JP3568172B2 - 穿孔装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺な被穿孔体の走行が間欠的に停止する間に孔を形成する穿孔装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真撮影用のフイルム等のように長尺な被穿孔体に、所定の配列パターンで孔を形成するための装置としては、例えば特開昭59−197034号公報や特開平6−339898号公報に記載されている穿孔装置がある。これらの穿孔装置は、フイルムの走行が間欠的に停止する間に複数のパンチとダイセットとの組を同時に作動させてフイルムに孔を形成するもので、穿孔位置で停止されたフイルムが一定の張力を保つように、穿孔位置の上流側に減圧室を設け、この室内でフイルムをたるませておくようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
減圧室は、室内の空気を吸気することで減圧し、フイルムを室内に引き込んでたるませるもので、一般的には縦置きして下方から吸気を行い、上壁に形成された開口からフイルムを引き込んで下方に向けてフイルムのたるみ部が形成されるようにしてある。ところが、長尺フイルムの張力を一定に保持するためには、減圧室内でのフイルムのたるみ長を相当に長く確保しておく必要があるため、減圧室の高さが穿孔位置に比べて非常に高くなり、穿孔装置全体の小型化の妨げとなっている。
【0004】
また、フイルムの穿孔位置における張力は減圧室内の減圧の程度とフイルムのたるみ長とに依存する。このため、穿孔位置のフイルムに加わる張力を安定させる上では、減圧室の吸気圧力及びフイルムのたるみ長を常に一定させておくことが好ましいが、実際には、フイルムの走行が開始される際にはフイルムのたるみ長は瞬間的に減少し、逆にフイルムの走行が停止する際にはたるみ長が増加する。そこで、従来の穿孔装置では、減圧室内にたるみ部を検知するためのセンサを設けておき、例えばたるみ長が減少して、たるみ部がセンサの前面から退避しているときには減圧室内に送り込むフイルム量を増加させ、瞬時にたるみ長を適正長に戻すように制御している。
【0005】
ところが、フイルムのたるみ長が急激に増減すると、このたるみ部が減圧室内でふくらむ方向にばたついてしまう。たるみ部がばたつくと、この振動によってフイルムの穿孔位置における張力が大きく変動してしまい、穿孔時に位置ズレを生じやすくなる。また、フイルムには過大な負荷が加わり、減圧室入口付近に設けられたパスローラーに圧接してたるみ部の重量を支えているフイルム面に、パスローラーとの干渉によって傷がつくことがある。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、被穿孔体の穿孔位置における張力の変動を抑え、かつ装置全体の小型化を図ることができる穿孔装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の穿孔装置は、穿孔機と減圧室とを上下に並べて配置し、減圧室の側面に形成された開口から被穿孔体を室内に引き込んで水平方向にたるませるとともに、減圧室の内部に、複数の小ローラーを一定間隔で平行に並べて構成され、被穿孔体のたるみ方向に沿って延びた一対のガイド部材を被穿孔体のたるみ幅と同じ間隔を保って設けるものである。なお、小ローラーの配置間隔は50mm〜300mmとするのが好ましい。また、ガイド部材は、減圧室の内壁から距離をおいて配置し、この時の距離を50mm〜150mmとするのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の穿孔装置の構成を示す概略図である。穿孔装置10は、穿孔機11,減圧室12,送りローラー13,フランジ付きパスローラー14a,14b,パスローラー15a,15b,走行ローラー16,及び駆動モータ17,18により構成され、穿孔機11と減圧室12とは上下に並べて配置されている。被穿孔体であるフイルム19は、送りローラー13,フランジ付きパスローラー14a,14b,パスローラー15a,15b,及び走行ローラー16に掛けられ、間欠的に停止を繰り返しながら図中矢印方向に走行され、減圧室12を経てから穿孔機11に供給される。なお、減圧室12の上流側に配置された送りローラー13は駆動モータ17によって回転され、その回転速度に応じてフイルム19の減圧室12への送り量が調節される。また、穿孔機11の下流側に配置された走行ローラー16はフイルム走行時に駆動モータ18によって回転され、フイルム19を穿孔機11から送り出す方向に走行させる。
