JP3568164B2 - 磁性体薄膜の加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、Fe,CoまたはNiを含有する磁性材料からなる磁性体薄膜の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Fe,CoまたはNiを含有する磁性材料からなる磁性体薄膜は、以前より磁気ヘッド、薄膜インダクタ、磁気センサ、磁気ディスク、光磁気ディスク等の磁性体デバイスに幅広く利用されている。これらのうち、磁気ヘッド、薄膜インダクタ、磁気センサを作成するには磁性体薄膜に所望のパターニングを施すことが必要不可欠であり、また磁気ディスク、光磁気ディスクについてもトラックの形成や形状異方性の付与のため、磁性体薄膜に所望のパターニングを施すことが好ましい。
【0003】
従来このように磁性体薄膜に所望のパターニングを施すに当っては、主としてイオンミリング法が用いられている。これは、Ar等の不活性ガスをイオン化して加速し磁性体薄膜に衝突させる方法であり、イオン密度が大きければ高いエッチング速度が得られ、またイオンの衝突する角度を適切に設定できれば高い異方性を付与することができる。しかしながらイオンミリング法では、磁性体薄膜の膜厚が厚いと材料選択性がないため加工不能となり、また大面積の磁性体薄膜を一括加工する場合も大型のイオン源が必要となり経済性に欠けるばかりか、技術的にもイオン源の大型化には限界がある。さらにイオンミリング法においては、加工時に気相中に放出された被加工物の一部がマスクの側壁に付着して加工精度が低下するため、微細なパターニングを精度よく施すことは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、これまで磁性体薄膜を加工する際に主として用いられてきたイオンミリング法は、材料選択性、経済性の点で問題があり、また微細なパターニングを精度よく施すことも極めて困難であった。一方イオンミリング法以外の薄膜の加工方法としては、反応性イオンエッチング(RIE)に代表される反応性ガスを用いたプラズマエッチング法が以前より知られており、特にLSI製造プロセスにおいては、材料選択性、経済性の点で好ましいうえ活性化した反応性ガスが通常のLSI材料との間で高い蒸気圧を有する反応生成物を容易に生成するため、微細なパターニングを施す際に広く利用されている。しかしながら、磁性体薄膜の加工に同様のプラズマエッチング法を適用する場合は、LSI製造プロセスで一般的に用いられる反応性ガスと磁性材料との反応生成物の蒸気圧が低く、微細なパターニングを施すには磁性体薄膜を高温まで加熱する必要があり実用的でない。例えば、IEEE Trans.Magn.27(6),4888,1991 には、反応性ガスとしてハロゲン系ガスを用いたRIEにより、基板上に形成されたFe−Si−Alからなる磁性体薄膜を加工したことが報告されているが、このとき基板温度は350℃程度であって、これでは上述した磁性体デバイスの製造プロセスに利用することはできない。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑み、材料選択性、経済性に優れ、低温でも磁性体薄膜に微細なパターニングを精度よく施すことが可能な磁性体薄膜の加工方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが、二酸化炭素ガスと、水素ガス、ジボラン、ホスフィン、シランから選ばれる還元性ガスとを含有し、前記二酸化炭素ガス及び還元性ガスの当量比が8:2〜2:8の範囲内であり、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素がさらに磁性体薄膜の露出部に供給されることを特徴としている
【0007】
また、本願第2の発明は、Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが活性化されたハロゲン系ガス及び活性化された一酸化炭素を含有し、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素がさらに磁性体薄膜の露出部に供給されることを特徴としている。
【0008】
また、本願第3の発明は、Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが活性化された炭化水素系五員環化合物を含有することを特徴としている。
【0009】
なくとも一酸化炭素ガスが活性化され、この活性化された一酸化炭素ガスが、あらかじめ所定のパターンを有するマスクで被覆されたFe,CoまたはNiを含有する磁性材料からなる磁性体薄膜の露出部に反応性ガスとして供給される。このとき、磁性体薄膜の露出部にはFe(CO)5やNi(CO)4あるいはCo2(CO)8のようなカルボニル系化合物が生成するが、これらカルボニル系化合物はFeCl3、FeCl2、NiCl2、CoCl2等のハロゲン化物に比べ、非常に高い蒸気圧を有している。ここで、前記カルボニル系化合物及びハロゲン化物の蒸気圧曲線を図6に示す。図示される通り、カルボニル系化合物では数十℃の温度でも蒸気圧が10Torr程度と充分に高いので低温での磁性体薄膜の加工が可能となる。なお図6には、Fe,Niのカルボニル系化合物及びハロゲン化物の蒸気圧曲線を具体的に示したが、Fe,Niと同族元素であるCoのカルボニル系化合物も、同様に高い蒸気圧を有している。
【0010】
