JP3572867B2 - 電子銃偏芯測定装置および電子銃偏芯測定方法 - Google Patents
電子銃偏芯測定装置および電子銃偏芯測定方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラー陰極線管に具備される電子銃の組立精度、特にグリッド電極の電子ビーム通過孔の偏芯を光学的に測定する電子銃偏芯測定装置および測定方法に関するのもである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の電子銃偏芯測定装置を用いて、電子銃を構成する電極に形成された電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法を説明するための図である。
図に示すように、電子銃は複数個の電極12A〜18で構成されており、これらは相互の位置関係(即ち、各電極間隔および電子ビーム通過孔の中心位置)が正確に保持されるように、各端部が絶縁ガラス支柱11に埋め込まれ一体の電子銃構体10が形成されている。
図10に基づいて、従来の電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法について説明する。
まず、電子銃構体10の外形(即ち、絶縁ガラス支柱11の外周部)を固定ハンド26にて位置決め固定し、三次元測定機にて測定する。
尚、25は三次元測定機のプローブ(測定子)であり、24は三次元測定機のプローブ25の進行方向(Z方向)である。
【0003】
蛍光面(図示せず)に最も近い側の電極12Bをプローブ25で測定し、その位置をZ方向の原点とする。
次に、電子ビーム通過孔にプローブ25を進入させ、電極14Dの電子ビーム通過孔27の孔径と中心を3点測定により求める
尚、プローブ25の進入量は、製品図面より決定される量である。
次に、さらにプローブ25を進入させ第三グリッド17の蛍光面側電極である電極(第三Bグリッドとも称す)17Bの電子ビーム通過孔28の孔径と中心を同様に求める。
充分に離れた電極14Dと電極17Bの電子ビーム通過孔の中心を結ぶ直線を電子ビーム通過孔軸22と定義する。
さらに、プローブ25を進入させ、第三グリッド17のカソード側の電極である電極(第三Aグリッドとも称す)17Aの電子ビーム通過孔21と第二グリッドである電極18の電子ビーム通過孔20の測定を行い、孔径と電子ビーム通過孔軸22からの偏芯を求める。
【0004】
各電子ビーム通過孔の孔径を求めるのは、測定が正常に行われたかを確認する為のものである。
電極部品精度、電子銃構体組立精度から考えて、実際の各電極の位置は、製品図面寸法と必ずしも一致しない。
また、電子銃構体10をその外形で支持しているため傾き等があり、目的とする箇所ではなく、別の所にプローブ25が接触する時があり、孔径が正常な値とならない。
その場合は、進入量や傾きの調整を、孔径が正常な値となるまで行い、偏芯量の測定を行う。
また、測定系の位置決めの方法については、例えば特開昭57−165937号公報に電子銃構体をその外形で支持するとともに偏芯量ゼロの基準サンプルを用いて測定系を位置決めすることも示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の測定方法では、電子銃構体を、その外形で支持するため、測定子(プローブ)の進行方向軸と電子ビーム通過軸を測定時に問題の無い範囲まで調整するための時間や測定対象の電極位置を見つけるための時間が長く実用的でない。
また、特開昭57−165937号公報に示された電子銃構体をその外形で支持するとともに、偏芯量ゼロの基準サンプルを用いて測定系を位置決めする方法においては、偏芯量ゼロの基準サンプルと測定対象品は必ずしも同じ傾きやオフセットを有しているものではなく、電子銃構体の外形に対する電子ビーム通過孔軸に傾きやオフセットにばらつきが有れば、測定誤差が大きくなるなどの問題点があった。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、複数の電極で構成された電子銃の電子ビーム通過孔の偏芯量を、作業性良く、また高精度に測定できる電子銃偏芯測定装置および測定方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電子銃偏芯測定装置は、カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する中空の位置決め支持手段と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置の撮像手段は、被写界深度が測定対象電子ビーム通過孔の対向間隔より大きい光学レンズを具備したものである。
【0008】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置の中空の位置決め支持手段または撮像手段の少なくとも一方は、2軸傾斜テーブル上に配置されたものである。
【0009】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置は、対向する所定の電極間に複数の方向より照明光を照射する照明手段を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定方法は、カソード側より順次配置された複数の電極で構成された電子銃構体の電子ビーム通過孔の偏芯量を測定する方法であって、中空の位置決め支持手段を前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて電子銃構体を位置決め支持する工程と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する工程と、撮像工程により得られた撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理工程とを有したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、従来と同一符号は従来のものと同一あるいは相当のものを表す。
