JP3565073B2 - ブレーキ操作力検出器を備えたブレーキ操作装置 - Google Patents

ブレーキ操作力検出器を備えたブレーキ操作装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用のブレーキ操作装置に関するものであり、特に、ブレーキ操作力検出器を備えたブレーキ操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用のブレーキシステムには、ブレーキペダル等、ブレーキ操作部材を駆動源とする機械式や、モータ等、電気的動力源を駆動源とする電気式がある。機械式においても、電気的動力源が使用される場合がある。必要に応じて電気的動力源により、機械的に発生させられるべき車輪制動力とは異なる大きな車輪制動力が発生させられる場合があるのである。そして、いずれの形式においても、車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置が使用される。
【0003】
このブレーキ操作装置においては、ブレーキ操作部材の操作力を検出することが要望される場合がある。ブレーキシステムが電気式である場合は典型的な場合であるが、機械式である場合であっても、上記のように、必要に応じて電気的動力源が作動させられる場合には、ブレーキ操作部材の操作力を検出することが要望される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発明の効果】
その要望を満たすべく、本発明者らは本発明に先立ち、次のようなブレーキ操作装置を案出した。それは、(a) 車体に固定のブラケットに第1軸線まわりに回動可能に支持され、運転者により第1軸線まわりに回動操作されるブレーキ操作部材と、(b) 第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、(c) それらブレーキ操作部材とロッドとを、第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが第2軸線上において相対移動することを許容するものと、(d) ブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、(e) ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結する1個のリンクとを含むブレーキ操作装置である。
【0005】
図14には、そのブレーキ操作装置の一例が示されている。この例においては、ブレーキペダル10が「ブレーキ操作部材」を構成し、入力ロッド32が「ロッド」を構成し、クレビス30と、ブレーキペダル10に形成された第2円穴102であって後述の連結ピン108より大きいものと、それらクレビス30と第2円穴102とに挿通される連結ピン108とが互いに共同して「連結機構」を構成し、操作力スイッチ112が「ブレーキ操作力検出器」を構成し、レバー104が「1個のリンク」を構成している。レバー104は、ブレーキペダル10に形成された第1円穴100において回動可能に連結されている。また、レバー104には連結ピン108が、クレビス30と一体的に運動可能に挿通されている。したがって、この例においては、ブレーキペダル10とクレビス30との、入力ロッド32の軸線に平行な方向における相対移動が、レバー104により拡大されて操作力スイッチ112に伝達されることになる。この例の詳細については、発明の実施の形態において説明する。
【0006】
しかしながら、本発明者らは、この案出したブレーキ操作装置には改良の余地があることに気がついた。このブレーキ操作装置を使用する場合には、1個のリンクにより、ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを互いに連結しなければならないため、リンクの形状に関する制約や、リンクの配置に関する制約や、リンクの運動態様に関する制約が厳しいという事情があることに気がついたからである。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景とし、ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを互いに連結する機構の形状,配置,運動態様等、幾何学的特徴を設計する際の自由度を向上させることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様のブレーキ操作装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0008】
(1) 車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
車体に固定のブラケットに第1軸線まわりに回動可能に支持され、運転者により第1軸線まわりに回動操作されるブレーキ操作部材と、
前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
前記ブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、
複数のリンクが相互に回動可能に連結されたリンク機構であって、前記ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材のロッドに対するブレーキを作動させるための操作方向における相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結するものと
を含むことを特徴とするブレーキ操作力検出器を備えたブレーキ操作装置〔請求項1〕。
このブレーキ操作装置においては、ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とが、複数のリンクが相互に回動可能に連結されたリンク機構により、互いに連結される。そのため、このブレーキ操作装置によれば、それらブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とが1個のリンクにより互いに連結される場合に比較して、ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを互いに連結する装置を設計する際の自由度が向上する。
このブレーキ操作装置において「ロッド」は、ブレーキ操作部材と作動装置とに連結される。ここに「作動装置」は例えば、そのブレーキ操作装置が使用されるブレーキシステムが機械式である場合には、操作力を倍力して車輪のブレーキに伝達する制動力発生装置とすることができる。「制動力発生装置」は例えば、ブースタとしたり、マスタシリンダとすることができる。また「機械式」には、液圧式が含まれ、また、後述の電気式と併用される複合式も含まれる。これに対して、そのブレーキシステムが電気式である場合には、操作力を車輪のブレーキに伝達することが不可欠ではなく、ブレーキ操作フィーリングを確保することを目的として、ブレーキ操作部材にそれの操作力に応じた操作ストロークを付与する操作ストローク付与機構を作動装置とすることができる。
また、このブレーキ操作装置において「ブレーキ操作力検出器」は、操作力が0でない設定値と実質的に等しくなったことを検出する操作力スイッチとすることができる。操作力スイッチは、運転者がブレーキ操作部材を、誤操作を原因としたり、車両の制動灯を点滅させることを目的とするのではなく、真に車両を制動させる(車両に減速度を生じさせる)ことを目的として操作し始めたことを検出する真正制動操作開始センサとすることができる。また、「ブレーキ操作力検出器」は、操作力に応じて実質的に連続的に変化する信号を出力し、それにより、操作力を実質的に連続値として検出する操作力センサとすることもできる。
また、このブレーキ操作装置は、連結機構が、前記第3軸線に沿って延びる姿勢でブレーキ操作部材とロッドとの一方に相対移動不能に保持される一方、それらブレーキ操作部材とロッドとの他方に相対移動可能に係合させられ、それらブレーキ操作部材とロッドとを相対回動および相対移動が可能な状態で互いに連結する連結ピンを含み、第1リンクが、それの第1部位において連結ピンにそれと一体的に運動可能に連結された態様で実施することが可能である。すなわち、その連結ピンを利用してブレーキ操作力検出器を作動させる態様で実施することが可能なのである。ただし、本項に記載のブレーキ操作装置においては、ブレーキ操作力検出器を作動させるためにその連結ピンを利用することは不可欠ではない。
(2) 前記リンク機構が、(a) 第1部位と第2部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドの一方である第1部材に直接にまたは間接に連結され、ロッドと平行に延びる第1リンクと、(b) 第1部位と第2部位と第3部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドとの他方である第2部材に直接にまたは間接に、前記第1軸線に平行な第4軸線まわりに回動可能に連結され、その第2部位において前記第1リンクの第2部位に連結され、その第3部位において前記ブレーキ操作力検出器に係合させられた第2リンクとを含む (1)項に記載のブレーキ操作装置〔請求項2〕。

このブレーキ操作装置によれば、リンク機構におけるリンクの数が2個であるため、リンク機構の構造複雑化を防止し得る。
(3) 前記連結機構が、前記第3軸線に沿って延びる姿勢で前記ブレーキ操作部材と前記ロッドとの一方に相対移動不能に保持される一方、それらブレーキ操作部材とロッドとの他方に相対移動可能に係合させられ、それらブレーキ操作部材とロッドとを前記相対回動および相対移動が可能な状態で互いに連結する連結ピンを含み、前記第1リンクが、それの第1部位において前記連結ピンにそれと一体的に運動可能に連結されたものである (2)項に記載のブレーキ操作装置〔請求項3〕。
本発明者らが本発明に先立って案出した前述のブレーキ操作装置は、次のような態様で実施することができる。その態様においては、連結機構が、第3軸線に沿って延びる姿勢でブレーキ操作部材とロッドとの一方に相対移動不能に保持される一方、それらブレーキ操作部材とロッドとの他方に相対移動可能に係合させられ、それらブレーキ操作部材とロッドとを相対回動および相対移動が可能な状態で互いに連結する連結ピンを含み、第1リンクが、それの第1部位において連結ピンにそれと一体的に運動可能に連結される。
この態様は、次のような2つの形態として実施することができる。第1形態においては、ブレーキ操作部材には2つの穴が、ロッドまたはそれと一体的に運動する部材(以下、それらを単に「ロッド等」と総称する)には1つの穴が形成され、かつ、ブレーキ操作部材の2つの穴のいずれかは、ロッド等の穴と共に連結ピンが挿通されるとともに、ブレーキ操作部材の2つの穴のうち、ロッド等の穴と共に連結ピンが挿通されるべき穴の大きさが、その連結ピンより大きくされ、それにより、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が許容される。図14に示すブレーキ操作装置は、この第1形態の一例である。これに対して、第2形態においては、ブレーキ操作部材には1つの穴が、ロッド等には2つの穴が形成され、かつ、ロッド等の2つの穴のいずれかは、ブレーキ操作部材の穴と共に連結ピンが挿通されるとともに、ロッド等の2つの穴のうち、ブレーキ操作部材の穴と共に連結ピンが挿通されるべき穴の大きさが、その連結ピンより大きくされ、それにより、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が許容される。
そして、それら形態のいずれにおいても、リンクが、同じ部材に形成された2つの穴においてその部材に連結されることになる。一方、同じ部材に形成された2つの穴の距離は、製造ばらつきを有し、また、製造後に変化することはない。さらに、ブレーキ操作部材とロッドとに許容される最大相対移動量が、同じ部材に形成された2つの穴のうち連結ピンが挿通されるものとその連結ピンとの間に形成される隙間の大きさに依存することになる。そのため、製造ばらつきを考慮し、例えば、2つの穴のうち連結ピンが挿通されるものの大きさが、製造ばらつきがない場合におけるより大きく設計される。このように製造ばらつきを見込んで穴の大きさを設計すると、上記隙間が増加し、この増加は、ブレーキ操作部材とロッドとの最大相対移動量の増加を招来する。そして、この増加は、ブレーキ操作フィーリングの悪化を招来する可能性がある。
これに対して、本項に記載のブレーキ操作装置においては、第1リンクは、互いに異なる2部材である第1部材と第2リンクとに連結され、また、第2リンクは、互いに異なる2部材である第2部材と第1リンクとに連結されている。このように、このブレーキ操作装置においては、リンク機構が、同じ部材にそれの2つの部位において連結されるリンクを有しないものとされているのである。また、それら2つのリンクはいずれも、相対変位が可能な2部材に連結されている。よって、それら2部材に製造ばらつきがあっても、その製造ばらつきはそれら2部材の相対変位によって吸収され得る。
したがって、このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材とロッドとを相対回動可能かつ相対移動可能に互いに連結するための連結ピンを利用してリンク機構が作動させられるが、その連結ピンが挿通される穴の大きさを、その製造ばらつきを考慮することにより、大きく設計することが不可欠ではなくなる。よって、このブレーキ操作装置によれば、連結ピンを利用してリンク機構が作動させられるにもかかわらず、ブレーキ操作フィーリングが悪化せずに済む。
また、このブレーキ操作装置においては、第1および第2リンクのうち第2リンクをレバーとして機能させることが考えられ、この場合、第2リンクが大形化する傾向がある。しかし、このブレーキ操作装置においては、第2リンクに上記連結ピンが連結されていないため、その連結ピンによって第2リンクが大形化することが回避される。よって、このブレーキ操作装置によれば、第2リンクをその大形化を極力回避しつつレバーとして機能させることが可能となる。
