JP3566169B2 - 洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置 - Google Patents

洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄機能を備えた車輌用前照灯において、噴射ノズルとレンズ面との間の位置調整を簡略化するとともに、噴射ノズルの非使用時であって、かつ光照射ユニットの点灯時には、当該噴射ノズルの前方に付設されたカバー部内の反射部を使って光照射ユニットからの光を有効に利用してカバー部を光輝させることで灯具の見栄えを良好にするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ヘッドランプを構成するレンズ部材の表面の汚れを、噴射による水洗浄により除去することを目的としたランプウォッシャー装置(あるいはランプクリーナー装置)が知られており、例えば、図15に示すように、車輌のバンパーaに付設して使用される装置例bが挙げられる。
【0003】
本例では、噴射ノズル部cの端部に、不透明材料で形成されたカバーdが付設されており、装置bを使用しないときには、カバーdがバンパーaに当接された状態となっており、バンパーaに形成された開口eがカバーdにより閉鎖されている。そして、当該装置を使用する際には、同図に2点鎖線で示すように、噴射ノズル部c及びカバーdが、装置内の図示しない駆動機構によって移動されて、噴射ノズル部cがバンパーaの開口eから車体外部に突出され、この状態から灯具のレンズ面fに向けて洗浄液が噴射される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような装置にあっては、洗浄装置bをバンパーaに対して取り付けているため、灯具のレンズ面fに対するノズルの噴射位置を調整するのに手間がかかってしまうという問題がある。つまり、洗浄時における噴射ノズルの設定位置をレンズ面に対して一定化させるためには、洗浄装置を車体に取り付ける際に高い位置精度が要求されることになる。
【0005】
また、噴射ノズル部cに付設されたカバーdがバンパーaの上面に現れることによって見栄えを損なう虞や、噴射ノズル部cの通過用の開口eをバンパーaに形成する必要が生じる等、各種の不都合が問題となる。
【0006】
そこで、本発明は、洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置において、灯具のレンズ面に対する噴射ノズルの位置決めを容易にするとともに、噴射ノズルのカバーが外観に及ぼす悪影響をなくすことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した課題を解決するために、透明部材とランプボディとにより形成される灯室内に配置された光照射ユニット及び透明部材の表面を洗浄するための洗浄ユニットを有することにより、洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置であって、下記の(イ)乃至(ハ)に示す構成を有するものである。
【0008】
(イ)洗浄ユニットは、透明部材を洗浄する際に当該部材の表面よりも前方に突出した状態とされたときに、その噴射ノズルから洗浄液を透明部材に対して噴射すること。
【0009】
(ロ)洗浄ユニットの噴射ノズルを含むノズル部に、カバー部が設けられていること。
【0010】
(ハ)(ロ)のカバー部内に反射部が設けられており、光照射ユニットを構成する光源からカバー部に入射された光が当該反射部で反射されて前方に照射されるようにしたこと。
【0011】
本発明によれば、灯具に洗浄ユニットを設けた構成を有しているので、灯具に対する洗浄ユニットの取付精度のみによって透明部材に対する噴射ノズルの位置精度を規定することができ、また、噴射ノズルにカバー部を付設するとともに、当該カバー部内に反射部を設けて他の光源からの光を利用してカバー部を光らせることができ、外部からはカバー部がランプ部のように視認されるので見栄えが良くなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置は、透明部材(透明材料で形成されたレンズ部材あるいはレンズ作用をもたない透明カバー等。)とランプボディとにより形成される灯室を有するとともに、その内部には光照射ユニット(光源及び反射鏡、必要に応じてレンズ部材を含む。)が配置された構成を有している。そして、透明部材の表面を洗浄するための洗浄ユニット(ランプウォッシャーユニット)を有する。
【0013】
