JP3573033B2 - 樹脂ライニング鋼管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温ではある形状を保持し、加熱により記憶していた元形状に回復する性能を示す形状記憶樹脂を用いた樹脂ライニング鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給排水等に使われる配管には、鋼管、又は、クロメート処理、亜鉛メッキ処理、プライマー処理の表面処理が施された鋼管に、耐食性等の改善のために、内面にも、亜鉛メッキ、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等をライニングした樹脂ライニング鋼管が使用されている。
【0003】
これらの樹脂ライニング鋼管を製造する際は、加熱した鋼管に樹脂粉体を粉体塗装することで、鋼管内面にライニング層を形成する方法が用いられてきた。しかし、この粉体塗装法は、塗装のための装置が高価である。また、樹脂粉体を均一に鋼管内面に融着させることが難しいのでピンホール等が発生しやすく、長期的に水道配管等として使用した場合、防食性能が低下する等、製品の性能上の問題もあった。
【0004】
近年、室温ではある形状を保持し、加熱により記憶していた元形状に回復する性能を示す形状記憶樹脂が製造されている。この形状記憶樹脂は、加熱中に加えた変形(ある形状)が冷却により凍結され、再度加熱することにより変形前の元の形状に復元する性質を有する。このような樹脂には、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、ポリノルボルネン等がある。
【0005】
そこで、これらの形状記憶樹脂を鋼管の内面ライニングに利用する方法が開発された。すなわち、形状記憶樹脂からなる樹脂パイプを縮径して鋼管に挿入し、その後加熱復元して鋼管内面に貼り付けることにより、内面ライニングを行う方法である。この方法には、上記の樹脂およびトランスポリイソプレン等の形状記憶性樹脂が用いられていた。
【0006】
例えば、特開平5−269848号公報には、外側に形状記憶特性を有する樹脂、内側に耐摩耗に優れた樹脂を積層した管内面ライニング用樹脂管が提案されている。この積層樹脂管を縮径または折り畳みにより小さくして鋼管に挿入後、加熱して形状回復させることにより、内面ライニングした耐摩耗性内面被覆管を製造でき、鋼管が既設管である場合にも適用できるというものである。
【0007】
また、融点の異なるポリオレフィン樹脂同士のブレンドにより形状記憶性を向上させる方法も提案されている。例えば、特開平5−278107号公報には、融点の異なるポリオレフィン樹脂のブレンドからなる成形体を、所定温度域で変形加工し、その後冷却してこの変形加工後の形状を固定することにより、成形体に形状記憶性を付与する方法が提案されている。
【0008】
この技術で、所定温度域と言うのは、高融点ポリオレフィン樹脂の融点未満でかつ低融点ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度域のことである。この温度域で、低融点樹脂が融けた状態で高融点樹脂を変形させる。その後、低融点樹脂の凝固により、高融点樹脂の変形後の形状を固定させる。この成形体を(変形温度より10℃低い温度以上に)再度加熱すると、低融点樹脂が融けることにより、高融点樹脂は変形加工前の形状に回復するというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−269848号公報記載の技術等、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、ポリノルボルネン、およびトランスポリイソプレン等の樹脂材料は優れた形状記憶性を有しているが、高価なため使用範囲が限られる。また、成形性、耐薬品性等などの物性に問題がある材料もある。
【0010】
