JP2004020293A - 環境監視方法およびシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工材料が実際に汚染される物質を的確に把握できるようにする。
【解決手段】環境監視システム30は、加熱脱着装置32を有する。加熱脱着装置32は、内面36が被加工材料と同一の材料で形成してある。加熱脱着装置32には、空気輸送管40と真空ポンプ46とが接続してある。真空ポンプ46は、クリーンルーム内空気を吸引して加熱脱着装置32内に導入し、クリーンルーム内空気に含まれている有機物を加熱脱着装置32の内面36に付着させる。加熱脱着装置32は、有機物の付着した内面36を加熱し、内面36に付着した有機物を脱離させる。離脱した有機物は、ガスクロマトグラフ質量分析装置34に送られて分析される
【選択図】 図1
【解決手段】環境監視システム30は、加熱脱着装置32を有する。加熱脱着装置32は、内面36が被加工材料と同一の材料で形成してある。加熱脱着装置32には、空気輸送管40と真空ポンプ46とが接続してある。真空ポンプ46は、クリーンルーム内空気を吸引して加熱脱着装置32内に導入し、クリーンルーム内空気に含まれている有機物を加熱脱着装置32の内面36に付着させる。加熱脱着装置32は、有機物の付着した内面36を加熱し、内面36に付着した有機物を脱離させる。離脱した有機物は、ガスクロマトグラフ質量分析装置34に送られて分析される
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境の汚染を監視する方法に係り、特に半導体装置の製造工場のような清浄環境の汚染を監視するのに好適な環境監視方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置や液晶パネルなどの電子デバイスは、高性能化、小型化などの要求を受け、シリコンウェハやガラス基板などの被加工材料に形成されるパターンが非常に微細となっている。このため、空気中に浮遊する塵埃などが被加工材料の表面に付着すると、これらに形成してある配線パターン間の短絡を生じたりして製品不良となる。したがって、半導体装置の製造工場などにおいては、高性能、高清浄型のクリーンルームを設け、このクリーンルーム内で製造するようにしている。ところが、クリーンルーム内の空気中には、半導体装置を製造する際に使用する溶媒や、クリーンルームを構成している建築部材に含まれている可塑剤や難燃材等から揮発した多種類の有機物が存在している。これらの有機物が被加工材料に一定レベル以上付着すると、被加工材料への成膜が良好に行なわれなかったりして製品不良が発生し、製品歩留まりを低下させる。このため、清浄環境であるクリーンルーム内の空気中に存在する有機物の濃度管理が極めて重要となってきている。
【0003】
そこで、従来は、図3に示した監視システムによってクリーンルーム中の空気に含まれている有機物の種類、濃度などを求めて、半導体装置を製造する環境の汚染状態を監視している。すなわち、まず、吸着材10を内蔵した石英製の吸着管12をクリーンルームに搬入する。そして、吸着管12の一端に真空ポンプ14を接続し、所定時間真空ポンプ14を駆動して吸着管12を介してクリーンルーム内の空気を吸引し、クリーンルーム内空気に含まれている有機物(汚染物質)を吸着材10に一旦吸着させる。その後、吸着管12を加熱脱着装置16に装着し、吸着管12を加熱して吸着材10に吸着させた有機物を脱離させ、この有機物をキャリアガスによってガスクロマトグラフ18、質量分析計20に送って有機物の種類、濃度などを求めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の環境監視システムは、吸着管12に内蔵させた吸着材10が吸着した、クリーンルーム内空気中に含まれていたすべての有機物を測定するようになっている。ところが、測定される有機物には、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)などの被加工材料に付着しやすい有機物と、被加工材料に付着しにくい有機物とが含まれている。このため、空気中のすべての有機物を測定しても、製品不良を引き起こす原因となる有機物の種類、濃度を充分に把握できない。また、クリーンルーム内空気に含まれる有機物を吸着管12によってサンプリングしたのち、加熱脱着装置16に装着してクロマトグラフ18、質量分析計20によって分析するため、有機物のサンプリングとその分析との間にタイムラグが発生し、実際の製造時における空気の汚染状態を知ることができない欠点がある。
