JP3562823B2 - 摺動性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分及び又はエラストマー成分と反応性シリコーンとを溶融混練して得られる摺動特性、耐熱性、耐衝撃性、及び、外観特性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性ABS 、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂や、これら樹脂のアロイ化合物は耐熱性、耐衝撃性、成形性に優れた樹脂組成物として、電気および電子機械部品、精密機械部品、自動車部品などの広い分野で使用されているが、摩耗係数や摩耗量が大きいため、キーボードスイッチ、ボタンレバースイッチ、キーボードフレーム、ギヤ、キャリヤケース、オートチェンジャー等に使用した場合、繰り返し使用によって操作性の低下、異音の発生、内容物の損傷などの問題があった。
【0003】
そこで、摩擦係数や摩耗量を下げる方法として
(1) 成形物もしくは金型へのシリコーンオイルの塗布もしくは吹き付け
(2) シリコーンオイルの樹脂へのブレンド
(3) 樹脂及び又はエラストマーとアミノ基含有のポリシロキサンとを溶融混練する方法(特開平2−117922、特開平2−279729、特開平3−167227、特開平4−31437 )などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、 (1)のシリコーンオイルの塗布、吹き付け、及び (2)の樹脂へのブレンドでは成形物の外観性が損なわれたり、表面のシリコーンオイルが散逸し、低摩耗特性が短時間で損なわれたり、キャリヤケースなどの容器に使用した場合は、ケースの内容物にシリコーンオイルが移行し、内容物が汚染するなどの短所があった。
【0005】
さらに(3) の方法は、低摩耗特性の樹脂を製造する方法としては好適なものであるが、アミノ基含有のポリシロキサンをシリコーン成分として使用しており、ポリカーボネートやポリエステルが分解するため、耐衝撃性や耐熱性が低下しやすい欠点があった。
【0006】
又、(3) 方法である特開平2−279729、特開平2−117922等は、溶融混練する場合、 250℃以下の混練温度が好ましいとしているが、混練温度が 250℃以下では耐熱性に優れた樹脂成分を含有する場合、混練不足となり耐衝撃性や伸びなどの物性が低下し、耐熱性との両立が難しかった。
【0007】
本発明者らは、かかる問題点を有さず、耐熱性、耐衝撃性に優れ、しかも摺動性が良好であり、成形性の外観も優れた樹脂組成物を提供することを目的として鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A) 、前記官能基を含有しない樹脂成分(A′)、前記官能基を含有するエラストマー成分(B) 、前記官能基を含有しないエラストマー成分(B′)、エポキシ基、メルカプト基、水酸基の少なくともいずれかの1つの官能基を有する反応性シリコーン(C)、及び燐化合物(D)を「数2」の(1) 〜(5) に示す範囲で含有することを特徴する摺動性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【数2】
【0010】
本発明において、樹脂成分とはガラス転移点が25℃以上のポリマーを含有する成分を意味し、エラストマー成分とは0℃でゴム状弾性を示すポリマーを意味するものとする。
【0011】
本発明における酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A) としては、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂や、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸等の酸無水物基やカルボキシル基を有するビニル化合物を、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタリン等のビニル芳香族、N−フェニルマレイミド、マレイミド、トリブロモフェニルマレイミド等のマレイミド化合物、メタクリロニトルニトリル、フマロニトリル、アクリロニトリル等のニトリル化合物、メチルメタクリレート等のメタクリルエステル化合物、メチルビニルエーテル等のビニル化合物の少なくとも1成分と共重合させた樹脂、及びこれら共重合をポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)、アクリルゴム等のエラストマー存在下で共重合させた樹脂、さらには、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレンもしくはポリエチレン等を、前記の酸無水物基やカルボキシル基を有するビニル化合物と必要ならば過酸化物とともに共押出した樹脂などが挙げられる。
【0012】
なお、ポリエステル樹脂の例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ビスフェールAとフタル酸との縮合物等の芳香族ポリエステル、液晶ポリエステル類等が挙げられる。
【0013】
ポリアミド樹脂の例として、6ナイロン、66ナイロン、46ナイロン、MXD6ナイロン、6・10ナイロン、12ナイロン、6Tナイロン、6/6Tナイロン等が挙げられる。
【0014】
