JP3567920B2 - データ通信方法及び電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、制御信号と情報信号とをパケットにて伝送するバスで接続されたデータ通信方法、ネットワークシステム及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばビデオテープレコーダ(以下、VTRという)、テレビジョン受像機(以下、TVという)等のAV機器をディジタル通信線で接続し、AV信号をパケットで伝送する通信システムとしてはD2B(Domestic Digital Bus)を用いた通信システムが考えられている。
【0003】
まず、図19を参照しながらこのような通信システムの1例を説明する。この通信システムは、AV機器としてTV、ビデオカメラ(以下、CAMという)、VTR−A及びVTR−Bを備えている。そして、CAMの出力プラグP3とTVの入力プラグP1、VTR−Aの出力プラグP3とVTR−Bの入力プラグP1、TVの出力プラグP3とVTR−Aの入力プラグP1の間はAV信号を一方向にのみ伝送できるAV信号線L1,L2,L3により接続されている。また、CAMとVTR−A、VTR−AとVTR−B、TVとVTR−Aの間は制御信号を双方向に伝送できる制御信号線(バス)D1,D2 ,D3により接続されている。そして、各AV機器は制御信号とAV信号の入出力機能を持っているので、例えばCAMとTV又はVTR−B間で制御信号の双方向伝送ができるし、CAMからVTR−A又はVTR−BへAV信号を送信することができる。
【0004】
図20は、図19の通信システムにおける各AV機器の要部構成を示す。各AV機器のAV信号の入出力プラグは、スイッチボックス(SWBox)と呼ばれる機能単位から直接外部に露出するようにP1,P2,P3と番号だけで記され、AV信号線により他のAV機器の入出力プラグに接続されている。また、他のAV機器とはAV信号線とは別に制御信号線がバス接続されており、接続制御等のコマンドが送受される。さらに、各AV機器はそれぞれが本来持っている機能単位、例えばVTRであれば記録・再生を行うデッキと受信信号を選択するチューナー、TVであればモニターとアンプを備えている。また、図示されていないが、AV機器全体の動作を制御するAVC(AVコントローラ)を備えている。以下、本明細書ではこれらの機能単位をサブデバイスという。
【0005】
このように構成された通信システムにおいて、制御接続を行う方法が2種類考えられている。以下、これらを接続制御手法1及び接続制御手法2と呼び、順番に説明する。
【0006】
接続制御手法1では、各AV機器は、プラグごとにどんな相手AV機器のどの番号のプラグに、入出力どちらの方向で接続されているかという接続構成情報をあらかじめユーザーが設定することにより保持している。これによって、接続制御コマンドを受けた際に、目的に応じるように、AV信号のソースとなるサブデバイスとディスティネーションに到達すると思われる出力プラグを接続し、若しくは指定された番号の入力プラグと適当な出力プラグを接続してAV機器内を通過させると共に、出力プラグの先につながっているAV機器にコマンドを伝搬する。そして、ディスティネーションに指定された特定のAV機器内のサブデバイスにコマンドが到達した時点で目的が達成される。
【0007】
このとき、非バス対応AV機器に対しては、制御信号線を介してコマンドを伝搬することができないため、それに接続されているAV機器のプラグ番号を直接指定する。例えば、図20のVTRデバイスBのプラグP2に非バス対応AV機器が接続されている場合、この非バス対応AV機器に対する接続制御は、VTRデバイスBのプラグP2を指定することにより行う。
【0008】
次に、接続制御手法2では、中心となる一台のAV機器(以下、AVセンターという)は、各AV機器のプラグごとにどんな相手AV機器のどの番号のポートにどちらの方向(In/Out)で接続されているかという接続情報を全て管理している。そして、制御信号線を介してAV信号接続を依頼するコマンドを受けると、そのコマンドを制御信号線を介して目的のAV機器に送信する。目的のAV機器はこのコマンドを受信し、入力の切換えを行う。
【0009】
このとき、コマンドマスターからの最初の接続依頼でサブデバイスをカテゴリー(BSチューナー、Hi8デッキ等)で指定することが可能である。但し、接続依頼の時点でのプラグ指定は、構造を知っている自分の中のプラグのみ可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記接続制御手法1では、コマンドを順次隣接するAV機器へ伝搬することによって、制御信号線が混雑する。また、途中に介在するAV機器の設定によっては無限ループとなる可能性がある。さらに、プラグ番号を直接指定するためには、コマンドマスターが制御したいAV機器の構成、さらにはシステム全体のAV機器の接続構成を知っていることが必要である。
【0011】
また、接続制御手法2では、自分のプラグの先に接続されている相手との単純な接続であっても、必ずAVセンターに依頼しなければ実現できない。また、接続依頼のときにサブデバイスのカテゴリーで指定できるが、プラグ指定は構造を知っている自分の中のプラグのみしかできない。
