JP3564163B2 - 電気自動車のモータトルク制御装置 - Google Patents
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- B60W—CONJOINT CONTROL OF VEHICLE SUB-UNITS OF DIFFERENT TYPE OR DIFFERENT FUNCTION; CONTROL SYSTEMS SPECIALLY ADAPTED FOR HYBRID VEHICLES; ROAD VEHICLE DRIVE CONTROL SYSTEMS FOR PURPOSES NOT RELATED TO THE CONTROL OF A PARTICULAR SUB-UNIT
- B60W2552/00—Input parameters relating to infrastructure
- B60W2552/15—Road slope
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、バッテリの放電により電圧が低下しても一定のアクセル開度に対して常に一定のトルクが得られる電気自動車のモータトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気自動車においては、走行用モータの制御に、例えば、特開昭62−217805号公報に示されるように、走行用交流モータの目標速度と実際のモータ回転速度とを比較して、目標トルクを設定し走行用交流モータをトルク制御するようなクローズドループ式の制御が多く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなクローズドループ式制御を採用する電気自動車では、オープンループ式制御を採用する電気自動車に比べて複雑な制御系を必要とし、システム全体のコストの高騰を招くばかりでなく、耐久性、信頼性の低下を招く。
【0004】
一方、周知のように、直流モータおよび交流モータでは供給電圧が低下した場合、モータ出力も低下する。
【0005】
すなわち、図6に示すように、電気自動車のバッテリ端子電圧(V)は満充電時の電圧VO に較べ、放電末期の電圧V’はΔVの分だけ低下してしまうため、バッテリからコンバータ等のコントローラを介し直流モータに、あるいは、バッテリからインバータ等のコントローラを介し交流モータに電力が供給される電気自動車では、一定のモータ駆動トルクを得るために、放電末期では満充電時に較べてアクセルペダルをより多く踏込まなければならず、電圧低下によりアクセルフィーリングが損われ、運転者に違和感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複雑な制御系を要することなく、簡単なシステムで、バッテリ電圧が低下しても一定のアクセル開度で常に一定のモータ駆動トルクを得ることができ、耐久性、信頼性の向上が図れ、しかもシステム全体の低コスト化を実現することのできる電気自動車のモータトルク制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため発明による電気自動車のモータトルク制御装置は、車体に設けた勾配検出手段からの検出値に基づいて道路勾配を演算する道路勾配演算部と、車速検出手段により検出した車速に基づいて車両の空気抵抗を演算する空気抵抗演算部と、少なくとも上記道路勾配と上記空気抵抗に基づいて走行抵抗を求める走行抵抗演算部と、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定するトルク指令値演算部と、上記トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求める仮想駆動力演算部と、上記仮想駆動力と上記走行抵抗とを比較し、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じ上記トルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定するアクセル指令値補正部と、上記モータ駆動トルクに応じて走行用モータに出力するモータ駆動回路とを備えることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明は、検出演算した道路勾配と車速に基づき演算した車両の空気抵抗とから走行抵抗を求め、一方、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定する。そして、トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求め、仮想駆動力と走行抵抗とを比較する。そして、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じトルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定する。これにより、バッテリの電圧低下に拘りなく、常に一定のアクセル開度に対して一定のモータ駆動トルクを得ることが可能となって、良好なアクセルフィーリングが得られる。