このブレーキ操作装置において「連結ピン」は例えば、中実のピンとしたり、中空のピンとすることができる。
(4) 前記リンク機構が、(a) 第1部位と第2部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドの一方である第1部材に直接にまたは間接に連結された第1リンクと、(b) 第1部位と第2部位と第3部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドとの他方である第2部材に直接にまたは間接に、前記第1軸線に平行な第4軸線まわりに回動可能に連結され、その第2部位において前記第1リンクの第2部位に連結された第2リンクと、(c) 第1部位と第2部位とを有し、その第1部位において前記第2リンクの第3部位に連結され、その第2部位において前記ブレーキ操作力検出器に係合させられる第3リンクとを含む(1) 項に記載のブレーキ操作装置。
(5) 前記リンク機構が、(a) 第1部位と第2部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドの一方である第1部材に直接にまたは間接に連結された第1リンクと、(b) 第1部位と第2部位と第3部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドとの他方である第2部材に直接にまたは間接に、前記第1軸線に平行な第4軸線まわりに回動可能に連結され、その第2部位において前記第1リンクの第2部位に連結された第2リンクと、(c) 第1部位と第2部位とを有し、その第1部位において前記第2リンクの第3部位に連結された第3リンクと、(d) 第1部位と第2部位とを有し、かつ、その第1部位において前記第3リンクの第2部位に連結され、その第2部位において前記ブレーキ操作力検出器に係合させられる第4リンクとを含む(1) 項に記載のブレーキ操作装置。
(6) 前記複数のリンクのうち前記ブレーキ操作力検出器から延びる3つのリンクが、互いに共同してワット式リンクまたはそれに近似したものを構成するものである(1) ないし(5) 項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作力検出器に係合させられたリンクの運動態様を、ブレーキ操作力検出器の検出精度が向上するように設計することが容易になる。
(7) 前記第2リンクが、前記第1部位を支点、前記第2部位を力点、前記第3部位を作用点として、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動を拡大して前記ブレーキ操作力検出器に伝達するレバーである(2) ないし(6) 項のいずれかに記載のブレーキ操作装置〔請求項4〕。
このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動の割りに大きな作動ストロークをブレーキ操作力検出器に付与できる。したがって、そのブレーキ操作力検出器の検出精度を容易に向上させ得る。
一方、このブレーキ操作装置は、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が常時許容されるのではなく、ブレーキ操作部材の操作力が0でない設定値より小さいうちは、許容されるが、設定値と実質的に等しくなった後には、阻止されるように設計される場合がある。この場合、その設定値は、ブレーキ操作装置に設けられた弾性部材により実現される。具体的には、操作力が弾性部材の初期弾性力に打ち勝つ前には、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が阻止され、その結果、操作力がブレーキ操作部材の操作ストロークと共に増加する。その後、操作力が弾性部材の初期弾性力に打ち勝って相対移動が進む間は、操作ストロークは増加するが操作力はほとんど増加せず、やがて相対移動が阻止され、以後、操作力が操作ストロークと共に増加する状態に戻る。そして、相対移動が進む間は、操作ストロークが増加しても操作力がほとんど増加しない、無効ストロークとなる。この無効ストロークは短いことが、ブレーキ操作フィーリングに違和感を生じさせないために望ましい。
これに対して、本項に記載のブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動の割りに大きな作動ストロークがブレーキ操作力検出器に付与されるため、その作動ストローク確保のために0にすることが不可能である無効ストロークを極力短くすることが可能となる。よって、このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作力検出器の作動ストローク確保のためにブレーキ操作フィーリングがそれほど犠牲にならずに済む。
(8) 前記第1リンクが、前記ロッドの軸線に沿って延びる(2) ないし(7) 項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
(9) 前記第2リンクが、前記第1リンクとほぼ直角に延びる(2) ないし(8) 項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
(10)前記ブレーキ操作力検出器が、可動子を有するとともに、その可動子において前記リンク機構と係合させられるものである(1) ないし(9) 項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
(11)前記可動子が、直線運動させられる直線運動部材である(10)項に記載のブレーキ操作装置。
(12)前記可動子が、回転運動させられる回転部材である(10)項に記載のブレーキ操作装置。
(13)前記回転部材が、前記第1軸線まわりに回転させられるものである(12)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作力検出器を、ブレーキ操作部材にそれの回動軸線と同軸に取り付けることが可能となり、その結果、ブレーキ操作力検出器を配設するのに必要なスペースを容易に節減できる。
(14)前記ブレーキ操作力検出器が、(a) 前記操作力により弾性変形させられる弾性部材と、(b) その弾性部材の歪みを検出する歪みゲージとを含む(1) ないし(13)項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
(15)前記弾性部材が、前記ブレーキ操作部材とロッドとに弾性力を、ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動が抑制される向きに付与するものである(14)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、操作力に応じた歪みを発生させる機能と、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動を抑制する機能とを、同じ弾性部材により実現可能となる。そのため、それら2つの機能を互いに異なる弾性部材により実現する場合に比較して、ブレーキ操作装置の構造を簡単化し得るとともに部品点数を削減し得る。
(16)前記リンク機構が、
(a) 前記第2軸線と交差する方向に延びる第1リンクであって、一端部において前記ブレーキ操作部材に、第2軸線からそれと交差する方向に外れた位置において前記第1軸線に平行であるとともにそのブレーキ操作部材に固定された第4軸線まわりに回動可能に連結され、中間部において前記ロッドに前記第2軸線に沿って一緒に運動可能に連結されたものと、
(b) その第1リンクと直角に交差しない方向に延びる第2リンクであって、一端部において前記第1リンクの他端部からその第1リンクの運動が入力され、中間部において前記ブレーキ操作部材に、前記第2軸線からそれと交差する方向に外れた位置において前記第1軸線に平行であるとともにそのブレーキ操作部材に固定された第5軸線まわりに回動可能に連結され、他端部において当該第2リンクの運動を前記ブレーキ操作力検出器に出力するものと
を含む(1)に記載のブレーキ操作装置〔請求項5〕。
このブレーキ操作装置によれば、第1リンクが、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動を拡大するレバーとして機能するように設計可能であるとともに、第2リンクが、その第1リンクの回動運動を拡大するレバーとして機能するように設計可能である。したがって、このブレーキ操作装置によれば、レバーとして機能するように設計可能であるリンクを1個のみ有するリンク機構を使用する場合に比較して、ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを互いに連結する装置を設計する際の自由度が向上する。
(17)前記第1リンクが、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動を拡大して前記第2リンクに伝達する第1レバーであり、前記第2リンクが、その第1レバーの回動運動を拡大して前記ブレーキ操作力検出器に伝達する第2レバーである(16)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、第1レバーにより、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が拡大されて第2レバーに伝達され、その第2レバーにより、その第1レバーの回動運動が拡大されてブレーキ操作力検出器に伝達される。したがって、ブレーキ操作力検出器を作動させるのに必要な作動ストロークを確保するためにブレーキ操作部材とロッドとに行わせるべき相対移動の長さを、その必要な作動ストロークの割りに小さくすることが可能となり、ブレーキ操作部材の操作ストロークが増加しても操作力がほとんど増加しない無効ストロークを極力短くすることが可能となる。よって、このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作力検出器の作動ストローク確保のためにブレーキ操作フィーリングがそれほど犠牲にならずに済む。
(18)前記第1リンクと第2リンクとが、隙間を隔てて互いに実質的に平行に配置され、前記リンク機構が、さらに、前記第1リンクの前記他端部と前記第2リンクの前記一端部とを互いに連結する第3リンクを含む(16)または(17)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、第1リンクと第2リンクとが互いに実質的に平行に配置されるため、リンク機構をブレーキ操作部材に配設するのに必要なスペースを容易に節減し得る。
(19)前記第1リンクと第2リンクとが共に、前記第2軸線と実質的に直角に延びており、前記第3リンクが、前記第2軸線と実質的に平行に延びている(16)ないし(18)項のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が効果的に第1リンクに伝達されるとともに、その第1リンクの回動運動が効果的に第2リンクに伝達される。したがって、このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動を拡大してブレーキ操作力検出器に伝達することが容易になる。
(20)さらに、
前記リンク機構における複数のリンクのうちの少なくとも1個に弾性力を、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動が抑制される向きに付与する弾性部材と、
その弾性部材の初期弾性力を調整する調整機構と
を含む(1) ないし(19)項のいずれかに記載のブレーキ操作装置〔請求項6〕。
このブレーキ操作装置によれば、それに設けられた調整機構により、弾性部材の初期弾性力を調整できるため、部品精度のばらつきにもかかわらず、ブレーキ操作力検出器の検出精度を確保し得る。
このブレーキ操作装置において「調整機構」は例えば、操作部を有し、その操作部により手動で初期調整力を調整する形式とすることができる。
(21)前記複数のリンクの1つが、基準線に沿って延びるとともにたわみにより弾性力を発生させるものであって前記弾性部材を兼ね、前記調整機構が、その基準線に平行な中心線を有する一円周に沿って延びる円周部を備え、その円周部において前記弾性部材を兼ねるリンクの自由端部に係合させられ、それにより、そのリンクにたわみを生じさせる係合部材であって、前記中心線に対して偏心させられた一軸線まわりの回転とその軸線に沿った移動とを行わせられるものを含む(20)項に記載のブレーキ操作装置〔請求項7〕。
このブレーキ操作装置においては、弾性部材を兼ねるリンクの自由端部に係合させられ、それにより、リンクにたわみを生じさせる係合部材が設けられる。その係合部材は、リンクが沿って延びる基準線に平行な中心線を有する一円周に沿って延びる円周部を備えており、その円周部においてリンクの自由端部に係合させられる。その係合部材は、円周部の中心線に対して偏心させられた一軸線まわりの回転とその軸線に沿った移動とを行わせられる。
したがって、このブレーキ操作装置によれば、係合部材が軸線まわりに回転させられると、その回転角度に応じてリンクのたわみが変化させられる。また、係合部材が軸線に沿って移動させられると、リンクと係合部材との係合点がそのリンクに沿って変化させられ、それにより、リンクの荷重−たわみ特性が変化させられる。
リンクの荷重−たわみ特性が変化させられることは、操作力と、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動量との関係が変化させられることを意味する。ここに、相対移動量は、ブレーキ操作力検出器に入力され、それに基づいて操作力が検出される。また、相対移動量は、操作力の実際値と、ブレーキ操作力検出器による検出操作力とを結び付けるパラメータである。したがって、リンクの荷重−たわみ特性が変化させられることは、結局、実操作力と検出操作力間の関係が変化させられることを意味し、この関係は、ブレーキ操作力検出器の入出力特性ゲインを表す。
したがって、本項に記載のブレーキ操作装置によれば、同じ係合部材により、弾性部材としてのリンクの初期弾性力の調整と、ブレーキ操作力検出器の入出力特性ゲインの調整との双方を行い得る。
