JP3574531B2 - キャップ巻締め方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、キャッパーにおいて、キャップを規定トルクによる確実な巻締めを行なうことができるキャップ巻締め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現今、蓋付き容器に収容された食品は、その安全性・衛生面等の配慮から、工場出荷から一般需要者までの流通過程において、いたずら等による不要な開栓が行なわれたかどうかが、外観的にチェックすることができる機能付きの、いわゆる、図3に示すような、メカニカルバンドd付き等のキャップcにより密封包装されている。
【0003】
このキャップcは、メカニカルバンドdにおける多数の突起物eがその径の中心に向かって突出するように起伏自在に設けられ、この突起物eの内側に容器bのおねじ部fに螺着されるめねじ部gが設けられている。
【0004】
したがって、両ねじ部f,gが螺合するためには、容器b口元の上部へ被さった後、突出した突起物eがおねじ部fを完全に乗り越え、少なくとも、両ねじ部f,gの始端部同士が当接するか、あるいは、その噛合が行なわれなければならない。
【0005】
そのために、従来のキャッパーは、図5に示すように、チャック50に把持されたキャップcは、容器bに被された後、チャック50の上部に外装されたコイルばね51により上方から押圧されることで、前記した容器bのおねじ部fとキャップcのめねじ部gとが当接して確実に噛み合うものである。
【0006】
そして、規定した巻締めトルクに達したら、チャック50に内蔵されたスリップ等によるトルクリミターによって回転伝達が解除される。
【0007】
しかしながら、この方法での巻締めは、その巻締め開始から巻締め完了まで、キャップcが容器b口元へ所定の圧力によって常に押圧されているので、容器bのおねじ部fとキャップcのめねじ部gとでスラスト方向の力が発生し、この力が回転時に大きな摩擦力となってキャップは巻締め抵抗を受ける。
【0008】
そのため、巻締めが完了しないその工程の途中において、容器の材質および成形のバラツキなどにより、容器bのおねじ部fとキャップcのめねじ部gとのスラスト方向の力が一定せず、規定した巻締めトルクに達してしまうので、巻締め完了の早い時期にトルクリミターにおいてスリップを起こすから、処理された製品は巻締め不完全等のバラツキを多く生じて、希望する一定の巻締めトルクによる施蓋がなされない大きな問題点を有するものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した問題点を解決するためになされたもので、キャップのめねじ部が容器のおねじ部に螺合するまでは、このキャップに対して上部からの押圧力を与えつつ回転させて螺合促進を行ない、両ねじ部の螺合が開始したとき、またはキャップの巻締めが終了する前までの工程中に、前記キャップへの押圧力を解除させてキャップの巻締めを行なうことにより、開栓確認手段付きスクリューキャップの容器への巻締めを規定トルクによって均一で確実に行なうことができるキャップ巻締め方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するための本発明の手段は、
その下部に開栓確認手段を付設させたスクリューキャップの容器口元への巻締めにあって、
キャッパーの施蓋部材により把持されたキャップを容器の口元に対応させて、該キャップのめねじ部が容器のおねじ部に螺合するまでは、上下調圧部材によって、前記キャップに対して上部からの押圧力を与えつつ回転させて螺合促進を行ない、両ねじ部の螺合が開始したとき、またはキャップの巻締めが終了する前までの工程中に、上下調圧部材による前記キャップへの押圧力を解除させ、該上下調圧部材による押圧力を受けない状態で前記キャップの巻締めを行なうものであって、
前記上下調圧部材は、前記キャッパーにおける本体の内部に第一流体室を設けて、この第一流体室へその軸方向へ空圧の流体により作動される移動体を移動自在に挿嵌し、該移動体の一側部には前記施蓋部材を取り付ける取付軸を延設してあり、
前記第一流体室への空気の給排操作により、前記キャップへ押圧力を与えたり、該キャップへ与えた押圧力を解除したりする作動を選択的に行うキャップ巻締め方法にある。