【0005】
本発明は、前記従来技術の欠点を解決するためになされたもので、被加工材料が実際に汚染される程度を的確に把握できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、実際の加工時における空気の汚染状態を知ることができるようにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る環境監視方法は、内面が被加工材料と同一材料で形成された吸脱離部に監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を前記吸脱離部の内面に付着させたのち、前記内面から前記汚染物質を脱離させて物質分析部に送って分析することを特徴としている。
【0007】
また、上記環境監視方法を実施する環境監視システムは、被加工材料と同一の材料で内面が形成され、前記内面を加熱して内面に付着した汚染物質を脱離させる吸脱離部と、この吸脱離部と監視対象環境とを接続し、監視対象環境の空気を前記吸脱離部に導入可能な空気輸送部と、前記吸脱離部に接続され、前記内面から脱離させた前記汚染物質を分析する物質分析部と、を有することを特徴としている。
空気輸送部には、加熱手段を設けることができる。また、吸脱離部の内面の表面加工状態を前記被加工材料の表面加工状態に近似させることが望ましい。
【0008】
【作用】
上記のようになっている本発明は、監視の対象となっている環境において被加工材料と同じ材料で内面が形成された吸脱離部に、監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を吸脱離部の内面に付着させるようにしているため、被加工材料を加工した製品に実際に影響を与える汚染物質の種類や濃度を的確に評価することができる。また、吸脱離部では、内面を加熱して、内面に付着した汚染物質を脱離させるようになっているので、環境空気中の汚染物質のサンプリングとその測定との間のタイムラグをなくすことができ、実際の加工時における監視対象環境の空気の汚染状態を知ることができる。
【0009】
監視対象環境と吸脱離部とを接続する空気輸送部に加熱手段を設けて空気輸送手段を加熱することにより、輸送される空気中の汚染物質が空気輸送手段の内壁に付着するのを防止することができ、汚染物質の種類、濃度を正確に測定することができる。そして、吸脱離部の内面の表面加工状態を被加工材料の表面加工状態に近似させることにより、表面状態に影響される表面に付着する汚染物質の種類と濃度などを被加工材料と同じにすることができ、被加工材料の汚染状態を正確に把握することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る環境監視方法およびシステムの好ましい実施の形態を、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る環境監視システムの説明図である。なお、本発明実施形態においては、半導体装置製造工場のクリーンルームの監視を例にして説明する。
【0011】
図1において、環境監視システム30は、吸脱離部である加熱脱着装置32と物質分析部を構成しているガスクロマトグラフ質量分析装置34とを有している。加熱脱着装置32は、内面36が図示しない被加工材料と同一材料で形成されている。また、加熱脱着装置32は、ヒータを内蔵していて、内面36を加熱して内面36に付着した汚染物質である有機物を脱離できるようになっている。そして、加熱脱着装置32は、入り口側に空気輸送管40の一端が接続してある。この空気輸送管40は、空気輸送部の一部を構成しており、他端が監視対象環境である半導体装置製造工場のクリーンルーム(図示せず)に接続してある。また、空気輸送管40の周囲には、加熱手段であるラインヒータ42が配設してあって、空気輸送管40を加熱して空気輸送管40の内面にクリーンルーム内空気に含まれている有機汚染物質が付着しないようにしている。
【0012】
一方、加熱脱着装置32の出口側には、吸引管44を介して真空ポンプ46が接続してある。真空ポンプ46は、空気輸送管40とともに空気輸送部を構成していて、加熱脱着装置32、空気輸送管40を介して監視対象環境であるクリーンルーム中の空気を吸引し、クリーンルーム内空気を加熱脱着装置32に導入できるようにしてある。そして、吸引管44と空気輸送管40とには、開閉機構であるストップバルブ48、50が設けてあり、クリーンルーム内空気の加熱脱着装置32への導入、停止を任意に行なえるようになっている。
