JP3564634B2 - 内視鏡の湾曲操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の手元操作部に設けられたアングル用ツマミを回動操作して、内視鏡挿入部先端の湾曲部を所望の方向に湾曲させる内視鏡の湾曲操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の湾曲操作装置はアングルツマミ、及びロックツマミ等から構成されている。前記アングルツマミが回動操作されると、内視鏡挿入部の湾曲部が湾曲され、ロックツマミが操作されると、アングルツマミの回動がロックされ、湾曲部の湾曲姿勢が保持される。
【0003】
前記アングルツマミ、ロックツマミは、ツマミ座を介して回動軸に連結されており、このツマミ座は前記ツマミにねじによって連結されている。また、ツマミ座に対するツマミの連結位置に自由度を持たすため、ツマミには、ねじの本数分だけの通し孔が形成され、ツマミ座には多数のねじ孔が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内視鏡の湾曲操作装置は、ツマミとツマミ座とを連結するために、切削部品であるツマミ座に加工に手間のかかるねじ孔を、ねじの本数以上形成しているので、ツマミ座の加工工数が増大するという欠点があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡の湾曲操作装置を構成するツマミとツマミ座の加工工数を削減することができる内視鏡の湾曲操作装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、内視鏡手元操作部に設けられるとともに回動操作されることにより内視鏡挿入部先端の湾曲部を湾曲させるアングル用ツマミと、回動操作されることにより前記アングル用ツマミの回動をロックさせるロック用ツマミと、前記アングル用ツマミ又はロック用ツマミとねじを介して連結されるとともに前記ツマミを回動軸に連結させるツマミ座部材とを有する内視鏡の湾曲操作装置において、前記ツマミには前記ねじが挿入される通し孔がねじの本数以上形成され、前記ツマミ座部材には、前記ねじが螺入されるねじ孔がねじの本数分だけ形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、ツマミに加工の容易な通し孔を多数形成し、ツマミ座に加工に手間のかかるねじ孔を、ねじの本数分だけ形成したので、ツマミにねじの本数分だけの通し孔を形成し、ツマミ座に加工に手間のかかるねじ孔を多数形成した従来の連結構造よりも、ツマミとツマミ座の加工工数を削減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る内視鏡の湾曲操作装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る内視鏡の湾曲操作装置が適用された内視鏡の全体図である。同図に示す内視鏡10の手元操作部12には、体内に挿入される挿入部14が接続されるとともに、挿入部14の先端には、湾曲部16を介して先端硬質部18が設けられている。前記湾曲部16は、手元操作部12に設けられた左右アングルツマミ20、上下アングルツマミ22が回動操作されることによって湾曲操作され、これにより、先端硬質部18が所望の方向に向けられる。また、左右ロックツマミ24が回動操作されると、左右アングルツマミ20の回動がロックされ、上下ロックツマミ26が回動操作されると、上下アングルツマミ22の回動がロックされる。これにより、湾曲部16の湾曲姿勢が保持される。
【0008】
先端硬質部18の端面には、図示しない対物レンズ、照射孔、送気・送水孔、及び鉗子チャンネルが形成され、前記対物レンズの内側には固体撮像素子が設けられている。
手元操作部12には、送気・送水ボタン28と吸引ボタン30とが並設され、前記送気・送水ボタン28が操作されると、前記送気・送水孔からエア、又は液体が患部に向けて噴射され、吸引ボタン30が操作されると、前記鉗子チャンネルから液体(洗浄液、薬液、血液等の液体)が吸引される。また、手元操作部12には、シャッターボタン32が設けられ、このシャッターボタン32が操作されると観察像が撮影される。なお、符号34は鉗子孔であり、この鉗子孔34から、鉗子等の処置具が挿入される。また、符号36はLG(ライトガイド)軟性部であり、このLG軟性部36には、図示しない光源装置からの照明光を先端硬質部18の対物レンズに伝送するライトガイド等が内装される。
【0009】
左右アングルツマミ20は図2に示すように、その内周面に角孔20Aが形成され、この角孔20Aが軸38の角筒部38Aに嵌合されている。前記軸38の図2上右端部にはプーリ40が取り付けられており、このプーリ40に、左右アングルワイヤ42、42が巻回されている。したがって、左右アングルツマミ20が回動されると、軸38を介してプーリ40が回動されるので、前記左右アングルワイヤ42、42が押し引き操作され、これによって、図1の湾曲部16が左右方向に湾曲される。
【0010】