【0009】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0010】
図1〜図5は本発明の一実施例を示し、図1はモータ制御回路のブロック図、図2は電気自動車の制御系の概略図、図3は前後加速度センサの断面図、図4は電気自動車にかかる加速抵抗と登坂抵抗との説明図、図5は放電深度とアクセル開度との関係を示す特性図である。
【0011】
図2の符号1は電気自動車で、この電気自動車1の前輪軸2にデファレンシャルギヤ3、減速機4を介して走行用モータとして走行用交流モータ5が連設されている。また、この電気自動車1には、運転席の床面に設けたアクセルペダル6に連設して、このアクセルペダル6のアクセル開度を検出するアクセルセンサ7と、スピードメータ(図示せず)等からの信号で車速Vを検出する車速センサ8が配設され、また、上記走行用交流モータ5には、モータ回転数Nを検出する回転数センサ12が併設されている。一方、この電気自動車1の後部にはバッテリ9が搭載されている。
【0012】
さらに、この電気自動車1のホイールベースのほぼ中間で、且つトレッドのほぼ中間の位置に、勾配検出手段の一例である前後加速度センサ10が配設されている。
【0013】
図3に示すように、この実施例で採用する前後加速度センサ10はカンチレバー方式であり、このカンチレバー10aの先端に重錘10bが固設されており、水平状態の車体に対してこの重錘10bが鉛直方向へ指向するように配設するとともに、車体前後方向の加速度Gを感知できる方向に配設されている。
【0014】
ところで、電気自動車の走行抵抗Rは、
R=mg・sinθ(登坂抵抗)+mg・a(加速抵抗) +k1 (転がり抵抗)+K2 V2 (空気抵抗)…(1)
ここで、m:車輛の総質量、g:重力加速度、sinθ:道路勾配、a:無次元(図4参照)、k1 :タイヤによって決定される定数、k2 :車体の形状によって決定される定数、V:車速であるため、加速度aがa=0のとき、すなわち定速走行時の走行抵抗Rは、
R=mg・sinθ+k1 +K2 V2 …(1)’
となる。従って、(1)’式では、道路勾配sinθと車速Vを検出すれば走行抵抗Rが求められることになる。
【0015】
一方、上記前後加速度センサ10では、重錘10bに働く加速抵抗mw ・g・aと、登坂抵抗mw ・g・sinθとの合成成分Aをカンチレバー10aの歪として感知し、端子10c,10dから電気信号出力として出力する。
【0016】
この合成加速度成分Aは、
A[m/s2 ] =(sinθ+a)・g …(2)
である。
【0017】
なお、この前後加速度センサ10内にはオイル10eが封入されており、このオイル10eにより上記カンチレバー10aに対する瞬間的な外力、及びその後の振動を減衰することができる。
【0018】
また、上記電気自動車1にはモータ制御回路11が配設されている。このモータ制御回路11は、図1に示すように、アクセルセンサ7で検出したアクセル開度に対応するトルク指令値TO を設定するトルク指令値演算部20と、上記前後加速度センサ10から出力される上記合成成分Aの信号に混入している車体の振動成分を除去するローパスフィルタ21と、車速センサ8からの車速Vの信号を微分(ΔV/Δt)して前後方向の加速度agを算出する前後加速度演算部22と、この前後加速度演算部22での演算結果に基づいて加速度aの有無を判別する加速度有無判別部23と、上記車速Vに基づいて車体にかかる空気抵抗を求める空気抵抗演算部24と、加速度agがa=0のとき、すなわち定速走行時の上記前後加速度センサ10から出力される上記合成成分Aに基づいて道路勾配sinθを割出す道路勾配演算部25と、変数である上記道路勾配sinθと空気抵抗k2 V2 から加速度agがa=0のときの走行抵抗Rを演算する走行抵抗演算部26と、上記トルク指令値TO と回転数センサ12で検出したモータ回転数N等から求めた車輛固有の値kT とに基づいてアクセル開度に対応する仮想駆動力Fを算出する仮想駆動力演算部27と、この仮想駆動力Fと走行抵抗Rとの比較値F/Rを求める負荷比較部28と、上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として一時記憶するF/R記憶部28aと、上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として上記F/R記憶部28aに一時記憶させると共にこの補正係数により補正してモータ駆動トルクTを演算するトルク指令補正部29と、このモータ駆動トルクTに対応する所定周波数の交流電流を走行用交流モータ5に出力するモータ駆動回路30とで構成されている。
