JP3570326B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気通路に吸蔵還元型NOx触媒を備えた排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希薄燃焼可能な内燃機関より排出される排気ガスからNOxを浄化する排気浄化装置として、吸蔵還元型NOx触媒がある。この吸蔵還元型NOx触媒は、流入排気ガスの空燃比がリーン(即ち、酸素過剰雰囲気下)のときにNOxを吸収し、流入排気ガスの酸素濃度が低下したときに吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒である。
【0003】
この吸蔵還元型NOx触媒(以下、単に触媒あるいはNOx触媒ということもある)を希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に配置すると、リーン空燃比の排気ガスが流れたときには排気ガス中のNOxが触媒に吸収され、理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比の排気ガスが流れたときに触媒に吸収されていたNOxがNO2として放出され、さらに排気ガス中のHCやCOなどの還元成分によってN2に還元され、即ちNOxが浄化される。
【0004】
ところで、一般に、内燃機関の燃料には硫黄分が含まれており、燃料を燃焼すると、燃料中の硫黄分が燃焼してSO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が発生する。前記NOx触媒は、NOxの吸収作用を行うのと同じメカニズムで排気ガス中のSOxの吸収を行うので、内燃機関の排気通路にNOx触媒を配置すると、この触媒にはNOxのみならずSOxも吸収される。
【0005】
ところが、前記NOx触媒に吸収されたSOxは時間経過とともに安定な硫酸塩を形成するため、NOx触媒からNOxの放出・還元を行うのと同じ条件下では、分解、放出されにくく、NOx触媒内に蓄積され易い傾向がある。吸蔵還元型NOx触媒内のSOx蓄積量が増大すると、触媒が他の有害成分(HC,CO,NOx)を浄化する能力を低下させる。これが所謂SOx被毒である。したがって、吸蔵還元型NOx触媒の排気浄化能力を長期に亘って高く維持するためには、触媒に吸収されているSOxを分解し該触媒から放出させて、S被毒から回復させる必要がある。
【0006】
吸蔵還元型NOx触媒のS被毒回復処理に関しては、特許番号第2745985号の特許公報等に開示されており、NOx触媒に吸収されたSOxを放出させるには、流入排気ガスの空燃比をストイキまたはリッチにし、且つ、触媒床温をNOxの放出・還元時よりも高い所定の高温にするのが効果的であると考えられている。
【0007】
そこで、NOx触媒に所定量のSOxが吸収された時をS被毒回復処理の実行時期と判断して、その時に、触媒床温をSOx放出可能な温度に温度制御するとともに、流入排気ガスの空燃比をストイキまたはリッチに保持されるように流入排気ガスの空燃比制御を行って、S被毒回復処理を実行している。このS被毒回復処理により、NOx触媒に吸収されていた硫酸塩は分解してSO3になり、さらにこのSO3が排気ガス中の未燃HC,COによって還元せしめられ、SO2となって放出される。
【0008】
S被毒回復処理時にNOx触媒の触媒床温をSOx放出可能な温度まで昇温する手段の一つとして、特開平8−61052号公報等に開示されている気筒群別空燃比制御がある。
【0009】
気筒群別空燃比制御とは、多気筒エンジンにおいて一部の気筒をリッチ空燃比で運転させると同時に残る気筒をリーン空燃比で運転させる空燃比制御方法であり、リッチ空燃比で運転した気筒(以下、リッチ気筒という)から排出される十分な量の未燃燃料成分を含む排気ガスとリーン空燃比で運転した気筒(以下、リーン気筒という)から排出される十分な量の酸素を含む排気ガスとの混合ガスをNOx触媒に供給し、その混合ガス中に含まれる未燃燃料成分と酸素とをNOx触媒において酸化反応させることによって、NOx触媒を昇温させるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、希薄燃焼可能な内燃機関においても機関始動時には安定した燃焼を得るため理論空燃比で運転する場合が多く、そのときにはストイキの排気ガスが排出されるが、NOx触媒ではこのストイキの排気ガスのNOxを浄化する能力が低い。そこで、NOx触媒の上流に三元触媒を始動時触媒として設け、この始動時触媒で始動時に排出されるストイキの排気ガスを浄化できるようにした排気浄化システムがある。
【0011】
ところが、機関始動時に全気筒から排出される排気ガスをただ一つの始動時触媒で賄うようにシステムを組んだ場合に、換言すると、全気筒から排出される排気ガスが合流する合流点よりも下流に始動時触媒を設けた場合に、前述した気筒群別空燃比制御による触媒の昇温処理を実行すると、リッチ気筒から排出される排気ガス中の未燃燃料成分とリーン気筒から排出される排気ガス中に含まれる多量の酸素が、NOx触媒に到達する前に始動時触媒において反応してしまい、NOx触媒を効率的に昇温することができないという問題が生じる。
【0012】
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、多気筒の内燃機関の排気系に単一の始動時触媒を設けた排気浄化システムにおいても、容易に吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をSOx放出温度まで昇温することができるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。本出願の発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出・還元する吸蔵還元型NOx触媒と、(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、(ニ)前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入する二次空気供給手段と、を備え、前記S被毒回復処理時と処理完了後の所定期間の間とに前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入し、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、吸蔵還元型NOx触媒に対するS被毒回復処理時には、内燃機関の空燃比が空燃比制御手段によって理論空燃比あるいはリッチ空燃比に制御されるので、排気ガスの空燃比も理論空燃比あるいはリッチ空燃比となり、排気ガス中には多くの未燃HCが存在することになる。この排気ガス中の未燃HCは始
動時触媒を素通りして吸蔵還元型NOx触媒に導入される。
【0015】
また、このS被毒回復処理時には、二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気が導入され、この二次空気は排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入される。
【0016】
その結果、排気ガス中の未燃HCと二次空気の多量の酸素が吸蔵還元型NOx触媒において酸化反応を起こし、この時に生じる反応熱によって吸蔵還元型NOx触媒が昇温する。その結果、吸蔵還元型NOx触媒は迅速にSOx放出温度まで昇温する。
【0017】
また、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、前記S被毒回復処理完了後、所定期間の間、前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入することにより、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入する。S被毒回復処理完了直後は吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温が高温になっており、NOx浄化率の低い状態にある。したがって、このときにリーン空燃比の排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に流してもNOxを効率的に浄化することができない虞れがある。そこで、S被毒回復処理完了後、所定期間の間だけ、前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入すると、吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気ガスの温度が低下せしめられ、その結果、吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をNOx浄化率の高い温度まで低下させることができ、S被毒回復処理完了後の早い時期から高いNOx浄化率を得ることができる。
【0018】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用してもよい。すなわち、本出願の発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNO x を吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNO x を放出・還元する吸蔵還元型NO x 触媒と、(ロ)前記吸蔵還元型NO x 触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、(ハ)前記吸蔵還元型NO x 触媒に吸収されたSO x を放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、(ニ)前記吸蔵還元型NO x 触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入する二次空気供給手段と、を備え、前記S被毒回復処理時に前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NO x 触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入することにより、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NO x 触媒に導入し、前記S被毒回復処理完了後、第1の所定期間の間は、内燃機関を理論空燃比で運転するとともに前記二次空気供給手段による二次空気の供給を停止し、前記第1の所定期間終了後の第2の所定期間の間は、二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NO x 触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入することにより、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NO x 触媒に導入するようにしてもよい。前述したように、S被毒回復処理完了直後は吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温が高温になっており、NOx浄化率の低い状態にあるため、このときにリーン空燃比の排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に流してもNOxを効率的に浄化することができない虞れがある。そこで、S被毒回復処理完了後の第1の所定期間の間は、内燃機関を理論空燃比で運転するとともに前記二次空気供給手段による二次空気の供給を停止して、吸蔵還元型NOx触媒に理論空燃比の排気ガスを流すことにより吸蔵還元型NOx触媒の三元触媒作用でNOxを浄化しつつ触媒床温を低下させ、第1の所定期間終了後の第2の所定期間の間は、二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入して、吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気ガスの温度が低下せしめ、吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をリーン状態でのNOx浄化率の高い温度まで低下させる。これにより、S被毒回復処理完了後の早い時期から高いNOx浄化率を得ることができる。