また、活性化された一酸化炭素を含有する反応性ガスの供給に当っては、磁性体薄膜を設置した装置中に直接一酸化炭素ガスを導入してもよいが、一酸化炭素ガスが無色、無臭で強い毒性を有することを考慮して、安全管理上二酸化炭素ガス及び必要に応じて水素ガスやジボラン、ホスフィン、シラン等の水素化合物ガスに代表される還元性ガスを同時または交互に装置中に導入し、装置中で一酸化炭素ガスを生成させることがより好ましい(本願第1の発明)。例えば前記還元性ガスとして水素ガスを用いた場合、二酸化炭素及び水素が活性化すると下記反応式に示されるように気相中で反応し、一酸化炭素またはその活性種が生成する。なおこのとき、二酸化炭素ガス及び還元性ガスの導入量は、これらの混合比が当量比で8:2〜2:8の範囲内となるように適宜調整されることが好ましい。また、生成する一酸化炭素の量は活性化の際の条件でも変化するので、Fe,CoあるいはNiのカルボニル系化合物が磁性体薄膜の露出部に充分に生成するが、余剰の一酸化炭素がほとんど生成しない程度に条件を制御することが好ましい。
【0011】
CO2+H2→CO+H2
さらにここでは、上述したような還元性ガスが装置中に導入されなくても、装置中に導入した二酸化炭素ガスをプラズマ励起等により活性化すれば、下記反応式に準じて一酸化炭素の活性種が生成され得る。また、ギ酸、アセトアルデヒド、エチルメチルケトン等COを含有する有機化合物を用い、紫外光照射等の光学的方法を利用して有機化合物中の結合を選択的に切断し、一酸化炭素の活性種を生成させることも可能である。このとき、有機化合物が室温近傍で充分な蒸気圧を有する場合は、一酸化炭素ガスや二酸化炭素ガスの導入と同様の方法で有機化合物の蒸気を直接装置中に導入すればよく、有機化合物が液体である場合は、キャリアガスを有機化合物の収容されたバブラーに通じてキャリアガスに有機化合物の蒸気を混入させた後これを装置中に導入することで、有機化合物の蒸気を装置中に導入することができる。ただし一酸化炭素ガスの使用または二酸化炭素ガスと還元性ガスの併用が、プラズマ励起により一酸化炭素の活性種を効率よく生成し得る点で好ましい。
【0012】
CO2→CO+ 1/2O2
上述したような本願第の発明では一段と低温での磁性体薄膜の加工が可能となる本願第の発明においては、反応性ガスとして活性化されたハロゲン系ガスを活性化された一酸化炭素ガスと併用して、磁性体薄膜の露出部に一旦生成されたFe,CoあるいはNiのハロゲン化物をカルボニル系化合物に変化させることで、磁性体薄膜の加工速度を高めること可能である。
【0013】
すなわちこの場合は、磁性体薄膜の露出部にFe,CoあるいはNiのハロゲン化物が生成した後、生成したハロゲン化物中のFe,CoあるいはNiに対して一酸化炭素が還元剤としても機能するので、多量の一酸化炭素を含有する雰囲気に晒されたハロゲン化物が直ちに低原子価錯体であるカルボニル系化合物に変化する。これは結果的に、反応性ガスとして活性化された一酸化炭素ガスを単独で用いて、磁性体薄膜の露出部をハロゲン化することなく直接カルボニル化させたときよりも、極めて高い蒸気圧を有するFe,CoあるいはNiのカルボニル系化合物が生成するまでの時間が短縮化されることになり、ひいては低温かつ短時間で磁性体薄膜を加工することが可能となる。なおここでは、磁性体薄膜の露出部に対し、反応性ガスとして併用される活性化されたハロゲン系ガスと活性化された一酸化炭素ガスとを同時に供給してもよいし、まず活性化されたハロゲン系ガスを供給し続いて活性化された一酸化炭素を含有する反応性ガスを供給しても構わない。
【0014】
さらに、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素を活性化された一酸化炭素とともに磁性体薄膜の露出部に供給すれば、これが磁性体薄膜の露出部のカルボニル化の際にFe,CoあるいはNiの還元剤として機能し、磁性体薄膜の加工速度が一段と高められる。すなわち、ここで磁性体薄膜の露出部に生成されるカルボニル系化合物では、配位子COが中心金属に対し電子供与体のみならず電子受容体にもなるので、中心金属は低原子価である方がカルボニル系化合物は生成されやすく、上述したような還元剤は中心金属の価数を低減してカルボニル系化合物の生成の促進に大きく寄与する。
【0015】
本願第1、2の発明において、還元剤となる元素の供給に当っては、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの単体を用い、水素化リチウム等の水素化物、ナトリウムアマルガム等のアマルガム、有機リチウム、有機アルミニウム等の有機金属のようにこれらを含有する化合物を用いることもできる。また、このようなLi,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種を含有する還元剤成分は固体、液体、気体のいずれの形態であってもよく、還元剤成分の形態に応じて、磁性体薄膜が形成された試料が設置される反応室のガス導入系または試料の近傍に還元剤成分を適宜配置することで、磁性体薄膜の露出部に還元剤となる元素を供給することができる。
【0016】
