JP3569797B2 - 排ガス中のHClの除去方法およびこれに用いるHCl吸収剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ごみ焼却炉や廃プラスチック油化炉から出る排ガス中のHClガスの除去に関し、より詳しくは、HCl除去によるダイオキシン類の低減、特に焼却排ガス冷却時に発生する再合成ダイオキシンの抑制技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、都市ごみ焼却施設や廃プラスチック油化プラント等で発生するHClを除去する方法としては、例えば「ごみ処理施設構造指針解説−社団法人 全国都市清掃会議」に示されるように、(1)HCl吸収剤としてCaCO3、Ca(OH)2、CaO、MgO、CaMg(CO3)2(=ドロマイト)などの用い、粉体噴射法、移動床法、フィルター法、スラリー噴霧法等の形式で焼却排ガスを処理する乾式法、(2)HCl吸収剤として苛性ソーダ(NaOH)溶液、カルシウム系スラリーを用い、スプレー塔方式、トレイ方式、充填塔形式、ベンチュリー形式等で焼却排ガスを処理する湿式法等が一般的である。
【0003】
これらのHCl除去方法はいずれも、高温での吸収剤の反応率の低下やHClガスによる低温腐食の問題から、ガス温度150〜300℃で行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のごみ焼却施設で採用されているHCl除去方法のうち、まず、湿式法ではHCl吸収後の処理排液が多量生じるが、この処理に苦慮している。また、乾式法、湿式法双方とも、ボイラーの腐食対策、配管鋼材の腐食対策から焼却排ガスを冷却しガス温度を150〜300℃に保つ必要があるが、200〜300℃の温度域ではダイオキシンが再合成により発生することが一般的に知られている。
【0005】
このような問題を解決する為、ダイオキシンの発生原因物質の1つであるHClを焼却排ガス冷却以前に除去しておく必要がある。
【0006】
本発明の目的は、上記の如き実状から、都市ごみ焼却炉排ガスからHClを排ガス冷却以前に効果的に除去する方法を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、上記方法に用いるHCl吸収剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるHCl除去方法は、ごみ焼却時に発生するHClガスを400〜800℃、好ましくは550〜650℃の高温域でCaO・MgO・SiO2からなるHCl吸収剤によって連続的にHClを除去する方法である。
【0009】
この方法に用いる好ましいHCl吸収剤は、Mgの有機酸塩と、Caの有機酸塩と、酸化ケイ素とを当モル量で混合した混合物を造粒した後、焼成して得られるCaO・MgO・SiO2からなるHCl吸収剤である。CaO・MgO・SiO2からなるHCl吸収剤を得るには、例えば、酢酸カルシウム{Ca(CH3COO)2}と、酢酸マグネシウム{Mg(CH3COO)2}と、酸化ケイ素(SiO2)とを当モル量で混合した混合物に水を加え、全体を造粒した後、400℃〜800℃で焼成する。または、蟻酸カルシウム{Ca(HCOO)2}と、蟻酸マグネシウム{Mg(HCOO)2}と、酸化ケイ素(SiO2)とを当モル量で混合した混合物に水を加え、全体を造粒した後、400℃〜800℃で焼成する。
【0010】
HCl吸収剤は剤形は限定されないが、好ましくはペレット状、球状等の粒状体、またはフレーク状である。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施例1
市販の酢酸カルシウムと、酢酸マグネシウムと、酸化ケイ素とを当モル量になるように計り取り、それらを混合し、得られた混合物に水を少々加え、全体を600℃で焼成した。得られたCaO・MgO・SiO2を粒径2〜3mm程度のペレット状または球状にした。
【0012】
実施例2
