JP2003245974A - オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法 - Google Patents

オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法

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JP2003245974A
JP2003245974A JP2002044487A JP2002044487A JP2003245974A JP 2003245974 A JP2003245974 A JP 2003245974A JP 2002044487 A JP2002044487 A JP 2002044487A JP 2002044487 A JP2002044487 A JP 2002044487A JP 2003245974 A JP2003245974 A JP 2003245974A
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pipe
resin
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olefin
olefin resin
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JP2002044487A
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English (en)
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Takehisa Sugaya
武久 菅谷
Yasuo Yamabe
泰男 山部
Hirotsugu Yoshida
博次 吉田
Junichi Yokoyama
順一 横山
Hideki Sakakibara
英樹 榊原
Seiichi Enomoto
聖一 榎本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状記憶性の乏しい樹脂であるオレフィン樹
脂に対して、特殊なブレンドや操業範囲限定無しに、汎
用のオレフィン樹脂を用い、極めて広い操業範囲でオレ
フィン樹脂を金属管内面にライニングすることのできる
オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 オレフィン系樹脂管の外面に接着性樹脂
を被覆してなるライニング用2層原管を成形する第1工
程、前記ライニング用2層原管を折り畳んだ後、金属管
内へ挿入する第2工程、前記ライニング用2層原管を金
属管内へ挿入した後、前記原管内面に圧力を付与して金
属管内面に原管を密着させる第3工程、および、金属管
内面に原管を密着させた状態で、接着性樹脂の融点以上
で、かつ、オレフィン系樹脂管の融点以下の温度により
金属管外面から加熱し、その後、ライニング用2層原管
全ての融点以下になるまで冷却して金属管内面と原管外
面を接着させる第4工程からなることを特徴とする、オ
レフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属管の内面に
オレフィン系樹脂がライニングされる、給水、給湯、排
水、消火、空調等の用途に使用されるオレフィン系樹脂
ライニング金属管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】給排水等に使われる配管には、鋼管、又
は、クロメート処理、亜鉛メッキ処理、プライマー処理
の表面処理が施された鋼管内面に、耐食性等の改善のた
めに、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等をライニン
グした樹脂ライニング管が使用されている。
【0003】これらの内、オレフィン系樹脂ライニング
管を製造する際は、加熱した鋼管に樹脂粉体を粉体塗装
することで、鋼管内面にライニング層を形成する粉体塗
装法が用いられてきた。しかし、この粉体塗装法は、塗
装のための装置が高価である。また、樹脂粉体を均一に
鋼管内面に融着させることが難しいのでピンホール等が
発生しやすく、長期的に水道配管等として使用した場
合、防食性能が低下する等、製品の性能上の問題もあっ
た。
【0004】また、オレフィン系樹脂は塩化ビニル系樹
脂の様に形状記憶特性を有さない為、形状記憶特性付与
する種々の提案がなされている。例えば、特開2001
−131354号公報には、ライニング樹脂にオレフィ