具体的には、例えばハロゲン系ガス供給源、一酸化炭素ガス供給源、キャリアガス供給源等のガス供給源と反応室の間のガス流路またはこのようなガスのガス導入系としてのガス導入ポート近傍に、粉末状、メッシュ状等の還元剤成分を配置する。さらにここでは、少なくとも一酸化炭素ガス等装置中で一酸化炭素の活性種を生成するガスについて、ガス供給源と反応室の間のガス流路やガス導入ポート近傍に還元剤成分を配置することが好ましい。また試料の近傍に還元剤成分を配置する場合は、還元剤成分の粉末、小片を試料の周囲に望ましくは均等に配置すればよい。ただし、試料の中心から著しく離隔した周囲に還元剤成分を配置することは好ましくなく、還元剤成分は少なくとも反応性ガスが到達する範囲内に配置される必要がある。さらに還元剤成分が室温近傍で充分な蒸気圧を有するか、ジメチルアルミニウムハイドライド、トリイソブチルアルミニウム等のように室温で気体である場合は、ハロゲン系ガスや一酸化炭素ガスの導入と同様の方法で還元剤成分の蒸気を直接装置中に導入してもよい。また、還元剤成分の溶液をバブラーに収容したうえで、キャリアガスをこのバブラーに通じてキャリアガスに還元剤成分を混入させ、これを装置中に導入することも可能である。
【0017】
なお、上述したように活性化されたハロゲン元素及び活性化された一酸化炭素を含有する反応性ガスを磁性体薄膜の露出部に供給する場合や、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素を活性化された一酸化炭素とともに磁性体薄膜の露出部に供給する場合も、一酸化炭素ガスのかわりに二酸化炭素ガスを装置中に導入し、装置中でこの二酸化炭素ガスを還元せしめて最終的に一酸化炭素の活性種を生成させることが可能である。また、ギ酸、アセトアルデヒド、エチルメチルケトン等COを含有する有機化合物を用い、紫外光照射等の光学的方法を利用して有機化合物中の結合を選択的に切断し、一酸化炭素の活性種を生成させても構わない。
【0018】
さらに本願第3の発明においては、少なくとも炭化水素系五員環化合物のガスが活性化され、この活性化された炭化水素系五員環化合物のガスが、あらかじめ所定のパターンを有するマスクで被覆されたFe,CoまたはNiを含有する磁性材料からなる磁性体薄膜の露出部に反応性ガスとして供給される。このとき、磁性体薄膜の露出部にはFe(C やNi(C のようなフェロセン系化合物が生成し、前記フェロセン系化合物はやはりハロゲン化物に比べ高い蒸気圧を有しているので、本願第3の発明によれば低温での磁性体薄膜の加工が可能となる。ここで、前記炭化水素系五員環化合物としては具体的にはシクロペンタジエン及びその誘導体等が例示され、本願第3の発明ではこれらのガスを磁性体薄膜を設置した装置中に直接導入すればよい。さらに、一酸化炭素ガスまたは二酸化炭素ガス及び還元性ガスを装置中に併せて導入し、活性化された一酸化炭素及び活性化された炭化水素系五員環化合物を含有する反応性ガスを磁性体薄膜の露出部に供給してもよい。
【0019】
本発明において上述したようなガスの活性化には、プラズマ励起等の電気的方法、紫外光照射等の光学的方法、加熱等の熱的方法等が利用可能である。さらに、これらを併用することもできるが、少なくともプラズマ励起等の電気的方法を利用して、反応性ガスプラズマを磁性体薄膜の露出部に供給することが好ましい。
【0020】
また本発明では、通常基板上に形成された磁性体薄膜上にまず所定のパターンを有するマスクが配置されるが、このときのマスクとしてはレジスト、カーボン、珪素酸化物、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム等を用いることができる。さらに前記基板としては特に限定されず、通常フェライト基板、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられるが、本発明においては特に低温での磁性体薄膜の加工が可能であるため、樹脂基板を用いてもよい。
【0021】
本発明は、具体的にはFe,Co,Ni単体やこれらの合金のほか、Fe−N,Fe−Si−Al,Co−Fe−N,Co−Zr−Nb,Co−Fe−Si−B等の磁性材料からなる磁性体薄膜に広く適用可能である。すなわち本発明の磁性体薄膜の加工方法は、このような磁性材料との間で高い蒸気圧を有する反応生成物を容易に生成し得る反応性ガスを用いているので、前記磁性体薄膜を低温でも高い加工速度で精度よく選択的に一括加工することができる。なお本発明では、より反応生成物の蒸気圧を高めて加工時間を短縮するために、基板温度を磁性体デバイスの製造プロセス上許容される温度まで加熱してもよく、また活性化した反応性ガスあるいは必要に応じこの反応性ガスと適宜併用されるAr等の希ガスに例えば電気的にエネルギーを付与して加速させ、磁性体薄膜の露出部に供給することもできる。
【0022】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を示す。
実施例1
まず、図1に本実施例で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図を示し、この装置について説明する。図1において、1は反応室、21は電力投入電極、22は試料支持板、3は試料、4は容量結合型高周波電源、5は対向電極、61はハロゲン系ガス供給源、62はガス流量制御系、63はハロゲン系ガス放出リング、71はキャリアガス供給源、72は純水または水を含有する液体等を収納するバブラー、73はバブラー温度制御用バス、74は水蒸気含有ガス放出リング、75はバルブ、8はガス排出系、91は試料加熱用赤外線ランプ、92は集光用ランプハウジング、93は石英製窓である。反応室1は特に加熱する必要はないが、導入した水蒸気が結露することを防止するためにバブラー温度制御用バス73で設定された温度以上に保持されることが好ましく、ここでは加熱機構(図示せず)を設けた。また、試料支持板22としては電力投入電極21と同一材料で構成してもよいが、パターニングを施す磁性体薄膜とのエッチング選択比の大きい材料で構成することが好ましく、アルミナやシリカを用いればよい。
【0023】
