JP3562185B2 - 顔料組成物およびそれを用いた被覆剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性の改良された顔料組成物であり、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる着色用顔料組成物、ならびにインキ,塗料等の被覆剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
顔料は一般に、塗料、インキ等の媒体中で凝集を起こす傾向がある。塗料やインキの貯蔵中又は乾燥時に顔料粒子の凝集が起きると、色調の変化、着色力の低下、他顔料との混色時における色別れおよび流動性の低下等の原因となる。従来、当問題の解決方法として、凝集防止剤や分散助剤の添加、例えば顔料置換誘導体の添加等が提案されたが、これまでのところこれらの方法では十分ではなく、添加物に由来する諸物性の低下や添加物がブリードするなど問題があった。
【0003】
また、これらの分散剤が使用された熱可塑性樹脂着色用組成物は、着色された熱可塑性樹脂を10数ミクロン径で高速紡糸したり、フィルム化するなど高度な顔料分散が求められる場合には、満足な顔料分散性が得られないことがある。すなわち、顔料分散不良による紡糸時の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィルムでの成形不良などである。さらに、顔料の凝集は引張強度や曲げ強度および衝撃強度等の機械物性を低下させる要因ともなりやすい。これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂着色用組成物の加工方法の改良や強力混練機により顔料分散性を向上させる努力が行われてきたが、いずれも十分な顔料分散能を発揮するものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記種々の欠点を改良し、インキ、塗料、熱可塑性樹脂等の着色に際して色相、着色力、分散性に優れた顔料組成物ならびに被覆剤の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂は有機顔料と親和性が高いため、顔料との混合・混練時において、顔料をはじいて凝集させることがなく、また、分散された顔料粒子の保護層としても働くため再凝集の抑制にも効果があり、安定した高分散性、高着色力を達成することを見出し、本発明に至った。ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂の、顔料との高い親和性は、ナフタレン骨格と有機顔料骨格の類似性に起因していると推定され、有機顔料はベンゼン環をはじめとする多環構造を有していることからナフタレンと高い親和性をもつものと考えられる。
【0006】
すなわち、本発明は、有機顔料(A)と、ナフタレン変性量が 5×10−5mol/g 〜 1.0×10−3mol/g のナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)とを含む顔料組成物を提供する。
また、本発明は、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)が、カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとをエステル化して得られる樹脂であることを特徴とする上記顔料組成物を提供する。
また、本発明は、顔料組成物中に、有機顔料(A)を 1〜95重量%、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)を 5〜99重量%含むことを特徴とする上記顔料組成物を提供する。
さらに、本発明は、上記顔料組成物を水または有機溶剤に溶解または分散してなる被覆剤を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げて本発明を説明する。
有機顔料(A)としては、公知の顔料が使用できる。例えば、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、ナフトールAS系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等のアゾ系顔料、アンスラピリミジン、インダスレン、フラバンスロン、ジブロモアンスアンスロン、ピランスロン、ジクロロイソビオランスロン等のアンスラキノン系縮合多環系顔料、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、ピロコリン、フルオルビン、キノフタロン等の縮合多環系顔料、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料、ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料、有機蛍光顔料などが挙げられる。本発明で用いる顔料は、乾燥顔料であっても、水または有機溶剤を含んだ湿潤状態の顔料であってもよい。
【0008】
ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)としては、カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとをエステル化して得られる樹脂が使用できる。なお、ナフタレン変性量は、酸価の測定結果を用いて以下の式から求めたものである。
ただし、α=カルボシキル基含有ポリオレフィン系樹脂の仕込み重量/(ヒドロキシル基含有ナフタレンの仕込み重量+カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂の仕込み重量)
【0009】
ポリオレフィン系樹脂にナフタレンを高度に付加させてなり、ナフタレンの変性量が 1.0×10−3mol/g を越える樹脂は、主鎖が堅くなって顔料被覆能力が低下すると共に、得られる顔料組成物が脆くなり機械強度の低下を招くため、本発明には使用できない。また、必要に応じて併用する他の樹脂との相溶性も低下し、様々な問題を引き起こす。一方、ナフタレン変性量が 5×10−5mol/g より少ない樹脂は、安定した高分散性、高着色力の効果を発揮しない。
【0010】
ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)の原料となるカルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンメタクリル酸共重合体等のオレフィンと不飽和カルボン酸またはその酸無水物との共重合体や、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸またはその酸無水物をグラフト重合させたものが挙げられる。何を使うかは、用途や他成分とのバランスを考えた上で、融点や溶融粘度、相溶性等に着目して決定する。
【0011】
オレフィンの代表例を挙げると、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘプテン、C12〜C14のオレフィンの混合物「ダイアレン124」(三菱化学社製)等がある。
不飽和カルボン酸の代表例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等がある。
不飽和カルボン酸の酸無水物の代表例を挙げると、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸等がある。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂への不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のグラフト化は、公知の方法、一般的には、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等で行えるが、これらの重合方法および反応操作において特に限定されるものではない。例えば、有機過酸化物の存在下に、ポリプロピレンおよび上記不飽和カルボン酸またはその無水物をポリプロピレンの融点以上の温度(通常は150℃〜300℃)で溶融混練することによって得られる。
【0013】
カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂として、市販されているもので例を挙げれば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとして、「アドマーQE810」(三井石油化学工業社製)、「ユーメックス1010」(三洋化成社製)等があり、さらに、アクリル酸変性ポリプロピレン「PB1001](大日本インキ化学工業社製)、エチレン−メタクリル酸共重合体「ニュ−クレルN1035」(三井石油化学工業社製)、エチレン−アクリル酸共重合体「ESCOREX922」(エクソン社製)、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸共重合体「ボンダインHX8140」(住友化学工業社製)、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物「ポリタックH3000P」(出光石油化学社製)、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体「ZYLAC106」(東洋ペトロライト社製)、ポリエチレンの酸化分解ワックス「ハイワックス4202E」(三井石油化学工業社製)等がある。
【0014】
ヒドロキシル基含有ナフタレンとしては、2−ナフタレンメタノ−ル、2−ナフタレンエタノ−ル、β−ナフトール、ポリオキシエチルナフタレンなどが挙げられる。ポリオレフィン主鎖からナフタレンまでの鎖長を長くとることにより、ポリオレフィン主鎖を堅くさせずに変性率を上げることが可能である。
カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとのエステル化は公知の方法で行うことができる。一般には、酸触媒存在下、溶融減圧状態で数時間攪拌して得られる。
【0015】
有機顔料(A)とナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)とは、顔料組成物中に、有機顔料(A) 1〜95重量%、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B) 5〜99重量%の割合で含まれることが好ましい。有機顔料(A)の含有量がが95重量%を越えると加工が困難となり、 1重量%より少ないと着色が不充分となる。
【0016】
本発明の分散性の改良された顔料組成物は、必要に応じて、他の樹脂、金属石鹸、酸化防止剤、光安定剤等を添加し、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる。
他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0017】
また、本発明の顔料組成物は、必要に応じて、他の樹脂、植物油、鉱物油と共に、水または有機溶剤に溶解または分散することにより、インキ,塗料等の被覆剤とすることもできる。
他の樹脂としては、ロジン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、他のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例で、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例および比較例において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
(製造例1)
エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物「ポリタックH3000P」(出光石油化学社製、酸価71.9)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下220℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB4」(日本乳化剤社製)33.8部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 3×10−4mol/g )を得た。
【0019】
(製造例2)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン「アドマーQE810」(三井石油化学工業社製、酸価3.3)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下220℃まで昇温して溶融し、2−ナフタレンエタノール3.4部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 5×10−5mol/g )を得た。
