JP3572025B2 - 画像再生装置及び画像処理装置とそれらの方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実空間の撮影によって得られた画像データをもとにウォークスルーが可能な仮想空間を表現する画像再生装置及び方法、並びに画像処理装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体に搭載された撮影装置によって現実空間を撮影し、撮影された実写画像データをもとに、撮影した現実空間を計算機を用いて仮想空間として表現する試みが提案されている(例えば遠藤、片山、田村、廣瀬、渡辺、谷川:“移動車輌搭載カメラを用いた都市空間の電脳映像化について”(信学ソサイエティ、PA−3−4、pp.276−277、1997年)、または廣瀬、渡辺、谷川、遠藤、片山、田村:“移動車輌搭載カメラを用いた電脳映像都市空間の構築(2)−実写画像を用いた広域仮想空間の生成−”(日本バーチャルリアリティ学会第2回大会論文集、pp.67−70、1997年)などを参照)。
【0003】
移動体に搭載された撮影装置によって撮影された実写画像データをもとに、撮影した現実空間を仮想空間として表現する手法としては、実写画像データをもとに現実空間の幾何形状モデルを再現し、従来のCG技術で表現する手法が挙げられるが、モデルの正確性や精密度、写実性などの点で限界がある。一方、モデルを用いた再現を行わずに、実写画像を用いて仮想空間を表現するImage−Based Rendering(IBR)技術が近年注目を集めている。IBR技術は、複数の実写画像をもとに、任意の視点から見た画像を生成する技術である。IBR技術は実写画像に基づいているために、写実的な仮想空間の表現が可能である。
【0004】
このようなIBR技術を用いてウォークスルー可能な仮想空間を構築するためには、体験者の仮想空間内の位置に応じた画像の生成・呈示を行う必要がある。そのため、この種のシステムにおいては、実写画像データの各フレームと仮想空間内の位置とを対応付けて保存しておき、体験者の仮想空間における位置と視点方向に基づいて対応するフレームを取得し、これを再生する。
【0005】
現実空間内の位置データを得る手法としては、カー・ナビゲーション・システムなどにも用いられているGPS(Global Positioning System)に代表される人工衛星を用いた測位システムを利用するのが一般的である。GPSなどから得られる位置データと、実写画像データを対応付ける手法としては、タイムコードを用いて対応付ける手法が提案されている(特開平11−168754)。この手法では、位置データに含まれる時刻データと、実写画像データの各フレームに付加したタイムコードとを対応付けることで、実写画像データの各フレームと位置データとの対応付けを行う。
【0006】
このような仮想空間内のウォークスルーにおいては、体験者が各視点位置で所望の方向をみることができるようにする。このため、各視点位置の画像を、再生時の画角よりも広い範囲をカバーするパノラマ画像で保存しておき、体験者の仮想空間における視点位置と視線方向とに基づいてパノラマ画像から再生すべき部分画像を切り出し、これを表示することが考えられる。
【0007】
このようなウォークスルー再生において、パノラマ画像に仮想の建築物等のコンピュータグラフィックス(CG)による画像を合成して表示することが試みられている。パノラマ画像へのCG画像の描画の実行、停止を切替ることで、状態の異なるパノラマ画像を任意のタイミングで切り替えて表示することが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パノラマ画像にCG画像を合成して再生する場合には、当該パノラマ画像データから表示画像を生成し、重畳すべきCG画像を生成し、表示画像に含まれるオブジェクトとCG画像とのオクルージョン判定をして表示画像とCG画像の合成を行うという処理が必要となり、リアルタイムな表示に支障を来してしまう。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、IBR技術を用いてウォークスルー可能な仮想空間を構築するにおいて、状態の異なるパノラマ画像を任意に切替可能とするとともに、その再生のリアルタイム性を向上することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による画像再生装置は以下の構成を備える。すなわち、