ン系樹脂と結晶性ポリスチレンのブレンド樹脂を、両樹
脂の融解温度間で縮径または折り畳んで変形加工し、冷
却固化して形状を固定することにより形状記憶性を付与
する方法が提案されている。また、特開2001−62
915号公報では、ガラス転移温度が25℃以下の結晶
性の熱可塑性樹脂を、融解完了温度より100℃低い温
度以上かつビカット軟化温度以下で変形加工し、その後
に冷却固化して形状を固定することにより形状記憶性を
付与する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開2
001−131354号公報記載の方法では、2つの樹
脂を混練機、押出機でブレンドする工程が必要となりコ
ストや製造スペースに関する制約がある。また、特開2
001−131354号、特開2001−62915号
公報記載の方法共に変形加工する温度範囲に制限がある
ことから、ライニングを行うのが非常に難しいという問
題がある。
【0006】そこで本発明は、上記従来技術の問題点を
解決し、一般的には形状記憶性の乏しい樹脂であるオレ
フィン樹脂に対して、特殊なブレンドや操業範囲限定無
しに、汎用のオレフィン樹脂を用い、極めて広い操業範
囲でオレフィン樹脂を金属管内面にライニングすること
のできるオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
オレフィン系樹脂管の外面に接着性樹脂を被覆してなる
ライニング用2層原管を成形する第1工程、前記ライニ
ング用2層原管を折り畳んだ後、金属管内へ挿入する第
2工程、前記ライニング用2層原管を金属管内へ挿入し
た後、前記原管内面に圧力を付与して金属管内面に原管
を密着させる第3工程、および金属管内面に原管を密着
させた状態で、接着性樹脂の融点以上、且つ、オレフィ
ン系樹脂管の融点以下の温度により金属管外面から加熱
し、その後、ライニング用2層原管全ての融点以下にな
るまで冷却して金属管内面と原管外面を接着させる第4
工程からなるオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造
方法である。
【0008】請求項2記載の発明は、形状記憶性を有す
る、管の軸方向に延伸成形された、オレフィン系樹脂管
外面に接着性樹脂を被覆してなる、ライニング用2層原
管を成形する第1工程、前記ライニング用2層原管を、
金属管内へ挿入する第2工程、金属管に前記原管を挿入
後、接着性樹脂層の融点以上、かつ、オレフィン系樹脂
管の融点以下で金属管外面から加熱することにより、前
記オレフィン系樹脂管径を膨張させて金属内面に密着さ
せる第3工程、及び、前記原管全ての融点以下になるよ
うに冷却して、金属管内面と原管外面を接着させる第4
工程からなるオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造
方法である。
【0009】また、請求項3記載の発明は、上記オレフ
ィン系樹脂管に用いられる樹脂がポリエチレンであり、
前記ポリエチレンの密度が、0.92〜0.95g/c
3である請求項1又は2記載のオレフィン系樹脂ライ
ニング金属管の製造方法である。オレフィン系樹脂ライ
ニング管は、給水・給湯用途に多く使われ、特に給湯用
途については、常温と最大95℃間のヒートショックや
熱伸縮によって金属層と樹脂ライニング層との界面に大
きな応力が発生し、長期に渡るこの繰り返し応力によっ
て界面剥離が発生する場合がある。ポリエチレン密度を
上記密度範囲にすることで、この伸縮応力を最小化出来
るからである。なお、本発明において密度とは、JIS
K7112に規定された試験方法で測定されたものを
いう。
【0010】また、請求項4記載の発明は、上記ポリエ
チレンと上記接着性樹脂の融点差が3〜25℃である請
求項3記載のオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造
方法である。これはポリエチレンを使用した場合に、上
記融点差範囲であることが、接着性樹脂層のみを完全溶
融させ易いからである。
【0011】上記ポリエチレンとしては、Ziegler-Nat
ta、Metloceneのいずれを触媒として得られた
ものが挙げられ、製造方法は、高圧法、気相法、溶液
法、スラリー法のいずれでも良い。他のオレフィン成分
(好ましくは、炭素数4〜8)との共重合体であっても
良い。
【0012】また、請求項5記載の発明は、上記オレフ
ィン系樹脂管に用いられる樹脂がポリプロピレン系樹脂
であり、上記ポリプロピレン系樹脂と上記接着性樹脂の
融点差が15〜35℃である請求項1又は2記載のオレ