【0020】
(製造例3)
エチレン−アクリル酸共重合体「プリマコ−ル3460」(ダウケミカル社製、酸価81.9)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下200℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB18」(日本乳化剤社製)270部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 3×10−4mol/g )を得た。
【0021】
(製造例4)
アルキルカルボン酸「ユニシッド700」(東洋ペトロライト社製,酸価63)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下180℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB4」(日本乳化剤社製)119部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 8×10−4mol/g )を得た。
【0022】
(製造例5)
αオレフィン−無水マレイン酸共重合体「ZYLAC106」(東洋ペトロライト社製、酸価185)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下160℃まで昇温して溶融し、2−ナフタレンメタノ−ル30部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 5×10−4mol/g )を得た。
【0023】
(製造例6)
製造例5において、2−ナフタレンメタノールの添加量を90部として、ナフタレン変性樹脂(変性量 1.2×10−3mol/g )を得た。
【0024】
(実施例1)
上記3成分をヘンシェルミキサーにてプレミックスし、二軸押出機「PCM30」(池貝社製)を用いて温度170℃、回転数350rpmの条件でマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2.5部を混合して、縦型テスト紡糸機(富士フィルター社製スピニングテスター)にて、ホッパー下230℃、混練部、ダイス部230℃にて紡糸後3倍延伸を行い、5デニールのポリプロピレン繊維を得た。紡糸性、目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
【0025】
未分散顔料の目詰まり性を比較するために、得られたマスターバッチ3kgを先端に1450メッシュの金網を装着したスクリュー径が30mmの単軸押出機で押し出し、先端部での圧力上昇値を測定し、未分散顔料の目詰まり性をそれぞれ評価した。また、顔料の分散発色性を比較するために、得られたマスターバッチ2.5部を酸化チタンマスターバッチ「TET12534W−T」(東洋インキ製造社製)5部とポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に配合したものを2本ロールミルで混練し冷却プレスで2mm厚のプレートに成形した。次に、色差計「KURABO Color−7E」(KURABO社製)を用いて波長640nmの反射率を測定し、その反射率におけるKubelka−Munk関数値(k/s値)を求め発色強度とした。以上の結果を表1に示す。
【0026】
さらに、メルトフローレート:6.5のポリエチレン「ハイゼックス2100J」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2.5部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形した。得られた成形品の機械的物性,表面の色ムラおよび顔料分散性度を評価した結果およびマスターバッチの生産性を表2にまとめる。
【0027】
(実施例2〜3)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例2〜3で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。また、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
さらに、実施例1と同様に各種評価をした。結果を表1、2に示す。
【0028】
(比較例1〜3)
製造例1〜3で得られた樹脂の代わりに変性前の樹脂を用いた以外は、実施例1〜3と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
さらに、実施例1と同様に各種評価をした。結果を表1、2に示す。
【0029】
(実施例4)
上記2成分をヘンシェルミキサーにてプレミックスし、二軸押出機「PCM30」(池貝社製)を用いて温度180℃、回転数350rpmの条件でマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に、得られたマスターバッチ3.3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートを成形し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0030】
(実施例5)
イソインドリノンイエロー「クロモフタールイエローGR」の代わりに縮合アゾイエロー「クロモフタールイエロー3G」(チバガイギー社製)を用いた以外は、実施例4と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0031】
(実施例6)
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。ポリエチレン「ミラソン11P」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ3.3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0032】
(実施例7)
ジスアゾイエロー「クロモフタールイエローHG」の代わりにキノフタロンイエロー「パリオトールイエローK0961HD」(BASF社製)を用いた以外は、実施例6と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0033】
(比較例4〜7)