同一経路について、複数の視点位置に対応する複数の画像からなる複数の画像系列を格納する格納手段と、
1つの画像系列より、視点位置及び視線方向に対応する画像を抽出して表示手段へ表示させる抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出され表示中の画像系列から他の画像系列への切り替えを指示する指示手段と、
前記指示手段によって切り替えが指示された場合、前記表示手段に表示中の画像系列と同一経路の他の画像系列を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された画像系列に含まれる画像を用いて前記表示手段に表示を行わせるべく制御する制御手段とを備え、
前記格納手段において、同一経路について格納される複数の画像系列は、異なるコンピュータグラフィックスが重畳描画されたものを含む。
【0011】
また、上記の目的を達成するための本発明による画像再生方法は以下の工程を備える。すなわち、
同一経路について、複数の視点位置に対応する複数の画像からなる複数の画像系列を格納装置に格納する格納工程と、
前記格納装置に格納された1つの画像系列より、視点位置及び視線方向に対応する画像を抽出して表示手段へと表示させる抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出されて表示中の画像系列から他の画像系列への切り替えを指示する指示工程と、
前記指示工程によって切り替えが指示された場合、前記表示手段に表示中の画像系列と同一経路の他の画像系列を選択する選択工程と、
前記選択工程で選択された画像系列に含まれる画像を用いて前記表示手段に表示を行わせるべく制御する制御工程とを備え、
前記格納工程において、同一経路について格納される複数の画像系列は、異なるコンピュータグラフィックスが重畳描画されたものを含む。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、本実施形態による仮想空間のウォークスルーシステムについて説明する。本実施形態では、例えば自動車などの移動体に搭載された複数の撮影装置によって撮影して得られた実写画像データからパノラマ画像データを生成し、このパノラマ画像データを現実空間の位置としての地図データと対応付けて保持する。そして、体験者の仮想空間における視点位置と視線方向に応じて、保持されているパノラマ画像データから表示画像を生成することにより、仮想空間内のウォークスルーを実現する。
【0014】
図1は本実施形態によるウォークスルーシステムの機能構成を説明するブロック図である。本ウォークスルーシステムは、画像データ収集システム90と画像再生装置1とを含んで構成される。画像再生装置1は、画像データ保存部10、地図データ保存部20、画像・地図対応付け部30、操作部40、対応付けデータ保存部50、画像再生制御部60、表示部70を有する。
【0015】
画像データ保存部10は、後で詳述する画像データ収集システム90によって得られた実写画像データとしてのフレームデータを格納する。地図データ保存部20は、地図のイメージ情報と該地図イメージ上の各位置を経度と緯度に関連した座標で表すための座標情報を含む地図データを格納する。地図データ保存部20には、少なくとも画像データ収集システム90によって撮影され、画像データ保存部10に保存されたフレームデータの現実空間位置に対応した範囲の地図データが保存されている。なお、地図データは、不図示のハードディスク、RAMまたは他の外部記憶装置に保存される。
【0016】
画像・地図対応付け部30は、画像データ保存部10に保存されているフレームデータから各視点位置のパノラマ画像データを生成し、これを地図データ保存部20に保存されている地図データと対応付ける。こうして対応付けされたパノラマ画像データと地図データは、対応付けデータとして対応付けデータ保存部50に保存される。なお、画像・地図対応付け部30では、同一時刻において複数の撮影装置から得られたフレームデータからパノラマ画像を生成し、その時刻におけるGPS情報から対応する地図データ(地図上の位置データ)を特定し、これらを対応付け、対応付けデータ保存部50に保存する。後述するように、GPS情報と複数の撮影装置から得られたフレームデータの各々にはタイムコードが付加され、このタイムコードにより同一時刻のフレーム、GPS情報が取得される。
