JP3566516B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3566516B2
JP3566516B2 JP30426697A JP30426697A JP3566516B2 JP 3566516 B2 JP3566516 B2 JP 3566516B2 JP 30426697 A JP30426697 A JP 30426697A JP 30426697 A JP30426697 A JP 30426697A JP 3566516 B2 JP3566516 B2 JP 3566516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
less
present
water
cleaning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP30426697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11143103A (ja
Inventor
好雄 瀬木
宏之 片桐
康好 ▲高▼井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP30426697A priority Critical patent/JP3566516B2/ja
Priority to US09/186,421 priority patent/US6156472A/en
Publication of JPH11143103A publication Critical patent/JPH11143103A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3566516B2 publication Critical patent/JP3566516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性膜を形成した電子写真感光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の堆積膜を形成するための基体としては、ガラス、耐熱性合成樹脂、ステンレス、アルミニウムなどが提案されている。しかし、実用的には帯電、露光、現像、転写、クリーニングといった写真プロセスに耐え、また画質を落とさないために常に位置精度を高く保つため、金属を使用する場合が多い。中でもアルミニウムは加工性が良好で、コストが低く、重量が軽い点から電子写真感光体の基体として最適な材料の1つである。
【0003】
電子写真感光体の基体の材質に関する技術が、特開昭59−193463号公報、特開昭60−262936号公報に記載されている。特開昭59−193463号公報には、支持体をFe含有率が2000ppm以下のアルミニウム合金にすることにより、良好な画質のアモルファスシリコン電子写真感光体を得る技術が開示されている。更に、該公報中では円筒状(シリンダー状)基体を旋盤により切削を行い鏡面加工した後、グロー放電によりアモルファスシリコンを形成するまでの手順が開示されている。特開昭60−262936号公報には、Mgを3.0〜6.0wt%を含有し、不純物として、Mnを0.3wt%以下、Crを0.01wt%未満、Feを0.15wt%以下、Siを0.12wt%以下に抑制し、残部Alからなるアモルファスシリコンの蒸着性に優れた押し出しアルミニウム合金が開示されている。
【0004】
これらの材料は電子写真感光体の用途に応じ、基体の表面加工を施し、その表面に光受容部層が形成される。その基体の表面加工に関する技術が特開昭61−231561号公報、特開昭62−95545号公報に記載されている。特開昭61−231561号公報には、剛体真球を自然落下させ金属支持体表面にこの痕跡窪みにより凹凸を形成する方法が記載されている。特開昭61−95545号公報にはポリブデンとトリエタン(トリクロルエタン:C Cl )を混合した液体により凹凸を形成する方法が記載されている。これらの技術は、画像上の干渉縞の発生に効果があると記されている。
【0005】
また、表面凹凸加工前の基体の加工方法に関して、特開昭61−171798号公報には、特定の成分による切削油を使用し、基体を切削する事により良好な品質のアモルファスシリコン等の電子写真感光体を得る技術が開示されている。また該公報中に切削後、基体をトリエタン(トリクロルエタン:C Cl )で洗浄することが記載されているが、特定のインヒダーを含んだ水による洗浄については全く述べられていない。
【0006】
更に、アルミニウム合金を基体として用いた場合の、水洗浄工程での腐食防止技術として、特開平6−273955号公報には二酸化炭素を溶解した水により基体を洗浄する技術についての提案がなされているが、特定のインヒビターを含んだ水による洗浄については全く述べられていない。
【0007】
特開昭61−273551号公報には、Se等をアルミニウム基体上に蒸着して電子写真感光体を作る際に、基体の前処理として、アルカリ洗浄、トリクレン洗浄、水銀ランプによる紫外線照射洗浄の技術が挙げられ、また、紫外線照射洗浄の前処理として円筒状アルミニウム基体の表面に付着した油脂除去のため液体脱脂洗浄、蒸気脱脂洗浄及び純水洗浄を行なうことが記載、また、特開昭63−264764号公報には、水ジェットにより基体表面を粗面化する技術が開示されているが、特定のインヒビターを含んだ水による洗浄については全く述べられていない。
【0008】
特開平1−130159号公報には、水ジェットにより電子写真感光体支持体を洗浄する技術が開示されている。該公報には感光体の例として、Se、有機光導電体と同時にアモルファス珪素が挙げられているが、プラズマCVD法特有の問題点について全く触れられていない。
【0009】
電子写真感光体に用いる素子部材の技術としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、フタロシアニン等の有機物など各種の材料が提案されている。中でも、アモルファスシリコンに代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶堆積膜、例えば水素及び(または)ハロゲン(例えば沸素、塩素等)で補償されたアモルファスシリコン等のアモルファス堆積膜は高性能、高耐久性、無公害の感光体として提案され、その幾つかは実用に付されている。特開昭54−86341号公報には、光導電層を主としてアモルファスシリコンで形成した電子写真感光体の技術が開示されている。
【0010】
こうした珪素原子を主成分として含む非単結晶堆積膜の形成方法として従来、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)等、多数の方法が知られている。
【0011】
プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流、高周波またはマイクロ波グロー放電等によって分解し、基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成方法に最適であり、現在実用化が非常に進んでいる。中でも、近年堆積膜形成方法としてマイクロ波グロー放電分解を用いたプラズマCVD法すなわちマイクロ波プラズマCVD法が工業的にも注目されている。
【0012】
マイクロ波プラズマCVD法は、他の方法に比べ高いデポジション速度と高い原料ガス利用効率という利点を有している。こうした利点を生かしたマイクロ波プラズマCVD技術の1つの例が、米国特許4,504,518号に記載されている。該特許に記載の技術は、0.1Torr以下の低圧によりマイクロ波プラズマCVD法により高速の堆積速度で良質の堆積膜を得るというものである。
【0013】
更に、マイクロ波プラズマCVD法により原料ガスの利用効率を改善するための技術が特開昭60−186849号公報に記載されている。該公報に記載の技術は、概要、マイクロ波エネルギーの導入手段を取り囲むように基体を配置して内部チャンバー(すなわち放電空間)を形成するようにして、原料ガス利用効率を非常に高めるようにしたものである。
【0014】
また、特開昭61−283116号公報には、半導体部材製造用の改良形マイクロ波技術が開示されている。すなわち、当該公報は、放電空間中にプラズマ電位制御として電極(バイアス電極)を設け、このバイアス電極に所望の電圧(バイアス電圧)を印加して堆積膜へのイオン衝撃を制御しながら膜堆積を行なうようにして堆積膜の特性を向上させる技術を開示している。
【0015】
基体としてアルミニウム合金製シリンダーを用いた場合、これらの従来の技術による電子写真感光体製造方法は具体的には以下のように実施される。
【0016】
必要に応じ旋盤、フライス盤等を用いたダイヤモンドバイト切削により所定範囲内の平面度に加工され、その後トリエタン洗浄される。場合によっては、干渉防止のため所定形状乃至は任意形状の凹凸表面に仕上げられる。
【0017】
また凹凸形状を形成する方法としては図8に示される装置を用い以下の様に球状痕跡窪みを形成する。例えば図8のように、剛体真球3を表面2の位置より自然落下させて表面2に衝突させることにより、球状痕跡窪み4を形成する。また必要に応じ剛体真球と金属体表面との硬度、窪みを所定密度で形成することが出来る。
【0018】
しかし、従来技術の電子写真感光体では、堆積膜中に異常成長の部分があり、その部分は微小な面積の表面電荷の乗らない部分となる。これらの現象は特にアモルファスシリコンのようにプラズマCVD法に堆積膜を形成した電子写真感光体の場合特に顕著である。しかし、それらの表面電位の乗らない部分は基体の表面加工条件、洗浄条件及び堆積条件の最適化を行えば最小限にくい止めることができ、従来は現像の解像力またはそれ以下の程度であったため実用上問題は生じていなかった。
【0019】
しかし、近年のように
1)電子写真装置の高画質化が要求されそれに伴い現像の解像力が向上した。
2)複写機の高速化が進み帯電条件が過酷になるに従い、表面で電位の乗らない部分が実質上周辺の電位に対して大きな影響を与えるようになった。
【0020】
状況では、従来問題となっていなかったこれらの電荷の乗らない微小な部分も画像欠陥として指摘されるようになってきた。
【0021】
さらに、従来はコピーの用途としては、活字だけの原稿(いわゆるラインコピー)が中心であったので、これらの画像欠陥は実用上大きな問題とならなかった。しかし、近来複写機の画質が上がるにつれて、写真などのハーフトーンを含む原稿が多くコピーされるようになり問題となってきた。特に、近来普及してきたカラー複写機に於いては、これらの欠陥は、より視覚的に明らかなものとなるため、大きな問題となってきた。
【0022】
これらの変化は微小なので、上部に電極を付け導電率の測定を行なっても検知することはできない。しかし、電子写真感光体として電子写真プロセスにより帯電、露光、現像を行なったとき、特にハーフトーンで均一の画像を形成したとき、電子写真感光体表面上の僅かな電位の差も画像欠陥と成って視覚的に顕著なものとして現われてくる。特に、マイクロ波プラズマCVD法により作成した電子写真感光体に於ては、前述の問題は更に顕著に現われてしまうのである。
【0023】
一方、この様な画像欠陥は、真空蒸着により作製したSe電子写真感光体、ブレード塗布法またはディッピング法等により作製したOPC電子写真感光体に比べ、プラズマCVD法で作成した電子写真感光体では特に顕著に現れるのである。
【0024】
また、同じくプラズマCVD法で作製するデバイスでも太陽電池のように基板上の位置による微妙な特性の差がその性能に影響しない。または後処理で補修が可能なデバイスでは、上述の問題は発生しないのである。
【0025】
また、従来技術では、基体の洗浄工程は、トリエタンを使用していた為に、問題とはならなかったが、近年の環境問題のために、これらの塩素系溶剤を安易には使うことができないため水系洗浄に変わってきている。しかし、アルミニウムを水で洗浄する際、アルミニウム表面に部分的に露出した不純物(Si等)が多い部分は周囲の通常のアルミニウムの部分と局部的な電池を形成して、基体表面の腐食を促進するという問題があった。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき従来の電子写真感光体の製造方法における諸問題を克服するため基体加工時の腐食防止を図り、安価に安定して歩留まり良く高速形成し得る、使いやすい電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0027】
更に本発明の目的は、プラズマCVD法で特に顕著な画像欠陥の発生という問題点を解決して、均一な高品位の画像を得ることが出来る電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は以下の手段によって達成される。
【0030】
すなわち、本発明は、アルミニウム基体を基体ホルダーに装着させ減圧気相成長法により、該基体の表面にシリコン原子を母材とする非晶質材料からなる機能性膜を形成させる電子写真感光体の製造方法において、電子写真感光体を形成する工程の前に、剛体真球と珪酸塩を含んだ水を用い、基体表面の脱脂及び複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成することを特徴とした電子写真感光体の製造方法を提案するものであり、前記凹凸がほぼ同一の曲率及び幅の窪みにより形成されていること、
