JP3571876B2 - 気中不純物ガス評価方法及びその装置 - Google Patents

気中不純物ガス評価方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は気中不純物評価方法とその評価装置に係り、特に半導体製造工程における気中不純物の分析・制御に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の進歩に伴い、その製造工程で環境雰囲気からウェーハ表面に吸着する気中不純物による汚染が問題とされてきた。例えば製造環境に含まれる有機物、すなわちSO 、NO のような酸性ガス、アンモニアのような塩基性ガス等の不純物が、製造工程の歩留りや半導体装置の特性に悪影響を及ぼすことが注目されてきた。
【0003】
有機物による汚染は酸化膜の耐圧特性劣化の原因となり、またウェーハ表面やウェーハに形成した薄膜のヘイズ(くもり)などを生じる原因になる。したがってこれら気中不純物を特定し制御することは、半導体装置の製造工程の歩留りや、信頼性を確保する上で欠くことができない。このため、製造環境に含まれる気中不純物の評価技術が必須のものとされてきた。
【0004】
従来、気中不純物の評価方法には、直接環境雰囲気である大気を測定器にかけて分析する方法や、一旦大気を固体の吸着剤や液体の捕集液中に通して、目的とする不純物を捕集し、測定器にかけて分析する方法が知られている。
【0005】
しかし、大気中に含まれウェーハに吸着する不純物には、その種類により吸着率が異なるという選択性があり、また下地の吸着面に対する依存性がある。例えば気中不純物の中でも分子量が大きい化合物や、C=O結合を有する化合物等が吸着されやすく、また特に吸着面が酸化膜表面である場合に吸着されやすい等の現象が見られる。
【0006】
次に製造環境中の不純物評価に関する従来技術をさらに具体的に説明する。一般に、大気中に含まれる単位体積当りの微粒子の数をダストカウンターを用いてカウントする方法や、図7に示すように単に表面を鏡面研磨したベアウェーハ10を、例えばダウンフローの大気15からなる製造環境中の支持台11に一定時間放置し、前記ベアウェーハ上に付着した微粒子数を数える方法等が行われている。しかし、この方法では製造環境に含まれるガス状不純物に関する情報を得ることができない。
【0007】
特に近年半導体装置の耐圧に関連して、分子量の大きい有機物ガスの影響が注目されているが、前述のように直接大気を分析する従来の方法では、不純物ガスの大部分を占める低分子量の不純物により測定結果がマスクされ、分子量の大きい不純物ガスが検出されないという問題があった。
【0008】
また、製造環境に含まれる気中不純物を固体吸着剤や捕集液に一旦捕集し、分析評価する方法では、吸着剤や捕集液の種類により捕集される不純物の種類が異なるため、分析の対象となる不純物が限定され、目的とする不純物の特定や制御が困難になるという問題があった。
【0009】
半導体装置の製造工程においては、製造環境で実際に処理されている製造工程中のウェーハの処理表面に吸着する不純物を分析、評価することが重要な課題である。したがって従来これに対処する有効な気中不純物評価方法とその装置が存在しないのが実情であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の気中不純物評価方法とその装置は、半導体装置の歩留りや信頼性に大きな影響を及ぼす、製造工程中のウェーハの処理表面を汚染する、分子量の大きい有機物ガス等を効果的に分析することができないという問題があった。
【0011】
本発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、実際に半導体装置の製造工程に投入され、当該工程により処理されたウェーハを抜き取り、その処理面に大気を直接強制的に接触させることにより、当該工程において発生する特に工程歩留り上問題となる気中不純物を前記処理面に吸着捕集して分析することにより、気中不純物を評価する方法とその装置を提供することを目的としている。
【0012】
また本発明は基板表面に設ける吸着面として、表面に特定の表面加工層や特定の吸着膜、または両者の組み合わせを用いることにより不純物ガスの吸着特性が優れた基板を別途形成し、これをセンサーとして広く製造環境に発生する気中不純物を評価することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係る気中不純物ガス評価方法は、垂直な中心軸に対して軸対称性を有し、かつ、一端部に前記中心軸に近づくに連れて大きく形成された複数個の吸気口が前記中心軸に対して軸対称に配置されて設けられているとともに、他端部に前記中心軸に一致するように排気口が設けられているチャンバー内に、大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が表面に設けられた基板をその中心が前記中心軸に一致するように、かつ、前記吸着面を前記各吸気口に対向させて収容し、前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に向けて前記チャンバーの周囲の大気を前記各吸気口を介して前記チャンバー内に導入しつつ、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出することにより、前記大気を前記吸着面に強制的に接触させて前記不純物ガスを前記吸着面に吸着させ、前記吸着面に吸着された前記不純物ガスを測定することにより、前記大気中に含まれている前記不純物ガスを評価するものである。
