JP3567687B2 - アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数金属元素の酸化物を主材料とする高容量かつ高信頼性のアルカリ蓄電池用正極活物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポータブル機器は小型化傾向を強めており、必然的にその電源である小型二次電池の高エネルギー密度化が望まれている。また、機器の用途が多様化しつつあることから、広温度範囲、特に高温度で安定した性能の電池が切望されている。
【0003】
現在に至るまで、アルカリ蓄電池用正極の主活物質はニッケル酸化物が用いられているが、電極基体は従来の焼結基板を用いた焼結式電極に替えて、高多孔度の3次元の発泡ニッケル多孔体にニッケル酸化物粉末を高密度充填した電極が工業化され、飛躍的な高容量化を達成している。
上記のニッケル酸化物粉末の製造方法は、従来、ニッケル塩水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中を作用させて沈澱させ、次いで熟成して結晶成長したのち機械的に粉砕する方法が採用されていたが、製法が煩雑であるとともに粉末形状が不定形であることから高い充填密度が得られにくい問題があった。
【0004】
しかし、特公平4−80513号公報に示されているように、他の製造法として、ニッケル塩水溶液にアンモニアを作用させてニッケルのアンモニウム錯体を形成させ、アルカリ水溶液中で水酸化ニッケルを成長させる方法が提案され、低廉化が図れるとともに、粒子形状が球状に近いことにより高密度充填が可能となった。
しかし、この進歩においては、数10μmまで成長した高密度粒子を活物質として用いることにより、充電効率が低下するという問題があった。これに対しては、Coやその酸化物およびNi等を添加することで改善されることが開示されている。(例えば特公昭61−37733号公報、電気化学,Vol.54,No.2,p159(1986)、Power Sources,12,p203(1988))
さらに、上記で述べた近年の小型二次電池に対する高性能化への高い要望により、正極特性のより一層の向上、例えば、(a)高温雰囲気下での利用率の向上、(b)正極膨潤の抑制、および(c)高エネルギー密度化等を目的として活物質自体の改良も強く望まれてきた。
【0005】
前記(a)および/または(b)の課題を解決するために、特公平3−26903号公報、特公平3−50384号公報、電気化学,Vol.54,No.2,p164(1986),Power Sources 12,p203(1988)に示されているように、従来より活物質の結晶内部にCd、Coを添加する方法が採用されているが、環境面からの電池成分に対する意識の高まりから、カドミウム・フリーの電池が要望され、カドミウムに代わる金属元素の一例としてZnなどが提案されたり、更にCo,ZnおよびBaなどの3元素の固溶体も提案されている(例えば米国特許5366831号)。
【0006】
一方、前記(c)の高エネルギー密度化のためには、高反応次数の活物質が要求される。上記のように、現在工業的に使用されるアルカリ蓄電池の正極活物質はニッケル酸化物がほとんどであり、その反応は一電子反応域といわれているが、ニッケル酸化物の結晶内部に他の金属元素を添加することで高反応次数の活物質が得られることが報告されている(例えば、J. Power Sources, 35, 294 (1991)、Solid State Ionics, 32/33 p104(1989)、米国特許No.5348822号(1994)など)。しかし、前記高反応次数の活物質は、充電状態において、層間が広く、高密度充填には適さない材料であり、現在のところ実用化には至っていない。
【0007】
これに対して、我々は電極構成時に高密度でかつ充電時に高次酸化物生成を促進するものがあることを新たに見出している(電気化学秋季大会 講演要旨集,2L23 (1995))。
なお、このような充放電特性の高効率化を目的としたニッケル酸化物への固溶は焼結式電極では古くになされた技術であり、Mg,Ca,Ba,Ti,Zn,Mn,Co,Fe,Cu,Sc,Y等から選ばれた一種以上の固溶体を用いる(特開昭51−122737号公報)などの改良例が挙げられる。
【0008】
以上のように、ニッケル酸化物結晶内部にニッケル以外の金属元素を添加した複数金属元素の酸化物に対する関心が高まってきている。しかし、前記複数金属元素の酸化物はその添加金属の種類、組成によっては、酸素過電圧の低下による高温での充電効率の低下、充放電電位の低下、および化学的または電気化学的安定性の低下等の問題点を有していた。これらの課題を解決するためには、活物質と電解液との界面の物性を改善する必要があることから、活物質の表面付近に、
▲1▼高温での充電効率が高い、▲2▼充放電電位が高い、▲3▼化学的・電気化学的安定性が高い等の特性を有す複数金属元素の酸化物をコーティングした活物質が提案されている(特願平08−249496号)。ここで述べた、前記▲1▼〜▲3▼の特性を有する複数金属元素の酸化物は、置換元素の割合を高めることによって効果が高まる反面、酸化還元反応の担い手であるニッケル量の減少となるので、エネルギー密度の向上という観点には必ずしも適していない。
【0009】
しかし、表面付近のみにコーティングすることで、活物質の大部分を占める内部の酸化物の反応電子数を下げることなく、かつ、前記特性を有す高信頼性の活物質を得ることができる。
前記表面コーティング材料の製造法としては、特願平08−249496号、特開平8−203517号公報等で見られるように、従来、まず内部の層の酸化物を合成し、水洗、乾燥させた後、別の晶析槽にて表面層の酸化物を成長させるといったバッチ式が提案されている。但し、前記ニッケルを主とする酸化物とは異なるが、水酸化コバルトを被覆した水酸化ニッケルの製造方法に関しては、内部の水酸化ニッケルを成長させる槽、水洗を行うための槽、水酸化コバルトを被覆する槽をそれぞれ連結して、連続的に製造する方法が提案されている(特願平07−40853号)。但し、前記出願は、水酸化コバルトの被覆が目的であるため前段の水酸化ニッケル晶析槽と水酸化コバルト晶析槽との間に、水洗槽を有しており、本発明で考えられる設備構成とは異なる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
表面層と内部の層で組成、種類の異なるニッケルを主たる金属元素とする酸化物の製造法においては、バッチ式であるため工程が複雑であり、量産性の低さが問題である。