【0012】
さらに、どちらの接続制御手法においても、接続依頼を行ったAV機器と目的のAV機器との間に他のAV機器が存在する場合には、間に存在する全てのAV機器を経由してAV信号の入出力の設定を行う必要がある。したがって、システムを構成するAV機器が増えれば増えるほど、入出力の設定をする必要のあるAV機器数が増え、制御が複雑になる。このため、システム構成を限定するなどの措置が必要となる。また、AV信号線はAV機器の電源がONであるときのみ信号の伝送が可能であるため、経由する全てのAV機器の電源がONであることが必要である。
【0013】
本発明はこのような問題点を解決することのできるデータ通信方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能なデジタルバスを介して複数の電子機器が接続されたネットワークシステムにおいて利用されるデータ通信方法において、上記情報信号は同期通信パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになし、上記ネットワークシステムに含まれる各電子機器同士は、1本のケーブルを介して接続されるようになし、上記ネットワークシステムに含まれる第1の電子機器が上記ネットワークシステムに同様に含まれる第2の電子機器に対して情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、上記第2の電子機器が上記出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記第1の電子機器へ返答し、上記第1の電子機器が上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力するようにしたものである。
さらには、本発明は、非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能なデジタルバスを介して複数の電子機器が接続されたネットワークシステムにおいて、上記情報信号は、同期通信パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになし、上記複数の各電子機器同士は、1本のケーブルを介して接続され、上記複数の電子機器中の一の電子機器は、他の電子機器に対して情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、上記他の電子機器が上記出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記一の電子機器へ返答し、上記一の電子機器が上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力するようにしたものである。
【0015】
また、本発明は、非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能であり、上記情報信号は同期信号パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになすデジタルバスを介して接続された電子機器において、
上記デジタルバスに接続している他の電子機器に対して、伝送するチャンネルを指定することなく上記情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、上記他の電子機器が上記出力要請に応じて出力している上記情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて返答したとき、この返答されてきたチャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力するようにされたものである。
さらにまた、本発明は、非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能であり、上記情報信号は同期信号パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになすデジタルバスを介して接続された電子機器において、上記デジタルバスに接続している他の電子機器からの伝送するチャンネルを指定することなく上記制御信号にて行う情報信号の出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記他の電子機器へ返答し、上記他の電子機器に上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力することを可能としたものである。
【0016】
【作用】
本発明によれば、第1の機器は第2の機器に情報信号の出力要請をし、第2の機器は、この要請に応答して、出力している情報信号の位置を返答し、第1の機器は、その返答から情報信号の位置を知ることにより、その位置の情報信号を入力できるように入力を切換える。
【0017】
