JP3564879B2 - 圧延機の水切り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧延機の水切り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、上下一対の作業ロール1,1と該作業ロール1を支持する上下一対の控えロール2,2とを備えた水平多段圧延機3を適用したアルミ合金材4の圧延成形作業においては、水平多段圧延機3の送入側(図5に示すA側)にアルミ合金材4の上方並びに下方に位置するように配置した噴射ノズル5,5から、水を主体としたクーラント液6を作業ロール1,1の胴部1a,1aに向って噴射して、アルミ合金材4を圧延成形する作業ロール1,1の熱変形防止とアルミ合金材4に対する作業ロール1,1の潤滑を図るようにしている。
【0003】
このとき、作業ロール1,1により圧延成形されて水平多段圧延機3から送出されるアルミ合金材4の上面及び下面に、上述した冷却潤滑手段として用いられるクーラント液6の液滴6aが付着したままであると、ウォータステインと呼ばれる白錆が生じる。
【0004】
そこで、水平多段圧延機3の送出側(図5に示すB側)にアルミ合金材4の上方及び下方に位置するように配置した吸引ダクト7,7によってクーラント液6を積極的に吸引除去し、また、図6に示すように作業ロール1,1の胴部1a,1aの全長にわたって当接する合成ゴム等の弾力性を具備する材料から形成させた胴部シール部材8,8を、作業ロール1,1の胴部1a,1aの全長にわたって当接するように設け、控えロール2,2の胴部2a,2aから水平多段圧延機3の送出側に位置するアルミ合金材4の上面及び下面に対して、クーラント液6が飛散されないようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、水平多段圧延機3の送入側で噴射ノズル5,5から噴射されるクーラント液6の一部が、控えロール2,2の胴部2aの両端の面取り部2bからロール端面2cを伝って、水平多段圧延機3から送出されるアルミ合金材4の上面及び下面に液滴6aとして付着することがある。
【0006】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、水平多段圧延機から送出される圧延成形部材の上面及び下面に対するクーラント液の液滴の付着を防止することが可能な圧延機の水切り装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載した圧延機の水切り装置では、胴部両端に面取り部を有する水平多段圧延機の控えロールの胴部に転動可能に当接するロール胴形成部と、該ロール胴形成部の両端に連なり且つ前記の控えロールの面取り部に転動可能に当接するロール端形成部とを備えた水切りロールを、作業ロールに対するクーラント液の噴射手段の設置側に配設している。
【0008】
本発明の請求項2に記載した圧延機の水切り装置では、胴部両端に面取り部を有する水平多段圧延機の控えロールの胴部に転動可能に当接するロール胴形成部と、該ロール胴形成部の両端に着脱可能に設けられ且つ前記の控えロールの面取り部に転動可能に当接するロール端形成部とを備えた水切りロールを、作業ロールに対するクーラント液の噴射手段の設置側に配設している。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載した圧延機の水切り装置では、上述した本発明の請求項1あるいは請求項2に記載の圧延機の水切り装置の構成に加えて、控えロールのロール端面を液密に被覆するロール端面シール部材を設けている。
【0010】
さらに、本発明の請求項4に記載した圧延機の水切り装置では、上述した本発明の請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧延機の水切り装置の構成に加えて、ロール胴形成部の外周に控えロールの胴部に当接するロール胴外皮部を設け、ロール端形成部の外周に控えロールの面取り部に当接するロール端外皮部を設け、各外皮部を弾力性を具備する材料によって形成している。
【0011】
本発明の請求項1及び請求項2に記載した圧延機の水切り装置のいずれにおいても、水平多段圧延機の控えロールの胴部及び面取り部に転動可能に当接する水切りロールのロール胴形成部及びロール端形成部が、控えロールの胴部及び胴部両端の面取り部から圧延材へのクーラント液の飛散を防止する。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載した圧延機の水切り装置においては、水平多段圧延機の控えロールの胴部及び面取り部に転動可能に当接する水切りロールのロール胴形成部及びロール端形成部が、控えロールの胴部及び胴部両端の面取り部から圧延材へのクーラント液の飛散を防止し、控えロールのロール端面を液密に被覆するロール端面シール部材が、控えロールのロール端面から圧延材へのクーラント液の飛散を防止する。
