JP3564607B2 - ポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法に関するものであって、特にポリエステル樹脂廃棄物を化学的に処理して工業的に価値のある原料を得ることによって再利用を図ろうとする方法に関する
【0002】
【従来の技術】
飽和ポリエステル樹脂のPETボトルやフィルムの再生としては、熱で溶融して再成形するマテリアルリサイクルが主として行なわれている(R.J.Ehring編著、プラスチックリサイクリング研究会訳、「プラスチックリサイクリング−回収から再生まで−」、p.71、工業調査会(1993))。
【0003】
また一方、PETボトルやフィルムの再生として、加水分解、メタノール分解、グリコール分解によりモノマーを回収する技術も開発されている(「廃プラスチック サーマル&ケミカル・リサイクリング」、p.201、化学工業日報社(1994))。
【0004】
そしてPETボトルやフィルムの再生として、グリコール分解しその分解物を不飽和二塩基酸と反応させ、不飽和ポリエステル樹脂に再生する方法が研究されている(特開平8−151438号公報、U.R.Vaidya, V.M.Nadkarni, Ind.Eng.Chem.Res., 26, 194(1987)、United States Patent 3,951,886(1976)、J.B.Schneider, R.J.Ehring, G.L.Brownell, D.A.Kosmack, Proceedings 48th Annual Technical Conference of the Society of Plastics Engineers(ANTEC’90),1462(1990)、K.S.Rebeiz, D.W.Fowler, D.R.Paul, Plastics Enginering, 47(2),33(1991))。
【0005】
一方不飽和ポリエステル樹脂廃棄物は、これを微粉砕しフィラーとして新しいBMC、SMCに混入して、再利用するマテリアルリサイクルが一部行なわれている(福田宣弘、科学と工業、68(2)、60(1994))。またケミカルリサイクルとして、グリコールで分解し、分解物をグリコール成分として二塩基酸と反応させ、不飽和ポリエステルを再合成する技術が開発されている(「不飽和ポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法および再利用装置」、特許第2701012号(H9.10.3))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
飽和ポリエステル樹脂廃棄物は、一般に熱可塑性樹脂についてよく行なわれる方法である溶融して再成形するといったマテリアルリサイクルが行なわれている。
【0007】
しかし、着色樹脂や汚れの付着した樹脂はリサイクル時には商品価値が無くなるために行なわれていない。また水分が存在すると再成形時に加水分解を起こし分子量の低下ひいては物性の低下が起こる。
【0008】
またPETボトルやフィルムの再生として、加水分解、メタノール分解、グリコール分解によりモノマーを回収する技術が開発されているが、そのモノマーの精製に困難をともなう。
【0009】
また、飽和ポリエステル樹脂をグリコール分解して不飽和ポリエステルに再合成する場合は、グリコール分解物のヒドロキシル基(OH基)の定量を行ない、この分解物に二塩基酸を正確に等モル縮合反応させなければ、高分子量の不飽和ポリエステルが得られない。ところがヒドロキシル基の正確な定量は、分解時の着色やカルボキシル基の存在などが原因となって非常に困難であった。したがって、ヒドロキシル基を定量することは不正確となりやすく、その定量時の誤差のためにこの方法による高分子量の不飽和ポリエステルの再合成は技術的に著しく困難であった。
【0010】
さらに、上記の分解に用いるグリコール量は廃棄物を浸らせる量が必要であることから、当該廃棄樹脂とほぼ同量のグリコールが必要となり、このグリコールに当モルの二塩基酸を反応させて再生不飽和ポリエステルを得た後、さらにこれを30−40%のスチレン溶液とするため、結局のところ廃棄飽和ポリエステル樹脂の約5倍の質量の再生不飽和ポリエステル樹脂を得ることとなっていた。このため再生不飽和ポリエステル樹脂に占める廃棄樹脂量の割合が小さく、リサイクル効率が極めて低かった。
【0011】
一方不飽和ポリエステル樹脂廃棄物を微粉砕し、フィラーとして新しいBMC、SMCに混入して再利用するマテリアルリサイクルは、混入割合の増加につれて強度が低下する欠点がある(和歌山県工業技術センター、平成6−8年度技術開発研究費補助事業成果普及講習会テキスト(広域共同研究▲2▼)、第6章熱硬化性樹脂系産業廃棄物の高度利用技術に関する研究、6−3頁(H9.4))。
【0012】
さらに不飽和ポリエステル樹脂廃棄物をグリコールで分解し、得られた分解物を引続きグリコール成分として二塩基酸と反応させ、不飽和ポリエステルを再合成するケミカルリサイクルでは、上記同様、グリコール分解物のOH基の定量ならびにそれと当モルの二塩基酸を反応させることは困難であった。
【0013】
またこの場合においても、分解に用いるグリコール量は廃棄物を浸らせる量が必要であることから、廃棄樹脂とほぼ同量のグリコールが必要となり、このグリコールに当モルの二塩基酸を反応させ再生不飽和ポリエステルを得た後、さらにこれを30−40%のスチレン溶液とするため、上記同様廃棄不飽和ポリエステル樹脂の約5倍の質量の再生不飽和ポリエステル樹脂が得られてしまうこととなっていた。このため、当該方法によるとリサイクル効率が極めて低かった。
【0014】
それゆえに、この発明の目的は、ポリエステル樹脂廃棄物を簡易な設備で比較的短時間に化学的に処理することにより、工業的に価値のある再生用の原料を得、この原料を精製せずに直接用いて容易に不飽和ポリエステルを再生する方法、すなわちポリエステル樹脂廃棄物を不飽和ポリエステルへケミカルリサイクルする経済的に優れた方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、ポリエステル樹脂廃棄物(飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)を破砕した後、150〜300℃程度で無水マレイン酸等のグリコール付加物により分解し、この分解物を再合成用原料たる樹脂成分として精製せずに用い、不飽和ポリエステル樹脂を再合成しケミカルリサイクルするポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、無水マレイン酸および/または無水イタコン酸のグリコールの付加物を用いて、触媒の存在下または不存在下においてポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程と、を有することを特徴とするポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法を提供するものである。
【0017】
また本発明は、無水マレイン酸および/または無水イタコン酸、ならびに無水フタル酸の混合物のグリコールの付加物を用いて、触媒の存在下または不存在下においてポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程と、を有することを特徴とするポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法を提供している。
【0018】
さらに本発明のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法は、ポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程との両工程を、押出機を用いて行なうことができる。
【0019】
また本発明は、合成された不飽和ポリエステルに、さらに反応性モノマーを添加することにより硬化用不飽和ポリエステルを製造する工程をともなうことを特徴とする、ポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法をも提供している。
【0020】
また本発明のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法におけるポリエステル樹脂廃棄物は、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはこれらの繊維強化プラスチック(FRP)の廃棄物とすることができる。