また、特開平5−278107号公報記載の技術等、融点の異なるポリオレフィン樹脂のブレンドからなる成形体を用いる方法では、各々の材料の融解温度差が小さいため、形状付与、回復温度範囲が狭い範囲に制限される。そのため、ライニングを行うのが難しいという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、一般的には形状記憶性の乏しい樹脂であるポリオレフィン樹脂に、優れた形状記憶性を発現させ、実用可能な形状記憶性を保持させるとともに、このポリオレフィン樹脂のパイプを内面に用いた樹脂ライニング鋼管を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の発明により解決される。
【0014】
この発明は、形状記憶樹脂が、軟化と固化を繰り返す可逆相と、流動を阻止し形状を固定する固定相とから構成されていることから、それぞれの軟化および固化の温度依存性について鋭意検討した結果なされたものである。ここで、可逆相が軟化および固化する温度をTr、固定相が軟化および固化する温度をTfとすると、Tr以下の温度域では形状が維持され、Tr以上Tf以下の温度域では形状が付与または回復される。
【0015】
検討の過程で、安価なポリオレフィン樹脂でも、融解温度が大きく異なる結晶性ポリスチレンをブレンドすることにより、形状記憶性について優れた特性を発現できることを見出した。この形状記憶樹脂は、ポリオレフィン樹脂の融解温度をTr、結晶性ポリスチレンの融解温度をTfとして利用しているので、融解温度差Tf−Trが大きくなり、従来技術におけるブレンド材の形状付与、回復温度範囲が狭いという問題点が解決される。
【0017】
この発明は、リオレフィン樹脂と結晶性ポリスチレンとの相溶化剤として、エチレン-スチレン共重合体またはプロピレン-スチレン共重合体の少なくとも1種類を用いることにより、さらに優れた形状記憶性を発現できることを見出した。これは、ポリオレフィン樹脂と結晶性ポリスチレンとの界面接着が、これらの相溶化剤により強化されたことによると考えられる。
【0018】
1の発明は、ポリオレフィン樹脂と、結晶性ポリスチレンとのブレンドであり、前記ポリオレフィン樹脂と前記結晶性ポリスチレンとの重量分率が前記ポリオレフィン樹脂: 60 %以上、前記結晶性ポリスチレン: 40 %以下である形状記憶樹脂を、鋼管の内面に用いたライニング層を有する樹脂ライニング鋼管である。
2 の発明は、ポリオレフィン樹脂と、結晶性ポリスチレンと、エチレン - スチレン共重合体およびプロピレン - スチレン共重合体の内 1 種以上であり相溶化剤とのブレンドであり、前記ポリオレフィン樹脂と前記結晶性ポリスチレンとの重量分率が前記ポリオレフィン樹脂: 60 %以上、前記結晶性ポリスチレン: 40 %以下である形状記憶樹脂を、鋼管の内面に用いたライニング層を有する樹脂ライニング鋼管である。
【0019】
この発明は、リオレフィン樹脂と結晶性ポリスチレンのブレンドからなる樹脂の優れた形状記憶性に着目し、このブレンドを樹脂ライニング鋼管の内面ライニング用樹脂として採用している。その結果、従来技術における樹脂材料が高価、あるいは、形状付与、回復温度範囲が狭いためライニングを行うのが困難等の種々の問題が解決できる。
【0020】
さらに、この樹脂ライニング鋼管は、内容物が比較的高温となる配管にも使用可能である。また、この発明により、形状復元性を利用した効率のよいライニング法が適用可能となるため、ライニング鋼管の製造コストを低減できるという利点もある。
【0021】
なお、ライニング法としては、発明の形状記憶樹脂からなるパイプを、縮径、あるいは折り畳んで鋼管の内径より小さくして鋼管に挿入し、その後パイプを加熱して形状復元により膨張させることにより、ライニングを形成させる方法を用いることができる。
【0022】
3の発明は、鋼管と樹脂ライニング層との間に接着層を有する第1 または 2の発明の樹脂ライニング鋼管である。
【0023】
この発明は、鋼管と樹脂ライニング層との間に接着層を介在させているので、形状復元によりライニングされた樹脂ライニング層が、鋼管の内面から剥離することを防止することができる。
【0024】