【0013】
さらに、本発明の請求項4に記載した圧延機の水切り装置においては、水切りロールのロール胴形成部及びロール端形成部を被覆する外皮部が、控えロールの胴部及び胴部両端の面取り部に密着し、控えロールから圧延材へのクーラント液の飛散をより確実に防止する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する形態を、図示例とともに説明する。
【0015】
図1から図3は本発明の圧延機の水切り装置の実施の形態の第1の例を示すものであり、図中、図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0016】
図1から図3に示す圧延機の水切り装置は、上下一対の作業ロール1,1と、該作業ロール1,1を支持するように配置され且つ円筒形状の胴部2aの両端に面取り部2b,2bを有する上下一対の控えロール2,2とを備え、前記の作業ロール1,1のアルミ合金材4を送入する側(図1のA側)に、アルミ合金材4の上方並びに下方に位置するように配置され且つ水を主体としたクーラント液6を作業ロール1,1の胴部1a,1aに向って噴射し得る噴射ノズル5,5を備えた水平多段圧延機3において、前記の控えロール2.2に対して転動可能に当接する水切りロール9,9を控えロール2,2の一側(図1に示すA側)に設けている。
【0017】
水切りロール9,9は、図3に示すようにロール本体10と、該ロール本体10の両端部に内嵌されている転がり軸受11,11と、ロール本体10の外周を被覆する外皮部13とによって構成されている。
【0018】
ロール本体10は、控えロール2の胴部2aに転動可能に当接するよう円筒形状に形成されたロール胴形成部10aと、該ロール胴形成部10aの両端に連なり且つ前記の控えロール2の面取り部2b,2bに転動可能に当接するよう外周がロール胴形成部10a側から外側へ向かって漸次直径が大きくなる形状を有するロール端形成部10b,10bとにより形成されている。
【0019】
また、外皮部13は、合成ゴム等の弾力性を具備する材料によって形成され、該外皮部13の弾力によって控えロール2に強く外接するようになっている。
【0020】
そして、水切りロール9,9は、ロール本体10の軸心を貫通する固定軸12により転がり軸受11,11を介して回転自在に支持されている。
【0021】
また、控えロール2の両側側面には、控えロール2のロール端面2cを液密に被覆し得るロール端面シール部材14,14が設けられている。
【0022】
ロール端面シール部材14,14は、合成ゴム等の弾力性を具備する材料によって、控えロール2の軸2dに外嵌固着される中空円板形状のシール部材本体14aと、該シール部材本体14aの周縁部から控えロール2のロール端面2cの周縁部に向かって延び且つ該周縁部に対して密着し得る先端部分を有するリップ部14bとを一体的に形成したものである。
【0023】
次に、図1から図3に示す圧延機の水切り装置の作動を説明する。
【0024】
アルミ合金材4の圧延成形作業を行う際に、アルミ合金材4を圧延成形する作業ロール1,1の熱変形防止とアルミ合金材4に対する作業ロール1,1の潤滑を図るために、水平多段圧延機3の送入側(図1に示すA側)にアルミ合金材4の上方並びに下方に位置するように配置された噴射ノズル5,5から作業ロール1,1の胴部1aに向かってクーラント液6が噴射されると、該クーラント液6は、作業ロール1,1の胴部1a表面から該作業ロール1,1を支持しながら転動する控えロール2,2の胴部2aの表面に転じ、控えロール2,2の表面に付着したクーラント液6は、該控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bに当接して転動する水切りロール9のロール本体10によって塞き止められる。
【0025】
また、控えロール2,2の胴部2aからロール端面2cへ迂回して流れようとするクーラント液6の一部は、控えロール2,2の両側のロール端面2cに密着しているロール端面シール部材14によって、控えロール2,2のロール端面2cを伝って流れることを阻止される。
【0026】
このように、図1から図3に示す圧延機の水切り装置では、控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bの表面に付着したクーラント液6を、控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bに転動自在に当接している水切りロール9のロール本体10によって塞き止め、控えロール2,2のロール端面2cに迂回し流れようとするクーラント液6を、ロール端面2cに設けたロール端面シール部材14によって阻止するので、控えロール2,2からアルミ合金材4へのクーラント液6の飛散が防止され、図5に示すようなクーラント液6の液滴6aが圧延されたアルミ合金材4に付着することがない。