図1は、実施の形態1による電子銃偏芯測定装置の構成を示す図、図2は図1に示した電子銃偏芯測定装置を上部側から見た平面図である。
図において、1は電子銃構体支持部であって、電子銃構体10(図示せず)を位置決め支持する手段である中空の位置決め支持棒2を有している。
3は2軸傾斜ステージであって、この2軸傾斜ステージ3上に電子銃構体支持部1を配置している。4はスライダー、5はストッパーである。
また、6は同軸落射照明機構を有する光学レンズユニットであり、撮像装置7に取り付けられている。
8は光ファイバーであって、光源9と光学レンズユニット6の同軸落射照明機構部に接続されている。
30は撮像装置7から出力される映像情報を演算処理する画像演算処理装置であり、また、31は画像処理映像を含む画像を表示するモニターである。
【0012】
図3は、電子銃構体10を説明するための図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(a)のCーC’断面図である。
図において、11は絶縁ガラス支柱、12〜19は電子銃を構成する各電極、22は電子ビーム通過孔軸である。
図3(c)に示すように、電子銃構体10は絶縁ガラス支柱11によって電極12〜19を空間の所定の位置に配置した構成となっている。
尚、電極19は第一グリッド、電極18は第二グリッド、電極17は第三グリッドであり、カソード側より順次配置されている。
また、図4は図3(c)のA部を拡大した図である。
図において、第三グリッド17の第二グリッド18側(即ち、カソード側)を第三Aグリッド17A、その反対側を第三Bグリッド17Bと呼ぶ。
同様に、第二グリッド18の第一グリッド19側(即ち、カソード側を第二Aグリッド18A、その反対側を第二Bグリッド18Bと呼ぶ。
20は第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔であり、21は第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔である。22は、電子ビーム通過孔軸である。
尚、第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔の径は第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の径よりより充分大きく形成されている。
【0013】
次に、本実施の形態による電子銃偏芯測定装置を用いて電子銃構体10を測定する方法について説明する。
図5は位置決め支持手段である位置決め支持棒2に装着された電子銃構体10の断面図、図6は図5のA部の拡大図、図7は光軸と電子ビーム通過孔軸の不一致によって起こる測定誤差を説明するための図である。
いま、図5〜図7において、例えば第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の孔径がφ1.3mm、第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の孔径がφ0.4mm、電子ビーム通過孔軸22方向の第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の対向距離に第三Aグリッド17Aの板厚を加算した値が1.35mm(図7におけるA寸法)であるとする。
【0014】
光の反射を低減させる為に、黒色メッキされた中空の位置決め支持棒2を電子ビーム通過孔に挿入する。
電子銃構体10は、図5に示されるように第三Aグリッド17Aが中空の位置決め支持棒2に当接して支持される。
次に、図1、図2に示す矢印A方向にスライダー4を動かしてストッパー5に当てて止める。
この状態で図6に示すように、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部と第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部を位置決め支持棒2の中空部を通して図1に示した光学レンズユニット6および撮像装置7で撮像する。
撮像された情報は、図1に示した画像演算処理装置30によってモニター31上に画像として映し出されると共に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21に対する第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の偏芯量を算出し、モニター31の画面上に表示する。
【0015】
次に、スライダー4を図1に示す矢印B方向に移動させ、ストッパー5に当てて止める。
この状態で前述同様に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部と第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部を位置決め支持棒2の中空部を通して図1に示した光学レンズユニット6および撮像装置7および光源9からなる撮像ユニット40で撮像する。
撮像された情報は画像演算処理装置30によってモニター31上に画像として映し出されると共に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21に対する第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の偏芯量を算出し、モニター31の画面上に表示する。