【0014】
また、前記課題を解決するために、本発明の他の態様に係る気中不純物ガス評価方法は、大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が表面に設けられた基板が収容されるとともに、長辺が前記基板の前記吸着面と平行、かつ、短辺が前記吸着面と垂直な矩形断面を有し、さらに所望の向きを向くことができるフレキシブルな構造を有する吸気口が前記基板の前記吸着面側に連通して設けられており、また前記基板の前記吸着面側に連通して排気口が設けられているチャンバー内に、前記基板をその前記吸着面を前記吸気口および前記排気口に連通させて収容し、前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に沿って前記チャンバーの周囲の大気を前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入しつつ、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出することにより、前記大気を前記吸着面に強制的に接触させて前記不純物ガスを前記吸着面に吸着させ、前記吸着面に吸着された前記不純物ガスを測定することにより、前記大気中に含まれている前記不純物ガスを評価するものである。
【0015】
また、前記課題を解決するために、本発明の一態様に係る気中不純物ガス評価装置は、大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が設けられた基板が収容されるとともに、垂直な中心軸に対して軸対称性を有するチャンバーと、このチャンバー内に設けられ、前記チャンバー内に収容された前記基板がその中心を前記チャンバーの中心軸に一致するように載置される基板載置機構と、この基板載置機構に載置された前記基板に対して前記基板載置機構の反対側で前記吸着面に対向するとともに、前記チャンバーの中心軸に対して軸対称に配置され、かつ、前記チャンバーの中心軸に近づくに連れて大きく形成されて前記チャンバーに設けられ、前記チャンバーの周囲の大気が前記チャンバー内に導入される複数個の吸気口と、前記基板載置機構に載置された前記基板に対して前記吸気口の反対側で前記チャンバーに設けられ、前記吸気口から前記チャンバー内に導入された前記大気が前記チャンバー外に排出される排気口と、この排気口に連通して設けられ、前記チャンバーの周囲の大気を前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に向けて前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入するとともに、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記基板の前記吸着口と対向する側とは反対側から前記排気口を介して前記チャンバー外に排出する吸引ポンプと、を具備するものである。
【0016】
さらに、前記課題を解決するために、本発明の他の態様に係る気中不純物ガス評価装置は、大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が設けられた基板が収容されるチャンバーと、このチャンバー内に収容された前記基板を、前記吸着面が設けられている側とは反対側から吸引固定する真空チャックと、長辺が前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面と平行、かつ、短辺が前記吸着面と垂直な矩形断面を有しており、前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面が設けられている側に連通して前記チャンバーに設けられているとともに、所望の向きを向くことができるフレキシブルな構造を有しており、前記チャンバーの周囲の大気が前記チャンバー内に導入される吸気口と、前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面が設けられている側に連通して前記チャンバーに設けられ、前記吸気口から前記チャンバー内に導入された前記大気が前記チャンバー外に排出される排気口と、この排気口に連通して設けられ、前記チャンバーの周囲の大気を前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に沿って前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入するとともに、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出する吸引ポンプと、を具備するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る気中不純物評価装置の断面図と上面図をそれぞれ図1(a)と図1(b)に示す。図1(a)は図1(b)のA−A断面が示されている。この気中不純物評価装置は、基板載置機構2、チャンバー3、吸気口7、排気口8、および製造工程の環境を構成する評価対象の大気(以下単に大気と呼ぶ)4を吸引するポンプ5などから構成される。
【0024】
