JPS6128323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は灯具、特に車両用前照灯に関するも
のである。

従来、反射鏡の横対称面（水平面）に関し、上
側の第１反射鏡と下側の第２反射鏡の焦点位置が
異なる前照灯であつて、その前照灯の第１反射鏡
の焦点をF1とし、第２反射鏡の焦点をF2とした
とき焦点F2は焦点F1より前方（前面レンズに近
い側）に位置し、両焦点F1，F2の間にはフイラ
メントが配設され、すれ違いビーム時に下向きに
集中した照射が得られるようになした前照灯があ
る。

例えば、第１図に示すセミシールドビーム式の
前照灯では、反射鏡体２０の前面に配置した前面
レンズ４の中心軸Ａ−Ａより上方の第１反射鏡１
の焦点はF1であり、同中心軸Ａ−Ａより下方の
第２反射鏡２の焦点はF2である。そして、焦点
F2は焦点F1よりもレンズ４に近接している。第
１反射鏡１と第２反射鏡２とはレンズ中心軸Ａ−
Ａ上にて接続されている。両焦点F1，F2間にお
いて、レンズ中心軸Ａ−Ａ上にはフイラメント５
が配設され、フイラメント５が点灯することによ
りフイラメント５から上方に放射された光線５ａ
は、フイラメント５の位置が焦点F1よりも前方
（第１図では左方）にあるため第１反射鏡１によ
り反射され下向きビーム５Ａとなる。一方、フイ
ラメント５から下方に放射された光線５ｂは、フ
イラメント５の位置が焦点F2よりも後方（第１
図では右方）にあるため第２反射鏡２により反射
され下向きビーム５Ｂとなる。しかし、フイラメ
ント５から放射される光線のうち、後方へ放射さ
れる光線の中には第１反射鏡１と第２反射鏡２と
の接続部３に到達し、ここで反射される光線も存
在する。この場合、第１反射鏡１と第２反射鏡２
との焦点位置が異なつているので、第１反射鏡１
と第２反射鏡２との接続部３には必然的に段差が
生じており、この部分に到達した光線は乱反射し
た光線５Ｃとなる。この乱反射された光線５Ｃは
車両の夜間走行時に際し、対向車及び前走車に対
して眩惑を与えるおそれもあり好ましいものでは
ない。

本考案は、上記のような反射鏡の接続部におい
て、乱反射が発生しない車両用前照灯を提供する
ことを目的としている。

まず、本考案の第１実施例を第２図にしたがつ
て説明する。

第２図において、反射鏡体２０はガラス又は樹
脂等のように透明に近い材料により略椀状に成形
されており、横対称面（レンズの中心軸Ａ−Ａを
含む水平面）の上下で焦点位置が異なるように形
成している。そして、この反射鏡体２０の内面に
は反射被膜１８を形成し、前記横対称面の上方部
分を第１反射鏡１となし、下方部分を第２反射鏡
２としている。中心軸Ａ−Ａ上にはフイラメント
５が設けられ、第１反射鏡１の焦点F1はフイラ
メント５の後方（図では右方）の位置するように
なし、第２反射鏡２の焦点F2はフイラメント５
の前方（図では左方）に位置するようにしてい
る。

ここで、第１反射鏡１と第２反射鏡２とは横対
称面上において段差状に接続されていることとな
るが、接続部３には前記反射被膜１８を形成する
ことなく反射鏡体２０の透明体のままとして透光
部１３を形成している。この透光部１３は、前記
接続部３において光線の乱反射を生じさせない幅
と長さを有する。このような構成とすることによ
り、フイラメント５より上方に放射された光線５
ａは、フイラメント５の位置が焦点F1よりも前
方にあるため第１反射鏡１により反射され下向き
ビーム５Ａとなり、フイラメント５より下方に放
射された光線５ｂは、フイラメント５の位置が焦
点F2よりも後方にあるため第２反射鏡２により
反射され下向きビーム５Ｂとなる。しかし、フイ
ラメント５より放射される光線のうち、後方に位
置する接続部３に到達する光線は、その接続部３
を透光部１３としたため、その透光部１３を透過
し反射鏡体２０の後方に位置するエンジンルーム
（図示しない）内に達することとなるため、車両
前方へ照射される光線の配光を乱すようなことに
はならない。