【0017】
操作部40は、マウス、キーボード、ジョイスティック等を備える。なお、上述の画像・地図対応付け部30において、操作部40からの操作入力に従って、画像データ保存部10に保存されたフレームと地図データ保存部20に保存された地図データとの対応付けを編集可能としてもよい。
【0018】
画像再生制御部60は、操作部40からの操作入力に従って体験者の視点位置(地図上の位置)、視線方向を決定し、対応付けデータ保存部50で保存されたデータから必要な画像データを読み出し、表示部70で表示を行うための画像データを生成する。
【0019】
図2は、画像データ保存部10に保存されるフレームデータを収集するための画像データ収集システム90の構成例を示す図である。図2に示されるように、この画像データ収集システム90は、撮影部91、記録部92、A/D変換部93の3つの部分に分けられる。以下、各部について、図3〜図5を参照して詳細に説明する。
【0020】
図3は、撮影部91の構成を詳細に示すブロック図である。本実施形態では、撮影部91は車輌などの移動体に搭載して用いられる。撮影部91は、n台(n≧1)のビデオカメラ(91−1〜n)と同期信号発生部94から成る。ビデオカメラ91−1〜nにはそれぞれ同期信号発生部94からの外部同期信号を入力することが可能であり、本実施形態では、同期信号発生部94より出力される外部同期信号を用いてビデオカメラ91−1〜nのn台の撮影タイミングを一致させている。
【0021】
図4は、記録部92の構成を詳細に示すブロック図である。記録部92はタイムコード発生部95と、ビデオカメラ91−1〜nに対応する録画部(本例ではビデオカセットレコーダVCR)92−1〜nとを備える。撮影部91のn台のビデオカメラ91−1〜nからの画像出力は、それぞれ録画部92−1〜nの入力となる。また、タイムコード発生部95は、撮影時刻を表すタイムコードを各VCR92−1〜nに供給する。VCR92−1〜nは、対応するビデオカメラからの画像入力とタイムコード発生部95からのタイムコードを取り込み、タイムコードつきのビデオデータとして記録する。
【0022】
以上のようにしてVCR92−1〜nのそれぞれに収集された画像情報は、A/D変換部93によってディジタルの画像データに変換され、画像データ保存部10に保存される。図5は、A/D変換部93の構成を詳細に示すブロック図である。A/D変換部93は、パーソナルコンピュータ(以下PC)96と、VCR92−1〜nの各々に対応するビデオ・キャプチャ・ボード(以下、キャプチャ・ボード)93−1〜nを有する。キャプチャ・ボードは必ずしもビデオカメラの台数分必要ではなく、PCに搭載できる数のキャプチャ・ボードを共有してもよい。A/D変換部93は、各VCRから供給されるアナログ画像データをディジタル画像データ(例えばAVIフォーマット)に変換し、PC96に接続された、ハードディスク等を含んで構成される画像データ保存部10またはその他の記憶媒体に保存する。
【0023】
更に、本システムにおいては、タイムコード発生部95からタイムコードが発生するタイミングでGPS97より位置データを取得し、取得した位置データをその時点のタイムコードと対応付けて保持する。
【0024】
図6は画像データ保存部10におけるビデオデータと位置データ(GPS測定結果データ)の格納状態例を示す図である。図6に示すように、画像データ保存部10には、タイムコードが付加されたフレームとタイムコードが付加された位置データとが格納されることになる。よって、このタイムコードを介して、フレームと位置データが対応付けられる。なお、図6では1つのビデオカメラからのビデオデータしか示していないが、ビデオデータは上述したようにビデオカメラの台数分(n台分)が存在する。
【0025】
なお、GPSにおける3次元位置の算出は公知であり、ここでは詳細な説明を省略する。以上のようにして、n台のビデオカメラによって画像を撮影しながら、GPSによって逐次得られる緯度、経度データP(θ,φ)をタイムコード発生部72からのタイムコードに対応付けて格納していく。従って、このタイムコードを介して、ビデオデータの各フレームと、GPSから得られた緯度,経度データを対応付けることができる。
【0026】
なお、画像データがキャプチャ・ボード93−1〜nを通じてPC96内に取り込まれる際には、記録されているタイムコードを用いてキャプチャ開始部分、終了部分を決定し、n台のVCRおよびキャプチャ・ボードを介して取得されるディジタル画像データがすべて同時刻に撮影された、同じ長さのキャプチャデータで構成されるようにする。