【0011】
【作用】
前記のように構成される本発明のキャップ巻締め方法は以下に述べる作用を奏する。
【0012】
キャップのめねじ部が容器のおねじ部に螺合するまでは、上下調圧部材によって、このキャップに対して上部からの押圧力を与えつつ回転させることにより、キャップのめねじ部と容器のおねじ部とは容易に螺合が促進される。
【0013】
そして、両ねじ部の螺合が開始したとき、あるいは、キャップの巻締めの全工程が終了する前までに、上下調圧部材による前記キャップへの押圧力を解除させることにより、キャップのめねじ部と容器のおねじ部との螺合面にはスラスト方向の力、すなわち、摩擦力が働くことなくその螺動が行なわれて、純粋な巻締めトルクによってキャップの巻締めがなされるから、キャップの巻締めは一律に行なわれる。
【0014】
【実施例】
次に、本発明に関するキャップ巻締め方法の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の一実施例方法が採用される装置であるキャッパーAは、例えば、薬品や洗剤,食品等の液体を容器bに対して充填包装する業界において、その処理ラインに用いられるもので、容器bの口元へスクリューキャップcを取り付けるものであって、短時間で大量処理が連続かつ自動的に行なえる、例えば、ロータリ式巻締キャッパーに採用される。
【0016】
このキャッパーAにおいて用いられるキャップcは、開栓が行なわれたかどうかが、外観的にチェックすることができる開栓確認手段d付きの、いわゆる、図3に示すような、メカニカルバンドd付き等のキャップcが用いられる。
【0017】
このキャップcは、例えば、メカニカルバンドdにおける多数の突起物eがその径の中心に向かって突出するように起伏自在に設けられ、この突起物eの内側に容器bのおねじ部fに螺着されるめねじ部gが設けられているもので、容器b口元に施蓋された後に開栓すると、前記したメカニカルバンドdがキャップc本体から切除されることでその状態が目視等により確認される。
【0018】
そして、前記したキャッパーAの基本的構成は、図1に示すように、所定速度で一方向へ連続または間欠的に移動できるように構成された機体1へ支承させた多数の回転軸2と、これら回転軸2の下端に取り付けた施蓋部材3と、回転軸2の回転手段4と、回転軸2の昇降手段5とよりなる。
【0019】
該回転軸2は、その回転と昇降とを連動的に行なわせるために、外軸7とこの外軸7へ、キーとキー溝やスプライン等からなる回り止め部材8を介して、内軸9を摺動自在に嵌合してある。
【0020】
前記した施蓋部材3は、キャップcを把持して容器bの口元へ押し込んだり巻締めたりするもので、回転軸2の下端へ固着され該回転軸2の動きが伝達されるものであって、キャップの把持機構は、リンク・くさび等によるメカニカル式,バキューム式,エアチューブ式等慣用のものが使用されるもので、外部の制御系を介して把持や把持解除の信号が与えられるものであり、本実施例においてはエアーによって求心方向へ作動するくさび式を用いた。
【0021】
前記した回転手段4は、回転軸2に対してそれぞれ個別に連係させてあるもので、例えば、該回転軸2の上端部にサーボモータやブレーキモータをその軸ごとに接続し、それぞれのモータ4が、制御手段(図示せず)の信号により回転あるいは非回転がなされる。
【0022】
前記した昇降手段5は、機体1に設けた円筒体10の外周部に所定傾斜の螺旋溝11を刻設してあって、この螺旋溝11へ回転軸2における内軸9へ固着した移動駒12を係合してあるもので、この機体1の回転に伴って、螺旋溝11に係合する移動駒12が所定タイミングにより昇降する。
【0023】
なお、前記したキャップcは、給蓋手段(図示せず)から送られ、キャップ支持手段13により一個ずつ保持されて、カム等の回動手段14により換向させると、施蓋部材3が上昇した待機状態において受け渡される。
【0024】
次に、図2において20は、回転軸2に設けた調圧手段で、回転軸2の回転方向の加圧と上下方向の加圧とを調整するものであって、上下調圧部材21と回転調圧部材22とからなる。
【0025】