このブレーキ操作装置において「係合部材の軸線まわりの回転とその軸線に沿った移動」とは、一緒に行っても別々に行ってもよい。
(22)前記ブレーキ操作力検出器が、前記弾性部材の歪みに基づいて前記操作力を検出するものである(21)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、操作力に応じた歪みを発生させる機能と、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動を抑制する機能との双方を、同じ弾性部材により実現可能となる。そのため、ブレーキ操作装置の構造簡単化を容易に図り得るとともに、部品点数の節減も容易に図り得る。
(23)前記調整機構が、前記係合部材の前記軸線まわりの回転によりその係合部材を前記軸線に沿って移動させるねじ機構を含む(21)または(22)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、係合部材の回転と移動とを比較的簡単な構成により実現し得る。
(24)前記ねじ機構が、(a) 前記軸線に沿って延びるとともにその軸線まわりに回転させられる軸部と、(b) その軸部が螺合された螺合部材とを含み、前記係合部材が、前記軸部にそれと共に回転可能に取り付けられたものである(23)項に記載のブレーキ操作装置。
(25)車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
運転者により第1軸線まわりに回動させられるブレーキ操作部材と、
前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
その相対移動により運動させられる運動部材と、
その運動部材により前記ブレーキ操作部材の操作力を検出する操作力スイッチであって、(a) フレームと、(b) そのフレームに移動可能に支持された可動子と、(c) フレームに支持されてその可動子をそのフレームから突出する向きに付勢する第1弾性部材と、(d) 可動子がその突出位置からフレームに向かって一定距離以上移動させられたときとそうでないときとで異なる信号を出力する信号出力部とを有するものと、
それら運動部材と操作力スイッチの可動子との間に配設された第2弾性部材と、
前記フレームと前記運動部材との、前記可動子の移動方向における相対位置を調整する調整機構と
を含むことを特徴とするブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、第2弾性部材の初期弾性力が変化すれば、それに応じて操作力スイッチの可動子の突出量も変化するという事実を利用することにより、作業者は可動子の突出量を目視しつつ、調整機構により、第2弾性部材の初期弾性力を精度よくかつ容易に調整し得る。さらに、このブレーキ操作装置によれば、そのような第2弾性部材の初期弾性力の調整と同時に、操作力スイッチの可動子の初期突出量、すなわち、それの出力信号が操作力に対して正常に変化するのに必要な作動ストロークの確保も行い得る。
このブレーキ操作装置において「運動部材」は例えば、前記(1) 項におけるリンク機構の複数のリンクのうちの一つとしたり、本発明に先立って本発明者らが案出した前述のブレーキ操作装置におけるリンクとすることができる。
(26)前記第1弾性部材および第2弾性部材の初期弾性力が、前記可動子がストロークエンドに到達しないうちは、第2弾性部材がストロークエンドに到達しないように設定されており、前記連結機構が、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動を、前記可動子がストロークエンドに到達した後であって、前記第2弾性部材がストロークエンドに到達する前の一時期までは許容し、それ以後は阻止する相対移動制限機構を含む(25)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置においては、第2弾性部材がストロークエンドに到達しないうちに、ブレーキ操作部材とロッドとの相対移動が許容される状態から阻止される状態に移行させられる。したがって、このブレーキ操作装置によれば、ブレーキ操作部材から第2弾性部材およびブレーキ操作力検出器に過大な力が作用することを防止し得る。
(27)さらに、前記運動部材により、前記操作力に応じて連続的に変化する信号を出力する操作力センサを含む(25)または(26)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、操作力スイッチに加えて操作力センサもブレーキ操作力検出器として設けられるため、操作力が設定値と実質的に等しいか否かの検出に加えて、操作力を実質的な連続値として検出することも行い得る。また、このブレーキ操作装置によれば、操作力スイッチと操作力センサとの双方が一緒に故障しない限り、何らかの形で操作力を検出可能となり、ブレーキ操作力検出器の信頼性が向上する。
(28)前記ブレーキ操作力検出器が、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じて前記操作力を検出するものであり、当該ブレーキ操作装置が、さらに、
前記複数のリンクの少なくとも1個に弾性力を、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じた大きさで、かつ、その相対移動が抑制される向きに付与する弾性部材と、
その弾性部材の初期弾性力を調整する調整機構であって、(a) 一軸線を有するとともに、その軸線まわりに一方向に回転させられるとその回転角度に応じた距離で、前記軸線に沿って一方向に移動させられる入力部材と、(b) その入力部材と共通の軸線まわりの回転が阻止されるとともに、その入力部材が一方向に回転させられるとその入力部材に対してそれとは逆向きに前記軸線に沿って移動させられ、かつ、それの移動長さに応じて前記弾性部材の初期弾性力を変化させる出力部材とが互いに直列に連結されて構成されたものと
を含む(1) ないし(27)項のいずれかに記載のブレーキ操作装置〔請求項8〕。
このブレーキ操作装置においては、入力部材が一方向に回転させられるとその回転角度に応じた距離で入力部材が一方向に移動させられ、その入力部材と同じ向きに同じ長さで出力部材が移動させられることに加えて、出力部材が、入力部材の回転を原因としてその入力部材に対してそれとは逆向きに移動させられる。その結果、出力部材の最終的な移動長さは、入力部材の移動を原因とした出力部材の移動長さから、入力部材の回転を原因とした出力部材の移動長さを差し引いた値となる。したがって、このブレーキ操作装置によれば、入力部材の回転角度が出力部材の最終的な移動長さに変換される比率である最終的な比率を、入力部材においてそれの回転角度が移動長さに変換される比率より小さくしたり、入力部材の回転のみを原因として入力部材の回転角度が出力部材の移動長さに変換される比率より小さくすることが可能となる。
ところで、初期弾性力の大きさは出力部材の移動長さに応じて決まり、その出力部材の移動長さは入力部材の回転角度に応じて決まる。そのため、入力部材の回転角度に誤差が生じると、初期弾性力に誤差が生じることになる。一方、上記最終的な比率が大きい場合には、入力部材の回転角度のわずかな誤差でも初期弾性力に大きな誤差が生じることになる。
これに対して、このブレーキ操作装置によれば、最終的な比率を容易に小さくすることが可能となり、入力部材の回転角度の変化に対して鈍感に初期弾性力を変化させることが可能となる。したがって、このブレーキ操作装置によれば、入力部材の回転角度にやや大きな誤差が生じることを避け得ない場合であっても、初期弾性力を精度よく管理することが可能となる。
(29)前記入力部材が、それと同軸におねじ部とめねじ部とがねじ切り方向が互いに同じになるように形成されたものであり、前記出力部材が、その入力部材のめねじ部に螺合されるおねじ部であってその入力部材のおねじ部とはピッチが異なるものが形成されたものであり、前記調整機構が、さらに、(a) 前記ブレーキペダルに位置固定に設けられ、前記入力部材のおねじ部が螺合されることにより、入力部材を回転可能かつそれの軸線に沿って移動可能に保持する第1保持部材と、(b) 前記ブレーキ操作部材に、前記出力部材の軸線に沿った移動は許容されるがその軸線まわりの回転は阻止される状態で設けられ、出力部材のおねじ部が螺合されることにより、出力部材を回転可能に保持する第2保持部材とを含む(28)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置においては、入力部材の回転角度が出力部材の最終的な移動長さに変換される比率である最終的な比率を、入力部材においてそれの回転角度が移動長さに変換される第1比率より小さく、また、入力部材の回転のみを原因として入力部材の回転角度が出力部材の移動長さに変換される第2比率より小さくし得る。
ところで、最終的な比率を第1比率および第2比率より小さくし得るということは、第1比率および第2比率を最終的な比率より大きくし得るということであり、このことは、以下のような利点がある。
上記調整機構を安価に製造するために例えば、市販されているねじを使用して調整機構を構成することが考えられる。市販されているねじを使用する場合には、選択可能な最小ピッチがねじの直径に応じて異なるのが普通である。具体的には、ねじの直径が大きくなるにつれて最小ピッチも大きくなるのである。そのため、本項に記載のブレーキ操作装置を採用せず、回転させられると移動させられる部材を1個のみ使用して、弾性部材の初期弾性力を調整する調整機構を構成しようとすると、回転角度の誤差の割りに弾性部材の初期弾性力の誤差が小さくなるようにするためには、ピッチの小さなねじを使用することが必要となり、そうすると、必然的にねじの直径も小さくなる。一方、このようにねじが小径化されるということは、ねじが負担し得る最大軸力が低下することを意味し、このことは、ねじをロックナット等を利用してねじの摩擦力によりねじの緩みを防止する場合には、ねじの摩擦力が低下してねじが緩み易くなることを意味する。そのため、ねじの緩み防止という観点からすれば、ねじの直径が大きいことが望ましい。しかし、前述のように、弾性部材の初期弾性力の精度向上という観点からすれば、ピッチが小さな小径のねじが望ましい。
このように背反する要望に対して、本項に記載のブレーキ操作装置によれば、市販されている大径のねじを使用するにもかかわらず、最終的な比率を小さくすることが可能となり、その結果、初期弾性力の精度向上とねじの緩み防止とが両立する。
(30)前記入力部材のおねじ部のピッチが、前記出力部材のおねじ部のピッチより大きい(29)項に記載のブレーキ操作装置。
(31)前記調整機構が、さらに、前記入力部材のおねじ部に螺合するとともに自身の軸力により前記第1保持部材に押し付けられるロックナットを含む(30)項に記載のブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、大径化により最大軸力を増加させることが容易な入力部材にロックナットが使用されるため、入力部材の緩み止めが確実に実現可能となる。
(32)前記ブレーキ操作部材が、ペダルレバーとペダルパッドとを備えたブレーキペダルであり、前記ペダルレバーがレバー部とベースとから成り、そのベースに前記ロッド,連結機構,ブレーキ操作力検出器およびリンク機構が組み付けられ一組立体が、前記レバー部に取り付け可能であることを特徴とする(1) ないし(31)項のいずれかに記載のブレーキ操作装置〔請求項9〕。
このブレーキ操作装置によれば、それの組立てが、ロッドと連結機構とブレーキ操作力検出器とリンク機構とベースとの組立体をレバー部に取り付けることにより行われるため、ロッドと連結機構とブレーキ操作力検出器とリンク機構とを個別にブレーキ操作部材に取り付ける場合に比較して、ブレーキ操作装置の組立てが容易になる。
(33)車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
運転者により第1軸線まわりに回動させられるブレーキ操作部材と、
前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じてブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、
少なくとも1個のリンクを有し、前記ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材とロッドの前記相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結するリンク機構と、
前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じて大きさが変化する弾性力を発生させるとともに、発生させられた弾性力を前記少なくとも1個のリンクの少なくとも1個に前記相対移動が抑制される向きに付与する弾性部材と、
調整操作部材を有し、その同じ調整操作部材の操作により、前記弾性部材の初期弾性力と、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動に応じて前記弾性部材から発生する弾性力との関係を表す弾性係数との双方を調整する調整機構と
を含むことを特徴とするブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置においては、ブレーキ操作力検出器がブレーキ操作部材の操作力をブレーキ操作部材とロッドとの相対移動の長さに応じて検出する場合であって、その相対移動の長さが、ブレーキ操作部材とロッドとに相対移動が発生していないときの弾性部材の弾性力である初期弾性力と弾性部材の弾性係数とにより決定される場合に、同じ調整操作部材により、初期弾性力と弾性係数との双方が調整される。したがって、このブレーキ操作装置によれば、初期弾性力の調整と弾性係数の調整とを別々の調整操作部材により行う場合に比較して、それら調整を行う機構の構成を容易に簡単化し得る。
前記(21)項に記載のブレーキ操作装置は、本項に記載のブレーキ操作装置の一実施態様として位置付けることが可能である。
前記(1) 項に記載のブレーキ操作装置に関する各種用語の解釈は、本項に記載のブレーキ操作装置においても有効である。