洗浄ユニットの噴射ノズルを含むノズル部には、カバー部(ノズルカバー)が設けられている。そして、当該カバー部内には反射部が設けられ、光照射ユニットを構成する光源からカバー部に入射された光が当該反射部で反射されて前方に照射されるように構成されている。これは、カバー部を実際に点灯するレンズ部として利用するためであり、外観上の見栄えの向上及び光利用率の向上を目的とする。尚、カバー部全体が1つの光照射ユニットを構成するように、その内部に光源を設けることが考えられるが、洗浄ユニットの構成が全体として大掛かりになってしまうこと並びにカバー部及び噴射ノズルについて駆動上の負担がかかること等を考慮すると、他の光源からの光を利用して反射光を得る方法を採用した方が光束利用率の向上を図る上で効果的である。つまり、カバー部の付設によってそのままでは当該部分で遮られてしまう光を有効に利用することができる。
【0014】
図1乃至図3は、洗浄ユニットの噴射ノズルが後退して灯具装置内に収容された状態において、カバー部の表面が透明部材とともに灯具の前面を形成するようにした構成例を示すものであり、図1に示す車輌用灯具1の正面図から分かるように、光照射ユニット2と洗浄ユニット3とが水平方向に沿って配置された構成を有している。
【0015】
そして、本例では車輌用灯具1を構成するランプボディ1aと、その前面を覆う透明部材1bとによって灯具空間が構成されており、当該空間において光照射ユニット2と洗浄ユニット3が横並びに配列されている。尚、光照射ユニット2として、例えば、投影レンズや楕円反射鏡等を用いた所謂プロジェクタ型のランプ構成や、反射面が多数の反射ステップにより構成された多重面反射鏡(あるいはステップリフレクタ)等を使用する場合には、透明部材1bについてはレンズステップが全く形成されていない素通しのカバーとされるか又は僅かにレンズステップが形成されている状態とされる。また、光照射ユニット2を構成する反射鏡として、回転放物面反射鏡等のように反射鏡だけでは車輌用配光の制御に充分な光学的作用を有していない場合には、透明部材1bのうち当該反射鏡の反射面に対応する領域に多数のレンズステップが形成される。
【0016】
図2は洗浄ユニット3についてその要部を示す縦断面図であり、図3は当該ユニットの要部を示す水平断面図である。
【0017】
噴射ノズル4を含むノズル部5にはカバー部6が設けられており、図1において、灯具の正面から視認されるのはこの部分である。
【0018】
ノズル部5は、図2、図3に2点鎖線で示すように、透明部材1bを洗浄するためにカバー部6の表面よりも前方に突出した位置(これを「第1の位置」という。)と、透明部材1bの洗浄後にカバー部6の表面よりも後退した位置(これを第2の位置」という。)とに亘って移動可能な状態で灯具に支持されている。ノズル部5の駆動方式についてはその如何を問わない。例えば、洗浄ユニット3の本体部がシリンダ及びピストンを有しており、送液用ポンプによって洗浄液タンクからシリンダ内に洗浄液が圧送されるようにし、その際の洗浄液のシリンダ内の圧力上昇によってピストンが移動して、当該ピストンの端部に付設された噴射ノズルが一緒に前方に突出するようにした構成(洗浄液の噴射終了時にはシリンダ内の圧力低下に伴ってコイルバネ等の弾発手段によりピストンがシリンダ内に引っ込んで洗浄前の元の状態に戻る。)が挙げられる。
【0019】
尚、図1乃至図3に示す例では、噴射ノズル4の噴射口が横向きとされ、第1の位置において洗浄液が、透明部材1bのうち光照射ユニット2に対応した部分(外表面)に向けて噴射される。
【0020】
また、ノズル部5を使用しないときには、この部分が第2の位置に来ており、カバー部6の表面が透明部材1bの表面と面一の状態となり、ともに灯具の前面を形成する。これによって、灯具の正面形状において、カバー部6が光照射ユニット2に対して独立して機能するユニットの一部として視認されるようになるので、見栄えが良くなる。
【0021】
カバー部6については、透明部又はレンズ部を形成することが好ましい。これは、当該部分の表面が第2の位置において透明部材1bとともに灯具の前面を形成することにより、外観上違和感なく灯具前面がレンズ面として一体的に認識されるようになるからである。
【0022】
例えば、図示するように、カバー部6が前面の透明カバー部6aとその後方のボディ部6bとからなる構成とし、透明カバー部6aにはレンズステップ6as(シリンドリカルステップ等)を形成すると、レンズ部としての見栄えがさらに良くなり、灯具正面からはこの部分があたかもランプ部であるかのような視覚的効果を得ることができる。尚、透明カバー部6aについては無色透明としても良いし、また、これを有色透明にしてランプの機能色を付与しても良い(透明部又はレンズ部を有色透明材料で形成する。)。そして、ボディ部6bについては反射部6cが設けられており、その表面に反射膜を蒸着して反射面を形成した構成や表面に反射ステップ6cs、6cs、・・・を形成した構成が挙げられる。これにより、噴射ノズル4や洗浄ユニット3の本体部等が灯具の正面からは殆ど視認できないようにすることができるとともに、光照射ユニット2を構成する光源からカバー部6内に入射された光が反射部6cで反射されて前方に照射されるようになる。