【0027】
次に、画像再生装置1について説明する。図7は、本実施形態による画像再生装置1のハード構成を示すブロック図である。図7に示したハード構成は通常のパーソナルコンピュータの構成と同等である。図7において、ディスク105は画像データ保存部10を構成するものであり、図2〜図6に関連して説明した画像データ収集システム90によって得られたフレームデータと位置データが記憶されている。なお、ディスク105は上述の画像データ保存部10のみならず、図1に示した地図データ保存部20、対応付けデータ保存部50をも構成するものである。
【0028】
CPU101は、ディスク105またはROM106、または外部記憶装置(不図示)に保存されているプログラムを実行することにより、画像データと地図データとを対応付けて格納する画像・地図対応付け部30として、また、対応付けデータ保存部50に保存された画像データをもとに画像再生を行う画像再生制御部60として機能する。
【0029】
CPU101が表示コントローラ102に対して各種の表示指示を行うことにより、表示コントローラ102およびフレームバッファ103によって表示器104に所望の表示がなされる。なお、図では表示コントローラ102としてCRTC、表示器104としてCRTを示したが、表示器としては陰極線管に限らず、液晶表示器等を用いてもよいことはもちろんである。なお、CRTC102、フレームバッファ103及びCRT104は、上述の表示部70を構成する。マウス108、キーボード109及びジョイスティック110は、当該画像保持・再生装置1へのユーザの操作入力を行うためのものであリ、上述の操作部40を構成する。
【0030】
次に、以上の構成を備えた本実施形態のウォークスルーシステムにおける、画像再生装置1の動作の概要について説明する。図8は本実施形態のウォークスルーシステムにおける、画像再生装置1の処理内容を説明する図である。
【0031】
画像データ保存部10には、上述した画像データ収集システム90によって、n台のビデオカメラ91−1〜nによって得られたビデオデータに基づくタイムコード付のフレームデータと、GPS97によって得られた位置データに基づくタイムコード付の位置データが格納されている。
【0032】
画像・地図対応付け部30は、同一のタイムコードのフレームデータを接合してパノラマ画像を生成するとともに、地図データ保存部20に保持されている地図データを参照して当該タイムコードに対応する位置データを地図上の位置に変換する。そして、得られたパノラマ画像と、地図上の位置とを対応付けた対応付けデータ210を生成し、対応付けデータ保存部50に格納する。
【0033】
なお、対応付けデータ格納部50において、本実施形態では次のデータ格納形態をとる。すなわち、交差点や曲がり角を区分点とし、区分点と区分点で挟まれた線分を道として、各区分点、道にIDを割り当て、このIDを対応するパノラマ画像に付加する。1つの道に対応するパノラマ画像群には、先頭から順に番号が振られる。
【0034】
図9はこの様子を説明する図である。図9において、例えばIDがC1である区分点とC2である区分点に挟まれた線分(道)にR1というIDが付与されている。なお、これらIDや地図との対応は、地図データ保存部20に保存されている。
【0035】
GPSデータ等に基づいて区分点C1とC2に対応するフレームが特定されると、それらフレームに挟まれたパノラマ画像群が道R1に対応することとなる。図では、このパノラマ画像群にはn個のパノラマ画像が存在する。そして、区分点C1とC2に対応するフレームにはそれぞれC1、C2のIDが付与され、パノラマ画像群の各パノラマ画像には、順番にR1−1〜R1−nが付与されている。
【0036】
なお、区分点とパノラマ画像との対応付けは、GPSデータに従って自動的に行われるものとしたが、ユーザが画像データ保存部に保持されたビデオフレームを再生しながら、フレームと対応する地図上の交差点を指定することによって、上述のような対応付けをすることも可能である。この場合、区分点に挟まれたパノラマ画像群の各パノラマ画像の位置を、例えば、当該区分点を結ぶ線分上に等間隔に割り当てる(上記例では、C1とC2を結ぶ線分をn+1等分して、各分割位置に順番にn個のパノラマ画像を割り当てる)ようにすれば、GPSを用いずに上述のような対応付けデータを生成、保持することが可能である。