前記凹凸の窪みの曲率Rと幅Dとが
0.035≦D/R≦0.5
を満足する値をとること、前記窪みの幅が4μ以上、500μm以下であること前記、凹凸を形成する工程に用いられる珪酸塩は珪酸カリウムであること、前記基体表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成した後、前記基体の表面を、界面活性剤、純水、二酸化炭素を溶解した水、珪酸塩を含んだ水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせにより、前記基体を洗浄すること、前記基体表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成後の洗浄での乾燥工程において、前記基体の表面を、温純水、二酸化炭素を溶解した温純水、珪酸塩を含んだ温純水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせによりより引き上げ乾燥すること、前記アルミニウム基体上に機能性膜を形成する工程が、水素原子及び弗素原子のいずれか一方または両方と珪素原子とを含む非単結晶堆積膜を、プラズマCVD法によりアルミニウム基体上に形成する工程を含むこと、前記アルミニウム基体が、Fe+Si+Cuが、0.01wt%を越え1wt%以下含有したアルミニウム基体であること、前記アルミニウム基体が、Feを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体であること、前記アルミニウム基体が、Siを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体であること、前記アルミニウム基体が、Cuを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体であることを含む。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明者の検討では、アルミニウム基体を用いたとき発生する画像欠陥の原因は、
(A)基体上の粉塵、洗浄、乾燥工程の洗浄水の汚物等が付着してそれが核となる。
(B)基体の表面欠陥が核となる。
に大別できる。
【0032】
(A)の塵等の付着は切削、洗浄など基体を取り扱う場所のクリーン化を図る及び成膜炉内の清掃を厳密に行うことと共に堆積膜形成の直前に基体表面を洗浄することによりある程度防止することが可能になった。従来はトリクロルエタン等の塩素系溶剤で洗浄することによりこの目的を達成していた。しかし、近年オゾン層の破壊等の理由でこうした塩素系の溶剤の使用が制限されるようになってきたため、この問題点について新たに検討をする必要が生じた。
一方、(B)の欠陥を減少させることは従来より非常に困難であった。
【0033】
本発明者は、特定の成分含有のアルミニウムと特定の洗浄方法を組み合わせること及び特定の成分含有のアルミニウムと特定の表面凹凸加工方法を組み合わせることによりこれらの問題点を全て解決できないかという観点に立ち鋭意検討を行った結果本発明の完成を得た。
【0034】
本発明者の検討により、アルミニウム中の局所的に高硬度の部分があり、堆積膜形成に先立つ前加工として、切削等の表面加工の際に加工機の刃にこれらの高硬度の部分がえぐられアルミニウム基体上に表面欠陥ができることが(B)の原因であることが明かとなった。
【0035】
これらの現象を防ぐためには、通常アルミニウムに含有される不純物は少ない方がよい。しかし、非常に高純度のアルミニウムは基体の形状に原材料のアルミニウムを加工するための溶解の際に必然的には発生する酸化物が成長し、前述の欠陥発生の原因となる。これを防ぐためには、Si原子を含有させることが効果的であることが明かとなった。更に、基体のコスト面の観点からも、高純度材は高価となることから、検討の余地は十分にあった。
【0036】
基体表面の切削後、トリクロルエタン等の塩素系の溶剤を用い洗浄を行う場合は、以上のことだけで基体の表面性による画像欠陥の発生は充分防止することが可能である。
【0037】
しかし、近年ではさらに環境問題のためにこれらの塩素系溶剤を安易には使うことができないため、本発明者は洗浄及び表面凹凸加工についても検討を行った。その結果、アルミニウムは水により腐食が発生する、特にこれら珪素原子を含むアルミニウムは、洗浄の際に水に付けるとSi原子が局所的に多い部分を中心に水による腐食が顕著になることを発見した。また、腐食は、Si原子だけでなく、Fe原子、Cu原子が局所的に多い部分にも起こっていることが解った。
【0038】
この現象は水の温度が高いほど顕著でありまた、アルミニウム中にSi、Fe、Cu原子と共に切削性を向上する目的でマグネシウムを含む場合更に顕著となった。アルミニウムの腐食を防ぐためには、各種の腐食防止剤が提案されているが、本発明のように、Si、Fe、Cuを含んだアルミニウム基体を電子写真感光体の基体に用いる場合は大面積の基体上に僅かに発生した欠陥でも問題となるため、効果が不十分であったり、さらに、これらの腐食防止剤が洗浄後及び表面凹凸加工後の機能性膜形成に悪影響が発生する場合があるため従来の腐食防止剤の使用は制限されるのである。
【0039】
しかしながら、本発明者は、基体上に機能性膜を堆積する前の基体加工工程において、洗浄の際用いる水に何らかの腐食防止剤の添加処理を行い、後の機能性膜に影響を及さない皮膜を形成し、上記のような欠陥の発生を抑えることができないかと言う点に着目して鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
【0040】
本発明のメカニズムについては未だ解明されていない点が多いが、本発明者は現在、次のように考えている。
【0041】
アルミニウム表面に部分的に露出したSi、Fe、Cu原子が多い部分は周囲の通常のアルミニウムの部分と局部的な電池を形成して水中下では腐食が促進される。
【0042】
一方、洗浄の際の水に添加した珪酸カリウムまたは表面凹凸加工処理液に添加した珪酸カリウムは、洗浄中又は凹凸加工中にアルミニウム表面にAl−Si−O皮膜を形成するため、局部的な電池を形成して腐食を促進する作用が行われず効果的に腐食を防止する。また、Al−Si−O皮膜を付けることで、その結果、基体表面には欠陥となるものがなくなる為に、機能性膜形成時にそれらの部分からの異常成長の発生を防止することとなる。
【0043】
更に、本発明の予期せぬ効果として、電子写真特性の向上がみられた。
【0044】
プラズマCVD法により例えばアモルファスシリコン堆積膜を基体上に形成する場合、反応は、気相に於ける原料ガスの分解過程、放電空間から基体表面までの活性種の輸送過程、基体表面での表面反応過程の3つに分けて考えることができる。中でも、表面反応過程は完成した堆積膜の構造の決定に非常に大きな役割を果たしている。そして、これらの表面反応は、基体表面の温度、材質、形状、吸着物質などに大きな影響を受けるのである。
【0045】
特に純度の高いアルミニウム基体は、切削後トリクロルエタンのような非水溶剤で洗浄を行っただけの状態または非水溶剤で表面凹凸加工を行っただけの状態、または切削後に他の洗浄を行わずに純水による洗浄を行っただけの状態では、基体表面上の水の吸着が部分的に異なる状態となっている。この様な表面状態の基体上に例えばプラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜の様な珪素原子と、水素原子及び(又は)弗素原子とを含んだ堆積膜を形成すると、その表面の反応は、基体表面上に残った水分子の量に特に大きく影響される。このことにより、基体の位置の水の吸着量により、堆積膜の界面の組成及び構造が変化し、その結果、電子写真プロセスの工程中にその部分の基体からの電荷の注入性が変化し、表面電位の差が現われるのである。
【0046】
本発明では、プラズマCVD法による機能性膜形成前に基体表面に珪酸塩にて基体表面に均一なAl−Si−O皮膜を形成することで、堆積膜を形成する際良好な電荷のやりとりができる界面を形成することができる。このため、帯電の向上、光感度の低減等電子写真特性の向上を果たすことが可能となった。
【0047】
本発明では洗浄中に又は表面凹凸加工中に界面活性剤により本発明の効果を妨げる油脂及びハロゲン系の残留物の除去を完全に行い、更に、珪酸塩により基体表面に腐食防止効果の皮膜を付けるという従来にはない方法により前述の効果を達成している。
【0048】
アルミニウム合金製シリンダーを基体として、本発明に関連する参考発明である電子写真感光体製造方法により電子写真感光体を実際に形成する手順の一例を、図1で示す本参考発明による基体洗浄装置、及び、図3に示す堆積膜形成装置を用いて以下に説明する。
【0049】
精密切削用のエアダンパー付旋盤(PNEUMO PRECLSION INC.製)にダイヤモンドバイト(商品名:ミラクルバイト、東京ダイヤモンド製)を、シリンダー中心角に対して5°の角のすくい角を得るようにセットする。次に、この旋盤の回転フランジに、基体を真空チャックし、付設したノズルから白燈油噴霧、同じく付設した真空ノズルから切り粉の吸引を併用しつつ、周速1000m/min、送り速度0.01mm/Rの条件で外形が108mmとなるように鏡面切削を施す。
【0050】
切削された基体は、図1の洗浄装置を用いて洗浄される。
基体洗浄装置は、処理部102と基体搬送機構103よりなっている。処理部102は、基体投入台111、基体洗浄槽121、リンス槽131、乾燥槽141、基体搬出台151よりなっている。前洗浄槽121、リンス槽131、乾燥層141とも液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構103は、搬送レール165と搬送アーム161よりなり、搬送アーム161は、レール165上を移動する移動機構162、基体101を保持するチャッキング機構163及びチャッキング機構163を上下させるためのエアーシリンダー164よりなっている。
【0051】
切削後、投入台上111に置かれた基体101は、搬送機構103により洗浄槽121に搬送される。前洗浄槽121中に界面活性剤或は、珪酸塩を添加した界面活性剤122中で超音波処理されることにより表面に付着している塵、油脂の脱洗浄が行なわれる。
【0052】
次に、基体101は、搬送機構103によりリンス槽131へ運ばれ、25℃の温度に保たれた純水等により更にすすぎ洗浄が行われる。純水等は工業用導電率計(商品名:α900R/C、堀場製作所製)により一定に制御される。次に、基体101は搬送機構103により温純水等による乾燥槽141へ移動され、60℃の温度に保たれた温純水等にて昇降装置(図示せず)により引き上げ乾燥が行われる。温純水等は工業用導電率計(商品名:α900R/C、堀場製作所製)により一定に制御される。
【0053】
乾燥工程の終了した基体101は、搬送機構103により搬出台151に運ばれる。
洗浄された基体は、場合によっては、干渉縞防止の為に、所定の形状乃至は、任意形状の凹凸表面加工される場合もある。
【0054】
次に、これらの洗浄後の基体上に図3に示すプラズマCVD法による光導電部材堆積膜の形成装置により、アモルファスシリコンを主体とした堆積膜を形成する。
図7に於いて反応容器301は、ベースプレート304とカソード電極を兼ねる壁302とトッププレート303から構成され、この反応容器301内には、アモルファスシリコン堆積膜が形成される基体306はカソード電極302の中央部に設置され、アノード電極も兼ねている。
【0055】
この堆積膜形成装置を使用してアモルファスシリコン堆積膜を基体306上に形成するには、まず、原料ガス流入バブル311を閉じ、排気バルブ314を開け、反応容器301を排気する。真空計(図示せず)の読みが約5×10−torrになった時点で原料ガス流入バルブ311を開く。ガス流入は、マスフローコントローラ312内で所定の流量に調整される。例えばSiH ガス等の原料ガスを反応容器301内に流入させる。そして基体306の表面温度が加熱ヒーター308により所定の温度に設定されていることを確認した後、高周波電源(周波数:13.56MHz)316を所望の電力に設定して反応容器301内にグロー放電を生起させる。
【0056】
また、堆積膜形成を行っている間は、堆積膜形成の均一化を図るために基体306をモーター(図示せず)により一定速度で回転させる。この様にして基体306上に、アモルファスシリコン堆積膜を形成することができる。
【0057】
本発明に関連する参考発明において、アルミニウム表面に部分的に露出したSi、Fe、Cu原子が多い部分は周囲の通常のアルミニウムの部分と局部的な電池を形成して特に純水等では腐食が促進されることから、珪酸塩を添加し皮膜形成をする場合は、基体が純水等に接触する前に皮膜形成がされている必要がある、また、本発明の皮膜は、比較的早い段階で形成される事から、純水等の洗浄中に皮膜形成させても本発明においては、効果的である。即ち、切削後の脱脂洗浄の為の基体洗浄槽の界面活性剤中に珪酸塩を含有させる方法と、リンス槽の純水等の中に珪酸塩を含有させる方法とがあり、何れも本参考発明には適している。
また、上記のように皮膜形成がなされると、皮膜形成直後のリンス槽での洗浄や、乾燥槽での洗浄は、純水、二酸化炭素を溶解した水、珪酸塩を含有した水のいずれか、または2種類以上の組み合わせにより洗浄しても本参考発明においては効果的である。