【0023】
尚、上記した灯具構成に限らず、図4に示す車輌用灯具1′のように、光照射ユニット2と洗浄ユニット3とが鉛直方向に沿って配置された縦型の構成(本例では、噴射ノズル4の噴射口が上向きとされ、第1の位置において洗浄液が光照射ユニット2に対応した透明部材1bの部分(上半部)に向けて噴射される。)等、各種の態様が可能である。
【0024】
また、上記の例では、洗浄ユニット3が灯室内に収容されるようにしたが、これに限らず、例えば、洗浄ユニットのカバー部がランプボディ又は光照射ユニットに隣接した位置に配置されるように構成することで、設計自由度を増したり、コンパクト化を図るようにしても良い。つまり、この場合には、洗浄ユニットの噴射ノズルが後退して第2の位置に来た状態で、カバー部の表面が灯具又は光照射ユニットを構成する透明部材(レンズ部材等。)とともに灯具レンズの前面を形成することになる。
【0025】
図5及び図6に示す車輌用灯具1Aでは、第1の光照射ユニット2aと、第2の光照射ユニット2b及び洗浄ユニット3Aが水平方向に沿った配置とされており、上記した車輌用灯具1との相違点は下記に示す通りである。
【0026】
・灯具の正面から見て第2の光照射ユニット2bと洗浄ユニット3Aとが隣接しており、両ユニットが外観上一体化して視認されること。
【0027】
・第2の光照射ユニット2bを構成する光源7(白熱電球等)からカバー部6Aに入射された光が当該カバー部内の反射部6Acで反射されること。
【0028】
・カバー部6Aの反射部6Acに形成された反射面については、隣接する光照射ユニット(本例では第2の光照射ユニット2b)を構成する光源7に対して設定される光軸の方向と同一方向又はほぼ同一方向の光軸を有していること。
【0029】
図6は第2の光照射ユニット2b及び洗浄ユニット3Aについてそれらの要部を示す水平断面図である。
【0030】
図示するように、第2の光照射ユニット2b(例えば、クリアランスランプ等の補助ランプ。)は、その光源7と、当該光源の光を前方の反射するための反射鏡8と、反射鏡8を前方から覆うように取り付けられたレンズ部9とを有する構成とされている。
【0031】
そして、洗浄ユニット3Aについては、噴射ノズル4の前方に付設されたカバー部6Aが、透明部(あるいはレンズ部)6Aaとボディ部6Abとから構成されており、ボディ部6Abには、上記光源7からの光を前方に向けて反射するための反射部6Ac(図には複数の反射ステップ6As、6As、・・・を形成してそれらの表面に反射処理を施した例を示す。)が形成されている。つまり、光源7の発する光の一部が、カバー部6Aに入射された後に反射部6Acで反射されることになるので、ノズル部5が第2の位置にあって、かつ、光源7の点灯時には、カバー部6Aが第2の光照射ユニット2bに対する光制御の補助機能を有することになる(レンズ部9及び透明部6Aaから光が出射される。)。よって、カバー部6Aは本来、洗浄ユニット3Aのカバー部材として機能するものであるが、光源7の点灯時には、当該ユニットがあたかも光照射ユニットの一部を構成しているかのように視認される。
【0032】
尚、本例において、ノズル部5が前方に突出されて第1の位置に来た状態で噴射ノズル4からは、第1の光照射ユニット2aあるいは当該ユニット及び第2の光照射ユニット2bに対応する透明部材1bの表面に向けて洗浄液が噴射されることは勿論である。
【0033】
また、上記の例では各ユニットを水平方向に沿って配置した構成を示したが、これに限らず、各ユニットを鉛直方向に配置した縦型の構成、即ち、第1の光照射ユニット2aの下方に第2の光照射ユニット2b及び洗浄ユニット3を配置し、噴射ノズル4の噴射口を上向きとした構成等、各種の態様が可能である。
【0034】
この他、第1の光照射ユニットを構成する光源からの光を洗浄ユニットのカバー部内に取り入れて、これを前方に反射させる構成を採用しても良い。
【0035】
例えば、図7及び図8に示す例では、第1の光照射ユニット2aの右脇において、第2の光照射ユニット2b(ターンシグナルランプ等の補助ランプ)と洗浄ユニット3Bが上下方向に沿って配置された構成を有している。
【0036】