さらに容量結合型高周波電源4には、13.56MHzの商用周波数電源及び一般的な整合回路を使用した。また、対向電極5にはSUSを用いて電気的に接地電位とし、その中央部は試料加熱用赤外線ランプ91からの光が透過するようにメッシュ状とした。なお対向電極5がなくても磁性体薄膜の加工は可能であるが、本実施例ではプラズマの安定性を考慮して対向電極5を設けた。
【0024】
また図1に示した装置では、ハロゲン系ガス供給源61、ガス流量制御系62、ハロゲン系ガス放出リング63がハロゲン系ガス導入系を構成し、キャリアガス供給源71、バブラー72、バブラー温度制御用バス73、水蒸気含有ガス放出リング74、バブル75が水蒸気含有ガス導入系を構成するが、ハロゲン系ガス放出リング63及び水蒸気含有ガス放出リング74は特に設ける必要はなく、反応室1の内壁からガスを導入することもできる。ただし本実施例においては、ハロゲン系ガス放出リング63及び水蒸気含有ガス放出リング74に形成した多数の開口部からガスを放出して、ガスの一様性を高めた。ガス排出系8では、主排気ポンプとして拡散ポンプを使用してもよいが、排気特性の安定性の点でターボポンプ、クライオポンプのようなドライポンプを使用することが好ましい。特にターボポンプを使用する場合は、バックを排気するロータリーポンプの前段にコンダクタンスをさほど低下させない程度にハロゲン系ガス及び水蒸気のトラップを設けることが好ましく、このとき安全上ロータリーのアウト側にハロゲン系ガスのトラップを設けた方がよく、さらに装置全体をビニールシート等で覆い局所排気ダクトに連結することが望まれる。また、パージ用ガス導入系を付設して反応室1のパージを行なうことも可能であるが、このときは粗排気系のポンプ前段にトラップを設けることが好ましい。
【0025】
さらに試料加熱用赤外線ランプ91、集光用ランプハウジング92、石英製窓93は、加工時間の短縮を目的とする基板温度の加熱を行なうために設けたもので、磁性体薄膜の低温での加工が可能な本発明においては、これらを取り外して装置を簡略化することもできる。また、試料加熱用赤外線ランプ91のかわりに電力投入電極21内部にヒータを設けることも可能であり、基板温度の加熱手段は何らこれに限定されない。
【0026】
次に本実施例の試料3について説明する。本実施例の試料3では、シリコン基板上に形成された10atm%Fe−90atm%Co合金からなる厚さ1μmのFe−Co合金膜を磁性体薄膜として、この磁性体薄膜上に所定のラインアンドスペースのパターンを有する厚さ0.3μmのマスクを配置した。具体的には、表面に熱酸化膜を有するシリコンウェハ上に磁性体薄膜及び珪素酸化物薄膜を連続してスパッタ形成して、続いて珪素酸化物薄膜上に幅1μm、周期2μmのラインアンドスペースからなるレジストパターンをフォトリソグラフィー技術を用いて形成し、珪素酸化物薄膜をCHF ガスを用いたエッチングによりパターニングして所定のパターンを有するマスクとした後、酸素ガスを用いたアッシングによりレジストを除去した。なおこの酸素ガスを用いたアッシングの際は、磁性体薄膜の露出部の表面酸化をできる限り防止することが好ましく、本実施例では磁性体薄膜の加工の前に、Arによる試料表面のスパッタエッチング処理を施した。またこのスパッタエッチング処理に当っては、バブラー72を介することなくArをキャリアガス供給源71からバイパス(図示せず)を通じて反応室1に導入したが、装置にArガス導入系を別設することも可能である。
【0027】
上述したような試料3に対し、図1に示した装置を使用して以下の通り磁性体薄膜を加工した。まず試料支持板22上に試料3を設置し、反応室1を真空密閉した後ガス排出系8を動作させて反応室1内を10−6Torrまで排気した。続いて、ハロゲン系ガス供給源61からガス流量制御系62、ハロゲン系ガス放出リング63を通じて反応室1内に塩素ガスを100sccmの流量で導入する一方、ガス排出系8のコンダクタンスバルブを操作して反応室1内の圧力を50mTorrとした。次に、バブラー温度制御用バス73を動作させてバブラー72内に収納された水の温度を45℃とし、キャリアガス供給源71からバブラー72、水蒸気含有ガス放出リング74、バルブ75を通じて反応室1内に水蒸気含有ガスを10sccmの流量で導入した。このとき、45℃、1atmでの水の飽和蒸気圧は72Torrであるので水蒸気の導入流量は0.95sccmとなり、またキャリアガスとしては前述したようにArを用いた。
【0028】
次に、試料加熱用赤外線ランプ91を点灯して集光用ランプハウジング92、石英製窓93を介して試料3に赤外線を集光照射し、試料3の温度を230℃まで昇温する一方、容量結合型高周波電源4を動作させて電力投入電極21に300Wの高周波電力を投入し、試料支持板22と対向電極5の間でプラズマを励起せしめ、反応室1内に導入された反応性ガスを活性化して試料3について磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なった。このとき、試料支持板22の上部に1cm程度の厚さの陰極降下部が形成され、その上部でグロー放電が発生していることが観察された。予備実験に基づき、エッチングの時間を露出部の磁性体薄膜が全て除去される10分間とし、この後ハロゲン系ガス及び水蒸気含有ガスの導入を停止した。またほぼ同時に、容量結合型高周波電源4の動作を停止するとともに試料加熱用赤外線ランプ91を消灯した。さらに、ガス排出系8を動作させて反応室1内に残存するハロゲン系ガスを排出しながら、電力投入電極21に内蔵された水冷管(図示せず)に通水して試料3の温度を数十℃まで冷却した。
【0029】