【0037】
以上のようにして格納された対応付けデータを用いてウォークスルー再生が行われる。ウォークスルー再生では、操作部40よりジョイスティック110等を用いたウォークスルーのための操作が行われると、画像再生制御部60がこの操作入力に応じて体験者の地図上の視点位置(地図上の道における位置)と視線方向を生成する。更に画像再生制御部60は、この生成された視点位置と視線方向、及び表示部70に表示される画像の画角に基づいて、表示部70に表示すべき画像を、対応付けデータ210に格納されたパノラマ画像に基づいて生成し、表示部70に表示させる。例えば、視点位置が地図上のa地点であり、視線方向が進行方向に対して15度の方向を向いている場合は、a地点に対応するパノラマ画像中の15度の方向に対応する部分画像が抽出されることになる。こうして、体験者の視点位置の地図上における移動と視線方向に対応するように、画像再生制御部60が表示画像の取得と、表示部70への表示を行うことにより、ウォークスルー再生が実現されることになる。
【0038】
さて、上記の構成において、対応付けデータ保存部50によって保持されたパノラマ画像(本実施形態では360度の全周画像とする)をメモリ上に読み出し、表示部70への表示画角に対応した任意の視線方向の画像を生成し、これにCG画像を重畳して表示することが可能である。このようにすることで、ウォークスルー再生にバリエーションを持たせることができる。しかしながら、表示画角及び視線方向に対応して切り出した画像にCG画像を重畳描画する際に、切り出し画像とCG画像との間で画素単位でのオクルージョン判定を行う必要が生じる。このため、CG画像の描画処理に時間がかかり、表示タイミングの遅れを招いてしまう。
【0039】
一方、最初からCGが描画されたパノラマ画像を用いようとした場合は、CG画像の描画処理による表示タイミングの遅れは解決するが、任意のタイミングでCG画像の描画を実行/停止するといったような、パノラマ画像の状態を任意のタイミングで切り替えるという柔軟な表示操作ができなくなってしまう。
【0040】
本実施形態のウォークスルーシステムでは、同一経路に対応したパノラマ画像系列を、表示したい状態に応じて複数種類用意しておき、これらを必要に応じて切り替えてウォークスルー再生に用いることで、任意のタイミングでのパノラマ画像の状態の切り替えを可能としつつ、リアルタイムな画像表示を確実に行えるようにする。
【0041】
図10は第1実施形態によるパノラマ画像の再生処理機能を説明する図である。図10に示しているのは画像再生制御部60の機能構成である。画像再生制御部60は、対応付けデータ保存部50に保持された、複数の状態に対応した同一経路のパノラマ画像系列から切替指示に応じて所望のパノラマ画像系列を選択して、ウォークスルー再生を行う。
【0042】
図10において、対応付けデータ格納部50にはs個のそれぞれ異なる状態のパノラマ画像と地図データが対応付けられた、s個の対応付けデータが格納されている。本例では、状態1〜sの対応付けデータ501〜50sが格納されている。状態1の対応付けデータ501が実写画像から得られたパノラマ画像を含み、他の状態2〜sの対応付けデータ502〜50sは、状態1のパノラマ画像にそれぞれ異なるCGが重畳描画されているものとする。なお、本実施形態では、各状態毎の対応付けデータに含まれるパノラマ画像の集合をパノラマ画像系列と称する。図10の例の場合、s個のパノラマ画像系列が存在することになる。
【0043】
画像再生制御部60において、601は状態選択部であり、操作部40より与えられる操作信号(状態変更指示信号)と、後述の状態間関連付けデータ510に従って、対応付けデータ保存部50に保持されている複数のパノラマ画像系列のうちの一つを画像再生に用いるパノラマ画像系列として選択し、後段へ通知する。
【0044】
602はパノラマ画像復号部であり、状態選択部601で選択されたパノラマ画像系列から、現在の視点位置に対応するパノラマ画像を復号する。視点位置生成部605は、状態選択部601によってパノラマ画像系列の変更があった場合に、それまでのパノラマ画像系列に対する視点位置に基づいて、変更後のパノラマ画像系列に対する適切な視点位置を決定する。603は切り出し部であり、パノラマ画像復号部602で復号されたパノラマ画像から、視線方向と表示画角に応じた部分画像を切り出す。表示制御部604は、切り出し部603で切り出された画像を表示部70に表示させるべく制御する。
