JP3562359B2 - 成形性と機械的性質に優れたナイロン12及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は押出成形性に優れ、かつ、クリープ特性及び疲労特性に優れたナイロン12及びその製造法に関する。該ナイロン12はチューブ状成形品、シート状成形品、フィルム、繊維あるいはモノフィラメントなどの押出成形品用途に利用され、特に、チューブ状成形品に好適である。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン12は耐薬品性、耐熱性および吸水時の寸法安定性が高く、従来、各種産業分野で射出成形品用材料やチューブ、シート、フィルムなどの押出成形品用材料として使用されている。近年、ナイロン12を使用した燃料チューブ、各種工業用ホースやガスパイプなどチューブ状成形品分野での用途開発が進み、この分野でのナイロン12に対する要求特性は高度化、多様化している。その中でも、成形性が良く、厳しい環境下での耐久性に優れたチューブ用材料、すなわち、押出成形性に優れ、かつ、クリープ特性及び疲労特性に優れたナイロン12に対する要望が高くなっている。
【0003】
ナイロン12の成形性改良に関しては、例えば、特開平7−278294号公報において、溶融流動性が優れ、精密成形に適しているナイロン12の製造法が開示されている。このナイロン12は相対粘度(以降、「ηr」と記載する。)とメルトフローレイト(以降、「MFR」と記載する。)とが特定の関係にあることを特徴としている。この発明は主として精密成形など射出成形に関連するものである。一般に、射出成形ではポリマーの溶融流動性が優れるほど、すなわち、溶融粘度が低くなるほど、成形性は良好となる傾向にある。しかし、チューブなど押出成形品の成形では、溶融粘度が低くなり過ぎると、成形時に、チューブ形状を保持することが困難となり、良好な形状のチューブ成形品を得ることが難しくなる。そのため、特開平7−278294号公報で開示の溶融流動性に優れているナイロン12を使用した場合、良好なチューブ状成形品を得ることができる成形条件には制約があった。良好な押出成形品を安定して製造するには、射出成形と異なる溶融流動性を有するナイロン12が必要であった。そのため、押出成形に適したナイロン12の開発が望まれている。
【0004】
又、ナイロン12のクリープ特性及び疲労特性の改善に関する先行技術は見あたらない。一般に、ポリマーは高分子量になるほど、クリープ特性や疲労特性などの耐久性に関係する特性は良くなると言われている。ポリアミドを高分子量化する方法に関しては、いくつか提案がある。例えば、特開平3−97732号公報には、比較的低分子量のポリアミドを溶融状態でリン系化合物と混合した後、ペレットや粉体などの形状にしてから、固相重合法により高分子量化する方法が開示されている。しかし、この方法を用いても、ηrが5以上のナイロン12を製造することは難しい。ηrが約5であるナイロン12のクリープ特性や疲労特性は本発明の目標とする値に比べると不十分なものである。又、ηrが5のナイロン12は、溶融流動性が極端に低く、押出成形で使用することは困難なものであった。そのため、押出成形性、クリープ特性及び疲労特性に優れた、チューブ材料に好適なナイロン12が求められている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は押出成形性に優れ、かつ、クリープ特性及び疲労特性に優れたチューブ状成形品に適したナイロン12及びその製造法の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ナイロン12の基礎物性と押出成形性、クリープ特性及び疲労特性との関係について詳細に検討した結果、ηrとMFRとが特定の関係にあるナイロン12は押出成形性に優れ、かつ、クリープ特性及び疲労特性が良好となることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明の第一の発明は、98%硫酸中、濃度10g/dm3、25℃の条件で測定したηrが2.1〜3.3であり、かつ、235℃、荷重2160gの条件で測定したMFRが0.1以上であるナイロン12において、該ηrと該MFRとが数式(1)
【数3】
2.87×103exp(−3.48ηr)≦MFR
≦3.25×104exp(−3.48ηr) (1)
(ここで、ηrは相対粘度を、MFRはメルトフローレートである。)の関係にあるナイロン12である。
【0008】
本発明の第二の発明は、加圧溶融下での前重合工程とそれに続く常圧下あるいは減圧下での後重合工程からなるナイロン12の製造法において、前重合工程の重合温度を285〜310℃の範囲とし、かつ、重合温度、重合系内の圧力及び重合時間とを数式(2)