尚、図5に示すように、電子銃構体10は3つの電子ビーム通過孔軸22a、22b、22cを有しているが、両サイドの電子ビーム通過孔軸22a、22cについて偏芯測定を行う。
【0016】
この撮像手段である撮像装置ユニット40は、例えば1/3インチの41万画素のCCD固体撮像素子を有する撮像装置7と被写界深度が2mmと図7のA寸法(1.35mm)より大きい同軸落射照明が可能な0.8倍率の光学レンズユニット6と光源9を組み合わせたものである。
したがって、電子ビーム通過孔21(大きさ:φ1.3mm)はCCD固体撮像素子上にφ1.04mmの大きさで、また、電子ビーム通過孔20(大きさ:φ0.4mm)はφ0.32mmの大きさで結像している。
双方とも厳密には、ジャストフォーカス状態ではないが、光学レンズユニット6の被写界深度が大きいため、同じ光路にて鮮明に結像している。
尚、第三Aグリッド17Aは、中空の位置決め支持棒2に当接して位置決めされているため、光学レンズユニット6と第三Aグリッド17Aまでの距離は、一定に保たれるので、一度調整しておけば、以降は面倒なフォーカス調整をしなくても良い。
【0017】
CCD固体撮像素子上の第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の結像の大きさφ1.04mmは、CCD固体撮像素子の大きさ(例えば、4.8mm×3.6mm)に比べて、かなり小さい。
光学倍率の大きいレンズユニットを使用した方がCCD固体撮像素子上の像の大きさが大きくなり、1画素当たりの像の大きさが低下して分解能が向上するが、被写界深度が低下するため同じ光路にて両方の孔部を鮮明に撮像することが出来ない。
そのため、光路差ユニット等を用いて、同時に両孔部を撮像する方法が考えられるが、基本的に片方ずつ映っている(言い換えれば、片方が、識別出来ない)映像を重ね合わせることになり、画質は著しく劣化し実用に耐えない。
【0018】
他に、電子ビーム通過孔軸方向に撮像ユニット40を動かすか、あるいは光路差ユニットとシャッターを使用して孔部を別々に撮像する方法があるが、同一画面で両孔部を見ることが出来ないという欠点がある。
したがって、本実施の形態のように、被写界深度を優先させた装置構成の方が、実用的である。
尚、将来的には、CCD固体撮像素子の集積度が向上したものを使用することにより、分解能の向上を計る事が出来る。
【0019】
次に、中空の位置決め支持棒2と2軸傾斜ステージ3を用いる理由を詳しく説明する。
図7に示すように、撮像ユニット40の光軸23と電子ビーム通過孔軸22がズレていても、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21をモニター31の画像中央に映し出すことは可能である。
この場合、偏芯測定においては、幾何学的な誤差が生じている。
例えば、図7においてB寸法(電子ビーム通過孔軸と撮像光軸のWD当たりのオフセット量)が1mm、光学レンズユニット6のワークデイスタンス(焦点距離)WD寸法が80mm、A寸法(即ち、第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の対向間隔 + 第三Aグリッド17Aの板厚)が1.35mmの場合は、偏芯測定誤差であるC寸法は、計算上17μmにもなる。
つまり、精度良く偏芯測定を行うには、撮像装置7(注、原稿では撮像ユニット)の光軸23と電子ビーム通過孔軸22を一致させることが極めて重要な項目となる。
【0020】
したがって、理論上はなくせるものの、装置組立時にどうしても残ってしまう撮像装置7(注、原稿では撮像ユニット)の光軸23と中空の位置決め支持棒2の軸の不一致を調整する手段が必要になる。
本実施の形態においては、電子銃構体支持部1を2軸傾斜ステージ3上に配置して、調整可能な構成としている。
尚、電子銃構体支持部1の代わりに光学レンズユニット6および撮像装置7からなる撮像ユニット40を2軸傾斜ステージ3上に配置しても、同様に調整可能な構成とすることができる。
具体的には、ストッパー5の位置調整を含め、調整は電子銃構体10構造相当のマスターゲージを用いて行う。
このように本実施の形態によれば、電子銃構体10の外形を支持して電子銃構体10を位置決めするのではなく、電子ビーム通過孔を使用して位置決め支持するので、中空の位置決め支持棒2の軸と電子ビーム通過孔軸を安定して一致させることが出来る。
尚、位置決め支持棒2を中空構造としているのは、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部あるいは第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部の撮像の障害にならないようにするためである。
【0021】
次に、画像演算処理について説明する。
注意を要するのは、前に述べたように低倍率の光学レンズユニット6を用いているために、希望する測定精度に比べてCCD固体撮像素子1画素当たりの像の大きさが大きいことである。
本実施の形態では、9μmにもなるため、撮像された像を単純にエッジ強調および2値化を行った後、任意3点より電子ビーム通過孔20、21の円の中心を求め、2つの円の中心の座標差を偏芯量とすると、誤差が大きすぎる。従って、
▲1▼グレー処理(256階調処理)を行い精度を上げる。
▲2▼任意3点により円の中心を求める処理を多回行い(同一点は使用しない)、円の中心座標の平均値を用いて精度を上げる。
▲3▼任意多点より円の中心を求める。
等の内、少なくとも一つ以上の手段を用いる事が、必要となる。
【0022】
任意多点より円の中心を求める方法は、以下の通りである。
球を平面で切断すると、その断面は、円になることから、
▲1▼測定点に対する球の方程式と
▲2▼円の中心点が存在する平面(投影面)の方程式の連立方程式
を解くことによって円の中心座標を求める。
【0023】
実施の形態2.