【0021】
また本発明で使用する装置はその反応槽に、攪拌機、加熱器、冷却器、パーシャルコンデンサ、コンデンサ、原料タンク、薬品注入タンク、濾過器およびポンプを備えたものとすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
<ポリエステル樹脂廃棄物を分解し再合成用の樹脂原料を得る工程>
本発明のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法においては、ポリエステル樹脂廃棄物をまず破砕し、必要ならば洗浄し、ふるいに掛ける前処理を行なうことが好ましい。破砕は衝撃式破砕機(ハンマー式、チェーン式)、せん断式破砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール式、コンベア式、スクリュ式)、スタンプミル、ボールミル、ロッドミル粉砕機等により行なうことができる。
【0023】
当該廃棄物の破砕物の大きさは小さい方が良いが、目の開き20mmのふるいを通る物であれば用いることができる。しかし、好ましくは5mm、さらに好ましくは1mmのふるいを通る破砕物が良い。
【0024】
本発明で用いられるポリエステル樹脂廃棄物のうち飽和ポリエステル樹脂廃棄物としては、ボトル、フィルム、成型品等に用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を構成樹脂とするものが挙げられる。
【0025】
一方不飽和ポリエステル樹脂廃棄物としては、ボタンの打ち抜き屑、削り屑、FRP製品廃棄物などが挙げられ、その構成樹脂としても通常の不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0026】
また、繊維強化プラスチック(FRP)廃棄物としては、上記の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルを構成樹脂とし、そこに各種の強化用の繊維(ガラス繊維、炭素繊維、ケブラ等の耐熱繊維、ビニロン等の有機繊維等)を含んでなる製品の廃棄物が挙げられる。
【0027】
本発明のグリコール付加物を構成するグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0028】
またこれらのグリコールと付加物をつくる酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸を挙げることができ、これらを単独で、あるいはこれらを組合わせてグリコール付加物とすることができる。
【0029】
また、上記の酸無水物とともに無水フタル酸を組合せて用いることにより、グリコール付加物とすることもできる。
【0030】
なお、本発明におけるグリコール付加物の製造方法は、常法に従って製造することができ、特に限定されることはない。
【0031】
また酸無水物とグリコールの組成比も、特に限定されないが、通常前者1モルに対して後者を0.90〜1.20モル、好ましくは前者1モルに対して後者を1.00〜1.10モルの範囲で設定することが好適である。
【0032】
なお、反応温度、時間等の条件によって、この付加物は単量体、二量体、数量体の混合物で得られる場合がある。また、1、2−プロパンジオールの付加物のように1級アルコールで付加する化合物と2級アルコールで付加する化合物の構造異性体の混合物、E、Z−異性体(シス、トランス−異性体)の混合物で得られる場合がある。
【0033】
本発明において、ポリエステル樹脂廃棄物を分解するに際し、ポリエステル樹脂廃棄物と、これを分解するために用いる無水マレイン酸等のグリコール付加物との質量比は、1:0.2〜5、好ましくは1:0.5〜1.5である。この比を変えることにより、不飽和度、すなわち硬化前のオリゴマー分子に占めるC=C二重結合の割合を変えることができる。この比を小さくするとC=C二重結合の割合が小さくなり、大きくするとC=C二重結合の割合が大きくなる。C=C二重結合の割合が大きいとスチレン等の反応性モノマーで架橋させた硬化物の硬化密度が高く、一般に硬くなる。
【0034】
また、この比を小さくすると、再生樹脂に占める廃棄樹脂量が大きく、廃棄樹脂を効率良くリサイクルできる。
【0035】
また上記分解に用いられる触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムなどの酢酸金属塩、酸化アンチモン、チタンアルコキシド、トリブチル錫メトキシドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
なお、アルカリ触媒を用いた場合、その中和には硫酸、塩酸等が用いられる。
一方上記分解は、無触媒下、すなわち上記の触媒を用いることなく行なうこともできる。
【0037】
本発明におけるポリエステル樹脂廃棄物の分解温度は、150℃〜300℃程度が必要であり、より好ましくは200℃〜300℃とすれば、分解速度も速くなり好適である。
【0038】
一方本発明における分解は、窒素下で行なう方が酸化反応による着色等が防げるために望ましい。この点、酸化防止剤や重合禁止剤を少量用いることが好ましい。
【0039】
さらにかかる分解は、大気圧下あるいは加圧下で行なうことができる。
<不飽和ポリエステルを合成する工程>
本発明では、上記で得られた分解物を樹脂原料とし、これを精製せずに直接縮合させて不飽和ポリエステルを再生する。不飽和ポリエステルの再生は、反応温度を140℃〜230℃で行ない、たとえば210℃で1〜4時間、窒素下で水を留去しながら縮合させることによって行なうことができる。
【0040】
上記再生の際に、酢酸カルシウムや三酸化アンチモン等のエステル交換触媒を加えても良い。
【0041】
このケミカルリサイクルは、上述のごとく精製工程を必要とせずに、また多少の水分が有っても支障無く行なえる。また着色樹脂や汚れの付着した樹脂も不飽和ポリエステルに再生してレジンコンクリート等に用いることができる。さらにPP、PEなどの異種樹脂が混入している場合であっても濾過装置などを用いることにより容易に除去することができる。
【0042】
そして、上記のようにして得られた再生不飽和ポリエステルは、通常冷却後にスチレン等の反応性モノマーを30%〜40%入れ、さらに重合禁止剤としてハイドロキノンなどを100ppm程度加えることにより、硬化用の不飽和ポリエステル樹脂とすることができる。
【0043】
上記の反応性モノマーとしては、不飽和ポリエステルのC=C二重結合と共重合可能なスチレン、メタクリル酸メチル、ビニルトルエン、酢酸ビニル等のビニルモノマーやジアリルフタレート類などを挙げることができる。
【0044】
そして、重合開始剤の存在下、これらの反応性モノマーの作用により、上記再生不飽和ポリエステル樹脂を架橋させて、フィラーの入った、またはフィラーの入っていない硬化不飽和ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0045】
上記フィラーとしては、当該再生樹脂が用いられる用途に応じて従来公知のフィラーを任意に選択すればよく、特に限定されるものではない。
【0046】
<分解および合成装置>
一方、本発明に用いられる分解および合成装置としては、図1の装置が用いられる。もちろん加圧下でも反応を行なうことが出来る。図1に示す装置は、分解、合成、スチレン等の反応性モノマーの混合を1つの反応槽で行なう装置であるが、設置場所があれば分解および合成とスチレン等の反応性モノマーの混合とを別の反応槽で行なっても良い。
【0047】
図1に示す装置は、ステンレス製の反応容器1、上部に廃棄樹脂用の第3のタンク4、分解触媒、無水マレイン酸、グリコール等薬品を注入する第1のタンク2、第2のタンク3、分解液用の第4のタンク13、禁止剤、スチレン等の反応性のモノマー、低収縮剤等の薬品注入用の第5のタンク14、第6のタンク15、第7のタンク16、を備え、窒素流入管18、パーシャルコンデンサ9、コンデンサ7、受器8、攪拌羽根6、攪拌機モータ20を備えている。加熱、冷却は熱媒ボイラ5によって行なう。分解後は反応容器下部の取出口10のバルブ11を開け、濾過器12により、未反応物等を分離する。分解液はポンプ17で第4のタンク13に送り、再合成に用いる。あるいは濾過後に直接反応容器に戻すこともできる。また濾過が必要でない場合には、そのまま反応容器内で再合成する。再合成樹脂は再生不飽和ポリエステル樹脂タンク19に蓄える。
【0048】