【数4】
7.99×105exp(−2.19×10-2T)≧Pt
≧5.64×107exp(−4.24×10-2T) (2)
(ここで、Tは重合温度で単位は℃、Pは重合系内の圧力で単位はkgf/cm2G、tは重合時間で単位は時間(hr)ある。)の関係に制御する第一の発明に記載のナイロン12の製造法である。
【0009】
従来、ポリマーのηrやMFRが成形性に影響する物性であることは良く知られていた。しかし、ナイロン12のηrやMFRと押出成形性との関係については知られていない。又、ηrとMFRとが特定の関係にあるナイロン12が、クリープ特性や疲労特性に優れていることも知られておらず、本発明により始めて見出されたことである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明のナイロン12はω−ラウロラクタム及び/又はω−アミノドデカン酸を主成分として製造される。本発明のナイロン12はω−ラウロラクタムやω−アミノドデカン酸単独でも製造できるが、ω−ラウロラクタム及び/又はω−アミノドデカン酸の30重量%以下であれば、他のラクタム、アミノカルボン酸やポリアミド形成可能なジアミンとジカルボン酸又はこれらからなるナイロン塩などと共重合させたものも本発明のナイロン12の範囲に含まれる。
【0011】
共重合する他のラクタムの具体例としては、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、α−ピペリドン、ω−ウンデカンラクタムなどが挙げられる。他のアミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸などが挙げられる。
【0012】
ポリアミド形成可能なジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0013】
又、ポリアミド形成可能なジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジアミン、ジカルボン酸はほぼ等モルで使用される。又、これらジアミン、ジカルボン酸からなるナイロン塩はジアミンとジカルボン酸との等モル塩である。
【0014】
上記の共重合成分である他のラクタム、アミノカルボン酸やポリアミド形成可能なジアミンとジカルボン酸又はこれらからなるナイロン塩は、ω−ラウロラクタム及び/又はω−アミノドデカン酸の30重量%以下であれば、単独で使用しても良く、2種以上を適宜組合せて使用しても良い。
【0015】
本発明のナイロン12は、ηrが2.1〜3.3で、MFRが0.1以上であって、かつ、ηrとMFRとが数式(1)で表される関係にある。ηrが3.3より大きい場合、溶融流動性が悪く、良好な外観のチューブ状成形品やシート等の押出成形品を得ることが難しくなる。又、ηrが2.1より小さい場合、溶融流動性は良好であるが、押出成形の際、押出成形品の形状保持性が悪くなることがあり、良好なチューブ成形品を得ることが難しい。また、クリープ特性や疲労特性が低かったりするなどの問題点もある。なお、ηrは98%硫酸中、濃度10g/dm3、25℃の条件で、ウベローデ粘度計を用い、測定した値で、ナイロン12の分子量の尺度となる値である。
【0016】
MFRが0.1より小さくなると、押出成形性が極端に悪くなり、良好な外観のチューブ状成形品やシート等の押出成形品を得ることが難しくなる。なお、MFRは235℃、荷重2160gの条件で測定した値で、単位はg/10minである。
【0017】
又、ηrとMFRとが上記の範囲にあり、かつ、ηrとMFRとの関係が式(1)の範囲を外れる場合、チューブ成形等の押出成形性は良好であるが、クリ−プ特性や疲労特性が低くなる。
【0018】
本発明のナイロン12はηrとMRFとが上記の特定の関係にあれば、どのような製造法で製造したものでも良い。従って、本発明のナイロン12の製造には公知のポリアミドの製造装置を用いることができ、回分式製造法でも、連続式製造法でも製造される。製造に使用できる装置は、例えば、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、混練反応押出機などが挙げられる。
【0019】
本発明のナイロン12の好ましい製造法としては、モノマーとしてω−ラウロラクタム及び/又はω−アミノドデカン酸を使用し、必要により水、共重合成分や分子量調節剤などを加え、加圧下あるいは常圧下に、溶融状態で開環反応や初期重縮合させる前重合工程と、これに続き、常圧下あるいは減圧下に、溶融状態で重縮合させて高分子量化する後重合工程を行う製造法がある。この方法は連続式でも、回分式でも実施可能である。