実施例4〜7においてナフタレン変性樹脂の代わりに変性前の樹脂を用いた以外は、各実施例と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0034】
(実施例8)
フタロシアニンブルー「リオノールブルーFG7330」の代わりにジオキサジンバイオレット「PVファーストバイオレットRL−SPE」(ヘキスト社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0035】
(実施例9)
フタロシアニンブルー「リオノールブルーFG7330」の代わりにペリレン顔料「PVファーストオレンジGRL」を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0036】
(実施例10)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例5で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0037】
(比較例8)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例6で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
*1 無着色樹脂の機械物性(100%)に対するマスターバッチで着色された樹脂の機械的物性の保持率。
○:96%以上
△:90〜96%
×:90%未満
*2 成型品表面の色ムラを目視で評価した。
○:色ムラなし
△:色ムラ少々あり
×:色ムラ顕著
【0040】
*3 被着色樹脂100部とマスターバッチ3部を配合した混練物をプレス温度 170℃の条件下でプレス加工し、0.1mm厚さのフィルムを得た。得られたフィルム中の顔料の粗大粒子の大きさとその数をLuzex450画像処理機(東洋インキ製造社製)で測定した。
5:50μm以下の粒子数 700個/cm2 未満
4:50μm以下の粒子数 700個〜 1000 個/cm2
3:50μm以下の粒子数 1000個〜 7000 個/cm2
2:50μm以下の粒子数 7000個〜27000 個/cm2
1:50μm以下の粒子数 27000個/cm2 以上
*4 スクリュー直径65mmの押出成型機によるマスターバッチの生産性。
○:良好
×:不良
【0041】
(実施例11)
ロジン変性フェノール樹脂「タマノール361」(荒川化学社製)30部、製造例3で得られた樹脂20部に対してアマニ油20部、インキ溶剤「5号ソルベント」(日本石油社製)30部を加え、200℃に加熱して溶解させてビヒクルを得た。このビヒクル98部にオクチル酸アルミニウム2部を加えオフセットインキ用ビヒクルとした。
オフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これにキナクリドンレッド「ファストゲンスーパーマゼンタRE03」(大日本インキ化学工業社製)20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックスインキを3本ロールで練肉すると3パスで粗粒子が消失した。一方、製造例3で得られた樹脂の代わりにナフタレン未変性樹脂を用いた場合には、5パスで粗粒子が消失した。このことは変性処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りし60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べナフタレン変性樹脂を用いた場合は4.5%高光沢であった。
【0042】
(実施例12)
実施例11で用いたオフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これにアントラキノンレッド「ファストゲンスーパーレッドATY」(大日本インキ化学工業社製)20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると4パスで粗粒子が消失した。一方、ナフタレン未変性樹脂を用いた場合には、7パスで粗粒子が消失した。このことはナフタレン変性処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りしたときの光沢は、未変性樹脂使用時に比べに比べナフタレン変性樹脂を用いた場合は5.3%高光沢であった。
【0043】
(実施例13)
モノアゾレッド「PVレッドHF2B」(ヘキスト社製)8部、製造例5で得られた樹脂5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べ5.2%高光沢であった。
【0044】
(実施例14)
DPPレッド「クロモフタールDPPレッドBP」(東洋インキ製造社製)8部、製造例5で得られた樹脂5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べ4.0%高光沢であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の顔料組成物は、顔料分散性に優れており、高度な顔料分散を要求される繊維製品や印刷インキ、塗料の着色において、その光沢、色相の鮮明さ及び着色性に大きな効果を発揮するものである。また、従来、多かった分散不良によるブツや色ムラ等の塗膜欠陥もなく、良好な塗膜が得られる等、塗加工性にも優れており、良好な塗膜物性を得られるものである。また、成形材料である熱可塑性樹脂の着色においても極めて有効であり、高分散、高発色を示し、色ムラのない着色が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性の改良された顔料組成物であり、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる着色用顔料組成物、ならびにインキ,塗料等の被覆剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
顔料は一般に、塗料、インキ等の媒体中で凝集を起こす傾向がある。塗料やインキの貯蔵中又は乾燥時に顔料粒子の凝集が起きると、色調の変化、着色力の低下、他顔料との混色時における色別れおよび流動性の低下等の原因となる。従来、当問題の解決方法として、凝集防止剤や分散助剤の添加、例えば顔料置換誘導体の添加等が提案されたが、これまでのところこれらの方法では十分ではなく、添加物に由来する諸物性の低下や添加物がブリードするなど問題があった。
【0003】