(34)車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
運転者により第1軸線まわりに回動させられるブレーキ操作部材と、
前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じてブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、
少なくとも1個のリンクを有し、前記ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材とロッドの前記相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結するリンク機構と、
自身の長さに応じて大きさが変化する弾性力を発生させる弾性部材であって、弾性力を前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じた大きさで、かつ、その相対移動が抑制される向きに発生させて前記複数のリンクの少なくとも1個に付与する弾性部材と、
その弾性部材の初期長さを調整する調整機構であって、(a) 一軸線を有するとともに、その軸線まわりに一方向に回転させられるとその回転角度に応じた距離で、前記軸線に沿って一方向に移動させられる入力部材と、(b) その入力部材と共通の軸線まわりの回転が阻止されるとともに、その入力部材が一方向に回転させられるとその入力部材とは逆向きに前記軸線に沿って移動させられ、かつ、それの移動長さに応じて前記弾性部材の初期長さを変化させる出力部材とを有するものと
を含むことを特徴とするブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置においては、前記(28)項に記載のブレーキ操作装置におけると同様にして、入力部材の回転角度にやや大きな誤差が生じることを避け得ない場合であっても、弾性部材の初期弾性力を精度よく管理することが可能となる。
前記(28)項に記載のブレーキ操作装置は、本項に記載のブレーキ操作装置の位実施態様として位置付けることが可能である。
前記(1) 項に記載のブレーキ操作装置に関する各種用語の解釈は、本項に記載のブレーキ操作装置においても有効である。
(35)車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
運転者により第1軸線まわりに回動させられるブレーキ操作部材と、
前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
前記ブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、
少なくとも1個のリンクを有し、前記ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材とロッドの前記相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結するリンク機構と
を含み、かつ、前記ロッドと連結機構とブレーキ操作力検出器とリンク機構とが、前記ブレーキ操作部材から独立して組み立てられた一組立体を構成することを特徴とするブレーキ操作装置。
このブレーキ操作装置によれば、それの組立てが、ロッドと連結機構とブレーキ操作力検出器とリンク機構との組立体をブレーキ操作部材に取り付けることにより行われるため、ロッドと連結機構とブレーキ操作力検出器とリンク機構とを個別にブレーキ操作部材に取り付ける場合に比較して、ブレーキ操作装置の組立てが容易になる。
このブレーキ操作装置は、前記(1) ないし(31),(33)および(34)項に記載の特徴と組み合わせて実施することが可能である。
前記(1) 項に記載のブレーキ操作装置に関する各種用語の解釈は、本項に記載のブレーキ操作装置においても有効である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明の第1実施形態であるブレーキ操作装置が示されている。このブレーキ操作装置は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10を備えている。ブレーキペダル10は、板状のペダルレバー12の一端部にペダルパッド14が取り付けられて構成されている。ペダルレバー12の他端部は、車体に固定のペダルブラケット16に、車体左右方向に延びる第1軸線まわりに回動可能に連結されている。
【0011】
ペダルレバー12の他端部には、その第1軸線と同軸にペダルボス18が固定されている。そのペダルボス18に回動ピン20が摺動可能に挿通され、その回動ピン20の、ペダルボス18から外側に突出した両端部が、ペダルブラケット16の一対の側板22,22にそれぞれ回動可能に支持されている。このような構成により、ブレーキペダル10がペダルブラケット16に回動可能に連結されているのである。
【0012】
ブレーキペダル10は、リターンスプリング24により、ペダルパッド14が運転者に接近する向きに常時付勢されている。ペダルパッド14が運転者に接近する限度位置は、車体に固定のペダルストッパ26にブレーキペダル10が当接することにより規定される。
【0013】
ブレーキペダル10は、クレビス30を介してロッドとしての入力ロッド32に連結されている。入力ロッド32は、第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って延びている。入力ロッド32は、ブレーキペダル10と図示しないブースタとを互いに連結させ、それにより、ペダルパッド14に入力された操作力Fをブースタに伝達する。ブースタは、図示しないマスタシリンダに接続されており、操作力Fを倍力してそのマスタシリンダに伝達する。マスタシリンダは、ブースタから入力された作動力により機械的に液圧を発生させる。その液圧は、図示しない液通路を経て、車輪のブレーキを作動させるホイールシリンダに供給される。
【0014】
クレビス30は、よく知られているように、二股状を成しており、具体的には、図2に示すように、隙間を隔てて対向する一対の側板34,34と、それらを一端部同士において互いに連結する連結板36とを含む構成とされている。クレビス30は、一対の側板34,34でブレーキペダル10のペダルレバー12をそれの板厚方向における両側から挟み、一方、連結板36において入力ロッド32の先端部に固定されている。
【0015】
クレビス30とブレーキペダル10とは、第1軸線に平行な第3軸線まわりに回動可能に連結されている。クレビス30の一対の側板34,34には一対の円穴40,40が第3軸線と同軸にそれぞれ形成されている。一方、ブレーキペダル10には、後述のブッシュ46が形成されている。それら一対の円穴40,40と円穴42とに連結ピン44が挿通されている。連結ピン44の軸方向中間部にはブッシュ46が挿通されている。連結ピン44は、そのブッシュ46により円穴42に嵌合され、一方、ブッシュ46から両側に突出した一対の部分により一対の円穴40,40に嵌合されている。
【0016】
すなわち、ブレーキペダル10とクレビス30とは、連結ピン44およびブッシュ46がそのブッシュ46より大径の円穴42に嵌合されることにより互いに連結され、それにより、図2に示すように、ブッシュ46とブレーキペダル10との間に、入力ロッド32の軸線と平行に延びる隙間50が形成されているのである。よって、それらブレーキペダル10とクレビス30とは、第3軸線まわりに相対回動可能であるとともに、第2軸線の方向において一定範囲内で相対移動可能である。すなわち、本実施形態においては、ブレーキペダル10のうち円穴42を形成する部分とクレビス30と連結ピン44とブッシュ46とが互いに共同して「連結機構」を構成しているのである。
【0017】
図1に示すように、ブレーキペダル10には、ブレーキ操作力検出器としての操作力センサ52が取り付けられている。操作力センサ52は、ブレーキペダル10に入力された操作力Fを実質的な連続値として検出する。具体的には、入力された操作力Fに応じてほぼリニアで変化する信号を出力する。操作力センサ52は、リニアポテンショ式とされている。
【0018】
操作力センサ52は、(a) ハウジング54と、(b) そのハウジング54に移動可能に収容された可動子56とを備えている。さらに、図示しないが、(c) その可動子56をハウジング54から突出する向きに付勢する弾性部材としてのスプリングと、(d) 可動子56のストロークに応じて変化する信号を出力する信号出力部とを備えている。操作力センサ52は、ハウジング54においてブレーキペダル10に固定されている。また、操作力センサ52は、ブレーキペダル10の図示の非操作位置において、入力ロッド32の軸線とほぼ平行になるように配置されている。
【0019】
可動子56は、ブレーキペダル10とクレビス30すなわち入力ロッド32との相対移動により移動させられる。そのため、それらブレーキペダル10とクレビス30と可動子56とはリンク機構60により互いに連結されている。リンク機構60は、一対の第1リンク62,62と第2リンク64とが互いに回動可能に連結された構成とされている。
【0020】
一対の第1リンク62,62は、図2に示すように、クレビス30と一体的に運動するブッシュ46と第2リンク64とに連結されている。すなわち、各第1リンク62のうち、ブッシュ46との連結部位が「第1部位」、第2リンク64との連結部位が「第2部位」なのである。また、一対の第1リンク62,62は、入力ロッド32の軸線と平行に延びている。さらに、一対の第1リンク62,62は、ブレーキペダル10と第2リンク64とをそれらの両側から挟んでいる。
【0021】
これに対して、第2リンク64は、ブレーキペダル10に固定の一対のブラケット65,65と、一対の第1リンク62,62とに連結されるとともに、可動子56に係合させられている。第2リンク64と一対の第1リンク62,62とは、第2リンク64の円穴65aと各第1リンク62の円穴65bとにピン65cが挿通されることにより、相対回動可能に連結されている。一対のブラケット65,65は、ブレーキペダル10と第2リンク64とをそれらの両側から挟んでいる。第2リンク64は、入力ロッド32の軸線と直角に延びている。すなわち、第2リンク64のうち、ブレーキペダル10との連結部位が「第1部位」、一対の第1リンク62,62との連結部位が「第2部位」、可動子56との係合部位が「第3部位」なのである。また、第2リンク64は、ブレーキペダル10との連結点を支点、一対の第1リンク62,62との連結点を力点、可動子56との係合点を作用点とするレバーとして機能する。しかも、支点と力点との距離が支点と作用点との距離より短くされており、よって、可動子56の移動量すなわち第2リンク64の作用点の移動量が、ブレーキペダル10と入力ロッド32との相対移動量すなわち一対の第1リンク62,62の移動量より大きくなっている。
【0022】
なお付言すれば、本実施形態においては、第2リンク64の支点,力点および作用点がそれらの順に並んでいる。したがって、力点,支点および作用点の順に並ぶ場合に比較して、第2リンク64の長さを小さくし得る。
【0023】
さらに付言すれば、本実施形態においては、第2リンク64が、ブレーキレバー12に重なり合うのではなく、それと同一平面上に配置されている。したがって、ブレーキ操作装置がブレーキレバー12の板厚方向に大形化することを抑制し得る。
【0024】
さらに付言すれば、本実施形態においては、大径化する傾向がある連結ピン44が第2リンク64に挿通されないため、その連結ピン44との連結によって第2リンク64が大形化することを防止し得る。
【0025】
第2リンク64は、図1に示すように、弾性部材としてのコイル状のスプリング66により、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動が抑制される向き、すなわち、隙間50が増加する向きに常時付勢されている。このスプリング66の弾性力は、ブレーキペダル10の操作力Fが0から増加するとき、隙間50が直ちには消滅しないように設定されている。その結果、操作力Fが0から増加し始めて隙間50が減少し始めてから、操作力Fが基準値に到達したために隙間50が消滅するまでの間、ブレーキペダル10が、操作力Fに応じて、操作力センサ52が操作力Fを精度よく検出するのに適当なストロークで回動させられる。
【0026】
スプリング66は、第2リンク64に関して操作力センサ52の側とは反対側において、第2リンク64とリテーナ70との共同により保持されている。リテーナ70の軸方向位置は、調整ボルト72により調整可能とされている。調整ボルト72は、ペダルレバー12に固定のブラケット74に、可動子56の移動方向と平行な方向において前進・後退可能に螺合されている。また、調整ボルト72の先端部には、球状の突起76が形成され、一方、リテーナ70のうち、その突起76が接触すべき部分には、その突起76に対応する球状の凹部78が形成され、突起76がその凹部78に係合させられている。リテーナ70は、スプリング66の中央部を同軸に貫通する軸部80を有しており、その軸部80は、図3にも示すように、第2リンク64を摺動可能に貫通している。これにより、リテーナ70は、第2リンク64と調整ボルト72とにより図示の正規位置から半径方向に外れることが防止された状態で、第2リンク64と相対移動可能とされる。その結果、第2リンク64からスプリング66に作用する軸力によってそのスプリング66が伸縮することが許容されている。なお、軸部80は、スプリング保持機能に加えて、スプリング66に軸力が作用したときに、そのスプリング66が座屈することを防止する機能をも有する。
【0027】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動を拡大して操作力センサ52に伝達するレバーとして機能する第2リンク64に連結ピン44が挿通されていない。そのため、本実施形態によれば、第2リンク64が大形化することが防止される。さらに、本実施形態においては、第2リンク64に連結ピン44が挿通されておらず、しかも、その第2リンク64にクレビス30が装着されていない。そのため、本実施形態によれば、第2リンク64の後述のアーム比(レバー比)を、連結ピン44およびクレビス30とは無関係にできる限り大きく設計可能となる。その結果、隙間50を、操作力センサ52の可動子56の必要作動ストロークを確保しつつ、できる限り小さくすることが可能となる。以下、それらの効果をさらに具体的に説明する。
