JP3572376B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用乗員保護装置に関し、特に加速度センサ誤動作を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用乗員保護装置としては、例えば図5に示すようなものがある。車両衝突時の加速度を検出する加速度センサ51、加速度センサ51からの信号をデジタル値に変換するA/D変換器52、デジタル値に変換された加速度信号に基づき、エアバッグの展開判断を実行するCPU53、CPU53からの展開信号に基づき、スクイブ55に点火電流を供給する駆動回路54、及び車両衝突時の加速度により機械的接点を閉じ点火電流を通過させるセーフィングセンサ56からなる。この様な乗員保護装置に用いられる加速度センサ51は、例えば、強力な電波の輻射を受け誤動作することが無いように設計と試験が行われているが、誤動作を皆無にすることは難しい。特に、加速度センサ51が誤動作をしたとき、本来の車両衝突波形と同様な波形の信号が出力された場合は、CPU53では誤動作と車両衝突を区別することは不可能であった。このため、加速度センサ51の誤動作によるエアバッグの誤展開を防止するためにセーフィングセンサ56を用いていた。即ち、加速度センサ51が仮に予期できない電波の輻射を受けた等により誤動作しCPU53が展開信号を出力したとしても、その時は車両衝突は発生しておらず、セーフィングセンサ56は作動せず、セーフィングセンサ56の接点は開いたままであるため、点火電流は流れることができず、誤展開を防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車両用乗員保護装置にあっては、機械的接点を有するセーフィングセンサ56を用いるため、小型化が困難であるとともに、コストの低減に限界があり、さらに、組み付けの自動化に限界がある等の問題があった。
この発明は、この様な従来の問題点に着目してなされたもので、セーフィングセンサを用いずに、CPUが適切でないタイミングで展開信号を出力することを防止することができる構成とすることで、上記問題点を解決することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の車両用乗員保護装置にあっては、変位量により抵抗値が変化するピエゾ抵抗で構成されるブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力に基づき、衝突を判断する衝突判断手段と、該衝突判断手段で衝突を判断した場合、前記ブリッジ回路への電源供給を遮断する電源制御手段と、衝突対応動作を実行する手段と、電源遮断後の、前記ブリッジ回路の出力に基づき、前記衝突対応動作を実行するか否かを判断する実行判断手段とを有する構成とした。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態の構成を示す図である。
まず構成を説明すると、1は加速度センサであり、加速度を検知するピエゾ抵抗ブリッジ回路11からの信号を増幅する増幅回路12からなっており、ピエゾ抵抗ブリッジ回路11の電源は増幅器への電源とは独立に端子13より供給される構成となっている。2は加速度センサ1からの信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。3はA/D変換器2からの信号から衝突判断等を行うCPUである。4はCPU3からの制御により加速度センサ1のピエゾ抵抗ブリッジ回路11への電源の開閉を行うスイッチング回路である。5はCPU3からの衝突判断信号に基づきスクイブ6に点火電流を供給する駆動回路である。
【0006】
次に作用を説明する。
スイッチング回路4が閉状態では、加速度センサ1のピエゾ抵抗ブリッジ回路11には電流が供給されているため、加速度が発生した場合には、それに対応した加速度信号が加速度センサ1より出力される。また、強力な電波等による誤動作が生じた場合も誤信号が出力される。次に、スイッチング回路4が開状態では、加速度センサ1のピエゾ抵抗ブリッジ回路11には電源が供給されないため、加速度が発生しても加速度信号は加速度センサ1より出力されない。但し、強力な電波等による誤動作が生じた場合は誤信号が出力される。
【0007】