そして、前記した上下調圧部材21は、回転軸2の外端部、すなわち、下端部に円筒状の本体23を固着し、この本体23の内部に第一流体室24を設けて、この第一流体室24へその軸方向へ空圧等の流体により作動されるピストン等の移動体25を移動自在に挿嵌してあるもので、該移動体25の一側部(下側)には施蓋部材3を取り付ける取付軸26を延設してある。
【0026】
また、本体23の上部には、第一流体室24に連通させた空気の第一供給孔27を穿設してあり、移動体25の降下限近傍の本体23には第一排気孔28を設けてあるもので、第一供給孔27に圧送される流体は、流体源(図示せず)の途中に設けてその圧送圧を任意に変換し得る流量調整部材(図示せず)あるいは流体圧を任意に変換し得る圧調整部材を連係させてある。
【0027】
したがって、施蓋部材3に把持させたキャップcを容器bの口元へ対応させるとき、設定圧以上の押圧力が掛かったときは逃圧させて、所定の空圧により一律な巻締めを行なうことができるものであって、キャップcの種類や容器bの種類あるいは容器材質に応じて、この上下圧を変換させることにより、適宜良好の作業結果が得られる。
【0028】
前記した回転調圧部材22は、巻締めトルクを設定するもので、本体23における第一流体室24の下部に第二流体室29を設け、この第二流体室29へ前記した取付軸26へその軸方向へ移動自在となる加圧体30を挿嵌してある。
【0029】
そして、取付軸26と本体23とは断継自在の連結部材31により接続されているものであって、この該連結部材31は、例えば、図2に示すように、本体23の内周において軸方向へ複数条(実施例においては三条)を刻設した摺動溝32と、この摺動溝32へその外周突起33が軸方向へ移動自在に係合し、加圧体30の加圧力を受ける第一摩擦体34と、中心孔(図示せず)を取付軸26へ移動自在に遊嵌して、その一側面を第一摩擦体34の外面に当接し、他側面を本体23に支承させた第二摩擦体35とよりなる。
【0030】
なお、前記した第一摩擦体34と第二摩擦体35とは、それぞれ複数枚を積層状に設けることもできるもので、この場合、上下圧の微妙な調整が一層可能でかつ正確となる。
【0031】
また、この本体23には、第二流体室29に連通させた空気等の流体の第二供給孔36と、排気孔37とが設けられていて、該第二供給孔36に圧送される流体は、流体源(図示せず)の途中に設けて、その圧送圧を任意に変換し得る流量調整部材(図示せず)あるいは流体圧を任意に変換し得る圧調整部材を連係させてある。
【0032】
したがって、第二供給孔36より加圧流体を圧送すると、これにより加圧体30が下方へ移動して第一摩擦体34を押え、その面を第二摩擦体35の面へ押し付けるので、両摩擦体34,35の摩擦係合により回転軸2の回転が、本体23を介して取付軸26へ伝えられ施蓋部材3を回転させる。
【0033】
このとき、第二供給孔36への流体圧をキャップcおよび容器bの形状や種類に応じて、あらかじめ設定しておくことで、キャップcに対する容器bへの希望する巻締めトルクが得られる。
【0034】
前記のように構成される本発明の実施例方法によれば、まず、キャッパーAの機体1は所定速度により一方向へ回転されているもので、これにより、該機体1から垂下させた回転軸2の施蓋部材3は、図4に示すような、カム曲線によって昇降手段5により昇降制御される。
【0035】
また、回転軸2に取り付けた調圧手段20における上下調圧部材21が作動するもので、すなわち、第一供給孔27からのエアが第一流体室24内に送り込まれて、移動体35を介して取付軸26が下降限まで降下するものであって、この降下状態が維持される。
【0036】
そして、この曲線におけるp点手前において供給されたキャップ支持手段13からのキャップcを降下しつつ把持し、また、この施蓋部材3の下側には、そのテーブル6上に充填済の容器bが供給される。
【0037】
そして、更に、昇降手段5によって施蓋部材3を降下させると、図3(b)に示すように、この施蓋部材3により把持されたキャップcは上下調圧部材21により容器bの口元へ押し付けられる。
【0038】
このとき、キャップcにおける開栓確認手段dの突起物eは、同図に示すように、おねじ部fを乗り越え、該おねじ部fとキャップcのめねじ部gとの始端部が螺合し得る位置まで移動する。
【0039】
この状態で、施蓋部材3の回転軸2が回転手段4により回転されるため、キャップcは容器b口元への螺合が進行する。