【0019】
尚、前述したS被毒回復処理完了後の「所定期間の間」、「第1の所定期間」、「第2の所定期間」はそれぞれ、「予め設定した所定時間」としてもよいし、あるいは、「吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温が予め設定した所定温度まで低下するまでの間」とすることもできる。
【0020】
また、本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用してもよい。すなわち、本出願の発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、(イ)過給機を備えた希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出・還元する吸蔵還元型NOx触媒と、(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、(ニ)前記過給機により加圧された過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入する過給空気供給手段と、を備え、前記S被毒回復処理時と処理完了後の所定期間の間とに前記過給空気供給手段によって過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入し、この過給空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入することを特徴としてもよい。
【0021】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、吸蔵還元型NOx触媒に対するS被毒回復処理時には、内燃機関の空燃比が空燃比制御手段によって理論空燃比あるいはリッチ空燃比に制御されるので、排気ガスの空燃比も理論空燃比あるいはリッチ空燃比となり、排気ガス中には多くの未燃HCが存在することになる。この排気ガス中の未燃HCは始動時触媒を素通りして吸蔵還元型NOx触媒に導入される。
【0022】
また、このS被毒回復処理時には、過給空気の一部が過給空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入され、この過給空気は排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入される。
【0023】
その結果、排気ガス中の未燃HCと過給空気の多量の酸素が吸蔵還元型NOx触媒において酸化反応を起こし、この時に生じる反応熱によって吸蔵還元型NOx触媒が昇温する。その結果、吸蔵還元型NOx触媒は迅速にSOx放出温度まで昇温する。
【0024】
また、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、前記S被毒回復処理完了後、所定期間の間、前記過給空気供給手段によって過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入し、この過給空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入する。S被毒回復処理完了直後は吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温が高温になっており、NOx浄化率の低い状態にある。したがって、このときにリーン空燃比の排気ガスを吸蔵還元型NOx触媒に流してもNOxを効率的に浄化することができない虞れがある。そこで、S被毒回復処理完了後、所定期間の間だけ、前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に過給空気を導入すると、吸蔵還元型NOx触媒に流入する排気ガスの温度が低下せしめられ、その結果、吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をNOx浄化率の高い温度まで低下させることができ、S被毒回復処理完了後の早い時期から高いNOx浄化率を得ることができる。
【0025】
尚、S被毒回復処理完了後に過給空気を導入させるべき「所定の期間の間」とは、「予め設定した所定時間」としてもよいし、あるいは、「吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温が予め設定した所定温度まで低下するまでの間」とすることもできる。
【0026】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、過給機は、主に機関自体の動力により駆動される所謂機械式過給機であってもよいし、あるいは、排気ガスエネルギを動力として駆動される所謂排気タービン過給機であってもよい。
【0027】
前記発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、内燃機関としてはガソリンエンジンやディーゼルエンジンを例示することができる。前記発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、始動時触媒としては三元触媒を例示することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の実施の形態を図1から図15の図面を参照して説明する。尚、以下に説明する各実施の形態は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置を、希薄燃焼可能な筒内噴射型の車両用リーンバーンガソリンエンジンに適用した例である。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
初めに、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の第1の実施の形態を図1から図11の図面を参照して説明する。
まず、第1の実施の形態における内燃機関の排気浄化装置の構成を図1から図4の図面を参照して説明する。
【0030】
第1の実施の形態における機関本体1は直列4気筒エンジンである。機関本体1の各気筒の吸気ポートは対応する吸気枝管2を介してサージタンク3に接続され、サージタンク3は吸気管4を介してエアクリーナ5に接続されている。吸気管4内にはスロットル弁6が設けられており、スロットル弁6よりも上流には、吸気管4内を流れる空気量に対応した電気信号を出力するエアフロメータ8が設けられている。また、各気筒には筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁7が取り付けられている。この燃料噴射弁7は後述するECU90とともに、排気空燃比制御手段を構成する。
【0031】
また、機関本体1の各気筒の排気ポートは排気マニホルド9を介して排気管10に接続されており、各気筒から排出された排気ガスがこの排気管10において合流する。排気管10には、排気管10を流れる排気ガスの酸素濃度に対応した電気信号を出力する上流側O2センサ11が取り付けられている。
【0032】
排気管10は始動時触媒12を収容したケーシング13に接続されている。始動時触媒12は、後述するNOx触媒61が活性化していない機関始動時に排気ガスを浄化するものであり、例えばアルミナ担体上に白金Ptのような貴金属が坦持された三元触媒から構成されている。
【0033】
ケーシング13は排気管14を介して第1通路20と第2通路40に接続されている。第1通路20と第2通路40はほぼ同じ長さであり、互いに並行に配置されている。
【0034】
第1通路20は、排気管14に連結される部分が円筒状をなす円管部21になっていて、円管部21が断面変形部22を介して図3に示すように断面略円弧状をなす排気冷却促進部23に連結され、排気冷却促進部23が断面変形部24を介して円筒状をなす円管部25に連結され、円管部25がHC吸着材26を収容したケーシング27に連結され、ケーシング27が円筒状をなす円管部28に連結されて、構成されている。
【0035】
排気冷却促進部23は、第1通路20を流れる排気ガスの温度降下を促進させるために断面を略円弧状にして放熱量の増大を図った部分であり、所望の放熱効果が得られるように、排気冷却促進部23の断面形状や寸法、及び排気冷却促進部23の軸線方向長さ(すなわち、排気ガスの流れ方向に沿う長さ)が設定されている。
【0036】
また、排気冷却促進部23には、その途中に、排気冷却促進部23を流れる排気ガスの流速分布を円弧方向に平均化するための邪魔板29が円弧端部の一方に取り付けられている。排気ガスの流速分布を平均化することにより効率的な放熱が行われる。
【0037】
断面変形部22は、断面円形の円管部21から徐々に断面変形させて断面円弧状の排気冷却促進部23にスムーズに連結する部分であり、断面変形部24は、断面円弧状の排気冷却促進部23から徐々に断面変形させて断面円形の円管部25にスムーズに連結する部分である。
【0038】
HC吸着材26は、エンジンを冷間始動させたときなどに始動時触媒12で浄化できない未燃HCを吸着するためのものである。
【0039】
第1通路20の円管部21には、第1アクチュエータ51によって開閉駆動される第1排気切替弁52が設けられている。
一方、第2通路40はその全長に亙って円筒状をなしており、第2通路40には、第2アクチュエータ53によって開閉駆動される第2排気切替弁54が設けられている。
【0040】
この実施の形態において、第1排気切替弁52と第2排気切替弁54は、第1通路20を流れる排気ガス量と第2通路40を流れる排気ガス量を制御する流量制御手段を構成する。
【0041】
このように第1通路20と第2通路40が構成されているので、同一温度の排気ガスを同一流量で第1通路20あるいは第2通路40に流した場合を比較すると、第1通路20に流したときの方が第2通路40に流したときよりも、排気ガスの温度降下が大きい。
【0042】
第1通路20の円管部28と第2通路40は共に合流管(合流通路)60に接続されている。合流管60はリーンNOx触媒の一種である吸蔵還元型NOx触媒(以下、NOx触媒と略す)61を収容したケーシング62に接続され、ケーシング62は排気管63を介して、三元触媒64を収容したケーシング65に接続され、ケーシング65は排気管66を介して図示しないマフラーに接続されている。
【0043】
NOx触媒61は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK,ナトリウムNa,リチウムLi,セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa,カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa,イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt,パラジウムPd,ロジウムRh,イリジウムIrのような貴金属とが担持されてなる。
【0044】
NOx触媒61は、排気空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。また、NOx触媒61から放出されたNOxは還元剤によってN2に還元される。ここで、排気空燃比とは、機関吸気通路およびNOx触媒61より上流の排気通路内に供給された全燃料量及び全還元剤量に対する全空気量の比をいう。
【0045】