また、これらの分散剤が使用された熱可塑性樹脂着色用組成物は、着色された熱可塑性樹脂を10数ミクロン径で高速紡糸したり、フィルム化するなど高度な顔料分散が求められる場合には、満足な顔料分散性が得られないことがある。すなわち、顔料分散不良による紡糸時の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィルムでの成形不良などである。さらに、顔料の凝集は引張強度や曲げ強度および衝撃強度等の機械物性を低下させる要因ともなりやすい。これらの問題を解決するために、熱可塑性樹脂着色用組成物の加工方法の改良や強力混練機により顔料分散性を向上させる努力が行われてきたが、いずれも十分な顔料分散能を発揮するものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記種々の欠点を改良し、インキ、塗料、熱可塑性樹脂等の着色に際して色相、着色力、分散性に優れた顔料組成物ならびに被覆剤の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂は有機顔料と親和性が高いため、顔料との混合・混練時において、顔料をはじいて凝集させることがなく、また、分散された顔料粒子の保護層としても働くため再凝集の抑制にも効果があり、安定した高分散性、高着色力を達成することを見出し、本発明に至った。ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂の、顔料との高い親和性は、ナフタレン骨格と有機顔料骨格の類似性に起因していると推定され、有機顔料はベンゼン環をはじめとする多環構造を有していることからナフタレンと高い親和性をもつものと考えられる。
【0006】
すなわち、本発明は、有機顔料(A)と、ナフタレン変性量が 5×10−5mol/g 〜 1.0×10−3mol/g のナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)とを含む顔料組成物を提供する。
また、本発明は、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)が、カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとをエステル化して得られる樹脂であることを特徴とする上記顔料組成物を提供する。
また、本発明は、顔料組成物中に、有機顔料(A)を 1〜95重量%、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)を 5〜99重量%含むことを特徴とする上記顔料組成物を提供する。
さらに、本発明は、上記顔料組成物を水または有機溶剤に溶解または分散してなる被覆剤を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げて本発明を説明する。
有機顔料(A)としては、公知の顔料が使用できる。例えば、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、ナフトールAS系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等のアゾ系顔料、アンスラピリミジン、インダスレン、フラバンスロン、ジブロモアンスアンスロン、ピランスロン、ジクロロイソビオランスロン等のアンスラキノン系縮合多環系顔料、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、ピロコリン、フルオルビン、キノフタロン等の縮合多環系顔料、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料、ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料、有機蛍光顔料などが挙げられる。本発明で用いる顔料は、乾燥顔料であっても、水または有機溶剤を含んだ湿潤状態の顔料であってもよい。
【0008】
ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)としては、カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとをエステル化して得られる樹脂が使用できる。なお、ナフタレン変性量は、酸価の測定結果を用いて以下の式から求めたものである。
ただし、α=カルボシキル基含有ポリオレフィン系樹脂の仕込み重量/(ヒドロキシル基含有ナフタレンの仕込み重量+カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂の仕込み重量)
【0009】
ポリオレフィン系樹脂にナフタレンを高度に付加させてなり、ナフタレンの変性量が 1.0×10−3mol/g を越える樹脂は、主鎖が堅くなって顔料被覆能力が低下すると共に、得られる顔料組成物が脆くなり機械強度の低下を招くため、本発明には使用できない。また、必要に応じて併用する他の樹脂との相溶性も低下し、様々な問題を引き起こす。一方、ナフタレン変性量が 5×10−5mol/g より少ない樹脂は、安定した高分散性、高着色力の効果を発揮しない。
【0010】
ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)の原料となるカルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンメタクリル酸共重合体等のオレフィンと不飽和カルボン酸またはその酸無水物との共重合体や、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸またはその酸無水物をグラフト重合させたものが挙げられる。何を使うかは、用途や他成分とのバランスを考えた上で、融点や溶融粘度、相溶性等に着目して決定する。
【0011】
オレフィンの代表例を挙げると、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘプテン、C12〜C14のオレフィンの混合物「ダイアレン124」(三菱化学社製)等がある。
不飽和カルボン酸の代表例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等がある。