【0028】
図14には、本発明者らが本発明に先立って開発したブレーキ操作装置が示されている。このブレーキ操作装置においては、ブレーキペダル10に第1および第2円穴100,102が、入力ロッド32の軸線と直角な方向において並んで形成されている。第1円穴100には、ブレーキペダル10とレバー104とを回動可能に連結する第1ピン106が、僅かな隙間を残して嵌合されている。一方、第2円穴102には、ブレーキペダル10とクレビス30とを回動可能に連結する第2ピン108が、やや大きな隙間を残して嵌合されている。それにより、第2円穴102とブレーキペダル10との間に、入力ロッド32の軸線方向に延びる隙間110が形成され、この隙間110により、ブレーキペダル10とレバー104との相対移動が実現される。
【0029】
それら2つの円穴100,102のピッチは、製造ばらつきによって変動することを避け得ない。一方、そのピッチの実際値が設計値から外れるにつれて、第2円穴102とブレーキペダル10との間の隙間110が減少し、その外れがある値以上大きくなると、隙間110が0になる。その外れがさらに大きくなると、2つの円穴100,102に2つのピン106,108がそれぞれ同時に嵌合することができなくなる。そのため、そのような製造ばらつきを考慮して、第2円穴102の直径が設計される。その結果、2つの円穴100,102のピッチの実際値が設計値と十分に等しい場合には、隙間110が、操作力スイッチ112を作動させるのに必要な隙間より大きくなり、その結果、ブレーキペダル10の無効ストロークが無駄に増加させられることになる。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、リンク機構60の中に、ブレーキペダル10に形成された2つの円穴に2つのピンにより連結されるリンクは存在しない。本実施形態においては、図14におけるブレーキ操作装置の第2円穴102に対応するのが円穴42であるが、この円穴42に挿通される連結ピン44に、一対の第1リンク62,62が連結されている。これら一対の第1リンク62,62は、さらに、ブレーキペダル10に対して相対回動可能な第2リンク64に連結されている。このように、一対の第1リンク62,62は、ブレーキペダル10と第2リンク64との相対回動によってピッチが変化する2つの円穴42,65aに連結ピン44とピン65cとにより連結されている。そのため、本実施形態によれば、それら2つの円穴42,65aの製造ばらつきにもかかわらず、それら円穴42,65aに一対の第1リンク62,62が連結ピン44とピン65cとにより連結されることを保証するために、それら円穴42,65cを必要以上に大きく設計することが不要となる。その結果、ブレーキペダル10の無効ストロークが無駄に増加させられずに済む。
【0031】
さらに、本実施形態においては、一対の第1リンク62,62が、入力ロッド32の軸線とほぼ平行とされるとともに、第2リンク64が、一対の第1リンク62,62の延びる方向とほぼ直角とされている。そのため、本実施形態によれば、ブレーキペダル10と入力ロッド32との相対移動が効果的に一対の第1リンク62,62に伝達され、さらに第2リンク64にも伝達される。このことによっても、ブレーキペダル10の無効ストロークが無駄に増加させられずに済む。さらに、本実施形態によれば、円穴42の位置が、製造ばらつきにより、入力ロッド32の軸線と交差する方向にずれても、それに起因した第2リンク64の位置ずれが抑制される。
【0032】
図14のブレーキ操作装置においては、第1および第2ピン106,108が同じ部材であるレバー104に連結される。一方、操作力スイッチ112を作動させるには、それの可動子114に一定以上のストロークを付与することが必要であり、この必要作動ストロークは、ブレーキペダル10の無効ストロークとして現れる。そのため、レバー104の作動ストロークを確保しつつ、ブレーキペダル10の無効ストロークをできる限り短くするためには、レバー104のアーム比R /R をできる限り大きくすることが望ましい。また、レバー104のアーム比を増加させるためには、第1および第2ピン106,108をできる限り接近させることが望ましい。
【0033】
しかし、このブレーキ操作装置においては、第1ピン106とクレビス30とが、ブレーキペダル10を車両横方向から見た場合に、それら第1ピン106およびクレビス30のブレーキペダル10への組付け性を確保するために必要な隙間を有して互いに接近するように設計される。そのため、このブレーキ操作装置においては、第1および第2ピン106,108を十分には接近させることができず、よって、レバー104のアーム比を十分に短くすることもできない。
【0034】
これに対して、本実施形態においては、レバーとして機能する第2リンク64が、クレビス30と直接には連結されないため、その第2リンク64のレバー比すなわちレバーのアーム比を、クレビス30とは無関係に短く設計することが可能となる。よって、本実施形態によれば、操作力センサ52の必要作動ストロークを確保しつつ、ブレーキペダル10の無効ストローク(操作力センサ52の必要作動ストロークのために消費される余分な操作ストローク)をできる限り短くすることが可能となる。
【0035】
なお付言すれば、本実施形態においては、ブレーキ操作力検出器として操作力センサ52が使用されているが、操作力スイッチに代えることが可能である。例えば、1接点式のスイッチや2接点式のスイッチに代えることが可能である。1接点式のスイッチは、可動子56も接点として使用され、その可動子56とは別に設けられた1つの接点と可動子56とが互いに接触・離間させられるスイッチであり、これに対して、2接点式のスイッチは、可動子56が導通体として機能させられ、その可動子56とは別に設けられた2つの接点がその可動子56によって互いに接触・離間させられるスイッチである。そして、それらの操作力スイッチを使用する場合には、スプリングの初期弾性力が、その操作力スイッチによって検出すべき操作力の大きさによって決定されることとなり、例えば、前述の真正制動開始操作を検出することが必要である場合には、それに応じた大きさにスプリングの初期弾性力が決定されることとなる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本発明は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのは、操作力スイッチが追加された点のみであるため、操作力スイッチのみについて詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施形態においては、図4に示すように、操作力スイッチ120がブラケット74に螺合されて取り付けられている。操作力スイッチ120は、ハウジング122と、そのハウジング122に移動可能に収容された可動子124とを備えている。さらに、その可動子124をハウジング122から突出する向きに付勢する第1弾性部材としてのコイル状のスプリング126と、その可動子124がハウジング122に最も接近した位置とそれ以外の位置とで互いに異なる信号を出力する、図示しない信号出力部(接点等から構成される)とを備えている。ハウジング122には取付部としてのおねじ部130が形成され、一方、ブラケット74には、そのおねじ部130に対応するめねじ部132が形成され、それらが互いに螺合されることにより、操作力スイッチ120がブレーキペダル10に取り付けられる。また、操作力スイッチ120の位置は、その螺合位置によって調整可能であり、すなわち、おねじ部130は調整ボルトとして機能しているのである。可動子124の先端部には、第1実施形態におけると同様に、球状の突起76が形成されている。
【0038】
操作力スイッチ120は、真正制動開始操作を検出することが目的とされている。これに対して、操作力センサ52は、制動開始操作が行われた後、操作力Fを小さい領域内において実質的な連続値として検出することが目的とされている。そのため、スプリング126の初期弾性力は、スプリング66の初期弾性力より小さくされている。その結果、スプリング66がストロークエンドに到達しないうちに、スプリング126がストロークエンドに到達することになる。また、スプリング66がストロークエンドに到達する前に隙間50が消滅するように、隙間50の寸法が設定されている。
【0039】
したがって、本実施形態においては、ブレーキペダル10が非操作位置から操作されれば、操作力がスプリング126の初期弾性力およびスプリング66の初期弾性力に打ち勝つことができない第1領域では、ブレーキペダル10がクレビス30と一体的に移動させられ、よって、隙間50が減少しない。操作力がさらに増加させられ、そのとき、スプリング66の初期弾性力には打ち勝つことができないが、スプリング126の初期弾性力には打ち勝つことができる第2領域では、スプリング126の収縮が開始され、ブレーキペダル10がクレビス30に対して前進し始め、その結果、隙間50が減少を開始する。操作力がさらに増加させられると、可動子124がストロークエンドに到達し、操作力スイッチ120の信号がOFFからONに変化する。それにより、真正制動開始操作が検出される。このとき、スプリング66は未だ収縮を開始しない。
【0040】
可動子124がストロークエンドに到達した後であって、操作力がさらに増加させられ、そのとき、スプリング66の初期弾性力に打ち勝つことができない第3領域では、スプリング66の収縮が開始されず、よって、ブレーキペダル10がクレビス30と一体的に移動させられ、その結果、隙間50が減少しない。操作力がさらに増加させられ、そのとき、スプリング66の弾性力に打ち勝つことができる第4領域では、スプリング66の収縮が開始され、それに伴い、ブレーキペダル10がクレビス30に接近し、その結果、隙間50が減少させられる。操作力がさらに増加させられると、やがて隙間50が消滅する。隙間50が消滅した後であって、操作力がさらに増加させられる領域では、ブレーキペダル10がクレビス30と一体的に前進させられる。
【0041】
ところで、スプリング66については、初期弾性力の調整が必要であり、また、操作力スイッチ120については、可動子124の初期ストロークの調整が必要である。そして、本実施形態においては、それら2種類の調整が、操作力スイッチ120のブラケット74に対する螺合位置を調整することにより行われる。この調整は具体的には次のようにして行われる。
【0042】
まず、ブレーキペダル10にリンク機構60が取り付けられ、さらに、それの第2リンク64にスプリング66とリテーナ70とが取り付けられ、その後、操作力スイッチ120がブラケット74に取り付けられる。このとき、可動子124が突起76においてリテーナ70の一端面の凹部78に係合させられ、そして、スプリング126の弾性力によって可動子124が、ハウジング122から最も突出した位置からハウジング122内に少し押し込まれる。可動子124の押し込み量が過大となると、操作力スイッチ120の作動ストロークを確保することができなくなり、一方、可動子124の押し込み量が過小となると、スプリング66の初期弾性力が不足することになる。そのため、本実施形態においては、可動子124の押し込み量すなわち初期突出量が適正範囲となるように、作業者の目視により、操作力スイッチ120のブラケット74に対する螺合位置が調整される。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第2実施形態と共通する要素が多く、異なるのは、操作力センサの形式のみであるため、操作力センサについてのみ詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0044】
第2実施形態においては、操作力センサ52がリニアポテンショ式とされている。これに対して、本実施形態においては、操作力センサ148が歪みゲージ式とされている。具体的には、図5に示すように、第2リンク64のうち、第1リンク62から作用する力によって表面に歪みが生じる複数箇所に複数の歪みゲージ150がそれぞれ接着されている。それら複数の歪みゲージ150の影響を受けた電気信号に基づき、操作力Fが連続値として検出される。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と、ブレーキペダル10,クレビス30および入力ロッド32の構成については基本的に共通し、リンク機構およびブレーキ操作力検出器の構成については相違するため、基本的に共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、リンク機構およびブレーキ操作力検出器について詳細に説明する。
【0046】
本実施形態においては、図6に示すように、リンク機構170が、一対の第1リンク172と第2リンク174と第3リンク176とが互いに直列に連結された構成とされている。一対の第1リンク172は、連結ピン44から(正確には、ブッシュ46から)、入力ロッド32の軸線に沿って、入力ロッド32の側とは反対側に延びている。一対の第1リンク172は、ブレーキペダル10と第2リンク174とをそれらの両側から挟んでいる。これに対して、第2リンク174は、ブレーキペダル10に固定の一対のブラケット178,178と、第1リンク172と、第3リンク176とに連結されている。第2リンク174は、第1リンク172と直角な方向に延びている。第2リンク174は、ブラケット178との連結点を支点、第1リンク172との連結点を力点、第3リンク176との連結点を作用点とするレバーとして機能し、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動量を拡大して第3リンク176に伝達する。第2リンク174とブレーキペダル10に固定のブラケット182との間に弾性部材としてのコイル状のスプリング184が配設されている。このスプリング184は、第2リンク174を隙間50が増加する向きに付勢する。