フィン系樹脂ライニング金属管の製造方法である。上記
融点差が35℃よりも大きい樹脂管と接着性樹脂を使用
すると、接着性樹脂の軟化温度が低くなり過ぎてしまい
耐熱性が劣る。また、上記融点差が、15℃よりも小さ
いと、接着性樹脂の融点以上に加熱してライニングする
際にライニング樹脂管が軟化して熱収縮力が大きくな
り、接着性樹脂による金属管とライニング樹脂管の接着
力が十分得られないからである。
【0013】上記ポリプロピレン系樹脂としては例え
ば、プロピレンの単独重合体、あるいはプロピレンと、
エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、
4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンとのブロ
ック共重合体が挙げられる。
【0014】また、請求項6記載の発明は、上記接着性
樹脂の密度は、0.89〜0.94g/cm3 で、MF
Rが1〜10g/10minである請求項1〜5記載の
オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法である。
上記接着性樹脂のMFRは溶融後の流動性によって金属
の微小な凸凹に樹脂層が入りこむ、所謂、物理的なアン
カー効果を発揮し金属管との密着性を向上させるからで
ある。
【0015】特に、上記オレフィン系樹脂管に用いられ
る樹脂がポリエチレンの場合には、0.91〜0.94
g/cm3 が好ましく、ポリプロピレン系樹脂の場合に
は、0.89〜0.91g/cm3 が好ましい。
【0016】尚、上記MFRとは、JIS K7210
に規定された試験方法で、190℃、試験荷重2.16
kgfの条件で測定されたものである。
【0017】また、請求項7記載の発明は、上記金属管
外面から加熱する手段が、電磁誘導加熱法であることを
特徴とする請求項1〜6記載のオレフィン系樹脂ライニ
ング金属管の製造方法である。
【0018】上記オレフィン系樹脂管層の厚みは特に限
定され無く、用途によっての要求性能によっても異なる
が、0.5〜3.0mmが好ましい。
【0019】また、上記接着性樹脂層の厚みは特に限定
され無く、用途によっての要求性能によっても異なる
が、0.2〜1.0mmが好ましい。
【0020】上記接着性樹脂としては、無水マレイン酸
変性オレフィン樹脂、エチレン−無水マレイン酸共重合
樹脂、エチレン−無水マレイン酸ーアクリル酸エステル
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン
−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げら
れ、トータル的なコストパフォーマンスを鑑みると、無
水マレイン酸変性オレフィン樹脂が好ましい。これらの
オレフィン樹脂や接着性樹脂には必要に応じて、酸化防
止剤、難燃剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、潤滑剤、粘
着付与剤等の添加剤、および他の樹脂を添加することが
出来る。
【0021】上記オレフィン系樹脂管、及び接着性樹脂
には必要に応じて、層状珪酸塩が充填されていても良
い。上記層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有す
る珪酸塩鉱物を意味し、通常、厚さが約1nm、平均ア
スペクト比がおよそ20〜200程度の微細な薄片状結
晶がイオン結合により凝集してなるものである。
【0022】上記層状珪酸塩の種類は特に限定されず、
例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライ
ト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト
等のスメクタイト系粘土鉱物;バーミキュライト、ハロ
イサイト、セピオライト等の天然鉱物;膨潤性雲母(膨
潤性マイカ)等の合成雲母等が挙げられる。これらの層
状珪酸塩は、天然のものでも合成されたものでも用いる
ことができる。好ましくは、モンモリロナイト、合成雲
母が用いられる。
【0023】上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽
イオンは、予めカチオン系界面活性剤等によりイオン交
換されていても構わない。特に、ポリオレフィン系樹脂
の非極性樹脂を用いる場合には、予め、例えば、層間を
カチオン系界面活性剤を用いた陽イオン交換により、疎
水化しておく方が、層状珪酸塩とポリオレフィン系樹脂
との間に高い親和性が得られるので好ましい。