左右ロックツマミ24は図2に示すように、ピン100を介してツマミ座102と一体化されており、ツマミ座102は、その内側に雌ねじ102Aが形成され、この雌ねじ102Aに、軸38の図2上左端部側に形成された雄ねじ38Bが螺合されている。
また、ツマミ座102には、図2、図3に示すリング状に形成された保持環(保持部材に相当)44が当接されている。この保持環44は図2に示す軸38のDカット部39に沿ってスライドするように支持されており、かつ圧縮ばね46の付勢力によって、ツマミ座102の受面102Bに当接支持されている。
【0011】
前記左右ロックツマミ24とツマミ座102とは、複数本のピン100(図2では2本のピンのみ図示)を介して係合される。保持環44に対するツマミ座102の回動範囲を決定するため、保持環44にピン48が挿入されるピン孔50は、図3の如く等間隔で多数形成されている。また、前記ピン48が挿入されるツマミ座102側のピン孔103(図2参照)は、長孔状に形成され、このピン孔103の両端部が前記ピン48に当接されることによって、左右ロックツマミ24の回動量が制限されている。
【0012】
前記保持環44の図3上右端面には、凸条部45が保持環44の中心軸44Aを中心に形成されている。この凸条部45に、ブレーキ機構を構成するドーナツ板状のパッド52が圧入され、パッド52が保持環44と一体化される。
パッド52の圧入構造について説明すると、図4の如く前記凸条部45の内周面45Aの形状は、奥行き側(図4上左側)に向かうに従って径が大きくなる逆テーパ状に形成され、この内周面45Aに圧入されるパッド52の外周面52Aは、多角形状に形成されている。この圧入構造によれば、パッド52が凸条部45に強固に保持される。
【0013】
前記パッド52の図2上右側には、ブレーキ機構を構成するディスク54が所定の間隔をもって配置される。このディスク54は、左右アングルツマミ20に固定されている。したがって、前記ブレーキ機構によれば、左右ロックツマミ24をねじ込む方向に回動操作すると、保持環44と一体化されたパッド52がツマミ座102に押され、ディスク54に押し付けられる。これによって、左右アングルツマミ20の回動がロックされる。
【0014】
上下アングルツマミ22は、ツマミ座56及び円板104を介して軸58に取り付けられている。上下アングルツマミ22と円板104との連結構造に説明すると、図5の如く上下アングルツマミ22の内側部には、3本の突起60(2本の突起60のみ図示)が一体形成され、これらの突起60に嵌合される溝62が円板104の外周部に形成されている。したがって、前記溝62に突起60を嵌合させることによって、上下アングルツマミ22とツマミ座56とが位置決めされる。なお、ツマミ座56と円板104は、図2のねじ105によって予め連結されている。また、円板104は金属製であり、その表面に肉抜き孔104Aが開口されて軽量化が図られている。
【0015】
ツマミ座56の内周面には角孔56Aが形成され、この角孔56Aが図2に示す軸58の角筒部58Aに嵌合されている。前記軸58の図2上右端部にはプーリ64が取り付けられており、このプーリ64に、上下アングルワイヤ66、66が巻回されている。したがって、上下アングルツマミ22が回動されると、ツマミ座56、及び軸58を介してプーリ64が回動されるので、上下アングルワイヤ66、66が押し引き操作され、これによって、図1の湾曲部16が上下方向に湾曲される。
【0016】
前記上下ロックツマミ26は図2、図6に示すツマミ座68に、複数本のねじ70、70…によって固定される。ツマミ座68に対する上下ロックツマミ26の固定位置に自由度を持たすため、成形部品である上下ロックツマミ26には前記ねじ70が挿入される通し孔72が図7の如く等間隔で多数形成されている。また、切削部品であるツマミ座68には、前記ねじ70が螺入されるねじ孔74がねじ70の本数分だけ形成されている。このように、上下ロックツマミ26側に多数の通し孔72を形成し、ツマミ座68側にねじ70の本数分のねじ孔74を形成すれば、上下アングルツマミ26側にねじの本数分だけの通し孔を形成し、ツマミ座68側に多数のねじ孔を形成するよりも、加工工数を削減することができる。すなわち、通し孔72は、上下アングルツマミ26と一体成形することができるので製作が容易であるが、ねじ孔74はタップで加工するため手間がかかるからである。
【0017】
前記ツマミ座68の内周面には雌ねじ68Aが形成され、この雌ねじ68Aは、図2に示すスリーブ76の外周に形成された雄ねじ76Aに螺合される。
また、ツマミ座68の内側受面67には、保持板78が配設されている。この保持板78は、圧縮ばね80の付勢力によって、前記受面68Bに当接支持されている。ツマミ座68には前記ピン82が挿入されるピン孔84が図7の如く等間隔で多数形成されている。また、保持板78側の外周にはヒレ状の突起68Cが形成され、この突起68Cの両端部に前記ピン82が当接されることによって、ツマミ座68の、即ち上下ロックツマミ26の回動量が制限されている。
【0018】