【0047】
本実施形態においては、ブレーキ操作力検出器が、ロータリポテンショ式により、操作力Fを連続値として検出する操作力センサ190とされている。操作力センサ190は、側面図である図6および正面図である図7に示すように、中空部を有する筒状を成していて、その中空部にボス18が挿通されることにより、ボス18と同軸に取り付けられている。したがって、本実施形態によれば、操作力センサ190を配置するスペースを極力小さくすることが可能となる。
【0048】
操作力センサ190は、それの中心線まわりに回転する回転部材194を備えている。操作力センサ190は、その回転部材194の回転角度に応じて実質的にリニアに変化する信号を出力する。その回転部材194から半径方向外側にアーム196が延びている。そのアーム196の先端部に第3リンク176が連結されている。
【0049】
本実施形態においては、アーム196,第3リンク176および第2リンク174が、いわゆるワット式のリンク機構を構成していると考えることができる。そのため、それら3つの要素196,176,174の長さ,相対角度等、ワット式リンクの幾何学的特徴の設計次第で、第2リンク174の回動とアーム196の回転との関係を比較的自由に設定することができる。そして、本実施形態においては、例えば、第2リンク174の回動角が変化すると、その回動角に実質的にリニアでアーム196の回転角が変化するようにそのワット式リンクの幾何学的特徴が設計されている。第2リンク174の回動角に対するアーム196の回転角のゲインが実質的に変化しないようにされているのである。したがって、本実施形態によれば、操作力Fの検出精度が向上する。
【0050】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と、ブレーキペダル10,クレビス30および入力ロッド32の構成については基本的に共通し、リンク機構およびブレーキ操作力検出器の構成については相違するため、基本的に共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、リンク機構およびブレーキ操作力検出器について詳細に説明する。
【0051】
本実施形態においては、図8に示すように、リンク機構220が、第1および第2リンク222,224が互いに直列に連結された構成とされている。第1リンク222は、ブレーキペダル10とクレビス30と第2リンク224とに連結されている。第1リンク222には、第1および第2円穴226,228が入力ロッド32の軸線とほぼ直角な方向に並んで形成されている。一方、ブレーキペダル10には、第3および第4円穴230,232が上記2つの円穴226,228と同じピッチで並んで形成されている。また、クレビス30には、図9に示すように、それの一対の側板34,34に一対の第5円穴233,233が互いに同軸に形成されている。
【0052】
そして、図8に示すように、第1リンク222の第1円穴226とブレーキペダル10の第3円穴230とに第1ピン234が挿通されることにより、第1リンク222とブレーキペダル10とが、そのブレーキペダル10の回動軸線と平行な軸線まわりに相対回動可能に連結されている。また、図9に示すように、ブレーキペダル10の第4円穴232とクレビス30の一対の第5円穴233,233とに第2ピン236が挿通されている。第4円穴232の直径は第2ピン236より大きくされ、一方、第5円穴233の直径は第2ピン236と実質的に等しくされている。したがって、ブレーキペダル10とクレビス30とが、相対回動可能であるとともに、入力ロッド32の軸線と平行な方向に相対移動可能に互いに連結されている。また、第2ピン236は第1リンク222の第2円穴228にも挿通されている。したがって、第1リンク222とブレーキペダル10とが、一定範囲内で相対移動可能に連結されている。また、第1リンク222は、ブレーキペダル10との連結点を支点、クレビス30との連結点を力点、第2リンク224との連結点を作用点とするレバーとして機能し、それにより、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動量を拡大して第2リンク224に伝達する。
【0053】
第1リンク222は、弾性部材としてのコイル状のスプリング240により、第2ピン236と第2円穴228との間の隙間50が増加する向きに付勢されている。スプリング240の両端部のうち、第1リンク222と接触する端部とは反対側の端部にリテーナ242が接触させられている。このリテーナ242の軸方向位置は、調整ボルト244により調整可能とされている。調整ボルト244は、ブレーキペダル10に固定のブラケット246に螺合されている。したがって、その調整ボルト244の軸方向位置により、スプリング240の初期弾性力を調整可能である。
【0054】
本実施形態においては、第4実施形態におけると同様に、ブレーキ操作力検出器として、ロータリポテンショ式の操作力センサ190が設けられている。そして、この操作力センサ190のアーム196の先端部に第2リンク224が連結されている。また、本実施形態においては、第4実施形態におけると同様に、アーム196,第2リンク224および第1リンク222が、いわゆるワット式のリンク機構を構成していると考えることができる。そして、本実施形態においては、第4実施形態におけると同様に、第1リンク222の回動角が変化すると、その回動角に実質的にリニアでアーム196の回転角が変化するようにそのワット式リンクの幾何学的特徴が設計されている。したがって、本実施形態によれば、操作力Fの検出精度が向上する。
【0055】
次に、本発明の第6実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と、ブレーキペダル10および入力ロッド32の構成については基本的に共通し、クレビス,リンク機構およびブレーキ操作力検出器の構成については相違するため、基本的に共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、クレビス,リンク機構およびブレーキ操作力検出器について詳細に説明する。
【0056】
第1実施形態においては、ブレーキペダル10と入力ロッド32とがクレビス30により互いに連結され、そのクレビス30の円穴40を貫通する連結ピン44がブレーキペダル10に形成された、連結ピン44より大径の円穴42に挿通されることにより、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動が許容されるようになっている。これに対して、本実施形態においては、ブレーキペダル10に相対移動不能に連結された部材が、クレビス30に入力ロッド32の軸線と平行に形成された長穴に移動可能に嵌合されることにより、ブレーキペダル10とクレビス30との相対移動が許容される。
【0057】
具体的には、側面図である図10および平面断面図である図11に示すように、ブレーキペダル10と入力ロッド32とがクレビス260により互いに連結されている。クレビス260は、第1実施形態におけると同様に、隙間を隔てて互いに対向する一対の側板262,262がそれらの一端部同士において連結板264により互いに連結されて構成されている。それら一対の側板262,262には、入力ロッド32の軸線と平行に延びる一対の長穴266がそれぞれ形成されている。一方、ブレーキペダル10には円穴268が形成されている。
【0058】
ブレーキペダル10とクレビス260とブレーキ操作力検出器とは、リンク機構270により互いに連結されている。リンク機構270は、一対の第1リンク272,272と第2リンク274とが相対回動可能に互い連結されて構成されている。一対の第1リンク272,272は、ブレーキペダル10と第2リンク274とをそれらの両側から挟んでいる。一対の第1リンク272,272に形成された一対の円穴275,275とブレーキペダル10の円穴268とには第1ピン276が挿通されており、これにより、一対の第1リンク272,272とブレーキペダル10とが相対回動可能とされている。一対の第1リンク272,272は、一対の長穴266,266に移動可能に嵌合されている。一対の第1リンク272,272は、一対の長穴266,266より短く設計されており、よって、一対の第1リンク272,272と一対の長穴266,266との、入力ロッド32の軸線と平行な方向における相対移動が一定範囲で許容されるようになっている。
【0059】
第2リンク274は、クレビス260と一対の第1リンク272,272とに連結されるとともに、調整機構280に係合させられている。第2リンク274に形成された円穴281aと、一対の第1リンク272,272に形成された一対の円穴281bとにピン281cが挿通されることにより、それら第2リンク274と一対の第1リンク272,272とが相対回動可能に連結されているのである。第2リンク274は、クレビス260との連結点を支点、第1リンク272との連結点を力点、調整機構280との係合点を作用点とするレバーとして機能する。
【0060】
調整機構280は、図12に拡大して示すように、クレビス260に固定のブラケット282に、調整ボルト284が、入力ロッド32の軸線と直角な方向に移動可能に螺合されている。調整ボルト284の軸方向位置を調整するために、その調整ボルト284に螺合された一対のロックナット286,286がブラケット282をそれの板厚方向における両側から挟んでいる。調整ボルト284の両端部のうち、第2リンク274に近い端部には、調整ディスク288が固定されている。調整ディスク288は、図13に拡大して示すように、調整ボルト284に偏心して取り付けられている。調整ディスク288はそれの外周面において、第2リンク274の、入力ロッド32の軸線に平行な方向において互いに対向する一対の側面のうち入力ロッド32に近い側面にほぼ直角に接触させられている。
【0061】
第2リンク274は弾性を有する材料で構成されており、第2リンク274は初期弾性力が存在するように配置される。その初期弾性力により、ブレーキペダル10とクレビス260との相対移動が抑制される向きに付勢され、その結果、一対の第1リンク272,272とクレビス260との間に、入力ロッド32に近い側において隙間289が形成されている。第2リンク274の上記一対の側面には一対の歪みゲージ290,290が接着されている。それら一対の歪みゲージ290,290により、操作力Fが連続値として検出される。すなわち、第2リンク274と一対の歪みゲージ290,290とが互いに共同することにより、ブレーキ操作力検出器としての操作力センサ292が構成されているのである。
【0062】
第2リンク274の初期弾性力は事前に調整することが必要である。その初期弾性力は、第2リンク274の初期弾性たわみを変化させれば変化する。また、操作力センサ292の入出力特性ゲイン、すなわち、検出すべき操作力Fに対する歪みゲージ290の歪みの変化率も事前に調整することが必要である。この入出力特性ゲインは、第2リンク274の弾性変形し易さ、すなわち、たわみ易さによって変化する。
【0063】
調整ディスク288を回転させ、それによって、調整ボルト284の軸線と、調整ディスク288と第2リンク274との接触点との間の距離、すなわち、入力ロッド32の軸線と平行な方向における第1距離を変化させれば、第2リンク274の初期弾性たわみが変化する。また、調整ディスク288を回転させ、それによって、調整ディスク288と第2リンク274との接触点と、第2リンク274の支点との間の距離、すなわち、入力ロッド32の軸線と直角な方向における第2距離を変化させれば、第2リンク274のたわみ易さが変化する。また、調整ディスク288の回転は第1距離の変化と同時に第2距離の変化を生じさせるが、調整ボルト284は比較的細かいピッチで軸方向に移動させられるため、調整ディスク288の、第1距離が互いに異なる複数の軸方向位置のそれぞれにおいて実質的に同じ第2距離を得ることも、第2距離が互いに異なる複数の回転位置のそれぞれにおいて実質的に同じ第1距離を得ることも可能である。
【0064】
したがって、本実施形態においては、調整ディスク288の回転により、第2リンク274の初期弾性力の調整と、操作力センサ292の入出力特性ゲインとの双方を調整可能となる。すなわち、本実施形態においては、調整ディスク288が「係合部材」を構成しているのである。
【0065】
なお付言すれば、本実施形態においては、第2リンク274の全体が「第2リンク」を構成すると考えることができる。これに対して、第2リンク274を、第2リンク274のうちクレビス260と第1リンク272とに連結される第1部分と、調整ディスク288に係合させられるとともに歪みゲージ290が装着されている第2部分とに分けて考えると、第1部分が「第2リンク」を構成し、第2部分が「弾性部材」を構成すると考えることができる。この場合、「弾性部材」は、歪みゲージ290と共同して「ブレーキ操作力検出器」を構成すると考えることができ、この場合、第1部分と第2部分との連結点が、「第2リンク」と「ブレーキ操作力検出器」との係合点を構成すると考えることができる。
【0066】
次に、本発明の第7実施形態を説明する。ただし、本発明は、第1実施形態とクレビス30および入力ロッド32の構成については基本的に共通し、ブレーキペダル,連結機構,リンク機構およびブレーキ操作力検出器の構成については相違するため、基本的に共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、ブレーキペダル,連結機構,リンク機構およびブレーキ操作力検出器について詳細に説明する。
【0067】
第1実施形態においては、ブレーキペダル10のペダルレバー12が一部材で構成されている。これに対して、本実施形態においては、図15に示すように、ブレーキペダル300のペダルレバー302は2つの異なる部材が互いに結合されて構成されている。
【0068】