また、情報信号を入力している機器が存在するときのみ情報信号を出力することにより、使用されていない情報信号を無駄にバスに流すことを防止できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら、
〔1〕本発明を適用した通信システム
〔2〕信号入力切換えの考え方
〔3〕具体例
〔4〕信号入出力管理の考え方
〔5〕具体例の順序で詳細に説明する。
【0019】
〔1〕本発明を適用した通信システム
図1は、本発明を適用した通信システムの構成の1例を示すシステム構成図である。この通信システムは、AV機器として、CAM1、TV1、VTR1〜4及び編集機(編集コントローラ)を備えている。そして、CAM1とTV1、TV1とVTR3、VTR3とVTR1及び編集機、VTR1とVTR2、及び編集機とVTR4との間はP1394シリアルバスで接続されている。P1394シリアルバスは、制御信号とAV信号を混在して双方向に伝送することができる。また、各機器はP1394シリアルバス上の制御信号及びAV信号を中継する機能を備えている。
【0020】
図2は、図1の通信システムにおけるAV機器の1例であるVTRの基本構成を示すブロック図である。このVTRはVTRとしての基本的ブロックであるデッキサブデバイス1とチューナーサブデバイス2、ユーザーインターフェースである操作部3と表示部4、VTR全体の動作制御を行うマイコン5に加えて、P1394シリアルバスに対するディジタルインターフェース(以下、ディジタルI/Fという)6、デッキサブデバイス1−チューナーサブデバイス2−ディジタルI/F6間の信号の切換えを行うスイッチボックスサブデバイス7を備えている。なお、AV機器がTVの場合はデッキサブデバイス1の代わりにモニターサブデバイスとアンプサブデバイスが設けられており、CAMの場合はチューナーサブデバイス2の代わりにカメラサブデバイスが設けられている。
【0021】
各AV機器の表示部4は、例えば図3に示すように、通信システム上の全機器の名称が蛍光管表示されるように構成されており、操作部3のキー3aを操作することによりAV信号を送信又は受信する相手を選択することができる。なお、通信システム上の全機器は、同時に表示してもよいし、順次表示してもよい。また、自分以外の機器のみ表示してもよい。さらに、これらの操作は赤外線リモコンやマウスを用いて行うように構成することもできる。また、デバイスがTVの場合は、モニターサブデバイスに表示することもできる。そして、機器の名称ではなく絵文字(アイコン)を表示することもできる。
【0022】
図1の通信システムでは、図4に示されているように、所定の通信サイクル(例、125μs)で通信が行われる。そして、ディジタルビデオ信号のように一定のデータレートで連続的に通信を行う同期通信と、接続制御コマンドなどを必要に応じて不定期に伝送する非同期通信の両方を行うことができる。
【0023】
通信サイクルの始めにはサイクルスタートパケットCSPがあり、それに続いて同期通信のためのパケットを送信する期間が設定される。同期通信を行うパケットそれぞれにチャンネル番号1,2,3 ,・・・Nを付けることにより、複数の同期通信を行うことが可能である。例えば、CAM1からVTR1に対する通信にチャンネル1が割り付けられているとすると、CAM1はサイクルスタートパケットCSPの直後にチャンネル番号1を付けた同期通信パケットを送信し、VTR1はバスを監視し、チャンネル番号1が付いた同期通信パケットを取り込むことで通信が行われる。さらに、VTR3からVTR4に対する通信にチャンネル2を割り付けられていれば、CAM1からVTR1の通信とVTR3からVTR4に対する通信を並行して行うことができる。
【0024】
そして、すべてのチャンネルの同期通信パケットの送信が終了した後、次のサイクルスタートパケットCSPまでの期間が非同期通信に使用される。非同期通信パケット(図4ではパケットA,B)には送信機器及び受信機器の物理アドレスや論理アドレスが付いており、各ノードは自分のアドレスが付いたパケットを取り込む。
【0025】
〔2〕信号入力切換えの考え方
図5は、本発明を適用した通信システムで用いる非同期通信パケットの要部構成の1例を示す。この図において、マスターアドレスはパケットの送信元の論理アドレス、スレーブアドレスは宛先の論理アドレス、フレーム種別はパケットの種類(コマンド、応答、問い合わせ等)、SSSA/DADAは送信元又は宛先のサブデバイスアドレス、OPC(オペコード)及びOPR(オペランド)はコマンドの内容である。
【0026】
以下、入力切換え手順を示す図6及び各手順で用いるパケットを示す図7を参照しながら、CAM1の再生画をVTR1で録画する場合の例で説明を行う。
【0027】
まず、コマンドマスターがCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要請する(A1)。これに対して、CAM1がコマンドマスターへ(出力OK。CH1へ出力しました。」と答える(A2)。次に、これを受けて、コマンドマスターはVTR1に「CH1を入力せよ。」と要求する(A3)。そして、VTR1がコマンドマスターに「CH1入力OK。」と答える(A4)。以上で入力切換えの処理は終了する。