そして、第1の光照射ユニット2aは、光源7(ハロゲン電球や放電灯等)と、反射鏡8′(例えば、回転放物面反射鏡や、多数の反射ステップからなる多重面反射鏡等)、当該反射鏡8′の前方に位置される透明部材1b(レンズ部材又は素通しのカバー部材)を有しており、ヘッドライトの照射用に使用される。
【0037】
洗浄ユニット3Bについては、図8に示すように、噴射ノズル4の前方に付設されたカバー部6Bが、透明部(あるいはレンズ部)6Baとボディ部6Bbから構成されており、ボディ部6Bbには、上記第1の光照射ユニット2aの光源7からの光を前方に向けて反射するための反射部6Bcが形成されている(これには多数の反射ステップ6Bs、6Bs、・・・が形成されている。)ので、当該光源7の発する光の一部が、カバー部6B内に入射されてから反射部6Bcで反射されることにより、カバー部6Bが第1の光照射ユニット2aに対する光制御の補助機能を有する(透明部材1b及びカバー部6Bから光が出射されて両部分が光ってみえることになる。)。
【0038】
しかして、いずれかの光照射ユニットから得られる光を利用することによって、洗浄ユニットのカバー部から前方に光を照射する機能をもたせることができ、灯具の点灯時において、当該部分があたかもランプ機能をもっているかのようにみせかけることができるので、その本来の機能としては光照射ユニットとは異なる役目をもつ洗浄ユニットが、光照射ユニットに対してみかけの上では同等の関係をもって外観に現れるようになり、見栄えが良くなる。
【0039】
尚、以上の説明では洗浄ユニットが灯具の内部に設けられた構成を示したが、これに限らず、灯具の外面に洗浄ユニットを付設した実施形態でも良く、例えば、図9及び図10に示す車輌用灯具1Cが挙げられる。
【0040】
本例では灯具内に第1の光照射ユニット2aと第2の光照射ユニット2bとが内蔵されており、洗浄ユニット3Cは灯具1Cにおいて第2の光照射ユニット2bの下方から付設された構成を有している。
【0041】
そして、透明部材1bについては第1の光照射ユニット2a及び第2の光照射ユニット2bを構成するが、透明部材1bのうち正面からみて部分的に切り欠かれた部分に挿合するカバー部6Cが洗浄ユニット3Cを構成している。尚、第1の光照射ユニット2aについては特記すべき特徴的事項はなく、光源及び反射鏡を含む一般的な構成を有していれば良いのでその説明を省略する。
【0042】
図10は第2の光照射ユニット2b及び洗浄ユニットの一部を示す縦断面図であり、第2の光照射ユニット2bについては光源7、反射鏡8(その反射面には多数の反射ステップが形成されている。)、そして、透明部材1bのうち反射鏡8を前方から覆っている部分から構成される。
【0043】
洗浄ユニット3Cについては、そのカバー部6Cが透明部6Caとボディ部6Cbとからなり、ボディ部6Cbが噴射ノズル4の前方に付設されている。
【0044】
ボディ部6Cbには光源7からの光を反射させるための反射部6Ccがあり、その表面には多数の反射ステップが形成されている。そして、透明部6Caのうち、反射部6Ccに対応した内面領域には多数のレンズステップが形成されている。
【0045】
本例では洗浄ユニット3Cの本体部(図示せず。)が灯具1Cの側面に取り付けられており、ノズル部5が後退した第2の位置において光源7を点灯させるとその光の一部が反射部6Ccによって反射されて前方に照射されるようになっている。つまり、透明部材1bの一部1bnが反射鏡8の下部まで達しており、この部分を通った光が透明部6Caの上面部を通して反射部6Ccに到達する。
【0046】
この他、第1の光照射ユニットを構成する灯具と、洗浄ユニットとを別々に作成しておいて、組立て時に灯具の外側面に洗浄ユニットを付設する構成等、各種の実施形態が挙げられる。
【0047】
【実施例】
図11乃至図14は、本発明を自動車用前照灯に適用した実施の一例を示すものである。
【0048】
図11に示すように、前照灯装置10はほぼ四角形の正面形状をしており、下記に示す各ユニットを有している(括弧内は符号を示す。)。
【0049】
・ヘッドライト照射ユニット(11)
・ターンシグナルランプユニット(12)
・パーキングランプユニット(13)
・ランプウォッシャーユニット(14)。
【0050】
前照灯装置10において、ランプボディ15の前面を覆っている合成樹脂製の透明カバー部材16については、レンズステップが形成されていない素通し状態となっており、この透明カバー部材を通して上記各ユニットのレンズ部分が灯具外から視認される。尚、ランプウォッシャーユニット14については、その一部を構成するカバー部材17だけが外部に現れるようにし、当該部分を、疑似的なランプ部としてみせかけるようにしている。
【0051】