【0013】
ガスクロマトグラフ質量分析装置34は、周知のようにガスクロマトグラフ52と質量分析装置54とから構成してあって、ガスクロマトグラブ52の後段に質量分析装置54が直結してある。そして、ガスクロマトグラフ52と加熱脱着装置32とは、開閉弁56を備えたサンプル配管58を介して接続してあって、加熱脱着装置32の内面36から脱離させた有機物をガスクロマトグラフ52に導入できるようにしてある。また、加熱脱着装置32には、開閉弁62を有するキャリアガス配管60が接続してある。このキャリアガス配管60は、ガスクロマトグラフ質量分析装置34による有機物の分析の際に、ヘリウムガスなどの不活性なガスをキャリアガスとして加熱脱着装置32に供給し、内面36から脱離した有機物をガスクロマトグラフ52に輸送する。
【0014】
このようになっている実施形態の作用は、次のとおりである。まず、図1に示した開閉弁56、62を閉じるとともに、ストップバルブ48、50を開放する。そして、真空ポンプ46を駆動して所定時間クリーンルーム内空気を吸引して加熱脱着装置32内に通し、クリーンルーム内空気をその内面36に接触させる。すると、クリーンルーム内空気に含まれている有機物(汚染物質)が内面36に付着する。この際、内面36が被加工材料と同一の材料で形成されているため、内面36には被加工材料に付着しやすい有機物が主に付着する。その後、ストップバルブ48、50を閉じて真空ポンプ46の駆動を停止する。さらに、加熱脱着装置32のヒータによって内面36を加熱し、内面36に付着させた有機物を脱着(脱離)させるとともに、開閉弁56、62を開放して加熱脱着装置32内にヘリウムなどのキャリアガスを供給し、内面36から脱離した有機物をガスクロマトグラフ質量分析装置34に送る。ガスクロマトグラフ質量分析装置34は、ガスクロマトグラフ52とこの後段の質量分析装置54とによって有機物の種類、濃度などを計測する。
【0015】
このようにして汚染物質の分析が終了した場合、加熱脱着装置32の内面36は、有機物が脱離された状態であるため、この時点において再度クリーンルーム内空気を直ちに加熱脱着装置32内に導入することにより、同様の分析を繰り返して行なうことができる。
【0016】
このように、クリーンルーム内空気を加熱脱着装置32に導入し、クリーンルーム内空気に含まれている汚染物質を被加工材料と同一材料で形成した内面36に直接付着させるようにしているため、実際の被加工材料に付着する汚染物質(有機物)と同じものを測定することができ、製品に影響を与えるクリーンルーム内空気中の汚染物質の評価を的確に行なうことができる。しかも、クリーンルーム内空気を直接加熱脱着装置32に導入して内面36に汚染物質を付着させ、直ちに加熱脱着装置32に接続したガスクロマトグラフ質量分析装置34によって汚染物質の測定するようにしたことにより、クリーンルーム内空気中の汚染物質のサンプリングと分析との間にタイムラグをなくせて、実際の被加工材料の加工時におけるクリーンルーム内空気の汚染の状態を正確に把握することができ、また連続的な分析が可能である。
【0017】
なお、被加工材料に付着する有機物の種類と濃度は、被加工材料の表面加工状態によって変化する。したがって、上記内面36は、材質のみならず、表面加工状態も被加工材料の表面加工状態になるべく近似させることが好ましい。
図2は、加熱脱着装置の変形例を示したものである。この加熱脱着装置32Aは、本体64に吸着管38を収納する収納室66が設けてあって、この収納室66に吸着管38を装着するようになっている。そして、本体64には、吸着管38を囲むようにヒータ68が設けてあって、吸着管38を所定の温度に加熱できるようになっている。
【0018】
吸着管38の内面36Aは、被加工材料と同一材料で形成してあって、円筒状または楕円筒状等、加熱脱着装置32に装着できる適宜の形状に形成してある。また、吸着管38は、入り口側(図2の上側)が大径となっていて、出口側が小径に形成してあり、大径の入り口側から試料36Bを挿入するようになっている。そして、試料36Bは、半導体装置を製造する通常の被加工材料から適宜の大きさに切り出した板状片であって、両面ばかりでなく側面も研磨してある。吸着管38の大径の入り口には、空気輸送管40とキャリアガス配管60とを接続可能な栓体70が取り付けられ、吸着管38内にクリーンルーム内空気とキャリアガスとを供給できるようになっている。
【0019】