【0028】
なお、ここでコマンドマスターは、最初にコマンドを出力するAV機器であって、あらかじめコマンドマスターとなる機能を持っているかどうか及びどのAV機器を用いて通信相手を選択したか等によってコマンドマスターとなるAV機器は変わってくる(後述具体例参照)。また、パケットのSSDA/DSDAにおけるSW BOX(スイッチボックス)はコマンドの目的が入出力切換えであることを意味する。また、P1394での入力切り換えコマンドを仮に、P1394入力切換と呼んでいる。さらに、AV信号のデスティネーションにおけるDeck(デッキ)はCAM1のデッキサブデバイスを意味する。
【0029】
〔3〕具体例
(1)CAM1の再生画をVTR1,VTR2で録画する場合
前記したように、VTR1及びVTR2の表示部は、通信システム上のAV機器が蛍光管表示されるように構成されているため、ユーザーはこれを見ながら各々目的のCAM1を通信相手(入力相手)として選択することができる。このようにして、ユーザーがVTR1及びVTR2を用いて動作モードを設定した場合にはVTR1及びVTR2がコマンドマスターとなる。以下、入力切換え手順を示す図8及びその各々で用いるコマンドのパケット構造の1例を示す図9を参照しながら、動作を説明する。
【0030】
まず、VTR1がCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要求する(B1)。次に、これに対し、CAM1はVTR1へ「出力OK。CH1へ出力しました。」と答える(B2)。VTR1はCH1を入力して録画を開始する。
【0031】
次に、VTR1の処理と同様に、VTR2がCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要求する(B3)。次に、これを受けて、CAM1はVTR2へ「出力OK。CH1に出力しています。」と答える(B4)。VTR2もCH1を入力して、録画を開始する。
【0032】
ここでは、まずVTR1がCAM1に対してコマンドを送出し、次にVTR2がCAM1に対してコマンドを送出するものとして説明したが、実際にはこれらの動作は独立して行われる。
【0033】
(2)編集機を使用してVTR3の再生画をVTR4で録画する場合
この場合は、編集機の表示部を用いてVTR3を出力AV機器として選択し、VTR4を入力AV機器として選択する。この場合編集機がコマンドマスターとなる。以下、図10及び図11を参照しながら入力切換え手順を説明する。
【0034】
まず、コマンドマスターである編集機が、VTR3に対して「CH?へ出力せよ。」と要求する(C1)。次に、これを受けて、VTR3はCH1が既に使用されているため、CH2へ出力し、編集機へ「出力OK。CH2へ出力しました。」と答る(C2)。次に、編集機はVTR4へ「CH2を入力せよ。」と要求する(C3)。これに対し、VTR4は編集機へ「CH2入力OK。」と答える(C4)。VTR4はCH2を入力し、録画を開始する。
【0035】
〔4〕信号入出力管理の考え方
以下、入出力管理手順を示す図12及び各手順で用いるパケットを示す図12を参照しながら、CAM1の再生画をVTR1で録画し、その後VTR1が録画を中断する場合の例で説明を行う。
【0036】
まず、コマンドマスターがCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要請し、さらにCAM1のアドレスを保持する(D1)。ここで、アドレスとしてはP1394シリアルバス特有のノードID(機器の物理アドレス)ではなく、商品カテゴリー別アドレス(機器の論理アドレス)を用いる。この理由は、例えば、所定のAV機器間でダビングを行っていたときにそれと関係ない他のAV機器がシステム上から抜かれたとすると、バスにリセットがかかってしまう。このとき、システムの構成が変わってしまうためリセット後のノードIDも変わってしまうが、商品カテゴリー別アドレスはAV機器のレジスタに保持されているため、録画状態を守ることができるためである。
【0037】
次に、これに対して、CAM1がコマンドマスターへ(出力OK。CH1へ出力しました。」と答え、入力機器のカウント値に1加える(D2)。ここでは、入力機器数をカウントするだけで、出力要請してきたコマンドマスターのアドレスまで保持する必要はない。逆に、入力AV機器は複数存在する可能性があるため、出力要請してきた機器のアドレスを全て保持するのは大変である。ここで、コマンドマスターはCAM1がCH1に出力しているという情報を保持する。
【0038】
次に、これを受けて、コマンドマスターはVTR1に「CH1を入力せよ。」と要求する(D3)。ここでも、アドレスを保持する必要はないが、入力せよと要求した相手機器の数を責任持って管理する必要があるため、入力要請した機器のカウント値を1増やす。但し、入力要請した場合は準出力機であると考えられ、出力要請された場合は出力機であると考えられる。入力要請した場合と出力要請された場合共に、入力機器のカウントを行うが、どちらも共通の構造で作ることができる。
【0039】