【0058】
次に、アルミニウム合金製シリンダーを基体として、本発明電子写真感光体製造方法により電子写真感光体を実際に形成する手順の一例を、図7で示す本発明による基体表面凹凸加工装置3を用いて以下に説明する。
【0059】
精密切削用のエアダンパー付旋盤(PNEUMO PRECLSION INC.製)にダイヤモンドバイト(商品名:ミラクルバイト、東京ダイヤモンド製)を、シリンダー中心角に対して5°の角のすくい角を得るようにセットする。次に、この旋盤の回転フランジに、基体を真空チャックし、付設したノズルから白燈油噴霧、同じく付設した真空ノズルから切り粉の吸引を併用しつつ、周速1000m/min、送り速度0.01mm/Rの条件で外形が108mmとなるように鏡面切削を施す。
【0060】
切削が終了した基体は、基体表面凹凸加工装置(図7)により基体表面の処理を行う。図7に示す基体表面凹凸加工装置は、液タンク76と、金属網製のバレル72と剛体真球73、処理液噴射ノズル74、シャワーノズル75よりなっている。
【0061】
切削後、バレル72内に投入された基体71は、モーター(図示せず)により、バレル72と共に、約30rpmの速度で回転される。その際、剛体真球73は、バレル72内に付けられた板により回転方向上部に持ち上げられる。持ち上げられた剛体真球73は、自然落下及び、処理液噴射ノズル74から、約1kg/cm の圧力の処理液により、基体71方向に飛ばされる。飛ばされた剛体真球73は、基体71と衝突し、基体71に凹凸を形成する。凹凸の大きさ、深さ等は、回転速度、処理液噴射圧力、剛体真球の大きさ、基体までの距離等によって、任意に設定することが可能である。
【0062】
表面凹凸処理された基体71は、シャワーノズル75から噴射する純水等によって洗われる。その後、温風機構(図示せず)により乾燥されても良いが、本発明の表面凹凸加工後の洗浄方法として、図1の洗浄装置を用いることが好ましい。
【0063】
洗浄装置の機構は前記参考発明と同様なので、説明を省略する。
【0064】
切削後、前記参考発明と同様に投入台上111に置かれた基体101は、搬送機構103により洗浄槽121に搬送される。基体洗浄槽121中の界面活性剤或は、珪酸塩を添加した界面活性剤122中で超音波処理されることにより表面に付着している塵、油脂の脱洗浄が行なわれる。
【0065】
次に、基体101は、搬送機構103によりリンス槽131へ運ばれ、25℃の温度に保たれた純水等により更にすすぎ洗浄が行われる。純水等は工業用導電率計(商品名:α900R/C、堀場製作所製)により一定に制御される。次に、基体101は搬送機構103により温純水等による乾燥槽141へ移動され、60℃の温度に保たれた温純水等にて昇降装置(図示せず)により引き上げ乾燥が行われる。温純水等は工業用導電率計(商品名:α900R/C、堀場製作所製)により一定に制御される。
【0066】
乾燥工程の終了した基体101は、搬送機構103により搬出台151に運ばれる。
【0067】
次に、これらの切削加工及び前処理の終了した基体上に図3に示すプラズマCVD法による光導電部材堆積膜の形成装置により、アモルファスシリコンを主体とした堆積膜を形成する。堆積膜の形成は前記参考発明と同様なので説明を省略する。
【0068】
本発明において、基体表面は、本発明に依り表面処理を施され、鏡面とされ乃至は干渉縞防止等の目的で非鏡面とされ、或は所望形状の凹凸が付与される。
例えば基体表面を非鏡面化したり、表面に凹凸を付与して粗面化すると、基体表面の凹凸と合わせて感光層表面にも凹凸が生ずるが、露光の際にこれら基体表面及び感光層表面での反射光に位相差が生じ、シニアリング干渉による干渉縞を生じ、或は反転現像時に黒斑点或いはスジを生じて画像欠陥を生ずる。この様な現象は特に可干渉光であるレーザービーム露光を行なった場合に顕著に現れる。
【0069】
本発明においては、この様な干渉縞を、基体表面に形成される球状痕跡窪みの曲率Rと幅Dとを調整することにより防止することが出来る。
即ち、本発明の表面処理金属体を基体とした場合、D/Rを0.035以上とすると各々の痕跡窪み内にシニアリング干渉によるニュートリングが0.5本以上存在し、D/Rを0.055以上とすると、この様なニュートリングが1本以上存在することになり、光導電部材全体の干渉縞を各痕跡窪み内に分散して存在させることが出来、干渉縞防止が可能となる。また、痕跡窪みの幅Dは、4μm以上、500μm以下、が本発明には望ましく、又光照射スポット径以下とされるのが望ましく、特にレーザービームを使用する場合には、解像力以下とするのが望ましい。
【0070】
本発明に於いて表面凹凸加工後、シャワー洗浄、温風乾燥を行うことは本発明の効果を出す上で有効であるが、特に洗浄装置を用い洗浄することは更に有効である。
これらの洗浄手段に用いる洗浄液及び水は、界面活性剤、純水、二酸化炭素を溶解した水、珪酸塩を含んだ水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせにより、洗浄することが本発明には適している。
【0071】
また、洗浄装置を用いる場合の乾燥手段として、温純水、二酸化炭素を溶解した温純水、特定のインヒビターを含んだ温純水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせにより引き上げ乾燥することが本発明には適している。
【0072】
本発明に関連する参考発明における洗浄工程及び発明における凹凸形成工程で用いられるインヒビターは燐酸塩、珪酸塩、ほう酸塩等が挙げられいずれも可能であるが、珪酸塩が本発明には適している。
また、珪酸塩の中でも、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム等が上げられいずれも可能であるが、珪酸カリウムが本発明には適している。
【0073】
本発明に関連する参考発明において洗浄工程で用いられる界面活性剤及び発明の洗浄工程で用いられる界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはそれらの混合したもの等いずれのものでも可能である。中でも、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤または、脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤は特に本発明では効果的である。
【0074】
本発明に於て、洗浄を行なう場合又は表面凹凸加工を行なう場合は、界面活性剤或は、珪酸塩を含有した界面活性剤による水系の方法が望ましい。その場合、界面活性剤及び珪酸塩を溶解する前の水の水質は、いずれでも可能であるが、特に半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ−cm以上、好ましくは3MΩ−cm以上、最適には5MΩ−cm以上が本発明には適している。上限値は理論抵抗値(18.25MΩ−cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ−cm以下、好ましくは15MΩ−cm以下、最適には13MΩ−cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0075】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
【0076】
本発明に於て、洗浄を行なう場合の又は表面凹凸加工を行う場合の、界面活性剤を含有した水に含まれる珪酸塩の濃度は、濃すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると脱脂効果、皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、界面活性剤を含有した水に含まれる珪酸塩の濃度は、0.05%以上、2%以下、好ましくは0.1%以上、1.5%以下、最適には0.2%以上、1%以下が本発明には適している。
【0077】
前記参考発明の洗浄に於ける界面活性剤或は、珪酸塩を含有した界面活性剤の水の温度は、高すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、低すぎると脱脂効果、皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。この為、水の温度としては、10℃以上、90℃以下、好ましくは15℃以上、70℃以下、最適には20℃以上、60℃以下が本発明には適している。
【0078】
また、本発明の珪酸塩を溶解した水の温度は、5℃以上、90℃以下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0079】
前記参考発明の洗浄を行なう場合の又は発明の表面凹凸加工を行う場合の、珪酸塩を含有した界面活性剤のpHは、高すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると脱脂効果、皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、珪酸塩を含有した界面活性剤のpHは、8以上、12.5以下、好ましくは9以上、12以下、最適には10以上、11.5以下が本発明には適している。
【0080】
前記参考発明の洗浄工程で、また発明の表面凹凸加工後の洗浄工程で、超音波を用いることは本発明の効果を出す上で有効である。超音波の周波数は、好ましくは100Hz以上、10MHz以下、更に好ましくは1kHz以上、5MHz以下、最適には10kHz以上100kHz以下が効果的である。超音波の出力は、好ましくは0.1W/リットル以上、1kW/リットル以下、更に好ましくは1W/リットル以上、100Wリットル以下が効果的である。
【0081】
前記参考発明の洗浄工程又は発明の表面加工後の洗浄工程に於て、二酸化炭素を溶解した水を用いる場合に使用される水の水質は、非常に重要であり二酸化炭素溶解前の状態では半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限値は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0082】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
【0083】
これらの水に溶解する二酸化炭素の量は飽和溶解度までのいずれの量でも本発明は可能だが、多すぎると水温が変動したときに泡が発生し基体表面に付着することによりスポット上のシミが発生する場合がある。更に、溶解した二酸化炭素の量が多いとpHが小さくなるため基体にダメージを与える場合がある。一方、溶解した二酸化炭素の量が少なすぎると本発明の効果を得ることができない。
【0084】
基体に要求される品質等を考慮しながら、状況に合わせて二酸化炭素の溶解量を最適化する必要がある。
【0085】
一般的に本発明による好ましい二酸化炭素の溶解量は飽和溶解度の60%以下、更に好ましくは40%の条件である。
【0086】
本発明において二酸化炭素の溶解量は水の導電率またはpHで管理することが実用的であるが、導電率で管理した場合、好ましい範囲は2μS/cm以上、40μS/cm以下、更に好ましくは4μS/cm以上、30μS/cm以下、6μS/cm以上、25μS/cm以下、pHで管理した場合、好ましい範囲は3.8以上、6.0以下、更に好ましくは4.0以上、5.0以下で本発明は効果が顕著である。導電率の測定は導電率計等により行い、値としては温度補正により25℃に換算した値を用いる。
【0087】
水の温度は、5℃以上、90℃以下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0088】
二酸化炭素を水に溶解する方法はバブリングによる方法、隔膜を用いる方法等いずれでも良い。本発明においては、二酸化炭素を溶解した水を用いることが重要であり、炭酸イオンを得るために炭酸ナトリウム等の炭酸塩を用いた場合、ナトリウムイオン等の陽イオンが本発明の効果を阻害してしまう。
【0089】
このようにして得られた二酸化炭素を溶解した水により基体表面を洗浄するときは、ディッピングにより洗浄する方法、水圧を掛けて吹き付ける方法等がある。
【0090】
ディッピングにより洗浄する場合、二酸化炭素を溶解した水を導入した水槽に基体を浸積することが基本であるが、その際に超音波を印加する、水流を与える、空気等を導入することによりバブリングを行う等を併用すると本発明は更に効果的なものとなる。
【0091】
吹き付ける場合、水の圧力は、弱すぎると本発明の効果が小さいものとなり、強すぎると得られた電子写真感光体の画像上、特にハーフトーンの画像上で梨肌状の模様が発生してしまう。この為、水の圧力としては、2kg・f/cm2以上、300kg・f/cm2以下、好ましくは10kg・f/cm2以上、200kg・f/cm2以下、最適には20kg・f/cm2以上、150kg・f/cm2以下が本発明には適している。但し、本発明に於ける圧力単位kg・f/cm2は、重力キログラム毎平方センチメートルを意味し、1kg・f/cm2は98066.5Paと等しい。
【0092】
水を吹き付ける方法には、ポンプにより高圧化した水をノズルから吹き付ける方法、または、ポンプで汲み上げた水を高圧空気とノズルの手前で混合して、空気の圧力により吹き付ける方法等がある。