図8は、電子銃の第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の第三グリッド17側である第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔径が同等である場合を説明するための図である。
図8に示すように、第三Aグリッド17Aの電子ビ−ム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔32の孔径寸法が同等である場合には、前述の実施の形態1によるような同軸落射照明を用いた撮像方法では両者を判別する事が出来ない画像しか得ることが出来ない。
図9は、第三Aグリッド17Aの電子ビ−ム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔32の孔径寸法が同等である場合でも電子銃の偏芯測定を可能とする実施の形態2による電子銃偏芯測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【0024】
図9に示すように、本実施の形態においては電子銃構体10の外周部に配置されるリング状の照明手段であって、リングの中央に向かって複数の方向から照明光を照射するリング照明33を、照明光が第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の隙間を通過する位置に配置する。
このリング照明33からの照明光によって第二Bグリッド18Bの面が明るく映し出されるので、測定対象の第三グリッド17Aの電子ビーム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32の孔径の寸法が同等の場合であっても、判別可能な画像を容易に撮像することができ、電子銃の偏芯測定を行うことが可能となる。
すなわち、偏芯量の測定対象は第三グリッド17Aの電子ビーム通過孔21と第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20であるが、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20の測定において第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32が外乱になり測定不能になるのを防止する為に、リング照明33を用いて複数の方向から照明光を照射し、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20を浮き出させることにより、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20と第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32の孔径の寸法が同等であっても、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20の正確に計測することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する中空の位置決め支持手段と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理手段とを備えたことにより、電子ビーム通過孔軸と撮像手段の光軸を精度良く容易に一致・保持させて所定の電極に形成された電子ビーム通過孔を撮像することが可能となり、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定装置を実現できるという効果がある。
【0026】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、撮像手段は被写界深度が測定対象電子ビーム通過孔の対向間隔より大きい光学レンズを具備しているので、同一光路を用いて配置位置の異なる複数の電子ビーム通過孔の画像を同時に鮮明に結像させることが可能となり、簡単な構成でありながら、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定装置を実現できるという効果がある。
【0027】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、位置決め支持手段または撮像手段の少なくとも一方は2軸傾斜テーブル上に配置されているので、撮像手段の光軸中心に位置決め支持手段の軸芯が一致するように容易に調整することができるという効果がある。
【0028】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、対向する所定の電極間に複数の方向より照明光を照射する照明手段を備えているので、測定対象の電子ビーム通過孔の孔径寸法がほぼ同等である場合でも容易に判別可能に撮像することができるという効果がある。
【0029】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定方法によれば、中空の位置決め支持手段を前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて電子銃構体を位置決め支持する工程と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する工程と、撮像工程により得られた撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理工程とを有したことにより、電子ビーム通過孔軸と撮像手段の光軸を精度良く容易に一致・保持させて所定の電極に形成された電子ビーム通過孔を撮像することが可能となり、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定方法を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による電子銃偏芯測定装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図1を上部より見た平面図である。
