JP3562537B2 - 電子写真装置におけるクリーニング装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、正帯電型有機感光体を用いた電子写真装置に使用されるクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真装置は、ドラム状或いはベルト状の感光体の周囲に、主帯電器、画像露光部、現像器、トナー転写部、クリーニング装置及び除電器を有しており、主帯電器により該感光体を一定の電位に帯電せしめ、次いで画像露光部において感光体表面に原稿像に対応する電荷像を形成し、現像器によって該電荷像の現像を行って可視像化されたトナー像を形成し、トナー転写部において、このトナー像を所定の用紙に転写し、転写されたトナー像を熱或いは圧力等により定着させる。一方、トナー像が転写された感光体は、クリーニング装置によって残存トナーや紙粉等が除去され、次いで除電器によって除電された後に、次の画像形成サイクルに供せられる。
【0003】
上記の感光体としては、有機、無機等の種々のものが使用されているが、特に有機感光体は、感光体コストが比較的安価であるため、複写機、レーザプリンター、ファクシミリ等の画像形成に広く使用されている。
【0004】
ところで、上述した電子写真装置においては、種々の帯電工程が必須不可欠であり、例えば静電潜像を形成させるための準備段階としての感光体の主帯電は、コロナ放電による帯電方式を用いた主帯電器によって行われている。
【0005】
然しながら、コロナ帯電では、空気中の酸素が酸化されてオゾンが発生し、オゾンの発生量よりは少ないが、窒素が酸化されてNOx が発生し、これらの放電生成物が感光体を劣化させるという問題がある。特に感光体が有機感光体の場合には、放電生成物による劣化傾向が他の感光体に比して大きい。コロナ帯電によるオゾン発生は、負極性コロナ放電で著しく大きく、正極性コロナ放電では少ないため、有機感光体として正帯電型有機感光体を使用し、主帯電を正極性コロナ放電により行う電子写真装置が着目されている。
【0006】
このような正帯電型有機感光体を用いた電子写真装置において、クリーニング装置としては、クリーニングブレードが一般に使用されている。然しながら、有機感光体の感光層には顔料である電荷発生剤が配合されているため、この顔料が研磨剤として作用し、ブレードの掻き取りにより感光層が削り取られ易く、耐刷寿命が低くなるという問題がある。特に、この問題は、単層有機感光体で顕著である。即ち、単層有機感光体では、電荷発生剤である顔料が感光層表面に露出しているためである。
【0007】
上記の問題を解決するために、クリーニングブレードの上流側にファーブラシやスポンジローラ等のクリーニングローラを設けたクリーニング装置が知られている。この装置は、ブレードによるクリーニングを行う前に、予めローラによるクリーニングによって感光体表面に付着している残存トナーや紙粉等を感光体表面から引き離し或いは一部の残存トナー等を除去しておくことにより、ブレードの感光体表面に対する摺擦力を弱くしてクリーニングを行うというものである。即ち、クリーニングブレードの摺擦力を弱くすることにより、感光層の削り取られを抑制し、感光体の耐刷寿命の低下を回避することを期待したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記先行技術のクリーニング装置では、十分なクリーニング効果を保持しながら感光体の耐刷寿命を十分満足し得る程度に向上させることができなかった。即ち、クリーニングブレードの上流側に設けられているクリーニングローラは、それ単独では十分なクリーニング作用を有していないため、クリーニングブレードの感光体表面に対する摺擦力をある程度高く設定する必要がある。しかるに、十分なクリーニングが行われる程度に摺擦力を高めると、感光体の耐刷寿命の低下が著しくなってしまうのであり、特に単層の有機感光体を用いた場合にはこの傾向が顕著である。
【0009】
従って本発明の目的は、正帯電型単層有機感光体を用いた電子写真装置において、クリーニングが十分に行われ、残存トナー等による画像不良が有効に防止されると共に、感光体の耐刷寿命の低下も有効に防止することが可能なクリーニング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、エンドレスの正帯電型単層有機感光体と、少なくとも主帯電器、画像露光部、現像器、トナー転写部、クリーニング装置及び除電器とを備えた電子写真装置において、
前記クリーニング装置は、上流側のクリーニングローラと下流側のクリーニングブレードとを、下記式(1):
x/V≦70×10−3 …(1)