先ず、ヘッドライト照射ユニット11は、図12(図11のXII−XII線参照。)に示すように、灯具内に配置された合成樹脂製のインナーパネル18とボディ19とにより画成される空間20内に配置されており、プロジェクタ型のランプ構成を有する。つまり、本ユニットは、反射鏡21と、これに取り付けられた光源22(本例では、放電灯を使用している。)と、投影レンズ23を備えており、投影レンズ23のうちその周縁部を除いた部分が、インナーパネル18に形成された開口から前方に突出している(当該部分が灯具の正面から認識される。)。そして、投影レンズ23やその支持部材24、そして、反射鏡21によって形成された空間25には、遮光部材(シェード)26が設けられており、当該部材は光源22より前方に位置され、光源22からの下向き光を遮るとともに、上縁27によって車輌用配光における明暗境界を限定する役割を果たしている。
【0052】
図11に示されるように、ターンシグナルランプユニット12はヘッドライト照射ユニット11の左下に位置されており、これは方向指示用信号を発するものである。本ユニットは、図13に示すように、反射鏡28と、機能色(アンバー)の発光用光源29(着色されたガラス電球等)と、インナーレンズ30とを備えている。
【0053】
反射鏡28については耐熱性樹脂材料が使用されて、その反射面にアルミニウム等の蒸着が施されており、また、インナーレンズ30については無色透明の合成樹脂材料が使用され、その周縁部を除いた部分が透明な透明カバー部材16を通して外部から視認される。尚、インナーレンズ30の内面には上下方向に延びるレンズステップが形成されている。
【0054】
ターンシグナルランプユニット12の右方には、図11に示すように、パーキングランプユニット13とランプウォッシャーユニット14とが横一列に並設されており、前者の方がターンシグナルランプユニット12の近くに位置している。
【0055】
パーキングランプユニット13については、図13(図11のXIII−XIII線参照。)に示すように、上記反射鏡28に連設された反射鏡31と、白熱電球等の光源32、そして、透明カバー部材16のうちこれらの部材に対応した部分33(その内面には水平方向に延びるレンズステップが形成されている。)によって構成されている。
【0056】
ランプウォッシャーユニット14は、図12乃至図14に示すように、本体部34と、該本体部に対して伸縮自在な状態で支持されたピストン35(図14参照。)と、当該ピストンの端部に付設された噴射ノズル36及びそのさらに前方(灯具の照射方向)に付設されたカバー部材17を有している。
【0057】
カバー部材17については、透明材料で形成されたレンズ部17aと、不透明材料で形成された反射部17bとにより構成されている。例えば、図13の大円内に拡大して示すように、反射部17bのうちレンズ部17aの前面部に対応した表面には多数の反射ステップ37、37、・・・が形成され、これらのステップに対してアルミニウム蒸着等による反射処理が施されている。尚、レンズ部17aの内面には水平方向に延びるレンズステップ38、38、・・・を形成することで、パーキングランプユニット13のレンズ部分(33)との間で外観上の調和を図っている。そして、パーキングランプユニット13の光源32から発した光は、図13に矢印L、L、・・・で示すように、上記したレンズステップの形成部分33を通して前方に照射されるとともに、その一部が、透明カバー部材16及びレンズ部17aを通って反射部17bに到達し、ここで反射ステップ37、37、・・・により反射された後に、レンズ部17aのレンズステップ38、38、・・・を通して前方(又は斜め前方)への照射光となって灯具外に出射される。尚。反射部17bの反射面については、これを回転放物面等の単一曲面とする方法もあるが、多数の反射ステップを形成することにより各ステップでの反射光線の方向制御に係る設計の自由度を増すことができるという利点がある。
【0058】
カバー部材17を灯具の正面から見たときの形状は、透明カバー部材16の部分的な開口部に挿合する形状を有するように設計されている。つまり、灯具前面を洗浄しない時において、カバー部材17のレンズ部17aの表面が、透明カバー部材16のうちレンズ部17aの近傍に位置される部分の表面と面一の状態とされ、このときにパーキングランプユニット13の光源32を点灯させると、反射部17bの作用によってカバー部材17のレンズ部17aがパーキングランプユニット13とともに点灯するので、外見上、両者が一体的に点灯している状態が認識される。
【0059】