【図3】電子銃構体を説明するための図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(a)のC−C’断面図である。
【図4】図3のA部の拡大図である。
【図5】位置決め支持棒に装着された電子銃構体の断面図である。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】光軸と電子ビーム通過孔軸の不一致によっておこる誤差の説明図である。
【図8】第三Aグリッドと第二Bグリッドの電子ビ−ム通過孔径が同等である場合を説明するための図である。
【図9】実施の形態2による電子銃偏芯測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【図10】従来の電子銃偏芯測定装置を用いて、電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 電子銃構体支持部 2 位置決め支持棒
3 2軸傾斜ステージ 6 光学レンズユニット
7 撮像装置 8 光ファイバー
9 光源 10 電子銃構体
11 絶縁ガラス支柱 17 第三グリッド
18 第二グリッド 19 第一グリッド
20 第二Aグリッドの電子ビーム通過孔
21 第三Aグリッドの電子ビーム通過孔
22 電子ビーム通過孔軸 30画像演算処理装置
31 モニター 33リング照明
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラー陰極線管に具備される電子銃の組立精度、特にグリッド電極の電子ビーム通過孔の偏芯を光学的に測定する電子銃偏芯測定装置および測定方法に関するのもである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の電子銃偏芯測定装置を用いて、電子銃を構成する電極に形成された電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法を説明するための図である。
図に示すように、電子銃は複数個の電極12A〜18で構成されており、これらは相互の位置関係(即ち、各電極間隔および電子ビーム通過孔の中心位置)が正確に保持されるように、各端部が絶縁ガラス支柱11に埋め込まれ一体の電子銃構体10が形成されている。
図10に基づいて、従来の電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法について説明する。
まず、電子銃構体10の外形(即ち、絶縁ガラス支柱11の外周部)を固定ハンド26にて位置決め固定し、三次元測定機にて測定する。
尚、25は三次元測定機のプローブ(測定子)であり、24は三次元測定機のプローブ25の進行方向(Z方向)である。
【0003】
蛍光面(図示せず)に最も近い側の電極12Bをプローブ25で測定し、その位置をZ方向の原点とする。
次に、電子ビーム通過孔にプローブ25を進入させ、電極14Dの電子ビーム通過孔27の孔径と中心を3点測定により求める
尚、プローブ25の進入量は、製品図面より決定される量である。
次に、さらにプローブ25を進入させ第三グリッド17の蛍光面側電極である電極(第三Bグリッドとも称す)17Bの電子ビーム通過孔28の孔径と中心を同様に求める。
充分に離れた電極14Dと電極17Bの電子ビーム通過孔の中心を結ぶ直線を電子ビーム通過孔軸22と定義する。
さらに、プローブ25を進入させ、第三グリッド17のカソード側の電極である電極(第三Aグリッドとも称す)17Aの電子ビーム通過孔21と第二グリッドである電極18の電子ビーム通過孔20の測定を行い、孔径と電子ビーム通過孔軸22からの偏芯を求める。
【0004】
各電子ビーム通過孔の孔径を求めるのは、測定が正常に行われたかを確認する為のものである。
電極部品精度、電子銃構体組立精度から考えて、実際の各電極の位置は、製品図面寸法と必ずしも一致しない。
また、電子銃構体10をその外形で支持しているため傾き等があり、目的とする箇所ではなく、別の所にプローブ25が接触する時があり、孔径が正常な値とならない。
その場合は、進入量や傾きの調整を、孔径が正常な値となるまで行い、偏芯量の測定を行う。
また、測定系の位置決めの方法については、例えば特開昭57−165937号公報に電子銃構体をその外形で支持するとともに偏芯量ゼロの基準サンプルを用いて測定系を位置決めすることも示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の測定方法では、電子銃構体を、その外形で支持するため、測定子(プローブ)の進行方向軸と電子ビーム通過軸を測定時に問題の無い範囲まで調整するための時間や測定対象の電極位置を見つけるための時間が長く実用的でない。
また、特開昭57−165937号公報に示された電子銃構体をその外形で支持するとともに、偏芯量ゼロの基準サンプルを用いて測定系を位置決めする方法においては、偏芯量ゼロの基準サンプルと測定対象品は必ずしも同じ傾きやオフセットを有しているものではなく、電子銃構体の外形に対する電子ビーム通過孔軸に傾きやオフセットにばらつきが有れば、測定誤差が大きくなるなどの問題点があった。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、複数の電極で構成された電子銃の電子ビーム通過孔の偏芯量を、作業性良く、また高精度に測定できる電子銃偏芯測定装置および測定方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電子銃偏芯測定装置は、カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する中空の位置決め支持手段と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置の撮像手段は、被写界深度が測定対象電子ビーム通過孔の対向間隔より大きい光学レンズを具備したものである。
【0008】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置の中空の位置決め支持手段または撮像手段の少なくとも一方は、2軸傾斜テーブル上に配置されたものである。
