JP3562265B2 - 長尺物移載装置およびそれを用いた長尺物の移載方法 - Google Patents
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【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送ラインで搬送されてきた長尺物をその搬送ラインから直角方向に移動し、平行に設けられた別の搬送ラインに積み換える移載装置およびそれを用いた長尺物の移載方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
鉄鋼製品の生産工場内では、原料、半製品、製品およびその加工に使用される治具などの長尺物が、種々の搬送ラインによってあらゆる方向に搬送されている。特に、鋼管や形鋼などの長尺な製品を生産する工場では、これらの搬送ラインを工夫しなければ生産が停滞したり、多くの工場敷地面積を無駄にするなどの問題がある。
【０００３】
長尺物の搬送について、マンネスマン製管法を用いた継目無鋼管の製造工場を例に説明する。
【０００４】
この製管方法は、高温度に加熱された中実の丸ビレットを被圧延材とし、この丸ビレットを穿孔圧延機（いわゆる、ピアサー）に供給して、その軸芯部を孔を明けて、中空素管を製造する。ついで、製造された中空素管をそのまま、あるいは必要に応じて上記穿孔圧延機と同一構成のエロンゲータに通して拡径、薄肉化を行った後、プラグミル、マンドレルミルなどの後続する延伸圧延機に供給して延伸圧延する。その後、ストレッチレジューサー、リーラー、サイザーなどに通して、形状修正やサイジングを行い、精製工程を経て継目無鋼管製品を製造する方法である。
【０００５】
このとき、穿孔圧延機（ピアサー）においては、圧延に供するプラグが芯金に保持される。使用される芯金の直径サイズは、穿孔するビレットや穿孔後の中空素管サイズに応じて、適正なサイズの芯金を選択しなければならない。最近のように、継目無鋼管の高効率生産を図るため、小径から大径までの寸法範囲の広い鋼管の製造が対象になってくると、穿孔圧延機では、製管段取りに応じて多くの種類の芯金を準備しなければならない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、穿孔圧延機に多くの種類の芯金が準備されるようになると、芯金の交換を効果的に行うとともに、プラグ寿命の改善を図るため、穿孔圧延機に芯金交換装置が設置されるようになる。
【０００７】
図５は、芯金交換装置の一例を模式的に示す図である。芯金交換装置６は、ピアサー７の出側に設置され、プラグ６５を装着した芯金Ｍを順次供給している。このため、芯金交換装置６は、穿孔圧延機にプラグを装着した芯金を供給し、また圧延後の芯金を排出する圧延ライン７１と、芯金を回転しつつ先端に装着されたプラグを冷却装置６４に挿入して冷却する冷却ライン６３と、隣接する圧延ラインおよび冷却ラインに芯金を転送する蹴り上げ装置６１と、逆方向に芯金を転送するマニピュレータ６２とを備え、図中の矢印に沿って、穿孔圧延機に供給する芯金Ｍを循環使用している。さらに必要に応じプラグの表面状態を検査する検査ライン６６も設けられている。
【０００８】
同図に示すように、さらに芯金交換装置６では、次に使用する芯金を準備したり、圧延を終了した芯金を回収する芯金ストックテーブル８が配設され、この芯金ストックテーブル８と芯金交換装置６との間で芯金を搬送する芯金搬送ライン５が設けられている。この芯金ストックテーブル８では、長尺で多種類の芯金を効果的に準備して芯金交換装置６に供給したり、短時間で圧延を終了した芯金を回収する必要があるため、芯金を簡易な設備で横送りを可能とし、搬送ライン５と芯金ストックテーブル間での移載を確実に行うことが必須となる。従来から、このような機能を有する搬送設備として、チェンコンベヤやウオーキングビーム等の蹴り上げ装置や横送り装置が使用されているが、設備が大規模になり、設備費が増大するとともに、その運転および制御する設備も複雑になるなどの問題があった。
【０００９】
本発明の目的は、従来の蹴り上げ装置と横送り装置の機能を一体として発揮できる装置を開発して、構造が簡単で、運転および制御することの簡単な長尺物の移載装置および移載方法を提供するにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来積み換えの各所に設けられている蹴上げ装置を移動させる構造を採用することによって、上記の目的が達成されることに着目して、本発明を完成した。本発明の要旨は、図２および図３に示す▲１▼の長尺物移載装置および▲２▼の移載方法である。