本発明のステンレス製の反応容器は、ガラス製の反応容器に比してアルカリに強く、より高温で使用することができる。そして加圧下でも使用できる。また攪拌のトルクが大きく、廃棄物に対する無水マレイン酸等のグリコール付加物の割合を大きくできる。
【0049】
本発明の押出機としては、減圧ポンプを備えた単軸押出機、好ましくは、二軸混練押出機(同方向、逆方向)を用いることができる。そして、L/D値が大きく滞留時間が長い方がよい。また、反応容器の場合より20℃程度温度を高くして処理することが好ましく、ニーダーなどの混練機を用いることもできる。
【0050】
<作用>
従来、ポリエステル樹脂廃棄物のグリコールによる分解では、飽和ポリエステル樹脂では240℃で、不飽和ポリエステル樹脂では290℃で、それぞれ2時間を要し、1日に2回分解を行なっていた。一方、不飽和ポリエステル樹脂の合成には150℃で1時間加熱した後さらに210℃で4〜7時間の加熱を要し、1日に1回合成できるに過ぎなかった。
【0051】
これに対して本発明の方法によれば、無水マレイン酸等のグリコール付加物の合成に110℃で30分間、つづいて樹脂の分解に飽和ポリエステル樹脂では240℃で、不飽和ポリエステル樹脂では290℃で、それぞれ1〜2時間を要し、次いで再合成に210℃で2時間を要することとなるので、従来法に比し所要時間を大幅に短縮でき、全工程を1日で十分に行うことができるようになった。しかも、ワンポットで、分解から再合成まで行なえ非常に経済的である。
【0052】
また本発明においては、無水マレイン酸等のグリコール付加物によるポリエステル樹脂廃棄物の分解物が、分子の片末端にヒドロキシ基、もう一方の片末端にカルボキシ基を有する化合物となるため、精製せずに樹脂原料として用いることができる。
【0053】
さらに一分子にヒドロキシ基とカルボキシ基を1つづつ有するためにグリコールと二塩基酸の反応の場合のようにモル比を合わす必要はない。したがって無水マレイン酸等のグリコール付加物による分解物のヒドロキシ基の定量は必要とされず、従来困難とされていた不飽和ポリエステルの再生を極めて容易に行なうことができるようになった。
【0054】
このように本発明によるポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法およびその装置によれば、廃棄樹脂を150〜300℃程度の比較的低温で分解し、これを再合成用の樹脂原料として精製せずに直接縮合反応させ、不飽和ポリエステル樹脂を再生することができる。
【0055】
すなわち、無水マレイン酸のグリコール付加物(マレイン酸あるいはフマル酸−グリコール縮合物)、無水イタコン酸のグリコール付加物(イタコン酸−グリコール縮合物)またはこれらと無水フタル酸とのグリコール付加物(フタル酸−グリコール縮合物)等によりポリエステル樹脂廃棄物(飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)を分解し、そしてこの分解物を精製せずに、そのまま脱水、縮合反応させ、不飽和ポリエステル樹脂を得る。
【0056】
したがって、本発明は、グリコールよりも高沸点の付加物での分解となり分解時の圧力も従来法よりは低く、ポリエステル樹脂廃棄物の分解および不飽和ポリエステル樹脂の合成を一装置(ワンポット)で且つ短時間で行なうことができることから、非常に経済的な再利用方法を提供した点においてその産業上の利用性は極めて大きいといえる。
【0057】
さらに本発明の方法によれば、従来法で行なわれていたグリコールでの分解後にOH基の定量を行なう作業、ならびにそれと当モルの二塩基酸を縮合させる工程を省略できるという利点をも有する。
【0058】
またさらに本発明の方法によれば、従来法に比し再生樹脂に占める廃棄物量の割合が高くなることから、リサイクル効率が非常に高くなり、また高分子量で且つ高品質の再生樹脂が得られるという利点をも有する。
【0059】
以下に、グリコール分解による従来法(以下単に従来法と記す)と本発明の再利用方法(以下単に本法と記す)を具体的に比較し、本発明の作用をより一層明らかにする。
【0060】
<事例1>
まず、ポリエステル樹脂廃棄物が飽和ポリエステル樹脂廃棄物(以下単にPET廃棄物と記す)の場合を例示する。
【0061】
従来法においては、たとえば192gのPET廃棄物(1グラム当量)を192gのプロピレングリコール(2.52モル)で分解すると384gの分解物が得られることとなる。
【0062】
続いてこの384gの分解物に対して、前記のプロピレングリコールと等モルの酸無水物、すなわち224gの無水フタル酸(1.51モル)と99gの無水マレイン酸(1.01モル)を用いて脱水縮合させることにより、662gの不飽和ポリエステル樹脂が再生するとともに45gの水(2.52モル)が生じる。
【0063】
そしてこの662gの不飽和ポリエステル樹脂を30%のスチレン溶液(284gのスチレンを使用)とすると、結局のところ合計946gの再生樹脂が得られ当初のPET廃棄物の質量に対して4.93倍の質量となる。
【0064】
これに対して本法においては、たとえば上記と同量の192gのPET廃棄物(1グラム当量)に対して無水マレイン酸のプロピレングリコール付加物の量は0.67モル(111g)で足り、これを分解の後脱水縮合させると291gの不飽和ポリエステル樹脂が再生するとともに12gの水(0.67モル)が生じる。
【0065】
そしてこの291gの不飽和ポリエステル樹脂を30%のスチレン溶液(125gのスチレンを使用)とすると、結局のところ合計416gの再生樹脂が得られ当初のPET廃棄物の質量に対して2.17倍の質量にしかならない。
【0066】
したがって、本法は従来法に比し著しくリサイクル効率が向上したものとなる。
【0067】
<事例2>
次に、ポリエステル樹脂廃棄物が不飽和ポリエステル樹脂廃棄物((プロピレングリコール単位)0.25−(フタル酸単位)0.30−(エチレングリコール単位)0.25−(フマル酸にスチレン二分子付加した単位)0.20の組成の不飽和ポリエステル樹脂の廃棄物、以下単にUPES廃棄物と記す)の場合を例示する。
【0068】
従来法においては、たとえば131gのUPES廃棄物(0.25グラム当量)を131gのエチレングリコール(2.11モル)で分解すると262gの分解物が得られることとなる。
【0069】
続いてこの262gの分解物に対して前記のエチレングリコールと等モルの酸無水物、すなわち188gの無水フタル酸(1.27モル)と83gの無水マレイン酸(0.84モル)を用いて脱水縮合させると、495gの不飽和ポリエステル樹脂が再生するとともに38gの水(2.11モル)が生じる。
【0070】
そしてこの495gの不飽和ポリエステル樹脂を30%のスチレン溶液(212gのスチレンを使用)とすると、結局のところ合計707gの再生樹脂が得られ当初のUPES廃棄物の質量に対して5.40倍の質量となる。
【0071】
これに対して本法においては、たとえば上記と同量の131gのUPES廃棄物(0.25グラム当量)に対して無水マレイン酸と無水フタル酸のエチレングリコール付加物の量は133g(無水マレイン酸0.50モル、無水フタル酸0.25モル、エチレングリコール0.75モル)で足り、これを分解の後脱水縮合させると250gの不飽和ポリエステル樹脂が再生するとともに14gの水(0.75モル)が生じる。
【0072】
そしてこの250gの不飽和ポリエステル樹脂を30%のスチレン溶液(107gのスチレンを使用)とすると、結局のところ合計357gの再生樹脂が得られ当初のUPES廃棄物の質量に対して2.73倍の質量にしかならない。
【0073】
したがって、UPES廃棄物の場合においても本法は従来法に比し、著しくリサイクル効率が向上したものとなる。
【0074】
ここで、上記において通常はフタル酸:マレイン酸=6:4であるが、フタル酸(廃棄物中0.3モル+分解に加えた0.25モル、計0.55モル):マレイン酸=0.55:0.50となっている。
【0075】
PET廃棄物の方は理論量であり、これ以上再生樹脂量を減少させられない。しかしUPES廃棄物の方は、スチレン架橋部分が存在するため、理論量より再生樹脂量はやや多くなつている。230℃以下でエステル部分を分解し、次いで230℃以上でスチレン架橋部分を分解するなど処理方法を工夫すれば、再生樹脂に占めるUPES廃棄物量をさらに増加させることができる。
【0076】
無水マレイン酸のグリコール付加物のC=C二重結合はハイドロキノン等の重合禁止剤を添加すれば、高温処理にもかかわらず、壊れずに存在する。
【0077】