【0009】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置は、対向する所定の電極間に複数の方向より照明光を照射する照明手段を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定方法は、カソード側より順次配置された複数の電極で構成された電子銃構体の電子ビーム通過孔の偏芯量を測定する方法であって、中空の位置決め支持手段を前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて電子銃構体を位置決め支持する工程と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する工程と、撮像工程により得られた撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理工程とを有したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、従来と同一符号は従来のものと同一あるいは相当のものを表す。
図1は、実施の形態1による電子銃偏芯測定装置の構成を示す図、図2は図1に示した電子銃偏芯測定装置を上部側から見た平面図である。
図において、1は電子銃構体支持部であって、電子銃構体10(図示せず)を位置決め支持する手段である中空の位置決め支持棒2を有している。
3は2軸傾斜ステージであって、この2軸傾斜ステージ3上に電子銃構体支持部1を配置している。4はスライダー、5はストッパーである。
また、6は同軸落射照明機構を有する光学レンズユニットであり、撮像装置7に取り付けられている。
8は光ファイバーであって、光源9と光学レンズユニット6の同軸落射照明機構部に接続されている。
30は撮像装置7から出力される映像情報を演算処理する画像演算処理装置であり、また、31は画像処理映像を含む画像を表示するモニターである。
【0012】
図3は、電子銃構体10を説明するための図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(a)のCーC’断面図である。
図において、11は絶縁ガラス支柱、12〜19は電子銃を構成する各電極、22は電子ビーム通過孔軸である。
図3(c)に示すように、電子銃構体10は絶縁ガラス支柱11によって電極12〜19を空間の所定の位置に配置した構成となっている。
尚、電極19は第一グリッド、電極18は第二グリッド、電極17は第三グリッドであり、カソード側より順次配置されている。
また、図4は図3(c)のA部を拡大した図である。
図において、第三グリッド17の第二グリッド18側(即ち、カソード側)を第三Aグリッド17A、その反対側を第三Bグリッド17Bと呼ぶ。
同様に、第二グリッド18の第一グリッド19側(即ち、カソード側を第二Aグリッド18A、その反対側を第二Bグリッド18Bと呼ぶ。
20は第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔であり、21は第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔である。22は、電子ビーム通過孔軸である。
尚、第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔の径は第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の径よりより充分大きく形成されている。
【0013】
次に、本実施の形態による電子銃偏芯測定装置を用いて電子銃構体10を測定する方法について説明する。
図5は位置決め支持手段である位置決め支持棒2に装着された電子銃構体10の断面図、図6は図5のA部の拡大図、図7は光軸と電子ビーム通過孔軸の不一致によって起こる測定誤差を説明するための図である。
いま、図5〜図7において、例えば第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の孔径がφ1.3mm、第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の孔径がφ0.4mm、電子ビーム通過孔軸22方向の第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の対向距離に第三Aグリッド17Aの板厚を加算した値が1.35mm(図7におけるA寸法)であるとする。
【0014】
光の反射を低減させる為に、黒色メッキされた中空の位置決め支持棒2を電子ビーム通過孔に挿入する。
電子銃構体10は、図5に示されるように第三Aグリッド17Aが中空の位置決め支持棒2に当接して支持される。
次に、図1、図2に示す矢印A方向にスライダー4を動かしてストッパー5に当てて止める。
この状態で図6に示すように、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部と第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部を位置決め支持棒2の中空部を通して図1に示した光学レンズユニット6および撮像装置7で撮像する。
撮像された情報は、図1に示した画像演算処理装置30によってモニター31上に画像として映し出されると共に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21に対する第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の偏芯量を算出し、モニター31の画面上に表示する。
【0015】
次に、スライダー4を図1に示す矢印B方向に移動させ、ストッパー5に当てて止める。
この状態で前述同様に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部と第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部を位置決め支持棒2の中空部を通して図1に示した光学レンズユニット6および撮像装置7および光源9からなる撮像ユニット40で撮像する。