【0093】
水の流量としては、発明の効果と、経済性から、基体1本当り1リットル/min以上、200リットル/min以下、好ましくは2リットル/min以上、100リットル/min以下、最適には5リットル/min以上、50リットル/min以下が本発明には適している。
【0094】
二酸化炭素を溶解した水による洗浄処理の処理時間は、10秒以上、30分以下、好ましくは20秒以上、20分以下、最適には30秒以上、10分以下が本発明には適している。
【0095】
本発明に関連する参考発明の洗浄工程又は発明の表面凹凸加工後の洗浄工程において又は表面凹凸加工対のシャワーにおいて、珪酸塩を溶解した水を用いる場合に使用される水の水質は、非常に重要であり珪酸塩溶解前の状態では半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0096】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
珪酸塩を溶解した水の温度は、5℃以上、90℃以下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0097】
本発明に関連する参考発明に於て、洗浄を行なう場合の、又は発明の表面凹凸加工後の洗浄を行なう場合の、珪酸塩を含有した水の濃度は、濃すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると脱脂効果、皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、珪酸塩を含有した水の濃度は、0.05%以上、2%以下、好ましくは0.1%以上、1.5%以下、最適には0.2%以上、1%以下が本発明には適している。
【0098】
本発明に於て、洗浄を行なう場合の、珪酸塩を含有した界面活性剤のpHは、高すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、珪酸塩を含有した水のpHは、8以上、12.5以下、好ましくは9以上、12以下、最適には10以上、11.5以下が本発明には適している。
このようにして得られた珪酸塩を溶解した水により基体表面を洗浄するときは、前記二酸化炭素を溶解した場合と同様の方法、時間が好ましい。
本発明の第2発明に於て、表面凹凸加工時のシャワーを行なう場合の水は、凹凸処理に珪酸塩を含有する界面活性剤を用いた場合は、純水、二酸化炭素を溶解した水、珪酸塩を含んだ水のいずれかでも可能であるが、凹凸処理が珪酸塩を含まない界面活性剤の場合は、珪酸塩を含んだ水をシャワーに用い、皮膜形成を行う。
【0099】
本発明に関連する参考発明の洗浄工程又は発明の表面凹凸加工後の洗浄工程に於て、純水を用いる場合の水質は、非常に重要であり、半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0100】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
純水の温度は、5℃以上、90℃以下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0101】
このようにして得られた純水により基体表面を洗浄するときは、前記に酸化炭素を溶解した場合と同様の方法、時間が好ましい。
【0102】
本発明に関連する参考発明の乾燥工程又は発明の温水乾燥を行う場合に於て、二酸化炭素を溶解した水を用いる場合に使用される水の水質は、非常に重要であり、二酸化炭素溶解前の状態では半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0103】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
【0104】
これらの水に溶解する二酸化炭素の量は飽和溶解度までのいずれの量でも本発明は可能だが、多すぎると水温が変動したときに泡が発生し基体表面に付着することによりスポット上のシミが発生する場合がある。更に、溶解した二酸化炭素の量が多いとpHが小さくなるため基体にダメージを与える場合がある。一方、溶解した二酸化炭素の量が少なすぎると本発明の効果を得ることができない。
【0105】
基体に要求される品質等を考慮しながら、状況に合わせて二酸化炭素の溶解量を最適化する必要がある。
【0106】
一般的に本発明による好ましい二酸化炭素の溶解量は飽和溶解度の60%以下、更に好ましくは40%の条件である。
【0107】
本発明において二酸化炭素の溶解量は水の導電率またはpHで管理することが実用的であるが、導電率で管理した場合、好ましい範囲は5μS/cm以上、40μS/以下、更に好ましくは6μS/cm以上、35μS/cm以下、8μS/cm以上、30μS/cm以下、pHで管理した場合、好ましい範囲は3.8以上、6.0以下、更に好ましくは4.0以上、5.0以下で本発明は効果が顕著である。導電率の測定は導電率計等により行い、値としては温度補正により25℃に換算した値を用いる。
【0108】
二酸化炭素を水に溶解する方法はバブリングによる方法、隔膜を用いる方法等いずれでも良い。本発明においては、二酸化炭素を溶解した水を用いることが重要であり、炭酸イオンを得るために炭酸ナトリウム等の炭酸塩を用いた場合、ナトリウムイオン等の陽イオンが本発明の効果を阻害してしまう。
【0109】
温水の温度は、30℃以上、90℃以下、好ましくは35℃以上、80℃以下、最適には40℃以上、70℃以下が本発明には適している。
【0110】
引き上げ乾燥する際の引き上げ速度は非常に重要であり、好ましい範囲は100mm/min以上、2000mm/min、更に好ましくは200mm/min、最適には300mm/min以上、1000mm/minが本発明には適している。
【0111】
二酸化炭素を溶解した水による洗浄処理から堆積膜形成装置へ投入までの時間は、長すぎると本発明の効果が小さくなってしまい、短すぎると工程が安定しないため、1分以上、8時間以下、好ましくは2分以上、4時間以下、最適には3分以上、2時間以下が本発明には適している。
【0112】
本発明に関連する参考発明の乾燥工程又は発明の表面凹凸加工後の乾燥工程において、珪酸塩を溶解した水を用いる場合に使用される水の水質は、非常に重要であり珪酸塩溶解前の状態では半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0113】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
【0114】
珪酸塩を溶解した水の温度は、30℃以上、90℃以下、好ましくは35℃以上、80℃以下、最適には40℃以上、70℃以下が本発明には適している。
【0115】
本発明に於て、表面凹凸加工後の洗浄を行なう場合の、珪酸塩を含有した水の濃度は、濃すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると脱脂効果、皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、珪酸塩を含有した水の濃度は、0.05%以上、2%以下、好ましくは0.1%以上、1.5%以下、最適には0.2%以上、1%以下が本発明には適している。
【0116】
本発明に於て、表面凹凸加工後の洗浄を行なう場合の、珪酸塩を含有した水のpHは、高すぎると液跡によるシミが発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、薄すぎると皮膜効果が小さく、本発明の効果が充分得られない。
この為、珪酸塩を含有した水のpHは、8以上、12.5以下、好ましくは9以上、12以下、最適には10以上、11.5以下が本発明には適している。
このようにして得られた珪酸塩を溶解した水により基体表面を洗浄するときは、前記二酸化炭素を溶解した場合と同様の方法、時間が好ましい。
【0117】
本発明に関連する参考発明の乾燥工程又は発明の表面凹凸加工後の乾燥工程において、純水を用いる場合の水質は、非常に重要であり、半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ-cm以上、好ましくは3MΩ-cm以上、最適には5MΩ-cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は理論抵抗値(18.25MΩ-cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ-cm以下、好ましくは15MΩ-cm以下、最適には13MΩ-cm以下が本発明には適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以下が本発明には適している。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0118】
上記の水質の水を得る方法としては、活性炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ましい。
【0119】
純水の温度は、30℃以上、90℃以下、好ましくは35℃以上、80℃以下、最適には40℃以上、70℃以下が本発明には適している。このようにして得られた純水により基体表面を洗浄するときは、前記二酸化炭素を溶解した場合と同様の方法、時間が好ましい。
本発明に関連する参考発明及び発明において、基体の材質は、アルミニウムを母体としたものであれば何れも可能であるが、
アルミニウム基体が、Feを10ppm以上、1wt%以下含有
アルミニウム基体が、Siを10ppm以上、1wt%以下含有
アルミニウム基体が、Cuを10ppm以上、1wt%以下含有
且つ、Fe+Si+Cuが、0.01wt%を越え1wt%以下含有したものが本発明には適している。
【0120】
本発明において基体の加工性を向上させるためにマグネシウムを含有させることは有効である。好ましいマグネシウムの含有量としては、0.1wt%以上、10wt%以下、更に好ましくは0.2wt%以上、5wt%以下の範囲である。
【0121】
更に本発明では、H,Li,Na,K,Be,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Ag,Zn,Cd,Hg,B,Ca,In,C,Si,Ge,Sn,N,P,As,O,S,Se,F,Cl,Br,I等如何なる物質をアルミニウム中に含有させても有効である。
【0122】
本発明において基体の形状は、所望によって決定されるが、例えば電子写真用として使用するのであれば、連続高速複写機の場合には、無端ベルト状又は前述した様に円筒形のものが本発明に最適である。円筒状の場合基体の大きさには特に制限はないが、実用的には直径20mm以上、500mm以下、長さ10mm以上、1000mm以下が好ましい。支持体の厚みは、所望通りの光導電部材が形成される様に適宜決定されるが、光導電部材として可能性が要求される場合には、支持体としての機能が十分発揮される範囲内であれば可能な限り薄くされる。しかしながら、この様な場合にも、支持体の製造上及び取り扱い上、更には機械的強度等の点から、通常は10μm以上とされる。
【0123】
本発明で用いられる感光体は、アモルファスシリコン感光体、セレン感光体、硫化カドミニウム感光体、有機物感光体等何れも可能であるが、特にアモルファスシリコン感光体等の珪素含む非単結晶感光体の場合その効果が顕著である。
【0124】
珪素含む非単結晶感光体の場合、堆積膜形成時に使用される原料ガスとしては、シラン(SiH )、ジシラン(Si )、四弗化珪素(SiF )、六弗化ニ珪素(Si )等のアモルファスシリコン形成原料ガス又はそれらの混合ガスが挙げられる。
【0125】
希釈ガスとしては水素(H )、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等が挙げられる。
【0126】
又、堆積膜のバンドギャップ幅を変化させる等の特性改善ガスとして、窒素(N )、アンモニア(NH )等の窒素原子を含む元素、酸素(O )、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO )、酸化二窒素(N O)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO )等酸素原子を含む元素、メタン(CH )、エタン(C )、エチレン(C )、アセチレン(C )、プロパン(C )等の炭化水素、四弗化ゲルマニウム(GeF )、弗化窒素(NF )等の弗素化合物をこれらの混合ガスが挙げられる。
【0127】
また、本発明に於ては、ドーピングを目的としてジボラン(B )フッ化ほう素(BF )、ホスフィン(PH )等のドーパントガスを同時に放電空間に導入しても本発明は同様に有効である。
【0128】
本発明の電子写真感光体では、基体上に堆積した堆積膜の総膜厚はいずれでも良いが、5μm以上、100μm以下、更に好ましくは10μm以上、70μm以下、最適には15μm以上、50μm以下に於て、電子写真感光体として特に良好な画像を得る事ができた。
【0129】
本発明では、堆積膜の堆積中の放電空間の圧力がいずれの領域でも効果が認められたが、特に0.5mtorr以上、100mtorr以下、好ましくは1mtorr以上、50mtorr以下に於いて、放電の安定性及び堆積膜の均一性の面で特に良好な結果が再現性良く得られた。
【0130】