【0024】上記の如く、層状珪酸塩の層間が、疎水性
基を有するカチオン系界面活性剤にてイオン交換されて
いる物を「有機化層状珪酸塩」と称するが、この有機化
層状珪酸塩は、有機化されていない層状珪酸塩よりも樹
脂中に分散されやすいので好適に用いられる。上記した
層間を予め疎水化する物質としては特に限定されず、通
常、用いられるカチオン系界面活性剤が用いられ、例え
ば、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げ
られる。好ましくは、炭素数8以上のアルキル鎖を有す
る4級アンモニウム塩が用いられる。炭素数が8以上の
アルキル鎖を含有しない場合には、アルキルアンモニウ
ムイオンの親水性が強く、層状珪酸塩の層間を充分に非
極性化することが困難となる場合がある。
【0025】上記4級アンモニウム塩としては例えば、
ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメ
チルアンモニム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジス
テアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチル
アンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム
塩等が挙げられる。
【0026】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は特に
限定されないが、50〜200ミリ当量/100gであ
ることが好ましい。50ミリ当量/100g未満の場合
には、結晶層間にイオン交換によりインターカレートさ
れるカチオン系界面活性剤の量が少ないために、層間が
充分に非極性化されない場合があり、一方、200ミリ
等量/100gを超える場合には、層状珪酸塩の層間の
結合力が強固となり、結晶薄片をデラミネートすること
が困難な場合がある。なお、上記陽イオン交換容量と
は、上記層状珪酸塩100gで交換可能な陽イオンの量
である。
【0027】上記層状珪酸塩は、樹脂成分100重量部
に対し1〜15重量部添加することが好ましく、さらに
は2〜13重量部添加することが好ましい。1重量部未
満では樹脂の線膨張係数を小さくする効果が少なく、1
5重量部超では接着性樹脂層の成形性、引張強さ、延性
等が低下すると共にコスト高となる。
【0028】本発明においては、上記オレフィン系樹脂
管の外面に接着性樹脂を被覆してライニング用2層原管
を得るが、上記ライニング2層原管の全体厚みとして
は、薄過ぎると金属管内面にライニング工程で加熱する
際。形状保持が出来ず、厚過ぎると折り畳み等が困難に
なるので、0.5〜3mmが好ましい。
【0029】また、上記ライニング用2層原管の引張弾
性率は、低過ぎると通湯の際にブリスターが発生しやす
くなり、高過ぎると折り畳みが困難になるので、0.5
〜1.5GPaが好ましい。
【0030】オレフィン系樹脂管層の外面に上記接着性
樹脂を被覆する方法としては特に限定されなく、ライニ
ング用2層原管を押出成形する際、金型内で多層化する
方法;オレフィン系樹脂管層成形後に外面に被覆押出を
行う方法;シート状に押出した接着性樹脂をオレフィン
系樹脂管層に巻き付ける方法などが挙げられるが、工程
の簡素化やオレフィン系樹脂管層と接着性樹脂層界面の
信頼性の観点からは、金型内で多層化することが好まし
い。
【0031】本発明の樹脂ライニング管に使用される金
属管としては、特に限定されないが通常は、鋼管が好ま
しい。また、金属管表面にはメッキ処理を施したもの
や、ブラスト処理、酸洗処理等の前処理や、化成処理、
プライマー処理等の表面処理を施したものが密着性等の
点で好ましい。
【0032】請求項1記載発明では、前記ライニング用
2層原管を折り畳んだ後、金属管内へ挿入するが、上記
2層原管を折り畳むのは原管を挿入すべき金属管の内断
面積よりも小さい断面積を有する形状にして金属管に挿
入させるためである。
【0033】上記ライニング用2層原管の折り畳み形状
としては、U字型、Ω型、花びら型等、特に限定されな
いが、原管に変形を与える部分に出来るだけ均一な歪を
与える形状であるΩ型形状が最も望ましい。
【0034】また、上記原管を折り畳むのは、金属管に
挿入する直前に常温で、かつ、管体に与えられる歪み量
が、オレフィン系樹脂の弾性変形限界内である1〜20
%であることが好ましい。
【0035】以上のようにすることで、上記原管を折り
畳むのに際し、管に変形を与える部分に歪を出来るだけ
均一に与えることが出来る。即ち、原管を折り畳む際、