【００１１】
(1) 回転揺動する載荷桿11を有し軌道31を走行する移載台車1と、その移載台車を無端索21によって連結した移載台車移動装置2からなる長尺物移載装置を対象としている。
【００１２】
上記の長尺物移載装置において、移載台車1は、一端に載荷部12を有し、他端が無端索21に連結され、かつ中央部が軸支された載荷桿11と、車輪13とがそれぞれ台車枠14に軸支され、移載台車移動装置2の無端索21によって水平方向の移動と載荷桿の回転揺動を可能とした装置である。
【００１３】
▲２▼ 載荷部を有し回転揺動する載荷桿と車輪とが台車枠に軸支された移載台車を無端索によって連結し、無端索の一端を載荷桿に連結し、他の一端を台車枠に連結し、無端索を駆動滑車と摺動する従動滑車によって移動させ、駆動滑車による無端索の移動によって移載台車を走行させ、従動滑車の摺動による無端索の張力によって載荷桿を回転揺動させ、載置桿の回転揺動によって載置部に長尺物を載置し、移載台車の走行と載荷桿の回転揺動によって長尺物を積み換えることを特徴とする長尺物の移載方法。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の移載装置について、上記長尺物が継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機のピアサープラグを装着する芯金（以下、これを単に「芯金」と記載する）である場合について説明する。
【００１５】
図１は、本発明の長尺物移載装置が設置された芯金搬送ラインの概略を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図である。芯金Ｍは、駆動または非駆動する複数の鼓型ローラ３５，３６で構成された搬送ライン５に乗せられ、鼓型ローラの回転によって軸方向に走行搬送される。図１に示すように長尺物移載装置３は、鼓型ローラ３５，３６の間に、芯金の搬送方向と直角に複数基（ここでは４基）が設けられ、搬送ラインの両側に置かれたクレイドル４から芯金を搬送ライン５と直角方向に搬送して、前記搬送ラインの鼓型ローラの上に載せ換えする。複数基の長尺物移載装置（以下、これを「移載装置」という）は、駆動滑車２２の駆動軸２４によって連結され、それぞれ同期して運転できる構造になっている。
【００１６】
図２は、本発明の移載装置の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。長尺物（芯金）の移載装置３は、回転揺動する載荷桿１１を有し軌道３１の上を走行する移載台車１と、その移載台車を無端索２１によって連結した移載台車移動装置２によって構成されている。
【００１７】
図３は、本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。移載台車１は、載荷桿１１と車輪１３とがそれぞれの軸によって台車枠１４に組み込まれ、載荷桿１１の一端と台車枠１４とが無端索２１に連結された構造となっている。
【００１８】
載荷桿１１は、一端には上方に解放した載荷部１２を有し、他端には無端索２１に連結する金具１５と台車枠１４に連結するばね１７とが設けられ、かつ中央部には回転揺動させるために軸受け１９を介して支持軸１８によって軸支されている。載荷桿が回転揺動することによって、載荷部１２が矢印で示したように載荷に必要な高さだけ上昇し、芯金を載せ換える。また、回転揺動しないときには、ばね１７によって載荷部１２を下げた状態とする。
【００１９】
台車枠１４には、軸受けを介して従動できる車輪１３が取り付けられ、その台車枠１４に取り付けた金具１６と載荷桿１２に取り付けた金具１５とによって無端索２１に連結され、たとえば溝型鋼のフランジ部で構成した軌道３１の上を走行する。
【００２０】
図４は、本発明の移載台車移動装置の従動滑車側の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。移載台車移動装置２は、無端索２１と、駆動滑車２２および摺動可能な従動滑車２３によって構成されている（駆動滑車２２は、図２を参照）。
【００２１】