【0045】
なお、対応付けデータ格納部50は、状態1〜sの対応付けデータ501〜50sが同一の経路のパノラマ画像で構成されていることを示す状態間関連付けデータ510を格納している。本例では、1つの経路にs種類の状態のパノラマ画像系列(s個の対応付けデータ)がある場合を説明しているが、複数の経路と、それぞれの経路に複数種類の状態のパノラマ画像が存在するようにすることも可能である。この場合、状態間関連付けデータ510は、各経路毎にどのパノラマ画像系列(対応付けデータ)が属しているかを示すことになる。
【0046】
また、本実施形態の場合、状態間関連付けデータ510は、複数の状態のパノラマ画像の切り替え順序を示す情報を有する。この情報を持つことにより、状態選択部601に入力される状態変更指示信号は、状態の切り替えを指示するだけで、状態間関連付けデータ510に登録された切り替え順序で、パノラマ画像系列が順次選択され、切り替わることになる。もちろん、状態変更指示は、状態3のパノラマ画像に切り替えるといったように、具体的に状態を指定する信号であってもよい。
【0047】
図11は第1実施形態によるパノラマ系列の切り替え処理を説明するフローチャートである。操作部40より状態変更指示が入力されると、画像再生制御部60の状態選択部601は状態変更イベントの発生を検出する。状態変更イベントの発生が検出されると、ステップS102へ進み、切り換え後に表示すべきパノラマ画像の状態を決定する。上述したように、本実施形態では状態間関連付けデータ510に状態変更指示による切り替え順序が登録されており、例えば、状態1→状態2…→状態s→状態1→…というよに切り替わるものとする。従って、例えば現在状態2のパノラマ画像系列が選択されているとすると、状態変更イベントにより状態3のパノラマ画像系列を用いることになる。
【0048】
次にステップS103において、視点位置生成部605は、ステップS102で決定した新しい状態のパノラマ画像系列における最初の視点位置を決定する。ここでは、変更直前に表示されたパノラマ画像の視点位置に基づいて、新しい状態のパノラマ画像系列に切り替えた後の最初に表示すべき視点位置を決定する。具体的には、変更前のパノラマ画像系列の視点位置に最も近い変更後のパノラマ画像系列の視点位置を求め、これを最初に表示すべき視点位置に決定する。或いは、変更後のパノラマ画像系列において、上記求めた視点位置の次の視点位置を最初に表示すべき視点位置に決定する。
【0049】
このような処理を行うのは、次の理由による。すなわち、1つのパノラマ画像系列を基に、コンピュータグラフィックス描画を重畳して複数のパノラマ画像系列を生成した場合は、各パノラマ画像の視点位置が完全に一致するので、変更直前のパノラマ画像の視点位置と変更後のパノラマ画像の視点位置を一致させることができる。
【0050】
しかしながら、同一経路について異なる実写画像データを用いた場合、例えば朝、昼、夜において撮影された実写画像データを基に、それぞれ状態1、状態2、状態3のパノラマ画像系列を作成した場合は、交通事情等により状態1、2、3の対応付けデータは、それぞれ個別にパノラマ画像と視点位置との対応付けがなされたものとなるので、完全には一致しない。従って、それまで表示していたパノラマ画像の視点位置に最も近い視点位置を変更後の対応付けデータから取り出すという処理を行うことで、ウォークスルー再生中の状態変更をより自然に見せるようにする。
【0051】
ステップS104では、パノラマ画像復号部602において、ステップS102で選択されたパノラマ画像系列より、ステップS103で決定された視点位置に対応するパノラマ画像を選択し、これを復号する。そして、ステップS105において、画像切り出し部603は、復号されたパノラマ画像から、視線方向と表示画角に基づいてパノラマ画像から対応する部分を切り出して表示用画像を生成し、表示制御部604がこれを表示部70に表示させる。
【0052】
なお、ステップS101で状態変更イベントが発生していな場合は、ステップS110へ進み、視点位置生成部605が現在使用中のパノラマ画像系列における次の視点位置を決定し、ステップS104へ進む。以上のステップS101からS105、S110の処理を、終了操作があるまで繰り返す(ステップS106)。
【0053】