次に、VTR1がコマンドマスターに「CH1入力OK。」と答えて、コマンドマスターのアドレスを保持する(D4)。ここまでで、入出力設定は完了し、VTR1がCAM1の出力の録画を始める。
【0040】
次に、しばらく経過して、VTR1が録画を中断した場合について説明する。まず、VTR1はコマンドマスターへ「CH1入力を中断しました。」と知らせる。そして、入力を中断すると共に、保持していたコマンドマスターのアドレスをクリアする(D5)。なお、ここでパケットのDummy(ダミー)はソースCH1の中断を意味する。
【0041】
次に、これを受けて、コマンドマスターはVTR1に「CH1入力中断OK。」と返し、入力機器のカウンタ数を1減らす(D6)。従って、カウンタの合計は0となり、入力機器は存在しないと判断できる。
【0042】
次に、D1,D2で記憶したアドレス情報から、CH1へ出力しているのはCAM1であることがわかるため、CAM1へ「CH1入力中断しました。」と伝える。また、自分が、カウントしている入力機器は全て存在しなくなったため、アドレスをクリアする(D7)。
【0043】
これに対し、CAM1はコマンドマスターへ「CH1入力中断OK。」と返答し、入力機器のカウント値を1減らす。ここでは、カウント値は1であったため、現在のカウント値は0となり、入力している機器が全くないと判断して、AV信号をバスに乗せるのを中断する(D8)。
【0044】
なお、入力機器ではなく、AV信号を出力している機器自身が何らかの理由により信号出力を中断してしまった場合には、入力している側から、パケットを読み出している位置(チャンネル)にAV信号が含まれていないことが判断できるため、そのときは自発的に信号の入力を中断する。
【0045】
これらの、コマンドマスターとスレーブ機器(コマンドマスター以外のAV機器)における信号の入出力切換え時のアドレス保持の必要の有無に関する対応関係を図14に示す。
【0046】
このように、本発明は、使用していない情報信号を無駄にバスに流すことを避け、限られたチャンネル数の中でより多くのAV信号処理を行えるよう、入出力管理を行うものである。
【0047】
〔5〕具体例
(1)CAM1の再生画をVTR1,VTR2で録画し、VTR1,VTR2の順で入力を中断する場合
この場合には前記〔3〕(1)と同様、VTR1,VTR2が共にコマンドマスターとなる。以下、入出力管理手順を示す図15及びその各々で用いるコマンドのパケット構造の一例を示す図16を参照しながら、動作を説明する。
【0048】
まず、VTR1がCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要求する。同時にCAM1のアドレスを保持する(E1)。次に、これに対し、CAM1はVTR1へ「出力OK。CH1へ出力しました。」と答え、入力機器数のカウント値を1増やす(E2)。したがって、VTR1はCH1を入力して、録画を開始する。ここで、VTR1はCAM1がCH1へ出力しているという情報も保持する。
【0049】
次に、VTR1の処理と同様に、VTR2がCAM1に対し「CH?に出力せよ。」と要求し、かつCAM1のアドレスを保持する(E3)。次に、これを受けて、CAM1はVTR2へ「出力OK。CH1に出力しています。」と答え、入力機器数のカウント値をさらに1増やす(E4)。この結果、入力機器数は合計2となる。ここで、VTR2はCAM1がCH1へ出力しているという情報も保持する。
【0050】
さらに、しばらくして、VTR1がE1でアドレスを保持していたCAM1へ「CH1入力を中断しました。」と知らせる。そして、保持していたCAM1のアドレス及びCH1をクリアする(E5)。次に、これを受けて、CAM1はVTR1へ「CH1入力中断OK。」と返答し、入力機器のカウント値を1減らす(E6)。入力機器の合計数は1に減るが、まだ一台入力している機器が存在するため、CAM1はCH1へAV信号の出力を続ける。
【0051】
次に、VTR2もE4でアドレスを覚えておいたCAM1へ「CH1入力を中断しました。」と知らせる。ここで、CAM1のアドレス及びCH1をクリアする(E7)。次に、これに対して、CAM1はVTR2へ「CH1入力中断OK。」と答え、さらに、入力機器のカウント値を1減らす。これにより、入力機器のカウンタ数は0となるため、入力している機器が全てなくなったと判断し、CAM1はAV信号をバスに流すのを中断する(E8)。
【0052】
なお、CAM1が何らかの理由によりAV信号の出力を中断した場合は、VTR1,VTR2がCH1 にAV信号が出力されていないことを判断し、タイムアウト処理で入力を中断する。
【0053】
(2)編集機を使用してVTR3の再生画をTV1でモニターし、かつVTR4で録画、その後、VTR4,TV1の順に入力を中断する場合
この場合は前記〔3〕(2)と同様編集機がコマンドマスターとなる。したがって、VTR3とVTR4,TV1の間でデータのやり取りが行われることがわかっているため、VTRやTVの蛍光管表示で入力対象機器の選択をする必要はない。以下、図17及び図18を参照しながら手順を説明する。
【0054】