【0009】
穿孔機11はパンチ11aとダイセット11bとの組を水平方向に複数並べて構成され、パンチ11aとダイセット11bとの間をフイルム19が走行する。そしてフイルム19は、その走行が停止したときにパンチ11aとダイセット11bとに挟み込まれ、パンチ孔が形成される。
【0010】
減圧室12は水平方向に長く構成され、一方の側壁にフイルム19が出入りするための開口12aが形成されている。開口12aと対向する側壁側には吸気口12bが設けられ、ここから室内の空気が吸気される。減圧室12の内部には、一対のガイド部材21,22が設けられている。ガイド部材21,22は、それぞれ複数の小ローラー21a,22aを平行に、かつ等間隔に並べてなり、減圧室12の上壁及び底壁に沿うように水平に配置されている。ガイド部材21,22は、それぞれ減圧室12の内壁から距離Hだけ離して配置されている。
【0011】
フイルム19は開口12aの近傍に設けられたフランジ付きパスローラー14a,14bに掛けられ、図中二点鎖線で示したように、開口12aを塞ぐように走行される。そして、吸気口12bから減圧室12内の空気を吸気すると、開口12aを塞いでいるフイルム19が室内に吸い込まれ、一対のガイド部材21,22に沿って水平方向に延びたたるみ部19aが形成される。なお、フランジ付きパスローラー14a,14bは、減圧室12内に出入りするフイルム19の幅方向における蛇行を規制している。また図2に示すように、減圧室12の奥行きDは、フイルム19の幅よりも僅かに余裕をもたせた長さに構成され、本実施形態ではフイルム幅24mmに1mmの余裕をもたせて25mmとなっている。
【0012】
なお、ガイド部材21,22と減圧室12の内壁との距離Hは、50mm〜150mmとするのが好ましく、本実施形態では100mmとした。距離Hが50mmよりも狭いと、ガイド部材21,22と減圧室12の内壁との間に隙間が形成されなくなるので、減圧室12の吸気力がたるみ部19aの全体に作用しなくなり、たるみ部19aの形成が困難になる。また、距離Hが150mmを超えると減圧室12内の空間部が広くなりすぎ、たるみ部19aの形成に要する吸気圧力が過大となる。
【0013】
また、小ローラー21a,22aの配置間隔Pは、50mm〜300mmとするのが好ましく、本実施形態では100mmとした。配置間隔Pが50mmよりも狭いと小ローラー21a,22aが過密になるため、ガイド部材21,22とフイルム19との摩擦抵抗が大きくなりすぎ、たるみ部19aの形成に要する吸気圧力が大きくなるばかりか、フイルム19に加わる負荷が過大となる。また配置間隔Pが300mmを超えると、小ローラー21a又は22a間にフイルム19が引き込まれ、引っ掛かりを生じる恐れがある。
【0014】
ここで、穿孔機11内におけるフイルム19の張力は減圧室12内での減圧の程度とたるみ部19aの大きさとに依存する。フイルム19のたるみ部19aの大きさは、減圧室12の大きさによってほぼ決定されるが、たるみ部19aの長さLについては、フイルム19の走行開始時、又は停止時に必然的に増減することから、変動幅Rを設けておくのがよい。そして、たるみ部19aの幅Wは100〜400mm、最小長さLmin は250〜450mm、長さLの変動幅Rは700〜1000mmとするのが好ましい。本実施形態においては、幅W,最小長さLmin ,変動幅Rをそれぞれ350mm,400mm,800mmとし、長さLが400mm〜1200mmの範囲内となるようにした。なお、上記ガイド部材21,22は、たるみ部19aの幅W(=350mm)と等しい相互間距離を保って平行に配置されている。
【0015】
また減圧室12の吸気圧力は、フイルム19の穿孔位置における目標張力に応じて規定すればよく、−50mmH2O 〜−250mmH2O の範囲内の値とするのがよい。本実施形態においては、目標張力T0 を500gとし、減圧室12の吸気圧力P0 は、たるみ部19aの大きさが上記に規定された大きさとなったときに目標張力T0 を得ることができる圧力値−125mmH2O に設定した。
【0016】