無端索２１は、チェーン、ワイヤ、ロープ、ベルトなどのループ状に滑車にかけられ、動力を伝達できるものが使用できる。駆動滑車および従動滑車は、無端索に対応するものが使用され、無端索としてチェーンを使用する場合には、駆動滑車および従動滑車としてスプロケットを使用する。
【００２２】
駆動滑車２２は、図１に示すように、複数基の移載装置３に共通する駆動軸２４に固定され、図２に示すように、さらに軸受け２５を介して移載装置の支柱３２に固定されている。それぞれの移載装置２の駆動滑車２２が同期して回転することにより、無端索２１を移動させ、移載台車１を走行させる。
【００２３】
従動滑車２３は、図４に示すように軸受け２６を介して支持軸２７に固定され、さらにその支持軸２７は両側から２つの軸箱２８によって支持されている。従動滑車２３は、無端索２１の移動によって回転させられる。
【００２４】
従動滑車の軸箱２８は、図４（ｂ）に示すように上下に設けられた２つの摺動部材２９の間に挿入され、軸箱の一端が油圧装置などの摺動装置３３に連結され、摺動部材２９および摺動装置３３は、移載装置の支柱３２に固定されている。図２（ｂ）に示すように摺動装置３３によって従動滑車２３を水平方向に移動すると、無端索２１に張力が加わり、無端索の一端に連結された移載台車１の移載桿１１を回転揺動させ、その載荷部１２を上昇させる。また、載荷部１２を上昇させた状態で、駆動滑車２２を回転させると無端索２１が移動し、芯金を保持した移載台車１が走行してクレイドル４から搬送ライン５へ移動することができる。
【００２５】
図２および図４に示した従動滑車の摺動装置３３には、たとえば油圧シリンダーが使用され、それぞれの従動滑車に１個の油圧シリンダーが設置され、油圧の送給・排出を同期することによって芯金を同時に上昇させることができる。また、移載装置の支柱にラックと摺動部材を設け、従動滑車の軸を複数の移載装置において共通とし、その共通軸に前記ラックと噛み合うピニオン歯車を設け、共通軸を回転することによって従動滑車を摺動させることもできる。
【００２６】
次に、本発明の移載装置を使用して、芯金をクレイドルから搬送ラインに移載する方法について説明する。なお、移載装置は、図１に示すように駆動滑車の駆動軸が連結され、また図２に示す摺動装置の油圧供給・排出が同期され、複数基の移載装置の下記に示す動作が同時に行われる。
【００２７】
図２（ｂ）の右側に示す移載台車１のように載荷部１２を下げた状態で、芯金Ｍを載置したクレイドル４の下方に走行させ、移載すべき１本の芯金の位置する下方に載荷部が位置するように駆動滑車２２の回転を調整する。そして、摺動装置３３の油圧装置に油圧を供給すると、従動滑車は回転しながら水平方向に移動し、無端索２１に張力が加わる。無端索の張力が、載荷桿１１と台車枠１４に連結されたばね１７の張力よりも大きくなると、載荷桿を回転揺動させ、載荷部に芯金を載置する。載荷部１２は、図示するように上方に解放された形状をしており、芯金の自転によって載置できるが、摺動装置と駆動滑車とを駆動させて、芯金を載荷部の中央に載置することができる。
【００２８】
芯金を載荷部に載置し、さらに摺動装置を駆動させて載荷桿を回転させて、芯金を上昇させ、その状態で駆動滑車を駆動して無端索の移動によって移載台車を搬送ライン側に走行させる。芯金が搬送ラインの鼓型ローラ３５，３６の上にきたとき、摺動装置の油圧を減じ、無端索の張力を緩め、ばねによって移載桿を回転させ、鼓型ローラの上に芯金を載置する。鼓型ローラの上に載置するのは、前述したように芯金の自転によって載置できるが、摺動装置と駆動滑車とを駆動させて、芯金を鼓型ローラの中央部に載置することができる。
【００２９】
本発明の移載装置は、搬送ラインの鼓型ローラおよびクレイドルが設置された間に、搬送ラインと直角に複数基が設けられているので、芯金を持ち上げた状態の移載台車を、駆動滑車を回転することによって搬送ラインの両側に設けられたクレイドルの間を走行することができる。
【００３０】
【発明の効果】
