JP3563345B2 - 送信方法及び送信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線装置及び送信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディジタル移動無線通信方式において準同期検波を行う際のパイロットシンボルの信号点位置に関する方法として、例えば、文献(陸上移動通信用16QAMのフェージングひずみ補償方式)三瓶、電子情報通信学会論文誌B−II、Vol.J−72−B−II、No.1、pp.7−15、1989年1月に記載されているものが知られている。
【0003】
図13に16QAM方式におけるパイロットシンボルの信号点位置を示している。図13において、1301は同相I−直交Q平面における16QAMの信号点を示しており、パイロットシンボルの信号点は1301A,B,CおよびDのいずれかに配置するというように16QAM方式の信号点のうち最大振幅を有する信号点をパイロット信号とし、準同期検波を行う方式が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、準同期検波を行う場合、パイロットシンボルの信号点は信号点振幅が大きいほど復調側で送受信機間の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上するが、ピーク電力対平均送信電力比が増加してしまうため、送信系電力増幅器の電力効率が劣化してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度を向上させ、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性を向上させることで、高感度の受信を行うことができる変調方式の実現を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、変調後の信号におけるピーク電力対平均送信電力比に影響を与えない範囲で、位相変調シンボルの信号点振幅を多値直交振幅変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下とし、位相変調シンボルの信号点を同相軸上または直交軸上に配置するように構成したものである。
【0007】
これにより、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本実施の形態について、図1から図12を用いて説明する。
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。図1において、(a)は送信機であり、送信ディジタル信号101は、直交ベースバンド変調部102に入力され、送信直交ベースバンド信号の同相成分103と直交成分104を出力し、送信無線部105を介して送信信号106をアンテナ107から信号を送信する。(b)は受信機であり、108はアンテナ、109は受信無線部で、受信無線部109はアンテナ108で受信した信号を入力とし、受信直交ベースバンド信号の同相成分110と直交成分111を出力する。
【0010】
振幅歪み量推定部112は、同相成分110と直交成分111を入力とし、振幅歪み量を推定し、振幅歪み量推定信号113を出力する。周波数オフセット量推定部114は同相成分110と直交成分111を入力とし、周波数オフセット量を推定し、周波数オフセット量推定信号115を出力する。準同期検波部116は、同相成分110と直交成分111、および振幅歪み量推定信号113と周波数オフセット量推定信号115を入力とし、準同期検波を行い、受信ディジタル信号117を出力する。
【0011】
図2は、8値以上の多値変調方式の一例である16値振幅位相(16 Amplitude Phase Shift Keying )変調方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図2において、201は16APSK変調方式の信号点である。図3は、BPSK変調方式の同相I−直交Q平面における信号点配置図を示し、図3において、301はBPSK変調方式の信号点である。図4は、16APSK変調シンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0012】
図1、図2、図3および図4を用いて、8値以上の多値変調方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。図2は、同相I−直交Q平面における16APSK変調方式の信号点の配置を示している。
【0013】
このとき、16APSK変調方式の最大信号点振幅をr16APSKとする。図3は、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、BPSK変調方式の信号点振幅をrBPSKとしたとき、rBPSK>r16APSKとなるようにBPSK変調方式の信号点を配置する。図4は16APSK変調シンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのBPSK変調シンボルを挿入する構成である。
【0014】
これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0015】
ここで、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調シンボルの信号点配置は、図3に限ったものではない。そして、Nシンボル中の16APSK変調シンボルとBPSK変調シンボルの構成は図4に限ったものではない。また、8値以上の多値変調方式の例として16APSK変調方式で説明したが、8値以上の多値変調方式はこれに限ったものではない。そして、ルートロールオフフィルタ(ナイキストフィルタ)の周波数特性が(数1)
【0016】
【数1】
Figure 0003563345
【0017】
で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下にしたとき、ピーク電力対平均送信電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。ただし、(数1)において、ωは角周波数、αはロールオフ係数、ω0 はナイキスト角周波数、H(ω)はルートロールオフフィルタの振幅特性とする。
【0018】
以上のように本実施の形態によれば、8値以上の多値変調方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるBPSK変調方式の信号点位置を8値以上の多値変調方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0019】
(実施の形態2)
本実施の形態における無線通信システムの構成概念図は図1のとおりで、実施の形態1と同様である。
【0020】
図5は8値以上の多値QAM方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図5において、501は8値以上の多値QAM方式の信号点である。図3は、BPSK変調方式の同相I−直交Q平面における信号点配置図であり、実施の形態1と同様である。図6は、8値以上の多値QAMシンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0021】
図1、図3、図5および図6を用いて、8値以上の多値QAM方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。図5は、同相I−直交Q平面における8値以上の多値QAM方式の信号点の配置を示している。このとき、8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅をrQAM とする。
【0022】
図3は、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、BPSK変調方式の信号点振幅をrBPSKとしたとき、rBPSK>rQAM となるようにBPSK変調方式の信号点を配置する。図6は8値以上の多値QAMシンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのBPSK変調シンボルを挿入する構成である。
【0023】
これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。ここで、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調シンボルの信号点配置は、図3に限ったものではない。
【0024】
そして、Nシンボル中の8値以上の多値QAMシンボルとBPSK変調シンボルの構成は図6に限ったものではない。そして、ルートロールオフフィルタの周波数特性が、(数1)で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下としたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0025】
特に、8値以上の多値QAM方式の信号点とBPSK変調方式の信号点の配置として、同相I−直交Q平面における8値以上の多値QAM方式の信号点が(数2)
【0026】
【数2】
Figure 0003563345
【0027】
で表され、BPSK変調方式の信号点が(数3)
【0028】
【数3】
Figure 0003563345
【0029】
で表されたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する効果が大きい。
【0030】
ただし、(数2)において、8値以上の多値QAM方式の信号点は(IQAM,QQAM)で表し、mは整数、(a1,b1),(a2,b2),・・・,(am,bm)は1,−1のバイナリ符号、sは定数とする。そして、BPSK変調方式の信号点は(IBPSK,QBPSK)で表し、kは整数、sは定数とする。
【0031】
以上のように本実施の形態によれば、8値以上の多値QAM方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるBPSK変調方式の信号点位置を8値以上の多値QAM方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、BPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0032】
(実施の形態3)
本実施の形態における無線通信システムの構成概念図は図1のとおりで、実施の形態1と同様である。
【0033】
図7は16QAM方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図7において、701は16QAM方式の信号点である。図3は、BPSK変調方式の同相I−直交Q平面における信号点配置図であり、実施の形態1と同様である。図8は、16QAMシンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0034】
図1、図3、図7および図8を用いて、16QAM方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。図7は、同相I−直交Q平面における16QAM方式の信号点の配置を示している。このとき、16QAM方式の最大信号点振幅をr16QAM とする。
【0035】
図3は、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、BPSK変調方式の信号点振幅をrBPSKとしたとき、rBPSK>r16QAM となるようにBPSK変調方式の信号点を配置する。図8は16QAMシンボルとBPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのBPSK変調シンボルを挿入する構成である。
【0036】
これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。ここで、同相I−直交Q平面におけるBPSK変調シンボルの信号点配置は、図3に限ったものではない。そして、Nシンボル中の16QAMシンボルとBPSK変調シンボルの構成は図8に限ったものではない。
【0037】
そして、ルートロールオフフィルタの周波数特性が、(数1)で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、BPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下としたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0038】
特に、16QAM方式の信号点とBPSK変調方式の信号点の配置として、同相I−直交Q平面における16QAM方式の信号点が(数4)
【0039】
【数4】
Figure 0003563345
【0040】
で表され、BPSK変調方式の信号点が(数3)で表されたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する効果が大きい。ただし、(数4)において、16QAM方式の信号点は(I16QAM,Q16QAM) で表し、mは整数、(a1,b1),(a2,b2) は1,−1のバイナリ符号、sは定数とする。
【0041】
以上のように本実施の形態によれば、16QAM方式のなかに、定期的にBPSK変調方式を挿入する変調方式において、BPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるBPSK変調方式の信号点位置を16QAM方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、BPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0042】
(実施の形態4)
本実施の形態における無線通信システムの構成概念図は図1のとおりで、実施の形態1と同様である。
【0043】
図2は8値以上の多値変調方式の一例である16APSK変調方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図2において、201は16APSK変調方式の信号点である。図9は、同相I−直交Q平面において同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点配置図を示し、図9において、901は前記QPSK変調方式の信号点である。図10は、16APSK変調シンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0044】
図1、図2、図9および図10を用いて、8値以上の多値変調方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。
【0045】
図2は、同相I−直交Q平面における16APSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、16APSK変調方式の最大信号点振幅をr16APSKとする。
【0046】
図9は、同相I−直交Q平面における同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、前記QPSK変調方式の信号点振幅をrQPSKとしたとき、rQPSK>r16APSKとなるように前記QPSK変調方式の信号点を配置する。図10は16APSK変調シンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのQPSK変調シンボルを挿入する構成である。
【0047】
これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。ここで、同相I−直交Q平面におけるQPSK変調シンボルの信号点配置は、図9に限ったものではない。そして、Nシンボル中の16APSK変調シンボルとQPSK変調シンボルの構成は図10に限ったものではない。
【0048】
また、8値以上の多値変調方式の例として16APSK変調方式で説明したが、8値以上の多値変調方式はこれに限ったものではない。そして、ルートロールオフフィルタの周波数特性が、(数1)で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下としたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0049】
以上のように本実施の形態によれば、8値以上の多値変調方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるQPSK変調方式の信号点位置を8値以上の多値変調方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0050】
(実施の形態5)
本実施の形態における無線通信システムの構成概念図は図1のとおりで、実施の形態1と同様である。
【0051】
図5は8値以上の多値QAM方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図5において、501は8値以上の多値QAM方式の信号点である。図9は、同相I−直交Q平面において同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点配置図を示し、図9において、901は前記QPSK変調方式の信号点である。図11は、8値以上の多値QAMシンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0052】
図1、図5、図9および図11を用いて、8値以上の多値QAM方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。
【0053】
図5は、同相I−直交Q平面における8値以上の多値QAM方式の信号点の配置を示している。このとき、8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅をrQAM とする。図9は、同相I−直交Q平面における同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、前記QPSK変調方式の信号点振幅をrQPSKとしたとき、rQPSK>rQAM となるように前記QPSK変調方式の信号点を配置する。
【0054】
図11は8値以上の多値QAMシンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのQPSK変調シンボルを挿入する構成である。これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0055】
ただし、8値以上の多値QAM方式の信号点とQPSK変調方式の信号点の配置において、同相I−直交Q平面における8値以上の多値QAM方式の信号点が(数2)で表され、QPSK変調方式の信号点が、
【0056】
【数5】
Figure 0003563345
【0057】
で表されたとき、同相I−直交Q平面において同相軸および直交軸に信号点をもつQPSK変調方式の信号点は、
【0058】
【数6】
Figure 0003563345
【0059】
で表され、このときピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する効果が大きい。しかし、8値以上の多値QAM方式の信号点配置とQPSK変調方式の信号点配置はこれに限ったものではない。
【0060】
ただし、(数5)において、QPSK変調方式の信号点は(IQPSK,QQPSK)で表し、kは整数、sは定数とする。また、(数6)において、同相−直交平面において同相軸および直交軸上に信号点をもつQPSKは(IQPSKR,QQPSKR)とし、nは整数とする。そして、Nシンボル中の8値以上の多値QAMシンボルとQPSK変調シンボルの構成は図11に限ったものではない。
【0061】
また、ルートロールオフフィルタの周波数特性が、(数1)で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下としたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0062】
以上のように本実施の形態によれば、8値以上の多値QAM方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるQPSK変調方式の信号点位置を8値以上の多値QAM方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、QPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値QAM方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0063】
(実施の形態6)
本実施の形態における無線通信システムの構成概念図は図1のとおりで、実施の形態1と同様である。
【0064】
図7は16QAM方式の同相I−直交Q平面における信号点配置を示し、図7において、701は16QAM方式の信号点である。図9は、同相I−直交Q平面において同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点配置図を示し、図9において、901は前記QPSK変調方式の信号点である。図12は、16QAMシンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成の一例を示している。
【0065】
図1、図7、図9および図12を用いて、16QAM方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式について説明する。
【0066】
図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成概念図である。図7は、同相I−直交Q平面における16QAM方式の信号点の配置を示している。このとき、16QAM方式の最大信号点振幅をr16QAM とする。図9は、同相I−直交Q平面における同相軸上および直交軸上に信号点をもつQPSK変調方式の信号点の配置を示している。このとき、前記QPSK変調方式の信号点振幅をrQPSKとしたとき、rQPSK>r16QAM となるように前記QPSK変調方式の信号点を配置する。
【0067】
図12は16QAMシンボルとQPSK変調シンボルのNシンボル内の構成を示したもので、Nシンボル内に1シンボルのQPSK変調シンボルを挿入する構成である。これにより、図1(b)の受信機における周波数オフセット量推定部114における送受信機間の周波数オフセット量推定信号115の推定精度が向上し、また、振幅歪み量推定部112における送受信機間の振幅歪み量推定信号113の推定精度が向上する。それにともない、準同期検波部116の検波精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0068】
ただし、16QAM方式の信号点とQPSK変調方式の信号点の配置において、同相I−直交Q平面における16QAM方式の信号点が(数4)で表され、QPSK変調方式の信号点が、(数5)で表されたとき、同相I−直交Q平面において同相軸および直交軸に信号点をもつQPSK変調方式の信号点は、(数6)で表され、このときピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する効果が大きい。
【0069】
しかし、16QAM方式の信号点配置とQPSK変調方式の信号点配置はこれに限ったものではない。そして、Nシンボル中の16QAMシンボルとQPSK変調シンボルの構成は図12に限ったものではない。また、ルートロールオフフィルタの周波数特性が、(数1)で表されたとき、ロールオフ係数を0.1から0.4にし、QPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下としたとき、ピーク電力対送信平均雑音電力比に影響を与えずに準同期検波を行う際の周波数オフセット量および振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上する。
【0070】
以上のように本実施の形態によれば、16QAM方式のなかに、定期的にQPSK変調方式を挿入する変調方式において、QPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくした変調方式としたものであり、同相−直交平面におけるQPSK変調方式の信号点位置を16QAM方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対送信平均電力比に影響を与えずに、QPSK変調方式の信号点振幅を16QAM方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上し、高感度の受信が行えるという効果を有する。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、BPSK変調方式またはQPSK変調方式の同相−直交平面における信号点位置を8値以上の多値変調方式の最大振幅をとる信号点とは異なる位置に配置することで、ピーク電力対平均送信電力比に影響を与えずに、BPSK変調方式またはQPSK変調方式の信号点振幅を8値以上の多値変調方式の最大信号点振幅より大きくすることで、復調側で準同期検波を行う際の送受信機間の周波数オフセットおよび振幅歪み量の推定精度が向上し、搬送波電力対雑音電力比におけるビット誤り率特性が向上するという高感度の受信が行える有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による無線通信システムの構成概念図
【図2】本発明の一実施の形態による同相I−直交Q平面における16APSK変調方式の信号点配置図
【図3】本発明の一実施の形態による同相I−直交Q平面におけるBPSK変調方式の信号点配置図
【図4】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における16APSK変調シンボルとBPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図5】本発明の一実施の形態による同相I−直交Q平面における8値以上の多値QAM方式の信号点配置図
【図6】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における8値以上の多値QAMシンボルとBPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図7】本発明の一実施の形態による同相I−直交Q平面における16QAM方式の信号点配置図
【図8】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における16QAMシンボルとBPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図9】本発明の一実施の形態による同相I−直交Q平面における同相軸および直交軸に信号点をもつQPSK変調方式の信号点配置図
【図10】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における16APSK変調シンボルとQPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図11】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における8値以上の多値QAMシンボルとQPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図12】本発明の一実施の形態によるNシンボル内における16QAMシンボルとQPSK変調シンボルの構成の一例を示す概念図
【図13】従来の16QAM方式の信号点とパイロットシンボルの信号点との関係を示す信号点配置図
【符号の説明】
101 送信ディジタル信号
102 直交ベースバンド変調部
103 送信系直交ベースバンド信号同相成分
104 送信系直交ベースバンド信号直交成分
105 送信系無線部
106 送信信号
107 送信系アンテナ
108 受信系アンテナ
109 受信無線部
110 受信系直交ベースバンド信号同相成分
111 受信系直交ベースバンド信号直交成分
112 振幅歪み量推定部
113 振幅歪み量推定信号
114 周波数オフセット量推定部
115 周波数オフセット量推定信号
116 準同期検波部
117 受信ディジタル信号
201 16APSK変調方式の信号点
301 BPSK変調方式の信号点
501 8値以上の多値QAMの信号点
701、1301 16QAMの信号点
901 同相I−直交Q平面における同相軸および直交軸に信号点をもつQPSK変調方式の信号点

Claims (4)

  1. 送信ディジタル信号を多値直交振幅変調方式(多値QAM方式)で変調する際、位相変調方式(PSK変調方式)で変調する位相変調シンボルを定期的に挿入する送信方法であって、
    変調後の信号におけるピーク電力対平均送信電力比に影響を与えない範囲で、前記位相変調シンボルの信号点振幅を前記多値直交振幅変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下とし、前記位相変調シンボルの信号点を同相軸上または直交軸上に配置する送信方法。
  2. 送信ディジタル信号を多値直交振幅変調方式(多値QAM方式)で変調する際、復調側において周波数オフセット推定若しくは振幅歪みの推定を行うためのパイロットシンボルの代わりに位相変調方式(PSK変調方式)で変調する位相変調シンボルを定期的に挿入する送信方法であって、
    前記位相変調シンボルの信号点振幅を前記多値直交振幅変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下とし、前記位相変調シンボルの信号点を同相軸上または直交軸上に配置する送信方法。
  3. 送信ディジタル信号を多値直交振幅変調方式(多値QAM方式)で変調し、変調する際に位相変調方式(PSK変調方式)で変調する位相変調シンボルを定期的に挿入する変調手段と、変調後の信号をアンテナから無線送信する送信無線手段とを具備する送信装置であって、
    前記変調手段は、変調後の信号におけるピーク電力対平均送信電力比に影響を与えない範囲で、前記位相変調シンボルの信号点振幅を前記多値直交振幅変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下とし、前記位相変調シンボルの信号点を同相軸上または直交軸上に配置する送信装置。
  4. 送信ディジタル信号を多値直交振幅変調方式(多値QAM方式)で変調し、変調する際に復調側において周波数オフセット推定若しくは振幅歪みの推定を行うためのパイロットシンボルの代わりに位相変調方式(PSK変調方式)で変調する位相変調シンボルを定期的に挿入する変調手段と、変調後の信号をアンテナから無線送信する送信無線手段とを具備する送信装置であって、
    前記変調手段は、前記位相変調シンボルの信号点振幅を前記多値直交振幅変調方式の最大信号点振幅の1.0倍より大きく1.6倍以下とし、前記位相変調シンボルの信号点を同相軸上または直交軸上に配置する送信装置。
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