本発明の必須成分である酸無水物基及び又はカルボキシ基を有する樹脂成分(A) 中の官能基の含有量は 0.002〜25重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.02〜15重量%である。官能基の含有量が 0.002重量%未満の場合、反応性シリコーンとの反応が乏しく外観不良や摺動特性の持続性が劣る短所が発生しやすくなる。また、官能基量が25%を越えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性が低下する傾向が現れる。
【0015】
酸無水物基やカルボキシル基を含有しない樹脂成分(A′)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタリン、トリブロモスチレン等のビニル芳香族単量体、マレイミド、N−アルキルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−アリールマレイミド、N−トリブロモマレイミド等のマレイミド単量体、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の不飽和エステル単量体、メチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、酢酸ビニル等の不飽和単量体からなる一種以上の単量体の共重合体やポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体やこれらを水素添加したエラストマー、必要ならばジエン成分を含有するエチレンプロピレン系エラストマー、アクリルゴム等のエラストマー成分を微分散させた上記共重合体、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリチオエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。勿論、2種以上の樹脂を併用してもよい。成形性、耐熱性、耐衝撃性の点で ABS樹脂、スチレン−マレイミド共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等が特に好ましい。
【0016】
酸無水物基やカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) 及び酸無水物基やカルボキシル基を含有しない樹脂成分(A′)のいずれかは0であっても良く、 (A)+(A′)の割合は、 (A)+(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、50〜99.95 重量%が適当で、さらに好ましくは55〜99.95 重量%である。 (A)+(A′)の割合が50重量%未満の場合は耐熱性が低下する。
【0017】
本発明における酸無水物基及び又はカルボキシル基を有するエラストマー (B)としては、スチレン系エラストマー、EPR 、EPDMやブチルゴムを酸無水物で変性したもの、及びポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマー等が挙げられる。
【0018】
本発明の必須成分である酸無水物基及び又はカルボキシ基を有するエラストマー成分(B) 中の官能基の含有量は 0.002〜25重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.02〜15重量%である。官能基の含有量が 0.002重量%未満の場合、反応性シリコーンとの反応が乏しく外観不良や摺動特性の持続性が劣る短所が発生しやすくなる。また、官能基量が25%を越えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性が低下する傾向が現れる。
【0019】
酸無水物基やカルボキシル基を含有しないエラストマー成分(B′)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエンもしくはイソプレン系ゴム及び、これらの水素添加物、ブチルゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0020】
酸無水物基やカルボキシル基を含有するエラストマ−成分(B) 及び酸無水物基やカルボキシル基を含有しないエラストマー成分(B′)の(B) +(B′)の割合は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、0〜50重量%が適当である。さらに好ましくは3〜45重量%である。(B) +(B′)の割合が50重量%を越える場合、耐熱性が低下する。
【0021】
さらに酸無水物基やカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) と酸無水物基やカルボキシル基を含有するエラストマ−成分(B) の量、(A)+(B) の割合は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、1〜99.95 重量%が適しており、更に好ましくは2〜99.9重量%がのぞましい。
【0022】
本発明において使用される反応性シリコーン(C) としては、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、特に好ましくはエポキシ基の官能基を含有するシリコーンが挙げられる。シリコーンの重量平均分子量は、単官能シリコーンの場合 500〜100000、好ましくは1000〜50000 であり、2官能基シリコーンの場合 20000〜100000、好ましくは、 30000〜80000 である。シリコーン鎖は、通常ジメチルシロキサン骨格であるが、耐熱性向上のため、フェニルシロキサン骨格を一部含有してもよく、また、樹脂組成物との相溶性の調整や摺動性の一層の向上のため、ニトリル基、エステル基、ポリアルキレンオキシド基、フロロカーボン基を含有してもなんら支障ない。