式中、xは、クリーニングローラのニップ中心点とクリーニングブレードの感光体表 面と接している点との距離(mm)であって、28( mm )以下の値であり
Vは、感光体の速さ(mm/sec)であって、400( mm/sec )以下の値である、
を満足する関係を備えており、且つ前記クリーニングブレードは、2乃至12g/cmの法線方向線圧で感光体表面に圧接されていることを特徴とするクリーニング装置が提供される。
【0011】
【作用】
本発明のクリーニング装置は、クリーニングローラとクリーニングブレードとから成るものであって、両者の間隔を上記式(1)が満足する様に設定したことが顕著な特徴である。このようにクリーニングローラとクリーニングブレードとの間隔を設定することにより、意外にも、ブレードの摺擦力を感光体の耐刷寿命の低下を引き起こさない程度に弱くしても十分なクリーニング効果を保持することが可能となるのである。
【0012】
このような本発明の予想外の効果は、後述する実施例に詳細に示されているが、その理由について本発明者等は次の様に推定している。
即ち、本発明のクリーニング装置における要部を拡大して示す図1において、図中の矢線P方向に回転する感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順にクリーニングローラ2及びクリーニングブレード3が設けられている。クリーニングローラ2は、通常、感光体ドラム1の回転に従動して回転し得る様に設けられており、クリーニングブレード3は、適当な圧接力で感光体ドラム1表面を摺擦する様に設けられている。
【0013】
かかるクリーニング装置によれば、トナー像転写後の感光体ドラム1表面に付着している残存トナーや紙粉等の異物4aは、クリーニングローラ2の攪拌及び回収作用によって、ドラム1表面から引き離される(引き離された異物を4bで示す)。従って、ブレード3の圧接力(摺擦力)をある程度弱くしてそのクリーニング効果を弱めても十分なクリーニング効果が得られるというのが、このローラ併用型クリーニング装置の特徴である。しかるに、従来の装置では、クリーニングローラ2とクリーニングブレード3との間隔が大きく設定されており、例えば前記式(1)を満足するようには設定されていなかった。このため、ドラム1表面から引き離された異物4bは、ローラ2とブレード3との間で再びドラム1表面に付着してしまい、クリーニングブレード3のクリーニング効果を十分に軽減することができず、この結果として、感光体ドラム1の耐刷寿命の低下を引き起こさない程度にブレード3の圧接力を弱くすることができなかったものと考えられる。実際、後述する比較例を参照すれば、上記間隔が、下記式:
x/V>70msec
を満足するように設定されると、ブレード3の圧接力をかなり高めないと、十分なクリーニング効果が発揮されないことが理解される。
【0014】
一方、本発明にしたがい、ローラ2とブレード3との間隔を前記式(1)を満足するように設定すると、ローラ2からブレード3の間をドラム1表面が短時間で通過するため、引き離された異物4bのドラム1表面への再付着が有効に防止され、この結果として、クリーニングブレード3のクリーニング効果を十分に軽減することができ、かくして感光体ドラム1の耐刷寿命の低下を引き起こさない程度にブレード3の圧接力を弱くしても十分なクリーニング効果が発揮されるのである。
【0015】
上述した本発明において、クリーニングブレード3としては、ポリウレタン等の弾性ブレードが使用され、その圧接力(法線方向線圧)は、2乃至12g/cm、特に4乃至11g/cmの範囲に調節されている。圧接力がこの範囲よりも高くなると、感光体の削り取りが大きくなり、感光体の耐刷寿命が低下する。また上記範囲よりも圧接力が小さいと、十分なクリーニングが行われず、クリーニング不良による画像不良を生じる。
【0016】
またクリーニングローラ2としては、スポンジローラやゴムローラ等の弾性ローラ或いはファーブラシローラ等を使用することができるが、一般的にはスポンジローラを使用するのがよい。さらに、このローラ2は、通常、感光体に対して従動回転するように設けられるが、勿論、適当な駆動機構等を使用して、感光体の移動方向とは反対方向に回転し得る様に設けることも可能である。
【0017】
【発明の好適態様の説明】
(感光体)
本発明で用いる正帯電型の単層有機感光体は、電荷発生剤を有する感光層を単層で導電性基体上に設けたものである。即ち、かかる感光体は、顔料である電荷発生剤が感光層表面に露出しており、クリーニングブレードによる削り取りが特に著しいが、本発明によれば、クリーニング機能を損なうことなく、このような単層有機感光体の耐刷寿命の低下を有効に防止することができる。
【0018】