【0027】
図4は本発明の圧延機の水切り装置の実施の形態の第2の例を示すもので、図中、図1から図3と同一の符号を付した部分は同一物を表しており、控えロール2を有する水平多段圧延機(図1における符号3参照)は、先に述べた本発明の圧延機の水切り装置の実施の形態の第1の例が適用されるものと同一構成となっている。
【0028】
図4に示す圧延機の水切り装置は、控えロール2,2に対して転動可能に当接する水切りロール15,15を控えロール2,2の一側に設けている。
【0029】
水切りロール15は、ロール本体16を形成するロール胴形成部16a及びロール端形成部16bと、ロール胴形成部16aの両端部に内嵌されている転がり軸受11,11と、前記のロール胴形成部16a及びロール端形成部16bの外周を被覆する各外皮部17,18とによって構成されている。
【0030】
ロール本体16は、控えロール2の胴部2aに転動可能に当接するよう円筒形状に形成されたロール胴形成部16aと、該ロール胴形成部16aの両端に着脱可能に設けられ且つ前記の控えロール2の面取り部2b,2bに転動可能に当接するよう外周がロール胴形成部16a側から外側へ向かって漸次直径が大きくなる形状を有するロール端形成部16b,16bとにより形成されている。
【0031】
ロール端形成部16b,16bは、ロール胴形成部16aの両端に前記の転がり軸受11の側方に当接するよう且つ同心的に嵌合され、ボルト19によって締結されている。
【0032】
また、外皮部17,18は、合成ゴム等の弾力性を具備する材料によって形成され、該外皮部17,18の弾力によって控えロール2に強く外接するようになっている。
【0033】
前記のロール胴形成部16aは、その軸心を貫通する固定軸10により、転がり軸受11を介して回転自在に支持されている。
【0034】
次に、図4に示す圧延機の水切り装置の作動を説明する。
【0035】
アルミ合金材4の圧延成形作業を行う際に控えロール2,2の表面に付着したクーラント液6は、該控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bに当接して転動する水切りロール15のロール本体16によって塞き止められる。
【0036】
また、控えロール2,2の胴部2aからロール端面2cへ迂回して流れようとするクーラント液6の一部は、控えロール2,2の両側のロール端面2cに密着しているロール端面シール部材14によって、控えロール2,2のロール端面2cを伝って流れることを阻止される。
【0037】
このように、図4に示す圧延機の水切り装置では、控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bの表面に付着したクーラント液6を、控えロール2,2の胴部2a及び面取り部2bに転動自在に当接している水切りロール15のロール本体16によって塞き止め、控えロール2,2のロール端面2cに迂回し流れようとするクーラント液6を、ロール端面2cに設けたロール端面シール部材14によって阻止するので、控えロール2,2からアルミ合金材4へのクーラント液6の飛散が防止され、図5に示すようなクーラント液6の液滴6aが圧延されたアルミ合金材4に付着することがない。
【0038】
また、控えロール2に対する研削作業を行うことにより、該控えロール2の外径が減少した場合には、ボルト19によるロール胴形成部16aとロール端形成部16bとの締結を解除し、該ロール端形成部16bを研削作業が完了した控えロール2の面取り部2bに対応する形状の外皮部18を有するものに交換する。
【0039】
一方、控えロール2に対する研削作業を行うと、該控えロール2の胴部2aと面取り部2bとの境界が、ロール端側へ移動することになる。
【0040】
従って、図4に示すように、ロール胴形成部16aの外周を被覆する外皮部17よりも、ロール端形成部16bの外周を被覆する外皮部18を厚く形成しておけば、研削作業による控えロール2の胴部2aと面取り部2bとの境界の移動に応じて外皮部18を研削することにより、ロール端形成部材16b及び外皮部18を交換することなく、控えロール2の外周に水切りロール15を当接させることができる。
【0041】
なお、本発明の圧延機の水切り装置は上述した形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の圧延機の水切り装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0043】