4の発明は、接着層が、無水マレイン酸変成ポリオレフィン樹脂、エチレン-無水マレイン酸共重合樹脂、エチレン-無水マレイン酸-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体の内1種以上を含む第3の発明の樹脂ライニング鋼管である。
【0025】
この発明は、第3の発明における接着層を規定したもので、これらの高分子材料の内1種あるいは複数を組み合わせて、接着層として使用する。これにより、鋼管との接着力が良好となり、使用環境で内面ライニング層の剥離等がなく、性能の良い樹脂ライニング鋼管を製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、洗浄低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマーなどが挙げられ、他の成分として、エチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、デセン、もしくは4−メチル−1−ペンテン等が共重合されていてもよい。なお、本発明は密度、MFR、分子量などの特性を特に限定しなくても問題ない。
【0027】
結晶性ポリスチレンは、立体規則性がアイソタクチック、シンジオタクチックのいずれでもよく、融解温度は225℃以上である。本発明で用いられるポリオレフィン樹脂、結晶性ポリスチレンに、相溶化剤を用いる場合は、エチレン−スチレン共重合体またはプロピレン−スチレン共重合体の少なくとも1種類を採用すればよい。さらに、本発明の性能を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、潤滑剤、粘着付与剤等の添加剤、および他の樹脂を添加することができる。
【0028】
形状記憶性を有する成形体の成形は、以下の方法で行う。まず、ポリオレフィン樹脂、結晶性ポリスチレン、必要に応じエチレン−スチレン共重合体またはプロピレン−スチレン共重合体の少なくとも1種の相溶化剤を用いて、混練機、押出機などを用いて溶融ブレンドした後、任意の成形体を成形する。その際、溶融した樹脂を結晶性ポリスチレンの結晶化温度以下、ポリオレフィン樹脂の結晶化温度以上の温度まで冷却した後、変形加工し、その後さらに冷却固化して変形加工した時のままの形状を固定することにより、形状記憶性を付与する。
【0029】
また、既に任意の形に成形された成形体を用いる場合は、結晶性ポリスチレンの融解温度以下、ポリオレフィン樹脂の融解温度以上の温度まで昇温し、その後、変形加工し、冷却固化して変形加工した時のままの形状を固定することにより、形状記憶性を付与する。このようにして形状記憶性を付与した後に、加熱することによって、変形加工前の形状に回復させることができる。
【0030】
樹脂ライニング鋼管については、次の通りである。鋼管と樹脂ライニング層の間の接着層に用いる樹脂としては、無水マレイン酸変成ポリプロピレン樹脂をはじめとした、無水マレイン酸変成ポリオレフィン樹脂、エチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、もしくはエチレン−アクリル酸エステル共重合体からなる物であればよい。また、この場合も、本発明の性能を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、潤滑剤、粘着付与剤等の添加剤、および他の樹脂を添加することができる。
【0031】
鋼管ライニングに用いる樹脂パイプは、上記ポリオレフィン樹脂と結晶性ポリスチレンのブレンド、さらに必要に応じエチレン−スチレン共重合体またはプロピレン−スチレン共重合体の少なくとも1種の相溶化剤を用いて作製される。作製方法としては、溶融したブレンド物を押出機よりパイプ状にダイから押出す。その際、前述と同様、パイプを結晶性ポリスチレンの結晶化温度以下、ポリオレフィン樹脂の結晶化温度以上の温度まで冷却した後、縮径または折り畳んで変形加工し、その後さらに冷却固化して形状を固定することにより、形状記憶性を付与する。
【0032】
また、既に成形された樹脂パイプを用いる場合も、前述と同様、結晶性ポリスチレンの融解温度以下、ポリオレフィン樹脂の融解温度以上の温度まで昇温し、その後、縮径または折り畳んで変形加工し、冷却固化して形状を固定することにより、形状記憶性を付与する。