なお、NOx触媒61よりも上流の排気通路内に燃料(炭化水素)あるいは空気が供給されない場合には、排気空燃比は各気筒に供給される全燃料量に対する全空気量の比に一致する。
【0046】
排気管63には、排気管63を流れる排気ガスの温度に比例した電気信号を出力する排気温センサ(温度検出手段)67と、排気管63を流れる排気ガスの酸素濃度に対応した電気信号を出力する下流側O2センサ68が取り付けられている。
【0047】
この実施の形態においては、排気温センサ67により検出される排気ガス温度は、NOx触媒61の触媒床温あるいは三元触媒64の触媒床温としても代用される。
【0048】
合流管60には、二次空気供給管69が接続されており、二次空気供給装置70を作動させることにより二次空気を合流管60に供給することができるようになっている。尚、この実施の形態において、二次空気供給管69と二次空気供給装置70は二次空気供給手段を構成する。
【0049】
エンジンコントロール用の電子制御ユニット(ECU)90はディジタルコンピュータからなり、図4に示すように、双方向性バス91によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)92、RAM(ランダムアクセスメモリ)93、CPU(マイクロプロセッサ)94、常時電力が供給されているB−RAM(バックアップRAM)95、入力ポート96及び出力ポート97を具備する。
【0050】
ECU90の入力ポート96には、エアフロメータ8、上流側O2センサ11、排気温センサ67、下流側O2センサ68などの出力信号がそれぞれ対応するAD変換器98を介して入力される。また、ECU90の入力ポート96には、回転数センサ(図示せず)から機関回転数Nを表す出力パルスが入力される。
【0051】
ECU90の出力ポート97は、対応する駆動回路99を介して、各気筒の燃料噴射弁7、各気筒の点火栓(図示せず)、第1アクチュエータ51、第2アクチュエータ53、二次空気供給装置70などに電気的に接続されている。
【0052】
ところで、この実施の形態のエンジンでは、エンジンの運転状態に応じて空燃比を変えて運転する空燃比制御が実行される。つまり、このエンジンでは、リーン条件成立時には各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御(これをリーン制御という)され、リーン条件不成立時には各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比に制御(これをストイキ制御という)される。例えば機関負荷が予め定められた設定負荷よりも高いとき、暖機運転時、またはNOx触媒61が活性状態にないときにリーン条件が不成立であると判断されてストイキ制御が実行され、それ以外はリーン条件が成立していると判断されてリーン制御が実行される。
【0053】
リーン制御時に機関から排出される排気ガスの空燃比はリーンであることから、リーン制御時に排気ガス中のNOxはNOx触媒61に吸収される。ところが、NOx触媒61のNOx吸収能力には限界があるのでNOx触媒61のNOx吸収能力が飽和する前にNOx触媒61からNOxを放出させる必要がある。そこで、この実施の形態では、NOx触媒61のNOx吸収量が予め定められた設定量よりも多くなったときには各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比を一時的に理論空燃比よりもリッチにしてNOx触媒61からNOxを放出させるとともに還元するようにしている。このような空燃比制御をリーン・リッチスパイク制御と称している。
【0054】
また、NOx触媒61のNOx浄化率は、図10に示すように触媒床温によって異なり、触媒床温が低すぎてもあるいは高すぎてもNOx浄化率が低く、所定の温度域において極めて高いNOx浄化率を示す。
【0055】
そこで、この実施の形態においては、排気ガスの温度降下が大きい第1通路20と、排気ガスの温度降下が小さい第2通路40を状況に応じて使い分けることにより、NOx触媒61の触媒床温をNOx浄化率の高い温度領域(以下、高NOx浄化温度領域という)に保持するようにしている。このようにNOx触媒61の触媒床温を制御することにより、NOx触媒61を高温に晒されにくくすることができ、その結果、NOx触媒61の熱劣化の進行を抑制することができる。尚、排気ガスの流路切り替えは第1排気切替弁52と第2排気切替弁54で行う。このNOx触媒61の温度制御については、後で詳述する。
【0056】
一方、燃料には硫黄(S)が含まれており、燃料中の硫黄が燃焼するとSO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が発生し、NOx触媒61は排気ガス中のこれらSOxも吸収する。このSOxはNOx触媒61において硫酸塩を生成するが、硫酸塩は安定していて分解しにくく、リッチ空燃比の排気ガスを流しただけでは分解できず、NOx触媒61内に残ってしまう。そして、硫酸塩の生成量の増大に伴ってNOx触媒61のNOx吸収能力が低下する。これがいわゆるS被毒である。
【0057】
ところが、NOx触媒61内で生成された硫酸塩は、NOx触媒61の温度が所定の温度(以下、この温度をSOx放出温度という)よりも高いときに流入排気空燃比を理論空燃比より僅かにリッチ(以下、弱リッチという)にすると分解してSO3の形でNOx触媒61から放出される。そこで、この実施の形態では、NOx触媒61のSOx吸収量が予め定められた規定量よりも多くなったときには、流入排気空燃比を弱リッチ(例えば13.5から14.3程度)にするとともにNOx触媒61を昇温し、これによってNOx触媒61からSOxを放出させるようにしている。この処理を、NOx触媒61のS被毒回復処理と称す。S被毒回復処理によりNOx触媒61から放出されたSO3は流入する排気ガス中のHC、COによってただちにSO2に還元せしめられる。
【0058】
そして、この実施の形態では、S被毒回復処理時に、NOx触媒61からSOxを放出させるべくNOx触媒61を昇温するために、合流管60に二次空気を供給している。S被毒回復処理時にはエンジンを弱リッチの空燃比で運転するので、排気ガスには未燃HCが多く含まれており、合流管61に二次空気を供給すると、排気ガス中の未燃HCと二次空気の多量の酸素がNOx触媒61において酸化反応を起こす。この時に生じる反応熱によってNOx触媒61の温度が上昇する。また、S被毒回復処理時には、排気ガスを第2通路40に流して排気ガスの温度降下を抑制し、NOx触媒61の加熱を促進する。
【0059】
また、S被毒回復処理完了直後は、NOx触媒61の触媒床温が極めて高いため、NOx浄化率が低い。そこで、この実施の形態においては、S被毒回復処理完了後は、NOx触媒61をNOx浄化率の高い温度まで素早く冷却するために、排気ガスの流路を排気ガスの温度降下が大きい第1通路20に切り替えるとともに、合流管60に二次空気を供給する。この処理をNOx触媒冷却処理と称す。
S被毒回復処理およびNOx触媒冷却処理については後で詳述する。
【0060】
尚、空燃比を理論空燃比に制御するとき、および、弱リッチ空燃比に制御するときには、ECU90は、上流側O2センサ11の出力値に基づいて燃料噴射量のメインフィードバック制御を行い、さらに制御性を高めるために下流側O2センサ68の出力値に基づいて燃料噴射量のサブフィードバック制御を行う。
【0061】
次に、本実施の形態における内燃機関の排気浄化装置の作用を図5から図9のフローチャートを参照して詳細に説明する。
図5のフローチャートは、本実施の形態における内燃機関の排気浄化装置の基本制御ルーチンを示しており、この基本制御ルーチンは、ECU90のROM92に予め記憶されており、CPU94により予め設定された所定時間毎に繰り返し実行される。
【0062】
<ステップ100>
まず、ECU90は、ステップ100において、HC吸着・パージ制御を実行する。
HC吸着・パージ制御は、エンジンを冷間始動させたときに多量に発生する未燃HCを大気に放出させないように、冷間始動時に排気ガスを第1通路20に流してHC吸着材26により排気ガス中の未燃HCを吸着し、さらに、HC吸着材26で吸着したHCを所定のエンジン運転状態になったときにHC吸着材26から脱離させ、下流に配置されたNOx触媒61または三元触媒64で酸化し浄化するために行われる。HC吸着・パージ制御については後で詳細に説明する。
【0063】
<ステップ200>
HC吸着・パージ制御を実行した後、ECU90は、ステップ200に進み、NOx触媒61の温度制御を実行する。NOx触媒温度制御は、NOx触媒61の触媒床温が常にNOx浄化率の高い最適温度域に収まるように、触媒床温が最適温度域よりも高温側にずれそうになったときには排気ガスを第1通路20に流して放熱量を増大させNOx触媒61に流入する排気ガスの温度を下げることによりNOx触媒61の触媒床温を低下させ、触媒床温が最適温度域よりも低温側にずれそうになったときには排気ガスを第2通路40に流して放熱量を低減させてNOx触媒61に流入する排気ガスの温度を上げることによりNOx触媒61の触媒床温を上昇させるために行われる。NOx触媒温度制御については後で詳述する。
【0064】
<ステップ300>
NOx触媒温度制御を実行した後、ECU90は、ステップ300に進んで、NOx触媒61のS被毒カウンタをカウントアップする。S被毒カウンタは、積算燃料消費量や積算排気ガス量などS消費量の代替値となり得る物理量を積算してNOx触媒61のS被毒量を推定するものであり、S被毒回復処理完了時にリセットされる。
【0065】
<ステップ400>
次に、ECU90は、ステップ400に進んで、S被毒カウンタのカウント値が予め設定した規定値以上、あるいは、排気冷却実行フラグF1が「1」、の少なくともいずれか一方の条件が満たされているか否か判定する。S被毒カウンタのカウント値が前記規定値以上であるときは、NOx触媒61のS被毒が進んでS被毒回復処理を実行すべき時である。また、排気冷却実行フラグF1が「1」のときは、S被毒回復処理後にNOx触媒61を迅速にNOx浄化可能な温度まで冷却するために、排気通路に二次空気の供給を実行すべき時である。
【0066】
<ステップ500>
S被毒カウンタのカウント値が予め設定した規定値以上のとき、あるいは、排気冷却実行フラグF1が「1」のときには、ECU90は、ステップ400において肯定判定してステップ500に進み、S被毒回復制御を実行する。S被毒回復制御は、NOx触媒61に吸収されているSOxをNOx触媒61から脱離しSO2として排出し、さらに、NOx触媒61からSOxを脱離させた直後のNOx触媒61は高温でNOx浄化能が低いので、NOx浄化能の高い温度までNOx触媒61の触媒床温を下げるために行われる。S被毒回復制御については後で詳述する。
【0067】
<ステップ600>
ステップ400において否定判定した場合、及び、ステップ500のS被毒回復制御を実行した後、ECU90は、ステップ600に進んで、二次空気制御を実行する。二次空気制御は、必要なときに排気通路に二次空気を供給するために行われる。ステップ600を実行した後、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0068】
《HC吸着・パージ制御》
次に、ステップ100のHC吸着・パージ制御について図6に示すHC吸着・パージ制御ルーチンを参照して説明する。
【0069】
<ステップ101>
まず、ECU90は、ステップ101において、RAM93の所定領域に予め設定された吸着完了フラグF2の記憶領域および吸着禁止フラグF3の記憶領域にアクセスし、吸着完了フラグF2が「0」、あるいは、吸着禁止フラグF3が「0」、の少なくともいずれか一方の条件が満たされているか否か判定する。
【0070】
吸着完了フラグF2の記憶領域は、冷間始動時にHC吸着材26に所定量のHCが吸着されたときに「1」が記憶され、エンジン停止時に初期値「0」が記憶される領域である。したがって、吸着完了フラグF2は、エンジン始動時には常に初期値「0」が記憶されている。
