋に付け、髪に塗り、5分後にシャンプーで洗浄したところ白髪が黒く染まった。
顔料である紅柄(酸化鉄)1gを水100mlに分散させるためにPVA0.5gを溶解させた。綿布、麻、シルク、ウール、綿フェルト、レーヨン、紙からなる7種類の繊維を各10gずつ、そのPVA紅柄分散溶液に5分間浸し、その後、30分間室温放置後、第二液を固着剤として用いた。その後、室温で乾燥させた。それを洗剤で洗った後に乾燥させた。その結果、各繊維の濃度差はあったが、朱色になり、顔料である紅柄が固着できた。また、紅柄水溶液に酸を少量添加した場合のサンプル作成を行ったところ、酸を添加しない場合と比べて少し濃い色になった。
藍染めをした綿生地を第二液に浸した後に乾燥させ、洗濯を行い、第二液に浸したものと浸していないもので洗濯水の汚れ具合や洗濯後の生地の色の比較を行った。その結果、明らかに第二液のカーボン分散高分子に浸したものが、色落ちが少なく良い結果であった。この場合、第二液に0.1%塩酸を少量添加した場合のサンプル作成を行ったところ、酸を添加しない場合と比べて酸を少量添加した場合の方が、少し濃い色であった。
〔試験1〕
サンプル:実施例1の方法にて着色をした生地の一部を用いた。
堅牢度試験方法とその結果
耐光 JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光(第3露光法)
洗濯 JIS L 0844 A−2号
汗 JIS L 0848
摩擦 JIS L 0849 摩擦試験機2型
Figure 0004160552
堅牢度は5級が良く、1級は悪いという結果を示す。一般的に最低2級以上が必要であり、3級以上であれば問題がないとされている。また、本発明の方法を用いないで墨染めした場合のサンプルを未処理綿とした。本発明品は堅牢度において良い効果を得られた。
〔試験2〕
サンプル:実施例1の方法にて着色をした生地の一部を用いた。
機能試験・消臭試験
テトラパックに初期濃度(80ppm)の濃度のアンモニアを入れ、2時間後の濃度変化をガス検知管で測定を行った。
Figure 0004160552
墨液にて色固着したサンプルは、すべての素材において良好なアンモニア消臭作用が確認された。
〔試験3〕
動的光散乱測定結果
サンプル: カーボン分散高分子を用いてカーボンをミセルに分散させた溶液
装置:大塚電子・ダイナミック光散乱装置DLS−7070
Figure 0004160552
本結果は水溶液中の墨のミセルサイズを測定したもので、平均300〜400nmのサイズでこのサイズであれば、繊維等に着色可能であることがわかった。
墨液にて黒色着色したサンプルの写真

Claims (4)

  1. カーボン分散高分子を用いてカーボンをミセルに分散させた溶液に鉄イオンまたは銅イオンを混入してなる着色用溶液。
  2. 請求項1記載の着色用溶液を用いて繊維や不織布、布、衣服または髪を着色する方法。
  3. 請求項2記載の方法で着色した後にポリビニルアルコールを浸透させることで染色堅牢度を向上させる着色方法。
  4. 請求項1記載の溶液を用いて染色された繊維、不織布、布、衣服または髪の着色物。
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