塑性変形が発生すると、後述する工程で、ライニング用
2層原管内面に圧力を付与して金属管内面に密着させる
際、肉厚の不均一が発生し、良好なオレフィン系樹脂ラ
イニング管が得られない。
【0036】上記弾性変形領域限界とは、引張試験を行
った際のStrain−Stressカーブの降伏点に
至る歪み量である。
【0037】次いで、折り畳まれたライニング用2層原
管の金属管への挿入が完了した後に上記原管内面に圧力
を付与して金属管内面に原管を密着させる。そうするこ
とにより金属管内面に対して、均一な圧力で原管外面の
接着性樹脂を密着させることが出来る。
【0038】また、請求項2記載発明では、形状記憶性
を有する管の軸方向に延伸成形されたオレフィン系樹脂
管外面に接着性樹脂を被覆してなるライニング用2層原
管を、金属管内へ挿入する。この場合、前記原管は、金
属管内径より僅かに小さな内径とすることが好ましい。
そうすることにより折り畳まずにそのままの形状で金属
管に挿入させることが出来る。
【0039】その後、請求項1の発明では、上記原管を
金属管内面に密着させた状態で、接着性樹脂層の温度が
融点以上で、かつ、オレフィン系樹脂管の融点以下に金
属管外面から加熱し、その後、ライニング用2層原管全
ての融点以下になる様に冷却を行うことにより金属管と
オレフィン系樹脂管を接着することが可能となる。オレ
フィン系樹脂管の融点以上の温度になってしまうと、オ
レフィン系樹脂管層が金属管内面で形状保持が出来ずに
垂れてしまい適正なライニング管が得られないからであ
る。
【0040】また、請求項2の発明では、原管を金属管
に挿入後、接着性樹脂層の融点以上かつ、オレフィン系
樹脂管の融点以下で金属管外面から加熱することによ
り、前記樹脂管は、形状記憶性を有し軸方向に延伸成形
されているので樹脂管は膨張して金属管内面に密着させ
ることが可能となる。その後、ライニング用2層原管全
ての融点以下になる様に冷却を行うことにより金属管と
オレフィン系樹脂管を接着することが可能となる。オレ
フィン系樹脂管の融点以上の温度になってしまうと、オ
レフィン系樹脂管層が金属管内面で形状保持が出来ずに
垂れてしまい適正なライニング管が得られないからであ
る。
【0041】この際、金属管外面からライニング管を加
熱する方法としては、熱風炉等の伝熱加熱等で行っても
良いが、電磁誘導加熱法がより好ましい。電磁誘導加熱
法を用いることにより、接着樹脂層のみを急速に加熱さ
せて全面的に溶融させ、ライニングされるオレフィン系
樹脂管層の少なくとも0.5mmを融点以下の温度にす
ることが出来る。
【0042】(作 用)本発明のオレフィン系樹脂ライ
ニング金属管の製造方法は、上述のようにオレフィン系
樹脂管の外面に接着性樹脂を被覆してなるライニング用
2層原管を金属管に挿入し、金属管内面に密着させた状
態で、接着性樹脂層の温度が融点以上で、かつ、オレフ
ィン系樹脂管の融点以下に金属管外面から加熱し、その
後、原管全てが融点以下になるように冷却を行うので、
樹脂ブレンド工程の煩雑さやコストの問題、成形温度範
囲に制限無しに、非常に広い操業条件範囲でオレフィン
系樹脂の金属管内面へのライニングを行うことが出来
る。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施例について説明す
る。
【0044】オレフィン樹脂管としてポリエチレンを使
用した場合 (実施例1) ・使用材料 オレフィン系樹脂:ポリエチレン(融点:124℃、密
度:0.929g/cm3 、MFR:0.7g/10m
in) 接着性樹脂:無水マレイン酸変性ポリエチレン(融点:
120℃、密度0.920g/cm3 、MFR:3.0
g/10min)
【0045】(実施例2) オレフィン系樹脂:ポリエチレン(融点:135℃、密
度:0.950g/cm3 、MFR:0.7g/10m
in) 接着性樹脂:無水マレイン酸変性ポリエチレン(融点:
125℃、密度0.949g/cm3 、MFR:1.6
g/10min)
【0046】(比較例1)実施例1と同様の使用材料
で、原管を鋼管内部へ挿入し、密着させた鋼管の外面か
ら、オレフィン系樹脂層全長において、融点以上になる
ように加熱したが、原管の形状が保持出来ず、オレフィ
ン系樹脂ライニング金属管を得ることが出来なかった。
【0047】オレフィン系樹脂管に用いられる樹脂がポ
リプロピレンであり、上記接着性樹脂の融点差が15〜
35℃の場合 (実施例3) ブロックポリプロピレン(融点:167℃)、接着性樹
脂(三井化学社製、商品名「アドマーQF551」、融
点:135℃)、融点差:32℃
【0048】(実施例4) ホモポリプロピレン(融点:170℃)、接着性樹脂