この変形例によれば、吸着管38の内面36Aと試料36Bとが被加工材料と同一材料で形成されているので、前記実施形態と同様に、クリーンルーム内の汚染物質の評価をタイムラグなしに的確に行なうことができる。さらに、吸着管38を本体64と切り離して自在に交換でき、内部に挿入する試料36Bの形状、枚数を変化させることによって、有機物の有効吸着面積を調整することができる。
【0020】
なお、前記実施形態においては、空気輸送管40が1本である場合について説明したが、ラインヒータ42を設けた空気輸送管40を複数設置し、切替えバルブなどにより流路を切替えることによって、空気輸送管のつなぎ替えを行なわずにクリーンルーム内の複数のポイントの分析を行なったり、複数のクリーンルームの分析を行なってもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、監視の対象となっている環境において加工する材料と同じ材料で内面が形成された吸脱着部に、監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を当該内面に付着させるようにしてあるため、被加工材料を加工した製品に実際に影響を与える汚染物質の種類や濃度を的確に評価することができる。また、吸脱離部では内面を加熱して、内面に付着した汚染物質を脱離させるようになっているので、環境空気中の汚染物質のサンプリングとその測定との間のタイムラグをなくすことができ、実際の加工時における監視対象環境の汚染状態を知ることができる。さらに、吸脱離部の内面の表面加工状態を被加工材料の表面加工状態に近似させることにより、表面状態に影響される表面に付着する汚染物質の種類と濃度などを被加工材料と同じにすることができ、被加工材料の汚染状態を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る環境監視システムの説明図である。
【図2】実施の形態に係る吸脱離部の変形例の説明図である。
【図3】従来の環境監視システムの説明図である。
【符号の説明】
30………環境監視システム、32………吸脱離部(加熱脱着装置)、34………物質分析部(ガスクロマトグラフ質量分析装置)、36、36A………内面、36B………試料、38………吸着管、40、46………空気輸送部(空気輸送管、真空ポンプ)、42………加熱手段(ラインヒータ)、48、50………開閉機構(ストップバルブ)、52………ガスクロマトグラフ、54………質量分析装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境の汚染を監視する方法に係り、特に半導体装置の製造工場のような清浄環境の汚染を監視するのに好適な環境監視方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置や液晶パネルなどの電子デバイスは、高性能化、小型化などの要求を受け、シリコンウェハやガラス基板などの被加工材料に形成されるパターンが非常に微細となっている。このため、空気中に浮遊する塵埃などが被加工材料の表面に付着すると、これらに形成してある配線パターン間の短絡を生じたりして製品不良となる。したがって、半導体装置の製造工場などにおいては、高性能、高清浄型のクリーンルームを設け、このクリーンルーム内で製造するようにしている。ところが、クリーンルーム内の空気中には、半導体装置を製造する際に使用する溶媒や、クリーンルームを構成している建築部材に含まれている可塑剤や難燃材等から揮発した多種類の有機物が存在している。これらの有機物が被加工材料に一定レベル以上付着すると、被加工材料への成膜が良好に行なわれなかったりして製品不良が発生し、製品歩留まりを低下させる。このため、清浄環境であるクリーンルーム内の空気中に存在する有機物の濃度管理が極めて重要となってきている。
【0003】
そこで、従来は、図3に示した監視システムによってクリーンルーム中の空気に含まれている有機物の種類、濃度などを求めて、半導体装置を製造する環境の汚染状態を監視している。すなわち、まず、吸着材10を内蔵した石英製の吸着管12をクリーンルームに搬入する。そして、吸着管12の一端に真空ポンプ14を接続し、所定時間真空ポンプ14を駆動して吸着管12を介してクリーンルーム内の空気を吸引し、クリーンルーム内空気に含まれている有機物(汚染物質)を吸着材10に一旦吸着させる。