減圧室12には、たるみ部19aの変動幅Rの両端位置に、フイルム検出用の2組の投光器25a,25bとフォトセンサ26a,26bとが設けられている。投光器25a,25bは減圧室12の上壁に、またフォトセンサ26a,26bは底壁に配置されている。フォトセンサ26a,26bは、投光器25a,25bから投光された光が入射されたときにハイレベル信号(以下「H」信号とする)を、また投光器25a,25bからの光がフイルム19によって遮られたときにローレベル信号(以下「L」信号とする)を出力する。そして、たるみ部19aの先端が2つのフォトセンサ26a,26b間に位置し、第1のフォトセンサ26aから「L」信号が、また第2のフォトセンサ26bから「H」信号が出力されたときに、送りローラー13は駆動モータ17によって標準速度V0 で回転される。また、2つのフォトセンサ26a,26bから共に「H」信号が出力されたときに送りローラー13の回転速度が標準速度V0 に対して加速され、2つのフォトセンサ26a,26bから共に「L」信号が出力されたときには送りローラー13の回転速度が減速される。
【0017】
上記のように構成された穿孔装置10の作用について説明する。減圧室12が作動を開始し、吸気口12bから室内の空気が吸気されると、開口12aを塞ぐようにフランジ付きパスローラー14a,14bに掛けられているフイルム19が室内に引き込まれる。この際、フランジ付きパスローラー14a,14bがフイルム19の幅方向における蛇行を規制するので、フイルム19は、開口12aに引っ掛かりを生じることなく減圧室12内に引き込まれる。なお、2つのフォトセンサ26a,26bからの出力信号が共に「H」信号であるので、送りローラー13の回転速度が標準速度V0 に対して加速され、フイルム19の減圧室12内への送り量が多くなるように調節されている。
【0018】
フイルム19は、減圧室12内に引き込まれ、水平方向に延びたたるみ部19aを形成する。この際、減圧室12内には、幅Wを保って水平方向に延びた一対のガイド部材21,22が設けられているので、フイルム19はガイド部材21,22に沿って引き込まれ、幅Wのたるみ部19aが形成される。
【0019】
また、フイルム19はガイド部材21,22にフイルム面を圧接させた状態で引き込まれるが、ガイド部材21,22が小ローラー21a,22aを平行に並べて構成されているので、フイルム19とガイド部材21,22との接触面積が小さくなる。しかも、小ローラー21a,22aが等間隔に配置され、各々がフイルム19の移動に従ってフイルム引き込み方向に回転するので、フイルム19とガイド部材21,22との摩擦抵抗が軽減される。また、ガイド部材21,22の各々が減圧室12の内壁から距離Hだけ離して配置されているので、たるみ部19aの外周部全体に隙間が形成され、吸気力がたるみ部19aの全体に無駄なく、かつ均一に作用する。これらにより、フイルム19は円滑に減圧室12内に引き込まれ、フイルム19に過大な負荷が加わることがない。そして、たるみ部19aの先端が第1のフォトセンサ26aの前面を通過すると、送りローラー13の回転速度が標準速度V0 に変化し、フイルム19の送り量が抑えられる。また、たるみ部19aの先端が第2のフォトセンサ26bの前面を通過すると、送りローラー13の回転速度がさらに減速される。これにより、たるみ部19aの移動は、その先端が2つのフォトセンサ26a,26bの間に位置した状態で停止する。この際、穿孔位置におけるフイルム19の張力は、目標張力T0 (=500g)に保持されている。
【0020】
次に、駆動モーター18によって走行ローラー16が回転され、フイルム19の走行が開始される。フイルム19の走行が開始された瞬間には、このフイルム19は急激に穿孔機11側に引かれ、減圧室12内のたるみ部19aの長さLが瞬間的に短くなる。そして、たるみ部19aが第1のフォトセンサ26aの前面から退避し、フォトセンサ26aの出力信号が「L」信号から「H」信号に変化すると、送りローラー13の回転速度が加速され、フイルム19の送り量が増加される。これにより、フイルム19が急激に減圧室12内に引き込まれ、たるみ部19aはその長さLを長くする方向に移動する。
【0021】
この際、たるみ部19aの上下にガイド部材21,22が設けられ、たるみ部19aのふくらみ方向への移動が規制されているので、たるみ部19aは、ばたつきを生じることなく、ガイド部材21,22に沿って水平に移動する。しかも、各々の小ローラー21a,22aがたるみ部19aの移動に伴ってフイルム引き込み方向に回転するので、フイルム面とガイド部材21,22との摩擦抵抗が軽減され、たるみ部19aは円滑に移動する。これにより、フイルム19は、穿孔位置における張力の変動が抑えられ、目標張力T0 を維持している。また、フイルム19には不要な負荷が加わらないので、フイルム19とフランジ付きパスローラー14a,14bとの当接面に加わる負荷も抑えられ、フイルム19は良好な面状態が保持される。
【0022】