(日本ポリオレフィン社製,商品名「アドテックスER
353LA」、融点:150℃)、融点差:20℃
【0049】(比較例2) ブロックポリプロピレン(融点:167℃)、接着性樹
脂(三井化学社製、商品名「アドマーQB510」、融
点:160℃)、融点差:7℃
【0050】(比較例3) 高密度ポリエチレン(融点:132℃)、接着性樹脂
(三井化学社製、商品名「アドマーXE070」、融
点:90℃)、融点差:42℃
【0051】・金属管の作成 鋼管内面にりん酸亜鉛で化成処理し、その内面にエポキ
シ系のプライマーで表面処理した(外径:60.5m
m、肉厚3.8mm)
【0052】・ライニング用2層原管の製造 以下の設備を使用し、上記各原材料を用いてオレフィン
系樹脂管の外面に接着性樹脂を被覆し、下記のライニン
グ用2層原管を得た。
【0053】・使用した押出設備 オレフィン系樹脂管用押出機:単軸押出機(外径65m
m、L/D=25、45Kwモータ搭載) 接着性樹脂用押出機:単軸押出機(外径32m、L/D
=20、15Kwモータ搭載) 金型:マルチマニホールドタイプの2層パイプ金型 水槽:バキューム噴霧水槽(冷却水温:15℃)
【0054】・ライニング用2層原管の寸法 外径:54.0mm 長さ:4m オレフィン系樹脂管層厚み:1.5mm 接着性樹脂層厚み:0.15mm
【0055】・ライニング金属管の製造 (実施例1,2)図1に示したように、ライニング用2
層原管Pを固定ローラ1と棒ローラ2で固定しつつ、押
さえ込みローラ3により順次折り畳み、図2に示した形
状のライニング用2層原管を得た。
【0056】折り畳まれた原管を鋼管内部へ挿入し、原
管の鋼管への挿入が終わった時点で、両端に圧力付与の
為の治具を取り付け、常温で0.1MPaの圧力を付与
して、鋼管内面に密着させた。
【0057】次に、上記原管を密着させた鋼管を、20
0℃に設定した電磁誘導加熱炉に連続的に供給し、鋼管
外面から加熱した。その際、接着性樹脂層の温度が融点
以上で、かつ、オレフィン系樹脂層全長においては、融
点以下となる様に加熱炉長に基づいて原管の供給速度を
伝熱解析により算出して設定し、その後、シャワー式水
槽(水温15℃)で、全ての樹脂層が融点以下になる様
に、速やかに冷却を行い、オレフィン系樹脂ライニング
金属管を得た。
【0058】(比較例1)実施例1と同様にして原管を
密着させた鋼管の外面から、オレフィン系樹脂管全長に
おいて、樹脂管の融点温度で加熱したが原管の形状が保
持出来ず、オレフィン系樹脂ライニング管を得ることが
出来なかった。
【0059】(実施例3、4、比較例2、3)オレフィ
ン樹脂管を製造する際、上記押出し機で得た樹脂管を、
表面温度90℃以上融点以下に昇温し、初期外形寸法か
ら変形歪量を超えない歪量以下で軸方向に延伸させ金属
管内径寸法より0.89〜1.8%小さい樹脂管を得
た。
【0060】次いで、上記で得た樹脂管を鋼管内部へ挿
入した。
【0061】次に、上記オレフィン樹脂管が挿入湯され
た鋼管を、電磁誘導加熱炉に連続的に供給し、前記オレ
フィン系樹脂管径を膨張させて金属内面に密着させるよ
うに鋼管外面から加熱した。その際、接着性樹脂層の融
点以上で、かつ、オレフィン系樹脂層全長においては、
融点以下となる様に加熱炉長に基づいて原管の供給速度
を伝熱解析により算出して設定し、その後、シャワー式
水槽(水温15℃)で、全ての樹脂層が融点以下になる
様に、速やかに冷却を行い、オレフィン系樹脂ライニン
グ金属管を得た。
【0062】実施例1〜4、比較例2、3の原材料によ
り得られたライニング金属管を、30cmに切断した
後、鋼管端部からはみ出した樹脂を切断して試験片を
得、冷熱サイクル試験と耐熱水試験の評価結果を以下表
1〜4に示した。 (評 価)冷熱サイクル試験 常温、95℃にそれぞれ調整した水道水槽に、得られた
試験片をそれぞれ5min毎の浸漬を繰り返し、500
サイクル毎に端部の界面剥離状態やライニング鋼管内部
の膨れ状態を目視で観察評価を行った。
【0063】耐熱水試験 得られた試験片の両端に管端防食継手を接続し、管外面
は25℃に調節した水槽の中に入れ、内面に95℃に調
節した熱水を通水して、1週間毎にライニング鋼管内部
の膨れ状態を以下の目視観察評価で行った。 ○:膨れ無し △:ライニング管内面20%以下の面積で膨れ発生 ×:ライニング管内面20〜50%の面積で膨れ発生 ××:内面全面で膨れ発生
【0064】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0065】
【発明の効果】本発明のオレフィン系樹脂ライニング金