単層有機感光体は、樹脂媒質中に電荷発生剤と電荷輸送物質とを分散させた単層の感光層を導電性基体上に設けたものであり、特に電荷輸送物質としては、正孔輸送剤と電子輸送剤との組み合わせが使用される。正孔輸送剤としては、それ自体公知のものが使用され、これと組み合わせる電子輸送剤としては、ジフェノキノン誘導体、特に非対称置換型のものが好ましい。この感光体は正帯電が可能であり、しかも残留電位が低いレベルに抑制されると共に、正帯電に対して優れた感度を示す。
【0019】
特に電子輸送剤として用いるジフェノキノン誘導体としては、下記式(2)で表されるものを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0020】
【化1】
【0021】
上記式中、R1 ,R2 ,R3 及びR4 の各々は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等である。
一層具体的には、3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチルジフェノキノン、3,3’−ジメチル−5’,5’−ジt−ブチルジフェノキノン、3,5’−ジメチル−3’,5−ジt−ブチルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラメチルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラt−ブチルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラフェニルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラシクロヘキシルジフェノキノン等を挙げることができるが、下記式(3)、(4)或いは(5)の関係を満足する置換基を有するジフェノキノン誘導体は、分子の対称性が低いために分子間の相互作用が小さく、溶解性に優れているために好適である。
【0022】
(R1 の炭素数=R3 の炭素数)>(R2 の炭素数=R4 の炭素数)…(3)
(R1 の炭素数=R2 の炭素数)>(R3 の炭素数=R4 の炭素数)…(4)
(R1 の炭素数=R4 の炭素数)>(R2 の炭素数=R3 の炭素数)…(5)
【0023】
正孔輸送剤としては、任意の正孔輸送物質を使用することができ、例えばオキサジアゾール系化合物、スチリル化合物、カルバトール系化合物、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が使用され、就中、イオン化ポテンシャルが5.3乃至5.6eVの範囲にあるものが好適に使用される。また電解強度が3×105 V/cmで1×10−6cm2 /V・秒以上の移動度を有するものが特に好ましい。
【0024】
好適な正孔輸送剤の具体例としては、1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、N,N’−(o,p−ジメチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N−エチル−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N’−ジフェニルヒドラゾン、4−〔N,N−ビス(p−トルイル)アミノ〕−β−フェニルスチルベン等を例示することができる。
【0025】
電荷発生剤としては、例えばセレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示され、所望の領域に吸収波長域を有する様、1種又は2種以上混合して用いられる。特にイオン化ポテンシャルが5.3乃至5.6eVの範囲にあるものが好適であり、最も好適なものとしては、ビスアゾ顔料、X型メタルフリーフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン等が例示される。
【0026】
また上記の各剤を分散させる樹脂媒質としては、種々の樹脂が使用でき、例えばスチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂等の各種重合体や、エポキシアクリレート等の光硬化型樹脂等を、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。特に好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
【0027】