PET廃棄物を無水マレイン酸のプロピレングリコール付加物で分解するのは、プロピレングリコール成分を導入すると再生樹脂がスチレンに溶解し易くなるためである。PET廃棄物のテレフタル酸単位はフタル酸単位とみなし、新たにフタル酸成分は加えなくてよい。
【0078】
UPES廃棄物では、プロピレングリコール成分は廃棄物中にあるので、エチレングリコール付加物を用いればよい。フタル酸成分も廃棄物中に存在するが、少量加えて、再生樹脂に占めるC=C二重結合の割合を調整する。
【0079】
従来法のPET廃棄物のグリコール分解では240℃、2時間で、圧は0.6MPa以上になった。そして不飽和ポリエステルへの合成は210℃、4〜7時間を要した。これに対して本法の無水マレイン酸のプロピレングリコール付加物による分解では、240℃、1時間で、圧は0.2MPaであった。そして、210℃、2時間で不飽和ポリエステルを再生することができるため、ワンポットで従来法より高分子量の不飽和ポリエステルを得ることができる。
【0080】
なお、これらの再生不飽和ポリエステル樹脂は成形材料、接着剤、塗料などとして使用される。
【0081】
再生樹脂の成形には、通常用いられるハンドレイアップ成形、遠心ドラム法成形、圧縮成形、注型成形、射出成形、トランスファ成形等が用いられる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
以下の実施例では、特に記さない場合はポリエステル樹脂廃棄物をロータリーカッターミル、(株)ホーライ製Granulaters U−140によって粒径5mmに破砕した試料を用いた。
【0084】
(実施例1)
本実施例は、無水マレイン酸のプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)付加物によるPET廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0085】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、プロピレングリコール38.05g(0.5モル)、無水マレイン酸49.03g(0.5モル)、ハイドロキノン0.02g(100ppm)を入れ、150℃で30分間、40rpmで攪拌しながら反応させ、無色、固体の生成物を得た。
【0086】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、ピーク1、数平均分子量=280、重量平均分子量=287、重量平均分子量/数平均分子量=1.03、ピーク2、数平均分子量=590、重量平均分子量=650、重量平均分子量/数平均分子量=1.10、全体ピーク、数平均分子量=418、重量平均分子量=511、重量平均分子量/数平均分子量=1.22であった。
【0087】
またFT−IR測定を行なったところ、2982.62cm−1(メチル基)、1721.61cm−1(エステル基)、1643.51cm−1(C=C二重結合)、1454.24cm−1(メチル、メチレン基)、1386.74cm−1(メチル基)、1266.82cm−1、1166.68cm−1、1074.83cm−1、982.56cm−1、830.16cm−1、778.79cm−1などの吸収が存在した。
【0088】
以上の結果により、無水マレイン酸のプロピレングリコール付加物が得られていることを確認した。
【0089】
<PET廃棄物の分解>
次いでPETボトル破砕物96.11g(エチレンテレフタレート単位0.5グラム当量)を上記反応装置に入れ、窒素で空気を置換し、240℃で1時間、600rpmで攪拌しながら反応した。圧は0.2MPaであった。
【0090】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=928、重量平均分子量=1622、重量平均分子量/数平均分子量=1.75であった。
【0091】
またFT−IR測定を行なったところ、3077.83cm−1(フェニル基)、2963.41cm−1(メチル基)、1725.88cm−1(エステル基)、1646.41cm−1(C=C二重結合)、1578.12cm−1(フェニル基)、1506.65cm−1(フェニル基)、1452.50cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1406.10cm−1、1269.75cm−1、1161.00cm−1、1109.57cm−1、1021.70cm−1、980.69cm−1、876.97cm−1、778.65cm−1、729.50cm−1などの吸収が存在した。
【0092】
以上の結果により、PET(ポリエチレンテレフタレート)が分解されていることを確認した。
【0093】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、上記反応装置にハイドロキノン0.02g(100ppm)を追加し、窒素を吹き込みながら、200rpmで攪拌下210℃で2時間脱水縮合させた。なお1時間反応後に、攪拌回転数を800rpmに上げ、窒素流量を増加した。
【0094】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=3148、重量平均分子量=8797、重量平均分子量/数平均分子量=2.79であった(因みに市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26である)。
【0095】
またFT−IR測定を行なったところ、3079.60cm−1(フェニル基)、2982.28cm−1(メチル基)、2892.13cm−1(メチル基)、1723.65cm−1(エステル基)、1647.14cm−1(C=C二重結合)、1577.41cm−1(フェニル基)、1506.35cm−1(フェニル基)、1455.04cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1407.98cm−1、1254.65cm−1、1156.23cm−1、1101.96cm−1、977.51cm−1、873.38cm−1、774.56cm−1、728.26cm−1などの吸収が存在した。
【0096】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生されていることを確認した。
次いで、上記再生物に74.7gのスチレンおよびBHT(2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール)0.03g(100ppm)を加え、30%スチレン溶液248gを得た。
【0097】
以上の結果、廃PET96.11gに対して2.59倍の質量の再生樹脂が得られた。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は140.5MPa(市販品92.1MPa)であった。耐衝撃強度、耐加水分解性も大きかった。
【0098】
(比較例1)
本比較例は、PET廃棄物のプロピレングリコールによる分解ならびに不飽和ポリエステル樹脂の再合成に関する。
【0099】
PETボトル破砕物150kg(エチレンテレフタレート単位780.4グラム当量)、プロピレングリコール135kg(1774モル)、ジエチレングリコール15kg(141.3モル)を500リットル反応容器(攪拌機付き、耐圧0.7MPa)に入れ、240℃で2時間処理した。分解率は100%であった。OH基価は5.441グリコールモル/kg、圧0.6MPaであった。
【0100】
得られた分解物295.53kg(1608グリコールモル)に、無水マレイン酸141.9kg(1447.2モル)と無水フタル酸23.82kg(160.8モル)を加え、窒素気流下で150℃で1時間反応させた後さらに210℃に加熱し2時間反応させた。
【0101】
当初の酸価は66.40KOHmg/gであったところ、210℃で4時間反応後には酸価が58.74KOHmg/g、210℃で6時間後には酸価が52.49KOHmg/gとなった。
【0102】
そして7時間反応後において不飽和ポリエステル432.31kgが得られた。この生成物についてGPC分析したところ、得られた不飽和ポリエステルの数平均分子量=1622、重量平均分子量=4749、重量平均分子量/数平均分子量=2.93であった。
【0103】
次いで上記生成物にスチレン185.3kgを加え、スチレン30%の不飽和ポリエステル樹脂617.6kgを得た。なお、上記重量は実測値であるので、理論量よりは多少のロスが認められた。
【0104】