【0033】
本発明で用いられる樹脂パイプは、外側に接着層を有する物とすることができる。接着層は、二層ダイスで押出すか、樹脂パイプ作成後に樹脂パイプ外面にライニングする、あるいはシート状に押出し成形した接着層を外面に巻き付けるなどの方法で作成することができる。
【0034】
本発明の樹脂ライニング鋼管を製造する場合、内面ライニング層および接着層の厚さは、任意に設定することが可能で特に制限はない。また、用いる鋼管は、表面にメッキ処理を施した物でもよく、内面や外面にブラスト処理、酸洗処理などの前処理、さらには、化成処理、プライマー処理等の表面処理を施すことができる。
【0035】
このように、必要に応じて処理された鋼管に、上記方法で形状記憶させた樹脂パイプを挿入する。その状態で、全体を、高周波加熱装置あるいは熱風炉等で加熱する。樹脂パイプは、鋼管あるいは熱風からの熱移動により加熱され、延伸前の形状に形状復元する力が働き、鋼管内面に密着する。冷却後、鋼管端部よりはみ出した樹脂パイプを切断し、樹脂ライニング鋼管を得る。
【0036】
【実施例】
まず、樹脂パイプの実施例について説明する。
【0037】
ポリオレフィン樹脂−結晶性ポリスチレンブレンドと接着層樹脂の組み合わせで、ブレンドの厚さが約1.3mm、接着層の厚さが約0.4mmで外径30.0mmのパイプ形状になるよう、ダイス温度285℃の二層ダイスで押出し成形した。樹脂パイプ表面温度が、結晶性ポリスチレンの結晶化温度245℃より低く、ポリオレフィン樹脂の結晶化温度より高い温度まで冷却した後、外径26.0mmになるまで樹脂パイプを縮径(延伸)して形状記憶させた。その後冷却して、外径26.0mm、肉厚約1.4mmの樹脂パイプを作製した。
【0038】
[実施例1]
材料には、高密度ポリエチレン樹脂(融解温度134℃、結晶化温度120℃)、結晶性ポリスチレン(融解温度270℃、結晶化温度245℃)、相溶化剤としてエチレン−スチレン共重合体を用い、表1に示す割合でブレンドした樹脂を上記方法で樹脂パイプに成形した。縮径(延伸)時の樹脂パイプ表面温度は130℃とした。
【0039】
【表1】
Figure 0003573033
【0040】
その後、冷却固化した樹脂パイプを、145℃および200℃に加熱し、形状回復率を調べた。その結果、表1に示したように、ポリエチレン樹脂に結晶性ポリスチレンをブレンドすることにより、形状回復率の向上が認められる。また、相溶化剤を加えることにより、さらなる向上が得られることもわかる。
【0041】
[実施例2]
上記実施例1の高密度ポリエチレン樹脂に代えて、ポリプロピレン樹脂(融解温度169℃、結晶化温度135℃)を用い、表2に示す割合でブレンドした樹脂を同様の方法で樹脂パイプに成形した。縮径(延伸)時の樹脂パイプ表面温度は150℃とした。
【0042】
【表2】
Figure 0003573033
【0043】
その後、冷却固化した樹脂パイプを、175℃および200℃に加熱し、形状回復率を調べた。その結果、表2に示したように、ポリプロピレン樹脂に結晶性ポリスチレンをブレンドすることにより、形状回復率の向上が認められ、相溶化剤を加えることにより、さらなる向上が得られることもわかる。
【0044】
次に、樹脂ライニング鋼管の実施例について説明する。
【0045】
ここでは、上記方法で作製した樹脂パイプを鋼管に挿入し、高周波加熱装置により加熱して形状復元させた。その後、鋼管端部よりはみ出した樹脂パイプを切断し、樹脂ライニング鋼管を作製した。
【0046】
[実施例3]
高密度ポリエチレン樹脂80%と結晶性ポリスチレン20%のブレンドに対して、相溶化剤としてエチレン−スチレン共重合体を15%の割合として製作した樹脂パイプを、形状記憶させて外径26.0mm、肉厚約1.4mm、長さ4.5mの樹脂パイプを作製した。この樹脂パイプの外面に種々の接着層樹脂のフィルムを巻き付け、内面をブラスト処理した長さ4mの鋼管(内径27.6mm、外径34mm)に挿入して、高周波加熱装置により鋼管表面の温度が200℃になるまで加熱し、樹脂パイプを形状復元させた。さらに、鋼管端部よりはみ出した樹脂パイプを切断した。接着層樹脂の組成と物性を表3にまとめて示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003573033