【0019】
次に、上記構成によるモータ制御回路11のモータ駆動トルク制御について説明する。
【0020】
アクセルペダル6を踏むと、アクセルセンサ7からアクセル開度に対応する信号がトルク指令値演算部20へ出力され、このトルク指令値演算部20で上記アクセルペダル6のアクセル開度に対応する、すなわち運転者の所望するトルク指令値TO を演算する。そして、このトルク指令値TO をトルク指令補正部29及び仮想駆動力演算部27へ出力する。
【0021】
一方、車速センサ8からの車速Vを検出する信号は前後加速度演算部22と空気抵抗演算部24へ出力される。
【0022】
前後加速度演算部22では、上記車速Vを微分して前後加速度ag(a・g=ΔV/Δt[m/s2 ] )を演算し、加速度有無判別部23で、前後加速度演算部22で演算した結果に基づいて、現運転状態が過渡運転状態かどうかを判断する。そして、加速度agがa=0のときは、非過渡運転状態、すなわち定速走行と判断する。
【0023】
また、上記空気抵抗演算部24では、上記車速Vの2乗と車体の形状によって決定される定数k2 との積から空気抵抗k2 V2 を演算する。
【0024】
また、前後加速度センサ10から出力された登坂抵抗mw ・g・sinθと加速抵抗mw ・g・aとの合成成分Aの信号は、ローパスフィルタ21により車体の振動成分が除去された後、道路勾配演算部25へ出力される。この道路勾配演算部25では、前述の加速度有無判別部23の判別結果を受け、加速度aがa=0のとき、道路勾配sinθを演算する。
【0025】
すなわち、上記前後加速度センサ8で検出する合成成分Aは、前記(2)式に示す通りであり、加速度agがa=0のときの道路勾配sinθは、
sinθ=A/g …(3)
で求めることができる。なお、バッテリ電圧は放電深度に応じて徐々に低下するため、定速走行時にのみモータ駆動トルク補正演算制御を行って、F/R記憶部28aに記憶してある補正係数F/Rを更新しても実質的に影響はない。
【0026】
そして、走行抵抗演算部26で、上記道路勾配演算部25、上記空気抵抗演算部24の演算結果を受けて、走行抵抗Rを前記(1)’式から演算する。
【0027】
一方、仮想駆動力演算部27では、上記トルク指令値演算部20で演算したトルク指令値TO とモータ回転数Nとを取入れ、このトルク指令値TO を、上記モータ回転数Nと予め設定されているデファレンシャルギヤ3の終減速比、タイヤ半径等で決定される車輛の固有値KT で補正して、アクセル踏込み量に対応するタイヤからの仮想駆動力F(F=KT ・TO )を演算する。
【0028】
そして、負荷比較部28で、運転者の所望する仮想駆動力Fと上記走行抵抗Rとの比較値F/Rを求める。
【0029】
定速走行では、電気自動車1に働く走行抵抗Rとタイヤから出力される実際の駆動力FO とは逆方向の同じ力で釣り合っている。従って、運転者の所望するアクセル踏込み量に対応したトルク指令値TO 通りのモータ駆動トルクによって得られる実際の上記駆動力FO が上記走行用交流モータ5からタイヤに伝達されていれば、FO =F=|R|となる。しかし、バッテリ9の電圧が低下すれば、その分だけ出力が低下するので上記仮想駆動力Fに対して実際の駆動力FO は、F>FO となる。この実際の駆動力FO は、FO =|R|であるため、アクセルペダル一定では、上記仮想駆動力Fと走行抵抗Rとは経時的に、F>|R|の不等関係になる。
【0030】
トルク指令補正部29では、このような上記バッテリ9の電圧低下によるトルクの低下を補償するため、運転者の所望する上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として増加補正して、モータ駆動トルクT(T=TO ・F/R)を算出し、モータ駆動回路30へ出力することで、定速走行時のタイヤに伝達される実際の駆動力FO (=−R)と運転者の所望するトルク指令値TO に対応して出力する仮想駆動力Fとが等しくなるように制御する。
【0031】
そして、モータ駆動回路30では、上記モータ駆動トルクTO に対応する周波数に基づき、スイッチング制御してバッテリ9の電流を所定周波数の三相交流に変換して走行用交流モータ5へ供給する。
【0032】