(1)本発明の請求項1から請求項4に記載の圧延機の水切り装置のいずれにおいても、水切りロールのロール胴形成部及びロール端形成部によって、控えロールの胴部及び胴部両端の面取り部の表面に伝わるクーラント液を塞き止めるので、控えロールの胴部及び面取り部から圧延材へのクーラント液の飛散を防止できる。
【0044】
(2)本発明の請求項2に記載の圧延機の水切り装置においては、ロール端形成部がロール胴形成部に対して着脱可能であるので、研削作業によって控えロールの外径が減少した場合には、ロール端形成部を研削作業が完了した控えロールの外径に対応する小径のものに交換することにより、速やかに作業を再開することができる。
【0045】
(3)本発明の請求項3に記載の圧延機の水切り装置においては、ロール端面シール部材によって、控えロールのロール端面に流れようとするクーラント液を遮断するので、控えロールのロール端面から圧延材へのクーラント液の飛散を防止できる。
【0046】
(4)本発明の請求項4に記載の圧延機の水切り装置においては、ロール胴形成部及びロール端形成部を被覆する外皮部が控えロールの胴部及び胴部両端の面取り部に密着するので、控えロールの胴部及び面取り部から圧延材へのクーラント液の飛散の防止をさらに確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧延機の水切り装置の実施の形態の第1の例を示す側面図である。
【図2】図1に関連する控えロールと水切りロールの平面図である。
【図3】図2に関連する水切りロールとロール端面シール部材の断面拡大図である。
【図4】本発明の圧延機の水切り装置の実施の形態の第2の例を示す水切りロールとロール端面シール部材の断面拡大図である。
【図5】従来の圧延機の水切り装置の一例を示す側面図である。
【図6】図5に関連する控えロールと胴部シール部材の平面図である。
【符号の説明】
1 作業ロール
2 控えロール
2a 胴部
2b 面取り部
3 水平多段圧延機
5 噴射ノズル(噴射手段)
6 クーラント液
9 水切りロール
10a ロール胴形成部
10b ロール端形成部
13 外皮部
14 ロール端面シール部材
15 水切りロール
16a ロール胴形成部
16b ロール端形成部
17 外皮部(ロール胴外皮部)
18 外皮部(ロール端外皮部)
Claims (4)
- 胴部両端に面取り部を有する水平多段圧延機の控えロールの胴部に転動可能に当接するロール胴形成部と、該ロール胴形成部の両端に連なり且つ前記の控えロールの面取り部に転動可能に当接するロール端形成部とを備えた水切りロールを、作業ロールに対するクーラント液の噴射手段の設置側に配設してなることを特徴とする圧延機の水切り装置。
- 胴部両端に面取り部を有する水平多段圧延機の控えロールの胴部に転動可能に当接するロール胴形成部と、該ロール胴形成部の両端に着脱可能に設けられ且つ前記の控えロールの面取り部に転動可能に当接するロール端形成部とを備えた水切りロールを、作業ロールに対するクーラント液の噴射手段の設置側に配設してなることを特徴とする圧延機の水切り装置。
- 控えロールのロール端面を液密に被覆するロール端面シール部材を設けた請求項1あるいは請求項2に記載の圧延機の水切り装置。
- ロール胴形成部の外周に控えロールの胴部に当接するロール胴外皮部を設け、ロール端形成部の外周に控えロールの面取り部に当接するロール端外皮部を設け、各外皮部を弾力性を具備する材料によって形成した請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧延機の水切り装置。
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JP18338596A JP3564879B2 (ja) | 1996-07-12 | 1996-07-12 | 圧延機の水切り装置 |
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JPH1029006A JPH1029006A (ja) | 1998-02-03 |
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JP (1) | JP3564879B2 (ja) |
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1996
- 1996-07-12 JP JP18338596A patent/JP3564879B2/ja not_active Expired - Fee Related
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