上記の正帯電型単分散有機感光体において、電荷発生剤は、通常、固形分当たり0.1乃至5重量%、特に0.25乃至2.5重量%の量で感光層中に含有されるのがよく、またジフェノキノン誘導体のような電子輸送剤(ET)や正孔輸送剤(HT)は、それぞれ固形分当たり5乃至50重量%、特に10乃至40重量%の量で感光層中に含有されるのがよい。さらにET:HTの重量比は1:9乃至9:1、特に2:8乃至8:2の範囲にあるのがよい。
【0028】
また上述した単分散感光層を形成する組成物には、電子写真学的特性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体公知の種々の配合剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クェンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改質剤、消泡剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。特に全固形分当たり0.1乃至50重量%の量で立体障害性フェノール系酸化防止剤を配合すると、電子写真学的特性に悪影響を与えることなく、感光層の耐久性を顕著に向上させることができる。
【0029】
単分散感光層は、上述した各剤や樹脂成分を溶剤に溶解乃至分散させて導電性基体上に塗布することによって形成されるが、この溶剤としては種々の有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。塗布液の固形分濃度は、一般に5乃至50%とするのがよい。
【0030】
また導電性基板としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えばアルミニウム、鉄、銅、錫、白金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0031】
特に単層の感光層の場合には、干渉縞等の発生がないことから、通常のアルミニウム素管、特に膜厚が1乃至50μm となるようにアルマイト処理を施した素管を用い得ることも利点の一つである。
【0032】
尚、塗布液を調製するには、電荷発生材料等と樹脂等とを、従来公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイカー或いは超音波分散器等を用いて行い、これを従来公知の塗布手段によって塗布、乾燥すればよい。
【0033】
単層の感光層の厚みは、特に制限されないが、一般に5乃至100μm 、特に10乃至50μm の範囲にあることが望ましい。
【0034】
(電子写真装置)
本発明のクリーニング装置を用いた電子写真装置の代表例を示す図2において、この装置は、前述した正帯電型の感光層、特に単層の感光層をアルミニウム素管等の導電性基体上に有する有機感光体ドラム1と、その回転方向に沿って設けられた主帯電用正コロナ帯電器10、画像露光用の光学系11、現像装置12、転写用帯電装置13、クリーニング装置14及び除電用光源15とから成っている。
【0035】
即ち、画像形成にあたっては、先ず感光体ドラム1の表面を、正コロナ帯電器10による正極性コロナ放電によって正極性に帯電させる。次いで、原稿(図示せず)からの反射光を光学系11を介して感光体ドラム1上に照射し、原稿画像に対応する静電潜像を形成する。
現像装置12はトナー20を有しており、この静電潜像は、現像装置12によりトナー20で現像され、トナー像が形成される。トナーの帯電極性は、通常の正規現像の場合には感光体ドラム1表面と逆極性(負極性)であり、反転現像の場合には感光体表面と同極性(正極性)である。
転写用帯電装置13は、トナー転写用帯電器21と紙分離用交流帯電器22とを備えており、転写紙23の背面から帯電器21でコロナチャージを行ってトナー像を転写紙23に転写させる。この帯電器21の極性は、トナーが付着している感光体ドラム1表面と同極性である。またトナー像が転写された転写紙23は、交流帯電器22の除電によって感光体ドラム1表面から静電的に剥離され、定着域(図示せず)に送られ、熱、圧力等により、トナー像の定着が行われる。トナー転写後の感光体ドラム1は、前述したクリーニングブレード3及びクリーニングローラ2を備えた本発明のクリーニング装置14によって残留トナー及び紙粉等の異物が除去され、次いで除電用光源15からの全面露光により、残留電荷が除去される。
【0036】
本発明において、正コロナ帯電器2によって行われる感光体ドラム1の主帯電は、表面電位が300乃至1000V、特に500乃至800Vとなるように行うのがよく、このために、コロナワイヤーに印加する電圧は、3乃至9kV程度が適当である。
【0037】