本発明において、堆積膜の堆積時の基体温度は、100℃以上、500℃以下の範囲で有効であるが、特に150℃以上、450℃以下、好ましくは200℃以上、400℃以下、最適には250℃以上、350℃以下に於て著しい効果が確認された。
【0131】
本発明において、基体の加熱手段としては、真空仕様の発熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックスヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。また、それ以外にも、反応容器とは別に加熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で基体を搬送する等の方法も使用することができる。以上の手段を単独にまたは併用して用いることが本発明では可能である。
【0132】
本発明において、プラズマを発生させるエネルギーは、DC、RF、マイクロ波等いずれでも可能であるが、特に、プラズマの発生のエネルギーにマイクロ波を用いた場合、基体の表面欠陥による異常成長が顕著に現れ且つ、吸着した水分にマイク口波が吸収され、界面の変化がより顕著なものとなるため、本発明の効果がより顕著なものとなる。
【0133】
本発明において、プラズマ発生のためにマイクロ波を用いる場合、マイクロ波電力は、放電を発生させることができればいずれでも良いが、100W以上、10kW以下、好ましくは500W以上、4kW以下が本発明を実施するに当たり適当である。
【0134】
本発明において、堆積膜形成中に放電空間に電圧(バイアス電圧)を印加することは有効であり、少なくとも基体に陽イオンが衝突する方向に電界が掛かることが好ましい。バイアスを全く掛けない場合、本発明の効果は著しく低減してしまうため、DC成分の電圧が1V以上、500V以下、好ましくは5V以上、100V以下であるバイアス電圧を堆積膜形成中に印加することが、本発明の効果を得るためには望ましい。
【0135】
本発明において、反応容器内に誘電体窓を用いてマイクロ波導入する場合、誘電体窓の材質としてはアルミナ(Al )、窒化アルミニウム(AIN)、窒化ボロン(BN)、窒化珪素(SiN)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(Si )、酸化ベリリウム(BeO)、テフロン、ポリスチレン等マイクロ波の損失の少ない材料が通常使用される。
【0136】
複数の基体で放電空間を取り囲む構成の堆積膜形成方法に於いては基体の間隔は1mm以上、50mm以下が好ましい。基体の数は放電空間を形成できるならばいずれでも良いが3本以上、より好ましくは4本以上が適当である。
【0137】
本発明は、いずれの電子写真感光体製造方法にも適用が可能であるが、特に、放電空間を囲むように基体を設け、少なくとも基体の一端側から導波管によりマイクロ波を導入する構成により堆積膜を形成する場合大きな効果がある。
【0138】
本発明の方法で製造された電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0139】
以下、本発明並びに関連参考発明の効果を、実験例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0140】
実験例1
Siが0.05wt%、Feが0.03wt%、Cuが0.01wt%のアルミニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
切削工程終了15分後に図1に示す本発明の表面処理装置により、表1に示す条件にて洗剤(非イオン性界面活性剤)により脱脂、リンス、乾燥を行なった。その時、表3に示す様にインヒビターを入れる槽を変更させた。(尚:インヒビターは珪酸カリウムを用い界面活性剤水溶液中に3g/l入れ、pH=11.0とした。)
【0141】
次に、これらの表面処理を施した基体上に図3に示す堆積膜形成装置を用い表2の条件で、基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図6に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。図6−Aに於て601、602、603及び604はそれぞれ、アルミニウム基体、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を示している。
【0142】
この様にして作成した電子写真感光体の電子写真的特性の評価を以下のようにして行った。作成した電子写真感光体を実験用に予めプロセススピードを200〜800mm/secの範囲で任意に変更できるように改善を行ったキヤノン社製複写機、NP6060にいれ、帯電器に6〜7kVの電圧を印加してコロナ帯電を行ない、通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を作製し、黒ポチ、画像欠陥の総合的な評価と環境性の評価をおこなった。その結果を同じく表3に示す。
【0143】
〈黒ポチ、画像欠陥の評価〉
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿及び文字原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプル中で一番画像欠陥の多く現れる画像サンプルを選び評価を行った。評価の方法としては画像サンプル上を拡大鏡で観察し同一面積内にある白点の状態により評価を行った。
【0144】
◎・・・良好。
○・・・一部微小な欠陥あるが全く問題無し。
△・・・全面に微小な欠陥があるが実用上支障無し。
×・・・全面に大きな欠陥があり問題あり。
【0145】
〈環境性の評価〉
○・・・前処理工程にオゾン層の破壊に関わる物質を用いない。
×・・・前処理工程にオゾン層の破壊に関わる物質を用いている。
【0146】
【表1】
Figure 0003566516
【0147】
【表2】
Figure 0003566516
【0148】
【表3】
Figure 0003566516
注)●はインヒビターを入れた事を、-はインヒビターを入れなかった事を示す。
表3より界面活性剤中、または界面活性剤直後にインヒビターを入れる事により良好な結果が得られた。
【0149】
〈比較実験例1〉
洗浄工程にインヒビターを用いなかった以外は実験例1と同様の方法にて洗浄を行ない、その後同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し同様の評価を行なった。その結果を比較実験例1として同じく表3に示す。
【0150】
従来例1
実験例1と同様の基体を用い表4に示す条件にてポリブデンを1−1−1トリクロルエタン中に溶解させた溶液を用い、図2に示す従来の基体表面洗浄装置により表4の条件で脱脂及び洗浄の処理を行った。
【0151】
【表4】
Figure 0003566516
図2に示す基体洗浄装置は、処理槽202と基体搬送機構203よりなっている。処理槽202は、基体投入台211、基体洗浄槽221、基体搬出台251よりなっている。洗浄槽221は液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構203は、搬送レール265と搬送アーム261よりなり、搬送アーム261は、レール265上を移動する移動機構262、基体201を保持するチャッキング機構263、及びこのチャッキング機構263を上下させるためのエアーシリンダー264よりなっている。
【0152】
切削後、投入台211に置かれた基体201は、搬送機構203により洗浄槽221に搬送される。洗浄槽221中のトリクロルエタン(商品名:エターナVG 旭化成工業社製)222により表面に付着している切削油及び切り粉を除去するための洗浄が行なわれる。
【0153】
洗浄後、基体201は、搬送機構203により搬出台251に運ばれる。
【0154】
更にその後、実験例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0155】
この様にして作成した電子写真感光体を実験例1と同様の方法で評価した結果を従来例1として同じく表3に示す。
【0156】
実験例2
実験例1の表1に示すリンス及び乾燥工程に表5に示す水を用いた以外は実験例1と同様の方法にて基体上に阻止型電子写真感光体を作製し、その後実験例1と同様の方法にて評価を行なった。その結果を表6に示す。
【0157】
【表5】
Figure 0003566516
【0158】
【表6】
Figure 0003566516
表6より明らかな様に洗浄(リンス)工程、乾燥工程に二酸化炭素水溶液と純水との組み合わせを用いて、界面活性剤中、または界面活性剤直後にインヒビターを入れる事により良好な結果が得られた。
【0159】
実験例3
実験例1と同様の基体を用い、表7に示す方法にて洗浄を行なった時に導入する表8に示す様に珪酸塩の種類を変更させた。その後実験例1と同様の方法にて基体上に阻止型電子写真感光体を形成し同様の方法にて測定を行なった。その結果を同じく表8に示す。
【0160】
【表7】
Figure 0003566516
【0161】
【表8】
Figure 0003566516
表8より明らかな様にいずれの珪酸塩を用いても良好な結果が得られたが特に珪酸カリウムが一番良好な結果を得ることが出来た。
【0162】
実験例4
実験例1と同様の基体を用い、実験例3と同じ表7に示す条件にて洗浄を行なった。その時に導入する珪酸カリウムの濃度を表9に示す様に変化させ、洗浄後の基体表面を肉眼でシミの状態を観察した。その後、実験例1と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し実験例1と同様の方法にて評価を行なった。その結果を同じく表9に示す。
【0163】
外観(シミ)
洗浄後の基体表面に強露光の光を反射させ肉眼で確認出来る基体上のシミを確認した。
【0164】
○・・・全く無く良好。
△・・・大変薄く全く問題ない。
×・・・はっきりと認められる。
【0165】
【表9】
Figure 0003566516
表9の結果より珪酸カリウムの濃度が0.05%以上、2.0以下の範囲において良好な結果が得られた。
【0166】
実験例5
Si、Fe、Cuの含有量を表10に示す様に変化させたアルミニウムを用い、実験例3と同様の方法にて脱脂及び洗浄を行なった。その後、実験例1と同等の阻止型電子写真感光体を作製し、実験例1と同様の評価を行なった。その結果を同様に表10に示す。
【0167】
【表10】
Figure 0003566516
表10より明らかな様に0.01wt%<Si+Fe+Cu、≦1wt%の含有量が変化しても本発明は有効で有る。
【0168】
実験例6
Feを0.003wt%、Cuを0.006wt%に固定し表11に示す様にSiの含有量を変化させた以外は、実験例4と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表11に示す。
【0169】
【表11】
Figure 0003566516
表11より明らかな様に0.001≦Si≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0170】
実験例7
Siを0.005wt%、Cuを0.004wt%に固定し表12に示す様にFeの含有量を変化させた以外は実験例5と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表12に示す。
【0171】
【表12】
Figure 0003566516
表12より明らかな様に0.001≦Fe≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0172】
実験例8
Siを0.006wt%、Feを0.003wt%に固定し表13に示す様にCuの含有量を変化させた以外は、実験例4と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表13に示す。
【0173】
【表13】
Figure 0003566516
表13より明らかな様に0.001≦Cu≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0174】
実験例9
径2mmのSUSステンレス製剛体真球を用い、図7に示した本発明の装置を用いアルミニウム基体(径108mm、長さ358mm)の表面を処理し、凹凸を形成させた。
【0175】
真球の径R’、落下高さhと痕跡窪み曲率R、幅Dとの関係を調べた所、痕跡窪みの曲率Rと幅Dとは、真球の径R’と落下高さh等の条件により決められる事が確認された。また痕跡窪みのピッチ(痕跡窪みの密度、また凹凸のピッチ)は、シリンダーの回転速度、回転散乃至は剛体真球の落下量等を制御して所望のピッチに調整する事が出来ることが確認された。
【0176】
実験例10
Siが0.05wt%、Feが0.03wt%、Cuが0.01wt%のアルミニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0177】
切削工程終了15分後に図7に示す本発明の表面処理装置により、表14に示す条件にてインヒビターを含んだ洗剤(非イオン性界面活性剤)により脱脂を行なうと同時にD/Rを変化させ凹凸の形成を行なった。その後、水系による洗浄を行なった。尚:光受容部材の支持体におけるDは何れも500μmとし、脱脂及び凹凸形成に用いるインヒビターは界面活性剤水溶液中に3g/l入れ、pH=11.0とした。