【0071】
また、吸着禁止フラグF3の記憶領域は、排気ガスの温度が規定値以上になったときに「1」が記憶され、エンジン停止時に初期値「0」が記憶される領域である。したがって、吸着禁止フラグF3は、エンジン始動時には常に初期値「0」が記憶されている。
【0072】
<ステップ102>
吸着完了フラグF2が「0」のとき、あるいは、吸着禁止フラグF3が「0」のときには、ECU90は、ステップ101において肯定判定してステップ102に進み、HC吸着条件が成立しているか否か判定する。ここで、HC吸着条件成立は、始動時触媒12が活性温度に達していないときであり、エンジンの冷却水温度や始動時からの積算排気ガス量などから判定する。したがって、未燃HCの発生量が多くなるエンジンの冷間始動時はHC吸着条件が成立する。
【0073】
<ステップ103>
ステップ102において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ103に進み、第1排気切替弁52が全開になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全閉になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第1通路20に流す。HC吸着条件成立時にはHC吸着材26が吸着温度にあり、且つ排気ガス温度が低いため、排気ガスを第1通路20に流すと、排気ガス中の未燃HCがHC吸着材26に吸着される。また、排気ガスは第1通路20の排気冷却促進部23を通過する際に冷却されるため、HC吸着材26に流入する排気ガス温度が下がり、HC吸着材26のHC吸着率が高められるとともにHC吸着時間が拡大される。
【0074】
<ステップ104>
ステップ103を実行した後、ECU90は、ステップ104に進み、HC吸着条件成立後の積算排気ガス量が規定値以上であるか否か判定する。ここで、積算排気ガス量の規定値は、HC吸着材26の温度がHC放出温度以上になるまでに必要な排気ガス量であり、予め実験的に求めてROM92に記憶しておく。
【0075】
<ステップ105>
ステップ104において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ105に進み、吸着完了フラグF2の記憶領域の値を「0」から「1」に書き換え、その後、ステップ109に進む。一方、ステップ104において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ104からステップ109に進む。したがって、HC吸着条件が成立している間は、HC吸着条件成立後の積算排気ガス量が前記規定値以上になりステップ104で肯定判定されるまで、排気ガスは第1通路20に流れることになる。
【0076】
<ステップ106>
一方、ステップ102において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ106に進み、第1排気切替弁52が全閉になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全開になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第2通路40に流す。
【0077】
ここで、排気ガスの流れを第1通路20から第2通路40に切り替える理由は次の通りである。吸着条件不成立のときには始動時触媒12が活性温度に達しているので、この始動時触媒12で排気ガス中のHCを浄化することができるからであり、また、吸着条件不成立時にはHC吸着材26の温度がHC放出温度以上になっていると推定されるので、そのときに排気ガスを第1通路20に流すとHC吸着材26からHCが離脱し排気エミッションを悪化させる虞れがあるからである。
【0078】
<ステップ107>
ステップ106を実行した後、ECU90は、ステップ107に進み、排気温センサ67の出力値から排気ガス温度が規定値以上であるか否か判定する。このステップ107における排気ガス温度は三元触媒64の触媒床温の代用として用いており、排気ガス温度が規定値以上ということは三元触媒64が活性温度以上であることを意味する。排気ガス温度の前記規定値は予め実験的に求めROM92に記憶しておく。
【0079】
<ステップ108>
ステップ107において肯定判定した場合には、ECU90は、三元触媒64が活性化していると判断してステップ108に進み、吸着禁止フラグF3の記憶領域の値を「0」から「1」に書き換え、その後、ステップ109に進む。一方、ステップ107において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ107からステップ109に進む。
【0080】
<ステップ109>
ECU90は、ステップ109において、吸着禁止フラグF3が「1」か否か判定する。ステップ109において否定判定された場合には、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。すなわち、吸着禁止フラグF3が「1」になるまでは、ECU90はステップ110〜115,116のステップには進まず、HC吸着材26からのHCパージを実行しない。
【0081】
尚、ステップ105において吸着完了フラグF2が「1」に書き換えられ、さらに、ステップ108において吸着禁止フラグF3が「1」に書き換えられた以降にECU90が本ルーチンを実行するときには、ステップ101において否定判定して、ステップ101からステップ109に進むことになる。
【0082】
<ステップ110>
ステップ109において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ110に進み、RAM93の所定領域に予め設定されたHCパージ完了フラグF4の記憶領域にアクセスし「0」が記憶されているか否か判定する。
【0083】
HCパージ完了フラグF4の記憶領域は、HC吸着材26からのHCパージ実行時における排気ガス量の積算値が規定値以上になったときに「1」が記憶され、エンジン停止時に初期値「0」が記憶される領域である。したがって、HCパージ完了フラグF4は、エンジン始動時には常に初期値「0」が記憶されている。
【0084】
<ステップ111>
ステップ110において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ111に進みHCパージ実行条件が成立しているか否か判定する。ここで、HCパージ実行条件成立の条件は、三元触媒64の触媒床温が活性温度以上であり、且つ、エンジンがリーン制御モードで運転されているか、あるいは、エンジンがフューエルカット運転であることである。これは、排気ガスの空燃比がリーンのときにHC吸着材26からHCを脱離させた方が、NOx触媒61および三元触媒64への負担を減らすことができ、したがってエミッションの悪化を防止することができ、また、三元触媒64の触媒床温が活性温度以上でないと、HC吸着材26からパージしたHCを三元触媒64で浄化できず、エミッションを悪化させてしまうからである。尚、この実施の形態では、三元触媒64の触媒床温は排気温センサ67で検出される排気ガス温度で代用する。
【0085】
<ステップ112>
ステップ111において肯定判定した場合、すなわち、HCパージ実行条件が成立している場合には、ECU90は、ステップ112に進み、第1排気切替弁52が全開になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全閉になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第1通路20に流す。
【0086】
排気ガスを第1通路20に流すと、HC吸着材26はHC放出温度以上であるので、HC吸着材26に吸着されていたHCがパージされ、パージされたHCは排気ガスとともにNOx触媒61および三元触媒64に流れ、NOx触媒61あるいは三元触媒64で酸化されて浄化される。
【0087】
<ステップ113>
ステップ112を実行した後、ECU90は、ステップ113に進み、HC吸着材26のHCパージ時の排気ガス量をパージ開始から積算するパージ積算ガス量カウンタをカウントアップし、HCパージ時の排気ガス量を積算する。尚、このパージ積算ガス量カウンタはエンジン停止時に初期値「0」にリセットされるようになっている。
【0088】
<ステップ114>
ステップ113でHCパージ時の排気ガス量を積算した後、ECU90は、ステップ114に進み、パージ積算ガス量カウンタのカウント値が規定値以上か否か、すなわち、HCパージ時の積算排気ガス量が規定値以上か否か判定する。ここで、HCパージ時の積算排気ガス量の規定値は、HC吸着材26に吸着されたHCの全量をパージさせるのに必要な排気ガス量であり、予め実験的に求めてROM92に記憶しておく。
【0089】
ステップ114において否定判定した場合には、ECU90は、本ルーチンを一旦終了する。したがって、HCパージ時の積算排気ガス量が規定値以上になるまで第1通路20に排気ガスを流しHC吸着材26のHCパージが続行されることになる。
【0090】
<ステップ115>
ステップ114において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ115に進み、HCパージ完了フラグF4の記憶領域の値を「0」から「1」に書き換えて、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0091】
この場合、ECU90が本ルーチンを次回以後実行したときには、ECU90は、ステップ110において否定判定して、本ルーチンの実行を一旦終了することになり、したがって、ステップ111〜115,116のステップを実行しない。
【0092】
<ステップ116>
また、HC吸着材26からHCをパージしていても、次回本ルーチンを実行したときにパージ実行条件不成立になったときには、ECU90は、ステップ111において否定判定して、ステップ116に進み、第1排気切替弁52が全閉になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全開になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第2通路40に流す。これにより、HC吸着材26からのHCパージが一旦中断され、再びパージ実行条件成立となったときにHCパージを再開することになる。
【0093】
以上のように、このHC吸着・パージ制御を実行することにより、エンジン始動時に排出される未燃HC、特に、冷間始動時に多く排出される未燃HCが大気に排出されなくなる。
【0094】
《NOx触媒温度制御》
次に、図5の基本制御ルーチンにおけるステップ200のNOx触媒温度制御について図7に示すNOx触媒温度制御ルーチンを参照して説明する。
【0095】
<ステップ201>
まず、ECU90は、ステップ201において、吸着完了フラグF2とHCパージ完了フラグF4が両方とも「1」であるか否か判定する。ECU90は、ステップ201において否定判定した場合にはステップ202に進み、肯定判定した場合にはステップ203に進む。
【0096】
<ステップ202>
ECU90は、ステップ202において、吸着禁止フラグF3が「1」であるか否か判定し、肯定判定した場合にはステップ203に進み、否定判定した場合には本ルーチンの実行を一旦終了する。したがって、ECU90は、HC吸着材26に吸着されたHCのパージが完了している場合、あるいは、三元触媒64が活性した後でなければ、ステップ203に進まないこととなる。
【0097】
<ステップ203>
ステップ203において、ECU90は、S被毒回復制御実行フラグF5の記憶領域にアクセスし「0」が記憶されているか否か判定する。S被毒回復制御実行フラグF5の記憶領域は、NOx触媒61に吸収されたSOxを脱離させるS被毒回復処理を実行しているときに「1」が記憶され、S被毒回復処理完了後のNOx触媒冷却処理を実行しているときに「0」が記憶される領域である。