次に、この考案の第２実施例を第３図乃至第６
図にしたがつて説明する。

まず、第３図においてランプボデー６は樹脂等
の透明体で形成される。そして、横対称面（前面
開口部に取付けられたレンズ４の中心軸Ａ−Ａを
含む水平面）より下方の内面には反射塗料が塗布
され反射被膜１８を形成し、この部分が第２反射
鏡２として機能する。ランプボデー６の横対称面
の上方部分は透明体のままとし、内部に別部品で
構成した第１反射鏡１が装着される。ここで、第
１反射鏡１と第２反射鏡２との間には図示したよ
うに間隙を待たせており、第１実施例でいう透光
部１３を形成している。ランプボデー６の後端面
にはバルブ１０を固定する口金７が設けられ、前
記第１反射鏡１はこの口金７に設けられた回動支
持部８によつて回動自在に支持されている。そし
て、第１反射鏡１の上部は切換配置９と結合して
いる。この切換装置９は第４図に示したように、
灯火スイツチ（図示しない）と接続し、ON−
OFF制御されるソレノイド１６と、一端を第１
反射鏡１と結合可能とし、他端を前記ソレノイド
１６に吸引される吸引板１５とした移動部材１７
と、その移動部材１７を常時第１反射鏡１方向へ
付勢するスプリング１４で構成されている。バル
ブ１０は口金７よりランプボデー６の内部に挿入
され、バルブ固定用スプリング１１によつて口金
７に固定されるとともに、その口金７を覆うよう
にしてゴムキヤツプ１２が取付けられ、ランプボ
デー６の後部あるいは口金７より水が内部に侵入
しないような構造としている。

以上のように構成した第２実施例について、そ
の作用を説明する。

まず、第５図に示すすれ違いビーム時において
は、フイラメント５は両焦点F1，F2間に位置し
ているため、フイラメント５より上方に放射され
た光線５ａは、第１反射鏡１により反射され下向
きビーム５Ａとなり、下方に放射された光線５ｂ
についても、第２反射鏡２により反射され下向き
ビーム５Ｂとなる。又、第１反射鏡１と第２反射
鏡２との間の透光部１３へ到達する光線について
は、透光部１３を透過しランプボデー６の後方に
位置するエンジンルーム内へ達するため、車両前
方へ照射される光線の配光を乱すようなことには
ならない。次に、第６図に示すように走行ビーム
時について説明する。すれ違いビーム状態より走
行ビーム状態に切換えるには、灯火スイツチ（図
示しない）を操作すればよい。これにより、第４
図に示す切換配置９内のソレノイド１６が励磁さ
れ、移動部材１７の吸引板１５をスプリング１４
の付勢力に抗して吸引することにより移動部材１
７が移動し、その移動部材１７に連動して該移動
部材１７の他端に取付けられた第１反射鏡１が回
動支持部８を支点として回動し、それにともなつ
て第１反射鏡１の焦点F1もフイラメント５上に
移動する。このようにして、第１反射鏡１の焦点
F1上に位置することになつたフイラメント５よ
り上方に放射された光線５a′は、第１反射鏡１に
より反射され水平ビーム５A′となる。尚、下方
に放射された光線５ｂは、移動しない第２反射鏡
２により反射され下向きビーム５Ｂとなる。この
とき、第１反射鏡１と第２反射鏡２との間に透光
部１３へ到達する光線については、すれ違いビー
ム時と同様に透光部１３を透過し、ランプボデー
６の後方へ達し前方へ反射されることはない。

以上、詳述したように、この考案はフイラメン
トを通る水平面を境に、上方に位置する第１反射
鏡と、これと焦点距離を異にする下方に位置する
第２反射鏡とで構成した反射鏡体を有する車両用
前照灯にあつて、前記水平面上の段差状接続部分
で生じ得る乱反射を防止する構造としたもので、
これにより、灯光の集光性を向上せしめることが
でき、又、対向車及び前走車へ眩惑を与えること
もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車両用前照灯の断面図、第２図
は本考案の車両用前照灯の第１実施例の断面図、
第３図乃至第６図は第２実施例を示もので、第３
図は分解一部破断図、第４図は切換装置の断面
図、第５図はすれ違いビーム時の断面図、第６図
は走行ビーム時の断面図である。 １……第１反射鏡、２……第２反射鏡、３……
接続部、４……レンズ、５……フイラメント、１
３……透光部、２０……反射鏡体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内側を反射面とする椀状の反射鏡体と、該反射
   鏡体の前面開口部に配設されたレンズと、該レン
   ズ及び前記反射鏡体とによつて形成された閉空間
   内に配設されたフイラメントとからなる車両用前
   照灯において、前記反射鏡体を、前記フイラメン
   トを通る水平面を境に上下で焦点位置が異なる反
   射面で構成するとともに、該水平面上に生ずる段
   差状の接続部分を光が透過可能な透光部としたこ
   とを特徴とする車両用前照灯。