尚、本体部34については、図12に示すように、取付用部材(ブラケットやバンド部材等)39、39を使って当該本体部34を保持した状態とし、これらの取付用部材を、例えば、灯具のボディ19に形成された支持部19a、19a、・・・にネジ止めで固定する等の取付方法が挙げられる。
【0060】
また、本体部34の内部構造については、図14に示すように、硬質の合成樹脂材料等を用いて円筒状に形成されたシリンダ40と、その内部において摺動自在に支持されたピストン35を備えた構成となっている。
【0061】
シリンダ40の一端部(後端部)には洗浄液供給管41が付設されており、図示しない洗浄液タンクからポンプを経て洗浄液が供給されるようになっている。尚、シリンダ40の前端部は開放されている。
【0062】
ピストン35の軸部35aには中心孔42が軸方向に沿って形成されており、当該軸部35aの一部がシリンダ40の前端部に被着されたキャップ43の挿通孔に挿通され、軸部35aの後端部には閉止弁44が取り付けられている。尚、この閉止弁44は、筒状をしたジョイント部と、ダイヤフラム、バネ受リング、閉弁用スプリング等の部材で構成されている。
【0063】
コイルスプリング45はピストン35に外嵌されて当該ピストンとキャップ43との間で圧縮状態とされており、これによって、ピストン35がシリンダ40の底面に押し付けられた状態となっている。
【0064】
合成樹脂材料によって形成された噴射ノズル36は、ピストン35の軸端部に取り付けられたノズルホルダー46に保持されており、その噴射口が通路を介してピストン35の中心孔42と連通しているので、ピストン35の前端に達した洗浄液が噴射ノズル36の噴射口から噴射されることになる。
【0065】
尚、ノズルホルダー46とキャップ43との間にはゴム製の蛇腹状カバー47が設けられており、当該カバーはピストン35の移動ストロークに応じて伸縮されることで、水や埃等のシリンダ40内への侵入を防いでいる。
【0066】
しかして、図示しない洗浄液タンクからの洗浄液が洗浄液供給管41に供給され、該洗浄液の圧力が閉止弁44のダイヤフラムにかかると、このときの力がそのままピストン35を前方へと移動させる方向への力として働くので、これがコイルスプリング45のばね力に打ち勝つと、ピストン35が前方へ移動されていく。
【0067】
ピストン35が最も突出した位置(これが上記した第1の位置に相当し、図14にはカバー部材17とノズル部だけを2点鎖線で示している。)に来ると、そこで移動が停止し、流体圧が更に上昇して当該圧力が閉弁用スプリングのばね力に打ち勝つようになると、閉止弁44のダイヤフラムが前側に撓むことで閉止弁44が開いて洗浄液供給管41からピストン35の中心孔42に達する通路が形成される。それから洗浄液は噴射ノズル36に達した後、その噴射口から外部に噴射されて、透明カバー部材16の外表面が洗浄される。
【0068】
そして、洗浄動作を終了した後には、洗浄液の流体圧を低くすれば当該圧力が閉弁用スプリングのばね力に比して小さくなるので、閉止弁44が閉じられ、よって、噴射ノズル36への洗浄液の供給路が断たれるとともに、コイルスプリング45の復元力によってピストン35の位置が洗浄開始前の位置(第2の位置)に戻る。
【0069】
尚、上記の実施例では、灯具内に1個のヘッドライト照射ユニットを設けた例を示したが、これに限らず複数個の光照射ユニットを使用してヘッドライトに係る照射制御を行うようにした実施形態、例えば、図11において、2点鎖線の四角枠RAで示すように、ユニット11の横に別の光照射ユニット(例えば、光源、回転放物面反射鏡、透明カバー部材に形成されたレンズステップ群等により構成されるランプユニット等。)を増設して、すれ違いビームと走行ビームの切換を各照射ユニットの点灯切換によって行うようにした構成等、各種の形態が挙げられることは勿論である。
【0070】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、灯具に洗浄ユニットを設けた構成を有しているので、灯具に対する洗浄ユニットの取付精度のみによって透明部材に対する噴射ノズルの位置精度を規定することができる。また、噴射ノズルにカバー部を付設するとともに当該カバー部内に反射部を設けて他の光源からの光を有効に利用してカバー部を光らせることができるので、外部からは当該カバー部がランプ部のように視認されるようにして見栄えの向上を図ることができる。
【0071】
請求項2や請求項3に係る発明によれば、洗浄ユニットの噴射ノズルが後退した状態において、カバー部の表面が透明部材とともに灯具の前面を形成するように構成しているので、カバー部の付設によって灯具の外観を損なうことがない。
【0072】