【0020】
以下、本発明のナイロン12の好ましい製造法の一例を、ω−ラウロラクタムを原料として、具体的に説明する。所定量のω−ラウロラクタムと水を加圧下に重合温度を285〜310℃の温度とし、重合温度T、重合反応系内の圧力(以降、「系内圧力」と記載することがある。)Pと重合時間tとが数式(2)
【数5】
7.99×105exp(−2.19×10-2T)≧Pt
≧5.64×107exp(−4.24×10-2T) (2)
(ここで、重合温度Tの単位は℃、重合系内の圧力Pの単位はkgf/cm2G、重合時間tの単位は時間(hr)である。)の関係にある条件下で前重合は行われる。なお、系内圧力は主として重合反応系内での水蒸気の圧力である。前重合で得られるナイロン12のηrは、1.01〜1.8、好ましくは、1.1〜1.6である。ηrが1.01より小さいと後重合工程での時間が長くなり、好ましくない。前重合の終了後、常圧下あるいは減圧下に、温度230〜350℃、好ましくは、240〜320℃で所定時間、後重合することにより本発明のナイロン12を製造することができる。後重合時の系内圧力や重合時間は製造するナイロン12のηrにより適宜決められる。通常、後重合時の系内圧力は10Torr〜常圧、重合時間は5分以上である。
【0021】
前重合工程での重合温度が285℃より低い場合、ηrとMFRとが前記の特定の関係にある本発明のナイロン12を製造することが難しくなったり、又、前重合の時間が長くなり、生産性が低下する。一方、310℃より高い場合、重合時に副反応や劣化反応などが起こり易くなり、ηrとMFRとが前記の特定の関係にある本発明のナイロン12を製造することが難しくなったり、又、製造されるナイロン12が着色したりする。又、前重合工程で、系内圧力と重合時間との積と重合温度との関係が前記の数式(2)を満足しない場合は、ηrとMFRとが前記の特定の関係にある本発明のナイロン12を製造することが難しくなる。
【0022】
後重合時の温度が230℃より低い場合、本発明の特定のηrとMFRを有するナイロン12を製造することが難しくなったり、又、後重合の時間が長くなったりする。一方、350℃より高くなると重合時に副反応や劣化反応が起こりやすくなり、本発明の特定のηrとMFRを有するナイロン12を製造することが難しくなったり、又、製造したナイロン12が着色したりする。
【0023】
本発明のナイロン12製造の際、必要であれば重合促進や重合時の劣化防止のため、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸やこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはエステルなどのリン系化合物を添加することができる。これらのリン系化合物の添加量は製造するナイロン12に対して50〜3,000ppmの範囲である。
【0024】
本発明のナイロン12の分子量調節や溶融粘度安定化を目的に、必要ならば、アミンやカルボン酸などを添加することができる。添加できるアミンやカルボン酸は一官能および/または二官能のものが使用できる。アミンの具体例は、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ベンジルアミン、1,6−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどがある。
カルボン酸の具体例としては酢酸、安息香酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ブタンジオン酸、ヘキサンジオン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などがある。これらのアミン、カルボン酸の添加量は製造するナイロン12のηrにより適宜決められる。
【0025】
本発明のナイロン12には、本発明の目的を損なわない範囲で、フェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系、アミン系などの酸化防止剤、有機スズ系、鉛系、金属石ケン系などの耐熱安定剤、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系などの紫外線吸収剤などの耐候性改良剤、アルキルアミン、アルキルアミド、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、第4級アンモニウム塩、アルキルベタインなどの帯電防止剤、赤リン、酸化スズ、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機難燃化剤、ハロゲン系、燐酸エステル系、メラミンあるいはシアヌル酸系の有機難燃化剤、三酸化アンチモンなどの難燃化助剤、その他核剤、ゲル化剤、油剤、顔料、染料などが配合されてもよい。