以上の結果、PET廃棄物150kgに対して、4.12倍の質量の再生樹脂が得られた。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は90.5MPa(市販品92.1MPa)であった。
【0105】
上記の結果を実施例1の結果と比較すると、リサイクル効率が低下しているとともに再生樹脂の成形物の強度も劣っていることが分かる。
【0106】
(実施例2)
本実施例は、無水マレイン酸および無水フタル酸のエチレングリコール付加物による不飽和ポリエステル樹脂廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0107】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、エチレングリコール46.55g(0.75モル)、無水マレイン酸49.03g(0.5モル)、無水フタル酸37.05g(0.25モル)を入れ、120℃で30分間、80rpmで攪拌しながら反応させ、無色、固体の生成物を得た。
【0108】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、ピーク1、数平均分子量=223、重量平均分子量=228、重量平均分子量/数平均分子量=1.02、ピーク2、数平均分子量=404、重量平均分子量=422、重量平均分子量/数平均分子量=1.05、全体ピーク、数平均分子量=288、重量平均分子量=324、重量平均分子量/数平均分子量=1.13であった。
【0109】
またFT−IR測定を行なったところ、3059.67cm−1(フェニル基)、2958.95cm−1(メチル基)、1723.07cm−1(エステル基)、1642.81cm−1(C=C二重結合)、1486.75cm−1(メチレン基)、1446.88cm−1(メチル基)、1408.69cm−1、1285.00cm−1、1170.11cm−1、1075.43cm−1、1037.76cm−1、979.10cm−1、882.95cm−1、822.21cm−1、747.24cm−1、709.33cm−1などの吸収が存在した。
【0110】
以上の結果により、無水マレイン酸および無水フタル酸のエチレングリコール付加物が得られていることを確認した。
【0111】
<不飽和ポリエステル樹脂廃棄物の分解>
次いで、不飽和ポリエステル樹脂廃棄物であるボタン打ち抜き屑破砕物(粒径1mm程度)131.25g((プロピレングリコール単位)0.25−(フタル酸単位)0.30−(エチレングリコール単位)0.25−(フマル酸にスチレン二分子付加した単位)0.20の組成の不飽和ポリエステル樹脂単位0.25グラム当量)、ハイドロキノン0.26g(1000ppm)、水酸化ナトリウム0.8g(0.02モル)をそれぞれ上記装置に入れ、窒素で空気を置換し、270℃〜290℃で1時間、800rpmで攪拌しながら分解した。圧は4.8MPaであった。
【0112】
このようにして得られた生成物は、褐色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=787、重量平均分子量=10475、重量平均分子量/数平均分子量=13.3であった。
【0113】
またFT−IR測定を行なったところ、2933.58cm−1(メチレン基)、2881.64cm−1(メチル基)、1727.72cm−1(エステル基)、1646.00cm−1(C=C二重結合)、1601.11cm−1(フェニル基)、1583.47cm−1(フェニル基)、1554.22cm−1(フェニル基)、1491.37cm−1(フェニル基)、1451.00cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1375.56cm−1、1281.61cm−1、1126.63cm−1、1073.61cm−1、885.66cm−1、748.38cm−1、712.67cm−1などの吸収が存在した。
【0114】
以上の結果により、不飽和ポリエステル樹脂が分解されていることを確認した。
【0115】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、硫酸0.98g(0.01モル)で中和し、窒素を吹き込みながら200rpmで攪拌下210℃で1.5時間脱水縮合させた。なお1時間反応後に、攪拌回転数を1000rpmに上げ、窒素流量を増加した。
【0116】
このようにして得られた生成物は、褐色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=1090、重量平均分子量=94482、重量平均分子量/数平均分子量=86.69であった(因みに市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26であった)。
【0117】
またFT−IR測定を行なったところ、3062.69cm−1(フェニル基)、3027.71cm−1(フェニル基)、2929.71cm−1(メチル基)、1727.87cm−1(エステル基)、1646.00cm−1(C=C二重結合)、1600.63cm−1(フェニル基)、1583.51cm−1(フェニル基)、1491.23cm−1(フェニル基)、1450.71cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1374.36cm−1、1281.00cm−1、1124.65cm−1、1072.75cm−1、904.00cm−1、748.13cm−1、711.74cm−1などの吸収が存在した。
【0118】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生されていることを確認した。
次いで、上記再生物に107.6gのスチレンおよびBHT0.04g(100ppm)を加え、30%スチレン溶液358gを得た。
【0119】
以上の結果、不飽和ポリエステル樹脂廃棄物131.25gに対して、2.73倍の質量の再生樹脂が得られた。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は135.5MPa(市販品92.1MPa)であった。耐衝撃強度、耐加水分解性も大きかった。
【0120】
(実施例3)
本実施例は、無水マレイン酸および無水フタル酸のエチレングリコールおよびプロピレングリコール付加物による不飽和ポリエステル樹脂(FRP)廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0121】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、エチレングリコール23.28g(0.375モル)、プロピレングリコール28.54g(0.375モル)、無水マレイン酸49.03g(0.5モル)、無水フタル酸37.05g(0.25モル)を入れ、130℃で20分間、40rpmで攪拌しながら反応させ、無色、固体の生成物を得た。
【0122】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=309、重量平均分子量=349、重量平均分子量/数平均分子量=1.13であった。
【0123】
またFT−IR測定を行ったところ、3060.62cm−1(フェニル基)、2977.65cm−1(メチル基)、1726.41cm−1(エステル基)、1643.37cm−1(C=C二重結合)、1601.68cm−1(フェニル基)、1582.21cm−1(フェニル基)、1490.13cm−1(フェニル基)、1450.35cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1407.24cm−1、1288.23cm−1、1169.29cm−1、1074.30cm−1、1041.89cm−1、981.68cm−1、921.08cm−1、884.59cm−1、823.96cm−1、793.21cm−1、746.39cm−1、706.84cm−1などの吸収が存在した。
【0124】
以上の結果により、無水マレイン酸および無水フタル酸のエチレングリコールおよびプロピレングリコール付加物が得られていることを確認した。
【0125】
<FRP廃棄物の分解>