【0023】
本発明において使用される反応性シリコーン(C) の量は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、0.05〜5.0 重量%が適しており、さらに好ましくは0.1 〜3.0 重量%である。 (C)の割合が0.05重量%未満では摺動性の改良効果が乏しく、5.0 重量%を越えると成形物の外観性や耐衝撃性が低下する。
【0024】
本発明の燐化合物(D) の例として、オレイルアシッドホスフェイト、ラウエルアシッドホスフェイト、トリキシレニルホスフェート等の有機燐酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスフェイト、トリイソデシルファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルチオフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等の有機亜燐酸エステル、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド等の有機ホスフィンオキシド等が挙げられるが、勿論、2種類以上の燐化合物を併用してもよい。
【0025】
本発明の燐化合物(D) の量は、前記(A)、(A′)、(B) 、(B′)及び(C) の合計100 重量部に対し0.02〜3.0重量部が適している。(D) の割合が3.0 重量部を越えると耐熱性が低下したり、成形物の表面へのブリードが発生する。
【0026】
更に反応性シリコーンの官能基がエポキシ基である場合、酸無水物基及びカルボキシ基との反応性が高いので、燐化合物(D) 成分が存在しなくても、外観特性と摺動特性を両立させることが可能であるが、燐化合物(D) 成分を(A)、(A′)、(B) 、(B′)及び(C) の合計100 重量部に対し、0.02〜3.0 重量部併用することが望ましい。なぜなら、ポリカーボネート系樹脂やポリエステルエラストマーを含む樹脂組成物では、滞留熱安定性や耐衝撃性を更に改良することができるからである。
【0027】
また、反応性シリコーンの官能基が水酸基やメルカプト基の場合、酸無水物基及びカルボキシル基との反応が若干低いので、燐化合物(D) 成分を0.02〜3.0 重量部特に0.05〜2.0 重量部含有することが望ましい。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、通常用いられる混練機、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、2軸押出機等による溶融混練により造ることができるが、好ましくはベンド付きの2軸押出機を用いる。また、溶融混練時の押出温度は特に制限がなく、原料樹脂成分のガラス転移点や融点に応じて樹脂温度は通常調節すべきである。耐熱性の樹脂成分を多く含有した組成物を溶融混練する時、溶融混練時の樹脂温度が 250℃未満であると、耐熱性と耐衝撃性との両立が難しくなることがある。勿論、ビカット軟化点が 100℃未満の非耐熱性の樹脂組成物ならば溶融混練時の樹脂温度 180〜250 ℃でも良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0029】
本発明における反応性シリコーンの官能基はアミノ基でなく、エポキシ基、メルカプト基又は水酸基であり、必要ならば、反応性シリコーンと酸無水物基及び又はカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) 及び又はエラストマー成分(B) との反応の促進剤として、かつ、安定剤としての燐化合物(D) を併用するので、 250℃以上の樹脂温度で溶融することができたり、ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂を含有した樹脂組成物であっても、耐衝撃性や耐熱性等の物性低下が少ない樹脂組成物を得ることができるのである。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、必要ならば、顔料、染料、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、硝子繊維、ウイスカー、無機物充填剤、カップリング剤等を添加することもできる。
【0031】
【実施例および比較例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、本明細書記載の部及び%はいずれも重量基準で示したものである。
【0032】
実施例および比較例において物性の測定は次の方法によった。
(1) 耐熱性(ビカット軟化点)・・・・・・・ JIS K7206
(2) アイゾット衝撃強度 ・・・・・・・・・・・・ ASTM D256 (厚み1/4 インチ、温度23℃の値)
(3) 摺動性(動摩擦係数)・・・・・・・・・・・ 外径 120mm、内径6mm、厚さ2mmのディスクと外径5mm、長さ20mmのピンを射出成形し、同一樹脂同士の動摩擦係数をピンオンディスク式摩耗試験機を用い、荷重1kg、速度1.67m/sec の条件で測定した。