画像露光は、ハロゲンランプ等の白色光や各種半導体レーザ、或いはLED等を用いて行うのが適当であり、白紙原稿露光時の光量は、露光後表面電位が画像かぶりの発生のない電位以下に設定される。
【0038】
静電像の現像は、公知の一成分系磁性現像剤や、磁性キャリヤと顕電性トナーとから成る二成分系現像剤を使用して磁気ブラシ現像により行うが、勿論、これ以外のそれ自体公知の現像方式も用いることができる。
【0039】
本発明において、感光体ドラム1の周速Vは、クリーニング装置14内のクリーニングブレード3とクリーニングローラ2との間隔xに応じて、前述した式(1)を満足するように設定される。
【0040】
上述した本発明において、図2では有機感光体としてドラム形状のものを用いた場合を例にとって説明したが、勿論、この有機感光体はベルト状のものであってもよい。
【0041】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
【0042】
(感光体の製造)
以下の実験例においては、以下の方法で作成した正帯電型単分散感光体を使用した。
下記の組成から成る感光層用組成物をペイントシェイカーを用いて2時間かけて均一分散し、単層の感光層形成用塗布液を調製し、この塗布液を外径78mmアルミニウム素管の表面に浸漬塗布し、110℃で30分間乾燥し、膜厚が30μm の単分散感光層を形成し、正帯電型単分散有機感光体を得た。
【0043】
【0044】
【化2】
【0045】
実験例
上記の感光体ドラム、及び、クリーニングブレードとスポンジローラとから成るクリーニング装置を、三田工業株式会社製電子写真複写機DC−2556改造機に取り付けた。この複写機について、感光体ドラムの周速Vとクリーニングブレードとスポンジローラとの間隔xを変えることによって、x/Vの値を種々変更し、実際に画像出しを行ってカブリやオフセット及びクリーニング不良等を生じない様なブレードの最適線圧(実用上使用される線圧の最小値)を決定する。尚、この線圧は、ブレードが感光体ドラムとの接点で法線方向に与える単位長さ当りの荷重でg/cmで示される。
このようにして決定された最適線圧で、それぞれについて連続10万枚の複写を行い、感光体の削れ量(μm )及び暗電位変化(V)を測定し、その結果を表1に示した。
【0046】
感光体の削れ量は、感光体ドラムの感光層の10万枚複写後の膜厚を、膜厚計(フィッシャースコープエディ,ヘルムートフィッシャ製)により測定することによって算出した。
また暗電位変化(V)は、初期及び10万枚複写後において、主帯電直後の感光体ドラムの表面電位をモンローモデル244A2のプローブを用いて測定し、両者の差から算出した。
【0047】
【表1】
【0048】
尚、表1中、*は比較例である。
【0049】
以上の実施例から明らかな通り、本発明によれば、正帯電型単層有機感光体を使用した電子写真装置において、クリーニングブレードとクリーニングローラとの間隔が前記式(1)を満足するように設定されたクリーニング装置を使用することにより、十分なクリーニング効果を保持しつつ、感光体の耐刷寿命の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニング装置の要部を拡大して示す図。
【図2】本発明のクリーニング装置を用いた電子写真装置の構造の一例を示す図。
【符号の説明】
1:感光体ドラム 2:クリーニングローラ
3:クリーニングブレード 4a:感光体表面に付着している異物
4b:感光体から離れた異物 10:主帯電用正コロナ帯電装置
11:画像露光用光学系 12:現像装置
13:転写用帯電装置 14:クリーニング装置
15:除電用光源 20:トナー
21:トナー転写用帯電器 22:紙分離用交流帯電器
23:転写紙
Claims (2)
- エンドレスの正帯電型単層有機感光体と、少なくとも主帯電器、画像露光部、現像器、トナー転写部、クリーニング装置及び除電器とを備えた電子写真装置において、
前記クリーニング装置は、上流側のクリーニングローラと下流側のクリーニングブレードとを、下記式(1):
x/V≦70×10−3 …(1)
式中、xは、クリーニングローラのニップ中心点とクリーニングブレードの感光体表 面と接している点との距離(mm)であって、28( mm )以下の値であり
Vは、感光体の速さ(mm/sec)であって、400( mm/sec )以下の値である、
を満足する関係を備えており、且つ前記クリーニングブレードは、2乃至12g/cmの法線方向線圧で感光体表面に圧接されていることを特徴とするクリーニング装置。 - 前記クリーニングローラは、感光体に従動回転するものである請求項1記載のクリーニング装置。
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