不飽和カルボン酸の酸無水物の代表例を挙げると、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸等がある。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂への不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のグラフト化は、公知の方法、一般的には、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等で行えるが、これらの重合方法および反応操作において特に限定されるものではない。例えば、有機過酸化物の存在下に、ポリプロピレンおよび上記不飽和カルボン酸またはその無水物をポリプロピレンの融点以上の温度(通常は150℃〜300℃)で溶融混練することによって得られる。
【0013】
カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂として、市販されているもので例を挙げれば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとして、「アドマーQE810」(三井石油化学工業社製)、「ユーメックス1010」(三洋化成社製)等があり、さらに、アクリル酸変性ポリプロピレン「PB1001](大日本インキ化学工業社製)、エチレン−メタクリル酸共重合体「ニュ−クレルN1035」(三井石油化学工業社製)、エチレン−アクリル酸共重合体「ESCOREX922」(エクソン社製)、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸共重合体「ボンダインHX8140」(住友化学工業社製)、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物「ポリタックH3000P」(出光石油化学社製)、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体「ZYLAC106」(東洋ペトロライト社製)、ポリエチレンの酸化分解ワックス「ハイワックス4202E」(三井石油化学工業社製)等がある。
【0014】
ヒドロキシル基含有ナフタレンとしては、2−ナフタレンメタノ−ル、2−ナフタレンエタノ−ル、β−ナフトール、ポリオキシエチルナフタレンなどが挙げられる。ポリオレフィン主鎖からナフタレンまでの鎖長を長くとることにより、ポリオレフィン主鎖を堅くさせずに変性率を上げることが可能である。
カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとのエステル化は公知の方法で行うことができる。一般には、酸触媒存在下、溶融減圧状態で数時間攪拌して得られる。
【0015】
有機顔料(A)とナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)とは、顔料組成物中に、有機顔料(A) 1〜95重量%、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B) 5〜99重量%の割合で含まれることが好ましい。有機顔料(A)の含有量がが95重量%を越えると加工が困難となり、 1重量%より少ないと着色が不充分となる。
【0016】
本発明の分散性の改良された顔料組成物は、必要に応じて、他の樹脂、金属石鹸、酸化防止剤、光安定剤等を添加し、熱可塑性樹脂等の着色に用いられる。
他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0017】
また、本発明の顔料組成物は、必要に応じて、他の樹脂、植物油、鉱物油と共に、水または有機溶剤に溶解または分散することにより、インキ,塗料等の被覆剤とすることもできる。
他の樹脂としては、ロジン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、他のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0018】
【実施例】
以下の実施例で、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例および比較例において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
(製造例1)
エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物「ポリタックH3000P」(出光石油化学社製、酸価71.9)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下220℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB4」(日本乳化剤社製)33.8部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 3×10−4mol/g )を得た。
【0019】
(製造例2)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン「アドマーQE810」(三井石油化学工業社製、酸価3.3)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下220℃まで昇温して溶融し、2−ナフタレンエタノール3.4部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 5×10−5mol/g )を得た。
【0020】
(製造例3)
エチレン−アクリル酸共重合体「プリマコ−ル3460」(ダウケミカル社製、酸価81.9)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下200℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB18」(日本乳化剤社製)270部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 3×10−4mol/g )を得た。
【0021】
(製造例4)
アルキルカルボン酸「ユニシッド700」(東洋ペトロライト社製,酸価63)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下180℃まで昇温して溶融し、ポリオキシエチルナフタレン「NewcolB4」(日本乳化剤社製)119部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 8×10−4mol/g )を得た。
