JP3574494B2 - 窒素化合物半導体結晶成長方法および成長装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、窒素化合物半導体結晶の成長方法および成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、窒素化合物半導体の結晶成長では、MBE法(分子ビーム成長法)やMOVPE法(有機金属化学気相成長法)などが行われている。特に、Two−Flow MOVPE法により、高品質なGaN、InGaN、AlGaNを成長させ、高輝度青色LEDがデバイスとして商品化されている。
【0003】
このTwo−Flow MOVPE法は、例えばGaNの成長の場合、従来のMOVPE法と同様、常圧下において加熱した基板上に、横方向からトリメチルガリウム、アンモニアそして水素からなる反応性ガスのメインフローを流すのと同時に、基板上方からメインフローを基板表面におさえつけるように窒素と水素からなるサブフローを流して成長を行う方法である。こうして基板表面への反応性ガスの供給効率を高め、均質な結晶成長を促している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような、従来の窒素化合物半導体の結晶成長方法においては、アンモニア等のガスから反応に寄与する活性化窒素を作り出す効率が大変低く、窒素化合物半導体結晶を約4μm/時の成長レートで成長するために、約10リットル/分といった大量のアンモニアを流さなくてはならなかった。このため、原料や排気処理に莫大な費用を要していた。
【0005】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、原料ガスの消費量を低減できる窒素化合物半導体結晶の成長方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明の窒素化合物半導体結晶の成長方法を好適に実施できる窒素化合物半導体結晶の成長装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒素化合物半導体結晶成長方法は、窒素の供給源として窒素原子を含む気体を用いる窒素化合物半導体結晶成長方法であって、(a)残留蒸気圧が10-3Torr程度以下の雰囲気中で基板を加熱する第1の工程と、(b)基板を第1の温度に設定しながら、基板の表面を第1の成長室内で第2の温度に設定された窒素原子を含む気体にさらし、基板の表面に窒素を化合させる第2の工程と、(c)基板の温度を第1の温度よりも低い第3の温度に設定しながら、基板の表面を第2の成長室内で第4の温度に設定された成長させるべきGaを含む気体にさらし、基板の表面にGaを堆積または蒸着する第3の工程と、(d)Gaが堆積または蒸着された基板の表面に加熱を行いながら、基板の表面を第1の成長室内で加熱された窒素原子を含む気体にさらす第4の工程と、(e)基板の表面を第1の成長室内で加熱された窒素原子を含む気体にさらしながら、基板を第5の温度に設定し、窒素化合物半導体の初期層を形成する第5の工程と、(f)窒素化合物半導体の初期層が形成された基板の表面に加熱を行いながら、第2の成長室内で第6の温度に設定された成長させるべきGaと窒素原子とを含む気体にさらし、初期層の表面に窒素化合物半導体層を成長させる第6の工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、窒素原子を含む気体には、アンモニア基を有するアンモニア若しくはターシャルブチルアミンの化合物気体、または窒素、窒素ラジカル、若しくは窒素イオンを含む気体を使用可能である。
【0009】
また、基板には、サファイア、BN、SiC、GaAs、またはZnOから成る基板を使用可能である。
【0010】
本発明の窒素化合物半導体結晶成長装置は、(a)基板の鉛直下方の表面を露出させて収納するととともに、基板に加熱を行う基板収納部と、(b)窒素原子を含む気体に加熱を行う、鉛直上方が開放された第1の成長室と、(c)成長させるべきGaおよび窒素原子を含む気体に加熱を行うとともに、鉛直上方が開放され、Ga金属が導入される内側中空部、及び窒素原子を含む気体が供給される外側中空部を有して構成された第2の成長室と、(d)基板収納部で露出された基板の表面を、第1の成長室の開放部の上方ないし第2の成長室の開放部の上方へ移動する駆動部と、(e)基板収納部、第1の成長室、第2の成長室、および駆動部を収納するとともに、内部の残留蒸気圧が10-3Torr程度以下とする真空槽と、を備えることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の窒素化合物半導体結晶の成長方法では、原料ガスを、加熱や光照射もしくはその両方が可能な第1および第2の成長室内に閉じ込め、加熱や光照射もしくはその両方により分解および活性化し、同時に基板の加熱や基板表面への光照射もしくはその両方により活性化して、基板表面上に、良質の窒素化合物半導体の結晶を成長させることにより、原料ガス、特に窒素の供給源ガスの分解効率を高めている。