撮像された情報は画像演算処理装置30によってモニター31上に画像として映し出されると共に、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21に対する第二グリッド18の電子ビーム通過孔20の偏芯量を算出し、モニター31の画面上に表示する。
尚、図5に示すように、電子銃構体10は3つの電子ビーム通過孔軸22a、22b、22cを有しているが、両サイドの電子ビーム通過孔軸22a、22cについて偏芯測定を行う。
【0016】
この撮像手段である撮像装置ユニット40は、例えば1/3インチの41万画素のCCD固体撮像素子を有する撮像装置7と被写界深度が2mmと図7のA寸法(1.35mm)より大きい同軸落射照明が可能な0.8倍率の光学レンズユニット6と光源9を組み合わせたものである。
したがって、電子ビーム通過孔21(大きさ:φ1.3mm)はCCD固体撮像素子上にφ1.04mmの大きさで、また、電子ビーム通過孔20(大きさ:φ0.4mm)はφ0.32mmの大きさで結像している。
双方とも厳密には、ジャストフォーカス状態ではないが、光学レンズユニット6の被写界深度が大きいため、同じ光路にて鮮明に結像している。
尚、第三Aグリッド17Aは、中空の位置決め支持棒2に当接して位置決めされているため、光学レンズユニット6と第三Aグリッド17Aまでの距離は、一定に保たれるので、一度調整しておけば、以降は面倒なフォーカス調整をしなくても良い。
【0017】
CCD固体撮像素子上の第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21の結像の大きさφ1.04mmは、CCD固体撮像素子の大きさ(例えば、4.8mm×3.6mm)に比べて、かなり小さい。
光学倍率の大きいレンズユニットを使用した方がCCD固体撮像素子上の像の大きさが大きくなり、1画素当たりの像の大きさが低下して分解能が向上するが、被写界深度が低下するため同じ光路にて両方の孔部を鮮明に撮像することが出来ない。
そのため、光路差ユニット等を用いて、同時に両孔部を撮像する方法が考えられるが、基本的に片方ずつ映っている(言い換えれば、片方が、識別出来ない)映像を重ね合わせることになり、画質は著しく劣化し実用に耐えない。
【0018】
他に、電子ビーム通過孔軸方向に撮像ユニット40を動かすか、あるいは光路差ユニットとシャッターを使用して孔部を別々に撮像する方法があるが、同一画面で両孔部を見ることが出来ないという欠点がある。
したがって、本実施の形態のように、被写界深度を優先させた装置構成の方が、実用的である。
尚、将来的には、CCD固体撮像素子の集積度が向上したものを使用することにより、分解能の向上を計る事が出来る。
【0019】
次に、中空の位置決め支持棒2と2軸傾斜ステージ3を用いる理由を詳しく説明する。
図7に示すように、撮像ユニット40の光軸23と電子ビーム通過孔軸22がズレていても、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21をモニター31の画像中央に映し出すことは可能である。
この場合、偏芯測定においては、幾何学的な誤差が生じている。
例えば、図7においてB寸法(電子ビーム通過孔軸と撮像光軸のWD当たりのオフセット量)が1mm、光学レンズユニット6のワークデイスタンス(焦点距離)WD寸法が80mm、A寸法(即ち、第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の対向間隔 + 第三Aグリッド17Aの板厚)が1.35mmの場合は、偏芯測定誤差であるC寸法は、計算上17μmにもなる。
つまり、精度良く偏芯測定を行うには、撮像装置7(注、原稿では撮像ユニット)の光軸23と電子ビーム通過孔軸22を一致させることが極めて重要な項目となる。
【0020】
したがって、理論上はなくせるものの、装置組立時にどうしても残ってしまう撮像装置7(注、原稿では撮像ユニット)の光軸23と中空の位置決め支持棒2の軸の不一致を調整する手段が必要になる。
本実施の形態においては、電子銃構体支持部1を2軸傾斜ステージ3上に配置して、調整可能な構成としている。
尚、電子銃構体支持部1の代わりに光学レンズユニット6および撮像装置7からなる撮像ユニット40を2軸傾斜ステージ3上に配置しても、同様に調整可能な構成とすることができる。
具体的には、ストッパー5の位置調整を含め、調整は電子銃構体10構造相当のマスターゲージを用いて行う。
このように本実施の形態によれば、電子銃構体10の外形を支持して電子銃構体10を位置決めするのではなく、電子ビーム通過孔を使用して位置決め支持するので、中空の位置決め支持棒2の軸と電子ビーム通過孔軸を安定して一致させることが出来る。
尚、位置決め支持棒2を中空構造としているのは、第三Aグリッド17Aの電子ビーム通過孔21部あるいは第二グリッド18の電子ビーム通過孔20部の撮像の障害にならないようにするためである。
【0021】
次に、画像演算処理について説明する。
注意を要するのは、前に述べたように低倍率の光学レンズユニット6を用いているために、希望する測定精度に比べてCCD固体撮像素子1画素当たりの像の大きさが大きいことである。
本実施の形態では、9μmにもなるため、撮像された像を単純にエッジ強調および2値化を行った後、任意3点より電子ビーム通過孔20、21の円の中心を求め、2つの円の中心の座標差を偏芯量とすると、誤差が大きすぎる。従って、
▲1▼グレー処理(256階調処理)を行い精度を上げる。
▲2▼任意3点により円の中心を求める処理を多回行い(同一点は使用しない)、円の中心座標の平均値を用いて精度を上げる。
▲3▼任意多点より円の中心を求める。
等の内、少なくとも一つ以上の手段を用いる事が、必要となる。
【0022】
任意多点より円の中心を求める方法は、以下の通りである。
球を平面で切断すると、その断面は、円になることから、
▲1▼測定点に対する球の方程式と
▲2▼円の中心点が存在する平面(投影面)の方程式の連立方程式
を解くことによって円の中心座標を求める。
【0023】
実施の形態2.