ステップ203において否定判定した場合、すなわち、NOx触媒61に対してS被毒回復処理を実行中のときは、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0098】
<ステップ204>
ステップ203において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ204に進み、NOx触媒61の触媒床温が予め設定された規定値αよりも低いか否か判定する。尚、この実施の形態においては、排気温センサ67で検出される排気ガス温度をNOx触媒61の触媒床温として代用する。
【0099】
<ステップ205>
ステップ204において肯定判定した場合には、ECU90は、第1排気切替弁52が全閉になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全開になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第2通路40に流す。排気ガスが第2通路40を流れたときは第1通路20を流れたときよりも排気ガスの温度降下が少ないので、NOx触媒61に流入する排気ガスの温度を上げることができ、その結果、NOx触媒61の触媒床温を高NOx浄化率が得られる温度領域に保持することができる。
【0100】
<ステップ206>
ステップ204で否定判定した場合には、ECU90は、ステップ206に進み、NOx触媒61の触媒床温が予め設定された規定値β以上か否か判定する。尚、規定値βは規定値αよりも高い温度である(β>α)。
【0101】
<ステップ207>
ステップ206において肯定判定した場合には、ECU90は、第1排気切替弁52が全開になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全閉になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第1通路20に流す。排気ガスが第1通路20を流れたときは第2通路40を流れたときよりも排気ガスの温度降下が大きいので、NOx触媒61に流入する排気ガスの温度を下げることができ、その結果、NOx触媒61の触媒床温を高NOx浄化率が得られる温度領域に保持することができる。
【0102】
ステップ206において否定判定した場合には、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。したがって、NOx触媒61の触媒床温が規定値α以上であって規定値βより小さいときには、排気ガスの流路は切り替わることなく現状維持となり、これにより排気流路の切り替え頻度が少なくなる。
【0103】
尚、排気ガスの流路を切り替える際に閾値となる規定値αはNOx浄化率を高く維持可能な最低温度であり、規定値βはNOx浄化率を高く維持可能な最大温度である。さらに、この規定値α,βは、単に固定値を用いてもよいし、図10に示すようにNOx浄化率の温度特性はNOx触媒の熱劣化の度合によって異なることから、NOx触媒の熱劣化の度合を検出し、検出された熱劣化度合に応じて規定値α,βを変更してもよい。
【0104】
図11は、車速と、第1通路20に排気ガスを流したときのNOx触媒61の触媒床温、あるいは、第2通路40に排気ガスを流したときのNOx触媒61の触媒床温との関係を実験的に求めた一例である。このように第1通路20に排気ガスを流したときには低速運転時にNOx触媒61を高NOx浄化温度領域に保持することができず、第2通路40に排気ガスを流したときには高速運転時にNOx触媒61を高NOx浄化温度領域に保持することができない。しかしながら、前述の如くNOx触媒61の触媒床温に応じて排気ガスの流路を第1通路20あるいは第2通路40に切り替えると、低車速から高車速の広範囲においてNOx触媒61の触媒床温を高NOx浄化温度領域に保持することが可能になる。
【0105】
《S被毒回復制御》
次に、図5の基本制御ルーチンにおけるステップ500のS被毒回復制御について図8に示すS被毒回復制御ルーチンを参照して説明する。
【0106】
<ステップ501>
まず、ECU90は、ステップ501において、排気冷却実行フラグF1が「0」か否か判定する。
【0107】
<ステップ502>
ステップ501において肯定判定した場合には、S被毒カウンタのカウント値が規定値以上であることになるので、ECU90は、ステップ502に進み、S被毒回復制御実行フラグF5を「1」とする。S被毒回復制御実行フラグF5=1はS被毒回復処理実行中を意味する。
【0108】
<ステップ503>
ステップ502に続いて、ECU90は、ステップ503に進み、(1)排気ガスを第2通路40に流し、(2)二次空気を排気ガス中に供給し、(3)空燃比を弱リッチに制御してエンジンを運転する。
【0109】
詳述すると、まず、ECU90は、第1排気切替弁52が全閉になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全開になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第2通路40に流す。これにより、排気ガスがNOx触媒61に到達するまでの排気ガスの温度降下が抑制される。次に、ECU90は、二次空気供給装置70を作動させて、二次空気供給管69からNOx触媒61の上流の合流管60に二次空気を供給する。次に、ECU90は、燃料噴射制御装置により空燃比を弱リッチに制御する。
【0110】
弱リッチの空燃比でエンジンを運転すると、排気ガスは未燃HCを多量に含む弱リッチな空燃比の排気ガスとなり、この排気ガスが第2通路40を通ってNOx触媒61に流入する。
【0111】
そして、未燃HCを多量に含む弱リッチな空燃比の排気ガスと二次空気供給管69から供給された二次空気が合流管60において合流し、ここで未燃HCを多量に含む酸素過剰な排気ガスとなってNOx触媒61に流入する。その結果、NOx触媒61において排気ガス中の未燃HCと酸素が酸化反応し、その反応熱によってNOx触媒61の触媒床温が上昇する。NOx触媒61の触媒床温がSOx放出温度(例えば、650゜C)以上になるとNOx触媒61に吸収されていたSOxがNOx触媒61から脱離しSO2として放出される。
【0112】
NOx触媒61において酸化されなかった未燃HCは、下流の三元触媒64において酸化されることになる。したがって、ステップ503において空燃比を弱リッチに制御する際の弱リッチの程度は、NOx触媒61を通過した未燃HCを三元触媒64で浄化することができる程度とするのが好ましい。
【0113】
尚、排気ガスは第2通路40に流入する前に始動時触媒12を通るが、始動時触媒12を通る際には未だ二次空気が供給されておらず、排気ガス中の酸素濃度が極めて低いので、始動時触媒12において酸化する未燃HCは極めて少なく、排気ガス中の多くの未燃HCがNOx触媒61に流入する。
【0114】
また、ステップ503における処理を前述したように(1)排気ガス流路の切り替え、(2)二次空気供給、(3)弱リッチ制御の順番で実行することにより、S被毒回復処理開始時にエミッションが悪化するのを防止することができる。
【0115】
<ステップ504>
ステップ503の処理を実行した後、ECU90は、ステップ504に進み、NOx触媒61の触媒床温が前記SOx放出温度以上であり且つ下流側02センサの出力値がリッチ出力か否か判定する。尚、この実施の形態においては、排気温センサ67で検出される排気ガス温度をNOx触媒61の触媒床温として代用する。
【0116】
NOx触媒61から効率的にSOxを脱離しSO2として放出するためには、NOx触媒61の触媒床温がSOx放出温度以上であり、且つ、NOx触媒61において排気ガスの空燃比が弱リッチであることが必要である。NOx触媒下流に配置されている下流側02センサの出力値がリッチ出力であれば、NOx触媒61のケーシング62内も弱リッチな雰囲気であると判断できる。
【0117】
また、NOx触媒61に流入する排気ガスの空燃比が、SOxを効率的に還元することができる所定の空燃比となるように、二次空気供給装置70を制御して二次空気供給量を制御するのが好ましい。なお、二次空気供給量を一定にし、エンジンの空燃比を制御して、NOx触媒61に流入する排気ガスの空燃比を制御してもよい。
【0118】
<ステップ505>
ECU90は、ステップ504において肯定判定した場合には、NOx触媒61からSOxが放出されているものとして、ステップ505に進み、SOx放出時の排気ガス量を積算するS被毒回復積算ガス量カウンタをカウントアップする。
【0119】
一方、ステップ504において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ511に進み、NOx触媒61の触媒床温が規定値T2よりも低く、且つ、排気冷却実行フラグF1が「1」であるか否か判定する。この時点ではまだ排気冷却実行フラグF1が「0」であるので、ステップ511において否定判定して、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0120】
<ステップ506>
ステップ505の処理を実行した後、ECU90は、ステップ506に進み、S被毒回復積算ガス量カウンタのカウント値が規定値以上か否か判定する。この規定値は、NOx触媒61に吸収されているSOxをほぼ完全に放出するのに必要な排気ガス量に対応するカウント値であり、予め実験的に求めてROM92に記憶しておく。
【0121】
ステップ506において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ511に進み、NOx触媒61の触媒床温が規定値T2よりも低く、且つ、排気冷却実行フラグF1が「1」であるか否か判定する。この時点ではまだ排気冷却実行フラグF1が「0」であるので、ステップ511において否定判定して、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0122】
<ステップ507>
一方、ステップ506において肯定判定した場合には、NOx触媒61のS被毒回復処理が完了したものとして、ECU90は、ステップ507に進み、(1)第1排気切替弁52が全開になるように第1アクチュエータ51を作動させるとともに、第2排気切替弁54が全閉になるように第2アクチュエータ53を作動させて、排気ガスを第1通路20に流し、(2)燃料噴射制御装置による空燃比制御を弱リッチ制御から上流側O2センサ11の出力値だけに基づくフィードバックストイキ制御に切り替え、(3)排気冷却実行フラグF1を「1」とし、(4)S被毒カウンタをリセットし、(5)S被毒回復積算ガス量カウンタをリセットして、NOx触媒61に対する冷却処理を開始する。
【0123】
NOx触媒61のS被毒回復処理完了直後はNOx触媒61の触媒床温が非常に高く、NOx浄化率の低い温度域にあるため、その状態でリーン空燃比の排気ガスを流すと、エミッションが悪化してしまう。そのため、S被毒回復処理完了後は素早くNOx触媒61の触媒床温を下げる必要がある。排気ガスを第1通路20に流すと、排気冷却促進部23の冷却促進効果により、合流管60に到達するまでの排気ガスの温度降下が増大し、NOx触媒61の触媒床温を早く下げることができる。
【0124】
また、合流管60への二次空気の供給は停止されず続行されるので、NOx触媒61には二次空気との混合によりさらに冷却された排気ガスが流入することになり、NOx触媒61の冷却が促進される。
【0125】
また、NOx触媒61の触媒床温がNOx浄化率の低い高温域にある間は排気空燃比を理論空燃比にしているので、NOx触媒61および三元触媒64の三元触媒作用により排気ガスを浄化することができ、したがって、S被毒回復処理完了直後のエミッション悪化を防止することができる。
【0126】