以上のように第1実施形態によれば、状態の異なるパノラマ画像系列への切り替えを、ウォークスルー再生を継続させながら、状態変更指示を行うだけで行うことができる。また、CGを重畳描画させた画像再生を行う場合でも、予めCGが描画されたパノラマ画像への切り換えを行うだけなので、画像再生のリアルタイム性を損なうことがなく、CG描画の有無を自在に切り替えることも可能である。
【0054】
<第2実施形態>
第1実施形態では、対応付けデータが、地図上の位置とパノラマ画像系列の各パノラマ画像とが対応付けられたものである場合を説明した。第2実施形態では、図9を用いて説明したような、地図上の区分点と道によって地図上の位置とパノラマ画像とを対応付けた場合に特化させて説明する。
【0055】
図9で説明したように、図12は第2実施形態による対応付けデータ保存部50のデータ構成例を示す図である。状態1〜状態sのそれぞれの状態毎に、地図上の道(1〜n)、区分点(1〜m)との対応づけがなされている。状態間関連付けデータ510は、状態1〜状態sのパノラマ画像系列を関連づけるものであり、本実施形態では、画像系列の切り換え順序をも含む。
【0056】
図13は第2実施形態によるパノラマ系列の切り替え処理を説明するフローチャートである。操作部40より状態変更指示が入力されると、画像再生制御部60の状態選択部601は状態変更イベントの発生を検出する(ステップS201)。状態変更イベントの発生が検出されると、ステップS201からステップS202へ進み、切り換え後に表示すべきパノラマ画像系列を決定する。上述したように、第2実施形態では状態間関連付けデータ510には、状態変更指示による切り替え順序が登録されており、例えば、状態1→状態2…→状態s→状態1→…というように切り替わるものとする。従って、例えば現在状態2のパノラマ画像が再生されているとすると、状態変更イベントにより状態3のパノラマ画像を用いることになる。
【0057】
次にステップS203において、ステップS202で決定した新しい状態のパノラマ画像系列を用いて表示すべき最初の視点位置を決定する。ここでは、変更直前に表示されたパノラマ画像の視点位置、すなわち、どの「道」の何番目のパノラマ画像であるか(フレーム順位)に基づいて、新しい状態のパノラマ系列に切り替えた後の最初に表示すべきパノラマ画像の視点位置(どの道の何番目のフレーム)を決定する。このようにすることで、各道に含まれる画像数が対応付けデータ毎に異なっていても、より正しく次の視点位置を決定できる。例えば、現在選択されているパノラマ画像系列において、ある道に10枚のパノラマ画像が存在し、現在の視点位置がその道の6番目のパノラマ画像を示しており、切り替え後のパノラマ画像系列の対応する道には15枚のパノラマ画像が存在する場合、9番目のパノラマ画像が選択されることになる(15×6/10)。
【0058】
ステップS204では、ステップS202で選択されたパノラマ画像系列より、ステップS203で決定された視点位置(「道」と「フレーム順位」)に対応するパノラマ画像を選択する。そして、ステップS205において、選択したパノラマ画像が符号化されている場合はこれを復号し、視線方向と表示画角に基づいてパノラマ画像から対応する部分を切出して表示用画像を生成し、これを表示部70に送って表示させる。
【0059】
なお、ステップS201で状態変更イベントが発生していな場合は、ステップS210へ進み、現在使用中のパノラマ画像系列における次の視点位置(「道」と「フレーム順位」)を決定し、ステップS204へ進む。以上のステップS201からS205、S210の処理を、終了操作があるまで繰り返す(ステップS206)。
【0060】
以上のように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、区分点と、道によってパノラマ画像と地図データが対応付けられて保存されている場合でも、迅速且つ自然に状態を変更することができる。
【0061】
なお、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0062】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、IBR技術を用いてウォークスルー可能な仮想空間を構築するにおいて、状態の異なるパノラマ画像を任意に切替可能になるとともに、その再生のリアルタイム性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるウォークスルーシステムの機能構成を説明するブロック図である。