(4) 外観 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3) の動摩擦係数測定用のディスクを連続50ショット射出成形し、50ショット目のディスク表面のシリコーンのブリードやフラッシュの有無で判定した。
○ ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが見られない
△ ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが若干見られる
× ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが見られる
【0033】
次に、以下の実施例および比較例において使用した樹脂成分、エラストマー成分、反応性シリコーン、及び燐化合物を示す。
【0034】
▲1▼ 酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A−1〜3)
A −1;スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体(スチレン48.8%、無水マレイン酸3.8 %、N−フェニルマレイミド47.4%)以下ST−MAH−MI と略す。
A −2;ポリブチレンテレフタレート 三菱化成製「ノバドゥール5020」カルボキシル末端基量 6.2×10−5 mol/g (0.28%)以下 PBTと略す。
A −3;6ナイロン 東レ製「アミラン CM1017」 カルボキシル末端基量 4.8 ×10−5 mol/g (0.22%)以下 6−PA と略す。
【0035】
▲2▼ 酸無水物基及びカルボキシル基も含有しない樹脂成分(A′−1〜4)
A ′−1;ポリカーボネート 三菱瓦斯化学製「ユーピロン E−2000」以下PCと略す。
A ′−2;スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(スチレン47.4%、N−フェニルマレイミド52.6%)以下ST−MIと略す。
A ′−3;スチレン−アクリロニトリル樹脂 電気化学工業製「AS−S 」以下ASと略す。
A ′−4;ABS 樹脂 電気化学工業製「GR−3000」以下ABS と略す。
【0036】
▲3▼ 酸無水物基及び又はカルボキシル基を有するエラストマー (B−1)
B −1;無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンエラストマー(無水マレイン酸の変性率0.9 %) 三井石油化学製「タフマーMPO620」以下変性EPR と略す。
【0037】
▲4▼ 酸無水物基及びカルボキシル基も含有しないエラストマー (B′−1)
B ′−1;エチレン−アクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体(エチレン67%、アクリル酸メチル30%、グリシジルメタクリレート3%)住友化学製「ボンドファースト7L 」以下 E−MA−GMA と略す。
【0038】
▲5▼ 反応性シリコーン(C−1〜3)
C −1;片末端のエポキシ基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が9800のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下エポキシSiと略す。
C −2;片末端のメルカプト基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が11300 のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下メルカプトSiと略す。
C −3;片末端のアミノ基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が9500のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下アミノSiと略す。
【0039】
▲6▼ 燐化合物(D−1〜2)
D −1;トリフェニルホスフィン 以下 TPPと略す。
D −2;トリステアリルホスファイト 以下 TSPと略す。
【0040】
参考例1、実施例2〜5,比較例1〜3
A成分として A-1(ST-MAH-MI) 、A ′成分として A′-1(PC)、 A′-4(ABS) 及び表1に示す反応性シリコーンと燐化合物を表1に示した割合で、ヘンシェルミキサーに仕込、低速回転で3分間混合する。この混合物をベント付きの35φ2軸押出機で溶融混練した。混練樹脂温度はダイス穴から表面温度センサーを挿入し、測定した。なお、混練樹脂温度はシリンダー温度で調節した。物性測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例6〜10,比較例4 〜5
反応性シリコーン(C) 成分として、C−1(エポキシSi) を1.5 %、燐化合物としてD−2(TSP)を0.15部を添加し表2及び表3に示す樹脂配合で、表1と同様にして溶融混練し、物性測定した結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
必須成分として酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分及び又はエラストマーとエポキシ基、メルカプト基、水酸基の少なくとも一つの官能基を有する反応性シリコーンとを、溶融混練することにより、摺動特性、耐熱性、耐衝撃性及び外観性に優れた樹脂組成物が得られ、電気及び電子機器部品、精密部品、自動車部品などの成形品に使用される。