属管の製造方法は、上述の如き構成となされているか
ら、一般的には形状記憶性の乏しい樹脂であるオレフィ
ン樹脂に対して、特殊なブレンドや操業範囲限定無し
に、汎用のオレフィン樹脂を用い、極めて広い操業範囲
でオレフィン樹脂を金属管内面にライニングすることが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオレフィン系樹脂ライニング金属管の
製造方法に使用される装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に使用されるライニング原管の一例を示
す断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 横山 順一 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 (72)発明者 榊原 英樹 滋賀県栗東市野尻75 積水化学工業株式会 社内 (72)発明者 榎本 聖一 滋賀県栗東市野尻75 積水化学工業株式会 社内 Fターム(参考) 3H024 EA01 EC07 ED04 EE01 4F211 AA03 AA04 AA11 AD03 AD12 AD20 AG03 AG08 AH43 SA13 SC03 SD04 SD11 SH06 SH18 SN07 SP12 SP30 SP41 SW15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィン系樹脂管の外面に接着性樹脂を
    被覆してなるライニング用2層原管を成形する第1工
    程、 前記ライニング用2層原管を折り畳んだ後、金属管内へ
    挿入する第2工程、 前記ライニング用2層原管を金属管内へ挿入した後、前
    記原管内面に圧力を付与して金属管内面に原管を密着さ
    せる第3工程、および、 金属管内面に原管を密着させた状態で、接着性樹脂の融
    点以上で、かつ、オレフィン系樹脂管の融点以下の温度
    により金属管外面から加熱し、その後、ライニング用2
    層原管全ての融点以下になるまで冷却して金属管内面と
    原管外面を接着させる第4工程からなることを特徴とす
    る、オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法。
  2. 【請求項2】形状記憶性を有する、管の軸方向に延伸成
    形されたオレフィン系樹脂管外面に接着性樹脂を被覆し
    てなるライニング用2層原管を成形する第1工程、前記
    ライニング用2層原管を金属管内へ挿入する第2工程、 金属管に前記原管を挿入後、接着性樹脂層の融点以上、
    かつ、オレフィン系樹脂管の融点以下で金属管外面から
    加熱することにより、前記オレフィン系樹脂管径を膨張
    させて金属内面に密着させる第3工程、および、 前記原管全ての融点以下になるように冷却して金属管内
    面と原管外面を接着させる第4工程からなることを特徴
    とするオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法。
  3. 【請求項3】上記オレフィン系樹脂管に用いられる樹脂
    がポリエチレンであり、前記ポリエチレンの密度が、
    0.92〜0.95g/cm3 である請求項1又は2記
    載のオレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法。
  4. 【請求項4】上記ポリエチレンと上記接着性樹脂の融点
    差が3〜25℃である請求項3記載のオレフィン系樹脂
    ライニング金属管の製造方法。
  5. 【請求項5】上記オレフィン系樹脂管に用いられる樹脂
    がポリプロピレン系樹脂であり、上記ポリプロピレン系
    樹脂と上記接着性樹脂の融点差が15〜35℃であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のオレフィン系樹脂
    ライニング金属管の製造方法。
  6. 【請求項6】上記接着性樹脂の密度が0.89〜0.9
    4g/cm3 で、MFRが1〜10g/10minであ
    ることを特徴とする請求項1〜5記載のオレフィン系樹
    脂ライニング金属管の製造方法。
  7. 【請求項7】上記金属管外面から加熱する手段が、電磁
    誘導加熱法であることを特徴とする請求項1〜6記載の
    オレフィン系樹脂ライニング金属管の製造方法。
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