【0022】
(製造例5)
αオレフィン−無水マレイン酸共重合体「ZYLAC106」(東洋ペトロライト社製、酸価185)300部をセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下160℃まで昇温して溶融し、2−ナフタレンメタノ−ル30部、パラトルエンスルフォン酸ナトリウム0.3部を加えた後、減圧下4時間攪拌してナフタレン変性樹脂(変性量 5×10−4mol/g )を得た。
【0023】
(製造例6)
製造例5において、2−ナフタレンメタノールの添加量を90部として、ナフタレン変性樹脂(変性量 1.2×10−3mol/g )を得た。
【0024】
(実施例1)
上記3成分をヘンシェルミキサーにてプレミックスし、二軸押出機「PCM30」(池貝社製)を用いて温度170℃、回転数350rpmの条件でマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ノーブレンJH−G」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2.5部を混合して、縦型テスト紡糸機(富士フィルター社製スピニングテスター)にて、ホッパー下230℃、混練部、ダイス部230℃にて紡糸後3倍延伸を行い、5デニールのポリプロピレン繊維を得た。紡糸性、目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
【0025】
未分散顔料の目詰まり性を比較するために、得られたマスターバッチ3kgを先端に1450メッシュの金網を装着したスクリュー径が30mmの単軸押出機で押し出し、先端部での圧力上昇値を測定し、未分散顔料の目詰まり性をそれぞれ評価した。また、顔料の分散発色性を比較するために、得られたマスターバッチ2.5部を酸化チタンマスターバッチ「TET12534W−T」(東洋インキ製造社製)5部とポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に配合したものを2本ロールミルで混練し冷却プレスで2mm厚のプレートに成形した。次に、色差計「KURABO Color−7E」(KURABO社製)を用いて波長640nmの反射率を測定し、その反射率におけるKubelka−Munk関数値(k/s値)を求め発色強度とした。以上の結果を表1に示す。
【0026】
さらに、メルトフローレート:6.5のポリエチレン「ハイゼックス2100J」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ2.5部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形した。得られた成形品の機械的物性,表面の色ムラおよび顔料分散性度を評価した結果およびマスターバッチの生産性を表2にまとめる。
【0027】
(実施例2〜3)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例2〜3で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。また、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
さらに、実施例1と同様に各種評価をした。結果を表1、2に示す。
【0028】
(比較例1〜3)
製造例1〜3で得られた樹脂の代わりに変性前の樹脂を用いた以外は、実施例1〜3と同様にしてマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。しかし、得られたマスターバッチを用いて実施例1と同様に紡糸を行ったところ目詰まりによる糸切れが発生した。
さらに、実施例1と同様に各種評価をした。結果を表1、2に示す。
【0029】
(実施例4)
上記2成分をヘンシェルミキサーにてプレミックスし、二軸押出機「PCM30」(池貝社製)を用いて温度180℃、回転数350rpmの条件でマスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。
ポリプロピレン「三井ハイポールJ800」(三井石油化学工業社製,メルトフローレート:22)100部に、得られたマスターバッチ3.3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートを成形し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0030】
(実施例5)
イソインドリノンイエロー「クロモフタールイエローGR」の代わりに縮合アゾイエロー「クロモフタールイエロー3G」(チバガイギー社製)を用いた以外は、実施例4と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0031】
(実施例6)
上記3成分を3本ロールミルで混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレット化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得ることができた。ポリエチレン「ミラソン11P」(三井石油化学工業社製)100部に、得られたマスターバッチ3.3部を混合して、射出成形機にて背圧0Kg/cm2 でプレートに成形し、実施例1と同様にして、各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0032】
(実施例7)
ジスアゾイエロー「クロモフタールイエローHG」の代わりにキノフタロンイエロー「パリオトールイエローK0961HD」(BASF社製)を用いた以外は、実施例6と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0033】
(比較例4〜7)
実施例4〜7においてナフタレン変性樹脂の代わりに変性前の樹脂を用いた以外は、各実施例と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0034】
(実施例8)
フタロシアニンブルー「リオノールブルーFG7330」の代わりにジオキサジンバイオレット「PVファーストバイオレットRL−SPE」(ヘキスト社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0035】
(実施例9)