【0012】
原料ガスを成長室に閉じ込めて分解、活性化するために、原料ガスの成長薄膜への供給効率を高め、原料ガスの消費量を格段に減少させることができる。
【0013】
本発明の窒素化合物半導体結晶の成長装置は、基板を加熱および基板表面への光照射もしくはその両方が可能な基板収納部、加熱や光照射もしくはその両方が可能な第1および第2の成長室、基板の露出表面を第1および第2の成長室の開放部に配置する駆動部とを備えるので、本発明の窒素化合物半導体結晶の成長方法を好適に実施する。
【0014】
【実施例】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
本実施例は、アンモニアとGa単体からサファイア基板上にGaNを成長する場合ものである。
【0016】
図1は、本実施例の窒素化合物半導体結晶成長で使用する、本発明の窒素化合物半導体結晶成長装置の構成図を示す。図1に示すように、この装置は、(a)基板の鉛直下方の表面を露出させて収納するととともに、サファイア基板900に加熱および光照射を行う基板収納部100と、(b)窒素ガスを含む気体に加熱を行う、鉛直上方が開放された成長室200と、(c)成長させるべき陽イオン元素材料および窒素ガスを含む気体に加熱を行うとともに、鉛直上方が開放された成長室300と、(d)基板収納部で露出された基板の表面を、第1の成長室の開放部の上方ないし第2の成長室の開放部の上方へ移動する基板ステージ400と、(e)基板収納部、第1の成長室、第2の成長室、および駆動部を収納するとともに、内部の残留蒸気圧が10−3Torr程度以下とする真空槽500と、を備えることを特徴とする。
【0017】
基板収納部100は、▲1▼基板ホルダ110と、▲2▼基板ホルダ110を収納する、鉛直下方が開放された石英管120と、▲3▼石英管120に巻かれたタングステン線からなる基板ヒータ130と、▲4▼石英管120と基板ヒータ130との回りを取り囲むステンレス管140とを備える。ステンレス管140は加熱効率を高める。
【0018】
成長室200は、▲1▼底のある石英管210と、▲2▼石英管210に巻かれたタングステン線からなるヒータ220と、▲3▼石英管210とヒータ220との回りを取り囲むステンレス管230とを備える。ステンレス管230は加熱効率を高める。石英管210には、アンモニアを供給する石英管240が挿入されている。
【0019】
成長室300は、▲1▼二重底構造をした石英管310と、▲2▼石英管310に巻かれたタングステン線からなるヒータ320と、▲3▼石英管310とヒータ320との回りを取り囲むステンレス管330とを備える。ステンレス管330は加熱効率を高める。石英管310の外側中空部には、アンモニアを供給する石英管340が挿入されている。
【0020】
基板ステージ400と、成長室200、300のギャップは任意に設定でき、また基板ステージ400は成長室1、2の上を自由にスライドすることができる。
【0021】
なお、サファイア基板の温度は、サファイア基板に接触させた熱電対600でモニタでき、成長室200、300の底部と開口部とには同じく熱電対が接触されていて温度をモニタすることができる。
【0022】
本実施例では、以下のようにして窒素化合物半導体結晶を成長させる。
【0023】
まず、石英管310の内側中空部にGa金属を導入した後、真空槽500内の残留蒸気圧を10−6Torr台まで真空引きを行い、不純物ガスを排気する。
【0024】
次に、サファイア基板900を成長室200上部に移動して、ヒータ220により、基板900を1000℃に加熱して、不純物を蒸発させ、サーマルクリーニングを施す(図2(a)参照)。
【0025】
引き続き、基板900の温度はそのままにして、成長室200の温度を880℃まで上げ、アンモニアを10cc/min の流量で導入し、30分間、基板900の表面に窒素を化合させる(図2(b)参照)。
【0026】
次いで、アンモニアの供給を止め、成長室200上部から基板900をはずし、550℃まで温度を下げる。この間に、成長室300の底部および開口部の温度を810℃として、Gaの蒸気圧を安定化させ、この成長室300上部に基板900を移動して、基板温度を550℃に保ち、1〜10分の間、Gaの蒸着膜を基板100の表面に堆積させる(図2(c)参照)。
【0027】
次に、再度、成長室200にアンモニアを10cc/min 供給し、流量が安定した後、基板900を成長室300上部から成長室200上部に移動し、この状態で1分間保持し、後にこの状態から基板900の温度を910℃まで3分間程度で上昇させ、910℃で1分間保持して、表面にGaN単結晶の初期層を形成する(図2(d)参照)。