図1(a)に示すように、チャンバー3は上部と下部とに分離することができる構造とされており、前記上部と下部のチャンバーの間には、不純物ガスが発生しないシール6で密閉されている。この部分は例えば上部と下部のチャンバーの間に設けたすり合わせのように、不純物ガスが発生しなければ必ずしも完全にシールされなくてもよい。
【0025】
また、上部と下部のチャンバー3には、それぞれ中央部に大気を吸引または排気するための吸気口7と排気口8が設けられている。上部の吸気口7は大気開放、下部の排気口8は吸引ポンプ5に接続される。
【0026】
上部と下部のチャンバーはそれぞれアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、または石英等から形成される。吸引ポンプ5は最大30(l/min)の排気速度を持つものを使用した。またシールには不純物ガスを発生しないシリコンゴムやフッ素系のゴム等を用いた。
【0027】
まず上部チャンバー3を開放して、不純物ガスを吸着させる製造工程中の基板(ここではシリコンウェーハ)1を抜き取り、当該製造工程で形成された処理面を吸着面1aとして、これを上にしてチャンバー3の下部に設けた基板載置機構2の上に乗せ、シール6を介して上部チャンバー3を閉じる。
【0028】
次に下部チャンバーの排気口8に接続された吸引ポンプ5を作動させ、大気4に含まれる不純物濃度に応じて、所定の時間前記大気4を吸気口7からチャンバー3に吸引する。
【0029】
ここにのべた気中不純物評価装置は、図1(b)の上面図に示すように、基板載置機構2、ベルジャー3、吸気口7、排気口8、がそれぞれ垂直な中心軸に対して回転対称となるよう配置され、基板1はその中心が前記中心軸に一致し、吸着面1aは水平となるように前記基板載置機構2の上に載置される。なお図1 (a)では吸着面1aは基板1の片側にのみ形成されているが、両側に形成されたものであってもよい。
【0030】
図1(b)に示すように基板1がほぼ円形のシリコンウェーハからなる場合には、ベルジャー3と吸気口7及び排気口8を中心軸の回りに回転対称性を有するようにすれば、図1(a)の矢印に示すように、ベルジャー3の内部を流れる大気4は層流状態となって吸着面1aに沿って流れるので、大気中に含まれる不純物ガスが効率よく吸着面1aに吸着される。
【0031】
ここで基板載置機構2は、ポンプ5で吸引される大気4の流れを妨げないように例えば3点接触で基板1を載置するようにし、かつ前記基板載置機構2への基板1の装着と脱着が極めて容易に行われるようにした。このときポンプ5の振動で基板1に位置ずれ生じないように、ポンプ5と排気口8との間に除震用のダンパー(図示せず)を設ける。なお基板載置機構2の構造については、装脱着が容易で層流状の大気の流れが得られれば必ずしも3点接触でなくてもよい。
【0032】
このようにして評価対象である大気4を上部の吸気口7よりチャンバー3に導入し、評価対象とする製造工程で処理された基板1の吸着面1aの直上から、前記製造工程の環境を構成する大気4を吹き付ければ、大気4と吸着面1aは効率良く接触し、大気4に含まれる不純物ガスが、選択的にウェーハ1の吸着面1aに吸着される。
【0033】
このとき吸着面1aに吸着される不純物ガスの種類は、主として前記吸着面を構成する絶縁膜の種類やその組み合わせにより異なるため、この方法により問題となる不純物ガスを、前記絶縁膜を形成するための処理工程ごとに特定することができる。例えば不純物ガスに対して優れた吸着性を示す絶縁膜としては、シリコン酸化膜、多結晶シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒酸化膜、アルミニウム酸化膜、チタニウム酸化膜、またはこれらを組み合わせた膜等があり、前記絶縁膜の形成工程でとくに問題となる不純物ガスを、上記の方法を用いて特定することができる。
【0034】
大気4を一定時間吸引、基板1の吸着面1aに吸着捕集後ポンプ5を停止し、チャンバー3の上部を解放してシリコンウェーハからなる基板1を取り出し、測定装置を用いて吸着物の種類の同定と量の測定を行う。
【0035】
不純物の測定装置として、有機物についてはウェーハ加熱脱離法またはウェーハ溶媒抽出法により脱離、抽出した後ガスクロマトグラフを用いて分析するか、または脱離、抽出した有機物をガスクロマトグラフと質量分析装置と組み合わせて分析するようにした。また、酸性ガス、塩基性ガスのような無機物についてはウェーハの純水抽出を行った後、イオンクロマトグラフを用いて分析した。さらに水溶性有機物についてはウェーハの純水抽出の後TOC計(全有機炭素計;Total Organic Carbon analyzer の略称)を用いて分析した。水分やハロゲンガスについては、ウェーハの昇温脱離を導入したAPMS装置(大気イオン化質量分析装置;Atmospheric Pressure Ionization Mass Spectrometer の略称)を用いて分析、評価した。
【0036】
次に図2に基づき本発明の第2の実施の形態について説明する。
図2(a)、図2(b)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係る気中不純物評価装置の断面図と上面図である。図2(a)は図2(b)のA−A断面が示されている。この気中不純物評価装置は前記第1の実施の形態の気中不純物評価装置と上部チャンバー3の構造のみが異なる。