まず、コマンドマスターである編集機が、VTR3に対して、「CH?へ出力せよ。」と要求し、VTR3のアドレスを保持する(F1)。次に、これを受けて、VTR3はCH1が既に使用されているため、CH2へ出力し、編集機へ「出力OK。CH2へ出力しました。」と答え、入力機器のカウント値を1増やす。また、編集機はVTR3がCH2へ出力しているという情報も保持する(F2)。
【0055】
次に、編集機はTV1へ「CH2を入力せよ。」と要求し、入力要請した機器のカウント値を1増やす(F3)。これに対し、TV1は編集機へ「CH2入力OK。」と答え、編集機のアドレスを保持する(F4)。次に、編集機はVTR4にも「CH2を入力せよ。」と要求し、入力要請した機器のカウント値をさらに1増やす(F5)。そこで、編集機が管理している入力機器数は、合計2となる。これに対し、VTR4は編集機へ「CH2入力OK。」と答え、編集機のアドレスを保持する(F6)。
【0056】
その後、VTR4がF6でアドレスを覚えておいた編集機へ「CH2の入力を中断しました。」と知らせ、編集機のアドレスをクリアする(F7)。これを受けて、編集機はVTR4へ「CH2入力中断OK。」と答え、入力要請した機器のカウント値を1減らす。従って、編集機の管理している入力要請した機器数は合計1となる。入力している機器がまだ1台存在しているため、VTR3のアドレスはそのまま保持する(F8)。
【0057】
次に、TV1から編集機へ「CH2入力中断しました。」と知らせが来る(F9)。編集機は入力要請した機器のカウント値を1減らし、合計が0となるため、編集機の管理する入力機器は全て存在しなくなったと判断し、TV1へ「CH2入力中断OK。」と答え(F10)、アドレスを保持しておいたVTR3へ「CH2入力中断しました。」と知らせ、アドレスとCH2をクリアする(F11)。これに対し、VTR3は編集機へ「CH2入力中断OK。」と答え、VTR3がカウントしていた入力機器のカウント値から1減らす。これにより、カウント値の合計が0となり、入力している機器は全てなくなったと判断できるため、VTR3はCH2へのAV信号出力を中断する(F12)。
【0058】
なお、VTR3が何らかの理由により、CH2への出力中断を行った場合は、VTR4はCH2上にAV信号が出力されていないことが判断できるため、タイムアウト処理で入力を中断する。
【0059】
また、例えば、VTR3自身が出力を開始し、TV1へ「CH2を入力せよ。」と要求すると共に、VTR4からVTR3へ「出力せよ。」と要求が来た場合でも、どちらの場合もカウントの意味は同じであるため、VTR3が管理する入力機器のカウント値が合計2となり、TV1,VTR4両方から「CH2入力中断しました。」と知らされた時点で全入力機器がいなくなったと判断し、VTR3はCH2へのAV信号出力を中断する。
【0060】
なお、ここでは、P1394シリアルバスを用いたが、制御線と信号線を混在させて乗せることができるディジタルバスであれば、他のバスを用いることも可能である。また、入力対象機器の選択では、蛍光管表示に限らず、TV等のOSD表示で表示させることも考えられる。さらに本発明は、AV機器をつないだシステムに限らずコンピューターをつないでデータの通信をするシステムなどにも適応できる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、出力機器は、情報信号を乗せたパケットを任意の位置(チャンネル)に出力し、入力機器はこの出力機器にパケットをどの位置へ出力したかを問い合わせるので、通信システム内に存在する機器間の経路情報や機器数と全く関係なく、情報信号を入力したい機器がその情報信号を伝送しているパケットの位置を読めるよう入力切換えを行うだけの手順ですみ、情報信号を入力している機器が存在するときのみ情報信号をパケットで出力するように情報信号の入出力管理を行うので、使用されていない情報信号を無駄にバスに流さないですむ。したがって、限りあるチャンネル数の中でバスの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した通信システムの構成の1例を示すシステム構成図である。
【図2】図1の通信システムにおけるAV機器の1例であるVTRの基本構成を示すブロック図である。
【図3】図1の通信システムにおけるAV機器の表示部の1例を示す図である。
【図4】P1394シリアルバスにおける通信サイクルの1例を示す図である。
【図5】本発明を適用した通信システムで用いる非同期通信パケットの要部構成の1例を示す図である。
【図6】CAM1の再生画をVTR1で録画する場合の入力切換え手順を示す図である。
【図7】図6の手順で用いるパケットの構成を示す図である。
【図8】CAM1の出力をVTR1及びVTR2で録画する場合の入力切換え手順を示す図である。
【図9】図8の手順で用いるパケットの構成を示す図である。
【図10】編集機を使用してVTR3の出力をVTR4で録画する場合の入力切換え手順を示す図である。
【図11】図10の手順で用いるパケットの構成を示す図である。
【図12】CAM1の再生画をVTR1で録画する場合の入出力管理手順を示す図である。
【図13】図12の手順で用いるパケット構造の1例を示す図である。