【産業上の利用分野】
本発明は、酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分及び又はエラストマー成分と反応性シリコーンとを溶融混練して得られる摺動特性、耐熱性、耐衝撃性、及び、外観特性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性ABS 、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂や、これら樹脂のアロイ化合物は耐熱性、耐衝撃性、成形性に優れた樹脂組成物として、電気および電子機械部品、精密機械部品、自動車部品などの広い分野で使用されているが、摩耗係数や摩耗量が大きいため、キーボードスイッチ、ボタンレバースイッチ、キーボードフレーム、ギヤ、キャリヤケース、オートチェンジャー等に使用した場合、繰り返し使用によって操作性の低下、異音の発生、内容物の損傷などの問題があった。
【0003】
そこで、摩擦係数や摩耗量を下げる方法として
(1) 成形物もしくは金型へのシリコーンオイルの塗布もしくは吹き付け
(2) シリコーンオイルの樹脂へのブレンド
(3) 樹脂及び又はエラストマーとアミノ基含有のポリシロキサンとを溶融混練する方法(特開平2−117922、特開平2−279729、特開平3−167227、特開平4−31437 )などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、 (1)のシリコーンオイルの塗布、吹き付け、及び (2)の樹脂へのブレンドでは成形物の外観性が損なわれたり、表面のシリコーンオイルが散逸し、低摩耗特性が短時間で損なわれたり、キャリヤケースなどの容器に使用した場合は、ケースの内容物にシリコーンオイルが移行し、内容物が汚染するなどの短所があった。
【0005】
さらに(3) の方法は、低摩耗特性の樹脂を製造する方法としては好適なものであるが、アミノ基含有のポリシロキサンをシリコーン成分として使用しており、ポリカーボネートやポリエステルが分解するため、耐衝撃性や耐熱性が低下しやすい欠点があった。
【0006】
又、(3) 方法である特開平2−279729、特開平2−117922等は、溶融混練する場合、 250℃以下の混練温度が好ましいとしているが、混練温度が 250℃以下では耐熱性に優れた樹脂成分を含有する場合、混練不足となり耐衝撃性や伸びなどの物性が低下し、耐熱性との両立が難しかった。
【0007】
本発明者らは、かかる問題点を有さず、耐熱性、耐衝撃性に優れ、しかも摺動性が良好であり、成形性の外観も優れた樹脂組成物を提供することを目的として鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A) 、前記官能基を含有しない樹脂成分(A′)、前記官能基を含有するエラストマー成分(B) 、前記官能基を含有しないエラストマー成分(B′)、エポキシ基、メルカプト基、水酸基の少なくともいずれかの1つの官能基を有する反応性シリコーン(C)、及び燐化合物(D)を「数2」の(1) 〜(5) に示す範囲で含有することを特徴する摺動性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【数2】
【0010】
本発明において、樹脂成分とはガラス転移点が25℃以上のポリマーを含有する成分を意味し、エラストマー成分とは0℃でゴム状弾性を示すポリマーを意味するものとする。
【0011】
本発明における酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A) としては、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂や、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸等の酸無水物基やカルボキシル基を有するビニル化合物を、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタリン等のビニル芳香族、N−フェニルマレイミド、マレイミド、トリブロモフェニルマレイミド等のマレイミド化合物、メタクリロニトルニトリル、フマロニトリル、アクリロニトリル等のニトリル化合物、メチルメタクリレート等のメタクリルエステル化合物、メチルビニルエーテル等のビニル化合物の少なくとも1成分と共重合させた樹脂、及びこれら共重合をポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)、アクリルゴム等のエラストマー存在下で共重合させた樹脂、さらには、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレンもしくはポリエチレン等を、前記の酸無水物基やカルボキシル基を有するビニル化合物と必要ならば過酸化物とともに共押出した樹脂などが挙げられる。
【0012】
なお、ポリエステル樹脂の例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ビスフェールAとフタル酸との縮合物等の芳香族ポリエステル、液晶ポリエステル類等が挙げられる。
【0013】
ポリアミド樹脂の例として、6ナイロン、66ナイロン、46ナイロン、MXD6ナイロン、6・10ナイロン、12ナイロン、6Tナイロン、6/6Tナイロン等が挙げられる。
【0014】