【0037】
すなわち図2に示すように、上部チャンバー3のほぼ全面に評価の対象とする大気4をチャンバー中に導入するための複数の吸気口7が形成されている。その他の部分は前記第1の実施の形態の気中不純物評価装置と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
装置は中心軸に対して軸対象となるように構成され、前記複数の吸気口7も中心軸に対して軸対象になるように配置されている。また図2に示す例では、複数の吸引口7は全て円形であってその径は中心部に近いほど大きく、周辺部になるに従い小さくされている。このように中心部における大気4の吸引量を大きくすることにより、基板1の吸着面1aにおける大気4の流れをほぼ層流状態にすることができ、大気4に含まれる不純物ガスを吸着面1aに効率的に吸着させることができる。
【0039】
次に図3に基づき本発明の第3の実施の形態について説明する。
図3(a)、図3(b)はそれぞれ本発明の第3の実施の形態に係る気中不純物評価装置の断面図と鳥かん図である。本第3の実施の形態では基板1の吸着面1aに沿って大気4が平行に流れる構造が示されている。
【0040】
この気中不純物評価装置は、チャンバー3、評価対象の大気4を吸引するポンプ5と、矩形形状の吸気口7、排気口8、および半導体基板1を固定する真空チャック9などから構成される。半導体基板1は前記真空チャック9を兼ねる温度制御部で冷却し、吸着面1aの吸着効率を高めることが可能である。
【0041】
図3(b)の鳥瞰図のA−A断面が図3(a)に示されている。半導体基板1は吸気口7から偏平に形成されたチャンバー3に挿入し、吸着面1aがチャンバー中の大気4が流れる向きになるようにして、真空チャック9で固定する。
【0042】
吸着面1aへの気中不純物の吸着が最大になるように、真空チャック9に含まれる温度制御部により低温側に調節し、ポンプ5を用いて一定時間大気4を吸引すれば、大気4に含まれる不純物が吸着面1aに吸着される。ポンプ5を停止し、真空チャック9を解放してウェーハを取り出し、第1の実施の形態で説明したと同様に吸着された不純物を分析する。
【0043】
図3に示す気中不純物評価装置の特徴は、図1、図2に示したものに比べて取扱が容易であり、とくに吸気口7をフレキシブルな構造とすれば、任意の角度から評価対象とする大気を導入することができるので、工程環境を構成する大気の特定部分で発生する不純物等を分析評価することができる。このとき吸着面1aを流れる大気は、吸気口7の角度によらず層流状態が保たれる。
【0044】
このように図3に示す気中不純物評価装置では、必ずしも吸着面1aを特定工程中の処理面とし、当該特定工程で発生する不純物を分析するような工程別の分析評価ばかりでなく、吸着面1aとして、ある特定の不純物に対して高い吸着率を示すようにして、これをセンサーとして用いることにより、広く製造工程環境において発生する特定の気中不純物の発生源を探索するような目的にも使用することができる。
【0045】
このときセンサーとなる吸着面1aの表面積は、大きくすることが望ましいが、例えばシリコンウェーハの表面を多孔貭としてこれを酸化し、不純物ガスの吸着量を増加することや、シリコンウェーハからなる基板1の表面に大気4の流れる方向に沿ったトレンチを形成し、その上に例えば酸化膜等の吸着膜を被覆すれば、吸着面1aの実効的な表面積を数倍に拡大し、同様に不純物ガスの吸着量を増加することができる。このように不純物のセンサーとして用いる吸着面の構造は、現実の製造工程の半導体基板の処理面とは異なっているが、目的とする数種の不純物に対応するセンサーを用意すれば、製造工程環境で発生する不純物の発生源についての有用な情報を得ることができる。
【0046】
次に図4、図5に基づき本発明の第4の実施の形態を説明する。
本第4の実施の形態では、本発明の第1の実施の形態に係る気中不純物評価装置と現実の製造工程中におけるウェーハを用いて、稼働中のクリーンルーム内での大気中の不純物を捕集し、分析した結果について説明する。
【0047】
ここに評価の対象とする製造工程は、不揮発性半導体記憶装置の多結晶シリコンのフローティングゲート形成工程であり、多結晶シリコン上に熱酸化により形成した酸化膜(SiO )を吸着膜1aとして用いた。評価対象とする大気4は、前記熱酸化炉の近傍から採取した。
【0048】
図4に本発明の第1の実施の形態の気中不純物評価装置により測定したウェーハに吸着した気中有機不純物量(C16)と酸化膜耐圧との関係を示す。吸着したC16の量が増加すれば酸化膜耐圧の良品率が急速に低下することがわかる。
【0049】
本発明の方法により捕集した大気中不純物と、ベアウェーハを単にクリーンルーム中に放置した従来の気中不純物評方法により捕集した大気中不純物とをそれぞれガスクロマトグラフにより分析した結果を対比して、それぞれ図5(a)と図5(b)に示す。
【0050】
図5(a)に示すように、本発明の気中不純物評価装置を用いて製造工程中のウェーハにより選択的に大気中不純物を吸着させた場合には、強いC16のピークが検出されており、前記酸化膜耐圧への影響が明確に捕捉されることがわかる。一方、図5(b)に示すように、従来法で大気を分析した場合には、C16などの吸着不純物はほとんど検出されず、C16に対応するピークの大きさは1/10以下となっている。したがって従来法で大気中不純物による酸化膜の耐圧劣化の原因を特定することは不可能であることが確認された。