その結果、アクセル踏込み量に対応したトルク指令値T0がバッテリ9の電圧低下に対応して増加補正され、図5に実線で示すように、バテッリ9の電圧低下に拘りなく、一定のアクセル開度で常に一定のトルクを得ることができ、同図に破線で示すようなバッテリ電圧低下に伴いアクセル開度を相対的に大きくしなければならなかった従来のものに比し、極めて良好なアクセルフィーリングを得ることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限るものではなく、例えば、空気抵抗や仮想駆動力を演算ではなく、マップ検索により設定するようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検出演算した道路勾配と車速に基づき演算した車両の空気抵抗とから走行抵抗を求め、一方、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定する。そして、トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求め、仮想駆動力と走行抵抗とを比較する。そして、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じトルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定するので、バッテリの電圧低下に拘りなく、常に一定のアクセル開度に対して一定のモータ駆動トルクを得ることが可能となり、良好なアクセルフィーリングを得ることができる。
【0035】
また、従来のようにトルク補正のための速度フィードバック、電流フィードバック、及びバッテリ電圧低下補正のための電圧フィードバック等複雑なフィードバック制御系が一切不要であるため、システムが簡単になり、耐久性、信頼性が向上するばかりでなく、システム全体の低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ制御回路のブロック図
【図2】電気自動車の制御系の概略図
【図3】前後加速度センサの断面図
【図4】電気自動車にかかる加速抵抗と登坂抵抗との説明図
【図5】放電深度とアクセル開度との関係を示す特性図
【図6】バッテリの放電特性を示す説明図
【符号の説明】
5…走行用駆動モータ
10…勾配検出手段
24…空気抵抗演算部
25…道路勾配演算部
26…走行抵抗演算部
27…加速駆動力演算部
29…アクセル指令補正部
30…モータ駆動回路
F…仮想駆動力
k2 V2 …空気抵抗
R…走行抵抗
sinθ…道路勾配
T…モータ駆動トルク
TO …トルク指令値
V…車速
【産業上の利用分野】
本発明は、バッテリの放電により電圧が低下しても一定のアクセル開度に対して常に一定のトルクが得られる電気自動車のモータトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気自動車においては、走行用モータの制御に、例えば、特開昭62−217805号公報に示されるように、走行用交流モータの目標速度と実際のモータ回転速度とを比較して、目標トルクを設定し走行用交流モータをトルク制御するようなクローズドループ式の制御が多く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなクローズドループ式制御を採用する電気自動車では、オープンループ式制御を採用する電気自動車に比べて複雑な制御系を必要とし、システム全体のコストの高騰を招くばかりでなく、耐久性、信頼性の低下を招く。
【0004】
一方、周知のように、直流モータおよび交流モータでは供給電圧が低下した場合、モータ出力も低下する。
【0005】
すなわち、図6に示すように、電気自動車のバッテリ端子電圧(V)は満充電時の電圧VO に較べ、放電末期の電圧V’はΔVの分だけ低下してしまうため、バッテリからコンバータ等のコントローラを介し直流モータに、あるいは、バッテリからインバータ等のコントローラを介し交流モータに電力が供給される電気自動車では、一定のモータ駆動トルクを得るために、放電末期では満充電時に較べてアクセルペダルをより多く踏込まなければならず、電圧低下によりアクセルフィーリングが損われ、運転者に違和感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複雑な制御系を要することなく、簡単なシステムで、バッテリ電圧が低下しても一定のアクセル開度で常に一定のモータ駆動トルクを得ることができ、耐久性、信頼性の向上が図れ、しかもシステム全体の低コスト化を実現することのできる電気自動車のモータトルク制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため発明による電気自動車のモータトルク制御装置は、車体に設けた勾配検出手段からの検出値に基づいて道路勾配を演算する道路勾配演算部と、車速検出手段により検出した車速に基づいて車両の空気抵抗を演算する空気抵抗演算部と、少なくとも上記道路勾配と上記空気抵抗に基づいて走行抵抗を求める走行抵抗演算部と、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定するトルク指令値演算部と、上記トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求める仮想駆動力演算部と、上記仮想駆動力と上記走行抵抗とを比較し、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じ上記トルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定するアクセル指令値補正部と、上記モータ駆動トルクに応じて走行用モータに出力するモータ駆動回路とを備えることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明は、検出演算した道路勾配と車速に基づき演算した車両の空気抵抗とから走行抵抗を求め、一方、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定する。