尚、ステップ507における空燃比のストイキ制御を、上流側O2センサ11の出力値だけに基づくフィードバック制御とするのは、S被毒回復処理完了後しばらくの間は下流側O2センサ68の出力値がリッチ出力となるので、下流側O2センサ68の出力値に基づくサブフィードバック制御も行うと、空燃比がリーン側に誤補正されるからである。
【0127】
<ステップ508>
ステップ507において排気冷却実行フラグF1を「1」にすると、次回このルーチンを実行したときには、ECU90は、ステップ501において否定判定してステップ508に進み、S被毒回復制御実行フラグF5を「0」にする。
【0128】
<ステップ509>
次に、ECU90は、ステップ509に進んで、NOx触媒61の触媒床温が予め設定された規定温度T1よりも小さく且つ上流側O2センサ11の出力値に基づくフィードバックストイキ制御を実行しているか否か判定する。規定温度T1は、ストイキの排気ガスとリーン空燃比の排気ガスのどちらを流すかを決定する閾値である。
【0129】
<ステップ510>
ステップ509において肯定判定した場合には、ECU90は、ステップ510に進み、燃料噴射制御装置による空燃比制御を上流側O2センサ11の出力値だけに基づくフィードバックストイキ制御から通常制御(すなわち、エンジンの運転状態に応じた空燃比制御)に切り替えて、ステップ511に進む。
【0130】
また、ステップ509において否定判定した場合には、ECU90は、ステップ511に進む。したがって、ステップ507において空燃比を上流側O2センサ11の出力値だけに基づくフィードバックストイキ制御に切り替えた後、NOx触媒61の触媒床温が規定温度T1よりも小さくなるまでは、ステップ509において否定判定されて、上流側O2センサ11の出力値だけに基づくフィードバックストイキ制御を続行する。
【0131】
<ステップ511>
ステップ511において、ECU90は、NOx触媒61の触媒床温が予め設定した規定温度T2よりも低く、且つ、排気冷却実行フラグF1が「1」であるか否か判定する。尚、規定温度T2は規定温度T1よりも小さい値に設定しておく(例えば、T1=550゜C ,T2=500゜C)。
【0132】
NOx触媒61の触媒床温が規定温度T2以上の時には、ステップ511において否定判定され、ECU90は、本ルーチンの実行を一旦終了する。したがって、この場合には、合流管60への二次空気の供給は停止されずに続行され、NOx触媒61の冷却を続行する。
【0133】
<ステップ512>
NOx触媒61の触媒床温が規定温度T2よりも低くなると、ステップ511において肯定判定されるので、ECU90は、ステップ512に進み、排気冷却実行フラグF1を「0」に書き換える。排気冷却実行フラグF1が「0」になると、後述の二次空気制御で説明するように、合流管60への二次空気の供給が停止される。これによりS被毒回復処理完了後のNOx触媒冷却処理が終了する。
【0134】
また、排気冷却実行フラグF1が「0」になることにより、次回ルーチン実行時には基本制御ルーチンのステップ400において否定判定されるので、このS被毒回復制御500は実行されない。
【0135】
なお、この実施の形態では、ステップ506で肯定判定されてS被毒回復処理が完了すると、NOx触媒61の上流への二次空気の供給を続行しつつ、ステップ507でエンジンの空燃比をストイキ制御に変更し、ストイキの排気ガスと二次空気とを第1通路20を介してNOx触媒61に流すようにしているが、このようにすると、NOx触媒61に流入する排気ガスの空燃比がリーン寄りになるため、NOx触媒61の触媒床温が高温状態(前述の実施の形態においては規定温度T1以上)にあるときにNOx浄化率が低くなる虞れがある。そこで、これに対処するに、S被毒回復処理が完了した時点で一旦NOx触媒61への二次空気の供給を停止し、NOx触媒61の触媒床温が規定温度T1よりも小さくなるまでは、二次空気をNOx触媒61に供給せず、エンジンの空燃比をストイキ制御に変更し、ストイキの排気ガスを第1通路20を介してNOx触媒61に流すだけにすることにより、NOx浄化率を高く維持しつつNOx触媒61の冷却を行い、NOx触媒61の触媒床温が規定温度T1よりも低くなったらNOx触媒61に二次空気を供給してより効率的にNOx触媒61の冷却を行い、NOx触媒61の触媒床温が規定温度T2よりも低くなったら二次空気の供給を停止するようにしてもよい。この場合、二次空気の供給に併せてエンジンの空燃比をリーン制御に変更してもよいし、あるいはストイキ制御を続行してもよい。
【0136】
また、前述の実施の形態では、ステップ506で肯定判定されてS被毒回復処理が完了すると、ステップ509で肯定判定されるまでの間は、ストイキの排気ガスを流してNOx触媒61の冷却処理を実行しているが、S被毒回復処理完了後、直ぐにリーン空燃比の排気ガスを第1通路20に流してNOx触媒61の触媒床温を規定温度T2より低くすることができる場合には、換言すれば、それくらい十分に排気冷却効果が得られるように排気冷却促進部23を設計してある場合には、ストイキの排気ガスをNOx触媒61に流して冷却する処理を省略することができ、それによりストイキ運転による燃費悪化を抑制することができる。
【0137】
《二次空気制御》
次に、図5の基本制御ルーチンにおけるステップ600の二次空気制御について図9の二次空気制御ルーチンを参照して説明する。
【0138】
<ステップ601>
まず、ECU90は、ステップ601において、S被毒回復制御実行フラグF5が「1」、あるいは、排気冷却実行フラグF1が「1」、の少なくともいずれか一方の条件が満たされているか否か判定する。
【0139】
<ステップ602>
S被毒回復制御実行フラグF5が「1」のとき、あるいは、排気冷却実行フラグF1が「1」のときには、ECU90は、ステップ601において肯定判定してステップ602に進み、二次空気供給装置70を作動させて、二次空気供給管69から合流管60に二次空気を供給する。
【0140】
<ステップ603>
S被毒回復制御実行フラグF5が「0」であって、且つ、排気冷却実行フラグF1が「0」であるときには、ECU90は、ステップ601において否定判定してステップ603に進み、二次空気供給装置70の作動を停止し、二次空気供給管69から合流管60への二次空気の供給を停止する。
【0141】
したがって、ECU90が、基本制御ルーチンにおいてステップ400で肯定判定し、ステップ500のS被毒回復制御に進んだ場合には、S被毒回復制御ルーチンのステップ512において排気冷却実行フラグF1が「0」に書き換えられるまでは、合流管60への二次空気供給が行われることになる。
【0142】
尚、前述の実施の形態では、二次空気を合流管60に導入しているが、二次空気の導入位置はこれに限るものではなく、例えば、始動時触媒12の直ぐ下流の排気管14に導入することも可能である。排気管14に二次空気を導入した場合には、二次空気導入点からNOx触媒61までの距離が十分にあるので、その間に弱リッチ空燃比の排気ガスと二次空気を十分に混合することができるというメリットがある。
【0143】
これに対して、前述した実施の形態の場合のようにNOx触媒61の直ぐ上流の合流管60に二次空気を導入した場合には、弱リッチ空燃比の排気ガスと二次空気の酸化反応がケーシング62の直ぐ上流あるいはケーシング62内において行われるので、その反応熱を極めて有効にNOx触媒61の昇温に利用することができ、したがって、NOx触媒61を所望の温度まで極めて迅速に昇温することができるというメリットがある。
【0144】
また、二次空気供給管69をその途中で分岐し、その分岐管を始動時触媒12の上流の排気管10に接続するとともに、分岐管と二次空気供給管69との分岐部に切替弁を設けて、二次空気の導入先を合流管60と排気管10のいずれかに選択できるようにし、二次空気を排気管10に導入することによって始動時触媒の暖機を行うことができるようにしてもよい。
【0145】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の第2の実施の形態を図12から図15の図面を参照して説明する。
【0146】
第2の実施の形態における機関本体701は直列4気筒エンジンである。機関本体701の各気筒の吸気ポートは対応する吸気枝管702を介してサージタンク703に接続され、サージタンク703は吸気管704を介してエアクリーナ705に接続されている。
【0147】
吸気管704の途中には、過給機750のコンプレッサ751が設けられており、エアクリーナ705から導入された吸気はコンプレッサ751によって昇圧されてサージタンク703に送られる。
【0148】
また、吸気管704にはサージタンク703の上流にスロットル弁706が設けられており、スロットル弁706よりも上流には、吸気管4内を流れる空気量に対応した電気信号を出力するエアフロメータ708が設けられている。また、各気筒には筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁707が取り付けられている。この燃料噴射弁707は後述するECU790とともに、空燃比制御手段を構成する。
【0149】
また、機関本体701の各気筒の排気ポートは排気マニホルド709を介して排気管710に接続されており、各気筒から排出された排気ガスがこの排気管710において合流する。
【0150】
排気管710は始動時触媒712を収容したケーシング713に接続されている。始動時触媒712は、後述するNOx触媒761が活性化していない機関始動時に排気ガスを浄化するものであり、例えばアルミナ担体上に白金Ptのような貴金属が坦持された三元触媒から構成されている。
【0151】
排気管710の途中には、過給機750のタービン752が設けられており、排気管710を流れる排気ガスはタービン752を駆動し、タービン752に連結されたコンプレッサ751を駆動して、前述したように吸気を昇圧する。
【0152】
排気管710においてタービン752よりも上流には、排気管710を流れる排気ガスの酸素濃度に対応した電気信号を出力する上流側O2センサ711が取り付けられている。
【0153】
始動時触媒712を収容したケーシング713は、排気管760を介して、吸蔵還元型NOx触媒(以下、NOx触媒と略す)761を収容したケーシング762に接続され、ケーシング762は排気管763を介して図示しないマフラーに接続されている。
【0154】
NOx触媒761は、第1の実施の形態における吸蔵還元型NOx触媒61と同じ構成であり、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK,ナトリウムNa,リチウムLi,セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa,カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa,イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt,パラジウムPd,ロジウムRh,イリジウムIrのような貴金属とが担持されてなる。
【0155】
ただし、この実施の形態におけるNOx触媒761のNOx浄化率温度特性は図14に示すようになっていて、第1の実施の形態におけるNOx触媒61のNOx浄化率温度特性とは異なっている。
【0156】
NOx触媒761は、排気空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。また、NOx触媒761から放出されたNOxは還元剤によってN2に還元される。ここで、排気空燃比とは、機関吸気通路およびNOx触媒761より上流の排気通路内に供給された全燃料量及び全還元剤量に対する全空気量の比をいう。
【0157】
なお、NOx触媒761よりも上流の排気通路内に燃料(炭化水素)あるいは空気が供給されない場合には、排気空燃比は各気筒に供給される全燃料量に対する全空気量の比に一致する。
【0158】