図8は、電子銃の第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の第三グリッド17側である第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔径が同等である場合を説明するための図である。
図8に示すように、第三Aグリッド17Aの電子ビ−ム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔32の孔径寸法が同等である場合には、前述の実施の形態1によるような同軸落射照明を用いた撮像方法では両者を判別する事が出来ない画像しか得ることが出来ない。
図9は、第三Aグリッド17Aの電子ビ−ム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビ−ム通過孔32の孔径寸法が同等である場合でも電子銃の偏芯測定を可能とする実施の形態2による電子銃偏芯測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【0024】
図9に示すように、本実施の形態においては電子銃構体10の外周部に配置されるリング状の照明手段であって、リングの中央に向かって複数の方向から照明光を照射するリング照明33を、照明光が第三Aグリッド17Aと第二グリッド18の隙間を通過する位置に配置する。
このリング照明33からの照明光によって第二Bグリッド18Bの面が明るく映し出されるので、測定対象の第三グリッド17Aの電子ビーム通過孔21の孔径と第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32の孔径の寸法が同等の場合であっても、判別可能な画像を容易に撮像することができ、電子銃の偏芯測定を行うことが可能となる。
すなわち、偏芯量の測定対象は第三グリッド17Aの電子ビーム通過孔21と第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20であるが、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20の測定において第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32が外乱になり測定不能になるのを防止する為に、リング照明33を用いて複数の方向から照明光を照射し、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20を浮き出させることにより、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20と第二Bグリッド18Bの電子ビーム通過孔32の孔径の寸法が同等であっても、第二Aグリッド18Aの電子ビーム通過孔20の正確に計測することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する中空の位置決め支持手段と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理手段とを備えたことにより、電子ビーム通過孔軸と撮像手段の光軸を精度良く容易に一致・保持させて所定の電極に形成された電子ビーム通過孔を撮像することが可能となり、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定装置を実現できるという効果がある。
【0026】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、撮像手段は被写界深度が測定対象電子ビーム通過孔の対向間隔より大きい光学レンズを具備しているので、同一光路を用いて配置位置の異なる複数の電子ビーム通過孔の画像を同時に鮮明に結像させることが可能となり、簡単な構成でありながら、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定装置を実現できるという効果がある。
【0027】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、位置決め支持手段または撮像手段の少なくとも一方は2軸傾斜テーブル上に配置されているので、撮像手段の光軸中心に位置決め支持手段の軸芯が一致するように容易に調整することができるという効果がある。
【0028】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定装置によれば、対向する所定の電極間に複数の方向より照明光を照射する照明手段を備えているので、測定対象の電子ビーム通過孔の孔径寸法がほぼ同等である場合でも容易に判別可能に撮像することができるという効果がある。
【0029】
また、この発明に係る電子銃偏芯測定方法によれば、中空の位置決め支持手段を前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて電子銃構体を位置決め支持する工程と、所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および所定の電極のカソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を位置決め支持手段の中空部を通して撮像する工程と、撮像工程により得られた撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理工程とを有したことにより、電子ビーム通過孔軸と撮像手段の光軸を精度良く容易に一致・保持させて所定の電極に形成された電子ビーム通過孔を撮像することが可能となり、作業性の良い、また測定精度の高い電子銃偏芯測定方法を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による電子銃偏芯測定装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図1を上部より見た平面図である。
【図3】電子銃構体を説明するための図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(a)のC−C’断面図である。
【図4】図3のA部の拡大図である。
【図5】位置決め支持棒に装着された電子銃構体の断面図である。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】光軸と電子ビーム通過孔軸の不一致によっておこる誤差の説明図である。
【図8】第三Aグリッドと第二Bグリッドの電子ビ−ム通過孔径が同等である場合を説明するための図である。
【図9】実施の形態2による電子銃偏芯測定装置の要部の構成を示す断面図である。
【図10】従来の電子銃偏芯測定装置を用いて、電子ビーム通過孔の偏芯を測定する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 電子銃構体支持部 2 位置決め支持棒
3 2軸傾斜ステージ 6 光学レンズユニット
7 撮像装置 8 光ファイバー
9 光源 10 電子銃構体
11 絶縁ガラス支柱 17 第三グリッド
18 第二グリッド 19 第一グリッド
20 第二Aグリッドの電子ビーム通過孔
21 第三Aグリッドの電子ビーム通過孔
22 電子ビーム通過孔軸 30画像演算処理装置
31 モニター 33リング照明
Claims (5)
- カソード側より順次配置された複数の電極で構成された電子銃構体の電子ビーム通過孔の偏芯量を測定する装置であって、
前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する中空の位置決め支持手段と、
前記所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および前記所定の電極の前記カソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を前記位置決め支持手段の中空部を通して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理手段とを備えたことを特徴とする電子銃偏芯測定装置。 - 撮像手段は、被写界深度が測定対象電子ビーム通過孔の対向間隔より大きい光学レンズを具備したことを特徴とする請求項1に記載の電子銃偏芯測定装置。
- 中空の位置決め支持手段または撮像手段の少なくとも一方は、2軸傾斜テーブル上に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の電子銃偏芯測定装置。
- 対向する所定の電極間に複数の方向より照明光を照射する照明手段を備えたこと特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子銃偏芯測定装置。
- カソード側より順次配置された複数の電極で構成された電子銃構体の電子ビーム通過孔の偏芯量を測定する方法であって、
中空の位置決め支持手段を前記カソードとは反対側より電子ビーム通過孔に嵌挿し、所定の電極に当接させて前記電子銃構体を位置決め支持する工程と、
前記所定の電極に形成された電子ビーム通過孔部および前記所定の電極の前記カソード側に配置された電極の電子ビーム通過孔部を前記位置決め支持手段の中空部を通して撮像する工程と、
前記撮像工程により得られた撮像情報に基づいて電子ビーム通過孔の偏芯量を算出する画像演算処理工程とを有したことを特徴とする電子銃偏芯測定方法。
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