そして、トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求め、仮想駆動力と走行抵抗とを比較する。そして、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じトルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定する。これにより、バッテリの電圧低下に拘りなく、常に一定のアクセル開度に対して一定のモータ駆動トルクを得ることが可能となって、良好なアクセルフィーリングが得られる。
【0009】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0010】
図1〜図5は本発明の一実施例を示し、図1はモータ制御回路のブロック図、図2は電気自動車の制御系の概略図、図3は前後加速度センサの断面図、図4は電気自動車にかかる加速抵抗と登坂抵抗との説明図、図5は放電深度とアクセル開度との関係を示す特性図である。
【0011】
図2の符号1は電気自動車で、この電気自動車1の前輪軸2にデファレンシャルギヤ3、減速機4を介して走行用モータとして走行用交流モータ5が連設されている。また、この電気自動車1には、運転席の床面に設けたアクセルペダル6に連設して、このアクセルペダル6のアクセル開度を検出するアクセルセンサ7と、スピードメータ(図示せず)等からの信号で車速Vを検出する車速センサ8が配設され、また、上記走行用交流モータ5には、モータ回転数Nを検出する回転数センサ12が併設されている。一方、この電気自動車1の後部にはバッテリ9が搭載されている。
【0012】
さらに、この電気自動車1のホイールベースのほぼ中間で、且つトレッドのほぼ中間の位置に、勾配検出手段の一例である前後加速度センサ10が配設されている。
【0013】
図3に示すように、この実施例で採用する前後加速度センサ10はカンチレバー方式であり、このカンチレバー10aの先端に重錘10bが固設されており、水平状態の車体に対してこの重錘10bが鉛直方向へ指向するように配設するとともに、車体前後方向の加速度Gを感知できる方向に配設されている。
【0014】
ところで、電気自動車の走行抵抗Rは、
R=mg・sinθ(登坂抵抗)+mg・a(加速抵抗) +k1 (転がり抵抗)+K2 V2 (空気抵抗)…(1)
ここで、m:車輛の総質量、g:重力加速度、sinθ:道路勾配、a:無次元(図4参照)、k1 :タイヤによって決定される定数、k2 :車体の形状によって決定される定数、V:車速であるため、加速度aがa=0のとき、すなわち定速走行時の走行抵抗Rは、
R=mg・sinθ+k1 +K2 V2 …(1)’
となる。従って、(1)’式では、道路勾配sinθと車速Vを検出すれば走行抵抗Rが求められることになる。
【0015】
一方、上記前後加速度センサ10では、重錘10bに働く加速抵抗mw ・g・aと、登坂抵抗mw ・g・sinθとの合成成分Aをカンチレバー10aの歪として感知し、端子10c,10dから電気信号出力として出力する。
【0016】
この合成加速度成分Aは、
A[m/s2 ] =(sinθ+a)・g …(2)
である。
【0017】
なお、この前後加速度センサ10内にはオイル10eが封入されており、このオイル10eにより上記カンチレバー10aに対する瞬間的な外力、及びその後の振動を減衰することができる。
【0018】
また、上記電気自動車1にはモータ制御回路11が配設されている。このモータ制御回路11は、図1に示すように、アクセルセンサ7で検出したアクセル開度に対応するトルク指令値TO を設定するトルク指令値演算部20と、上記前後加速度センサ10から出力される上記合成成分Aの信号に混入している車体の振動成分を除去するローパスフィルタ21と、車速センサ8からの車速Vの信号を微分(ΔV/Δt)して前後方向の加速度agを算出する前後加速度演算部22と、この前後加速度演算部22での演算結果に基づいて加速度aの有無を判別する加速度有無判別部23と、上記車速Vに基づいて車体にかかる空気抵抗を求める空気抵抗演算部24と、加速度agがa=0のとき、すなわち定速走行時の上記前後加速度センサ10から出力される上記合成成分Aに基づいて道路勾配sinθを割出す道路勾配演算部25と、変数である上記道路勾配sinθと空気抵抗k2 