具体的には、ペダルレバー302は、そのペダルレバー302の全体形状を形成するレバー部304と、板状のベース306とから構成されている。ベース306は、複数のボルト307(図16参照)によりレバー部304に重ね合わせられて固定されており、レバー部304と共同してペダルレバー302を構成しているのである。レバー部304はペダルボス18を一体に備えており、そのペダルボス18と同軸の第1軸線まわりにペダルレバー302が回動可能とされている。なお、同図にはベース306が複数のボルト307が取り外された状態で示されており、よって、同図における複数の円はベース306に形成された複数のおねじ穴を示している。
【0069】
そのベース306は、クレビス30と相対回動可能に連結されている。本実施形態においては、ペダルレバー302のうちのベース306とクレビス30とが互いに連結されることにより、ブレーキペダル300と入力ロッド32とが相対回動可能に、かつ、一定範囲内において相対移動可能に連結されている。
【0070】
具体的には、図16に示すように、ベース306に円穴308が形成され、その円穴308とクレビス30の一対の円穴40,40とに第1ピン310が挿通されている。第1ピン310の軸方向中間部に外側ブッシュ312が挿通され、それら外側ブッシュ312と第1ピン310との間に外側ブッシュ312と第1ピン310との摺動抵抗を低減させる内側ブッシュ314が介在させられている。すなわち、第1ピン310はそれら外側ブッシュ312と内側ブッシュ314とにより円穴308に嵌合されているのである。ここで、円穴308は外側ブッシュ312より大径とされ、外側ブッシュ312とベース306との間に隙間が形成されている。一方、第1ピン310はブッシュ312,314から両側に突出した一対の部分において一対の円穴40,40に実質的な隙間なく嵌合されている。
【0071】
よって、ブレーキペダル300とクレビス30とは、相対回動可能であるとともに、一定範囲内で相対移動可能である。すなわち、本実施形態においては、ブレーキペダル300のうち円穴308を形成する部分とクレビス30と第1ピン310と外側ブッシュ312と内側ブッシュ314とが互いに共同して「連結機構」を構成しているのである。
【0072】
図15に示すように、ブレーキペダル300とクレビス30とブレーキ操作力検出器としての操作力センサ316とが、リンク機構318により互いに連結されている。リンク機構318は、第1レバー320と第2レバー324とが一対の連結ロッド326,326(図16参照)により互いに連結されて構成されている。以下、リンク機構318の各要素について順に説明する。
【0073】
第1レバー320は、入力ロッド32の軸線方向にほぼ直角な方向に延びる板状部材で構成されている。第1レバー320は、それの一端部においてベース306と連結されている。具体的には、第1レバー320の一端部に円穴330が形成され、それの円穴330と、ベース306に形成された円穴331とに第2ピン332が挿通されている。第2ピン332の中間部にブッシュ334が挿通されている。そのブッシュ334が円穴331に実質的な隙間なく嵌合され、第2ピン332のうちブッシュ334から両側に突出した一対の突出部の一方において円穴330に実質的な隙間なく嵌合されている。これにより、第1レバー320とベース306とが相対回動可能に、かつ、相対移動不能に互いに連結されている。
【0074】
さらに、第1レバー320は、それの中間部においてクレビス30と連結されている。具体的には、第1レバー320の中間部に円穴336が形成され、それに第1ピン310が外側ブッシュ312と内側ブッシュ314とを介して実質的な隙間なく嵌合されている。これにより、第1レバー320とクレビス30とが相対回動可能に、かつ、相対移動不能に互いに連結されるとともに、第1レバー320がベース306に対して、外側ブッシュ312と円穴308との間の隙間により、一定範囲内で第2ピン332まわりに相対回動可能に連結されている。第1および第2ピン310,332は、第1レバー320とは反対側にベース306から突出した一対の部分において、連結プレート337により互いに連結されている。連結プレート337は、第1レバー320と共同してベース306をその両側から挟んでいる、連結プレート337と第1レバー320とは共に、クレビス30の一対の側板34,34により挟まれている。
【0075】
レバー部304には切欠部328が形成されている。この切欠部328は、クレビス30,第1ピン310,外側ブッシュ312,第2ピン332等のうち、ベース306に関して第1レバー320とは反対側に位置する部分および連結プレート337、すなわち、ベース306に取り付けられた複数の部品のうちそのベース306のレバー部304との取付面の外側に位置する複数の部品がレバー部304と干渉することを防止するために形成されている。
【0076】
第1レバー320は、それの両端部のうちベース306に連結されていない他端部において一対の連結ロッド326,326と相対回動可能に連結されている。第1レバー320は、ベース306との連結点を支点、クレビス30との連結点を力点、一対の連結ロッド326,326との連結点を作用点とするレバーとして機能し、それにより、ブレーキペダル300とクレビス30との相対移動量を拡大して一対の連結ロッド326,326に伝達する。
【0077】
一対の連結ロッド326,326は、入力ロッド32の軸線方向にほぼ平行に延びる2つの部材からなり、第1レバー322の他端部を両側から挟み込むように配置されている。図16に示すように、一対の連結ロッド326,326の一端部に一対の円穴338,338が形成されるとともに、第1レバー320の他端部に円穴340が形成され、それら円穴338,338,340に第3ピン342が嵌合されている。これにより、第1レバー322と一対の連結ロッド326,326とは相対回動可能に、かつ、相対移動不能に互いに連結されている。
【0078】
ベース306には、一対の連結ロッド326,326と対向する位置において長穴344が形成されている。この長穴344は一対の連結ロッド326,326より大きくされ、一対の連結ロッド326,326がベース306に対して相対的に変位させられる場合に、一対の連結ロッド326,326に接触しない大きさとされている。
【0079】
さらに、一対の連結ロッド326,326は、図15に示すように、それの他端部において第2レバー324と相対回動可能に互いに連結されている。一対の連結ロッド326,326は、第1レバー320の回動運動を第2レバー324に伝達する。
【0080】
第2レバー324は、ベース306に沿って、第1レバー320とほぼ平行に延びるように形成されている。図17に示すように、第2レバー324は、それの一端部が一対の連結ロッド326,326に両側から挟まれるように配置されている。その第2レバー324の一端部に円穴346が形成されるとともに、一対の連結ロッド326,326の他端部に一対の円穴348,348が形成され、それら円穴346,348,348に第4ピン350が嵌合されている。これにより、第2レバー324と一対の連結ロッド326,326とが、相対回動可能に、かつ、相対移動不能に互いに連結されている。
【0081】
さらに、第2レバー324は、図15に示すように、それの中間部であって一対の連結ロッド326,326との連結点に近い位置においてベース306と連結されている。具体的には、図17に示すように、第2レバー324の中間部に円穴352が形成されるとともに、ベース306の円穴352に対向する部分に円穴354が形成されている。これら円穴352,354に第5ピン356が嵌合され、第2レバー324とベース306とが相対回動可能に、かつ、相対移動不能に互いに連結されている。レバー部304には、これら円穴352,354に対向する位置において、第5ピン356より大きな直径を有する円穴358が形成されていて、レバー部304が第5ピン356に接触しないようにされている。
【0082】
さらにまた、第2レバー324は、図15に示すように、それの他端部において操作力センサ316と係合させられている。
【0083】
操作力センサ316は、ベース306に固定されたハウジング359と、そのハウジング359内に移動可能に収容された可動子360とを備えている。操作力センサ316は、可動子360がブレーキペダル300と入力ロッド32との相対移動に伴って変位させられることによりブレーキ操作力を検出する。本実施形態においては、操作力センサ316はポテンショメータ式のセンサであってブレーキ操作力に対応してほぼリニアに変化する信号を出力するものとされている。なお、操作力センサ316は、ブレーキ操作力が一定の値を越えている時とそうでない時とで互いに異なる2信号を出力するスイッチに代えることが可能である。
【0084】
可動子360は、第2レバー324の他端部に形成された係合部362に係合させられている。係合部362は、板状であってブレーキペダル300の回動面に対してほぼ直角な方向であってブレーキペダル300から離れる方向に延び出している。係合部362には、それの可動子360に対向する対向面が、ブレーキ非操作状態において可動子360の軸線に対してほぼ直角になるように形成されている。第2レバー324は、一対の連結ロッド326,326との連結点を力点、ベース306との連結点を支点、可動子360との係合点を作用点とするレバーとして機能し、それにより、一対の連結ロッド326,326の運動を拡大して操作力センサ316に伝達する。
【0085】
第2レバー324は、弾性部材としてのコイル状のスプリング364により、ブレーキペダル300とクレビス30との相対移動が抑制される向きに常時付勢されている。具体的には、第2レバー324は第5ピン356の回りに同図において時計回りに付勢されており、それにより、第1レバー320が第2ピン332の回りに時計方向に付勢されている。ブレーキ非操作状態においては、第1ピン310と円穴308との間に、入力ロッド32の軸方向に平行な方向における一側(ブレーキペダル300に近い側)に隙間が形成されているが、ブレーキペダル300が深く操作されるにつれて、その隙間が減少するのであるが、スプリング364は、その隙間が減少することを抑制する。本実施形態においては、スプリング364の一端部が第2レバー324のうちそれの支点と作用点との中間部に係合させられている。
【0086】
さらに具体的には、スプリング364は、それを拡大して図18に示すようにリテーナ366を介して係合部362に係合されている。スプリング364の中心にそれの軸線方向に沿って延びるロッド368が配置されており、このロッド368はスプリング364の係合部362に対する位置決めする機能のほかに、スプリング364の座屈を防止する機能をも有する。リテーナ366と係合部362とに円穴がそれぞれ形成され、ロッド368は、それの一端部においてそれら円穴に摺動可能に嵌合されている。
【0087】
以上のように構成されたブレーキ操作装置においては、ブレーキペダル300が非操作位置から操作位置に向かって操作されると、そのときの操作力Fが小さく、第2レバー324がスプリング364の弾性力に打ち勝つことができないうちは、第1レバー320,連結ロッド326および第2レバー324から成るリンク系が運動させられず、その結果、ブレーキペダル300が入力ロッド32と一緒に運動させられる。
【0088】
その後、操作力Fがさらに増加させられ、第2レバー324がスプリング364の弾性力に打ち勝つに至ると、第1レバー320はブレーキペダル300に対して相対的に、第2ピン332まわりを図15において反時計方向に回動させられ、それに伴い、連結ロッド326がブレーキペダル300に対して相対的に、第2レバー324に接近する向きに概して直線運動させられる。その結果、第2レバー324がブレーキペダル300に対して相対的に、第5ピン356まわりを反時計方向に回動させられる。この回動に応じて操作力センサ316が作動させられ、それにより、操作力Fが検出される。
【0089】
第2レバー324は、後述の調整機構372により、回動限度が規定されている。そして、操作力Fが増加させられた結果、第2レバー324が同図において反時計方向に相対的に回動させられて回動限度に到達すると、以後、上記リンク系がさらに運動することが阻止される。その結果、ブレーキペダル300は入力ロッド32と一緒に運動させられることになる。
【0090】
第1レバー320のレバー比、すなわち、第2ピン332と第3ピン342との距離を第1ピン310と第2ピン332との距離で割り算した値が1より大きく設定されている。さらに、第2レバー324のレバー比、すなわち、第5ピン356と、第2レバー324が操作力センサ316の可動子360と係合させられる点との距離を第5ピン356と第4ピン350との距離で割り算した値も1より大きく設定されている。
【0091】
したがって、本実施形態によれば、ブレーキペダル300と入力ロッド32との、その入力ロッド32の軸方向における相対運動が第1レバー320を介して、かつ、その第1レバー320により拡大されて連結ロッド326に伝達される。さらに、その拡大された相対運動は、連結ロッド326を介して第2レバー324に伝達される。第2レバー324は、伝達された相対運動を拡大して操作力センサ316の可動子360に伝達する。すなわち、本実施形態によれば、ブレーキペダル300と入力ロッド32との相対運動が第1レバー320と第2レバー324とによって2段で拡大されて操作力センサ316に伝達されることとなるのである。
【0092】
よって、本実施形態によれば、操作力センサ316の可動子360の必要作動ストロークを、ブレーキペダル300の比較的短いストロークによって確保し得、その結果、ブレーキペダル300の前記無効ストロークをできる限り短くし得、操作力Fの検出に起因してブレーキ操作フィーリングが悪化することを抑制し得る。
【0093】
ロッド368の他端部は、スプリング364の他端部とともに別のリテーナ370を介して、スプリング364の初期弾性力を調整する初期荷重調整機構372に係合されている。
【0094】
初期荷重調整機構(以下、単に「調整機構」と表現する。)372は、図18に示すように、ベース306に固定された固定部材としてのフレーム374と、そのフレーム374に螺合された第1調整ボルト376と、その第1調整ボルト376に同軸に螺合された第2調整ボルト378とから構成される。
【0095】