【0051】
ウェーハに吸着する不純物量と吸着に要する時間(日数)との関係を図6に示す。C16からなる不純物に対して、従来法で分析可能な不純物量を得るために必要な大気4の採取時間は24時間以上を要したが、本発明の装置と方法によれば約2時間で同量の不純物が捕集され、いちじるしく感度が向上することがわかった。このようにして、ほぼその場観察に近い条件で有害不純物を検出・除去することにより、工程不良の発生を最小限に制御することができた。
【0052】
なお本発明は上記の実施の形態に限定されることはない。例えば第1、第2の実施の形態において、吸着面1aとして現実の製造工程で抜き取られた酸化膜等の処理面を用いたが、これが特定不純物のセンサーとして別工程で形成された吸着面であってもよい。また基板としてシリコン等の半導体基板を用いる場合について説明したが、必ずしも半導体基板に限定される必要はなく、例えばサファイア、スピネル、石英等の絶縁性基板、またはガラス基板上に気中不純物の吸着面を形成することができる。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0053】
【発明の効果】
上述したように本発明の気中不純物処理方法及びその装置によれば、現実の製造工程で処理されるウェーハ表面に吸着して半導体装置の歩留まりや信頼性を低下させる気中不純物を、短時間でかつ高い感度で分析・制御することができる。また、特定不純物に対して吸着率の高い吸着面を別工程でウェーハ上に形成し、これを用いて、広く工程環境で発生する不純物の発生源の探索に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる気中不純物評価装置の構造を示す図であって、
(a)はその断面図。
(b)はその上面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる気中不純物評価装置の構造を示す図であって、
(a)はその断面図。
(b)はその上面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態にかかる気中不純物評価装置の構造を示す図であって、
(a)はその断面図。
(b)はその鳥かん図。
【図4】ウェーハに吸着する不純物量とウェーハ上に形成した酸化膜の耐圧良品率との関係を示す図。
【図5】本発明の効果を従来法と対比して示す図であって、
(a)は本発明の方法による気中不純物の分析データを示す図。
(b)は従来の方法による気中不純物の分析データを示す図。
【図6】本発明の気中不純物捕集に要する日数と従来の方法での所要日数とを対比して示す図。
【図7】従来のベアウェーハを用いたダスト評価方法を示す図。
【符号の説明】
1…基板
1a…吸着面
2…基板載置機構
3…チャンバー
4…大気
5…ポンプ
6…シール
7…吸気口
8…排気口
9…温度調節可能な真空チャック
10…ベアウェーハ
11…支持台
15…ダウンフロー大気

Claims (12)

  1. 垂直な中心軸に対して軸対称性を有し、かつ、一端部に前記中心軸に近づくに連れて大きく形成された複数個の吸気口が前記中心軸に対して軸対称に配置されて設けられているとともに、他端部に前記中心軸に一致するように排気口が設けられているチャンバー内に、大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が表面に設けられた基板をその中心が前記中心軸に一致するように、かつ、前記吸着面を前記各吸気口に対向させて収容し、
    前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に向けて前記チャンバーの周囲の大気を前記各吸気口を介して前記チャンバー内に導入しつつ、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出することにより、前記大気を前記吸着面に強制的に接触させて前記不純物ガスを前記吸着面に吸着させ、
    前記吸着面に吸着された前記不純物ガスを測定することにより、前記大気中に含まれている前記不純物ガスを評価することを特徴とする気中不純物ガス評価方法。
  2. 大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が表面に設けられた基板が収容されるとともに、長辺が前記基板の前記吸着面と平行、かつ、短辺が前記吸着面と垂直な矩形断面を有し、さらに所望の向きを向くことができるフレキシブルな構造を有する吸気口が前記基板の前記吸着面側に連通して設けられており、また前記基板の前記吸着面側に連通して排気口が設けられているチャンバー内に、前記基板をその前記吸着面を前記吸気口および前記排気口に連通させて収容し、
    前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に沿って前記チャンバーの周囲の大気を前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入しつつ、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出することにより、前記大気を前記吸着面に強制的に接触させて前記不純物ガスを前記吸着面に吸着させ、