V2 から加速度agがa=0のときの走行抵抗Rを演算する走行抵抗演算部26と、上記トルク指令値TO と回転数センサ12で検出したモータ回転数N等から求めた車輛固有の値kT とに基づいてアクセル開度に対応する仮想駆動力Fを算出する仮想駆動力演算部27と、この仮想駆動力Fと走行抵抗Rとの比較値F/Rを求める負荷比較部28と、上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として一時記憶するF/R記憶部28aと、上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として上記F/R記憶部28aに一時記憶させると共にこの補正係数により補正してモータ駆動トルクTを演算するトルク指令補正部29と、このモータ駆動トルクTに対応する所定周波数の交流電流を走行用交流モータ5に出力するモータ駆動回路30とで構成されている。
【0019】
次に、上記構成によるモータ制御回路11のモータ駆動トルク制御について説明する。
【0020】
アクセルペダル6を踏むと、アクセルセンサ7からアクセル開度に対応する信号がトルク指令値演算部20へ出力され、このトルク指令値演算部20で上記アクセルペダル6のアクセル開度に対応する、すなわち運転者の所望するトルク指令値TO を演算する。そして、このトルク指令値TO をトルク指令補正部29及び仮想駆動力演算部27へ出力する。
【0021】
一方、車速センサ8からの車速Vを検出する信号は前後加速度演算部22と空気抵抗演算部24へ出力される。
【0022】
前後加速度演算部22では、上記車速Vを微分して前後加速度ag(a・g=ΔV/Δt[m/s2 ] )を演算し、加速度有無判別部23で、前後加速度演算部22で演算した結果に基づいて、現運転状態が過渡運転状態かどうかを判断する。そして、加速度agがa=0のときは、非過渡運転状態、すなわち定速走行と判断する。
【0023】
また、上記空気抵抗演算部24では、上記車速Vの2乗と車体の形状によって決定される定数k2 との積から空気抵抗k2 V2 を演算する。
【0024】
また、前後加速度センサ10から出力された登坂抵抗mw ・g・sinθと加速抵抗mw ・g・aとの合成成分Aの信号は、ローパスフィルタ21により車体の振動成分が除去された後、道路勾配演算部25へ出力される。この道路勾配演算部25では、前述の加速度有無判別部23の判別結果を受け、加速度aがa=0のとき、道路勾配sinθを演算する。
【0025】
すなわち、上記前後加速度センサ8で検出する合成成分Aは、前記(2)式に示す通りであり、加速度agがa=0のときの道路勾配sinθは、
sinθ=A/g …(3)
で求めることができる。なお、バッテリ電圧は放電深度に応じて徐々に低下するため、定速走行時にのみモータ駆動トルク補正演算制御を行って、F/R記憶部28aに記憶してある補正係数F/Rを更新しても実質的に影響はない。
【0026】
そして、走行抵抗演算部26で、上記道路勾配演算部25、上記空気抵抗演算部24の演算結果を受けて、走行抵抗Rを前記(1)’式から演算する。
【0027】
一方、仮想駆動力演算部27では、上記トルク指令値演算部20で演算したトルク指令値TO とモータ回転数Nとを取入れ、このトルク指令値TO を、上記モータ回転数Nと予め設定されているデファレンシャルギヤ3の終減速比、タイヤ半径等で決定される車輛の固有値KT で補正して、アクセル踏込み量に対応するタイヤからの仮想駆動力F(F=KT ・TO )を演算する。
【0028】
そして、負荷比較部28で、運転者の所望する仮想駆動力Fと上記走行抵抗Rとの比較値F/Rを求める。
【0029】
定速走行では、電気自動車1に働く走行抵抗Rとタイヤから出力される実際の駆動力FO とは逆方向の同じ力で釣り合っている。従って、運転者の所望するアクセル踏込み量に対応したトルク指令値TO 通りのモータ駆動トルクによって得られる実際の上記駆動力FO が上記走行用交流モータ5からタイヤに伝達されていれば、FO =F=|R|となる。しかし、バッテリ9の電圧が低下すれば、その分だけ出力が低下するので上記仮想駆動力Fに対して実際の駆動力FO は、F>FO となる。この実際の駆動力FO は、FO =|R|であるため、アクセルペダル一定では、上記仮想駆動力Fと走行抵抗Rとは経時的に、F>|R|の不等関係になる。
【0030】
トルク指令補正部29では、このような上記バッテリ9の電圧低下によるトルクの低下を補償するため、運転者の所望する上記トルク指令値TO を上記比較値F/Rを補正係数として増加補正して、モータ駆動トルクT(T=TO ・F/R)を算出し、モータ駆動回路30へ出力することで、定速走行時のタイヤに伝達される実際の駆動力FO (=−R)と運転者の所望するトルク指令値TO に対応して出力する仮想駆動力Fとが等しくなるように制御する。