本発明の移載装置は、長尺物を載置して回転揺動する載荷桿と台車枠とを無端索によって連結し、無端索の移動によって長尺物を上下させることと搬送ラインと直角方向に走行できる構造としたので、構造が簡単であるが、従来の蹴り上げ装置と横行装置の機能を同時に発揮することができる。このため、上述の長尺物である芯金の移載に際し、１基の移載装置に対して１台の移載台車を設けることによって、搬送ラインの両側に設けられた長尺物載荷装置（クレイドル）の間を簡易に運搬することができる。同様に、このような装置を用いる移載方法によれば、長尺材を搬送ラインから容易に積み換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の長尺物移載装置が設置された芯金搬送ラインの概略を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図である。
【図２】本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図３】本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図４】本発明の移載台車移動装置の従動滑車側の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図５】芯金交換装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
１．移載台車 ２．移載台車移動装置
３．長尺物移載装置 ４．クレイドル
５．搬送ライン ６．芯金交換装置
７．ピアサー ８．ストックテーブル Ｍ．芯金
１１．載荷桿 １２．載荷部 １３．車輪 １４．台車枠
１５，１６．金具 １７．ばね １８．支持軸
１９．軸受け ２１．無端索 ２２．駆動滑車
２３．従動滑車 ２４．駆動軸 ２５，２６．軸受け
２７．支持軸 ２８．軸箱 ２９．摺動部材 ３１．軌道
３２．支柱 ３３．摺動装置 ５１，５２．鼓型ローラ
６１．蹴上げ装置 ６２．マニピュレータ
６３，６３ａ，６３ｂ．冷却ライン ６４．プラグ
６５．冷却装置 ６６．検査ライン
７１．ピアサー圧延ライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送ラインで搬送されてきた長尺物をその搬送ラインから直角方向に移動し、平行に設けられた別の搬送ラインに積み換える移載装置およびそれを用いた長尺物の移載方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
鉄鋼製品の生産工場内では、原料、半製品、製品およびその加工に使用される治具などの長尺物が、種々の搬送ラインによってあらゆる方向に搬送されている。特に、鋼管や形鋼などの長尺な製品を生産する工場では、これらの搬送ラインを工夫しなければ生産が停滞したり、多くの工場敷地面積を無駄にするなどの問題がある。
【０００３】
長尺物の搬送について、マンネスマン製管法を用いた継目無鋼管の製造工場を例に説明する。
【０００４】
この製管方法は、高温度に加熱された中実の丸ビレットを被圧延材とし、この丸ビレットを穿孔圧延機（いわゆる、ピアサー）に供給して、その軸芯部を孔を明けて、中空素管を製造する。ついで、製造された中空素管をそのまま、あるいは必要に応じて上記穿孔圧延機と同一構成のエロンゲータに通して拡径、薄肉化を行った後、プラグミル、マンドレルミルなどの後続する延伸圧延機に供給して延伸圧延する。その後、ストレッチレジューサー、リーラー、サイザーなどに通して、形状修正やサイジングを行い、精製工程を経て継目無鋼管製品を製造する方法である。
【０００５】
このとき、穿孔圧延機（ピアサー）においては、圧延に供するプラグが芯金に保持される。使用される芯金の直径サイズは、穿孔するビレットや穿孔後の中空素管サイズに応じて、適正なサイズの芯金を選択しなければならない。最近のように、継目無鋼管の高効率生産を図るため、小径から大径までの寸法範囲の広い鋼管の製造が対象になってくると、穿孔圧延機では、製管段取りに応じて多くの種類の芯金を準備しなければならない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、穿孔圧延機に多くの種類の芯金が準備されるようになると、芯金の交換を効果的に行うとともに、プラグ寿命の改善を図るため、穿孔圧延機に芯金交換装置が設置されるようになる。
【０００７】
図５は、芯金交換装置の一例を模式的に示す図である。芯金交換装置６は、ピアサー７の出側に設置され、プラグ６５を装着した芯金Ｍを順次供給している。このため、芯金交換装置６は、穿孔圧延機にプラグを装着した芯金を供給し、また圧延後の芯金を排出する圧延ライン７１と、芯金を回転しつつ先端に装着されたプラグを冷却装置６４に挿入して冷却する冷却ライン６３と、隣接する圧延ラインおよび冷却ラインに芯金を転送する蹴り上げ装置６１と、逆方向に芯金を転送するマニピュレータ６２とを備え、図中の矢印に沿って、穿孔圧延機に供給する芯金Ｍを循環使用している。さらに必要に応じプラグの表面状態を検査する検査ライン６６も設けられている。