    前記吸着面に吸着された前記不純物ガスを測定することにより、前記大気中に含まれている前記不純物ガスを評価することを特徴とする気中不純物ガス評価方法。
  3. 前記基板は半導体装置のウェーハ処理工程において抜き取られた半導体ウェーハであるとともに、前記吸着面は前記半導体ウェーハの表面に少なくとも絶縁膜が形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の気中不純物ガス評価方法。
  4. 前記絶縁膜は、シリコン酸化膜、多結晶シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒酸化膜、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、およびこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項3に記載の気中不純物ガス評価方法。
  5. 前記吸着面は、前記基板上に形成された吸着膜、前記基板表面の加工層、および前記基板表面の加工層上に形成された吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の気中不純物ガス評価方法。
  6. 大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が設けられた基板が収容されるとともに、垂直な中心軸に対して軸対称性を有するチャンバーと、
    このチャンバー内に設けられ、前記チャンバー内に収容された前記基板がその中心を前記チャンバーの中心軸に一致するように載置される基板載置機構と、
    この基板載置機構に載置された前記基板に対して前記基板載置機構の反対側で前記吸着面に対向するとともに、前記チャンバーの中心軸に対して軸対称に配置され、かつ、前記チャンバーの中心軸に近づくに連れて大きく形成されて前記チャンバーに設けられ、前記チャンバーの周囲の大気が前記チャンバー内に導入される複数個の吸気口と、
    前記基板載置機構に載置された前記基板に対して前記吸気口の反対側で前記チャンバーに設けられ、前記吸気口から前記チャンバー内に導入された前記大気が前記チャンバー外に排出される排気口と、
    この排気口に連通して設けられ、前記チャンバーの周囲の大気を前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に向けて前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入するとともに、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記基板の前記吸着口と対向する側とは反対側から前記排気口を介して前記チャンバー外に排出する吸引ポンプと、
    を具備することを特徴とする気中不純物ガス評価装置。
  7. 前記吸気口および前記排気口は、円形形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の気中不純物ガス評価装置。
  8. 前記基板載置機構は、点接触により前記基板を下方より水平に支持することを特徴とする請求項6または7に記載の気中不純物ガス評価装置。
  9. 前記チャンバーは、その外周に沿って上下に分離可能な構造を有することを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれかに記載の気中不純物ガス評価装置。
  10. 大気中の不純物ガスが吸着される吸着面が設けられた基板が収容されるチャンバーと、
    このチャンバー内に収容された前記基板を、前記吸着面が設けられている側とは反対側から吸引固定する真空チャックと、
    長辺が前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面と平行、かつ、短辺が前記吸着面と垂直な矩形断面を有しており、前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面が設けられている側に連通して前記チャンバーに設けられているとともに、所望の向きを向くことができるフレキシブルな構造を有しており、前記チャンバーの周囲の大気が前記チャンバー内に導入される吸気口と、
    前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面が設けられている側に連通して前記チャンバーに設けられ、前記吸気口から前記チャンバー内に導入された前記大気が前記チャンバー外に排出される排気口と、
    この排気口に連通して設けられ、前記チャンバーの周囲の大気を前記チャンバー内に収容された前記基板の前記吸着面に沿って前記吸気口を介して前記チャンバー内に導入するとともに、前記チャンバー内に導入された前記大気を前記排気口を介して前記チャンバー外に排出する吸引ポンプと、
    を具備することを特徴とする気中不純物ガス評価装置。
  11. 前記吸気口の長辺が前記基板の径より大きく形成されているとともに、前記吸気口の短辺が前記基板の厚さより大きく形成されていることを特徴とする請求項10記載の気中不純物ガス評価装置。
  12. 前記吸着面の温度を制御する機構を、さらに備えることを特徴とする請求項10または11に記載の気中不純物ガス評価装置。
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