本発明は、前記問題を改善し、量産性に優れた高容量、高信頼性の複数金属元素の酸化物の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて複数金属元素の酸化物を連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成する金属元素群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含むことを特徴とする製造方法を提案している。これによって、表面層に酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有す該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。また、この発明では多段の反応晶析槽のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴とする製造方法を提案している。これによって、内部の層に反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。また、この発明では多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含み、かつ多段の反応晶析槽のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴とする製造方法を提案している。これによって、表面層には酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有し、かつ内部の層には反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有し、これら該金属元素の酸化物を表面層や内部の層に多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0012】
複数の連続する多段反応晶析槽を用い、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の層における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類を変えることで、表面層には酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有す該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、内側の層に反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができる。そうすることによって、中心部から表面に向かって複数の層から形成されるNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物粒子を連続的に成長させ、従来のバッチ式と比較して工程を大幅に簡略化することができ、量産性の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて複数金属元素の酸化物を連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成する金属元素群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含んでいる。これによって、表面層に酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有す該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含んでいる。これによって、内側の層に反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含み、かつ多段の反応晶析槽のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴としたものであり、酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有す該金属元素の酸化物を表面層に多く含む材料を連続的に製造することができ、かつ反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する該金属元素の酸化物を内部の層に多く含む材料を連続的に製造することができ、
工程の簡略化を図ることができる。これによって、表面層には酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有し、かつ内側の層には反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する、該金属元素の酸化物を表面層や内部の層に多く含む材料を連続的に製造することができ、工程の簡略化を図ることができる。
【0016】
以下、本発明による実施の一形態について、図1を用いて説明する。
反応槽1には、ニッケル塩水溶液供給ライン3と、異種金属塩水溶液供給ライン4と、媒晶材供給ライン5と、アルカリ水溶液供給ライン6が導入されており、反応槽2には、ニッケル塩水溶液供給ライン7と、異種金属塩供給ライン8と、アルカリ水溶液供給ライン9がそれぞれ導入されている。アルカリ水溶液供給ライン6、9にはpHスタットが備えられており、アルカリ水溶液の供給をコントロールして、pHを所定範囲にしている。反応槽1、2にはそれぞれ恒温槽10、11が備えられており、反応槽1、2には成長した複数金属の酸化物粒子含有液を取り出すライン12、13がそれぞれ備えられており、出発原料の水溶液の全供給流量と同じ流速で、後段の槽に連続的に供給し、成長した複数金属の酸化物を取り出せるようになっている。反応槽1、2の内部にはそれぞれ撹拌装置14、15に接続されている撹拌翼16、17がそれぞれ備えられており、反応槽1、2内の諸条件を一定に保っている。
【0017】
ここでは、2段の反応晶析槽を経て粒子を成長させる場合の構成を示したが、3段、または、それ以上の段の反応槽でも同様な構成である。
また、前記複数金属の酸化物を成長させる反応晶析槽の他に、アンモニウムイオンなどの媒晶剤を含む水溶液と反応させるための槽、分級のための槽、水洗のための槽、導電材としてのCo酸化物をコーティングするための槽等を連結させた構成としても良い。
【0018】
【実施例】
次に、本発明の具体例について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