【0178】
その際、各表面処理基体について、表面処理に生じている表面欠陥(スジ状キズ等)を目視及び金属顕微鏡により検査した。結果を表16に示す。
【0179】
次に、これらの表面処理を施した基体上に図7に示す堆積膜形成装置を用い表15の条件で、基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図6(A)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。図6(A)において601、602、603及び604はそれぞれ、アルミニウム基体、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を示している。
【0180】
この様にして作成した電子写真感光体の電子写真的特性の評価を以下のようにして行った。
作成した電子写真感光体を実験用に予めプロセススピードを200〜800mm/secの範囲で任意に変更し、帯電器に6〜7kVの電圧を印加してコロナ帯電を行ない、788nmのレーザー像露光にて電子写真感光体表面に潜像を形成した後通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を作製出来るように改造を行ったキヤノン社製複写機、NP6650にいれ、干渉縞、黒ポチ、画像欠陥の総合的な評価と環境性の評価を行った。
【0181】
〈干渉縞、黒ポチ、画像欠陥の評価〉
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿及び文字原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプル中で一番画像欠陥の多く現れる画像サンプルを選び評価を行った。評価の方法としては画像サンプル上を拡大鏡で観察し同一面積内にある白点の状態により評価を行った。
【0182】
◎・・・良好。
○・・・一部微小な欠陥あるが全く問題無し。
△・・・全面に微小な欠陥があるが実用上支障無し。
×・・・全面に大きな欠陥があり問題あり。
【0183】
〈環境性の評価〉
○・・・前処理工程にオゾン層の破壊に係わる物質を用いない。
×・・・前処理工程にオゾン層の破壊に係わる物質を用いている。
【0184】
【表14】
Figure 0003566516
【0185】
【表15】
Figure 0003566516
【0186】
【表16】
Figure 0003566516
0.035≦D/R≦0.5の範囲において良好な結果が得られた。
【0187】
従来例2
凹凸形成工程を表17に示す条件にてポリブデンを1−1−1トリクロルエタン中に溶解させた溶液を用い実験例10と同様のD/Rに凹凸を形成した。その後基体は、図2に示す従来の基体表面洗浄装置により表17の条件で脱脂及び洗浄の処理を行った。図2に示す基体洗浄装置は、処理槽202と基体搬送機構203よりなっている。処理槽202は、基体投入台211、基体洗浄槽221、基体搬出台251よりなっている。洗浄槽221は液の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付いている。搬送機構203は、搬送レール265と搬送アーム261よりなり、搬送アーム261は、レール265上を移動する移動機構262、基体201を保持するチャッキング機構263、及びこのチャッキング機構263を上下させるためのエアーシリンダー264よりなっている。
【0188】
切削後、投入台211に置かれた基体201は、搬送機構203により洗浄槽221に搬送される。洗浄槽221中のトリクロルエタン(商品名:エターナVG 旭化成工業社製)222により表面に付着している切削油及び切り粉を除去するための洗浄が行なわれる。
【0189】
洗浄後、基体201は、搬送機構203により搬出台251に運ばれる。
【0190】
更にその後、実験例10と同様の方法で電子写真感光体を作製した。
【0191】
この様にして作成した電子写真感光体を実験例10と同様の方法で評価した結果を従来例2として同じく表16に示す。
【0192】
【表17】
Figure 0003566516
*ポリブデンを5%溶解した処理液とした。
【0193】
実験例11
実験例10と同様の基体を用い、凹凸形成に半径1mmの剛体真球を用い表18に示す様に球状痕跡窪みの幅Dを変化させた。その後は実験例10と同様の方法にて基体上に阻止型電子写真感光体を形成し同様の方法にて評価した。その結果を同じく表18に示す。
【0194】
【表18】
Figure 0003566516
表18より明らかの様に4μm≦D≦500μmの範囲において良好な結果が得られた。
【0195】
実験例12
実験例10と同様の基体を用い、実験例10と同等の脱脂及び凹凸形成工程にてD/R=0.056とした時に、用いるインヒビターを変更させた。その後実験例10と同様の阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を表19に示す。尚:インヒビターは界面活性水溶液に対しそれぞれ3g/lとし、いずれもpH=10.5にした。
【0196】
【表19】
Figure 0003566516
表19より明らかな様にいずれの珪酸塩を用いても良好な結果が得られたが特に珪酸カリウムが一番良好な結果を得る事が出来た。
【0197】
実験例13
実験例10と同様の基体を用い、脱脂及び凹凸形成と同一装置内にて洗浄(リンス)を併用する工程において表20に示すように珪酸カリウムを含有する領域を変化させた。
【0198】
その後、水系の洗浄を行ない実験例10と同等の阻止型電子写真感光体を形成し同様の評価を行なった。その結果を表20に示す。但し表中の界面活性剤は非イオン性界面活性剤を示し、インヒビターとしては珪酸カリウムを処理液に対し3g/l導入しpH=10.8とした。またD/R=0.056とした。
【0199】
【表20】
Figure 0003566516
比較実験例2
実験例13と同等の基体にて、脱脂及び凹凸形成工程に珪酸カリウムを含まない洗剤(界面活性剤)を用い、その後同一装置内での洗浄(リンス)工程に10μSの二酸化炭素水溶液を用いた以外は実験例13と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を形成し同様の評価を行なった。その結果を比較実験例2として同様に表20に示す。
【0200】
比較実験例3
実験例13と同等の基体にて、脱脂及び凹凸形成工程に珪酸カリウムを含まない洗剤(界面活性剤)を用い、その後、同一装置内で洗浄(リンス)工程に10MΩ−cmの純水を用いた以外は実験例13と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を形成し同様の評価を行なった。その結果を比較例3として同様に表20に示す。
【0201】
この様に珪酸カリウムは脱脂及び凹凸形成工程、或いは凹凸形成と同一装置内の洗浄(リンス)工程内のいずれの工程にいれても本発明は有効で有る事が解った。
【0202】
実験例14
実験例10と同様の基体を用い表21に示す条件にて脱脂及び凹凸形成及び洗浄(リンス)を行なった。その後、表22に示す各条件にて図1に示す洗浄装置を用い洗浄(リンス・乾燥)を行ない実験例10と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を形成し同様の評価を行なった。その結果を同様に表22に示す。尚:D/R=0.053とし表22中におけるインヒビターは処理液に対し3g/lとし、pH=11とした。
【0203】
【表21】
Figure 0003566516
【0204】
【表22】
Figure 0003566516
表22より明らかな様に脱脂及び凹凸形成工程に珪酸カリウムを用いる事によりその後の洗浄(リンス、乾燥)工程ではどのような条件下においても本発明は有効である。
【0205】
実験例15
実験例14と同様の方法にて脱脂及び凹凸形成を行なった。その後、実験例14の表22に示す各条件にて洗浄(リンス・乾燥)を行なう工程の前に界面活性剤を用い超音波処理を行なう工程を設けて洗浄を行なった。その結果どの条件下でも実験例14と同等の効果が得られた。
【0206】
実験例16
Si、Fe、Cuの含有量を表25に示す様に変化させたアルミニウムを用い、表23に示す条件にて脱脂及び凹凸形成及び洗浄(リンス)を行ない、次に、表24に示す条件にて洗浄を行なった。その後、実験例10と同等の阻止型電子写真感光体を作製し、実験例10と同様の評価を行なった。尚:インヒビターを導入した処理液のpH=11とした。その結果を同様に表25に示す。
【0207】
【表23】
Figure 0003566516
【0208】
【表24】
Figure 0003566516
【0209】
【表25】
Figure 0003566516
表25より明らかな様に0.01wt%<Si+Fe+Cu≦1wt%の含有量が変化しても本発明は有効で有る。
【0210】
実験例17
Feを0.005wt%、Cuを0.004wt%に固定指標25に示す様にSiの含有量を変化させた以外は、実験例16と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表26に示す。
【0211】
【表26】
Figure 0003566516
表26より明らかな様に0.001≦Si≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0212】
実験例18
Siを0.004wt%、Cuを0.005wt%に固定し表27に示す様にFeの含有量を変化させた以外は実験例16と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表27に示す。
【0213】
【表27】
Figure 0003566516
表27より明らかな様に0.001≦Fe≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0214】
実験例19
Siを0.004wt%、Feを0.005wt%に固定し表28に示す様にCuの含有量を変化させた以外は、実験例16と同様の方法にて阻止型電子写真感光体を作製し、同様の評価を行なった。その結果を同様に表28に示す。
【0215】
【表28】
Figure 0003566516
表28より明らかな様に0.001≦Cu≦1.0の範囲において良好な結果を示した。
【0216】
【実施例】
参考例1〉
Siが0.06wt%、Feが0.02wt%、Cuが0.02wt%含有したアルミニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行ない、切削工程終了15分後に図1に示す洗浄装置により、表29に示す条件にて洗浄処理を行なった後、図3に示す堆積膜形成装置を用い、表30の条件で、基体上に、図6-Aに示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。
【0217】
この様にして作成した電子写真感光体の電子写真的特性の評価を以下のようにして行った。但し、同一成膜条件で作製した感光体を各10本づつ評価を行った。
【0218】
【表29】
Figure 0003566516
【0219】
【表30】
Figure 0003566516
作成した電子写真感光体の外観を目視により膜はがれを観察し評価した後、実験用に予めプロセススピードを200〜800mm/secの範囲で任意に変更し、帯電器に6〜7kVの電圧を印加してコロナ帯電を行ない、キヤノン社製複写機NP6060を実験用に改造した複写装置にいれ、通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を作製し、画像性の評価を行った。これらの評価結果をとして表31に示した。
画像評価は以下の方法にて行なった。また比較例1として従来例1で示した方法にて処理後、参考例1と同等の阻止型電子写真感光体を作製し参考例1と同様の方法にて評価した結果を同じく表31に示す。
【0220】
[画像欠陥の評価]
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿及び文字原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプル中で一番画像欠陥の多く現れる画像サンプルを選び評価を行った。評価の方法としては画像サンプル上を拡大鏡で観察し同一面積内にある白点の状態により評価を行った。
【0221】
◎・・・良好。
○・・・一部微小な白点有り。
△・・・全面に微小な白点が有るが文字の認識には支障無し。
×・・・白点が多い為一部文字が読みにくい部分が有る。
【0222】
[黒しみの評価」
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿を原稿台に置いて得られた画像の平均濃度が0.4±0.1になるように画像を出力した。このようにして得られた画像サンプル中で一番しみの目立つものを選び評価を行った。評価の方法としてはこれらの画像を目より40cm離れたところで観察して、黒しみが認められるか調べ、以下の基準で評価を行った。
【0223】
Figure 0003566516
【0224】