【0026】
本発明のナイロン12は成形性、特に、押出成形性に優れており、チューブ状成形品、フィルム、繊維、モノフィラメントなどの押出成形に好適に利用できるが、燃料チューブ、車両のエンジンルーム内の各種チューブ、ガスパイプなどチューブ状成形品に適している。チューブ状成形品は、例えば、汎用の一軸押出機にチューブ用ストレートダイ及びサイジングフォーマを取付けた装置を用い、シリンダー温度をナイロン12の融点以上、330℃以下、通常は、190〜280℃に設定して、溶融押出し、水槽などで冷却後、巻取ることにより製造される。又、本発明のナイロン12は押出成形だけでなく、公知の射出成形法、ブロー成形法、真空成形法などの成形法により、成形品を製造することもできる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に示した特性の測定は以下に示す方法で行った。
【0028】
(1)相対粘度(ηr)の測定
JIS K6810に準じ、98%硫酸を溶媒として、ポリアミドを濃度10g/dm3で完全に溶解した後、ウベローデ粘度計を用い、25℃で測定した。
【0029】
(2)メルトフローレート(MFR)の測定
JIS K 7210に準じ、235℃、荷重2160gの条件で測定した。単位はg/10minである。
【0030】
(3)クリープ特性の測定
JIS1号引張試験片の両端を切落し、中央平行部の80mmをテストピースとして、クリープテスター(安田精機製作所製)を用い、下記により測定した。
テストピースを40mmのチャック間に挟み、試験温度80℃、荷重62kgの条件でクリープ試験を行った。試験開始時のチャック間距離と60時間試験した後のチャック間距離との差からクリープ歪の値を得た。クリープ歪の値が小さいほどクリープ特性は良いことを示す。
【0031】
(4)疲労特性の測定
ASTM5号試験片(中央平行部10mm)をテストピースとして、インストロン 1341型疲労試験機を使用し、定荷重引張疲労サイクル試験を行った。
疲労試験は、周波数5Hz、荷重360Nでサイクル回数9000回の条件で行い、試験終了時の永久伸びを測定した。この時の永久伸びにより疲労特性を評価した。永久伸びが短いほど疲労特性が良いことを示す。
【0032】
実施例1
ωーラウロラクタムと水とを加圧下で加熱し開環反応および初期重縮合させる前重合工程とそれに続く常圧下および/あるいは減圧下で重縮合させる後重合工程とからなる2段階連続重合反応実験装置を用い、5wt%の水を含有するωーラウロラクタムを50kg/hrでフィードし、前重合を温度285℃、重合系内の水蒸気圧力(以下、系内圧力と記載する。)33kgf/cm2G、滞留時間(重合時間を示す。以下、同様)14時間の条件で行った。次いで、得た前重合物に末端調節剤のステアリン酸をモノマー量に対し1/300モル添加し、後重合を265℃、系内圧力370Torr、滞留時間6時間の条件で行った後、溶融状態でストランド状に押出し、水槽中で冷却してからストランドを切断、乾燥してナイロン12のペレットを製造した。得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表1に示した。なお、クリープ試験、疲労試験の試験片は射出成形法により樹脂温度225℃で成形した。また、得たナイロン12ペレットを、ダイス/マンドレルの寸法が7.8mm/5.0mmのチューブ用ストレートダイ及び内径3.6mm、導入角度20度のサイジングフォーマを取付けた40mmφ単軸押出機((株)池貝製、FS40型、L/D=28)に供給し、単軸押出機のシリンダー温度を180〜210℃、真空水槽の水温を10℃、減圧度を10〜400mmHgとして、ベルト式引取機で引取り、外径3mm、内径2mmのチューブを成形した。ベルト式引取機の引取速度を40m/minとしたが、ほぼ真円のチューブが得られた。
【0033】
実施例2
内容量が70lのバッチ重合反応槽にωーラウロラクタム25kgと水5kgを仕込み、温度300℃、圧力30kgf/cm2Gの条件で20時間、前重合を行った。次いで、温度を270℃に下げ、圧力を常圧にしてから、1時間、後重合を行った。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表1に示した。クリープ試験などの試験片は実施例1と同様の方法で得た。
【0034】
比較例1