まず、最後段の槽において、Ni以外の金属塩を前段の槽より多く含むことで、複数の金属酸化物層から形成される活物質粒子を得ることを目的とし、その一例として、内部層が水酸化ニッケル、表面層がカルシウム固溶水酸化ニッケルからなる構成の複数金属元素の酸化物の製造法を具体的に示す。製造装置の構成は図1に示す2段の連結した反応晶析槽1、2と同様の構成であり、いずれも容積が3lのものを用いた。まず、2.4mol/lの硫酸ニッケル水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液を準備した。そして、これらの溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽1内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で素早く均一になるように攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、平均粒径12μmに成長した水酸化ニッケル粒子を含む懸濁液を平均1.5ml/minの速度で反応槽2内に供給し、前記懸濁液と同時に2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液および0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽2内に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的にサンプルを採取した。得られた懸濁液を遠心分離して、上澄液をイオン交換水で置換し、流体中分級を施すことによって、反応槽2内で生じたCaを粉末内部にわたって含有する、Niを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0019】
これに対して、比較例として従来のバッチ式での製造方法の例を示す。製造装置の構成は図1に示した反応槽1および2を独立に使用した。まず、前記と同様にして反応槽1にて水酸化ニッケル粒子を平均粒径12μmにまで成長させ、この懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的に取り出した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換するといった水洗の操作を数回繰り返した後、乾燥させた。得られた乾燥粉末を反応槽2中に100g投入し、2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液をそれぞれ0.5mol/minの速度で反応槽2内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpHが12±0.2の範囲内で保持するように添加した。3時間経過後に反応槽内の懸濁液を採取し、前記と同様にして流体中分級を施すことによって、反応槽2内で生じたCaを粉末内部にわたって含有する、Niを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0020】
前記本発明にて得られた複数金属元素の酸化物粉末の断面のCaの特性X線像を図2に示す。図2(a)は同粉末の断面のSEM像を示しており、図2(b)は(a)と同位置にてCaの特性X線を検出した結果であり、白で示された部分にCaが存在していることを示している。これより表面層と内部の層とで組成が異なっており、約0.5μmの表面層にCaが多く存在している様子を観察することができた。また、バッチ式にて得られたサンプルの特性X線像、組成分析の結果とほぼ一致していたことから、本発明においても従来のバッチ式と同様なサンプルが得られることがわかった。さらに、両者の電気化学的特性を評価した結果においても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0021】
なお、ここでは2段の反応晶析槽のうち、最終段の槽において、Ca塩を前段の槽より多く含む場合を示したが、Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた一種以上の金属元素塩を前段より多く含む場合においても同様に、前記金属元素を表面層に多く含むニッケルを主とする酸化物粉末を連続的に得ることができた。
【0022】
(実施例2)
次に、最後段より前段の槽においてNi以外の金属塩を次段の槽より多く含むことで、複数の金属酸化物層から形成される活物質粒子を得ることを目的として、その一例として、内部層がマンガン固溶水酸化ニッケル、表面層が水酸化ニッケルからなる構成の複数金属元素の酸化物の製造法を具体的に示す。製造装置の構成は図1に示す2段の連結した反応晶析槽1、2と同様の構成であり、それぞれ容積が3lのものを用いた。まず、2.2mol/lの硫酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硫酸マンガン水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液を準備した。そして、これらの溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽1内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で素早く均一になるように攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、平均粒径12μmに成長したマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を含む懸濁液を平均2.0ml/minの速度で反応槽2内に供給し、前記懸濁液と同時に2.4mol/lの硫酸ニッケル水溶液を平均0.5ml/minの速度で反応槽2内に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的にサンプルを採取した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換し、流体中分級を施すことによって、反応槽2内で生じたNiを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0023】