フタロシアニンブルー「リオノールブルーFG7330」の代わりにペリレン顔料「PVファーストオレンジGRL」を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0036】
(実施例10)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例5で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0037】
(比較例8)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例6で得られた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてプレートを製造し、実施例1と同様に各種の評価をした。結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
*1 無着色樹脂の機械物性(100%)に対するマスターバッチで着色された樹脂の機械的物性の保持率。
○:96%以上
△:90〜96%
×:90%未満
*2 成型品表面の色ムラを目視で評価した。
○:色ムラなし
△:色ムラ少々あり
×:色ムラ顕著
【0040】
*3 被着色樹脂100部とマスターバッチ3部を配合した混練物をプレス温度 170℃の条件下でプレス加工し、0.1mm厚さのフィルムを得た。得られたフィルム中の顔料の粗大粒子の大きさとその数をLuzex450画像処理機(東洋インキ製造社製)で測定した。
5:50μm以下の粒子数 700個/cm2 未満
4:50μm以下の粒子数 700個〜 1000 個/cm2
3:50μm以下の粒子数 1000個〜 7000 個/cm2
2:50μm以下の粒子数 7000個〜27000 個/cm2
1:50μm以下の粒子数 27000個/cm2 以上
*4 スクリュー直径65mmの押出成型機によるマスターバッチの生産性。
○:良好
×:不良
【0041】
(実施例11)
ロジン変性フェノール樹脂「タマノール361」(荒川化学社製)30部、製造例3で得られた樹脂20部に対してアマニ油20部、インキ溶剤「5号ソルベント」(日本石油社製)30部を加え、200℃に加熱して溶解させてビヒクルを得た。このビヒクル98部にオクチル酸アルミニウム2部を加えオフセットインキ用ビヒクルとした。
オフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これにキナクリドンレッド「ファストゲンスーパーマゼンタRE03」(大日本インキ化学工業社製)20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックスインキを3本ロールで練肉すると3パスで粗粒子が消失した。一方、製造例3で得られた樹脂の代わりにナフタレン未変性樹脂を用いた場合には、5パスで粗粒子が消失した。このことは変性処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りし60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べナフタレン変性樹脂を用いた場合は4.5%高光沢であった。
【0042】
(実施例12)
実施例11で用いたオフセットインキ用ビヒクル70部を紙コップに入れ、これにアントラキノンレッド「ファストゲンスーパーレッドATY」(大日本インキ化学工業社製)20部を加え均一になるよう混合撹拌してプレミックスインキを作成した。このプレミックス用インキを3本ロールで練肉すると4パスで粗粒子が消失した。一方、ナフタレン未変性樹脂を用いた場合には、7パスで粗粒子が消失した。このことはナフタレン変性処理により分散性が向上したことを示唆している。
また、タック9.0〜9.5に調整したインキをアート紙へ展色刷りしたときの光沢は、未変性樹脂使用時に比べに比べナフタレン変性樹脂を用いた場合は5.3%高光沢であった。
【0043】
(実施例13)
モノアゾレッド「PVレッドHF2B」(ヘキスト社製)8部、製造例5で得られた樹脂5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べ5.2%高光沢であった。
【0044】
(実施例14)
DPPレッド「クロモフタールDPPレッドBP」(東洋インキ製造社製)8部、製造例5で得られた樹脂5部、アルキッド樹脂ワニス「フタルキッド235−50」(日立化成工業社製)20部、メラミン樹脂ワニス「メラン28」(日立化成工業社製)10部、キシレン50部およびシンナー12部を直径2mmのスチールビーズと共に220ccのマヨネーズビンに入れペイントコンディショナーで30分間分散して油性塗料を作成した。これをブリキ板にスプレーコーターで塗布し、200℃で10分間焼き付けを行った。塗面の60度光沢値を測定したところ、未変性樹脂使用時に比べ4.0%高光沢であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の顔料組成物は、顔料分散性に優れており、高度な顔料分散を要求される繊維製品や印刷インキ、塗料の着色において、その光沢、色相の鮮明さ及び着色性に大きな効果を発揮するものである。また、従来、多かった分散不良によるブツや色ムラ等の塗膜欠陥もなく、良好な塗膜が得られる等、塗加工性にも優れており、良好な塗膜物性を得られるものである。また、成形材料である熱可塑性樹脂の着色においても極めて有効であり、高分散、高発色を示し、色ムラのない着色が可能となる。
Claims (4)
- 有機顔料(A)と、ナフタレン変性量が 5×10−5mol/g 〜 1.0×10−3mol/g のナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)とを含む顔料組成物。
- ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)が、カルボキシル基含有ポリオレフィン系樹脂とヒドロキシル基含有ナフタレンとをエステル化して得られる樹脂であることを特徴とする請求項1記載の顔料組成物。
- 顔料組成物中に、有機顔料(A)を 1〜95重量%、ナフタレン変性ポリオレフィン系樹脂(B)を 5〜99重量%含むことを特徴とする請求項1または2記載の顔料組成物。
- 請求項1ないし3いずれか1項に記載の顔料組成物を、水または有機溶剤に溶解または分散してなる被覆剤。
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