次いで、浄化槽用FRP(樹脂40%、ガラス繊維30%、炭酸カルシウム30%)廃棄物破砕物(5〜10mm角)131g((プロピレングリコール単位)0.25−(フタル酸単位)0.30−(エチレングリコール単位)0.25−(フマル酸にスチレン二分子付加した単位)0.20の組成の不飽和ポリエステル樹脂単位0.10グラム当量)、ハイドロキノン0.13g(500ppm)を入れ、窒素で空気を置換し、270℃〜280℃で2時間、200rpmで攪拌しながら分解した。圧は6.0MPaであった。
【0126】
このようにして得られた生成物はガラス繊維がばらばらになり、褐色、固体であった。この生成物(可溶分)をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=476、重量平均分子量=1551、重量平均分子量/数平均分子量=3.26であった。
【0127】
またFT−IR測定を行ったところ、3063.14cm−1(フェニル基)、3027.07cm−1(フェニル基)、2959.72cm−1(メチル基)、2932.10cm−1(メチレン基)、1726.88cm−1(エステル基)、1627.36cm−1(C=C二重結合)、1599.72cm−1(フェニル基)、1579.90cm−1(フェニル基)、1534.14cm−1(フェニル基)、1490.47cm−1(フェニル基)、1450.85cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1408.59cm−1、1376.49cm−1、1282.56cm−1、1129.01cm−1、1074.19cm−1、958.87cm−1、870.20cm−1、839.85cm−1、752.14cm−1、703.74cm−1などの吸収が存在した。
【0128】
以上の結果により、不飽和ポリエステル樹脂が分解されていることを確認した。
【0129】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、上記反応装置に窒素を吹き込みながら、400rpmで攪拌下190℃で0.5時間脱水縮合反応させることにより褐色、固体の生成物を得た。
【0130】
このようにして得られた生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=661、重量平均分子量=5573、重量平均分子量/数平均分子量=8.43(市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26)であった。
【0131】
またFT−IR測定を行ったところ、3063.69cm−1(フェニル基)、3027.15cm−1(フェニル基)、2928.49cm−1(メチレン基)、1727.48cm−1(エステル基)、1627.36cm−1(C=C二重結合)、1598.28cm−1(フェニル基)、1574.93cm−1(フェニル基)、1535.30cm−1(フェニル基)、1490.35cm−1(フェニル基)、1450.90cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1430.47cm−1、1411.40cm−1、1371.40cm−1、1282.20cm−1、1134.24cm−1、1074.43cm−1、957.88cm−1、869.47cm−1、838.00cm−1、794.72cm−1、754.74cm−1、704.14cm−1などの吸収が存在した。
【0132】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生されていることを確認した。
次いで、上記再生物に118.3gのスチレンおよびBHT0.05g(200ppm)を加え、40%(樹脂分に対して)スチレン溶液374gを得た。
【0133】
以上の結果、FRP樹脂廃棄物131gに対して、2.86倍の質量の再生樹脂が得られた。
【0134】
(実施例4)
本実施例は、グリコール付加物として無水マレイン酸にビスフェノールAエチレンオキシド4モル付加物を付加させた化合物によるPET廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0135】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、ビスフェノールAエチレンオキシド4モル付加物(高粘度液体)126.4g(0.4モル)、無水マレイン酸39.22g(0.4モル)を入れ、120℃で30分間、40rpmで攪拌しながら反応させ、無色、固体の生成物を得た。
【0136】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=747、重量平均分子量=849、重量平均分子量/数平均分子量=1.13であった。
【0137】
またFT−IR測定を行なったところ、3044.55cm−1(フェニル基)、2963.59cm−1(メチル基)、2933.76cm−1(メチレン基)、2878.14cm−1(メチル基)、1731.17cm−1(エステル基)、1639.04cm−1(C=C二重結合)、1610.49cm−1(フェニル基)、1509.60cm−1(フェニル基)、1456.38cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1413.51cm−1、1360.34cm−1、1290.97cm−1、1247.20cm−1、1180.06cm−1、1132.61cm−1、1062.51cm−1、973.80cm−1、929.44cm−1、889.45cm−1、831.61cm−1、756.28cm−1、732.96cm−1などの吸収が存在した。
【0138】
以上の結果により、無水マレイン酸にビスフェノールAエチレンオキシド4モル付加物が付加した化合物が得られていることを確認した。
【0139】
<PET廃棄物の分解>
次いでPETボトル破砕物115.33g(エチレンテレフタレート単位0.6グラム当量)、ハイドロキノン0.03g(100ppm)を入れ、窒素で空気を置換し、240℃で40分間、600rpmで攪拌しながら反応した。圧は0.2MPaであった。
【0140】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=2195、重量平均分子量=4846、重量平均分子量/数平均分子量=2.21。
【0141】
またFT−IR測定を行なったところ、3061.64cm−1(フェニル基)、2962.96cm−1(メチル基)、1721.08cm−1(エステル基)、1647.07cm−1(C=C二重結合)、1609.85cm−1(フェニル基)、1580.67cm−1(フェニル基)、1510.65cm−1(フェニル基)、1456.93cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1410.52cm−1、1373.03cm−1、1250.51cm−1、1100.88cm−1、977.81cm−1、847.91cm−1、776.34cm−1、729.86cm−1などの吸収が存在した。
【0142】
以上の結果により、PET(ポリエチレンテレフタレート)が分解されていることを確認した。
【0143】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、上記反応装置に窒素を吹き込みながら、400rpmで攪拌下210℃で1時間脱水縮合させた。なお半時間反応後に、攪拌回転数を1000rpmに上げ、窒素流量を増加した。
【0144】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=3385、重量平均分子量=7917、重量平均分子量/数平均分子量=2.34(市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26)であった。
【0145】
またFT−IR測定を行なったところ、3061.24cm−1(フェニル基)、2963.00cm−1(メチル基)、2879.31cm−1(メチル基)、1722.35cm−1(エステル基)、1649.23cm−1(C=C二重結合)、1609.60cm−1(フェニル基)、1581.66cm−1(フェニル基)、1510.39cm−1(フェニル基)、1455.41cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1407.70cm−1、1373.13cm−1、1254.56cm−1、1103.49cm−1、978.20cm−1、874.16cm−1、831.10cm−1、728.74cm−1などの吸収が存在した。