【0028】
この後、成長室300の底部の温度を870℃まで下げ、開口部の温度は910℃のままとして、アンモニアを10cc/min 供給して、状態の安定したところで、基板900を成長室300上部にセットして、所望の厚さになるまで成長を行う(図2(e)参照)。
【0029】
所望の厚さの得られる時間経過後、成長室300から基板900をはずして、成長を停止する。
【0030】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、変形が可能である。例えば、上記実施例では基板として、サファイア基板を使用したが、BN、SiC、GaAs、またはZnOのいずれかから成る基板を使用しても同様に良質の窒素半導体の形成が可能である。また、上記実施例では窒素半導体をGaNとしたが、InN、AlN、GaN、GaInN、またはGaAlNも同様にして成長可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の窒素化合物半導体結晶成長方法および窒素化合物半導体結晶成長装置によれば、原料ガスを成長室に閉じ込めて成長を行うため、原料ガスの分解効率を高くすることができ、原料ガスの消費量を格段に少なくすることができる。
【0032】
また、成長表面における成長源の蒸気圧が高く保たれるため、成長表面からの原子の解離等を防ぎ、点欠陥の生成を抑制する。また成長過程が疑似平衡状態で行われるので、均質な膜の成長を促す。
【0033】
また、成長薄膜の膜厚を自由に設計することができ、超格子構造の作製が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の窒素化合物半導体結晶成長装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例の窒素化合物半導体結晶成長方法の工程図である。
【符号の説明】
100…基板収納部、110…基板ホルダ、120…石英管、130…基板ヒータ、140…ステンレス管、200,300…成長室、210,310…石英管、220,320…ヒータ、230,330…ステンレス管、240,340…石英管、400…基板ステージ。
代理人弁理士 長谷川 芳樹
Claims (4)
- 窒素の供給源として窒素原子を含む気体を用いる窒素化合物半導体結晶成長方法であって、
残留蒸気圧が10-3Torr程度以下の雰囲気中で基板を加熱する第1の工程と、
前記基板を第1の温度に設定しながら、前記基板の表面を第1の成長室内で第2の温度に設定された前記窒素原子を含む気体にさらし、前記基板の表面に窒素を化合させる第2の工程と、
前記基板の温度を前記第1の温度よりも低い第3の温度に設定しながら、前記基板の表面を第2の成長室内で第4の温度に設定された成長させるべきGaを含む気体にさらし、前記基板の表面にGaを堆積または蒸着する第3の工程と、
Gaが堆積または蒸着された前記基板の表面に加熱を行いながら、前記基板の表面を前記第1の成長室内で加熱された前記窒素原子を含む気体にさらす第4の工程と、
前記基板の表面を前記第1の成長室内で加熱された前記窒素原子を含む気体にさらしながら、前記基板を第5の温度に設定し、窒素化合物半導体の初期層を形成する第5の工程と、
前記窒素化合物半導体の初期層が形成された前記基板の表面に加熱を行いながら、前記第2の成長室内で第6の温度に設定された成長させるべきGaと窒素原子とを含む気体にさらし、前記初期層の表面に前記窒素化合物半導体層を成長させる第6の工程と、
を備えることを特徴とする窒素化合物半導体結晶成長方法。 - 前記窒素原子を含む気体は、アンモニア基を有するアンモニア若しくはターシャルブチルアミンの化合物気体、または窒素、窒素ラジカル、若しくは窒素イオンを含む気体である、ことを特徴とする請求項1記載の窒素化合物半導体結晶成長方法。
- 前記基板は、サファイア、BN、SiC、GaAs、またはZnOから成る、ことを特徴とする請求項1記載の窒素化合物半導体結晶成長方法。
- 基板の鉛直下方の表面を露出させて収納するととともに、基板に加熱を行う基板収納部と、
窒素原子を含む気体に加熱を行う、鉛直上方が開放された第1の成長室と、
成長させるべきGaおよび窒素原子を含む気体に加熱を行うとともに、鉛直上方が開放され、Ga金属が導入される内側中空部、及び窒素原子を含む気体が供給される外側中空部を有して構成された第2の成長室と、
前記基板収納部で露出された前記基板の表面を、前記第1の成長室の開放部の上方ないし前記第2の成長室の開放部の上方へ移動する駆動部と、
前記基板収納部、前記第1の成長室、前記第2の成長室、および前記駆動部を収納するとともに、内部の残留蒸気圧が10-3Torr程度以下とする真空槽と、
を備えることを特徴とする窒素化合物半導体結晶成長装置。
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