排気管763には、排気管763を流れる排気ガスの温度に比例した電気信号を出力する排気温センサ767と、排気管763を流れる排気ガスの酸素濃度に対応した電気信号を出力する下流側O2センサ768が取り付けられている。この実施の形態においては、排気温センサ767により検出される排気ガス温度は、NOx触媒761の触媒床温としても代用される。
【0159】
排気管760においてケーシング762の上流側近傍には、過給空気供給管769の一端が接続されており、この過給空気供給管769の他端は、吸気管704においてコンプレッサ751よりも下流であってエアフロメータ708よりも上流に位置する部位に接続されている。
【0160】
さらに、吸気管704と過給空気供給管769との接続部位には、アクチュエータ771によって駆動され過給空気供給管769へ流れる過給空気の流量を制御する流量制御弁770が設けられている。流量制御弁770を全閉にしたときには、コンプレッサ751によって昇圧された過給空気の全量がサージタンク703に導入されるようになっており、このときには過給空気供給管769に過給空気は流れない。また、流量制御弁770を開いたときには、過給空気の一部が弁開度に応じた流量で過給空気供給管769を介して排気管760に導入され、残りの過給空気がサージタンク703に導入されるようになっている。そして、過給空気供給管769を介して排気管760に導入された過給空気は、機関本体1から排出された排気ガスとともにNOx触媒761に導入される。尚、この実施の形態において、流量制御弁770と過給空気供給管769は過給空気供給手段を構成する。
【0161】
エンジンコントロール用の電子制御ユニット(ECU)790はディジタルコンピュータからなり、図13に示すように、双方向性バス791によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)792、RAM(ランダムアクセスメモリ)793、CPU(マイクロプロセッサ)794、常時電力が供給されているB−RAM(バックアップRAM)795、入力ポート796及び出力ポート797を具備する。
【0162】
ECU790の入力ポート796には、エアフロメータ708、上流側O2センサ711、排気温センサ767、下流側O2センサ768などの出力信号がそれぞれ対応するAD変換器798を介して入力される。また、ECU790の入力ポート796には、回転数センサ(図示せず)から機関回転数Nを表す出力パルスが入力される。
【0163】
ECU790の出力ポート797は、対応する駆動回路799を介して、各気筒の燃料噴射弁707、各気筒の点火栓(図示せず)、流量制御弁770のアクチュエータ771、などに電気的に接続されている。
【0164】
ところで、この実施の形態のエンジンでは、エンジンの運転状態に応じて空燃比を変えて運転する空燃比制御が実行される。つまり、このエンジンでは、リーン条件成立時には各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンに制御(これをリーン制御という)され、リーン条件不成立時には各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比が理論空燃比あるいはリッチ空燃比に制御される(これをストイキ制御あるいはリッチ制御という)。例えば機関負荷が予め定められた設定負荷よりも高いときにはリッチ制御が実行され、暖機運転時、またはNOx触媒61が活性状態にないときなどはストイキ制御が実行され、これらはいずれもリーン条件不成立と判断され、それ以外はリーン条件が成立していると判断されてリーン制御が実行される。
【0165】
リーン制御時に機関から排出される排気ガスの空燃比はリーンであることから、リーン制御時に排気ガス中のNOxはNOx触媒761に吸収される。ところが、NOx触媒761のNOx吸収能力には限界があるのでNOx触媒761のNOx吸収能力が飽和する前にNOx触媒761からNOxを放出させる必要がある。そこで、この実施の形態では、NOx触媒761のNOx吸収量が予め定められた設定量よりも多くなったときには各気筒で燃焼せしめられる混合気の空燃比を一時的に理論空燃比よりもリッチにしてNOx触媒761からNOxを放出させるとともに還元するようにしている。このような空燃比制御をリーン・リッチスパイク制御と称している。
【0166】
また、NOx触媒761は図14に示すNOx浄化率温度特性を有しており、触媒床温によってNOx浄化率が異なる。NOx触媒761の場合には、触媒床温がTyよりも若干高い温度までの温度範囲で高NOx浄化率を示し、触媒床温がTxを越えるとNOx浄化率は約50%以下にまで低下する。
【0167】
そこで、この第2の実施の形態においては、機関本体1における空燃比をリーン制御して運転しているときには、ECU790は、触媒床温がTx以上であると判定すると、NOx触媒761の触媒床温を高NOx浄化温度領域に保持するために、流量制御弁770を所定の開度で開かせるべくアクチュエータ771を作動させる。
【0168】
流量制御弁770が開かれると、過給機750のコンプレッサ713で昇圧された過給空気が過給空気供給管769を介して排気管760に導入され、機関本体1から排出された排気ガスとともにNOx触媒761に供給される。過給空気は排気ガス温度よりも低温であるので、過給空気を排気ガスとともにNOx触媒761に導入すると、NOx触媒761を冷却することができ、その結果、触媒床温を高NOx浄化温度領域に保持することができる。
【0169】
そして、ECU790は、触媒床温がTy以下になった判定すると、流量制御弁770を閉弁させるべくアクチュエータ771を作動させ、NOx触媒761への過給空気の導入を停止して、NOx触媒761を冷やしすぎないようにし、これによりNOx触媒761の触媒床温を高NOx浄化温度領域に保持する。
尚、この実施の形態では、排気温センサ767で検出される排気ガス温度をNOx触媒761の触媒床温として代用する。
【0170】
尚、排気管760に導入する過給空気量は、NOx触媒761の触媒床温がTxよりも大きくなるにしたがって増大するように制御するのが好ましい。例えば、排気温センサ767の出力値に基づいて、あるいは、排気温センサ767の出力値からNOx触媒761の触媒床温を推定しその推定値に基づいて、流量制御弁770の開度をフィードバック制御してもよい。
【0171】
ところで、第1の実施の形態において説明したように、NOx触媒761に排気ガスを流していると経時的にNOx触媒761がS被毒しNOx浄化能力の低下を招くため、長期に亘ってNOx浄化能力を高く保持するためには、所定の時期にS被毒回復処理を行う必要がある。
【0172】
また、NOx触媒761に吸収されたSOxはNOx触媒761内において硫酸塩を生成するが、一旦NOx触媒761内に生成された硫酸塩を効率的に分解するには、NOx触媒761をSOx放出温度以上に保持するとともに、NOx触媒761に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比あるいは弱リッチにする必要がある。
【0173】
そこで、この第2の実施の形態においては、ECU790は、機関本体1が高負荷運転状態にあり、且つ、NOx触媒761に吸収されているSOx量が所定量に達しており、且つ、排気ガス温度が所定温度(Ta)以上であると判定したときに、NOx触媒761に対してSOx被毒回復処理を行うようにした。
【0174】
そして、この第2の実施の形態では、S被毒回復処理時に、NOx触媒761からSOxを放出させるべくNOx触媒761を昇温するために、ECU790は、S被毒回復処理時に流量制御弁770を所定の開度で開くべくアクチュエータ771を作動させる。流量制御弁770が開かれると、過給機750のコンプレッサ713で昇圧された過給空気が過給空気供給管769を介して排気管760に導入される。
【0175】
また、S被毒回復処理時には前述したように機関本体1は高負荷運転状態であり、機関本体1の空燃比はリッチ制御されている。したがって、機関本体1から排出される排気ガスの空燃比はリッチであり、このリッチ空燃比の排気ガスが排気管710,760を介してNOx触媒761に流入する。ここで、リッチ空燃比の排気ガスは排気管710を流れる際に始動時触媒712を通過するが、ここでは排気ガス中の酸素濃度が極めて低いので、排気ガス中の未燃HCの殆どは始動時触媒712において酸化されることなく素通りして、NOx触媒761に導入されることになる。
【0176】
そして、始動時触媒712を通過したリッチ空燃比の排気ガスと過給空気供給管769から導入された過給空気は、排気管760において合流しNOx触媒761に流入する。その結果、排気ガス中の未燃HCと過給空気の多量の酸素がNOx触媒761において酸化反応を起こし、この時に生じる反応熱によってNOx触媒61の触媒床温が上昇する。
【0177】
そして、NOx触媒761において硫酸塩の分解・放出が効率的に行われるように、NOx触媒761に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比または弱リッチにするべく、NOx触媒761への過給空気の導入量を制御する。そのために、この実施の形態では、上流側O2センサ711と下流側O2センサ768の出力値に基づいて流入排気空燃比のフィードバック制御を実行すべく、流量制御弁770の弁開度のフィードバック制御を実行する。
【0178】
ところで、NOx触媒761の触媒床温と硫酸塩分解量との間には、図15に示すような関係があり、触媒床温がTaを越えると硫酸塩分解量が急激に増大し、温度の増大に伴って硫酸塩分解量は増大し続ける。しかしながら、NOx触媒761を余り高い温度雰囲気下に長時間晒すと、NOx触媒761の熱劣化が急速に進行し、やはりNOx触媒761の浄化能力を低減させるため、好ましくない。
【0179】
そこで、この実施の形態では、S被毒回復処理実行中、ECU790は、排気温センサ767で検出された排気ガス温度がTa以上であってTb以下のときには流量制御弁770を開いて過給空気を導入しNOx触媒761の昇温処理を実行するが、排気ガス温度がTbをこえているときには流量制御弁770を全閉にして過給空気の導入を停止し、NOx触媒761がそれ以上温度上昇するのを抑制して、硫酸塩の分解を促進させるようにした。
【0180】
さらに、ECU790は、排気ガス温度がTcを越えていると判定した場合には、前述したS被毒回復処理時における過給空気の導入制御を禁止し、流量制御弁770を全閉状態に保持することにより、NOx触媒761の過熱を防止するようにした。
【0181】
以上のようにS被毒回復処理を実行することにより、NOx触媒761に生成された硫酸塩の殆どを分解してS02に還元し放出することができ、NOx触媒761のHC,CO,NOxの浄化能力をS被毒前とほぼ同等の状態に回復することができる。
【0182】
また、S被毒回復処理完了直後は、NOx触媒761の触媒床温が極めて高いため、NOx浄化率が低い。そこで、この第2の実施の形態においては、S被毒回復処理完了後、NOx触媒761をNOx浄化率の高い温度まで素早く冷却するために、NOx触媒761に対して冷却処理を実行する。
【0183】
NOx触媒冷却処理は次のようにして実行される。ECU790は、S被毒回復処理完了時から所定の期間だけ、流量制御弁770を所定開度で開くべくアクチュエータ771を作動させ、コンプレッサ751で昇圧された過給空気の一部を過給空気供給管769を介して排気管760に導入し、この過給空気を排気ガスとともにNOx触媒761に導入して、NOx触媒761を冷却する。
【0184】
ECU790は、NOx触媒761の触媒床温が所定温度まで低下したと判定したときに、あるいは、過給空気導入によるNOx触媒冷却処理を実行してから所定時間経過したと判定したときに、流量制御弁770を全閉にするべくアクチュエータ771を作動させ、NOx触媒冷却処理を終了する。
【0185】
このようにして過給空気導入によるNOx触媒冷却処理を実行すると、S被毒回復完了後のNOx触媒761の触媒床温をNOx浄化率の高い温度域まで迅速に下げることができ、S被毒回復完了後の早い時期から排気ガスを高浄化することができる。