これに対し、比較例として、従来のバッチ式での製造方法の例を示す。製造装置の構成は図1に示した反応槽1および2を独立に使用した。まず、前記と同様にして反応槽1にてマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を平均粒径12μmにまで成長させ、この懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的に取り出した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換するといった水洗の操作を数回繰り返した後、乾燥させた。得られた乾燥粉末を反応槽2中に100g投入し、2.4mol/lの硫酸ニッケル水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液をそれぞれ0.5mol/minの速度で反応槽2内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpHが12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。3時間経過後に反応槽内の懸濁液を採取し、前記と同様にして流体中分級を施すことによって、反応槽2内で生じたNiを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0024】
前記本発明と従来方法にて得られた複数金属元素の酸化物粉末の断面の特性X線像を比較したところ、両者とも表面層と内部の層とで組成が異なっており、約0.5μmの表面層においてはMnを含まない水酸化ニッケルである様子を観察することができた。この結果より、本発明においても従来のバッチ式と同様なサンプルが得られることがわかった。さらに、両者の電気化学的特性を評価した結果においても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0025】
なお、ここではMn塩を最終槽より多く含む場合を示したが、Al,V,Cr,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた一種以上の金属元素塩を前段より多く含む場合においても同様に、前記金属元素を内部層に多く含むニッケルを主とする酸化物粉末を得ることができた。
(実施例3)
次に、隣接する段の槽において、Ni以外の金属塩の種類を変えることで、複数の金属酸化物の層から形成される活物質粒子を得ることを目的として、その一例として、内部層がマンガン固溶水酸化ニッケル、表面層がカルシウム固溶水酸化ニッケルからなる構成の複数金属元素の酸化物の製造法を具体的に示す。製造装置の構成は図1に示す2段の連結した反応晶析槽1、2と同様の構成であり、それぞれ容積が3lのものを用いた。 まず、2.2mol/lの硫酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硫酸マンガン水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液を準備した。そして、これらの溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽1内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で素早く均一になるように攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、平均粒径12μmに成長したマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を含む懸濁液を平均2.0ml/minの速度で反応槽2内に供給し、それと同時に2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽2内に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的にサンプルを採取した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換し、流体中分級を施すことによって反応槽2内で生じたCaを粉末内部にわたって含有する、Niを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0026】
これに対し、比較例として、従来のバッチ式での製造方法の例を示す。製造装置の構成は図1に示した反応槽1および2を独立に使用した。まず、前記と同様にして反応槽1にてマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を平均粒径12μmにまで成長させ、この懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的に取り出した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換するといった水洗の操作を数回繰り返した後、乾燥させた。得られた乾燥粉末を反応槽2中に100g投入し、2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液および4.8mol/lのアンモニア水溶液をそれぞれ0.5mol/minの速度で反応槽2内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpHが12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。3時間経過後に反応槽内の懸濁液を採取し、前記と同様にして流体中分級を施すことによって、反応槽2内で生じたCaを粉末内部にわたって含有するNiを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.5μmの粉末を得た。
【0027】
前記本発明と従来方法にて得られた複数金属元素の酸化物粉末の断面の特性X線像を比較したところ、両者とも表面層と内部の層とで組成が異なっており、約0.5μmの表面層においてはCaを多く含み、内部層においてはMnを多く含む様子を観察することができた。この結果より、本発明においても従来のバッチ式と同様なサンプルが得られることがわかった。さらに、両者の電気化学的特性を評価した結果においても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0028】
なお、ここでは最終段の槽においてはCa塩を多く含み、最終段の前段の槽においてはMn塩を多く含む場合を示したが、最終段の槽においてTi,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた一種以上の金属元素塩を前段より多く含み、かつ、最終段の前段の槽においてAl,V,Cr,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた一種以上の金属元素塩を最終段より多く含む場合においても同様に、表面層と内部層で組成の異なるニッケルを主とする酸化物粉末を得ることができた。