【０００８】
同図に示すように、さらに芯金交換装置６では、次に使用する芯金を準備したり、圧延を終了した芯金を回収する芯金ストックテーブル８が配設され、この芯金ストックテーブル８と芯金交換装置６との間で芯金を搬送する芯金搬送ライン５が設けられている。この芯金ストックテーブル８では、長尺で多種類の芯金を効果的に準備して芯金交換装置６に供給したり、短時間で圧延を終了した芯金を回収する必要があるため、芯金を簡易な設備で横送りを可能とし、搬送ライン５と芯金ストックテーブル間での移載を確実に行うことが必須となる。従来から、このような機能を有する搬送設備として、チェンコンベヤやウオーキングビーム等の蹴り上げ装置や横送り装置が使用されているが、設備が大規模になり、設備費が増大するとともに、その運転および制御する設備も複雑になるなどの問題があった。
【０００９】
本発明の目的は、従来の蹴り上げ装置と横送り装置の機能を一体として発揮できる装置を開発して、構造が簡単で、運転および制御することの簡単な長尺物の移載装置および移載方法を提供するにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来積み換えの各所に設けられている蹴上げ装置を移動させる構造を採用することによって、上記の目的が達成されることに着目して、本発明を完成した。本発明の要旨は、図２および図３に示す▲１▼の長尺物移載装置および▲２▼の移載方法である。
【００１１】
(1) 回転揺動する載荷桿11を有し軌道31を走行する移載台車1と、その移載台車を無端索21によって連結した移載台車移動装置2からなる長尺物移載装置を対象としている。
【００１２】
上記の長尺物移載装置において、移載台車1は、一端に載荷部12を有し、他端が無端索21に連結され、かつ中央部が軸支された載荷桿11と、車輪13とがそれぞれ台車枠14に軸支され、移載台車移動装置2の無端索21によって水平方向の移動と載荷桿の回転揺動を可能とした装置である。
【００１３】
▲２▼ 載荷部を有し回転揺動する載荷桿と車輪とが台車枠に軸支された移載台車を無端索によって連結し、無端索の一端を載荷桿に連結し、他の一端を台車枠に連結し、無端索を駆動滑車と摺動する従動滑車によって移動させ、駆動滑車による無端索の移動によって移載台車を走行させ、従動滑車の摺動による無端索の張力によって載荷桿を回転揺動させ、載置桿の回転揺動によって載置部に長尺物を載置し、移載台車の走行と載荷桿の回転揺動によって長尺物を積み換えることを特徴とする長尺物の移載方法。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の移載装置について、上記長尺物が継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機のピアサープラグを装着する芯金（以下、これを単に「芯金」と記載する）である場合について説明する。
【００１５】
図１は、本発明の長尺物移載装置が設置された芯金搬送ラインの概略を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図である。芯金Ｍは、駆動または非駆動する複数の鼓型ローラ３５，３６で構成された搬送ライン５に乗せられ、鼓型ローラの回転によって軸方向に走行搬送される。図１に示すように長尺物移載装置３は、鼓型ローラ３５，３６の間に、芯金の搬送方向と直角に複数基（ここでは４基）が設けられ、搬送ラインの両側に置かれたクレイドル４から芯金を搬送ライン５と直角方向に搬送して、前記搬送ラインの鼓型ローラの上に載せ換えする。複数基の長尺物移載装置（以下、これを「移載装置」という）は、駆動滑車２２の駆動軸２４によって連結され、それぞれ同期して運転できる構造になっている。
【００１６】
図２は、本発明の移載装置の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。長尺物（芯金）の移載装置３は、回転揺動する載荷桿１１を有し軌道３１の上を走行する移載台車１と、その移載台車を無端索２１によって連結した移載台車移動装置２によって構成されている。