具体的には、フレーム374は、ベース306に沿って延びるとともに、ベース306に固定された固定部380と、その固定部380からベース306に対して直角に延び出す延び出し部382とから構成されている。その延び出し部382にねじ穴がスプリング364と同軸的に形成され、そのねじ穴に第1調整ボルト376のおねじ部が螺合されている。第1調整ボルトは、おねじ部の先端面がスプリング364を向く姿勢で配置されている。第1調整ボルト376は回転させられることによりスプリング364の軸線方向に沿ってフレーム374に対して変位させられる。その第1調整ボルト376のおねじ部には、それを延び出し部382に対して位置決めして固定するロックナット384が螺合されている。ロックナット384は延び出し部382に関してスプリング364とは反対側に配置されている。
【0096】
第1調整ボルト376のおねじ部の先端部にはめねじ部386がおねじ部と同軸的に形成されている。そのめねじ部386に第2調整ボルト378のおねじ部が螺合されている。第2調整ボルト378は、おねじ部の基端部から延び出す係合部388を備えており、第2調整ボルト378はその係合部388においてリテーナ370に係合させられる。
【0097】
さらに、第2調整ボルト378は、それの回転を阻止する回転阻止部390を備えている。回転阻止部390は、フレーム374とわずかな隙間を隔てて対向する対向部392において、フレーム374に対して移動可能かつ回転不能にフレーム374に係合させられている。したがって、第2調整ボルト378はほぼ回転不能とされ、軸線方向の変位のみ可能とされている。
【0098】
本実施形態においては、第1および第2調整ボルト376,378は共に右ねじとされ、さらに、第1調整ボルト376のおねじ部のピッチが1.0mmとされ、これに対して、第2調整ボルト378のおねじ部のピッチは0.8mmとされている。
【0099】
以上、調整機構372の構成について説明したが、次に、その作動について説明する。
【0100】
第1調整ボルト376は、必要工具により右回りに回転させられると、図18において右方向に変位させられる。このとき、その第1調整ボルト376の回転と変位とは第2調整ボルト378に伝達される。しかし、第2調整ボルト378の回転は阻止されているので、第1調整ボルト376と第2調整ボルト378とは相対回転させられる。この相対回転により第2調整ボルト378は、第1調整ボルト376に対して相対的に変位させられ、その方向は、同図において左方向となる。第2調整ボルト378は、第1調整ボルト376に接近させられるのである。本実施形態において、第2調整ボルト378は一回転につき0.8mmで第1調整ボルト376に接近させられる。このとき、第2調整ボルト378のフレーム374に対する移動長さは、第1調整ボルト376の変位による移動長さから第1調整ボルト376の回転による移動長さを差し引いた値となるので、結局、第2調整ボルト378は、第1調整ボルト376が右回りに1回転させられると、0.2mmだけスプリング364に接近させられる。その結果、スプリング364の圧縮長さが短くされ、スプリング364の初期荷重が増加させられる。
これに対して、第1調整ボルト376は、左回りに回転させられると、同図において左方向に変位させられる。このとき、右回りに回転させる場合と同様の原理により、第2調整ボルト378が、第1調整ボルト376の1回転当たり0.2mmだけスプリング364から離間させられる。その結果、スプリング364の圧縮長さが長くされ、スプリング364の初期荷重が減少させられる。
【0101】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、第1レバー320により、入力ロッド32とブレーキペダル300との相対移動が拡大されて第2レバー324に伝達され、さらに、その第1レバー320の回動運動が第2レバー324により拡大されて操作力センサ316に伝達される。したがって、操作力センサ316を作動させるのに必要な作動ストロークの割りに入力ロッド32とブレーキペダル300との相対移動の長さを短くすることができる。
【0102】
さらに、本実施形態によれば、第1調整ボルト376と第2調整ボルト378とが互いに直列に螺合されることにより、ピッチが0.2mmのねじを用いてスプリング364の初期荷重を調整する場合と同じ精度で調整を行うことが可能となる。
【0103】
さらにまた、本実施形態によれば、入力ロッド32と連結機構と操作力センサ316とリンク機構318とベース306との組立体をレバー部304に取り付けるので、それらを個別にレバー部304に取り付ける場合に比較してブレーキペダル300の組立てが容易となる。
【0104】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、第1レバー320が「第1リンク」を構成し、第2レバー324が「第2リンク」を構成し、第1調整ボルト376が「入力部材」を構成し、第2調整ボルト378が「出力部材」を構成しているのである。
【0105】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいてを詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発明の効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるブレーキ操作装置を示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1のブレーキ操作装置における操作力センサとスプリングと第2リンクとの関係を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態であるブレーキ操作装置を示す正面図である。
【図5】本発明の第3実施形態であるブレーキ操作装置を示す正面図である。
【図6】本発明の第4実施形態であるブレーキ操作装置を示す正面図である。
【図7】図6のブレーキ操作装置におけるブレーキペダルと操作力センサと第2リンクと第3リンクとの関係を示す側面図である。
【図8】本発明の第5実施形態であるブレーキ操作装置の要部を示す正面図である。
【図9】図8におけるIX−IX断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態であるブレーキ操作装置の要部を示す正面図である。
【図11】図10におけるXI−XI断面図である。
【図12】図10のブレーキ操作装置における第2リンクと調整機構との関係を示す正面図である。
【図13】図10のブレーキ操作装置における第2リンクと調整機構との関係を示す平面図である。
【図14】本発明者らが本発明に先立って開発したブレーキ操作装置を示す正面図である。
【図15】本発明の第7実施形態であるブレーキ操作装置の要部を示す正面図である。
【図16】図15におけるXVI ─XVI 断面図である。
【図17】図15におけるXVII−XVII断面図である。
【図18】図15におけるXVIII−XVIII断面図である。
【符号の説明】
10,300:ブレーキペダル
16:ペダルブラケット
30,260:クレビス
32:入力ロッド
42,308:円穴
44:連結ピン
46:ブッシュ
52,148,190,292,316:操作力センサ
60,170,220,270,318:リンク機構
62,172,272:第1リンク
64,174,274:第2リンク
66,126,184,240,364:スプリング
72,244,284:調整ボルト
112,120:操作力スイッチ
130:おねじ部
266,272,276、310:第1ピン
274:第2リンク
280,372:調整機構
288:調整ディスク
290:歪みゲージ
302:レバー部
306:ベース
312:外側ブッシュ
314:内側ブッシュ
320:第1レバー
324:第2レバー
372:初期荷重調整機構
376:第1調整ボルト
378:第2調整ボルト

Claims (9)

  1. 車両のブレーキを作動させるために運転者により操作されるブレーキ操作装置であって、
    車体に固定のブラケットに第1軸線まわりに回動可能に支持され、運転者により第1軸線まわりに回動操作されるブレーキ操作部材と、
    前記第1軸線と直角に立体交差する第2軸線に沿って直線運動させられるロッドと、
    それらブレーキ操作部材とロッドとを、前記第1軸線に平行な第3軸線まわりに相対回動可能に互いに連結し、それにより、ブレーキ操作部材の回動をロッドの直線運動に変換する連結機構であって、それらブレーキ操作部材とロッドとが前記第2軸線上において相対移動することを許容するものと、
    前記ブレーキ操作部材の操作力を検出するブレーキ操作力検出器と、
    複数のリンクが相互に回動可能に連結されたリンク機構であって、前記ブレーキ操作部材とロッドとブレーキ操作力検出器とを、ブレーキ操作部材のロッドに対するブレーキを作動させるための操作方向における相対移動によりブレーキ操作力検出器が作動させられるように互いに連結するものと
    を含むことを特徴とするブレーキ操作力検出器を備えたブレーキ操作装置。
  2. 前記リンク機構が、(a) 第1部位と第2部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドの一方である第1部材に直接にまたは間接に連結され、ロッドと平行に延びる第1リンクと、(b) 第1部位と第2部位と第3部位とを有し、かつ、その第1部位において、前記ブレーキ操作部材とロッドとの他方である第2部材に直接にまたは間接に、前記第1軸線に平行な第4軸線まわりに回動可能に連結され、その第2部位において前記第1リンクの第2部位に連結され、その第3部位において前記ブレーキ操作力検出器に係合させられた第2リンクとを含む請求項1に記載のブレーキ操作装置。
  3. 前記連結機構が、前記第3軸線に沿って延びる姿勢で前記ブレーキ操作部材と前記ロッドとの一方に相対移動不能に保持される一方、それらブレーキ操作部材とロッドとの他方に相対移動可能に係合させられ、それらブレーキ操作部材とロッドとを前記相対回動および相対移動が可能な状態で互いに連結する連結ピンを含み、前記第1リンクが、それの第1部位において前記連結ピンにそれと一体的に運動可能に連結されたものである請求項2に記載のブレーキ操作装置。
  4. 前記第2リンクが、前記第1部位を支点、前記第2部位を力点、前記第3部位を作用点として、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動を拡大して前記ブレーキ操作力検出器に伝達するレバーである請求項2または3に記載のブレーキ操作装置。
  5. 前記リンク機構が、
    (a) 前記第2軸線と交差する方向に延びる第1リンクであって、一端部において前記ブレーキ操作部材に、第2軸線からそれと交差する方向に外れた位置において前記第1軸線に平行であるとともにそのブレーキ操作部材に固定された第4軸線まわりに回動可能に連結され、中間部において前記ロッドに前記第2軸線に沿って一緒に運動可能に連結されたものと、
    (b) その第1リンクと直角に交差しない方向に延びる第2リンクであって、一端部において前記第1リンクの他端部からその第1リンクの運動が入力され、中間部において前記ブレーキ操作部材に、前記第2軸線からそれと交差する方向に外れた位置において前記第1軸線に平行であるとともにそのブレーキ操作部材に固定された第5軸線まわりに回動可能に連結され、他端部において当該第2リンクの運動を前記ブレーキ操作力検出器に出力するものと
    を含む請求項1に記載のブレーキ操作装置。
  6. さらに、
    前記リンク機構における複数のリンクのうちの少なくとも1個に弾性力を、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動が抑制される向きに付与する弾性部材と、
    その弾性部材の初期弾性力を調整する調整機構と
    を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
  7. 前記複数のリンクの1つが、基準線に沿って延びるとともにたわみにより弾性力を発生させるものであって前記弾性部材を兼ね、前記調整機構が、その基準線に平行な中心線を有する一円周に沿って延びる円周部を備え、その円周部において前記弾性部材を兼ねるリンクの自由端部に係合させられ、それにより、そのリンクにたわみを生じさせる係合部材であって、前記中心線に対して偏心させられた一軸線まわりの回転とその軸線に沿った移動とを行わせられるものを含む請求項6に記載のブレーキ操作装置。
  8. 前記ブレーキ操作力検出器が、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じて前記操作力を検出するものであり、当該ブレーキ操作装置が、さらに、
    前記複数のリンクの少なくとも1個に弾性力を、前記ブレーキ操作部材とロッドとの前記相対移動の長さに応じた大きさで、かつ、その相対移動が抑制される向きに付与する弾性部材と、
    その弾性部材の初期弾性力を調整する調整機構であって、(a) 一軸線を有するとともに、その軸線まわりに一方向に回転させられるとその回転角度に応じた距離で、前記軸線に沿って一方向に移動させられる入力部材と、(b) その入力部材と共通の軸線まわりの回転が阻止されるとともに、その入力部材が一方向に回転させられるとその入力部材に対してそれとは逆向きに前記軸線に沿って移動させられ、かつ、それの移動長さに応じて前記弾性部材の初期弾性力を変化させる出力部材とが互いに直列に連結されて構成されたものと
    を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
  9. 前記ブレーキ操作部材が、ペダルレバーとペダルパッドとを備えたブレーキペダルであり、前記ペダルレバーがレバー部とベースとから成り、そのベースに前記ロッド,連結機構,ブレーキ操作力検出器およびリンク機構が組み付けられ一組立体が、前記レバー部に取り付け可能であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のブレーキ操作装置。
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