その後、吸着管12を加熱脱着装置16に装着し、吸着管12を加熱して吸着材10に吸着させた有機物を脱離させ、この有機物をキャリアガスによってガスクロマトグラフ18、質量分析計20に送って有機物の種類、濃度などを求めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の環境監視システムは、吸着管12に内蔵させた吸着材10が吸着した、クリーンルーム内空気中に含まれていたすべての有機物を測定するようになっている。ところが、測定される有機物には、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)などの被加工材料に付着しやすい有機物と、被加工材料に付着しにくい有機物とが含まれている。このため、空気中のすべての有機物を測定しても、製品不良を引き起こす原因となる有機物の種類、濃度を充分に把握できない。また、クリーンルーム内空気に含まれる有機物を吸着管12によってサンプリングしたのち、加熱脱着装置16に装着してクロマトグラフ18、質量分析計20によって分析するため、有機物のサンプリングとその分析との間にタイムラグが発生し、実際の製造時における空気の汚染状態を知ることができない欠点がある。
【0005】
本発明は、前記従来技術の欠点を解決するためになされたもので、被加工材料が実際に汚染される程度を的確に把握できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、実際の加工時における空気の汚染状態を知ることができるようにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る環境監視方法は、内面が被加工材料と同一材料で形成された吸脱離部に監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を前記吸脱離部の内面に付着させたのち、前記内面から前記汚染物質を脱離させて物質分析部に送って分析することを特徴としている。
【0007】
また、上記環境監視方法を実施する環境監視システムは、被加工材料と同一の材料で内面が形成され、前記内面を加熱して内面に付着した汚染物質を脱離させる吸脱離部と、この吸脱離部と監視対象環境とを接続し、監視対象環境の空気を前記吸脱離部に導入可能な空気輸送部と、前記吸脱離部に接続され、前記内面から脱離させた前記汚染物質を分析する物質分析部と、を有することを特徴としている。
空気輸送部には、加熱手段を設けることができる。また、吸脱離部の内面の表面加工状態を前記被加工材料の表面加工状態に近似させることが望ましい。
【0008】
【作用】
上記のようになっている本発明は、監視の対象となっている環境において被加工材料と同じ材料で内面が形成された吸脱離部に、監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を吸脱離部の内面に付着させるようにしているため、被加工材料を加工した製品に実際に影響を与える汚染物質の種類や濃度を的確に評価することができる。また、吸脱離部では、内面を加熱して、内面に付着した汚染物質を脱離させるようになっているので、環境空気中の汚染物質のサンプリングとその測定との間のタイムラグをなくすことができ、実際の加工時における監視対象環境の空気の汚染状態を知ることができる。
【0009】
監視対象環境と吸脱離部とを接続する空気輸送部に加熱手段を設けて空気輸送手段を加熱することにより、輸送される空気中の汚染物質が空気輸送手段の内壁に付着するのを防止することができ、汚染物質の種類、濃度を正確に測定することができる。そして、吸脱離部の内面の表面加工状態を被加工材料の表面加工状態に近似させることにより、表面状態に影響される表面に付着する汚染物質の種類と濃度などを被加工材料と同じにすることができ、被加工材料の汚染状態を正確に把握することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る環境監視方法およびシステムの好ましい実施の形態を、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る環境監視システムの説明図である。なお、本発明実施形態においては、半導体装置製造工場のクリーンルームの監視を例にして説明する。
【0011】