【００１７】
図３は、本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。移載台車１は、載荷桿１１と車輪１３とがそれぞれの軸によって台車枠１４に組み込まれ、載荷桿１１の一端と台車枠１４とが無端索２１に連結された構造となっている。
【００１８】
載荷桿１１は、一端には上方に解放した載荷部１２を有し、他端には無端索２１に連結する金具１５と台車枠１４に連結するばね１７とが設けられ、かつ中央部には回転揺動させるために軸受け１９を介して支持軸１８によって軸支されている。載荷桿が回転揺動することによって、載荷部１２が矢印で示したように載荷に必要な高さだけ上昇し、芯金を載せ換える。また、回転揺動しないときには、ばね１７によって載荷部１２を下げた状態とする。
【００１９】
台車枠１４には、軸受けを介して従動できる車輪１３が取り付けられ、その台車枠１４に取り付けた金具１６と載荷桿１２に取り付けた金具１５とによって無端索２１に連結され、たとえば溝型鋼のフランジ部で構成した軌道３１の上を走行する。
【００２０】
図４は、本発明の移載台車移動装置の従動滑車側の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。移載台車移動装置２は、無端索２１と、駆動滑車２２および摺動可能な従動滑車２３によって構成されている（駆動滑車２２は、図２を参照）。
【００２１】
無端索２１は、チェーン、ワイヤ、ロープ、ベルトなどのループ状に滑車にかけられ、動力を伝達できるものが使用できる。駆動滑車および従動滑車は、無端索に対応するものが使用され、無端索としてチェーンを使用する場合には、駆動滑車および従動滑車としてスプロケットを使用する。
【００２２】
駆動滑車２２は、図１に示すように、複数基の移載装置３に共通する駆動軸２４に固定され、図２に示すように、さらに軸受け２５を介して移載装置の支柱３２に固定されている。それぞれの移載装置２の駆動滑車２２が同期して回転することにより、無端索２１を移動させ、移載台車１を走行させる。
【００２３】
従動滑車２３は、図４に示すように軸受け２６を介して支持軸２７に固定され、さらにその支持軸２７は両側から２つの軸箱２８によって支持されている。従動滑車２３は、無端索２１の移動によって回転させられる。
【００２４】
従動滑車の軸箱２８は、図４（ｂ）に示すように上下に設けられた２つの摺動部材２９の間に挿入され、軸箱の一端が油圧装置などの摺動装置３３に連結され、摺動部材２９および摺動装置３３は、移載装置の支柱３２に固定されている。図２（ｂ）に示すように摺動装置３３によって従動滑車２３を水平方向に移動すると、無端索２１に張力が加わり、無端索の一端に連結された移載台車１の移載桿１１を回転揺動させ、その載荷部１２を上昇させる。また、載荷部１２を上昇させた状態で、駆動滑車２２を回転させると無端索２１が移動し、芯金を保持した移載台車１が走行してクレイドル４から搬送ライン５へ移動することができる。
【００２５】
図２および図４に示した従動滑車の摺動装置３３には、たとえば油圧シリンダーが使用され、それぞれの従動滑車に１個の油圧シリンダーが設置され、油圧の送給・排出を同期することによって芯金を同時に上昇させることができる。また、移載装置の支柱にラックと摺動部材を設け、従動滑車の軸を複数の移載装置において共通とし、その共通軸に前記ラックと噛み合うピニオン歯車を設け、共通軸を回転することによって従動滑車を摺動させることもできる。
【００２６】
次に、本発明の移載装置を使用して、芯金をクレイドルから搬送ラインに移載する方法について説明する。なお、移載装置は、図１に示すように駆動滑車の駆動軸が連結され、また図２に示す摺動装置の油圧供給・排出が同期され、複数基の移載装置の下記に示す動作が同時に行われる。
【００２７】
図２（ｂ）の右側に示す移載台車１のように載荷部１２を下げた状態で、芯金Ｍを載置したクレイドル４の下方に走行させ、移載すべき１本の芯金の位置する下方に載荷部が位置するように駆動滑車２２の回転を調整する。そして、摺動装置３３の油圧装置に油圧を供給すると、従動滑車は回転しながら水平方向に移動し、無端索２１に張力が加わる。無端索の張力が、載荷桿１１と台車枠１４に連結されたばね１７の張力よりも大きくなると、載荷桿を回転揺動させ、載荷部に芯金を載置する。載荷部１２は、図示するように上方に解放された形状をしており、芯金の自転によって載置できるが、摺動装置と駆動滑車とを駆動させて、芯金を載荷部の中央に載置することができる。