【0029】
(実施例4)
次に、3段以上の反応晶析槽を用い、それぞれの段における金属塩の組成または種類を変えることで、複数の金属酸化物層から形成される活物質粒子を得ることを目的として、その一例として、内部層がマンガン固溶水酸化ニッケル、その外側の層がアルミニウム固溶水酸化ニッケル、さらに外側の層(表面層)がカルシウム固溶水酸化ニッケルからなる3層構造の複数金属元素の酸化物の製造法を具体的に示す。製造装置の構成は図3に示す3段の連結した反応晶析槽18、19、20と同様の構成であり、それぞれ容積が3lのものを用いた。まず、2.2mol/lの硫酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硫酸マンガン水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液を準備した。そして、これらの溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽18内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で素早く均一になるように攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、平均粒径12μmに成長したマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を含む懸濁液を平均2.0ml/minの速度で反応槽19内に供給し、前記懸濁液と同時に2.2mol/lの硫酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硫酸アルミニウム水溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽19内に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で攪拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、平均粒径12.5μmに成長したアルミニウム固溶水酸化ニッケルを表面層に有すマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を懸濁液を平均3.5ml/minの速度で反応槽20内に供給し、前記懸濁液と同時に2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液をそれぞれ平均0.5ml/minの速度で反応槽20内に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpH値が12.0±0.2の範囲内で保持するように添加した。反応槽内の状態が安定した後、懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的にサンプルを採取した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換し、流体中分級を施すことによって、反応槽20内で生じたCaを粉末内部にわたって含有するNiを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.7μmの粉末を得た。
【0030】
これに対して、従来のバッチ式での製造方法の例を示す。製造装置の構成は図3に示した反応槽18、19および20を独立に使用した。まず、前記と同様にして反応槽18にてマンガン固溶水酸化ニッケル粒子を平均粒径12μmにまで成長させ、この懸濁液を反応槽の上部よりオーバーフローさせて連続的に取り出した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換するといった水洗の操作を数回繰り返した後、乾燥させた。得られた乾燥粉末を反応槽19中に100g投入し、2.2mol/lの硫酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硫酸アルミニウム水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液をそれぞれ0.5mol/minの速度で反応槽19内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpHが12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。3時間経過後に反応槽内の懸濁液を採取した。得られた懸濁液に遠心分離を行い上澄液をイオン交換水で置換するといった水洗の操作を数回繰り返した後、乾燥させた。得られた乾燥粉末を反応槽20中に100g投入し、2.2mol/lの硝酸ニッケル水溶液、0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液、4.8mol/lのアンモニア水溶液をそれぞれ0.5mol/minの速度で反応槽20内に同時に供給し、槽内を50℃で一定に保った状態で撹拌しながら、4.8mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を平均0.5ml/minで反応槽内のpHが12.5±0.2の範囲内で保持するように添加した。3時間経過後に反応槽内の懸濁液を採取し、前記と同様にして流体中分級を施すことによって、反応槽20内で生じたCaを粉末内部にわたって含有する、Niを主とする酸化物の微結晶を除去した後、水洗乾燥させたところ平均粒径12.7μmの粉末を得た。
【0031】
前記本発明と従来方法にて得られた複数金属元素の酸化物粉末の断面の特性X線像を比較したところ、両者とも3層構造を有しておりそれぞれの層で組成が異なっており、約0.2μmの表面層においてはCaを多く含む水酸化ニッケルであり、約0.5μmの中間層においてはAlを多く含む水酸化ニッケルであり、内部層においてはMnを多く含む水酸化ニッケルである様子を観察することができた。この結果より、本発明においても従来のバッチ式と同様なサンプルが得られることがわかった。さらに、両者の電気化学的特性を評価した結果においても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0032】