次に、加速度センサ1の誤動作検出方法について説明する。図2は、正常時の動作説明図である。通常、スイッチング回路4は閉状態でありピエゾ抵抗ブリッジ回路11には電源が供給されている(波形1の5V)。このとき加速度が発生していれば波形2の期間1に示すような加速度信号が加速度センサ1から出力される。この信号に基づきCPU3は例えば積分処理を実施し、衝突判断を実施する(波形3)。積分値がある値を越えると衝突したと判断し、波形4のようなパルス信号がスイッチング回路4に出力される(波形1の0V)。そして、波形2が0Gとなるため、これは電波等による誤動作ではないと判断され、展開信号(波形5)を出力する。
【0008】
次に、図3は、誤動作時の動作説明図である。スイッチング回路4は通常閉状態でピエゾ抵抗ブリッジ回路11には電源が供給されている(波形6)。このときなんらかの原因で誤動作が発生すると例えば波形7に示すような誤信号が加速度センサ1から出力される。この誤信号に基づきCPU3は積分処理を実施し、衝突判断を実施する(波形8)。積分値がある値を越えると衝突したと判断する。この時、この衝突判断後すぐ展開信号が出力せず、スイッチング回路4に波形9のようなパルス信号を出し波形6の時間Tに示すように、スイッチング回路4を閉状態に制御し、ピエゾ抵抗ブリッジ回路11の電源を遮断する。もし、加速度センサ1が誤動作していれば、誤信号は出力され続ける。正常時は図2の波形2に示すように出力は加速度0相当の信号に変化するため、ピエゾ抵抗ブリッジ回路11の電源を遮断したときの加速度信号を読み、加速度0相当の信号でなければ、加速度センサ1が誤動作していることが判断できる。この場合、誤動作と判断され展開信号を出力する(波形10)。
【0009】
この様にCPU3が加速度センサ1が誤動作していると判断した場合には、CPU3の内部で波形7に示すような誤動作検出信号を発生させ、点火判断の出力を禁止することができる。
【0010】
図4は以上説明した加速度センサ誤動作検出方法を実現する為の、CPU3のプログラム実現のための流れ図の一例である。加速度センサ1からの信号はA/D変換後、一定時間毎にCPU3に読み込まれる(ステップ41)。加速度信号は積分され(ステップ42)、衝突判断値と比較(ステップ43)され、判断値以下であれば、次の加速度信号を読み込む。もし、衝突判断値以上であれば、スイッチング回路4を開状態に制御し(ステップ44)、加速度信号を規定時間毎に規定回数読み込み、読み込んだ加速度信号の絶対値の平均値を計算(ステップ45)する。なお本実施の形態ではデータが揃ったため電源の供給をしている(ステップ46)。平均値が決められた加速度0相当の値(判定値)未満であれば正常、そうでなければ誤動作と判断する(ステップ47)。正常の場合は展開信号を出力する(ステップ48)。誤動作の場合は、展開信号は出力せず、積分値をリセットし、通常の加速度センサ入力に戻る。
【0011】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、セーフィングセンサが持っていた「加速度センサの誤動作時は点火信号を禁止する」という機能を、簡単な電子回路であるスイッチング回路とCPUのプログラムで置き換え、セーフィングセンサを使用しない構成とした為、車両用乗員保護装置の小型化、低コスト化が図れ、更に特殊形状の部品(セーフィングセンサ)が無くなるため、組立の自動化率を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態にかかる車両用乗員保護装置の構成を示す図である
【図2】本発明実施の形態にかかる車両用乗員保護装置の正常時の動作説明図である。
【図3】本発明実施の形態のかかる車両用乗員保護装置の誤動作時の動作説明図である。
【図4】本発明実施の形態にかかる車両用乗員保護装置のCPUのプログラム実現のための流れ図の一例である。
【図5】従来の車両用乗員保護装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 加速度センサ
2 A/D変換器
3 CPU
4 スイッチング回路
5 駆動回路
6 スクイブ
11 ピエゾ抵抗ブリッジ回路
12 増幅回路
13 端子
51 加速度センサ
52 A/D変換器
53 CPU
54 駆動回路
55 スクイブ
56 セーフィングセンサ

Claims (1)

  1. 変位量により抵抗値が変化するピエゾ抵抗で構成されるブリッジ回路と、
    該ブリッジ回路の出力に基づき、衝突を判断する衝突判断手段と、
    該衝突判断手段で衝突を判断した場合、前記ブリッジ回路への電源供給を遮断する電源制御手段と、
    衝突対応動作を実行する手段と、
    電源遮断後の、前記ブリッジ回路の出力に基づき、前記衝突対応動作を実行するか否かを判断する実行判断手段と、を有することを特徴とする車両乗員保護装置。
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