本発明によるCaO・MgO・SiO2(カルシウムマグネシウムシリケイト)、並びに角閃石(5MgO・2CaO・8SiO2・H2O)、珪酸マグネシウム、蓬莱石、ハイパーランダム、ベントナイト、セメント、かり長石、ハイドロソーダライトおよびモンモリロナイトを平均粒径1mmとなるように粒度調整して、得られた粒状物をそれぞれ図1に示すような縦型電気炉(2) の直径20mmの反応管(4) の中央部に長さ10mmで充填し、吸収剤の充填層(1) を形成した。電気炉(2) を電気ヒーター(3) で加熱して反応管(4) 内の温度が400℃〜800℃となったところで、1,000ppmのHClガスを含有するN2ガスと水蒸気からなる調製ガスを9vol%となるように導入し、充填層(1) 内での調製ガス流速が1m/sとなるように流して調製ガスのHCl除去を行った。反応管出口でのHClガス濃度経時変化をHCl分析計(5) で測定して充填層(1) によるHCl除去量を測定した。表1に500℃と700℃におけるHCl除去実験の結果を示す。
【0013】
【表1】
【0014】
表1からわかるように、本発明によるCaO・MgO・SiO2が極めて高いHCl除去性能を示した。
【0015】
実施例3
図2において、ベンチスケール流動層ごみ焼却炉(11)の下流に媒塵除去用のサイクロン(12)を設け、その下流に吸着剤の移動床充填層(13)を設ける。充填層(13)にホッパ(15)からHCl吸収剤としてCaO・MgO・SiO 2 の20kgを充填して、水分含有量40wt%に調整した都市ごみRDFを、ごみ焼却炉(11)で供給量40kg/h、空気比1.5で焼却して、充填層(13)でHCl吸収剤により焼却排ガス中のHClガスをHCl除去させた。ごみ焼却炉(11)出口でのガス温度は700℃であった。CaO・MgO・SiO 2 へのHCl吸収速度は極めて早く、HClは3時間CaO・MgO・SiO 2 に安定して吸収され、充填層(13)出口での焼却排ガス中のHCl濃度は常に5ppm以下であった。充填層(13)上流でのHCl濃度は1000〜1,500ppmであった。
【0016】
また、充填層(13)にHCl吸収剤を充填しない点を除いて、上記と同様の操作を行った。充填層(13)出口でのHCl濃度は1000〜1,500ppmであった。
【0017】
実施例4
図2に示す装置をごみのガス化に適用する例を示す。
【0018】
この場合、サイクロン(12)にて捕集された媒塵(ガス化熱分解後のチヤーを含む)を、吸着剤の充填層(13)でHCl除去処理された排ガスに合流し全体を、充填層(13)の下流に設けられた溶融炉(14)に送り込みスラグを得る。その他の構成は実施例3のものと同じである。
【0019】
【発明の効果】
本発明のHCl除去方法によれば、焼却排ガスを冷却することなくHClガスを直接高温度領域内でHCl除去でき、冷却工程でのダイオキシン類の再合成を抑制できる。
【0020】
本発明のHCl吸収剤によれば、高温でも高い吸収率を持つHCl吸収剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で用いた実験炉を示す概略図である。
【図2】実施例3で用いた高温HCl除去処理装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1:充填層
2:縦型電気炉
3:電気ヒーター
4:反応管
5:HCl分析計
11:流動層ごみ焼却炉
12:媒塵除去用のサイクロン
13:吸着剤の移動床充填層
14:溶融炉
Claims (3)
- 排ガス中のHClガスを400〜800℃の高温域でCaO・MgO・SiO2からなるHCl吸収剤によって連続的にHClを除去する方法。
- Mgの有機酸塩と、Caの有機酸塩と、酸化ケイ素とを当モル量で混合した混合物を造粒した後、焼成して得られるCaO・MgO・SiO 2 からなるHCl吸収剤。
- Mgの有機酸塩が酢酸マグネシウムまたは蟻酸マグネシウムであり、Caの有機酸塩が酢酸カルシウムまたは蟻酸カルシウムである請求項2記載のHCl吸収剤。
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