なお、ここでは最終段の槽においてはCa塩を多く含み、前段の槽においてはAl塩、Mn塩を多く含む場合を示したが、最終段の槽においてTi,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた一種以上の金属元素塩を前段より多く含み、かつ、前段の槽においてV,Cr,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた一種以上の金属元素塩を最終段より多く含む場合においても同様に、組成の異なる3層構造のニッケルを主とする酸化物粉末を得ることができた。
【0033】
また、ここでは3段の反応晶析槽を経て粒子を成長させる場合を例として挙げたが、それ以上の段の反応晶析槽においても同様に内部と表面層の組成の異なる多層構造のニッケルを主とする酸化物粉末を得ることができた。
以上の本発明の実施例より、多段の反応晶析装置を用い、互いに隣接する段の槽における金属群塩の組成または種類を変えることで、複数の金属酸化物の層から形成される活物質粒子を製造することが可能となる。また、連続的に製造することができることから、従来のバッチ式と比較して量産性の向上を図ることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数の連続する多段反応晶析槽を用い、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の層における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類を変えることで、表面層には酸素発生過電圧を向上させる ( 充電効率を向上させる ) などの特性を有す該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができ、内側の層に反応性の向上が期待される反面、電圧低下を引き起こしたり化学的および/または電気化学的安定性が低い等の特性を有する該金属元素の酸化物を多く含む材料を連続的に製造することができる。そうすることによって、中心部から表面に向かって複数の層から形成されるNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物粒子を連続的に成長させ、従来のバッチ式と比較して工程を大幅に簡略化することができ、量産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態(2つの反応晶析槽を連結した形態)によるアルカリ蓄電池正極活物質の製造装置を示すモデル図
【図2】本発明の製造方法によって得られた表面層がCa固溶水酸化ニッケルで内部の層が水酸化ニッケルからなる複数金属元素の酸化物粉末の断面形状を示す電子顕微鏡写真と、これに対応して特性X線によりCaの分布状態を観察した写真
【図3】本発明の一実施の形態(3つの反応晶析槽を連結した形態)によるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造装置を示すモデル図
【符号の説明】
1.反応槽
2.反応槽
3.ニッケル塩水溶液供給ライン
4.異種金属塩水溶液供給ライン
5.媒晶材供給ライン
6.アルカリ水溶液供給ライン
7.ニッケル塩水溶液供給ライン
8.異種金属塩水溶液供給ライン
9.アルカリ水溶液供給ライン
10.恒温槽
11.恒温槽
12.スラリーオーバーフローライン
13.スラリー出口ライン
14.撹拌装置
15.撹拌装置
16.撹拌翼
17.撹拌翼
18.反応槽
19.反応槽
20.反応槽
21.ニッケル塩水溶液供給ライン
22.異種金属塩水溶液供給ライン
23.媒晶剤供給ライン
24.アルカリ水溶液供給ライン
25.ニッケル塩水溶液供給ライン
26.異種金属塩水溶液供給ライン
27.アルカリ水溶液供給ライン
28.ニッケル塩水溶液供給ライン
29.異種金属塩水溶液供給ライン
30.アルカリ水溶液供給ライン
31.スラリーオーバーフローライン
32.スラリーオーバーフローライン
33.スラリー出口ライン
34.恒温槽
35.恒温槽
36.恒温槽
37.撹拌装置
38.撹拌装置
39.撹拌装置
40.撹拌翼
41.撹拌翼
42.撹拌翼

Claims (5)

  1. 正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
  2. 正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
  3. 正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ca,Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Co,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含み、かつ多段の反応晶析槽
    のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、Al,V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
  4. 正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段の槽の金属元素群塩は、Niのほかに、Ti,Zn,Sr,Y,Ba,Cd,Cr,希土類金属,Biから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を前段の槽より多く含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
  5. 正極活物質の粒子が中心部から表面に向かって複数の層から形成され、各層はNiを主たる金属元素とする複数金属元素の酸化物からなるアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法であって、複数の連続する多段反応晶析槽を経て複数金属元素の塩の水溶液とアルカリ水溶液を反応させて前記酸化物を所望の粒子径に連続的に成長させる工程において、前記反応晶析槽の互いに隣接する段の槽における酸化物を形成するための金属群塩の組成または種類は、互いに異なり、多段の反応晶析槽のうち、最後段より前段の槽の金属元素群塩はNiのほかに、V,Cr,Mn,Fe,Cu,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Wから選ばれた少なくとも一種の金属元素塩を次段の槽より多く含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法。
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