【0031】
そして、モータ駆動回路30では、上記モータ駆動トルクTO に対応する周波数に基づき、スイッチング制御してバッテリ9の電流を所定周波数の三相交流に変換して走行用交流モータ5へ供給する。
【0032】
その結果、アクセル踏込み量に対応したトルク指令値T0がバッテリ9の電圧低下に対応して増加補正され、図5に実線で示すように、バテッリ9の電圧低下に拘りなく、一定のアクセル開度で常に一定のトルクを得ることができ、同図に破線で示すようなバッテリ電圧低下に伴いアクセル開度を相対的に大きくしなければならなかった従来のものに比し、極めて良好なアクセルフィーリングを得ることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限るものではなく、例えば、空気抵抗や仮想駆動力を演算ではなく、マップ検索により設定するようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検出演算した道路勾配と車速に基づき演算した車両の空気抵抗とから走行抵抗を求め、一方、検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定する。そして、トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求め、仮想駆動力と走行抵抗とを比較する。そして、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じトルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定するので、バッテリの電圧低下に拘りなく、常に一定のアクセル開度に対して一定のモータ駆動トルクを得ることが可能となり、良好なアクセルフィーリングを得ることができる。
【0035】
また、従来のようにトルク補正のための速度フィードバック、電流フィードバック、及びバッテリ電圧低下補正のための電圧フィードバック等複雑なフィードバック制御系が一切不要であるため、システムが簡単になり、耐久性、信頼性が向上するばかりでなく、システム全体の低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ制御回路のブロック図
【図2】電気自動車の制御系の概略図
【図3】前後加速度センサの断面図
【図4】電気自動車にかかる加速抵抗と登坂抵抗との説明図
【図5】放電深度とアクセル開度との関係を示す特性図
【図6】バッテリの放電特性を示す説明図
【符号の説明】
5…走行用駆動モータ
10…勾配検出手段
24…空気抵抗演算部
25…道路勾配演算部
26…走行抵抗演算部
27…加速駆動力演算部
29…アクセル指令補正部
30…モータ駆動回路
F…仮想駆動力
k2 V2 …空気抵抗
R…走行抵抗
sinθ…道路勾配
T…モータ駆動トルク
TO …トルク指令値
V…車速
Claims (1)
- 車体に設けた勾配検出手段からの検出値に基づいて道路勾配を演算する道路勾配演算部と、
車速検出手段により検出した車速に基づいて車両の空気抵抗を演算する空気抵抗演算部と、
少なくとも上記道路勾配と上記空気抵抗に基づいて走行抵抗を求める走行抵抗演算部と、
検出したアクセル開度に対応するトルク指令値を設定するトルク指令値演算部と、
上記トルク指令値を車両の固有値により補正して運転者が要求する駆動力である仮想駆動力を求める仮想駆動力演算部と、
上記仮想駆動力と上記走行抵抗とを比較し、走行抵抗の仮想駆動力に対する減少割合に応じ上記トルク指令値を増加補正してモータ駆動トルクを設定するアクセル指令値補正部と、
上記モータ駆動トルクに応じて走行用モータに出力するモータ駆動回路とを備えること
を特徴とする電気自動車のモータトルク制御装置。
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IT1402994B1 (it) * | 2010-11-12 | 2013-09-27 | Campagnolo Tullio | Sistema di regolazione della velocita' di un veicolo |
CN113511211B (zh) * | 2021-05-31 | 2022-09-06 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种基于电动汽车电驱系统的扭振控制方法 |
-
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- 1994-03-01 JP JP03122194A patent/JP3564163B2/ja not_active Expired - Fee Related
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