【0048】
このようにして作製した樹脂ライニング鋼管について、ライニング層の剪断接着力の測定、耐低温衝撃特性試験、および耐熱水性試験を行った。また、ライニング状態については、目視観察により良否を判定した。個々の測定・試験については、次のようにして実施し評価を行った。
【0049】
剪断接着力: 樹脂ライニング鋼管を長さ方向20mmに輪切りにし、治具を用いて鋼管を固定し、鋼管内面の樹脂ライニング層を50mm/minの速度で押し抜く時の押し抜き力を測定し、これより剪断接着力を求める。サンプルは、各樹脂ライニング鋼管について各5個ずつ採取して平均値を求めた。なお、測定・試験中の温度は一律に23℃とした。
【0050】
耐低温衝撃特性: 樹脂ライニング鋼管を0℃の温度に放置して、内面が0℃となったことを確認した後、15kの落錘を2.5mの高さから樹脂ライニング鋼管の上に落とし、内面を観察した。ライニング層に剥離、亀裂等が生じたものを不合格(×)、そうでないものを合格(○)とした。
【0051】
耐熱水性: 長さ30cmの樹脂ライニング鋼管の両端にソケットを付け、40℃に保った冷却器付き恒温水槽に入れ、この鋼管の内側には85℃の熱水を5ヶ月間流した。その後、この樹脂ライニング鋼管から前述の剪断接着力試験と同様のサンプルを5個採取し、室温で剪断接着力を測定した。測定結果の平均値を求め、初期値の60%未満となったものを不合格(×)、それ以外を合格(○)とした。これらの測定・試験結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003573033
【0053】
このように、いずれの接着層樹脂(組成、物性は表3参照)を用いた場合でも、それぞれ良好な特性が得られている。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、ポリオレフィン樹脂と結晶性ポリスチレンとのブレンドを用いることにより、形状記憶性の乏しい樹脂であるポリオレフィン樹脂に、優れた形状記憶性を発現させており、実用可能な形状記憶性を保持させることが可能である。このポリオレフィン樹脂のパイプを、縮径して鋼管に挿入して加熱することにより、形状復元を利用した効率的方法で、接着力が高く耐低温衝撃特性に優れた樹脂ライニング鋼管を製造することができる。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン樹脂と、結晶性ポリスチレンとのブレンドであり、前記ポリオレフィン樹脂と前記結晶性ポリスチレンとの重量分率が前記ポリオレフィン樹脂: 60 %以上、前記結晶性ポリスチレン: 40 %以下である形状記憶樹脂を、鋼管の内面に用いたライニング層を有する樹脂ライニング鋼管。
  2. ポリオレフィン樹脂と、結晶性ポリスチレンと、エチレン - スチレン共重合体およびプロピレン - スチレン共重合体の内 1 種以上からなる相溶化剤とのブレンドであり、前記ポリオレフィン樹脂と前記結晶性ポリスチレンとの重量分率が前記ポリオレフィン樹脂: 60 %以上、前記結晶性ポリスチレン: 40 %以下である形状記憶樹脂を、鋼管の内面に用いたライニング層を有する樹脂ライニング鋼管。
  3. 鋼管と樹脂ライニング層との間に接着層を有する請求項 1 または 2 記載の樹脂ライニング鋼管。
  4. 接着層が、無水マレイン酸変成ポリオレフィン樹脂、エチレン - 無水マレイン酸共重合樹脂、エチレン - 無水マレイン酸 - アクリル酸エステル共重合体、エチレン - メタクリル酸共重合体、エチレン - アクリル酸共重合体、エチレン - 酢酸ビニル共重合体、エチレン - アクリル酸エステル共重合体の内 1 種以上を含む請求項 3 記載の樹脂ライニング鋼管。
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