【0146】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生されていることを確認した。
次いで、上記再生物に117.32gのスチレンおよびBHT0.04g(100ppm)を加え、30%スチレン溶液391gを得た。
【0147】
以上の結果、廃PET115.33gに対して、3.39倍の質量の再生樹脂を得た。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は143.5MPa(市販品92.1MPa)であった。耐衝撃強度、耐加水分解性も大きかった。
【0148】
(実施例5)
本実施例は、無水マレイン酸の1,4−シクロヘキサンジオール付加物によるPET廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0149】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、1,4−シクロヘキサンジオール58.08g(0.5モル)、無水マレイン酸49.03g(0.5モル)、ハイドロキノン0.04g(200ppm)を入れ、105℃で1時間、40rpmで攪拌しながら反応させ、無色、固体の生成物を得た。
【0150】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=402、重量平均分子量=468、重量平均分子量/数平均分子量=1.16であった。
【0151】
またFT−IR測定を行なったところ、3056.35cm−1(=CH―基)、2945.40cm−1(メチレン基)、2869.23cm−1(メチレン基)、1727.07cm−1(エステル基)、1639.47cm−1(C=C二重結合)、1449.72cm−1(メチレン基)、1408.53cm−1、1371.67cm−1、1259.73cm−1、1219.31cm−1、1170.66cm−1、1119.99cm−1、1061.73cm−1、1037.40cm−1、966.70cm−1、913.94cm−1、821.37cm−1、734.52cm−1などの吸収が存在した。
【0152】
以上の結果により、無水マレイン酸の1、4−シクロヘキサンジオール付加物が得られていることを確認した。
【0153】
<PET廃棄物の分解>
次いでPETボトル破砕物96.11g(エチレンテレフタレート単位0.5グラム当量)を入れ、窒素で空気を置換し、240℃で1時間20分間、200rpmで攪拌しながら分解した。圧は0.4MPaであった。
【0154】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=817、重量平均分子量=1617、重量平均分子量/数平均分子量=2.00であった。
【0155】
またFT−IR測定を行ったところ、2949.56cm−1(メチレン基)、2873.51cm−1(メチレン基)、1719.03cm−1(エステル基)、1646.97cm−1(C=C二重結合)、1577.21cm−1(フェニル基)、1506.65cm−1(フェニル基)、1450.65cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1410.99cm−1、1372.85cm−1、1273.86cm−1、1158.87cm−1、1103.83cm−1、1037.88cm−1、1017.50cm−1、978.45cm−1、918.10cm−1、876.97cm−1、777.10cm−1、730.93cm−1などの吸収が存在した。
【0156】
以上の結果により、PET(ポリエチレンテレフタレート)が分解されていることを確認した。
【0157】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、上記反応装置に窒素を吹き込みながら、200rpmで攪拌下210℃で1時間脱水縮合させた。なお0.5時間反応後に、窒素流量を増加した。
【0158】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=2052、重量平均分子量=5054、重量平均分子量/数平均分子量=2.46(市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26)であった。
【0159】
またFT−IR測定を行なったところ、3079.60cm−1(フェニル基)、2952.87cm−1(メチレン基)、2873.34cm−1(メチレン基)、1724.49cm−1(エステル基)、1646.84cm−1(C=C二重結合)、1576.80cm−1(フェニル基)、1506.63cm−1(フェニル基)、1450.10cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1410.72cm−1、1371.60cm−1、1271.35cm−1、1156.34cm−1、1101.27cm−1、1016.91cm−1、977.75cm−1、919.27cm−1、875.16cm−1、775.82cm−1、729.95cm−1などの吸収が存在した。
【0160】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生していることを確認した。
次いで、上記再生物に83.2gのスチレンおよびBHT(2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール)0.03g(100ppm)を加え、30%スチレン溶液277gを得た。
【0161】
このようにして廃PET96.11gに対して、2.89倍の質量の再生樹脂を得た。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は135.5MPa(市販品92.1MPa)であった。耐衝撃強度、耐加水分解性も大きかった。
【0162】
(実施例6)
本実施例は、無水イタコン酸のプロピレングリコール付加物によるPET廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0163】
<グリコール付加物の合成>
まず、耐圧硝子工業(株)製TAS−095型反応装置(材質SUS316、容量950ml、最高使用温度300℃、最高使用圧力20MPa)に、プロピレングリコール30.44g(0.4モル)、無水イタコン酸44.83g(0.4モル)、ハイドロキノン0.04g(200ppm)を入れ、110℃で30分間、40rpmで攪拌しながら反応させ、淡黄色、固体の生成物を得た。
【0164】
この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=298、重量平均分子量=322、重量平均分子量/数平均分子量=1.08であった。
【0165】
またFT−IR測定を行なったところ、2977.49cm−1(メチル基)、2938.18cm−1(メチレン基)、1723.02cm−1(エステル基)、1641.16cm−1(C=C二重結合)、1447.28cm−1(メチル基)、1388.18cm−1(メチル基)、1332.67cm−1、1276.66cm−1、1222.86cm−1、1197.54cm−1、1149.36cm−1、1073.77cm−1、1043.80cm−1、1003.92cm−1、968.69cm−1、930.60cm−1、897.18cm−1、835.73cm−1、779.86cm−1、736.20cm−1などの吸収が存在した。
【0166】
以上の結果により、無水イタコン酸のプロピレングリコール付加物が得られていることを確認した。
【0167】
<PET廃棄物の分解>
次いでPETボトル破砕物115.33g(エチレンテレフタレート単位0.6グラム当量)およびハイドロキノン0.02g(100ppm)を入れ、窒素で空気を置換し、240℃で1時間、400rpmで攪拌しながら分解した。圧は0.3MPaであった。
【0168】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=1042、重量平均分子量=2210、重量平均分子量/数平均分子量=2.12であった。
【0169】
またFT−IR測定を行なったところ、3059.37cm−1(フェニル基)、2959.95cm−1(メチル基)、1727.83cm−1(エステル基)、1647.39cm−1(C=C二重結合)、1577.63cm−1(フェニル基)、1505.51cm−1(フェニル基)、1450.69cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1409.48cm−1、1265.01cm−1、1119.99cm−1、1020.20cm−1、978.27cm−1、877.35cm−1、818.48cm−1、781.45cm−1、730.54cm−1などの吸収が存在した。