[電子写真特性1の評価]
通常のプロセススピードで同一の帯電電圧を与えたときに現像位置で得られる感光体の表面電位を帯電能として相対値により評価する。但し、従来例1で得られた電子写真感光体の帯電能を100%としている。
【0225】
[電子写真特性2の評価]
通常のプロセススピードで同一の帯電電圧を与えた後、光を照射し一定の電位に下がった時に得られる光量を感度として相対値により評価する。但し、従来例1で得られた電子写真感光体の帯電能を100%としている。
【0226】
【表31】
Figure 0003566516
表31より明らかな様に非常に良好な結果を示し、電子写真特性の向上と言う予期せぬ効果を得る事が出来た。
【0227】
参考例2
参考例1と同様の基体を用い、参考例1と同様の方法にて作製された阻止型電子写真感光体を下記に示す方法にて評価した結果を表32に示す。また比較例2として従来例1で示した方法にて処理後、阻止型電子写真感光体を作製し参考例1と同様の方法にて評価した結果を同じく表32に示す。
【0228】
[画像むらの評価]
A3方眼紙(コクヨ社製)を複写機の原稿台に置き、複写機の絞りを変える事により原稿の露光量を、グラフの線が辛うじて認められる程度から白地の部分がかぶり始める程度までの範囲の画像が得られるように変え、濃度の異なる10枚のコピーを出力した。
これらの画像を目より40cm離れたところで観察して、濃度の違いが認められるか調べ、以下の基準で評価を行った。
【0229】
Figure 0003566516
【0230】
[白地かぶりの評価]
白地に全面文字よりなる通常の原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプルを観察し、白地の部分のかぶりを評価した。
【0231】
◎・・・良好。
○・・・一部僅かにかぶりあり。
△・・・全面に渡りかぶりあるが文字の認識には全く支障無し。
×・・・かぶりのため文字が読みにくい部分がある。
【0232】
【表32】
Figure 0003566516
表32より明らかな様に良好な結果を示した。
【0233】
参考例3〉
参考例1と同様の基体を用い、参考例1と同様の方法にて表面処理を行なった後、図4(A)、図4(B)に示すμwPCVD装置を用い表33に示す条件にて図6-Bに示す阻止型電子写真感光体を作製し参考例1と同様の方法にて評価した結果を表34に示す。また比較例3として従来例1で示した方法にて処理後、同様の阻止型電子電子写真感光体を作製し同様の方法にて評価した結果を同じく表34に示す。尚:図6-(B)に於て601、602、603-1、603-2、604はそれぞれ、アルミニウム基体、電荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、及び表面層を示している。
【0234】
【表33】
Figure 0003566516
【0235】
【表34】
Figure 0003566516
表34より明らかな様に装置及び層構成が異なっても本発明は有効で有る。
【0236】
参考例4〉
参考例1と同様の基体を用い、参考例1と同等の表面処理を行なった後図5に示すVHFPCVD装置を用い表35に示す条件にて図6に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製し同様の方法にて評価した。その結果参考例1と同様の良好な結果が得られた。
【0237】
【表35】
Figure 0003566516
【0238】
〈実施例
Siが0.05wt%、Feが0.03wt%、Cuが0.02wt%含有したアルミニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行い、切削工程終了15分後に図7に示す凹凸形成装置により、表36に示す条件により基体表面の脱脂及び凹凸形成及び洗浄(リンス)を行なった。その後、表37に示す条件にて洗浄処理を行なった後、図3に示す堆積膜形成装置を用い、表38の条件で、基体上に、図6(A)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製した。
【0239】
この様にして作成した電子写真感光体の電子写真的特性の評価を以下のようにして行った。但し、同一成膜条件で作製した感光体を各10本づつ評価を行った。
【0240】
【表36】
Figure 0003566516
【0241】
【表37】
Figure 0003566516
【0242】
【表38】
Figure 0003566516
作成した電子写真感光体の外観を目視により膜はがれを観察し評価した後、実験用に予めプロセススピードを200〜800mm/secの範囲で任意に変更し、帯電器に6〜7kVの電圧を印加してコロナ帯電を行ない、788nmのレーザー像露光にて電子写真感光体表面に潜像を形成した後通常の複写プロセスにより転写紙上に画像を作製できるように改造を行ったキヤノン社製複写機、NP6650にいれ、画像性の評価を行った。これらの評価結果をとして表39に示した。
画像評価は以下の方法にて行なった。また比較例4として従来例2で示した方法にて処理後、実施例と同等の阻止型電子写真感光体を作製し実施例と同様の方法にて評価した結果を同じく表39に示す。
【0243】
[画像欠陥の評価]
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿及び文字原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプル中で一番画像欠陥の多く現れる画像サンプルを選び評価を行った。評価の方法としては画像サンプル上を拡大鏡で観察し同一面積内にある白点の状態により評価を行った。
【0244】
◎・・・良好。
○・・・一部微小な白点有り。
△・・・全面に微小な白点が有るが文字の認識には支障無し。
×・・・白点が多い為一部文字が読みにくい部分が有る。
【0245】
[黒しみの評価」
プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿を原稿台に置いて得られた画像の平均濃度が0.4±0.1になるように画像を出力した。このようにして得られた画像サンプル中で一番しみの目立つものを選び評価を行った。評価の方法としてはこれらの画像を目より40cm離れたところで観察して、黒しみが認められるか調べ、以下の基準で評価を行った。
【0246】
Figure 0003566516
【0247】
[電子写真特性1の評価]
通常のプロセススピードで同一の帯電電圧を与えたときに現像位置で得られる感光体の表面電位を帯電能として相対値により評価する。但し、従来例2で得られた電子写真感光体の帯電能を100%としている。
【0248】
[電子写真特性2の評価]
通常のプロセススピードで同一の帯電電圧を与えた後、光を照射し一定の電位に下がった時に得られる光量を感度として相対値により評価する。但し、従来例1で得られた電子写真感光体の帯電能を100%としている。
【0249】
[コストの評価]
◎・・・安価に作製できる。
○・・・従来と同等。
×・・・コストアップになる。
【0250】
【表39】
Figure 0003566516
表39より明らかなように非常に良好な結果を示し、電子写真特性の向上と言う予期せぬ効果を得ることが出来た。
【0251】
〈実施例
実施例と同様の基体を用い、実施例と同様の方法にて作製された阻止型電子写真感光体を下記に示す方法にて評価した結果を表40に示す。また比較例5として従来例2で示した方法にて処理後、阻止型電子写真感光体を作製し実施例と同様の方法にて評価した結果を同じく表40に示す。
【0252】
[すべり性の評価]
ブレートに任意の荷重をかけてピエゾ素子を用い、ドラムの回転開始前後でのブレードがドラムに引っ張られる力=摩擦力を検出する。荷重と回転開始直前の“最大静止摩擦力”から「最大静止摩擦係数」を、同様に定常回転中の“動摩擦力”から「動摩擦係数」を算出した時に従来例2を100%とした時の相対値で比較した(値が低いほどすべり性が良好で有る事を示す)
【0253】
[画像むらの評価]
A3方眼紙(コクヨ社製)を複写機の原稿台に置き、複写機の絞りを変える事により原稿の露光量を、グラフの線が辛うじて認められる程度から白地の部分がかぶり始める程度迄の範囲の画像が得られるように変え、濃度の異なる10枚のコピーを出力した。
これらの画像を目より40cm離れたところで観察して、濃度の違いが認められるか調べ、以下の基準で評価を行った。
【0254】
Figure 0003566516
【0255】
[白地かぶりの評価]
白地に全面文字よりなる通常の原稿を原稿台に置いてコピーした時に得られた画像サンプルを観察し、白地の部分のかぶりを評価した。
【0256】
◎・・・良好。
○・・・一部僅かにかぶりあり。
△・・・全面に渡りかぶりあるが文字の認識には全く支障無し。
×・・・かぶりのため文字が読みにくい部分がある。
【0257】
【表40】
Figure 0003566516
表40より明らかな様に良好な結果を示した。
【0258】
〈実施例
実施例と同様の基体を用い、実施例と同様の方法にて表面処理を行なった後、図4(A)、図4(B)に示すμwPCVD装置を用い表41に示す条件にて図6(B)に示す阻止型電子写真感光体を作製し実施例と同様の方法にて評価した結果を表42に示す。また比較例6として従来例2で示した方法にて処理後、同様の阻止型電子電子写真感光体を作製し同様の方法にて評価した結果を同じく表42に示す。尚:図6(B)に於て601、602、603-1、603-2、604はそれぞれ、アルミニウム基体、電荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、及び表面層を示している。
【0259】
【表41】
Figure 0003566516
【0260】
【表42】
Figure 0003566516
表42より明らかな様に装置及び層構成が異なっても本発明は有効で有る。
【0261】
〈実施例
実施例と同様の基体を用い、実施例と同等の表面処理を行なった後図5に示すVHFPCVD装置を用い表43に示す条件にて図6(A)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製し同様の方法にて評価した。その結果実施例と同様の良好な結果が得られた。
【0262】
【表43】
Figure 0003566516
【0263】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、アルミニウム基体上に機能性膜をプラズマCVD法により形成する工程を含む電子写真感光体製造方法に於いて、前記堆積膜を形成する工程の前に基体の表面を界面活性剤と剛体真球と珪酸塩を含んだ水を用い、基体表面の脱脂及び複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成する様にした事により、均一な高品位の画像を与える電子写真感光体を安価に安定して製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の製造方法における凹凸形成の後処理に使用される洗浄装置の一例を示す概略図である。
【図2】従来方法において基体の洗浄を行うための洗浄装置の概略的縦断面図である。
【図3】RFプラズマCVD法により円筒状基体上に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置の概略縦断面図である。
【図4】図4(A)はマイクロ波プラズマCVD法により円筒状基体上に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置の概略縦断面図であり、図4(B)は図4(A)のX-X横断面図である。
【図5】VHFプラズマCVD法により円筒状基体上に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置の概略縦断面図である。
【図6】図6(A)は電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図であり、図6(B)は電子写真感光体の層構成の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の電子写真感光体の製造方法を実施するために使用される凹凸形成装置の概略図である。
【図8】本発明に係わる金属体表面の凹凸の形状を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 表面処理金属体
2 表面
3 剛体真球
4 球状痕跡窪み
71、101、201、306、406、526 基体
72 バレル
73 剛体真球
74 ノズル
75 シャワーノズル
76 液タンク
102、202 処理部
103、203 基体搬送機構
111、211 基体投入台
121、221 洗浄層
131 リンス層
122、132、142 洗浄液
141 乾燥層
151、251 基体搬出台
161、261 搬送アーム
162、262 移動機構
163、263 チャッキング機構
164、264 エアーシリンダー
165、265 搬送レール
301 反応容器
302 カソード電極
303 トッププレート
304 ベースプレート
305 絶縁ガイシ
307 基体ホルダー
308、403、523 加熱ヒーター
309、310 原料ガス導入管
311 原料ガス流入バルブ