図1において、環境監視システム30は、吸脱離部である加熱脱着装置32と物質分析部を構成しているガスクロマトグラフ質量分析装置34とを有している。加熱脱着装置32は、内面36が図示しない被加工材料と同一材料で形成されている。また、加熱脱着装置32は、ヒータを内蔵していて、内面36を加熱して内面36に付着した汚染物質である有機物を脱離できるようになっている。そして、加熱脱着装置32は、入り口側に空気輸送管40の一端が接続してある。この空気輸送管40は、空気輸送部の一部を構成しており、他端が監視対象環境である半導体装置製造工場のクリーンルーム(図示せず)に接続してある。また、空気輸送管40の周囲には、加熱手段であるラインヒータ42が配設してあって、空気輸送管40を加熱して空気輸送管40の内面にクリーンルーム内空気に含まれている有機汚染物質が付着しないようにしている。
【0012】
一方、加熱脱着装置32の出口側には、吸引管44を介して真空ポンプ46が接続してある。真空ポンプ46は、空気輸送管40とともに空気輸送部を構成していて、加熱脱着装置32、空気輸送管40を介して監視対象環境であるクリーンルーム中の空気を吸引し、クリーンルーム内空気を加熱脱着装置32に導入できるようにしてある。そして、吸引管44と空気輸送管40とには、開閉機構であるストップバルブ48、50が設けてあり、クリーンルーム内空気の加熱脱着装置32への導入、停止を任意に行なえるようになっている。
【0013】
ガスクロマトグラフ質量分析装置34は、周知のようにガスクロマトグラフ52と質量分析装置54とから構成してあって、ガスクロマトグラブ52の後段に質量分析装置54が直結してある。そして、ガスクロマトグラフ52と加熱脱着装置32とは、開閉弁56を備えたサンプル配管58を介して接続してあって、加熱脱着装置32の内面36から脱離させた有機物をガスクロマトグラフ52に導入できるようにしてある。また、加熱脱着装置32には、開閉弁62を有するキャリアガス配管60が接続してある。このキャリアガス配管60は、ガスクロマトグラフ質量分析装置34による有機物の分析の際に、ヘリウムガスなどの不活性なガスをキャリアガスとして加熱脱着装置32に供給し、内面36から脱離した有機物をガスクロマトグラフ52に輸送する。
【0014】
このようになっている実施形態の作用は、次のとおりである。まず、図1に示した開閉弁56、62を閉じるとともに、ストップバルブ48、50を開放する。そして、真空ポンプ46を駆動して所定時間クリーンルーム内空気を吸引して加熱脱着装置32内に通し、クリーンルーム内空気をその内面36に接触させる。すると、クリーンルーム内空気に含まれている有機物(汚染物質)が内面36に付着する。この際、内面36が被加工材料と同一の材料で形成されているため、内面36には被加工材料に付着しやすい有機物が主に付着する。その後、ストップバルブ48、50を閉じて真空ポンプ46の駆動を停止する。さらに、加熱脱着装置32のヒータによって内面36を加熱し、内面36に付着させた有機物を脱着(脱離)させるとともに、開閉弁56、62を開放して加熱脱着装置32内にヘリウムなどのキャリアガスを供給し、内面36から脱離した有機物をガスクロマトグラフ質量分析装置34に送る。ガスクロマトグラフ質量分析装置34は、ガスクロマトグラフ52とこの後段の質量分析装置54とによって有機物の種類、濃度などを計測する。
【0015】
このようにして汚染物質の分析が終了した場合、加熱脱着装置32の内面36は、有機物が脱離された状態であるため、この時点において再度クリーンルーム内空気を直ちに加熱脱着装置32内に導入することにより、同様の分析を繰り返して行なうことができる。
【0016】
このように、クリーンルーム内空気を加熱脱着装置32に導入し、クリーンルーム内空気に含まれている汚染物質を被加工材料と同一材料で形成した内面36に直接付着させるようにしているため、実際の被加工材料に付着する汚染物質(有機物)と同じものを測定することができ、製品に影響を与えるクリーンルーム内空気中の汚染物質の評価を的確に行なうことができる。しかも、クリーンルーム内空気を直接加熱脱着装置32に導入して内面36に汚染物質を付着させ、直ちに加熱脱着装置32に接続したガスクロマトグラフ質量分析装置34によって汚染物質の測定するようにしたことにより、クリーンルーム内空気中の汚染物質のサンプリングと分析との間にタイムラグをなくせて、実際の被加工材料の加工時におけるクリーンルーム内空気の汚染の状態を正確に把握することができ、また連続的な分析が可能である。
【0017】
なお、被加工材料に付着する有機物の種類と濃度は、被加工材料の表面加工状態によって変化する。したがって、上記内面36は、材質のみならず、表面加工状態も被加工材料の表面加工状態になるべく近似させることが好ましい。
図2は、加熱脱着装置の変形例を示したものである。この加熱脱着装置32Aは、本体64に吸着管38を収納する収納室66が設けてあって、この収納室66に吸着管38を装着するようになっている。そして、本体64には、吸着管38を囲むようにヒータ68が設けてあって、吸着管38を所定の温度に加熱できるようになっている。
【0018】
吸着管38の内面36Aは、被加工材料と同一材料で形成してあって、円筒状または楕円筒状等、加熱脱着装置32に装着できる適宜の形状に形成してある。また、吸着管38は、入り口側(図2の上側)が大径となっていて、出口側が小径に形成してあり、大径の入り口側から試料36Bを挿入するようになっている。そして、試料36Bは、半導体装置を製造する通常の被加工材料から適宜の大きさに切り出した板状片であって、両面ばかりでなく側面も研磨してある。吸着管38の大径の入り口には、空気輸送管40とキャリアガス配管60とを接続可能な栓体70が取り付けられ、吸着管38内にクリーンルーム内空気とキャリアガスとを供給できるようになっている。
【0019】
この変形例によれば、吸着管38の内面36Aと試料36Bとが被加工材料と同一材料で形成されているので、前記実施形態と同様に、クリーンルーム内の汚染物質の評価をタイムラグなしに的確に行なうことができる。さらに、吸着管38を本体64と切り離して自在に交換でき、内部に挿入する試料36Bの形状、枚数を変化させることによって、有機物の有効吸着面積を調整することができる。
【0020】
なお、前記実施形態においては、空気輸送管40が1本である場合について説明したが、ラインヒータ42を設けた空気輸送管40を複数設置し、切替えバルブなどにより流路を切替えることによって、空気輸送管のつなぎ替えを行なわずにクリーンルーム内の複数のポイントの分析を行なったり、複数のクリーンルームの分析を行なってもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、監視の対象となっている環境において加工する材料と同じ材料で内面が形成された吸脱着部に、監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を当該内面に付着させるようにしてあるため、被加工材料を加工した製品に実際に影響を与える汚染物質の種類や濃度を的確に評価することができる。また、吸脱離部では内面を加熱して、内面に付着した汚染物質を脱離させるようになっているので、環境空気中の汚染物質のサンプリングとその測定との間のタイムラグをなくすことができ、実際の加工時における監視対象環境の汚染状態を知ることができる。さらに、吸脱離部の内面の表面加工状態を被加工材料の表面加工状態に近似させることにより、表面状態に影響される表面に付着する汚染物質の種類と濃度などを被加工材料と同じにすることができ、被加工材料の汚染状態を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る環境監視システムの説明図である。
【図2】実施の形態に係る吸脱離部の変形例の説明図である。
【図3】従来の環境監視システムの説明図である。
【符号の説明】
30………環境監視システム、32………吸脱離部(加熱脱着装置)、34………物質分析部(ガスクロマトグラフ質量分析装置)、36、36A………内面、36B………試料、38………吸着管、40、46………空気輸送部(空気輸送管、真空ポンプ)、42………加熱手段(ラインヒータ)、48、50………開閉機構(ストップバルブ)、52………ガスクロマトグラフ、54………質量分析装置。
Claims (4)
- 内面が被加工材料と同一材料で形成された吸脱離部に監視対象環境の空気を導入して、空気中の汚染物質を前記吸脱離部の内面に付着させたのち、前記内面から前記汚染物質を脱離させて物質分析部に送って分析することを特徴とする環境監視方法。
- 被加工材料と同一の材料で内面が形成され、前記内面を加熱して内面に付着した汚染物質を脱離させる吸脱離部と、
この吸脱離部と監視対象環境とを接続し、監視対象環境の空気を前記吸脱離部に導入可能な空気輸送部と、
前記吸脱離部に接続され、前記内面から脱離させた前記汚染物質を分析する物質分析部と、
を有することを特徴とする環境監視システム。 - 請求項2に記載の環境監視システムにおいて、前記空気輸送部には、加熱手段が設けてあることを特徴とする環境監視システム。
- 請求項2または請求項3に記載の環境監視システムにおいて、前記吸脱離部の内面の表面加工状態を前記被加工材料の表面加工状態に近似させたことを特徴とする環境監視システム。
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