請求項4に係る発明によれば、カバー部の反射部に形成された反射面について、その光軸方向が、隣接する光照射ユニットの光軸方向と同一又はほぼ同一の方向となるように構成することで、洗浄ユニットと光照射ユニットとがみかけ上は同等の関係とされて一体感をもって外観に現れるので、さらに見栄えが良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灯具装置の基本構成例を概略的に示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断した要部の構成を示す拡大断面図である。
【図3】要部を示す水平断面図である。
【図4】灯具装置の別例として縦型のものを概略的に示す正面図である。
【図5】第2の光照射ユニットに隣接して配置される洗浄ユニットを備えた灯具装置を概略的に示す正面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿って切断した要部の構成を示す拡大断面図である。
【図7】第1の光照射ユニットに対してその右隣りに配置される洗浄ユニットを備えた灯具装置を概略的に示す正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿って切断した要部の構成を示す拡大断面図である。
【図9】図10とともに灯具の外面に洗浄ユニットを付設した灯具装置を示すものであり、本図は概略的な正面図である。
【図10】図9のX−X線に沿って切断した要部の拡大断面図である。
【図11】図12乃至図14とともに本発明の実施の一例を示すものであり、本図は灯具装置の正面形状を概略的に示す図である。
【図12】ヘッドライト照射ユニット及びランプウォッシャーユニットを示す縦断面図である。
【図13】パーキングランプユニット及びランプウォッシャーユニットを示す水平断面図である。
【図14】ランプウォッシャーユニットの構造を示す縦断面図である。
【図15】従来の装置例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…車輌用前照灯装置、1a…ランプボディ、1b…透明部材、2、2a、2b…光照射ユニット、3、3A、3B…洗浄ユニット、4…噴射ノズル、5…ノズル部、6、6A、6B、6C…カバー部、6c、6Ac、6Bc、6Cc…反射部

Claims (4)

  1. 透明部材とランプボディとにより形成される灯室内に配置された光照射ユニット及び透明部材の表面を洗浄するための洗浄ユニットを有することにより、洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置であって、
    (イ)上記洗浄ユニットは、上記透明部材を洗浄する際に当該部材の表面よりも前方に突出した状態とされたときに、その噴射ノズルから洗浄液を透明部材に対して噴射すること、
    (ロ)上記洗浄ユニットの噴射ノズルを含むノズル部には、カバー部が設けられていること、
    (ハ)上記カバー部内には反射部が設けられており、上記光照射ユニットを構成する光源からカバー部に入射された光が当該反射部で反射されて前方に照射されるようにしたこと、
    を特徴とする洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置。
  2. 請求項1に記載の洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置において、
    洗浄ユニットの噴射ノズルが後退して灯具装置内に収容された状態では、カバー部の表面が透明部材とともに灯具の前面を形成している
    ことを特徴とする洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置。
  3. 請求項1に記載の洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置において、
    洗浄ユニットのカバー部がランプボディ又は光照射ユニットに隣接した位置に配置されており、洗浄ユニットの噴射ノズルが後退した状態でカバー部の表面が灯具又は光照射ユニットを構成する透明部材とともに灯具の前面を形成している
    ことを特徴とする洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置において、
    カバー部の反射部に形成された反射面については、隣接する光照射ユニットを構成する光源に対して設定される光軸の方向と同一又はほぼ同一方向の光軸を有している
    ことを特徴とする洗浄機能を備えた車輌用前照灯装置。
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