312、528 マスクローコントローラー
313、404、524 排気配管
314 排気バルブ
315 真空排気装置
316 高周波電源
402、522、529 回転用モーター
407 放電空間
408 原料ガス導入管及び直流印加電極
409 直流電源
410 マイクロ波導入窓
411 導波管
601 アルミニウム基体
602 電荷注入阻止層
603 光導電層
603-1 電荷輸送層
603-2 電荷発生層
604 表面層

Claims (12)

  1. アルミニウム基体を基体ホルダーに装着させ減圧気相成長法により、該基体の表面にシリコン原子を母材とする非晶質材料からなる機能性膜を形成させる電子写真感光体の製造方法において、電子写真感光体を形成する工程の前に、剛体真球と珪酸塩を含んだ水を用い、基体表面の脱脂及び複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成することを特徴とした電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記凹凸がほぼ同一の曲率及び幅の窪みにより形成されている請求項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記凹凸の窪みの曲率Rと幅Dとが
    0.035≦D/R≦0.5
    を満足する値をとる請求項又はに記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記窪みの幅が4μ以上、500μm以下である請求項乃至のうちいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記、凹凸を形成する工程に用いられる珪酸塩は珪酸カリウムである請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記基体表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成した後、前記基体の表面を、界面活性剤、純水、二酸化炭素を溶解した水、珪酸塩を含んだ水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせにより、前記基体を洗浄する請求項乃至のうちいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記基体表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸を形成後の洗浄での乾燥工程において、前記基体の表面を、温純水、二酸化炭素を溶解した温純水、珪酸塩を含んだ温純水のいずれか、又は、2種以上の組み合わせにより引き上げ乾燥する請求項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記アルミニウム基板上に機能性膜を形成する工程が、水素原子及び弗素原子のいずれか一方または両方と珪素原子とを含む非単結晶堆積膜を、プラズマCVD法によりアルミニウム基体上に形成する工程を含む請求項乃至のうちいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記アルミニウム基体が、Fe+Si+Cuが、0.01wt%を越え1wt%以下含有したアルミニウム基体である請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電子写真感光体製造方法。
  10. 前記アルミニウム基体が、Feを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体である請求項に記載の電子写真感光体製造方法。
  11. 前記アルミニウム基体が、Siを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体である請求項に記載の電子写真感光体製造方法。
  12. 前記アルミニウム基体が、Cuを10ppm以上、1wt%以下含有したアルミニウム基体である請求項に記載の電子写真感光体製造方法。
JP30426697A 1997-11-06 1997-11-06 電子写真感光体の製造方法 Expired - Fee Related JP3566516B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30426697A JP3566516B2 (ja) 1997-11-06 1997-11-06 電子写真感光体の製造方法
US09/186,421 US6156472A (en) 1997-11-06 1998-11-05 Method of manufacturing electrophotographic photosensitive member

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30426697A JP3566516B2 (ja) 1997-11-06 1997-11-06 電子写真感光体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11143103A JPH11143103A (ja) 1999-05-28
JP3566516B2 true JP3566516B2 (ja) 2004-09-15

Family

ID=17930989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30426697A Expired - Fee Related JP3566516B2 (ja) 1997-11-06 1997-11-06 電子写真感光体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3566516B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11563069B2 (en) 2020-02-24 2023-01-24 Samsung Display Co., Ltd. Display panel driven by a thin film transistor including a silicon semiconductor and a thin film transistor including an oxide semiconductor
US11594588B2 (en) 2020-04-22 2023-02-28 Samsung Display Co., Ltd. Display device for improving conductivity of active layer
US11871624B2 (en) 2020-02-25 2024-01-09 Samsung Display Co., Ltd. Display device

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4914107B2 (ja) * 2006-04-28 2012-04-11 キヤノン株式会社 電子写真感光体の製造方法
KR102576995B1 (ko) 2018-07-02 2023-09-12 삼성디스플레이 주식회사 디스플레이 장치 및 그 제조방법
KR20210020188A (ko) 2019-08-13 2021-02-24 삼성디스플레이 주식회사 표시 장치 및 이의 제조 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11563069B2 (en) 2020-02-24 2023-01-24 Samsung Display Co., Ltd. Display panel driven by a thin film transistor including a silicon semiconductor and a thin film transistor including an oxide semiconductor
US11871624B2 (en) 2020-02-25 2024-01-09 Samsung Display Co., Ltd. Display device
US11594588B2 (en) 2020-04-22 2023-02-28 Samsung Display Co., Ltd. Display device for improving conductivity of active layer

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11143103A (ja) 1999-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3658257B2 (ja) 洗浄方法及び洗浄装置及び電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法
US5314780A (en) Method for treating metal substrate for electro-photographic photosensitive member and method for manufacturing electrophotographic photosensitive member
JP3563789B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法及び該製造方法に用いられる治具
EP1229394B1 (en) Electrophotographic photosensitive member, process for its production, and electrophotographic apparatus
US6156472A (en) Method of manufacturing electrophotographic photosensitive member
JP3102721B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP3890153B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法及び製造装置
JP3566516B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2000162789A (ja) 基体の洗浄方法および洗浄装置
US6406554B1 (en) Method and apparatus for producing electrophotographic photosensitive member
JP2007072175A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JPH11194515A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP3173940B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JPH11119447A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2000187339A (ja) 被洗浄体の洗浄方法及び電子写真感光体の製造方法
JPH11212287A (ja) 電子写真感光体の製造方法及びその装置
JPH07248635A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP2991349B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2786756B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2828524B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JPH0980785A (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP3251702B2 (ja) 電子写真用光受容部材の製造方法
JPH0869115A (ja) 電子写真用感光体の製造方法及び該感光体に用いられる基体の洗浄方法
JPH07181700A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP3154260B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法および電子写真感光体用基体の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040303

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040506

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100618

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110618

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees