JP3563039B2 - Its用基地局アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ITS路車間通信システムにおける基地局アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基地局と移動局との間における通信としては、例えば有料道路において、基地局と車両(移動局)との間のITS(Intelligent Transport Systems )による路車間通信がある。
図6は、従来における路車間通信システムを示したものである。図6において、1は道路、2は路側帯であり、この路側帯2の側部に沿って基地局3a、3b、…を所定の間隔で設けている。上記基地局3a、3b、…は、支持柱4a、4b、…の頂部に設けられ、それぞれ基地局アンテナ5a、5b、…を備えている。上記基地局アンテナ5a、5b、…は、道路1上に通信エリアであるセル6a、6b、…所定レベルの電波が放射されるように下方向に所定角度傾けると共に、道路1側に所定角度回転させている。すなわち、基地局アンテナ5a、5b、…を道路1側に向けて斜めに設置することにより、道路1上にセル6a、6b、…を形成し、道路1上を走行する車両7と通信できるようにしている。
【0003】
一方、車両7は、通信装置及び車載アンテナ(図示せず)を備え、この車載アンテナにより各対応する基地局3a、3b、…のアンテナ5a、5b、…と通信を行なう。すなわち、車両7は、道路1上を走行中、例えばセル6aのエリアでは基地局3aと通信し、その後、次のセル6bのエリアに達すると、次の基地局3bと通信する。上記のように車両7は、走行しているセル6a、6b、…に対応した基地局3a、3b、…と順次通信を行なう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の通信システムでは、各基地局3a、3b、…のアンテナ5a、5b、…を道路側に斜めに傾けることによって、セル6a、6b、…をカバーするようにしている。すなわち、基地局アンテナ5a、5b、…下方向に所定角度傾けるだけでなく、更に道路1側に所定角度回転させることによって、セル6a、6b、…上に電波が放射されるようにしている。
【0005】
しかし、上記従来のように基地局アンテナ5a、5b、…を道路1側に機械的に所定角度回転させて設定することは、その角度調整が非常に面倒であり、基地局アンテナ5a、5b、…の設置に時間が掛かるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、基地局アンテナを設置する際、道路側へ機械的に回転させる必要がなく、位置調整がきわめて容易なITS用基地局アンテナ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、路側帯に沿って設置される支持柱に基地局アンテナを設け、この基地局アンテナから道路上に設定された通信エリアに電波を放射するITS用基地局アンテナ装置において、
上記基地局アンテナを構成するアンテナ本体と、上記アンテナ本体を上記通信エリアに対応させて下方に所定角度傾けて保持する保持手段と、上記アンテナ本体内に取り付けられるアンテナ基板と、上記アンテナ基板に形成され、放射ビームが上記道路上の通信エリア方向に所定角度チルトするように設定された複数のアンテナ素子からなるマイクロストリップアレーアンテナのアンテナパターンと具備し、上記アンテナ基板は、x軸、y軸が水平及び垂直となる位置を基準位置とし、該アンテナ基板側から見た上記通信エリアの進行方向と上記アンテナパターンによる放射パターンの方向がほぼ平行するように上記基準位置から所定角度回転させてアンテナ本体に取り付けたことを特徴とする。
【0008】
上記のようにアンテナ基板を道路の位置する方向に対応させて基準位置から所定角度回転させると共に放射ビームを所定角度チルトさせることにより、基地局アンテナを下方向に傾けるだけで、道路上に設定された通信エリアに電波を確実に放射することができる。従って、基地局アンテナは、正面の方向を道路と平行に設置すれば良く、設置及び調整が非常に容易となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るITS路車間通信システムの概略構成図である。図1において、1は車線幅が例えば4mの道路、2は幅が例えば1mの路側帯であり、この路側帯2の側部に沿って基地局3a、…を所定の間隔で設けている。上記基地局3a、…は、支持柱4a、…の頂部に設けられ、詳細を後述する基地局アンテナ5a、…を備えている。上記基地局アンテナ5a、…は、その正面方向が道路1と平行するように設置され、且つ下方向に所定角度傾けて設置される。
【0010】
また、上記基地局アンテナ5a、…は、道路1上に通信エリアであるセル6a、6b、…に電波が放射されるように指向性を持たせ、道路1上を走行する車両7が対応するセル6a、6b、…を走行している間、車両7と通信できるように設定されている。上記セル6a、6b、…は、基地局3a、…から所定距離A例えば4m手前に一定長さ形成される。例えば道路1の車線幅が4mであった場合、セル6a、6b、…の大きさは、4×20m程度の大きさに設定される。
【0011】
一方、上記車両7は、通信装置及び車載アンテナ(図示せず)を備え、この車載アンテナにより基地局アンテナ5a、…と通信を行なう。上記基地局3a、…と車両7との間の通信には、例えばミリ波帯における周波数が使用される。
【0012】
次に上記基地局アンテナ5a、…の詳細について説明する。
図2(a)は基地局アンテナ5a、…の正面図、同図(b)は同側面図である。図2(a)、(b)において、11は例えば円状に形成されたアンテナ本体で、吊り金具12に例えばボルト13により取り付けられる。このボルト13を緩めることにより、吊り金具12に対するアンテナ本体11の傾き角度(俯角)θを任意に調整できるようになっている。上記アンテナ本体11の傾き角度θは、例えば20°程度に設定される。また、上記アンテナ本体11には、内部にアンテナ基板14が設けられると共に、その前面開口部にアンテナ基板14を保護するための保護板15が設けられる。そして、アンテナ本体11の背面に給電導波管16が設けられる。
【0013】
上記アンテナ基板14には、アンテナパターン17が形成され、上記給電導波管16によって給電される。上記アンテナパターン17は、放射ビームを道路1側に例えば10°〜20°の範囲でチルトするように設定される。また、上記アンテナ基板14は、道路1の位置する方向に対応させて、例えば左側通行道路の場合、図2(a)に示すように基準位置から時計回りに所定角度R回転させて設けられる。この角度Rは、後述するように例えば40°前後に設定される。
【0014】
図3は基地局アンテナ5aにおけるセル6aの見え方を示したもので、基地局アンテナ5aを下方向に20°傾けた場合で、アンテナ基板14は回転させていない状態となっている。また、基地局アンテナ5aの正面方向は、道路1と平行になっている。図3において、21はセル6aの進行方向中心線、22は道路1の幅員方向中心線であり、上記進行方向中心線21と幅員方向中心線22の交点がセル6aの中心点23となっている。また、24は基地局アンテナ5aから正面z方向に放射されるビームの中心点であり、上記道路1の幅員方向中心線22より少し手前にある。
【0015】
上記のように基地局アンテナ5aを下方向に傾けた場合、その放射パターンのx軸は路側帯2と平行するY軸と同方向であり、放射パターンのy軸は道路1の幅員方向Xと同方向となっている。
【0016】
図4は、上記図3の状態におけるアンテナ基板14を基準位置から時計回りに所定角度回転させた場合の基地局アンテナ5aにおけるセル6aの見え方を示したものである。図3の状態からアンテナ基板14を時計回りに回転させると、それに伴って放射パターンのx軸及びy軸が一緒に回転する。このとき放射パターンのy軸がセル6aの中心点23に一致した所でアンテナ基板14の回転を止める。このときのアンテナ基板14の回転角度は、条件によって異なるが、略40°程度である。
上記のようにして基地局アンテナ5aの下方向への傾き角度及び、アンテナ基板14の回転角度を設定する。
【0017】
図5は、アンテナ基板14にマイクロストリップアレーアンテナを構成した場合のアンテナパターン17の一例を示したものである。このアンテナパターン17は、複数のパッチ素子31及び給電路を構成するマイクロストリップライン32によって構成される。上記マイクロストリップライン32は、銅箔等により形成される。上記パッチ素子31には、それぞれ偏波用の切込33が設けられている。また、アンテナ基板14の中心部に給電用の透孔34が設けられ、この透孔34からマイクロストリップライン32を介してパッチ素子31に給電される。上記マイクロストリップライン32のそれぞれの長さによって給電位相を調整し、幅によってインピーダンスを調整する。また、各列を構成するパッチ素子31の数によって放射特性の各部分のゲインを調整する。
【0018】
また、上記アンテナパターン17は、例えば右旋円偏波とし、上記各パッチ素子31の数、切込33の位置、マイクロストリップライン32の長さ及び幅等によって道路1側に10°〜20°程度の範囲で放射ビームをチルトさせる。また、セル6a内で遠くと近くの照射電力が均一となるように放射特性を調整する。
【0019】
上記のように基地局アンテナ5a、…において、アンテナ基板14を所定角度回転させると共に、放射ビームを所定角度チルトさせることにより、基地局アンテナ5a、…を下方向に傾けるだけでセル6a、6b、…上に電波を確実に放射することができる。従って、基地局アンテナ5a、…は、道路1側に回転させる必要はなく、正面の方向を道路1と平行に設置すれば良いので、その設置及び調整が非常に容易となる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、ITS路車間通信システムにおける基地局アンテナ装置において、アンテナ本体に設けられるアンテナ基板を道路の位置する方向に対応させて基準位置から所定角度回転させると共に、放射ビームを道路側に所定角度チルトさせるようにしたので、基地局アンテナを下方向に傾けるだけで、道路上に設定された通信エリア(セル)に電波を確実に放射することができる。従って、基地局アンテナは、正面の方向を道路と平行に設置すれば良く、設置及び調整が非常に容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るITS路車間通信システムの構成図。
【図2】(a)は同実施形態における基地局アンテナの正面図、(b)は同側面図。
【図3】同実施形態において、基地局アンテナを下方に傾けた時のセルの見え方を示す図。
【図4】同実施形態において、基地局アンテナを下方に傾けると共に、回転した時のセルの見え方を示す図。
【図5】同実施形態において、アンテナ基板にマイクロストリップアレーアンテナを構成した場合の例を示す図。
【図6】従来におけるITS路車間通信システムを示す構成図。
【符号の説明】
1 道路
2 路側帯
3a、3b、… 基地局
4a、4b、… 支持柱
5a、5b、… 基地局アンテナ
6a、6b、… セル
7 車両
11 アンテナ本体
12 吊り金具
13 ボルト
14 アンテナ基板
15 保護板
16 給電導波管
17 アンテナパターン
21 進行方向中心線
22 幅員方向中心線
23 セルの中心点
31 パッチ素子
32 マイクロストリップライン
33 切込
34 透孔
Claims (2)
- 路側帯に沿って設置される支持柱に基地局アンテナを設け、この基地局アンテナから道路上に設定された通信エリアに電波を放射するITS用基地局アンテナ装置において、
上記基地局アンテナを構成するアンテナ本体と、
上記アンテナ本体を上記通信エリアに対応させて下方に所定角度傾けて保持する保持手段と、
上記アンテナ本体内に取り付けられるアンテナ基板と、
上記アンテナ基板に形成され、放射ビームが上記道路上の通信エリア方向に所定角度チルトするように設定された複数のアンテナ素子からなるマイクロストリップアレーアンテナのアンテナパターンと、
を具備し、上記アンテナ基板は、x軸、y軸が水平及び垂直となる位置を基準位置とし、該アンテナ基板側から見た上記通信エリアの進行方向と上記アンテナパターンによる放射パターンの方向がほぼ平行するように上記基準位置から所定角度回転させてアンテナ本体に取り付けたことを特徴とするITS用基地局アンテナ装置。 - 上記基地局アンテナは、アンテナ本体の正面方向を道路と平行させて設置することを特徴とする請求項1記載のITS用基地局アンテナ装置。
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