次いで、パージ用ガス導入系(図示せず)から窒素ガスを反応室1内に導入して排気する操作を3回繰り返し反応室1内を清浄化した後、反応室1を大気圧として試料3を取り出した。続いて、別の装置中でのCHF ガスを用いたエッチングにより試料3からマスクを除去し、再度取り出した試料3の断面をSEM観察して磁性体薄膜の形状を調べた。この結果、磁性体薄膜には微細なラインアンドスペースのパターンが精度よく形成されていることが確認された。さらに別の実験から、上述したような磁性体薄膜のプラズマエッチング時における磁性体薄膜とマスクとのエッチング選択比は約10であり、またマスク除去時のマスクと磁性体薄膜とのエッチング選択比は約20で、いずれの場合も良好な材料選択性を有していることが判った。
【0030】
一方比較のため、キャリアガス供給源71からバブラー72、水蒸気含有ガス放出リング74、バルブ75を通じて反応室1内に水蒸気含有ガスを導入しなかった以外は全く同様にして、試料3に対し磁性体薄膜の加工を試みた。しかしながら試料3の温度が200℃の条件では、磁性体薄膜の露出部表面に反応生成物として塩化物が生成したものの、この塩化物の蒸気圧が低いため磁性体薄膜を選択的にエッチングすることができず、磁性体薄膜及びマスクとも物理的なスパッタエッチングが僅かながら進行した。なおこの場合は、試料3の温度を500℃以上に昇温したとき、磁性体薄膜の選択的なエッチングを行なうことが可能となった。
実施例2
図2に、本実施例で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図を示す。図2において10は反応室であり、反応室10の一方の側面にはガス導入系としてガス導入ポート20、コンダクタンスバルブ50及びガス供給源40が設けられ、ガス供給源40からガス供給量調節用のコンダクタンスバルブ50を介して反応室10内に反応性ガスが導入される。また反応室10の他の側面にはガス排出系としてガス排出ポート30、排気バルブ70及び排気系60が設けられ、排気系60により排気バルブ70を介して反応室10内のガスが排出される。なお図2中、11は試料支持板22に高周波を印加するための高周波電源である。
【0031】
さらに反応室10内には、試料支持板22とアノード板90とが対向配置されており、試料支持板22は試料31の温度を調節するための昇温冷却機80に装着され、試料支持板22上に試料31が設置される構成を有している。また本実施例では、シリコン基板上に磁性体薄膜として厚さ2μmのパーマロイ(19atm%Fe−81atm%Ni)膜、所定のパターンを有するマスクとしての厚さ3μm、幅4μmの酸化アルミニウム膜を順次形成することにより、試料31を作成した。
【0032】
このような試料31に対し、図2に示した装置を使用して以下の通り磁性体薄膜を加工した。まず試料支持板22上に試料31を設置し、反応室10を真空密閉した後排気系60により反応室1内を10−6Torrまで排気した。続いて、ガス供給源40からコンダクタンスバルブ50を介して反応室10内に一酸化炭素ガスを50sccmの流量で導入する一方、排気バルブ70を操作して反応室1内の圧力を50mTorrとした。次に、昇温冷却機80を動作させて試料支持板22の温度を170℃に設定する一方、高周波電源4を動作させて試料支持板22に高周波を印加した。このとき、試料支持板22に投入される電力密度は1.0W/cm として反応室10内にプラズマを励起せしめ、反応室10内に導入された反応性ガスを活性化して試料31について磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なった。
【0033】
次いで試料31を反応室10より取り出し、取り出した試料31の断面を観察して磁性体薄膜の形状を調べた。この結果、磁性体薄膜には幅4μmで側面がほぼ垂直の凸状パターンが精度よく形成されており、エッチング前後のパターン変換差がほとんどないことが確認された。またエッチングの際の磁性体薄膜の加工速度も、約50オングストローム/分と良好であった。
【0034】
さらに、一酸化炭素ガスのかわりに炭化水素系五員環化合物であるシクロペンタジエンのガスを反応室10内に導入し、試料支持板22の温度を170℃に設定して試料31について全く同様に磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なったところ、約40オングストローム/分の加工速度でエッチング前後のパターン変換差がほとんどない微細なパターンが精度よく形成された。
実施例3
まず、図3に本実施例で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図を示し、この装置について説明する。図3において、1は反応室、21は電力投入電極、22は試料支持板、23は試料加熱用ヒータ、32は試料、4は容量結合型高周波電源、51は対向電極、7はガス導入系、8はガス排出系である。ここで、反応室1及び対向電極51にはSUSを用い、試料支持板22としては耐エッチング性に優れ反応室1内の不純物汚染を招くおそれの少ない石英を用いた。なお対向電極51がなくても磁性体薄膜の加工は可能であるが、本実施例ではプラズマの安定性を考慮して対向電極51を設けた。また容量結合型高周波電源4の周波数は13.56MHzとしたが、これと異なる周波数であっても反応室1内でプラズマを励起するための高周波電力を電力投入電極21に投入することは可能である。さらにこのとき、容量結合型高周波電源4のかわりに誘導結合型の高周波電源を使用しても構わない。
【0035】