【図2】画像データ保存部10に保存されるフレームデータを収集するための画像データ収集システム90の構成例を示す図である。
【図3】撮影部91の構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】記録部92の構成を詳細に示すブロック図である。
【図5】A/D変換部93の構成を詳細に示すブロック図である。
【図6】画像データ保存部10におけるビデオデータと位置データ(GPS測定結果データ)の格納状態例を示す図である。
【図7】本実施形態による画像再生装置1のハード構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態のウォークスルーシステムにおける、画像再生装置1の処理内容を説明する図である。
【図9】道と区分点を用いたパノラマ画像の地図データへの対応付けを説明する図である。
【図10】第1実施形態によるパノラマ画像の再生処理機能を説明する図である。
【図11】第1実施形態によるパノラマ系列の切り替え処理を説明するフローチャートである。
【図12】第2実施形態による対応付けデータ保存部50のデータ構成例を示す図である。
【図13】第2実施形態によるパノラマ系列の切り替え処理を説明するフローチャートである。
Claims (7)
- 同一経路について、複数の視点位置に対応する複数の画像からなる複数の画像系列を格納する格納手段と、
1つの画像系列より、視点位置及び視線方向に対応する画像を抽出して表示手段へ表示させる抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出され表示中の画像系列から他の画像系列への切り替えを指示する指示手段と、
前記指示手段によって切り替えが指示された場合、前記表示手段に表示中の画像系列と同一経路の他の画像系列を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された画像系列に含まれる画像を用いて前記表示手段に表示を行わせるべく制御する制御手段とを備え、
前記格納手段において、同一経路について格納される複数の画像系列は、異なるコンピュータグラフィックスが重畳描画されたものを含むことを特徴とする画像処理装置。 - 前記複数の画像系列を関連付ける関連付けデータを有し、
前記選択手段は、前記指示手段による指示により、前記関連付けデータで関連付けされた複数の画像系列の一つを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記関連付けデータは、前記関連付けされた複数の画像系列における選択順序を示す順序情報を含み、
前記選択手段は、前記指示手段による指示により、前記関連付けデータで関連付けされた複数の画像系列の一つを、前記順序情報に従った順序で選択することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記画像系列は複数のパノラマ画像によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像再生装置。
- 同一経路について、複数の視点位置に対応する複数の画像からなる複数の画像系列を格納装置に格納する格納工程と、
前記格納装置に格納された1つの画像系列より、視点位置及び視線方向に対応する画像を抽出して表示手段へと表示させる抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出されて表示中の画像系列から他の画像系列への切り替えを指示する指示工程と、
前記指示工程によって切り替えが指示された場合、前記表示手段に表示中の画像系列と同一経路の他の画像系列を選択する選択工程と、
前記選択工程で選択された画像系列に含まれる画像を用いて前記表示手段に表示を行わせるべく制御する制御工程とを備え、
前記格納工程において、同一経路について格納される複数の画像系列は、異なるコンピュータグラフィックスが重畳描画されたものを含むことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項5に記載の画像処理方法をコンピュータによって実現するための制御プログラム。
- 請求項5に記載の画像再生方法をコンピュータによって実現するための制御プログラムを格納する記憶媒体。
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