本発明の必須成分である酸無水物基及び又はカルボキシ基を有する樹脂成分(A) 中の官能基の含有量は 0.002〜25重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.02〜15重量%である。官能基の含有量が 0.002重量%未満の場合、反応性シリコーンとの反応が乏しく外観不良や摺動特性の持続性が劣る短所が発生しやすくなる。また、官能基量が25%を越えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性が低下する傾向が現れる。
【0015】
酸無水物基やカルボキシル基を含有しない樹脂成分(A′)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタリン、トリブロモスチレン等のビニル芳香族単量体、マレイミド、N−アルキルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−アリールマレイミド、N−トリブロモマレイミド等のマレイミド単量体、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の不飽和エステル単量体、メチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、酢酸ビニル等の不飽和単量体からなる一種以上の単量体の共重合体やポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体やこれらを水素添加したエラストマー、必要ならばジエン成分を含有するエチレンプロピレン系エラストマー、アクリルゴム等のエラストマー成分を微分散させた上記共重合体、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリチオエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。勿論、2種以上の樹脂を併用してもよい。成形性、耐熱性、耐衝撃性の点で ABS樹脂、スチレン−マレイミド共重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等が特に好ましい。
【0016】
酸無水物基やカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) 及び酸無水物基やカルボキシル基を含有しない樹脂成分(A′)のいずれかは0であっても良く、 (A)+(A′)の割合は、 (A)+(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、50〜99.95 重量%が適当で、さらに好ましくは55〜99.95 重量%である。 (A)+(A′)の割合が50重量%未満の場合は耐熱性が低下する。
【0017】
本発明における酸無水物基及び又はカルボキシル基を有するエラストマー (B)としては、スチレン系エラストマー、EPR 、EPDMやブチルゴムを酸無水物で変性したもの、及びポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマー等が挙げられる。
【0018】
本発明の必須成分である酸無水物基及び又はカルボキシ基を有するエラストマー成分(B) 中の官能基の含有量は 0.002〜25重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.02〜15重量%である。官能基の含有量が 0.002重量%未満の場合、反応性シリコーンとの反応が乏しく外観不良や摺動特性の持続性が劣る短所が発生しやすくなる。また、官能基量が25%を越えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や熱安定性が低下する傾向が現れる。
【0019】
酸無水物基やカルボキシル基を含有しないエラストマー成分(B′)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエンもしくはイソプレン系ゴム及び、これらの水素添加物、ブチルゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0020】
酸無水物基やカルボキシル基を含有するエラストマ−成分(B) 及び酸無水物基やカルボキシル基を含有しないエラストマー成分(B′)の(B) +(B′)の割合は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、0〜50重量%が適当である。さらに好ましくは3〜45重量%である。(B) +(B′)の割合が50重量%を越える場合、耐熱性が低下する。
【0021】
さらに酸無水物基やカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) と酸無水物基やカルボキシル基を含有するエラストマ−成分(B) の量、(A)+(B) の割合は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、1〜99.95 重量%が適しており、更に好ましくは2〜99.9重量%がのぞましい。
【0022】
本発明において使用される反応性シリコーン(C) としては、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、特に好ましくはエポキシ基の官能基を含有するシリコーンが挙げられる。シリコーンの重量平均分子量は、単官能シリコーンの場合 500〜100000、好ましくは1000〜50000 であり、2官能基シリコーンの場合 20000〜100000、好ましくは、 30000〜80000 である。シリコーン鎖は、通常ジメチルシロキサン骨格であるが、耐熱性向上のため、フェニルシロキサン骨格を一部含有してもよく、また、樹脂組成物との相溶性の調整や摺動性の一層の向上のため、ニトリル基、エステル基、ポリアルキレンオキシド基、フロロカーボン基を含有してもなんら支障ない。