ガス導入系7は、1系統の配管を通じて二酸化炭素ガスと還元性ガスとしての水素ガスとの混合ガスを反応室1内に導入する構成としたが、2系統の配管から混合比を適宜調整して二酸化炭素ガスと水素ガスを反応室1内に導入することも可能であり、さらに二酸化炭素ガスと水素ガス以外のガス導入用の配管が付設されてもよい。ただし、1系統の配管を設けることがコスト的には好ましい。またガス排出系8としては、拡散ポンプ、ブースタポンプ、ターボポンプ、クライオポンプ、あるいはこれらの組み合わせ等特に限定されないが、本実施例では強い毒性を有する一酸化炭素ガスが生成することを考慮して、ターボポンプとバックを排気するケミカルタイプのロータリーポンプを使用し、ロータリーのアウト側に一酸化炭素ガスの処理手段を設けた。
【0036】
次に本実施例の試料32について説明すると、本実施例の試料32においてはシリコン基板上に形成された厚さ1μmのFeスパッタ膜を磁性体薄膜として、この磁性体薄膜上に幅1μm、周期2μmのラインアンドスペースからなる厚さ3μmの酸化アルミニウムの膜パターンを形成し、所定のパターンを有するマスクとした。
【0037】
このような試料32に対し、図3に示した装置を使用して以下の通り磁性体薄膜を加工した。まず試料支持板22上に試料32を設置し、反応室1を真空密閉した後ガス排出系8を動作させて反応室1内を10−6Torrまで排気した。続いて、試料加熱用ヒータ23に通電して試料の温度を220℃まで昇温した後、ガス導入系7から二酸化炭素ガスと水素ガスが1:1で混合された混合ガスを100sccmの流量で導入する一方、ガス排出系8のコンダクタンスバルブを操作して反応室1内の圧力を50mTorrとした。
【0038】
次に、容量結合型高周波電源4を動作させて電力投入電極21に300Wの高周波電力を投入し、試料支持板22と対向電極51の間でプラズマを励起せしめ、反応室1内に導入された反応性ガスを活性化して試料32について磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なった。このとき、試料支持板22の上部に1cm程度の厚さの陰極降下部が形成され、その上部でグロー放電が発生していることが観察された。予備実験に基づき、エッチングの時間を露出部の磁性体薄膜が全て除去される8分間とし、この後二酸化炭素ガスと水素ガスとの混合ガスの導入を停止した。またほぼ同時に、容量結合型高周波電源4の動作及び試料加熱用ヒータ23への通電を停止し、ガス排出系8を動作させて試料32の温度が充分に低下するまで反応室1内を排気した。
【0039】
次いで、パージ用ガス導入系(図示せず)から窒素ガスを反応室1内に導入して排気する操作を5回繰り返し反応室1内を清浄化した後、反応室1を大気圧として試料32を酸素アッシング装置に移し、ルーチン的条件でマスクを除去した。続いて前記酸素アッシング装置から取り出した試料32の断面をSEM観察して磁性体薄膜の形状を調べた。この結果、磁性体薄膜には残渣のない微細なラインアンドスペースのパターンが精度よく形成されていることが確認された。さらに別の実験から、上述したような磁性体薄膜のプラズマエッチング時における磁性体薄膜とマスクとのエッチング選択比は10以上であり、良好な材料選択性を有していることが判った。
実施例4
図4に本実施例で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図を示し、この装置について説明する。図4において、1は反応室、2はパージ用ガス導入系、21は電力投入電極、22は試料支持板、33は試料、4は容量結合型高周波電源、5は対向電極、61はハロゲン系ガス供給源、62はガス流量制御系、63はハロゲン系ガス放出リング、41は一酸化炭素ガス供給源、42はガス流量制御系、43は一酸化炭素ガス放出リング、8はガス排出系、91は試料加熱用赤外線ランプ、92は集光用ランプハウジング、93は石英製窓である。なおここで、試料支持板22としては電力投入電極21と同一材料で構成してもよいが、パターニングを施す磁性体薄膜とのエッチング選択比の大きい材料で構成することが好ましく、アルミナやシリカを用いればよい。
【0040】
さらに容量結合型高周波電源4には、13.56MHzの商用周波数電源及び一般的な整合回路を使用した。また、対向電極5にはSUSを用いて電気的に接地電位とし、その中央部は試料加熱用赤外線ランプ91からの光が透過するようにメッシュ状とした。なお対向電極5がなくても磁性体薄膜の加工は可能であるが、本実施例ではプラズマの安定性を考慮して対向電極5を設けた。
【0041】
また図4に示した装置では、ハロゲン系ガス供給源61、ガス流量制御系62、ハロゲン系ガス放出リング63がハロゲン系ガス導入系を構成し、一酸化炭素ガス供給源41、ガス流量制御系42、一酸化炭素ガス放出リング43が一酸化炭素ガス導入系を構成するが、ハロゲン系ガス放出リング63及び一酸化炭素ガス放出リング43は特に設ける必要はなく、反応室1の内壁からガスを導入することもできる。ただし本実施例においては、ハロゲン系ガス放出リング63及び一酸化炭素ガス放出リング43に形成した多数の開口部からガスを放出し、ガスの一様性を高めた。ガス排出系8では、強い毒性を有する一酸化炭素ガスを排気することを考慮して、ターボポンプとバックを排気するケミカルタイプのロータリーポンプを使用し、ロータリーのアウト側にハロゲン系ガス及び一酸化炭素ガスの処理手段を設けたうえで、装置全体をビニールシートで覆い局所排気ダクトに連結した。また、反応室1のパージを行なうためのパージ用ガス導入系2も付設した。なお、一酸化炭素ガスのかわりに二酸化炭素ガスを用いて活性化された一酸化炭素を生成させる場合も、生成した一酸化炭素ガスを排気する観点から、ガス導入系や排気系を同様に構成することが望まれる。