前重合の温度を276℃、系内圧力を29kgf/cm2Gとした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。この前重合時の系内圧力と滞留時間との積は406であり、5.64×107exp(−4.24×10−2×276)=468より小さい値である。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表1に示した。
また、この条件で得られたナイロン12を使用し、実施例1と同様の方法で外径3mm、内径2mmのチューブを成形した。ベルト式引取機の引取速度15m/minでは、ほぼ真円のチューブが得られたが、引取速度が20m/minと速くなると、チューブ形状は楕円となった。
【0035】
比較例2
前重合の温度を280℃、系内圧力を33kgf/cm2G、重合時間を10時間とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。この前重合時の系内圧力と滞留時間との積は330であり、5.64×107exp(−4.24×10−2×280)=394より小さい値である。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例3
前重合の温度を290℃、系内圧力を35kgf/cm2Gとし、末端調整剤のステアリン酸の添加量をモノマーに対し1/3000モル、後重合の温度を268℃、系内圧力を300〜270Torrとした以外は実施例1と同様の方法で実施した。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表2に示した。
【0038】
実施例4
前重合の温度を295℃、系内圧力を35kgf/cm2Gとし、末端調整剤のステアリン酸の添加量を1/1000モル、後重合の温度を268℃、系内圧力を230〜200Torrとした以外は実施例1と同様の方法で実施した。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表2に示した。
【0039】
比較例3
前重合の温度を276℃、系内圧力を29kgf/cm2Gとし、末端調整剤のステアリン酸の添加量を1/1000モル、後重合の温度を255℃、系内圧力を230Torr、滞留時間を4時間とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表2に示した。
【0040】
比較例4
前重合の温度を280℃、系内圧力を33kgf/cm2G、滞留時間を10時間とし、末端調整剤のステアリン酸の添加量を1/1000モル、後重合の温度を255℃、系内圧力を230Torr、滞留時間を4時間とした以外、実施例1と同様の方法で実施した。この条件で得たナイロン12のηr、MFR、クリープ試験後のクリープ歪、疲労試験後の永久伸びの測定結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
ηrが2.1〜3.3、MFRが0.1以上であり、かつ、ηrとMFRとの関係が数式(1)の関係にあるナイロン12は押出成形性、クリープ特性及び疲労特性などの機械的性質に優れ、チューブ状成形品に好適である。
【数6】
2.87×103exp(−3.48ηr)≦MFR
≦3.25×104exp(−3.48ηr) (1)
Claims (3)
- 98%硫酸中、濃度10g/dm3、25℃の条件で測定した相対粘度が2.1〜3.3であり、かつ、235℃、荷重2160gの条件で測定したメルトフローレートが0.1以上であるナイロン12において、該相対粘度と該メルトフローレートとが数式(1)
【数1】
2.87×103exp(−3.48ηr)≦MFR
≦3.25×104exp(−3.48ηr) (1)
(ここで、ηrは相対粘度、MFRはメルトフローレートである。)の関係にあることを特徴とするナイロン12。 - 加圧溶融下での前重合工程とそれに続く常圧下あるいは減圧下での後重合工程からなるナイロン12の製造法において、前重合工程の重合温度が285〜310℃の範囲にあり、重合温度、重合系内の圧力及び重合時間とが数式(2)
【数2】
7.99×105exp(−2.19×10-2T)≧Pt
≧5.64×107exp(−4.24×10-2T) (2)
(ここで、Tは重合温度で単位は℃、Pは重合系内の圧力で単位はkgf/cm2G、tは重合時間で単位は時間(hr)である。)の関係にあることを特徴とする請求項1記載のナイロン12の製造法。 - 請求項1記載のナイロン12又は請求項2記載の製造法から得られるナイロン12から製造されるチューブ状成形品。
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