ツマミ座68のピン孔84に挿入されたピン82は、図7に示すカバー部材88によって、ピン孔84に挿入された状態が保持される。前記カバー部材88は、ツマミ座68の雌ねじ部68D内に螺合され、これによって、前記ピン82はカバー部材88の底部89に押され、ピン孔84からの抜けが防止されている。このように、カバー部材88によってピン82の抜けを防止すれば、ねじに代えてピン82の使用が可能となる。したがって、ねじによる締結作業を無くすことができるので、組立工数を削減することができる。
【0019】
前記保持板78の図2上左端面には、ブレーキ機構を構成するドーナツ板状のパッド90が固定される。パッド90の図2上左側には、ブレーキ機構を構成するディスク92が所定の間隔をもって配置される。このディスク92は、ツマミ座56に固定されている。したがって、前記ブレーキ機構によれば、上下ロックツマミ26を回動操作すると、保持板78に固定されたパッド90が、ねじ68A、76Aの作用で移動するツマミ座68に押され、ディスク92に押し付けられる。これによって、上下アングルツマミ22の回動がロックされる。
【0020】
次に、前記の如く構成された内視鏡の湾曲操作装置の作用について説明する。左右アングルツマミ20を回動操作すると、軸38を介してプーリ40が回動されるので、左右アングルワイヤ42、42が押し引き操作される。これによって、湾曲部16が左右方向に湾曲される。また、湾曲部16の左右方向姿勢を保持したい場合には、左右ロックツマミ24を図2上でねじ込む方向に回動操作する。この操作によって、保持環44と一体化されたパッド52がツマミ座102に押され、ディスク54に押し付けられる。このディスクブレーキ作用によって、左右アングルツマミ20の回動がロックされ、湾曲部16の左右方向姿勢が保持される。
【0021】
一方、上下アングルツマミ22を回動操作すると、軸58を介してプーリ64が回動されるので、上下アングルワイヤ66、66が押し引き操作される。これによって、湾曲部16が上下方向に湾曲される。また、湾曲部16の上下方向姿勢を保持したい場合には、上下ロックツマミ26を回動操作する。この操作によって、保持板78に固定されたパッド90が、ねじ68A、76Aの作用で移動するツマミ座68に押され、ディスク92に押し付けられる。このディスクブレーキ作用によって、上下アングルツマミ22の回動がロックされ、湾曲部16の上下方向姿勢が保持される。
【0022】
本実施の形態では、図6の如く上下アングルツマミ26側に、加工の容易な多数の通し孔72を形成し、ツマミ座68側にねじ70の本数分のねじ孔74を形成したので、上下アングルツマミ26側にねじの本数分だけの通し孔を形成し、ツマミ座68側に、加工に手間のかかるねじ孔を多数の形成するよりも、加工工数を削減することができる。
【0023】
本実施の形態では、上下ロックツマミ26とツマミ座68との連結構造に本発明を適用した例について説明したが、これに限られるものではなく、内視鏡の湾曲操作装置に設けられる全てのツマミとツマミ座の連結構造に本発明を適用してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る内視鏡の湾曲操作装置によれば、ツマミに加工の容易な通し孔を多数形成し、ツマミ座に加工に手間のかかるねじ孔を、ねじの本数分だけ形成したので、ツマミとツマミ座の加工工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内視鏡の湾曲操作装置が適用された内視鏡の全体図
【図2】図1に示した湾曲操作装置の断面図
【図3】左右ロックツマミの保持部材とパッドの組立斜視図
【図4】左右ロックツマミの保持部材とパッドとの圧入状態を示す要部拡大断面図
【図5】上下アングルツマミとアングルツマミ用ツマミ座の組立斜視図
【図6】上下ロックツマミと上下ロックツマミ用ツマミ座の組立斜視図
【図7】上下ロックツマミ用ツマミ座とピンとシール部材の組立斜視図
【符号の説明】
10…内視鏡、20…左右アングルツマミ、22…上下アングルツマミ、24…左右ロックツマミ、26…上下ロックツマミ、44…保持環、52、90…パッド、54、92…ディスク、56、68、102…ツマミ座、60…突起、82…ピン、88…カバー部材

Claims (1)

  1. 内視鏡手元操作部に設けられるとともに回動操作されることにより内視鏡挿入部先端の湾曲部を湾曲させるアングル用ツマミと、回動操作されることにより前記アングル用ツマミの回動をロックさせるロック用ツマミと、前記アングル用ツマミ又はロック用ツマミとねじを介して連結されるとともに前記ツマミを回動軸に連結させるツマミ座部材とを有する内視鏡の湾曲操作装置において、
    前記ツマミには前記ねじが挿入される通し孔がねじの本数以上形成され、前記ツマミ座部材には、前記ねじが螺入されるねじ孔がねじの本数分だけ形成されていることを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置。
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