【0042】
さらに試料加熱用赤外線ランプ91、集光用ランプハウジング92、石英製窓93は、加工時間の短縮を目的とする基板温度の加熱を行なうために設けたもので、磁性体薄膜の低温での加工が可能な本発明においては、これらを取り外して装置を簡略化することもできる。また、試料加熱用赤外線ランプ91のかわりに電力投入電極21内部にヒータを設けることも可能であり、基板温度の加熱手段は何らこれに限定されない。
【0043】
次に本実施例の試料33について説明する。本実施例の試料33では、シリコン基板上に形成された10atm%Fe−90atm%Co合金からなる厚さ1μmのFe−Co合金膜を磁性体薄膜として、この磁性体薄膜上に所定のラインアンドスペースのパターンを有する厚さ0.3μmのマスクを配置した。具体的には、表面に熱酸化膜を有するシリコンウェハ上に磁性体薄膜及び酸化アルミニウム薄膜を連続してスパッタ形成して、続いて酸化アルミニウム薄膜上に幅1μm、周期2μmのラインアンドスペースからなるレジストパターンをフォトリソグラフィー技術を用いて形成し、酸化アルミニウム薄膜をCHF ガスを用いたエッチングによりパターニングして所定のパターンを有するマスクとした後、酸素ガスを用いたアッシングによりレジストを除去した。なおこの酸素ガスを用いたアッシングの際は、磁性体薄膜の露出部の表面酸化をできる限り防止することが好ましく、本実施例では磁性体薄膜の加工の前に、Arによる試料表面のスパッタエッチング処理を施して表面の酸化層を除去した。
【0044】
上述したような試料33に対し、図4に示した装置を使用して以下の通り磁性体薄膜を加工した。まず試料支持板22上に試料33を設置し、反応室1を真空密閉した後ガス排出系8を動作させて反応室1内を10−6Torrまで排気した。続いて、ハロゲン系ガス供給源61からガス流量制御系62、ハロゲン系ガス放出リング63を通じて反応室1内に塩素ガスを100sccmの流量で導入する一方、ガス排出系8のコンダクタンスバブルを操作して反応室1内の圧力を50mTorrとした。次に、一酸化炭素ガス供給源41からガス流量制御系42、一酸化炭素ガス放出リング43を通じて反応室1内に一酸化炭素ガスを50sccmの流量で導入した。
【0045】
次に、試料加熱用赤外線ランプ91を点灯して集光用ランプハウジング92、石英製窓93を介して試料3に赤外線を集光照射し、試料33の温度を200℃まで昇温する一方、容量結合型高周波電源4を動作させて電力投入電極21に300Wの高周波電力を投入し、試料支持板22と対向電極5の間でプラズマを励起せしめ、反応室1内に導入された反応性ガスを活性化して試料33について磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なった。このとき、試料支持板22の上部に1cm程度の厚さの陰極降下部が形成され、その上部でグロー放電が発生していることが観察された。予備実験に基づき、エッチングの時間を露出部の磁性体薄膜が全て除去される20分間とし、この後ハロゲン系ガス及び一酸化炭素ガスの導入を停止した。またほぼ同時に、容量結合型高周波電源4の動作を停止するとともに試料加熱用赤外線ランプ91を消灯した。さらに、ガス排出系8を動作させて反応室1内に残存するハロゲン系ガス及び一酸化炭素ガスを排出しながら、電力投入電極21に内蔵された水冷管(図示せず)に通水して試料33の温度を数十℃まで冷却した。
【0046】
次いで、パージ用ガス導入系2から窒素ガスを反応室1内に導入して排気する操作を3回繰り返し反応室1内を清浄化した後、反応室1を大気圧として試料33を取り出した。続いて、別の装置中でのCHF ガスを用いたエッチングにより試料33からマスクを除去し、再度取り出した試料33の断面をSEM観察して磁性体薄膜の形状を調べた。この結果、約500オングストローム/分の高い加工速度で、磁性体薄膜に微細なラインアンドスペースのパターンが精度よく形成されていることが確認された。さらに別の実験から、上述したような磁性体薄膜のプラズマエッチング時における磁性体薄膜とマスクとのエッチング選択比は約10であり、またマスク除去時のマスクと磁性体薄膜とのエッチング選択比は約20で、いずれの場合も良好な材料選択性を有していることが判った。
【0047】
一方比較のため、ハロゲン系ガス供給源61からバブラー62、ハロゲン系ガス放出リング63を通じて反応室1内に塩素ガスを導入しなかった以外は全く同様にして、試料33について磁性体薄膜の加工を行なったところ加工速度が低下した。
実施例5
図5に、本実施例で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図を示す。図5において10は反応室であり、反応室10の一方の側面には、ハロゲン系ガス導入系としてハロゲン系ガス導入ポート28、コンダクタンスバルブ58及びハロゲン系ガス供給源48、並びに一酸化炭素ガス導入系として一酸化炭素ガス導入ポート29、コンダクタンスバルブ59及び一酸化炭素ガス供給源49が設けられ、ハロゲン系ガス供給源48及び一酸化炭素ガス供給源49からガス供給量調節用のコンダクタンスバルブ58,59を介して反応室10内に反応性ガスが導入される。また反応室10の他の側面には、ガス排出系としてガス排出ポート30、排気バルブ70及び排気系60、並びにパージ用ガス導入系としてパージ用ガス導入ポート39及びパージ用ガス供給源19が設けられている。ここでは、排気系60により排気バルブ70を介して反応室10内のガスが排出され、パージ用ガス供給源19からパージ用ガス導入ポート39を介して反応室1内にパージ用ガスが導入されて、反応室1のパージが行なわれる。なお図5中、11は試料支持板22に高周波を印加するための高周波電源である。