【0023】
本発明において使用される反応性シリコーン(C) の量は(A) +(A′)+(B) + (B ′)+(C) に対して、0.05〜5.0 重量%が適しており、さらに好ましくは0.1 〜3.0 重量%である。 (C)の割合が0.05重量%未満では摺動性の改良効果が乏しく、5.0 重量%を越えると成形物の外観性や耐衝撃性が低下する。
【0024】
本発明の燐化合物(D) の例として、オレイルアシッドホスフェイト、ラウエルアシッドホスフェイト、トリキシレニルホスフェート等の有機燐酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスフェイト、トリイソデシルファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルチオフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等の有機亜燐酸エステル、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン等の有機ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド等の有機ホスフィンオキシド等が挙げられるが、勿論、2種類以上の燐化合物を併用してもよい。
【0025】
本発明の燐化合物(D) の量は、前記(A)、(A′)、(B) 、(B′)及び(C) の合計100 重量部に対し0.02〜3.0重量部が適している。(D) の割合が3.0 重量部を越えると耐熱性が低下したり、成形物の表面へのブリードが発生する。
【0026】
更に反応性シリコーンの官能基がエポキシ基である場合、酸無水物基及びカルボキシ基との反応性が高いので、燐化合物(D) 成分が存在しなくても、外観特性と摺動特性を両立させることが可能であるが、燐化合物(D) 成分を(A)、(A′)、(B) 、(B′)及び(C) の合計100 重量部に対し、0.02〜3.0 重量部併用することが望ましい。なぜなら、ポリカーボネート系樹脂やポリエステルエラストマーを含む樹脂組成物では、滞留熱安定性や耐衝撃性を更に改良することができるからである。
【0027】
また、反応性シリコーンの官能基が水酸基やメルカプト基の場合、酸無水物基及びカルボキシル基との反応が若干低いので、燐化合物(D) 成分を0.02〜3.0 重量部特に0.05〜2.0 重量部含有することが望ましい。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、通常用いられる混練機、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、2軸押出機等による溶融混練により造ることができるが、好ましくはベンド付きの2軸押出機を用いる。また、溶融混練時の押出温度は特に制限がなく、原料樹脂成分のガラス転移点や融点に応じて樹脂温度は通常調節すべきである。耐熱性の樹脂成分を多く含有した組成物を溶融混練する時、溶融混練時の樹脂温度が 250℃未満であると、耐熱性と耐衝撃性との両立が難しくなることがある。勿論、ビカット軟化点が 100℃未満の非耐熱性の樹脂組成物ならば溶融混練時の樹脂温度 180〜250 ℃でも良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0029】
本発明における反応性シリコーンの官能基はアミノ基でなく、エポキシ基、メルカプト基又は水酸基であり、必要ならば、反応性シリコーンと酸無水物基及び又はカルボキシル基を含有する樹脂成分(A) 及び又はエラストマー成分(B) との反応の促進剤として、かつ、安定剤としての燐化合物(D) を併用するので、 250℃以上の樹脂温度で溶融することができたり、ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂を含有した樹脂組成物であっても、耐衝撃性や耐熱性等の物性低下が少ない樹脂組成物を得ることができるのである。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、必要ならば、顔料、染料、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、硝子繊維、ウイスカー、無機物充填剤、カップリング剤等を添加することもできる。
【0031】
【実施例および比較例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、本明細書記載の部及び%はいずれも重量基準で示したものである。
【0032】
実施例および比較例において物性の測定は次の方法によった。
(1) 耐熱性(ビカット軟化点)・・・・・・・ JIS K7206
(2) アイゾット衝撃強度 ・・・・・・・・・・・・ ASTM D256 (厚み1/4 インチ、温度23℃の値)
(3) 摺動性(動摩擦係数)・・・・・・・・・・・ 外径 120mm、内径6mm、厚さ2mmのディスクと外径5mm、長さ20mmのピンを射出成形し、同一樹脂同士の動摩擦係数をピンオンディスク式摩耗試験機を用い、荷重1kg、速度1.67m/sec の条件で測定した。