【図14】コマンドマスター及びスレーブ機器と信号の入出力時のアドレス保持の有無に関する対応関係を示す図である。
【図15】CAM1の再生画をVTR1,VTR2で録画し、その後VTR1,VTR2が入力を中断する場合の入出力管理手順を示す図である。
【図16】図15の手順で用いるパケットの構造の1例を示す図である。
【図17】編集機を使用してVTR3の再生画をVTR4で録画し、その後VTR4が入力を中断する場合の入出力管理手順を示す図である。
【図18】図17の手順で用いるパケットの構造の1例を示す図である。
【図19】従来のAV機器をディジタル通信線で接続し、AV信号をパケットで伝送する通信システムの構成の1例を示す図である。
【図20】図19の通信システムにおける各AV機器の要部構成を示す図である。
【符号の説明】
VTR1〜4 ビデオテープレコーダ、 TV1 テレビジョン受像機、 CAM ビデオカメラ、 1 デッキサブデバイス、 2 チューナーサブデバイス、 3 操作部、 4 表示部、 5 マイコン、 6 ディジタルI/F、7 スイッチボックスサブデバイス

Claims (4)

  1. 非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能なデジタルバスを介して複数の電子機器が接続されたネットワークシステムにおいて利用されるデータ通信方法において、
    上記情報信号は同期通信パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになし、
    上記ネットワークシステムに含まれる各電子機器同士は、1本のケーブルを介して接続されるようになし、
    上記ネットワークシステムに含まれる第1の電子機器が上記ネットワークシステムに同様に含まれる第2の電子機器に対して情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、
    上記第2の電子機器が上記出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記第1の電子機器へ返答し、
    上記第1の電子機器が上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力する
    ことを特徴とするデータ通信方法。
  2. 非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能なデジタルバスを介して複数の電子機器が接続されたネットワークシステムにおいて
    上記情報信号は、同期通信パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになし、
    上記複数の各電子機器同士は、1本のケーブルを介して接続され、
    上記複数の電子機器中の一の電子機器は、他の電子機器に対して情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、
    上記他の電子機器が上記出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記一の電子機器へ返答し、
    上記一の電子機器が上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力する
    ことを特徴とするネットワークシステム。
  3. 非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能であり、上記情報信号は同期信号パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになすデジタルバスを介して接続された電子機器において、
    上記デジタルバスに接続している他の電子機器に対して、伝送するチャンネルを指定することなく上記情報信号の出力要請を上記制御信号にて行い、上記他の電子機器が上記出力要請に応じて出力している上記情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて返答したとき、この返答されてきたチャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力することを特徴とする電子機器。
  4. 非同期通信パケットとしての制御信号と同期通信パケットとしての複数の情報信号とを時分割処理により多重化して伝送可能であり、上記情報信号は同期信号パケット内に自身が伝送されるチャンネルに関するデジタルチャンネル情報を含むようになすデジタルバスを介して接続された電子機器において、
    上記デジタルバスに接続している他の電子機器からの、伝送するチャンネルを指定することなく上記制御信号にて行う情報信号の出力要請に応じて、出力している情報信号のチャンネル情報を上記制御信号にて上記他の電子機器へ返答し、上記他の電子機器に上記チャンネル情報に基づいて上記情報信号を入力すること可能とする電子機器。
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