【0048】
さらに反応室10内には、試料支持板22とアノード板90とが対向配置されており、試料支持板22は試料34の温度を調節するための昇温冷却機80に装着され、試料支持板22上に試料34が設置される構成を有している。さらに、試料支持板22上には試料34を取り囲むように、試料34における磁性体薄膜の露出部をカルボニル化する際の還元剤成分であるCuの小片6を配置した。また本実施例では、シリコン基板上に磁性体薄膜として厚さ1μmのパーマロイ(19atm%Fe−81atm%Ni)膜、所定のパターンを有するマスクとしての酸化アルミニウム膜を順次形成することにより、試料34を作成した。
【0049】
このような試料34に対し、図5に示した装置を使用して以下の通り磁性体薄膜を加工した。まず試料支持板22上に試料34を設置し、反応室10を真空密閉した後排気系60により反応室1内を10−6Torrまで排気した。続いて、ハロゲン系ガス供給源48からコンダクタンスバルブ58を介して反応室10内に塩素ガスを100sccnの流量で導入し、かつ一酸化炭素ガス供給源49からコンダクタンスバルブ59を介して反応室10内に一酸化炭素ガスを50sccmの流量で導入する一方、排気バルブ70を操作して反応室1内の圧力を50mTorrとした。次に、昇温冷却機80を動作させて試料支持板22の温度を200℃に設定する一方、高周波電源4を動作させて試料支持板22に高周波を印加した。このとき、試料支持板22に投入される電力密度は1.0W/cm として反応室10内にプラズマを励起せしめ、反応室10内に導入された反応性ガスを活性化して試料34について磁性体薄膜のプラズマエッチングを行なった。
【0050】
次いで試料34を反応室10より取り出し、取り出した試料34の断面を観察して磁性体薄膜の形状を調べた。この結果、磁性体薄膜には側面がほぼ垂直の凸状パターンが精度よく形成されていることが確認された。またエッチングの際の磁性体薄膜の加工速度は、約1000オングストローム/分と極めて優れていた。一方比較のため、試料支持板22上にCuの小片6を配置しなかった以外は全く同様にして、試料34について磁性体薄膜の加工を行なったところ加工速度が低下した。
【0051】
さらに、一酸化炭素ガスのかわりに二酸化炭素ガスを反応室10内に導入した以外は全く同様にして、試料34について磁性体薄膜の加工を行なったところ、約800オングストローム/分の加工速度で、磁性体薄膜に微細なパターンが精度よく形成された。また、一酸化炭素ガスのかわりに二酸化炭素ガスと還元性ガスとしての水素ガスとの混合ガスを用いた場合は、約900オングストローム/分の加工速度で、磁性体薄膜に微細なパターンを精度よく形成できた。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、材料選択性、経済性に優れ、低温でも磁性体薄膜に微細なパターニングを精度よく施すことが可能な磁性体薄膜の加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図。
【図2】実施例2で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図。
【図3】実施例3で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図。
【図4】実施例4で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図。
【図5】実施例5で磁性体薄膜の加工に使用した装置の概略構成図。
【図6】Fe,Niのカルボニル系化合物及びハロゲン化物の蒸気圧曲線を示す特性図。
【符号の説明】
1,10…反応室、3,31,32,33,34…試料、7…ガス導入系、8…ガス排出系、48,61…ハロゲン系ガス供給源、41,49…一酸化炭素ガス供給源。

Claims (3)

  1. Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが、二酸化炭素ガスと、水素ガス、ジボラン、ホスフィン、シランから選ばれる還元性ガスとを含有し、前記二酸化炭素ガス及び還元性ガスの当量比が8:2〜2:8の範囲内であり、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素がさらに磁性体薄膜の露出部に供給されることを特徴とする磁性体薄膜の加工方法。
  2. Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが活性化されたハロゲン系ガス及び活性化された一酸化炭素を含有し、Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Al,Zn,Cuの少なくとも1種の元素がさらに磁性体薄膜の露出部に供給されることを特徴とする磁性体薄膜の加工方法。
  3. Fe,Co及びNiの少なくとも1種を含有する磁性材料からなる磁性体薄膜上に所定のパターンを有するマスクを配置し、前記磁性体薄膜の露出部に反応性ガスを供給して前記磁性材料と反応させた後露出部の磁性体薄膜を除去することにより前記磁性体薄膜に所望のパターニングを施す磁性体薄膜の加工方法であって、前記反応性ガスが活性化された炭化水素系五員環化合物を含有することを特徴とする磁性体薄膜の加工方法。
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