【0040】
そして、両ねじ部f,gの螺合が開始したときに、すなわち、図4における曲線において、切換点mに達すると、例えば、機体1に設けた光電管や近接スイッチ,カム等の検出手段40が検知して、制御手段41を介して上下調圧部材21におけるエアの供給を停止して、第一排気孔28から第一流体室24の空気を排出することで、施蓋部材3の上下作動は規制されない。
【0041】
したがって、両ねじ部f,gへにはスラスト方向への力は解除され、キャップcは純粋な巻締めトルクによって巻締めされるので、回転調圧部材22を介してあらかじめ規定されたトルクによって、全ての容器bに対して均一かつ一律に施蓋される。
【0042】
この方法において最も重要なことは、キャップcにおける突起物eによって両ねじ部f,gの螺合が阻害されないように、その螺合開始までは、上下調圧部材21等による加圧手段によりキャップcへ上からの押圧力を掛けて螺合促進を行ない、両ねじ部f,gの螺合が開始されれば、この加圧手段による押圧力を解除させて、押圧力を受けない状態で、該キャップcの自由の回転を行なわせるものであって、該押圧力の解除は、巻締めトルクに異常変動を与えない前記螺合開始から巻締め完了までのどのタイミングであってもよい。
【0043】
この押圧力を受けない状態でのキャップcの巻締めとは、加圧手段である上下調圧部材21の制御による押圧力が解除された状態を表現したもので、キャップcが容器b口元に対応することによって生ずる両ねじ部f,gに掛かる施蓋部材3等の機械の自然重量の押圧力を指すものではない。
【0044】
なお、調圧手段20における上下調圧部材21は、本実施例においてはエア式を採用したが、電磁クラッチ等のメカニカルな手段も用いることができるものであって、巻締めトルクに異常変動を与えない前記螺合開始から巻締め完了までの間に押圧力の解除が行なえる手段であれば任意のものが採用し得る。
【0045】
【発明の効果】
前述のように構成される本発明は、キャップの巻締め完了時前からは、該キャップへの上からの押圧力を解除させて巻締めするにで、ねじ部へのスラスト方向の力が掛からず、あらかじめ定められたトルク通りにキャップの巻締めがなされて、常に均一な施蓋処理が行なえる格別な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関するキャップ巻締め方法を採用する一実施例装置を示す概略的な正面図である。
【図2】図1におけるキャップ保持部の要部を破断した正面図である。
【図3】図1における装置に用いるキャップおよび容器の一部を破断して示す説明図である。
【図4】図1における装置においての巻締め工程の施蓋部材の昇降曲線を示す説明図である。
【図5】従来のキャップ巻締め機に用いた施蓋部材の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
A キャッパー
b 容器
c スクリューキャップ
d 開栓確認手段
g めねじ部
f おねじ部
3 施蓋部材
21 上下調圧部材

Claims (1)

  1. その下部に開栓確認手段を付設させたスクリューキャップの容器口元への巻締めにあって、
    キャッパーの施蓋部材により把持されたキャップを容器の口元に対応させて、該キャップのめねじ部が容器のおねじ部に螺合するまでは、上下調圧部材によって、前記キャップに対して上部からの押圧力を与えつつ回転させて螺合促進を行ない、両ねじ部の螺合が開始したとき、またはキャップの巻締めが終了する前までの工程中に、上下調圧部材による前記キャップへの押圧力を解除させ、該上下調圧部材による押圧力を受けない状態で前記キャップの巻締めを行なうものであって、
    前記上下調圧部材は、前記キャッパーにおける本体の内部に第一流体室を設けて、この第一流体室へその軸方向へ空圧の流体により作動される移動体を移動自在に挿嵌し、該移動体の一側部には前記施蓋部材を取り付ける取付軸を延設してあり、
    前記第一流体室への空気の給排操作により、前記キャップへ押圧力を与えたり、該キャップへ与えた押圧力を解除したりする作動を選択的に行うことを特徴とするキャップ巻締め方法。
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