【００２８】
芯金を載荷部に載置し、さらに摺動装置を駆動させて載荷桿を回転させて、芯金を上昇させ、その状態で駆動滑車を駆動して無端索の移動によって移載台車を搬送ライン側に走行させる。芯金が搬送ラインの鼓型ローラ３５，３６の上にきたとき、摺動装置の油圧を減じ、無端索の張力を緩め、ばねによって移載桿を回転させ、鼓型ローラの上に芯金を載置する。鼓型ローラの上に載置するのは、前述したように芯金の自転によって載置できるが、摺動装置と駆動滑車とを駆動させて、芯金を鼓型ローラの中央部に載置することができる。
【００２９】
本発明の移載装置は、搬送ラインの鼓型ローラおよびクレイドルが設置された間に、搬送ラインと直角に複数基が設けられているので、芯金を持ち上げた状態の移載台車を、駆動滑車を回転することによって搬送ラインの両側に設けられたクレイドルの間を走行することができる。
【００３０】
【発明の効果】
本発明の移載装置は、長尺物を載置して回転揺動する載荷桿と台車枠とを無端索によって連結し、無端索の移動によって長尺物を上下させることと搬送ラインと直角方向に走行できる構造としたので、構造が簡単であるが、従来の蹴り上げ装置と横行装置の機能を同時に発揮することができる。このため、上述の長尺物である芯金の移載に際し、１基の移載装置に対して１台の移載台車を設けることによって、搬送ラインの両側に設けられた長尺物載荷装置（クレイドル）の間を簡易に運搬することができる。同様に、このような装置を用いる移載方法によれば、長尺材を搬送ラインから容易に積み換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の長尺物移載装置が設置された芯金搬送ラインの概略を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図である。
【図２】本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図３】本発明の移載台車の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図４】本発明の移載台車移動装置の従動滑車側の一例を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は立面図、（ｃ）は側面図である。
【図５】芯金交換装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
１．移載台車 ２．移載台車移動装置
３．長尺物移載装置 ４．クレイドル
５．搬送ライン ６．芯金交換装置
７．ピアサー ８．ストックテーブル Ｍ．芯金
１１．載荷桿 １２．載荷部 １３．車輪 １４．台車枠
１５，１６．金具 １７．ばね １８．支持軸
１９．軸受け ２１．無端索 ２２．駆動滑車
２３．従動滑車 ２４．駆動軸 ２５，２６．軸受け
２７．支持軸 ２８．軸箱 ２９．摺動部材 ３１．軌道
３２．支柱 ３３．摺動装置 ５１，５２．鼓型ローラ
６１．蹴上げ装置 ６２．マニピュレータ
６３，６３ａ，６３ｂ．冷却ライン ６４．プラグ
６５．冷却装置 ６６．検査ライン
７１．ピアサー圧延ライン
Claims (2)
- 回転揺動する載荷桿を有し軌道を走行する移載台車と、その移載台車を無端索によって連結した移載台車移動装置とを有する長尺物移載装置であって、
前記移載台車は、一端に載荷部を有し、他端が無端索に連結され、中央部が軸支された載荷桿と、車輪とがそれぞれ台車枠に軸支され、その台車枠が無端索に連結されていることを特徴とする長尺物移載装置。 - 載荷部を有し回転揺動する載荷桿と車輪とが台車枠に軸支された移載台車を無端索によって連結し、無端索の一端を載荷桿に連結し、他の一端を台車枠に連結し、無端索を駆動滑車と摺動する従動滑車によって移動させ、駆動滑車による無端索の移動によって移載台車を走行させ、従動滑車の摺動による無端索の張力によって載荷桿を回転揺動させ、載置桿の回転揺動によって載置部に長尺物を載置し、移載台車の走行と載荷桿の回転揺動によって長尺物を積み換えることを特徴とする長尺物の移載方法。
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