【0170】
以上の結果により、PET(ポリエチレンテレフタレート)が分解されていることを確認した。
【0171】
<不飽和ポリエステルの再生>
次いで、上記反応装置に窒素を吹き込みながら、400rpmで攪拌下210℃で50分間脱水縮合させた。なお半時間反応後に、攪拌回転数を800rpmに上げ、窒素流量を増加した。
【0172】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=2527、重量平均分子量=6801、重量平均分子量/数平均分子量=2.64(市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26)であった。
【0173】
またFT−IR測定を行なったところ、3059.25cm−1(フェニル基)、2960.47cm−1(メチル基)、2888.69cm−1(メチル基)、1725.81cm−1(エステル基)、1648.10cm−1(C=C二重結合)、1577.86cm−1(フェニル基)、1505.96cm−1(フェニル基)、1453.83cm−1(フェニル、メチル、メチレン基)、1410.77cm−1、1376.09cm−1、1265.82cm−1、1100.34cm−1、1016.46cm−1、874.34cm−1、790.50cm−1、728.83cm−1などの吸収が存在した。
【0174】
以上の結果により、不飽和ポリエステルが再生されていることを確認した。
次いで、上記再生物に78.6gのスチレンを加え、30%スチレン溶液262gを得た。
【0175】
このようにして廃PET115.33gに対して、2.28倍の質量の再生樹脂を得た。この再生樹脂に対してメチルエチルケトンパーオキサイド、ナフテン酸コバルトをそれぞれ1%添加し、プレキュアー30℃で2時間、ポストキュア100℃で2時間の条件で注型成形した。得られた成形物の曲げ強度は133.5MPa(市販品92.1MPa)であった。耐衝撃強度、耐加水分解性も大きかった。
【0176】
(実施例7)
本実施例は、二軸混練押出機を用いた無水マレイン酸のプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)付加物によるPET廃棄物の分解ならびに不飽和ポリエステルの再合成に関する。
【0177】
実施例1で得られたプロピレングリコールの無水マレイン酸付加物(プロピレングリコール76.1g(1モル)、無水マレイン酸98.06g(1モル)、ハイドロキノン0.04g(100ppm)を入れ、150℃で30分間、40rpmで攪拌しながら反応させたもの)174.16gとPETボトル破砕物192.22g(エチレンテレフタレート単位1グラム当量)を混合し、(株)テクノベル製2軸混練押出機KZW15−60MG−WK(L/D=60、スクリュ径φ15mm、同方向回転、減圧ベント2箇所、シリンダー(4ブロック)温度C1〜C8=260℃、ヘッド・ダイスD1=240℃、スクリュ回転数400rpm)で押出した。
【0178】
このようにして得られた生成物は淡黄色、固体であった。この生成物をGPC分析(THF溶媒、40℃、ポリスチレン標準)したところ、数平均分子量=3100、重量平均分子量=8700、重量平均分子量/数平均分子量=2.81(市販品数平均分子量=1646、重量平均分子量=5366、重量平均分子量/数平均分子量=3.26)であった。
【0179】
(実施例8)
本実施例は、ステンレス製装置での分解および再合成に関する。
【0180】
まず、ステンレス製100L反応容器1に、薬品注入タンク2、3よりプロピレングリコール9.52kg(125モル)、無水マレイン酸12.25kg(125モル)を入れ、攪拌羽根6を回転させ攪拌(24rpm)を始める。熱媒ボイラー5により温度を110℃に上げ30分間反応させる。次いでタンク4よりポリエチレンテレフタレートボトル屑24.03kg(エチレンテレフタレート単位125グラム当量)を投入する。そして、薬品注入タンク14より、ハイドロキノン4.4g(100ppm)を入れ、240℃に昇温後、1時間処理した。
【0181】
窒素流入管18より窒素を60L/時で流し、攪拌下(84rpm)加温し、水を留去して210℃で2時間反応させ、その後冷却しBHT6.2g(100ppm)およびスチレン18.68kgを薬品注入タンク15より加え、62.23kgの再生不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0182】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0183】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂(飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)廃棄物から、工業的に有用な樹脂原料を得ることができ、不飽和ポリエステル樹脂に再生することができる。また、このように分解は比較的低い温度で、比較的短時間に、かつ比較的簡単な操作で可能であるので、簡易な設備をもって、ポリエステル樹脂廃棄物の再利用を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリエステル樹脂廃棄物の再利用装置の一例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 反応容器、2 第1のタンク、3 第2のタンク、 4 第3のタンク、5 熱媒ボイラ(加熱器、冷却器)、6 攪拌羽根、7 コンデンサ、8 受器、9 パーシャルコンデンサ(水蒸気を上部に抜き、他の高沸点物を反応容器に戻す)、10 取出口、11 バルブ、12 濾過器、13 第4のタンク、14 第5のタンク、15 第6のタンク、16 第7のタンク、17 ポンプ、18 窒素流入管、19 再生不飽和ポリエステル樹脂タンク、20 攪拌機モータ。

Claims (5)

  1. 無水マレイン酸および/または無水イタコン酸のグリコールの付加物を用いて、触媒の存在下または不存在下においてポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、
    上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程と、
    を有することを特徴とするポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法。
  2. 無水マレイン酸および/または無水イタコン酸、ならびに無水フタル酸の混合物のグリコールの付加物を用いて、触媒の存在下または不存在下においてポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、
    上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程と、
    を有することを特徴とするポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法。
  3. ポリエステル樹脂廃棄物を分解することによって再合成用の樹脂原料を得る工程と、上記で得られた樹脂原料を縮合反応させることにより不飽和ポリエステルを合成する工程との両工程が、押出機を用いて行なわれることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法。
  4. 合成された不飽和ポリエステルに、さらに反応性モノマーを添加することにより硬化用不飽和ポリエステルを製造する工程をともなうことを特徴とする、請求項1、2または3記載のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法。
  5. ポリエステル樹脂廃棄物が飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはこれらの繊維強化プラスチック(FRP)の廃棄物である、請求項1、2、3または4記載のポリエステル樹脂廃棄物の再利用方法。
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