【0186】
尚、この第2の実施の形態の排気浄化装置においては、下流側O2センサ768を、NOx触媒761の下流の排気管763に設ける代わりに、NOx触媒761の上流であって過給空気供給管769の連結部よりも下流に位置する排気管760に設けてもよい。
【0187】
〔他の実施の形態〕
前述した第1および第2の実施の形態では、NOx触媒61,761の触媒床温として排気ガス温度を代用し、その排気ガス温度を検出する排気温センサ67,767をNOx触媒61,761の下流に配置したが、排気温センサ767はNOx触媒61,761の上流に配置しても構わない。あるいは、ケーシング62,762に触媒温センサを設け、この触媒温センサで直接にNOx触媒61,761の触媒床温を検出するようにしても構わない。
【0188】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、(イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられた吸蔵還元型NOx触媒と、(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、(ニ)前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入する二次空気供給手段と、を備え、前記S被毒回復処理時に前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入し、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入するようにしたことにより、S被毒回復処理実行の間、吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をSOx放出温度以上に保持することができ、吸蔵還元型NOx触媒をS被毒から効率的に回復させることができるという優れた効果が奏される。
【0189】
この内燃機関の排気浄化装置において、前記S被毒回復処理完了後、所定期間の間、前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入するようにした場合には、S被毒回復完了後の吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をNOx浄化率の高い温度域まで迅速に下げることができ、排気浄化装置の浄化能力を高めることができるという優れた効果が奏される。
【0190】
この内燃機関の排気浄化装置において、前記S被毒回復処理完了後、第1の所定期間の間は、内燃機関を理論空燃比で運転するとともに前記二次空気供給手段による二次空気の供給を停止し、前記第1の所定期間終了後の第2の所定期間の間は、二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入し、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入するようにした場合には、S被毒回復完了後の吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をNOx浄化率の高い温度域まで迅速に下げることができるとともに、この冷却処理中もNOx浄化率を高く保持することができ、排気浄化装置の浄化能力を高めることができるという優れた効果が奏される。
【0191】
また、本発明に係る別の内燃機関の排気浄化装置によれば、(イ)過給機を備えた希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられた吸蔵還元型NOx触媒と、(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、(ニ)前記過給機により加圧された過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入する過給空気供給手段と、を備え、前記S被毒回復処理時に前記過給空気供給手段によって過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入し、この過給空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入するようにしたことにより、S被毒回復処理実行の間、吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をSOx放出温度以上に保持することができ、吸蔵還元型NOx触媒をS被毒から効率的に回復させることができるという優れた効果が奏される。
【0192】
この内燃機関の排気浄化装置において、前記S被毒回復処理完了後、所定期間の間、前記過給空気供給手段によって過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入するようにした場合には、S被毒回復完了後の吸蔵還元型NOx触媒の触媒床温をNOx浄化率の高い温度域まで迅速に下げることができ、排気浄化装置の浄化能力を高めることができるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の第1の実施の形態の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態の排気浄化装置の要部の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の排気浄化装置の排気冷却促進部の縦断面図である。
【図4】第1の実施の形態におけるECUの構成図である。
【図5】第1の実施の形態における基本制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態におけるHC吸着・パージ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態におけるNOx触媒温度制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態におけるS被毒回復制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態における二次空気制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の排気浄化装置に使用される吸蔵還元型NOx触媒のNOx浄化率温度特性を示す図である。
【図11】排気ガスを第1通路あるいは第2通路の一方にだけ流したときの触媒床温と車速との関係を示す図である。
【図12】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の第2の実施の形態の概略構成図である。
【図13】第2の実施の形態におけるECUの構成図である。
【図14】第2の実施の形態の排気浄化装置に使用される吸蔵還元型NOx触媒のNOx浄化率温度特性を示す図である。
【図15】第2の実施の形態における吸蔵還元型NOx触媒の硫酸塩分解量の温度特性を示す図である。
【符号の説明】
1,701 機関本体
4,704 吸気管
7,707 燃料噴射弁(空燃比制御手段)
8,708 エアフロメータ
9,709 排気マニホルド(排気通路)
10,14,63,66 排気管(排気通路)
11,711 上流側O2センサ
12,712 始動時触媒
20 第1通路(排気通路)
21 円管部
22 断面変形部
23 排気冷却促進部
24 断面変形部
25 円管部
26 HC吸着材
28 円管部
40 第2通路(排気通路)
52 第1排気切替弁
54 第2排気切替弁
60 合流管(排気管、合流通路)
61,761 吸蔵還元型NOx触媒
64 三元触媒
67,767 排気温センサ
68,768 下流側O2センサ
69 二次空気供給管(二次空気供給手段)
70 二次空気供給装置(二次空気供給手段)
90,790 ECU(空燃比制御手段)
710,760,763 排気管(排気通路)
750 過給機
751 コンプレッサ
752 タービン
769 過給空気供給管(過給空気供給手段)
770 流量制御弁(過給空気供給手段)
771 アクチュエータ
Claims (3)
- (イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出・還元する吸蔵還元型NOx触媒と、
(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、
(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、
(ニ)前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入する二次空気供給手段と、
を備え、
前記S被毒回復処理時と処理完了後の所定期間の間とに前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入し、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - (イ)希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出・還元する吸蔵還元型NOx触媒と、
(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、
(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、
(ニ)前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入する二次空気供給手段と、
を備え、
前記S被毒回復処理時に前記二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入することにより、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入し、前記S被毒回復処理完了後、第1の所定期間の間は
、内燃機関を理論空燃比で運転するとともに前記二次空気供給手段による二次空気の供給を停止し、前記第1の所定期間終了後の第2の所定期間の間は、二次空気供給手段によって前記吸蔵還元型NO x 触媒と前記始動時触媒との間に二次空気を導入することにより、この二次空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NO x 触媒に導入することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - (イ)過給機を備えた希薄燃焼可能な内燃機関の排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し流入する排気ガスの酸素濃度が低いときに吸収したNOxを放出・還元する吸蔵還元型NOx触媒と、
(ロ)前記吸蔵還元型NOx触媒よりも上流の前記排気通路に設けられた三元機能を有する始動時触媒と、
(ハ)前記吸蔵還元型NOx触媒に吸収されたSOxを放出せしめるS被毒回復処理時に前記内燃機関の空燃比を理論空燃比あるいはそれよりもリッチな空燃比にする空燃比制御手段と、
(ニ)前記過給機により加圧された過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入する過給空気供給手段と、
を備え、
前記S被毒回復処理時と処理完了後の所定期間の間とに前記過給空気供給手段によって過給空気の一部を前記吸蔵還元型NOx触媒と前記始動時触媒との間に導入し、この過給空気を排気ガスとともに前記吸蔵還元型NOx触媒に導入することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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