(4) 外観 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3) の動摩擦係数測定用のディスクを連続50ショット射出成形し、50ショット目のディスク表面のシリコーンのブリードやフラッシュの有無で判定した。
○ ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが見られない
△ ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが若干見られる
× ・・・・・・ シリコーンのブリードやフラッシュが見られる
【0033】
次に、以下の実施例および比較例において使用した樹脂成分、エラストマー成分、反応性シリコーン、及び燐化合物を示す。
【0034】
▲1▼ 酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分(A−1〜3)
A −1;スチレン−無水マレイン酸−N−フェニルマレイミド共重合体(スチレン48.8%、無水マレイン酸3.8 %、N−フェニルマレイミド47.4%)以下ST−MAH−MI と略す。
A −2;ポリブチレンテレフタレート 三菱化成製「ノバドゥール5020」カルボキシル末端基量 6.2×10−5 mol/g (0.28%)以下 PBTと略す。
A −3;6ナイロン 東レ製「アミラン CM1017」 カルボキシル末端基量 4.8 ×10−5 mol/g (0.22%)以下 6−PA と略す。
【0035】
▲2▼ 酸無水物基及びカルボキシル基も含有しない樹脂成分(A′−1〜4)
A ′−1;ポリカーボネート 三菱瓦斯化学製「ユーピロン E−2000」以下PCと略す。
A ′−2;スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(スチレン47.4%、N−フェニルマレイミド52.6%)以下ST−MIと略す。
A ′−3;スチレン−アクリロニトリル樹脂 電気化学工業製「AS−S 」以下ASと略す。
A ′−4;ABS 樹脂 電気化学工業製「GR−3000」以下ABS と略す。
【0036】
▲3▼ 酸無水物基及び又はカルボキシル基を有するエラストマー (B−1)
B −1;無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンエラストマー(無水マレイン酸の変性率0.9 %) 三井石油化学製「タフマーMPO620」以下変性EPR と略す。
【0037】
▲4▼ 酸無水物基及びカルボキシル基も含有しないエラストマー (B′−1)
B ′−1;エチレン−アクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体(エチレン67%、アクリル酸メチル30%、グリシジルメタクリレート3%)住友化学製「ボンドファースト7L 」以下 E−MA−GMA と略す。
【0038】
▲5▼ 反応性シリコーン(C−1〜3)
C −1;片末端のエポキシ基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が9800のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下エポキシSiと略す。
C −2;片末端のメルカプト基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が11300 のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下メルカプトSiと略す。
C −3;片末端のアミノ基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量が9500のジメチルシリコーン骨格である反応性シリコーン。以下アミノSiと略す。
【0039】
▲6▼ 燐化合物(D−1〜2)
D −1;トリフェニルホスフィン 以下 TPPと略す。
D −2;トリステアリルホスファイト 以下 TSPと略す。
【0040】
参考例1、実施例2〜5,比較例1〜3
A成分として A-1(ST-MAH-MI) 、A ′成分として A′-1(PC)、 A′-4(ABS) 及び表1に示す反応性シリコーンと燐化合物を表1に示した割合で、ヘンシェルミキサーに仕込、低速回転で3分間混合する。この混合物をベント付きの35φ2軸押出機で溶融混練した。混練樹脂温度はダイス穴から表面温度センサーを挿入し、測定した。なお、混練樹脂温度はシリンダー温度で調節した。物性測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例6〜10,比較例4 〜5
反応性シリコーン(C) 成分として、C−1(エポキシSi) を1.5 %、燐化合物としてD−2(TSP)を0.15部を添加し表2及び表3に示す樹脂配合で、表1と同様にして溶融混練し、物性測定した結果を表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
必須成分として酸無水物基及び又はカルボキシル基を有する樹脂成分及び又はエラストマーとエポキシ基、メルカプト基、水酸基の少なくとも一つの官能基を有する反応性シリコーンとを、溶融混練することにより、摺動特性、耐熱性、耐衝撃性及び外観性に優れた樹脂組成物が得られ、電気及び電子機器部品、精密部品、自動車部品などの成形品に使用される。
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