フイルム19が一定長走行され、その穿孔部が穿孔機11内に送り込まれると走行ローラーの回転が停止する。そして、フイルム19の穿孔部がパンチ11aとダイセット11bとの間に位置決めされると、この穿孔位置にあるフイルム19がパンチ11aとダイセット11bとに挟み込まれ、パンチ孔が形成される。この際、フイルム19の穿孔位置における張力が目標張力T0 を維持しており、しかも安定しているので、位置ズレを生じることなく、精度の高い穿孔が行われる。
【0023】
この後、フイルム19の走行が間欠的に停止されるごとに、穿孔機11が作動して穿孔位置にあるフイルム面にパンチ孔を形成する。この間、フイルム19の穿孔位置における張力は、常に安定して保持されている。
【0024】
次に、本発明の装置と従来装置とのそれぞれにおいて、フイルムの穿孔位置における張力を測定し、その変動量を比較した。なお、本装置と従来装置とのいずれにおいても、目標張力T0 を500gとし、減圧室の吸気圧力P0 を−125mmH2O とした。
【0025】
上記測定の結果、従来装置においては、穿孔位置での張力が500g〜2kgであり、その変動幅が1500gと非常に広いことがわかった。しかも、目標張力T0 (=500g)に対し、全体的に張力を大きくする方向に変動していることがわかる。これに対して本発明の装置は、穿孔位置における張力が200g〜1kgであり、変動幅は800gであった。この結果より、本発明の装置は、従来装置に比較して張力の変動幅が大幅に狭まっており、フイルムの張力を安定して保持できることが確認された。しかも、目標張力T0 に対して偏りなく変動しており、フイルムに加える負荷が軽減されていることが確認された。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明の穿孔装置によれば、被穿孔体のたるみ部が水平方向に形成されるので、減圧室は、その高さに比して水平方向に長く構成されるようになる。したがって、この減圧室を、同じく水平方向に長さをもつ穿孔機と上下に並べることで、無駄なスペースをつくることなく、効率よく配置することができるようになり、穿孔装置全体の小型化が可能となる。
【0027】
また、減圧室の内部に、被穿孔体のたるみ方向に沿って平行な一対のガイド部材を設けるので、たるみ部は、そのふくらみ方向への移動が規制され、ふくらみ方向にばたつくことが防止される。これにより、被穿孔体の穿孔位置における張力の変動が抑えられるとともに、被穿孔体の負荷が軽減され、その面状態を良好な状態に保持することができる。
【0028】
さらに、ガイド部材を減圧室の内壁から一定の距離を保って配置することで、たるみ部の外周部全体に隙間が形成され、吸気力がたるみ部の全体に無駄なく、かつ均一に作用するようになる。しかも、ガイド部材を構成する各小ローラーが被穿孔体の移動方向に回転するので、ガイド部材と被穿孔体との摩擦抵抗が軽減され、たるみ部の長さの増減が円滑に行われる。これにより、被穿孔体に不要な負荷が加わることが抑えられ、穿孔位置における張力をより適正な状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の穿孔装置を示す構成図である。
【図2】図1に示した減圧室の要部断面図である。
【符号の説明】
10 穿孔装置
11 穿孔機
12 減圧室
12a 開口
12b 吸気口
19 フイルム
19a たるみ部
21,22 ガイド部材
21a,22a 小ローラー
Claims (4)
- パンチとダイセットとの組を複数並べてなる穿孔機と、長尺な被穿孔体を前記穿孔機の上流側でたるませておくための減圧室とを備え、前記被穿孔体の走行が間欠的に停止する間に穿孔機を作動させて所定の配列パターンで孔を形成する穿孔装置において、
前記穿孔機と減圧室とを上下に並べて配置し、減圧室の側面に形成された開口から前記被穿孔体を室内に引き込んで水平方向にたるませるとともに、減圧室の内部に、複数の小ローラーを一定間隔で平行に並べて構成され、被穿孔体のたるみ方向に沿って延びた一対のガイド部材を被穿孔体のたるみ幅と同じ間隔を保って設けたことを特徴とする穿孔装置。 - 前記小ローラーの配置間隔が、50mm〜300mmであることを特徴とする請求項1記載の穿孔装置。
- 前記一対のガイド部材は、それぞれ減圧室の内壁から距離をおいて配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の穿孔装置。
- 前記ガイド部材と減圧室の内壁との距離が、50mm〜150mmであることを特徴とする請求項3記載の穿孔装置。
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